明 細 書 運動時の危険因子除去能を有する組成物 技術分野
本発明は、 食品、 予防および医療の分野に利用できる運動時危険因子 除去能を有する組成物に関する。 また、 本発明は、 スポーツ愛好家、 ス ポ―ッをしたい人、 持久力の向上を目指す人などの健常人のための運動 能力を高める食品に関する。 さらにまた、 本発明は、 有酸素能力を高め、 長距離走の競技力向上の補助的な手段として有効である運動能力向上栄 養食品に関する。 背景技術
運動することによって体内の代謝が円^となり、 成人病に対する危険 因子が除かれるということから、 運動の奨励が行われている。 医学的に も心筋梗塞患者などのリハビリテーシ ョ ンとしての運動効果についてか なりの報告がみられる。 しかし一方で、 スポーツ時の穂々な疾病や合併 症がスポーツ医学上問题となっており、 その一つに 「スポーツ性貧血」 、
「突然死」 がある。
スポーツ性貧血の原因は、 運動時のタンパク代謝の高進や鉄の摂取の 不足に起因する赤血球産生不足、 運動時に産出される乳酸などの化学的 物質による溶血、 運動時の衝擊などの物理的作用による溶血などが考え られている。
また、 突然死例では多くの場合慢性の基礎疾患が認められるが、 しか し中には形態学的な基礎疾患が判然としないものもあり、 確定診断に苦 慮することも多い,, スポーツ中の急死例はいままで多くの報告があるが、
競技種別ではランニング、 ジヨギング、 マラ ソ ンなど走る目的のものが 圧倒的に多く、 ついでバスケッ トポール、 野球、 水泳などに突然死する ものが多くみられた。 一般に突然死の場合には、 潜在性の基礎的器質的疾患が認められる場 合と基礎的器質的変化が軽度か、 あるいは明らかな器質的変化が認めら れない場合があり、 前者の場合には自覚症状があり医療を受けている人 もあるので問題になることは少ない。 しかし後者の場合には本人は自覚 症状を欠き、 健康診断を受けたとしても異常なしと判定され、 その後に スポ―ッなどの行為が誘因となつて突然死するために社会的にも問題に なることが極めて多く、 若年者の原因不明の急性心不全 (いわゆるポッ ク リ病) は後者に属しており、 しばしば過激な運動やしごきなどと関連 して問題となることが多いのである。 さてこの若年者の急性心不全の本態については未だ不明で諸説がある 力 、 一般的には一見健康で体格にも壮健な若年男性 (男性に圧倒的に多 い) が急なうなり声などをあげて倒れ突然死する。 そして、 剖検上でも 心臓の拡張を伴った軽度の心肥大、 冠状動脈や大動脈などの血管系の菲 薄狭小などの所見がみられるが動脈硬化はほとんどない。 運動時や運動 後に不整脈を惹起して突然死する可能性を +分に考慮する必要があると 考える。
—方、 E P Aや D H Aの生理作用としては、 血中の中性脂質、 総コレ ステロールの減少、 H D L コ レステロールの增加、 血小板凝集能の低下、 血液粘度の低下、 赤血球変形能の増加などが知られている。 現象的には、 血液がサラサラして固まりにく くなるということである。 また、 D H A
については、 脳の細胞膜組織の中に多量に存在することから、 学習機能 など神経組織に関係する機能に影響することが期待され盛んに研究が進 められている。 順天堂大の沢木らは、 リ レハンメル冬季ォリ ンピックで好成績をおさ めたノルゥヱ一の選手が栄養補助食品として D H Aや E P Aを利用して いることに注目し、 陸上長距離選手を対象に D H A、 E P Aの摂取がト レーニング効果に及ぼす影響について研究した。 その結果、 彼らの競技 成績に大きな差を認め、 D H A、 E P Aの摂取が毛細血管への酸素運搬 能力の向上を引き起こすことを推察している。
今後、 これら脂肪酸の運動機能に及ぼす影響に関する研究がますます 活発化するものと思われるが、 研究成果によって裏付けされた具体的な 実用化技術の開発が待たれるところである。 また、 赤血球変形能の低下 と赤血球膜硬化の関係は数種の疾患で報告されており、 赤血球膜の流動 性の増加は、 赤血球の脆弱化の危険性が考えられ、 それらの知見に基づ く予防および医療の分野に利用できる運動時危険因子除去剤の開発が待 たれるところである。 発明の開示
本発明の目的は、 スポーツ性貧血を防止する健康食品、 運動時の突然 死などの危険を予防する健康食品、 予防医薬品の分野に利用できる運動 時危険因子除去能を有する組成物を提供することにある。 本発明の目的 は、 スポーツのプロ、 スポーツ選手、 スポーツ愛好家、 スポーツをした い人、 持久力の向上を目指す人などの健常人のための 31動時危険因子除 去能を有する組成物を、 スポーツ用食品あるいは薬剤組成物として、 提 供することにある。
また、 本発明の目的は、 スポーツ愛好家、 スポーツをしたい人、 持久 力の向上を目指す人などの健常人のための運動能力を高める食品を提供 することにある。 また、 本発明の目的は、 有酸素能力を高め、 長距離走 の競技力向上の補助的な手段として有効である運動能力向上栄養食品を 提供することにある。 運動時の血液レオ口ジ一の変化が突然死の原因ではないかと考えられ ている。
本発明者らは、 "海産食糧は血液粘度を改善させるのではないか" と の作業仮説を立て、 魚肉摂取量の多い漁民と漁民に比べ比較的魚肉摂取 量の少ない農民を対象とした疫学調査、 魚油濃縮物、 高度精製したエイ コサペンタエン酸ェチルエステル ( E P A . E E ) 基礎、 臨床実験を行 い、 魚油成分中に含まれる E P Aが血液粘度を改善させることをすでに 見いだした。
その後、 へ-て-レオ口ジ一の面から E P Aの作用機序を主として赤血球 膜を対象に検討してきた。
そして、 本発明者らは、 n — 3系高度不飽和脂肪酸が平常時の血液レ ォロジ一に作用するだけでな く 、 運動による血液レオロジ一の好ま しく ない変化を抑制することを初めて見いだし、 運動時の突然死などの危険 を予防する健康食品、 予防医薬品を提供することを可能にした。 本発明は、 n — 3系高度不飽和脂肪酸を有効成分として含有すること を特徴とする運動時の危険因子除去能を有する組成物を要旨としている。 上記の危険因子除去能がスポーツ性貧血防止能であり、 したがって本発 明は、 n — 3系高度不飽和脂肪酸を有効成分として含有することを特徴 とするスポーツ性貧血防止能を有する組成物を要旨としている。 上記の
n 一 3系高度不飽和脂肪酸は、 n— 3高度不飽和脂肪酸または/および その誘導体である。 上記の n— 3高度不飽和脂肪酸は、 エイコサペンタ ェン酸および /またはドコサへキサェン酸である。 上記の n— 3系高度 不飽和脂肪酸は、 好ましくは魚油などの天然の ト リグリセライ ドの形態 である。 本発明の運動時の危険因子除去能を有する組成物は、 食品組成 物、 特にスポーツ用食品として適している。 あるいは薬剤組成物として 用いることができる。 その場合、 n— 3系高度不飽和脂肪酸の誘導体は、 薬剤として許容される塩、 エステルまたはア ミ ドである。 また、 本発明者らは、 持久力向上のための補助的な手段としてこれま でにビタ ミ ン E、 Cゃスクアレン ( S q u a 1 e n e :深海鮫の肝油主 成分) などの服用を試みてきた。 その効果について実験室内での運動能 力テス ト、 及び生化学的な実験結果から、 ビタ ミ ン £、 Cでは両者が相 乗的に働く ことで運動能力の向上に対する有効性を見いだし、 またスク ァレンも同様に鍛練された長距離選手の有酸素能力に有効であるという 知見を得た。 それらの成果を踏まえて、 本発明は、 最近、 ミ クロ循環で の酸素供給を高め、 有酸素運動能力を高める効果がある食品のひとつと されている η— 3高度不飽和脂肪酸に注目することと した。 魚油に含ま れている η— 3高度不飽和脂肪酸の有効性に関する科学的証明は少なく ' 競技力の高い長距離選手における事例的な研究もほとんどなされていな い。 最大酸素摂取量は、 最大限の努力で! 分間程度続けられる運動をする ときに、 その人が体内に取り込むこ とのできる酸素量であり、 高いほど 良い。 被験者以外の人間も含んだ 1 7人の最大酸素摂取量を測定した。 結果を表 1に示した。
最大酸素摂取量は平均すると 70 · 7 ± 4. 1 m l /k g/分である。 人類の限界が 8 3〜 8 5 m 1 /k g/分であると言われており、 平地での ト レーニング、 あるいは何らかの処置に対する応答については、 数値的 には通常人よりも高レベルな被験者においては、 摂取により 3〜 5 %の 変化があれば十分に意味のある改善であると考えられる。
氏名 身長 体重 運動時間 最大換気量 最大酸素摂取量 最高'し、拍数 最高呼吸数 呼吸の効率 一回換気量 呼吸交換比 cm kg 1Z分 1/分 ml /kg /分 拍 /分 ml/1 ml/1 ml
Y. Y 168.0 56.8 18分 06秒 125.8 4.044 71.2 182 56.0 32.1 2248 1.16
τ. κ 184.0 67.8 17 14 159.3 4.503 66.4 180 64.0 28.3 2489 1.04
Τ. 0 165.0 47.3 16 52 lb.4 3.375 71.4 191 66.0 29.2 1750 1.08
Υ . Ν 176.0 60.1 17 42 124.7 3. G92 61.3 200 65.0 29.6 1890 1.09
Τ. Μ 177.0 57.7 18 08 157.3 4.275 74.1 205 68.0 27.2 2314 1.07
κ. κ 168.0 57.3 17 21 151.9 4.179 72.9 194 94.0 27.5 1617 1.07
―
S . 0 169.0 5 .4 17 46 147.8 4.183 75.5 198 96.0 28.3 1541 1.05
Μ. Κ 181.0 71.8 17 13 157.8 68.1 173 68.0 31.0 2322 1.03
I—1
Ν. S 166.0 53.2 18 40 126.9 3.640 68.4 196 68.0 28.7 1867 1.08
Η. S 173.0 59.5 17 40 153.9 4.485 75.4 202 65.0 29.1 2332 1.03
S . Μ 166.5 51.9 18 16 120.9 3.648 70.3 196 90.0 30.2 1344 1.06
i
Κ.. 1 1 lb. U 00. L 18 19 4.508 72.1 UU D4. U άυ. b Udb 1. id
Τ. Η 173.0 65.2 18 21 159.5 4.736 72.6 191 73.0 29.7 2194 1.06
Μ. F 172.0 53.8 17 52 138.5 3.874 72.0 200 76.0 28.0 1823 1.09
Τ. S 167.0 53.4 18 23 162.3 4.051 75.9 209 98.0 25.0 1657 1.08
Μ. S 180.0 63.5 17 38 154.7 4.517 71.1 209 72.0 29.2 2149 1.13
Τ. Τ 179.0 59.9 IT 14 132.7 3.780 63.1 202 62.0 28.5 2141 1.15
上記の危険因子除去能が、 最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なく と も 3 %向上する機能であり、 したがって本発明は、 n— 3系高度不飽和 脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする最大酸素摂取量及び 無気的閾値を少なく とも 3 %向上する機能を有する組成物を要旨として いる。
健常人が運動能力を高める食品であり、 したがって本発明は、 n— 3 系高度不飽和脂肪酸を含有し、 最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なく とも 3 %向上する機能を有することを特徴とする健常人が運動能力を高 める食品を要旨としている。
より具体的には本発明は、 エイコサペンタエン酸および/またはドコ サへキサェン酸を含有し、 最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なく とも 3 %向上する機能を有することを特徴とする健常人が運動能力を高める 食品を要旨としている。
上記の食品は、 液状または固形である。 また、 上記の食品は、 カプセ ルに入っている態様を包含している。 本発明において、 n — 3系高度不飽和脂肪酸は、 n - 3高度不飽和脂 肪酸または/およびその誘導体を使用する。 食品用組成物の場合は遊離 脂肪酸およびまたはグリセリ ドエステルを、 薬剤用組成物の場合は遊離 脂肪酸、 それの薬剤として許容される塩、 エステルまたはアミ ドを使用 する。
より具体的に例示すれば、 精製魚油、 エイコサペンタエン酸および/ またはドコサへキサェン酸の濃度を高めた精製魚油、 構成脂肪酸のうち n - 3系高度不飽和脂肪酸が 6 0 %以上残りは中鎖脂肪酸であるような 吸収性を高めた油脂組成物などの n - 3系高度不飽和脂肪酸を主成分と する油脂組成物、 あるいはエイ コサペンタヱン酸またはそのグリセ リ ド
等の誘導体を多く含有する天然油脂から得られる任意の脂肪酸またはそ のエステルの混合物を用いることができ、 たとえば、 イ ワ シ、 サバ、 二 シン、 サンマ等の魚、 ナンキヨクオキアミ、 ッ ノナシォキアミ、 コぺポ —ダ等の動物性海洋ブランク トン等の適宜なものから得られる脂肪酸ま たはエステルの混合物を使用することができる。 上記精製魚油は、 イ ワ シ油、 マグロ油、 サンマ油、 二シン油、 サバ油、 タラ肝油、 イカ油、 メ ンヘーデン油などを脱酸、 脱色、 脱臭、 脱ガム、 脱ロウなどの精製方法で処理したものである。 E P A、 D H Aの合計含 量が 2 0重量%以上の精製魚油、 コ レステロール 0 . 1 %以下、 E P A , D H A高含有量の無味無臭の魚油が例示される。 魚油の精製は、 原料から採取した遊離脂肪酸、 臭気成分、 着色成分な どが含まれている粗原油からこれらを除去するために行う力、 精製法と してはアルカ リ精製法、 蒸気吹込法、 吸着法などがあり、 任意に組み合 わせて行われる。 アルカ リ精製法は脱酸法ともいい、 粗製油に水酸化ナ ト リ ウムを加えて魚油中の遊離脂肪酸をフーッ (石鹼、 f 0 0 t S ) に すると共に、 フーッに不純物を吸着または溶解させ、 これを除去して粗 製油を精製する方法である。 蒸気吹込法は、 精製油を減圧下で 1 5 0 °C 前後に加熱し、 これに水蒸気を吹き込んで臭気成分を除去する方法であ る。 また吸着法は、 活性炭、 酸性白土などの吸着剤を用いて粗製油中の 着色成分や臭気成分を吸着 · 除去する方法である。 これらの公知精製方法を駆使することにより魚油を無味無臭まで精製 し、 さらに魚油からコ レステロールを実質的に除去する。 本発明の実施 例においては魚油をコ レステロール 0 . 1 %以下、 E P A , D H A高含
1 0 有量の無味無臭の魚油に調製して使用する。 本発明の実施例において使 用する無味無臭の魚油に含まれる E P A, D HA等の脂肪酸は卜 リグリ セリ ドの形態で存在している。 E P A, D H Aの含有量は、 例えば、 E P A 1 8 %、 D HA 8〜 1 2 %のもの、 E P A 2 8 %、 D HA 1 2 %の もの、 E P A 5〜 8 %、 D HA 2 2 %のもののように、 使用用途等によ つて任意に変化させることができる。 いずれのものもコ レステロールの 含有量は 0. 1 %以下である。 上記高純度 E P A、 そのエステルは、 エイコサペンタエン酸及び/ま たはその誘導体を含む天然油脂から得られる脂肪酸またはそのエステル の混合物を高真空下で複数の蒸留塔によって精密蒸留して炭素数 2 0の 脂肪酸またはそのエステルを主成分とする留分を取得し、 次いでこの留 分を逆相分配系のカラムク ロマ ト グラフィ ーによつて分画精製して製造 する。 上記高純度 D HA、 そのエステルについてもほぼ同様の操作によ り得られる。 本発明の運動時の危険因子除去能を有する組成物は、 運動時の突然死 などの危険を予防する健康食品、 予防医薬品の分野の利用に適している スポーツのプロ、 スポーツ選手、 スポーツ愛好家、 スポーツをしたい人、 持久力の向上を目指す人などの健常人のための運動時危険因子除去能を 有する組成物を、 スポーツ用食品として使用することができる。 また薬 剤組成物として使用することもできる。 本発明を運動時の突然死などの危険を予防する健康食品として用いる 場合、 必須成分である 3系高度不飽和脂肪酸の他に、 任意的成分と して、 通常食品に添加されるビタ ミ ン類、 炭水化物、 色素、 香料など適
宜配合することができる。 また、 必要に応じて乳化剤を添加することも できる。 乳化剤としてはグリセリ ン脂肪酸エステル、 しょ糖脂肪酸ェス テル、 ソルビタ ン脂肪酸エステル、 大豆リ ン脂質、 プロ ピレングリ コー ル脂肪酸エステルが用いられ、 これらは単独又は組合せて用いられる。 食品は液状または固形の任意の形態で食することができる。 ゼラチンな どで外包してカプセル化した軟カプセル剤として食することができる。 カプセルは、 例えば、 原料ゼラチンに水を加えて溶解し、 これに可塑剤
(グリセ リ ン、 D —ソルビ卜ールなどを加えることにより調製したゼラ チン皮膜でつく られる。 上記組成物は、 n _ 3系高度不飽和脂肪酸またはそれの薬剤として許 容される塩、 エステルまたはアミ ドを有効成分とする運動時の危険因子 除去薬剤として利用可能であり、 その場合、 上記 n — 3系高度不飽和脂 肪酸は、 エイコサペンタエン酸およびまたはドコサへキサェン酸であり、 酸自体のみならずそれの薬剤として許容される塩、 エステルまたはアミ ドとして使用される。 該薬剤は、 n — 3系高度不飽和脂肪酸を単独で製 剤として用いることができるほか、 製薬上使用できる担体もしくは希釈 剤を加えた製剤組成物に加工したものを用いることもできる。 このよう な製剤または薬剤組成物は、 経口または非経口の経路で投与することが できる。 例えば、 経口投与用の固体または流体 (ゲルおよび液体) の製 剤または薬剤組成物は、 タブレツ ト、 カプセル、 錠剤、 丸剤、 粉末、 顆 粒もしくはゲル調製品の形態をとる。 製剤または薬剤組成物の正確な投 与量は、 その目的とする使用形態および処置時間により変化するため、 担当の医師または獣医が適当であると考える量になる。 n — 3系高度不 飽和脂肪酸を有効成分とする運動時の危険因子除去薬剤たる製剤または 薬剤組成物は、 他の薬理学上活性のある物質による投与と組み合わせて
1 もよいことは明らかである。 本発明の健常人が運動能力を高める食品は、 スポーツ愛好家、 スポー ッをしたい人、 持久力の向上を目指す人などの健常人が運動能力を高め る食品として毎日の栄養補給として食する。 毎日栄養補給を続けると健 常人は有酸素能力が高まり運動能力が高まる。
本発明を健常人が運動能力を高める食品として用いる場合も、 上記の 運動時の突然死などの危険を予防する健康食品として用いる場合と同様 に、 任意的成分を適宜配合することができる。 血液粘度に影響を及ぼす因子として、 赤血球変形能、 へマ 卜ク リ ッ ト 値、 血漿粘度等多岐にわたり、 これらの因子は相互に影響しあって粘性 を変化させているものと思われる。 E P Aの場合は、 これらのうち、 赤 血球の変形能を改善させることによると考えられる。 赤血球変形能は、 血球の表面積/体積比、 赤血球内部粘度、 膜の粘弾性等によって決定さ れる。
健常人に精製魚油を 1 0週間投与したところ、 魚油摂取群、 非摂取群 共にへマ 卜 卜 ク リ ッ 卜値には変化が認められなかったが、 魚油摂取群で 赤血球変形能の有意な上昇が認められ、 魚油非摂取群に認められた降伏 値の上昇は魚油摂取群では認められなかつた。 図面の簡単な説明
第 1図は、 チーム全体の 2年間の n — 3脂肪酸の服用前後 ( 1 9 9 4 年は 1 9 9 5年と同時期) の 1 0 , 0 0 0 mの記録の変化を示した図面 である。
第 2図は、 同一グループの 2年間の n— 3脂肪酸の服用前後 ( 1 9 9
4年は 1 9 9 5年と同時期) の 1 0, 0 0 0 mの平均記録の変化を示し た図面である。
第 3図は、 健常人における E P A含有精製魚油 1 0週間投与の赤血球 変形能の変化を示した図面である。
第 4図は、 健常人における E P A含有精製魚汕 1 0週間投与の降伏値
〔(回転高) shear rate 375sec- 1〕の変化を示した図面である。
第 5図は、 健常人における E P A含有精製魚油 1 0週間投与の降伏値
〔(回転低) shear rate 37· 5se 1〕の変化を示した図面である。
第 6図は、 健常人における E P A含有精製魚油 1 0週間投与のへマロ ク リ ッ ト値の変化を示した図面である。
第 7図は、 魚油摂取群の赤血球脂肪酸組成の変化を示した図面である。 第 8図は、 対照群の赤血球脂肪酸組成の変化を示した図面である。 第 9図は、 健常人における E P A— E E 4週間投与の赤血球浸透圧 (溶血開始時) への影響を示した図面である。 なお、 グラフの縦軸は赤 血球の浸透圧。
第 1 0図は、 健常人における E P A — E E 4週間投与の赤血球膜浸透 圧 (最大溶血時) への影響を示した図面である。
第 1 1図は、 健常人における E P A - E E 4週問投与の赤血球浸透圧 (溶血終了時) への影響を示した図面である。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明について具体的な実施例をもって説明するが、 本発明は これらの実施例によつて何ら制限を受けるものではない。 実施例 1
本実施例は、 n— 3脂肪酸を被験者に実験的に一定期間服用させ、 実
際の競技パフォーマンス ( 1 0, 0 0 0 m) に与える影響を順天堂大学 体力測定研究室の協力を得ながら検討を行った。 実験の方法として順天堂大学陸上競技部の選手の 2年間の 1 0, 00 0 mの記録を基に比較検討を行った。 初年度と次年度の両年に実施した ト レーニングは年間 卜 レーニング計画の中で、 量、 質ともに同等の内容 のもので、 ほぼ同様の環境下で行われた。 検討された 1 0, 000 mの 記録は両年ともにほぼ同時期に計測されたものを資料とした。 初年度の 1 9 94年には n— 3脂肪酸は服用せず、 次年度の 1 9 9 5年は 4力月 間 ( 7月〜 1 0月末) に渡り、 毎日、 n— 3脂肪酸のカプセル 6錠を被 験者に朝 3錠、 夕 3錠規則正しく服用させ服用前後の記録に与える n— 3脂肪酸の影響を考察した。
2年間の順天堂大学陸上競技部の選手の 1 0 , 0 00 mの記録の変化 を表 2、 表 3に示した。 n— 3脂肪酸を服用した 1 9 9 5年の 1 0, 0 00 mの記録の変化において、 チーム全体では服用後の方が平均で一 5 1. 0秒の短縮であった (表 2, 第 1図) 。
また、 2年間の平均記録の変化を比較すると、 1 9 94年の一 5. 4 秒 ( + 0. 3 %) の短縮に比べて 1 9 9 5年ではさらに 4 5. 6秒短縮 し— 5 1. 0秒 (+ 2. 8 %) という有意な変化結果を示した (表 4) 。 同一グループの 2年間の服用前後 ( 1 9 94年は 1 9 9 5年と同時期) の 1 0, 0 00 mの記録の変化においても、 n— 3脂肪酸を服用した 1 9 9 5年の方が 1 9 94年より も平均で— 1 4秒の短縮を示した (表 5, 第 2図) 。
このような 1 0, 000 mの記録の短縮の背景を考察する上で、 2年
間にほぼ同様の ト レーニングを実施したことを前提とすると、 被験者の 持久力能力に対して 卜 レーニング効果に加えて補助的に摂取した n— 3 脂肪酸の有効性が示唆された。
n一 3脂肪酸の有効性として、 これまでに筋肉内毛細血管の血流量の 増加や、 線維素溶解能と赤血球変形能が高まることによる末梢の酸素供 給などが報告されている。 これらはいずれも有酸素運動能力に関連する 諸機能の向上が期待される影響を考えられ、 本実施例の被験者にも同様 の影響が現れていることが推察される。 その結果、 n— 3脂肪酸を服用 した年としなかった年の 1 0, 0 0 0 mの記録の短縮に著しい差が現れ たものと思われた。
一般的に トレーニングの効果は専門的な ト レーニングを開始後、 初期 ほど顕著に現れ、 年月を経るほど効果が低下すると言われている。 また、 競技レベル (記録) の低い時期ほど記録の向上率も高いことも同様であ る。 この点からもハイ レベルの現役ァス リ一卜を対象とした本実験で見 られた記録の向上は特異な変化と考えられる。 以上のことから n— 3脂肪酸を一定期間服用することが、 有酸素能力 を高め、 長距離走の競技力向上の補助的な手段と して有効であることが 示唆された。
1 6
表 2
く 0. 01 有意差有り
(差の項目の一 (マ付ス) は記録の向上を、 + (プラス) は低下を示す)
表 3
*Ρく 0. 05
1 8
表 5
(注. 1994年の前後は 1995年の n— 3服用の前後の時期と同じ) 参考例 1
《平常時の血液レオロジ—に対する作用》
エイコサペンタエン酸 [ Eicosapentaenoic acid ( E P A u ο: s, n - 3 ) 〕 の赤血球 Fragility (変形能) におよぼす影響
《要旨》
E P A . E E 3. 6 gZ d a yを 4週間投与することによ り、 赤血球 溶血開始値、 最大溶血値、 溶血終了値とも投与前に比べ低浸透圧側に有 意に移行しており赤血球膜強化が示唆された。 本実験のように赤血球変 形能の増加と膜の強化が同時に測定されたのは意義深く、 投与の安全性 のみならず、 血管壁や体細胞が柔軟で安全性に富んだ細胞になることが 考えられた。
《目的》
血液粘度に影響を及ぼす因子として、 赤血球変形能、 へマ トク リ ツ 卜 値、 血漿粘度等多岐にわたり、 これらの因子は相互に影響しあって粘性 を変化させているものと思われる。 E P Aの場合は、 これらのうち、 赤 血球の変形能を改善させることによると考えられる。 赤血球変形能は、 血球の表面積/体積比、 赤血球内部粘度、 膜の粘弾性等によって決定さ れる。 E P Aの場合は、 膜の流動性によるものと考えられる。 血液、 特
に赤血球の大きさを毛細血管内をスムーズに通過できる形に変形できる ように、 赤血球に柔軟性を付与することができる。
一方、 赤血球変形能の低下と赤血球膜硬化の関係は数種の疾患で報告 されており、 赤血球膜の流動性の増加は、 赤血球の脆弱化の危険性が考 えられる。
そこで本実験では、 健常人に E P A · E Eを 4週間投与し、 E P Aの 赤血球 F r a g i 1 i t yに及ぼす影響について、 C o i l
P l a n e t C e n t r i f u g e法で検討した。 この方法は、 木村 らによって開発された赤血球膜浸透圧抵抗を測定する方法である。
《方法》
いわし可食部から精製した E Ρ Α · Ε Εを 1 日 3. 6 g . 健常人 1 0 人 (平均年齢 3 6才) に 4週間投与した。
採血は、 R e i d' s らの方法を準用して行った。 すなわち血液 0. 5 m 1が水柱 3 0 c mのフ k圧下で、 5 ^の11 11 じ 1 e o p o r e m e m b r a n e f i l t e rを通過する時間を測定し、 へマ 卜ク リ ッ 卜値から 3 0秒間に通過した血球量 (VRBCml/ 3 Osec) に変算し、 赤血球変形能の指標とした。
統計処理は、 s t u d e n t t — t e s t ( p a i r e d ) を用い、 有意水準は、 両側危険率 5 %とした。
《結果》
E P A · E Eを健常人 1 0人に 1 日 3. 6 g、 4週間投与することに より、 赤血球膜中 E P A含量は、 2. 0 1 ± 0. 3 5 m o i %から 4. 00 ± 0. 34 m o 1 %に増加した。 血液レオ口ジー的因子の測定結果 を表 6に示した。
血液粘度の降伏値 (shear rate) (回転低) = 3 7. 5 s e c 1は有 意 (Pく 0. 0 1 ) に低下し、 降伏値 (shear rate) (回転高) = 3 7
20
5 s e c 1も有意 ( Pく 0. 00 1 ) に低下を示した。 赤血球変形能は 有意 (Pく 0. 05 ) な上昇が認められ、 血漿粘度は有意 ( Pく 0. 0
5 ) な低下が認められた。
赤血球膜浸透圧抵抗の測定結果 (A) (B ) (C ) を第 9〜 1 1図に 示した。
( A) 溶血開始時の赤血球の浸透圧、 投与前 ( 1 0 0. 7 ± 3. 1 3 mOsm) から投与後 ( 9 6. 5 ± 2. 42m0sm) 、 (B) 最大溶血時の赤 血球の浸透圧は、 投与前 ( 8 6. 1 ± 2. 1 8m0sm) から投与後 ( 82.
6 ± 2. 3 2 mOsm) 、 (C) 溶血終了時の赤血球の浸透圧は、 投与前 ( 6 9. 4 ± 2. 76 mOsm) から投与後 ( 6 9. 4 ± 2. 7 6 mOsm) , にそれぞれ有意 (Pく 0. 01 ) に低下した。 表 6
《考察》
本実験では、 赤血球膜中 E P A含量は、 2. 0 1 ± 0. 3 5 m o l %
2 1 から 4. 0 0 ± 0. 3 4 m o 1 %と約 2倍に增加し、 また、 血液粘度の 有意な低下と赤血球変形能の有意な増加が認められた。
赤血球膜中の月旨質は、 free cholesterol ( F C ) , phosphatidyl ethanol amine (P E) , phospharidyl serine ( P S ) , phosphataidy 1 choline ( P C ) および sphingmye 1 in ( SM) があり、 P Eと P Sは脂 質の二重層の内層に多く、 P Cと S Mは主として外層に分布し、 F Cは 内外層にわたって均一に存在する。 これらのうち P Cは膜に流動性を与 え、 F Cと S Mは粘性を高めて膜をこわばらせる。 膜を固くする点では、 S Mは F Cより強力だといわれる。 E P A · E E 3 · 6 / d a y投与 した田村らの報告では、 血小板各リ ン脂質分画中のァラキドン酸 (A A) 及び E P A含量の測定で、 P C、 P E中の A A含量は有意に低下し、 E P Aは、 P C、 P E、 P I及び P S中で増加していたと報告しており、 赤血球においても同様に考えられる。 特に、 膜の流動性を増加させる P C中で A Aの低下と E P Aの増加は興味深し、。 脂肪酸中で最も粘性の低 い E P Aが膜中の P C中で特に增加していることは、 E P A含量と膜の 流動性の関係が示唆されるが、 膜の脆弱化の危険性が考えられる。 本実 験の Ε Ρ Α · Ε Ε 3. 6 g d a yを 4週間投与することにより、 赤血 球の溶血開始値、 最大溶血値、 溶血終了値とも投与前に比べ浸透圧側に 有意に移行しており、 赤血球膜強化が示唆された。
本実験で赤血球変形能の増加と膜の強化が同時に測定されたのは意義 深く、 投与の安全性のみならず、 血管壁や体細胞が柔軟性で安全性に富 んだ細胞になることが考えられた。 実施例 2
《運動時の血液レオ口ジ一の変化に対する作用》
1. 服用量 ·使用製剤
2 2
1 ) E P Aとして 1. 6 gZ日を目途に摂取する。
2 ) E P A 2 8 , D H A 1 2 %含有精製魚油カプセル 3 0 0 m g 1 8粒/日を朝晚食直後 9粒ずつ服用する。
2. 被験者数
1 ) 1群 6名 X 2群 !: E P A投与群(Fish)、E P A非投与群(non - fish))
3. 試験方法
1 ) 表 7に示すスケジュールで高地卜 レーニングに入る 1 0週間前 より高地卜 レーニング終了時まで E P A投与群は精製魚油力プセ ルを 1 8粒/日摂取する。
2 ) 各群とも、 投与開始時、 高地卜 レーニング開始時、 高地卜 レ— 二ング終了時に次項に述べる項目につき測定する。 表 7
開始月 高地トレ-ニング開始 2ヶ月 高地トレ-ニング終了 4ヶ月半 投与開始 投与終了
初回 2回目 3回目 採血 採血 採血 運動能力測定 運動能力測定 運動能力測定
4. 測定項.目
1 ) 生化学的項目
測定項目
( a ) 脂肪酸組成 (血漿、 赤血球膜リ ン脂質)
( b ) 赤血球変形能
( c ) 降伏値
( d ) ァミ ノ酸組成
2 ) 生理学的項目 (運動能力)
( 1 ) 測定項目
( a ) 最大酸素摂取量
(b ) MS S (Ma x i m a l S t e a d y S t a t e ) 測定 : E P A投与 ·非投与群における持久性の変化及び改善を検討。
各トレーニングの前後に安静時の血液を採取し、 上述した項目につい て分析を行う。 各ト レーニングの前後に 2種類のスピ— ドでの走行後、 血中乳酸濃度を測定し、 4 m m o 1 Z 1 に相当する走行スピー ドを求め る (MS S) 。 この M S Sを指標に持久性の改善を検討する。
《結果》
第 3〜 8図および表 8〜表 9に示すように、 魚油摂取群、 非摂取群共 にへマ トク リ ツ ト値には変化が認められなかったが、 魚油摂取群で赤血 球変形能の有意な上昇が認められ、 魚油非摂取群に認められた全血粘度 の上昇は魚油摂取群では認められなかつた。
V OA/ s一 s一
Group A»;5 AW50 Ht し 3 S St n
Start Group A (EPA administration) 5. 67±0. 530 3. 80+0. 309 46. 6+2. 30 0. 162+0. 052
Group B(Control ) 5. 73±0. 245 3. 84+0. 194 47. 1+1. 08 0. 156+0. 0366
Before tra ining Group A (EPA administration) 6. 08+0. 32 Γ- 3. 82+0. 172 47. 5+1. 23 r*0. 238+0. 0545 -
Group B(Control ) 5. 87+0. 540 3. 90+0. 226 47. 7+1. 17 - 0. 181+0. 0512
After training Group A (EPA administration) r*5. 63+0. 478 - 3. 79+0. 250* 47. 0+1. 27*, 0. 162±0. 0637
Group B(ControI ) - 6. 15+0. 484 4. 05+0. 191 - 49. 2+2. 32 - 0. 230Ϊ0. 1464
: pく 0. 1 pく 0. 05
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産業上の利用可能性
運動時の突然死などの危険を予防する健康食品、 予防医薬品の分野に 利用できる運動時危険因子除去能を有する組成物を提供することができ る。 スポーツのプロ、 スポーツ選手、 スポーツ愛好家、 スポーツをした い人、 持久力の向上を目指す人などの健常人のための運動時危険因子除 去能を有する組成物を、 特にスポーツ用食品として提供することができ る。
健常人 (スポーツ愛好家、 スポーツをしたい人、 持久力の向上を目指 す人など) のための運動能力を高める食品を提供することができる。 ス ポ一ッ選手のための有酸素能力を高め、 長距離走の競技力向上の補助的 な手段として有効である運動能力向上栄養食品を提供することができる。