明 細 書 高効率抗体スクリーニング法 技術分野
本発明は、 高効率抗体スクリーニング法、 より詳しくは、 種々の細胞 画分等のタンパク質混合物を二次元電気泳動により展開したうえで、 こ れに抗体ライブラリーを作用させ、 分離された個々のタンパク質スポッ トから直接的に特異抗体を高効率でスクリーニングする高効率抗体スク リーニング法に関する。 背景技術
全ゲノム構造解析プロジ: nクトは塩基配列決定技術の急速な進歩によ り、 多くの微生物において全ゲノム配列決定に至り、 ヒトにおいても来 世紀初頭には終了すると言われている。 しかし、 塩基配列が決定されて も遺伝子発現産物のうちデータベースを利用した相同タンパク質の検索 などにより、 機能が推定できる遺伝子は極めて少なく、 また、 実際に細 胞内において発現、 機能しているタンパク質の多くは細胞の状態によつ て、 その発現量の変化や翻訳後修飾によって様々に変動する。 このよう に生命活動のある瞬間に存在するタンパク質のセッ トはプロテオ一ムと いう、 PROTEin と genOME を組み合わせた造語で表現される新たな 概念として提唱されており(Kahn, P. Science 270, 369-70(1995))、 プロ テオームの全体像を把握し、 別の瞬間の全体像と比較することでその変 動を解析することが行われている。 こうしたプロテオームの動態を大規 模に解析することで生命現象を解析する試みがプロテオミクスと呼ばれ るもので、 ポストゲノムプロジェクトとして注目を集めている。 そのた
めの手法はすでに確立されており、 二次元電気泳動法とアミノ酸配列解 析 ·質量分析法とを組み合わせた方法が一般的に用いられている。
二次元電気泳動法は、物質の有する 2つの性状面から分離を行う方法、 例えば、 あらかじめ等電点に基づく電気泳動を行った後に、 異なる媒体 上において分子量に基づく電気泳動を行う方法として知られており (O'Farrell, P.H., J.Biol.Chem. 250, 4007-21(1975))、 かかる二次元電気 泳動法によると、 等電点と分子量という 2つの性状に基づいて二次元に 展開されるために、 同じ分子量を持つ物質であっても、 等電点が異なつ ていれば違う座標に展開され、 二次元の座標に各物質がスポットとして 分離することが可能となる。 二次元電気泳動法は、 その優れた解像度の ために、 特にタンパク質の分離手法としてよく用いられている。 現在行 われているタンパク質の二次元電気泳動法は、 一般的には、 まずキヤピ ラリーゲルや市販のストリップゲルなどを分離媒体として等電点電気泳 動を行い、 泳動を終了したゲルを第 2の平面状の S D S —ポリアクリル アミ ドゲル (slab gel)に載せ、 等電点電気泳動の展開方向に対して直角の 方向に電気泳動することにより行われている。 このように、 等電点電気 泳動と S D S—ポリアクリルアミ ド電気泳動 (S D S— P A G E ) を組 み合わせ、 等電点に基づいて一次元方向に分離し、 分子量に基づいて二 次元方向に展開する二次元電気泳動法により、 既に多くのプロテオーム が解析されている。 そして、 タンパク質群から分離された各タンパク質 スポッ トについて、 アミノ酸配列の決定やべプチドマス · フィンガープ リント法による解析結果が座標情報とともに既に数多く報告されている t 他方、 目的とするタンパク質に対する抗体を入手することは、 その同 定 ·機能解析において重要な位置を占めるが、 動物に目的とする抗原を 投与して免疫する従来の方法は、 多種,多量の抗原と長い時間、 多大な 労力を要することから、 近年、 ファ一ジ抗体ライブラリーを用いて抗体
を作製する方法が確立されている。 かかる方法は、 繊維状ファージのコ ート夕ンパク質に抗体を融合させることにより、 ファージの表面上に抗 体を提示 (ディスプレイ) するシステムを応用したもので、 抗体遺伝子 を P C Rで増幅して多種類の抗体遺伝子を含むライブラリ一を作製し、 これをファージ上に提示させることによってファージディスプレイライ ブラリーとすることができ、 この方法によるとヒトの抗原に対する抗体 の作製も可能である。 このファージ抗体ライブラリーを用いるスクリー ニング方法は、 ファージディスプレイ法と呼ばれ、 従来から種々の細胞 表面レセプターと特異的に結合するリガンドゃ種々の抗体を同定するた めに使用されている。 ファージ抗体ライブラリ一の作製方法やそれを用 いたィムノチューブ法、 マグネティックビーズ法等のスクリーニング法 についても既に数多く報告されている。 (Scott, J. M. and Smith, G. P., Science, 249, 386-390 (1990); Smith, G. P. and Scott, J. K., Method s in Enzymology, 217, 228-257 (1993))。
前記のように、 ポストゲノムプロジェクトとして注目を集めているプ 口テオミクスには、 二次元電気泳動法とアミノ酸配列解析 ·質量分析法 とを組み合わせた手法が多用されているが、 かかる手法にはいくつかの 問題点があることが指摘されている。 二次元電気泳動法においては、 サ ンプルの添付量の限界、 莫大なスポット数による解析の複雑さ、 酸性 · 塩基性側での分離能の限界、 再現性、 スポッ トの検出感度の限界などの 問題があり、 アミノ酸配列解析 ·質量分析法においては微量化が進んで いるとはいえ未だ十分ではなく、 その解析も質量分析法においては熟練 を要するとされている。 本発明の課題は、 試料中の標的タンパク質に対 する抗体を高効率でスクリ一二ングする方法を提供することにある。 本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意検討し、 ファージ抗体 ライブラリ一として、 1 0 9の多様性をもったライブラリーがすでに作
製されており、 理論上すぺての種類のタンパク質をカバーすることがで きる点に着目し、 このファージ抗体ライブラリ一を用いるファージパニ ング法と二次元電気泳動法とを組み合わせた 2 D —ファージバニング法 ( 2 D— P P ) が、 現在のプロテオ一ム解析の主流となっている二次元 電気泳動法と質量分析法との組合せに十分対抗しうる新しいプロテオ一 ム解析法となり得るとの知見を得た。 具体的には、 二次元電気泳動法で 分離したタンパク質スポッ トをニトロセルロース膜に転写し、 金コロイ ド染色によって可視化した後にスポッ トの部分だけを切り出し、 このス ポッ ト部分だけをファージ抗体ライブラリーと反応させ、 目的のタンパ ク質スポットに特異的に結合したファージ抗体のみを回収し、 この集め たファージ坊体を大腸菌に感染させ、 この特異的なファージ抗体を大量 に産生せしめ、 さらに上記反応 · 回収操作を繰り返す、 つまりバニング をすることによって目的のタンパク質スポッ トに対するモノクローナル 抗体を高効率でスクリ一ニングすることができることを見い出し、 本発 明を完成するに至った。 発明の開示
すなわち本発明は、 夕ンパク質群を含む試料中の特定のタンパク質に 対する抗体のスクリーニング法であって、 以下の工程 ( a ) 〜 (c ) を 備えることを特徴とする高効率抗体スクリーニング法 ( a ) タンパク質 群を含む試料を二次元電気泳動処理し、 前記タンパク質群を二次元電気 泳動ゲル上に各スポッ トタンパク質として展開させる工程 (b ) スポッ トタンパク質と抗体ライブラリーとを反応させる工程 ( c ) スポッ ト夕 ンパク質に結合した抗体を複製し、 該複製した抗体を前記スポッ トタン パク質と反応させる操作を 1又は 2回以上行う工程 (請求項 1 ) や、 夕 ンパク質群を含む試料として、 細胞亜分画をあらかじめ分離精製した試
料を用いることを特徴とする請求項 1記載の高効率抗体スクリーニング 法 (請求項 2 ) や、 タンパク質群を含む試料として、 翻訳後修飾を除去 した試料を用いることを特徴とする請求項 1又は 2記載の高効率抗体ス クリーニング法 (請求項 3 ) や、 二次元電気泳動ゲル上に展開した各ス ポッ トタンパク質を、 固相上に転写したスポッ トタンパク質として、 抗 体ライブラリーと反応させることを特徴とする請求項 1〜 3のいずれか 記載の高効率抗体スクリーニング法 (請求項 4 ) や、 固相上に転写した スポッ トタンパク質を可視化し、 個々のスポットタンパク質を単離した 後、 抗体ライブラリ一と反応させることを特徴とする請求項 4記載の高 効率抗体スクリーニング法 (請求項 5 ) や、 抗体ライブラリ一として、 ファージミ ド抗体ライブラリ一を用いることを特徴とする請求項 1〜 5 のいずれか記載の高効率抗体スクリーニング法 (請求項 6 ) や、 スポッ トタンパク質に結合したファージミ ド抗体を宿主細胞に感染させ、 ファ ージミ ド抗体を複製することを特徴とする請求項 6記載の高効率抗体ス クリーニング法 (請求項 7 ) や、 スポッ トタンパク質に結合したファー ジミ ド抗体の C D R領域を標的に P C Rを行い、 P C Rにより増幅され た領域を組み込んだファージミ ドベクタ一を宿主細胞に感染させ、 ファ —ジミ ド抗体を複製することを特徴とする請求項 6記載の高効率抗体ス クリ一ニング法 (請求項 8 ) に関する。 図面の簡単な説明
第 1図は、 D P— 4 7と D P K— 2 2の配列情報を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の高効率抗体スクリーニング法としては、 (a )タンパク質群を 含む試料を二次元電気泳動処理し、 前記タンパク質群を二次元電気泳動
ゲル上に各スポットタンパク質として展開させる工程、 (b )スポッ ト夕 ンパク質と抗体ライブラリーとを反応させる工程、 ( c )スポッ トタンパ ク質に結合した抗体を複製し、 該複製した抗体を前記スポッ トタンパク 質と反応させる操作を 1又は 2回以上行う工程を備える、 タンパク質群 を含む試料中の特定のタンパク質に対する抗体のスクリーニング法であ れば特に制限されるものではなく、 また上記抗体には、 ィムノグロプリ ン、 一本鎖抗体、 抗体の可変領域からなる抗体結合部位を含む抗体フラ グメントが含まれる。 抗体フラグメントとしては、 モノクローナル抗体 をペプシンで消化して得られる F ( a b ' ) 2、 F ( a b ' ) 2を還元し て得られる F a b ' 、 モノクローナル抗体をパパインで消化して得られ る F a bなどを例示することができる。
上記タンパク質群を含む試料としては、 複数種のタンパク質を含む試 料であればどのようなものでもよいが、 かかる試料を二次元電気泳動処 理した場合に、 二次元電気泳動ゲル上に各スポットタンパク質として展 開させうる試料が好ましい。 通常の二次元電気泳動処理では、 上限とし て数千個程度のタンパク質スポッ 卜に分離することができるが、 かかる 二次元電気泳動処理による分離能では、 細胞内において発現 ·機能して いる数万種類といわれる全タンパク質をカバーすることはできない。 こ のように、 二次元電気泳動処理した場合にタンパク質スポッ トとしての 検出限界を超える場合には、 あらかじめ分離精製 '分画処理等を施して タンパク質スポッ トとしての検出し得るようにしておくことが好ましい ( 例えば、 標的とする細胞亜分画 (caveolae, clathi'in-coated pits, Golgi, lysosomeなど) を生化学的手法等によりあらかじめ分離精製し、 この分 離精製されたタンパク質群を出発材料として二次元電気泳動上に各スポ ッ トタンパク質として展開することが好ましい。 かかる前処理により、 通常の二次元電気泳動処理による分離能でも、 各細胞亜分画に存在する
数百〜数千のタンパク質群を各スポットタンパク質として展開すること ができる。 かかる細胞亜分画をあらかじめ分離精製したタンパク質群を 含む試料としては、 例えば、 ヒト神経芽細胞腫を分離精製することによ り得られる、 細胞間および細胞内情報伝達系分子に富み、 かつ高度に疎 水性を示す多種の膜夕ンパク質により構成される細胞膜マイクロドメィ ン " 1 i p i d r a f t s " からなる画分や、 多数の受容体蛋白質を含 有する clathrin-coated pits画分や、 それらに属さないが重要な細胞間 情報伝達に関与する細胞膜画分等を例示することができる。
また、 上記タンパク質群を含む試料として、 タンパク質の翻訳後修飾 (例えば、 グリコシル化、 リン酸化、 ァセチル化、 アミ ド化、 ミリスト ィル化、 フアルネシル化、 ゲラニルゲラエル化、 硫酸化、 glycophos- phatidyl inositolアンカー (G P Iアンカー)) を除去した試料を用いる ことが好ましい。 かかるタンパク質の翻訳後修飾の除去処理により、 通 常の二次元電気泳動条件下ではスポッ トにならないタンパク質も分離す ることが可能になる。 また、 翻訳後修飾を除去する方法としては特に制 限されないが、 タンパク質脱リン酸酵素 (ホスホプロテインホスファタ ―ゼ)、 メチルエステラーゼ、 ペプチド N —グリコシダ一ゼ F ( P N G a s e F )、ホスファチジルイノシトール ·ホスホリパーゼ C ( P I P L C ) などの酵素処理や、 化学物質による脱脂処理等を適宜組み合わせること により行うことができる。
試料中のタンパク質群を二次元電気泳動ゲル上に各スポッ トタンパク 質として展開させる二次元電気泳動処理としては、 例えば等電点と分子 量というタンパク質の有する 2つの物性面かち分離を行う方法であれば 特に制限されるものではなく、 一般的には、 まずキヤピラリーゲルや市 販のストリップゲルなどを分離媒体として等電点電気泳動を行い、 泳動 を終了したゲルを第 2の平面状の S D S _ポリアクリルアミ ドゲル
(slab gel)に載せ、 等電点電気泳動の展開方向に対して直角の方向に電気 泳動することにより行うことができる。 かかる二次元電気泳動処理によ り、 二次元電気泳動ゲル上に展開した各スポッ トタンパク質を、 ゥエツ ト式ウェスタンブロッテイング法等により、 ニトロセルロース膜、 ポリ ビニルイリデンジフルオライ ド膜(P V D F膜) などの固相上に転写し、 この固相上に転写したスポッ トタンパク質と抗体ライブラリーとを反応 させることが好ましい。 かかる固相への転写により、 標的タンパク質ス ポットと抗体ライブラリ一との反応を簡便に行うことができる。
上記の固相上に転写したスポッ トタンパク質を可視化し、 個々のスポ ットタンパク質を単離した後、 抗体ライブラリ一と反応させることがよ り好ましい。 この可視化した後に単離された個々のスポッ トでは、 タン パク質の存在しない部分が除去されることにより、 目的とするタンパク 質に対する抗体以外の抗体、 例えば固相膜 (ニトロセルロース膜、 P V D F膜など) に対する抗体を排除することができ、 標的タンパク質に対 する抗体を効率よくスクリーニングすることができる。 上記スポット夕 ンパク質を可視化する方法としては公知のタンパク質の可視化方法であ れば特に制限されるものではなく、 例えば金コロイ ド染色法、 免疫染色 法等を挙げることができる。 また、 可視化した後に個々のスポッ トタン パク質を切り出して単離する方法も特に制限されるものではないが、 再 現性を高めるためにスポッ トカッター等の市販の自動切出し装置を用い て、 スポッ ト部分だけを切り出す方法が好ましい。
本発明において用いられる抗体ライブラリーとしては、 多数の抗体を 含むライブラリ一であれば特に制限されるものではないが、 理論的には あらゆるタンパク質上の抗原ェピトープに対応しうる、 1 0 9程度の多 種多様なファージミ ド抗体からなるファージミ ド抗体ライブラリ一 (フ ァ一ジディスプレイライブラリー) を用いることが好ましい。 かかるフ
ァージミ ド抗体ライブラリ一としては、 市販のものを含め、 通常のファ 一ジディスプレイ法において用いられる公知のファージライブラリ一で あればどのようなライブラリ一でもよく、 例えばファージディスプレイ ヒト抗体ライブラリ一は、 ヒト B細胞から、 抗体の H鎖及び L鎖の可変 領域 (VH、 VL) をコードする遺伝子断片を P C Rで増幅し、この増幅し た遺伝子が、 そのコートタンパク PIII 遺伝子の枠内に揷入された繊維 状ファージ (ファージミ ドベクター) を大腸菌に導入し、 この大腸菌に
V C S - 1 3等のヘルパーファージを感染させることにより構築するこ と力 Aでき る 、 H.R.Hoogenboom et al., 丄 mmunotechnology, 4, 1- 20(1998))
また、 ファージ抗体ライブラリ一として、 本発明者により作製され、 シークェンス—アレイ · ライブラリー (Sequence-arrayed library ( S AD) と名づけられたライブラリ一を有利に用いることができる。以下. S ALについて説明する。 ファージ抗体ライブラリーにおいて抗原を特 異的に認識するファージ抗体には、 優先的に用いられている F a b構造 があり、 VH鎖は D P 47、 V L鎖は D P K 2 2であることが知られて いる。 またこれらの鎖の C D R領域において、 特に CD R 3領域のある 限られた部位 (VH鎖 : 9 5、 9 6、 9 7、 9 8残基目のアミノ酸/ V L鎖 : 9 1、 9 3、 9 4、 9 6残基目のアミノ酸) が抗原との結合に深 く関与していることも知られている。 そこで、 それらの領域において使 われているアミノ酸の使用頻度を調べてみたところ、 使用頻度に差があ ることを見い出した。 また、 それらのアミノ酸を性質ごとに分類すると 7種類のアミノ酸 (G、 S、 D、 N、 R、 Y、 P ) に限定することがで きた。 これらのアミノ酸を CD R 3領域の抗原結合部位にランダムに配 置すると、 5. 8 X 1 06の多様性をもったライブラリーを作製するこ とができ、 また 1種類のファージ抗体の量をこれまでの 1 04から 1 06
まで増加することができることがわかった。
そこで、 これらの多様性をカバ一し、 しかも効率の良いプライマ一の 設計法を検討したところ、 上記 7種類のアミノ酸を 3種類のコドンで代 用できることを見い出した。 3種類のコドンを抗原結合部位に配置する と、 D P 4 7用の 8 1種類のプライマ一 (配列番号 1〜 8 1 )、 D P K 2 2用の 8 1種類のプライマー (配列番号 8 2〜 1 6 2 ) ですベての多様 性をカバーすることができる。 さらにこれらのプライマーにおいて、 使 用するアミノ酸の数を減らしたり、 それぞれのプライマーで合成した D P 4 7と D P K 2 2を組み合わせてサブライブラリーを作製することに よって 1種類のファージ抗体の量を 1 0 6以上にすることも可能となる, したがって、 この S A Lは超微量な抗原に対するファージ抗体のスクリ 一二ングだけではなく、 バニングを必要としないファージ抗体のスクリ 一二ングの可能を有している。 また、 この S A Lを用いて、 特異性が低 くても抗原をクローニングしてくることができれば、 ァフィ二ティーマ チュレーションによって特異性を強めていくことができる。
前記スポッ トタンパク質とファージミ ド抗体ライブラリーとの反応は. 例えば約 5 X 1 0 1 2 c f u Z m Lのファージ抗体を用いて常法により 行うことができる。 スポッ トタンパク質とファ一ジミ ド抗体ライブラリ 一との反応後、 目的とする各スポットタンパク質に付着したファージミ ド抗体のみを回収して大腸菌に感染させると、 各スポットに反応するフ ァージミ ド抗体を大量に複製することができる。 ファージミ ド抗体は、 その抗体部分の D N A配列情報がファージミ ド内に組み込まれているた め、 大腸菌感染によりファ一ジミ ドが複製される際に、 その表面に発現 している抗体も同時に複製されることから、 目的の各タンパク質のスポ ットと反応する抗体を大量に、 かつ容易に複製することができる。 実際 には、 一回の反応で陽性抗体を同定できることは稀であり、 この操作を
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数回繰り返すことで、 目的とする各スポッ トタンパク質に対応する抗体 を得ることができる。 この繰り返しのサイクルはバニングと呼ばれ、 通 常このバニング操作は数回、 好ましくは 3〜 5回程度繰り返すことによ り、 標的タンパク質と特異的に結合するファージ抗体を濃縮し、 スクリ 一二ングすることができる。
上記バニングの別法として、 ファ一ジミ ドを直接大腸菌に感染させる 方法に代えて、 各スポットタンパク質に結合しているファージミ ド抗体 の C D R領域 (主に C D R 3 ) を標的に P C Rを行い、 P C Rにより増 幅された領域を組み込んだファージミ ドベクターを宿主細胞に感染させ, ファージミ ド抗体を複製する方法を挙げることができる。 この方法の利 点は、 標的とする C D R領域のサイズがほぼ一定であること、 及び P C Rに用いるプライマーの配列は共通であることから、 通常 P C Rによる 複製を行う際の大きな問題である、 P C Rによる増幅の不均一化が最小 限に抑制できることである。 実際にこの方法を用いることで、 ファージ ミ ドを直接大腸菌に感染させる方法に比べて、 約 1 0倍の効率を達成す ることができる。
また、 スポッ トタンパク質とファージミ ド抗体ライブラリ一との反応 により、 陽性抗体を同定するに際し、 好ましくない固相膜等に対する抗 体を除去するための方法としては、 先に述べた如く各スポッ ト部分のみ を単離する方法以外に、 バニング毎に異なる種類の固相膜 (ニトロセル ロース膜と P V D F膜など) を交代に用いる方法や ( Alternative membrane method)、 ファージミ ド抗体ライブラリーをあらかじめ固相 膜等と反応させておき、 これらに対する抗体を除去する方法や、 これら を組み合わせた方法などを挙げることができる。
上記スクリ一ニングにより得られた各標的夕ンパク質に対する陽性抗 体を用いて二次元電気泳動上でィムノブ口ッティングを行い、 それぞれ
の抗体と目的とする各スポッ トタンパク質との反応性、 特異性を確認す ることが好ましい。 また、 各抗体の D N Aのフッ トプリントと抗体価の 相関性を調べることで、 抗体のモノクローナル化が可能である。
また、 スクリ一ニングにより得られた陽性抗体を大腸菌に感染させる ことで、 極めて容易に均質なファージミ ド抗体を大量に調製することが できる。 またその際、 大腸菌 H B 2 1 5 1株などの特定の大腸菌株に感 染させると、 これらのファージミ ド抗体を大腸菌から遊離させて、 抗体 断片として溶液中に可溶化することもできる。 このような可溶化型抗体 断片を調製する場合、 c - M y cや H i s — t a gと呼ばれるシークェ ンスタツグ等を有する融合ペプチドとしておく ことが、 かかる可溶化型 抗体断片を精製する場合に有利である上に、 このタツグを特異的に認識 する物質をあらかじめチップ上に固定しておき、 次に可溶化された各可 溶化型抗体断片を反応させることにより、 これらの抗体断片をチップ上 に容易に固定することができ、 チップ表面を細かく分画しそれぞれの分 画にそれぞれ異なるファージミ ド抗体を固定させることにより抗体チッ プとすることもできる。 また、 試料を種々の条件下で可溶化した後、 蛍 光プローブや化学発光プローブ等を用いてタンパク標識した試料を、 通 常の確立された抗原抗体反応と同様の条件下で上記抗体チップと反応さ せ、 次いで残存する標識プローブ量を測定することにより、 試料中の夕 ンパク質の発現量を定量することもできる。 抗体チップ上の各分画に対 応する残存標識プローブ量を一括して測定することで、 対象試料中にお けるタンパク質の発現プロファイルの一括解析も可能になる。
このようにして同定された陽性抗体を用いて、 夕ンパク質の発現ライ ブラリーを用いたスクリーニングを行い、 陽性抗体と反応する発現ライ ブラリー上の陽性クロ一ンを検出することができる。 この陽性クローン の塩基配列及び翻訳されたアミノ酸配列は、 二次元電気泳動上に展開さ
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れた各スポットのタンパク質の配列と相同であることから、 標的とした 各夕ンパク質のアミノ酸配列情報やアミノ酸配列情報を得ることができ る。 このスクリーニングの際に、 発現ライブラリーのタンパク質を二次 元泳動と同様の条件で変性させることで、 試料と発現ライブラリーの両 タンパク質の立体構造を相似化できるため、 抗原抗体反応における立体 構造の問題を最小限に押さえることができる。 また、 上記タンパク質発 現ライブラリーは元々翻訳後修飾を欠いているので、 試料中のタンパク 質の翻訳後修飾を除去したタンパク質を出発材料とすることがより好ま しい。
以下、 実施例により本発明を更に詳しく説明するが、 本発明の技術的 範囲はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例 1 [標的タンパク質画分の調製]
標的タンパク質画分としては、 ヒト神経芽細胞腫より、 細胞間および細 胞内情報伝達系分子に富み、 かつ高度に疎水性を示す多種の膜夕ンパク 質により構成される細胞膜マイクロドメイン" 1 i p i d r a f t s " を分 Elして用い 7こ。 1 0 % fetal bovine serum およひ、 L-glutamine> penicillin/streptomycinを添加した Eagle's MEM培地で、 5 日間培養 したヒト神経芽細胞 S K一 N - M C (ATCC No. HTB10)を回収した。 1 y s i sノ ッファー(2 5 mM ME S ; p H 6. 5、 1 5 0 mM N a C 1 、 1 % ( v / v ) Triton X— 1 0 0、 protease inhibitors)に懸濁 させた後、 ホモジナイザー (ィゥチ製) を用い、 ぺッスルを 1 5往復さ せて細胞を破砕し、 cell lysateを調製した。 cell lysateに等量の 8 0 % ショ糖/ ME S-buffered saline(2 5 mM ME S ; p H 6. 5、 1 5 0 mM N a C 1 ) を加え、 ショ糖濃度を 4 0 %にあわせてから遠沈管の 底に注入し、 さらに、 5 %から 3 0 %のショ糖勾配を重層後、 水平式口 一夕一 (Beckman Sw41Ti) にセッ トした。 超遠心機 (Beckman Optima
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L-70KUltracentrifuge) を用いて、 3 5 0 0 0 r pm、 2 4時間、 4°C でショ糖密度勾配遠心をおこなった。 ショ糖濃度 1 5 %付近に収束した l i p i d r a f t sに富む fractionを回収することにより、 標的夕 ンパク質画分 (タンパク質濃度約 1 2 0 g/m 1 ) を調製した。
実施例 2 [二次元電気泳動]
実施例 1で得られた標的タンパク質画分を等電点電気泳動と S D S - P AGEからなる二次元電気泳動法により分離 ·展開した。 等電点電気泳 動は、 ¾電点クリレとし飞 Immobiime Dry Strip (Amersham Pharmacia 社製) を用い、 泳動装置として IPGphor (Amersham Pharmacia社製) により行った。 9 M Urea、 2 M Thiourea, 4 % CHAP S、 2 O mM T r i s — HC L、 0. 5 % I P Gバッファ一からなる泳動 溶液に標的タンパク質画分を溶解し、 6時間再膨潤させた後 3 0 Vで 6 時間、 5 0 0 ¥で 1時間、 1 0 0 0 ¥で 1時間、 8 0 0 0 Vで 1 2時間 の順に電圧を印可した。 ついで等電点ゲルを S D S平衡化溶液中で 2 0 分間振盪し、 S D S— P AGEゲルの上に密着させた後 S D S— P AG Eを行った。 S D S — P A G Eは Hoefer S E 6 0 0 (Amersham Pharmacia社製) にて行い、 2 0 m Aで 5時間通電させた。 以上の操作 により標的夕ンパク質画分に含まれるタンパク質群を各タンパク質スポ ッ 卜に分離 · 展開した。
実施例 3 [標的タンパク質スポッ トの固相化]
実施例 2で分離 ·展開された各タンパク質スポットを一般的なゥエツ ト式ウェスタンブロ ッティ ング法によ り 、 ニ ト ロセルロース膜 (Amersham Pharmacia社製 · Hybond - ECL) 上に転写 · 固相化した。 ウェスタンブロッティングは T E 6 2 X (Amersham Pharmacia社製) を用いて、 1 5 0 mAで 1 6時間通電し行った。 ウェスタンブロッティ ングのニトロセルロース膜を、 金コロイ ド染色液 (Bio-Rad社製) 中に
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て 1時間振盪し固相化されたタンパク質スポッ トを可視化した。 可視化 した 5 0個のスポッ トを Spot Cutter (Bio-Rad社製) にて切り出し、 ファージディスプレイ法の抗原サンプルとした。
実施例 4 [標的タンパク質を認識するファージ抗体の選択]
実施例 3で調製した標的夕ンパク質の固相化物を 2 mL容のエツペン ドルフ (E p) チューブに移し、 まず 1 %の Twe e n 2 0を含む P B Sを加え室温にて 1時間穏やかに振盪 (renature) した。 この後、 溶液 を 1 0 %のスキムミルクと 0. 1 %の Tw e e n 2 0を含む P B S (M P B S T) に交換し、 1時間室温で穏やかに振盪 (blocking) した。 次 にこの液を除き、 後述する実施例 7と同様の方法で調製した 2種の可溶 化型の抗ニトロセルロース抗体断片を分泌した大腸菌 HB 2 1 5 1株の 培地上清それぞれ 3 0 0 Lを含む 5 %MP B S T (計 8 0 0 L) を 加え、 室温で 2時間穏やかに振盪させた。 これを除いた後、 波長 2 6 0 nmの吸光度が 5である濃度 (およそ 5 X 1 012 c f u/mLに相当) のファージ抗体(パニング 1ラウンド目の場合はライブラリ一ファ一ジ、 2ラウンド目以降は前ラウンドで回収したファージを用い、 計 4〜 5ラ ゥンドのバニングを実施) と上記可溶化型抗ニトロセルロース抗体断片 ( 2種の培地上清それぞれ 2 5 L) を含む 5 %MP B S Tの 2 0 0 z Lを加え室温にて 3時間振盪、 反応させた。 バニング 1ラウンド目のフ ァージライブラリーには、 1 09種以上の多様性をもつファージミ ド系 抗体ライブラリーであるヒト合成 F vライブラリー "G r i f f i n. 1 " (英国 MR Cの G. Winter博士より供与) を使用した。 この反応液 を 0. 1 %の Tw e e n 2 0を含む P B Sで 1 0分間の振盪 3回、 P B Sで同じく 1 0分間 1回洗浄し、 非特異反応性ファージを除去した。 標的タンパク質に特異的に結合したファージは 1 0 0〃 Lの 1 0 0m Mトリェチルアミンに 1 0分間振盪させて溶出し、 この溶液を 5 0 L
の 1 M— T r i s ' HC l ( p H 8. 0) の入った 1. 5mL容 E pチ ユーブに移し中和した。 また、 ファージ溶出後のスポッ トが入ったチュ 一ブには 2 0 Lの 1 M— T r i s ' HC l ( H 8. 0) を加えこれ も中和した。 これらに対し、 波長 6 0 0 nmにおける吸光度が 0. 5か ら 1. 0になるまで培養した大腸菌 T G 1株をファージ溶出液チューブ には 8 5 0 L、 スポッ ト入りチューブには 40 0 Lそれぞれ加え、 3 7°Cに 3 0分間静置しファージを感染させた。 これらを混合した計 1 42 0 Lを 1 0 O g/mLのアンピシリンと 1 %のグルコースを含 む L Bプレート ( 1 L中に 1 0 gのトリプトン、 5 gの酵母エキス、 1 O gの N a C 1、 1 5 gのァガ一を含む) (L B/Amp ' G l 。プレー ト) にプレーティングし、 3 0 にてー晚培養しコロニーを形成させた。 実施例 5 [ファージ抗体の調製]
実施例 4による、 L BZAmp ' G l cプレート上の大腸菌 T G 1株 コロニー全体をかき取り、 1 0 O g/mLのアンピシリンと 1 %のグ ルコースを含む 2 XTY ( 1 L中に 1 6 gのトリプトン、 1 0 gの酵母 エキス、 5 gの N a C 1 を含む) ( 2 XT Y/Am p · G 1 c ) 2 5 mL に波長 6 0 0 nmの吸光度が 1. 0程度以下になるように懸濁し、 3 7 °C にて 1時間攪拌培養した。 このうち 3mLを 2. 4 X 1 010 p f uのへ ルパ一ファージ VC S - M 1 3 (Stratagene社製) の入ったチューブに 移し、 3 7 °Cに 3 0分間静置した後、 3 2 5 0 X gで 1 0分間遠心分離 して上清を除いた。 沈殿した大腸菌は 1 0 0 gZmLのアンピシリン と 2 5 g mLのカナマイシンを含む 1 2. 5 mLの 2 XTY ( 2 X T Y/Am p - K a n) に懸濁し、 3 0 °Cでー晚振盪培養した。 この培 養液を 4°C、 1 0 7 5 0 X gで 1 0分間遠心分離して沈殿を除去した後、 培養上清にその 1 / 5容の P E GZN a C 1溶液 ( 2 0 %のポリエチレ ングリコールと 2. 5 Mの N a C 1 を含む) を加え混合し、 4 °Cに 3 0
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分以上放置した。 その後 4°C、 1 0 7 5 0 X gで 1 0分間遠心分離し上 清をデカンテ一ションで除いた後、 さらに 1 0 7 5 0 X gで遠心し上清 を完全に吸引して取り除いた。 沈殿したファージは 0. 5mLの P B S に溶解し、 これを 1 1 6 0 0 X gで 1 0分間遠心分離して不溶物を沈殿 させ、 上清を他のチューブに移してファージ抗体溶液を得た。 このよう にして得られたファージ抗体溶液は、 波長 2 6 0 nmにおける吸光度が およそ 1 0から 1 5程度になる濃度であった。
実施例 6 [ウエスタンプロッ トによる特異性の確認]
実施例 5によるポリクローナルファージ抗体からモノクローナル · フ ァ一ジ抗体を調製することもできる。 バニング後の L BZAmp · G 1 cプレート上のシングルコロニーをポリプロピレン製 9 6ウェルマイク ロタイタ一プレート中の 1 0 0 の 2 XTY/Amp · G 1 cに接種 し、 3 7 °Cでー晚振盪培養した。 次にこのうち 2 Lをポリプロピレン 製 9 6ウェルマイクロタイタ一プレート中の 2 0 O Lの 2 XTY/A mp . G l cに接種し、 3 7 °Cにて 2時間振盪培養後これに 2 X 1 09 ρ f uの V C S — M l 3を含む 5 O Lの 2 XTYZAmp · G 1 cを 加え 3 7 °Cに 3 0分間静置した。 これを室温で 2 3 8 0 X g、 1 5分間 遠心分離し上清を除き、 菌体を F a 1 c o n 1 4mLラウンドチューブ 中 1. 8 mLの 2 X T Y/Am pに懸濁し、 3 0 °Cにてー晚培養した。 このうち上清 1 , 5 mLを用い実施例 5と同様にファージ抗体溶液 ( 1 0 0力、ら 2 0 0 /z L) を得た。
このようにして得たモノクロ一ナル · ファージ抗体あるいは実施例 5 によるポリクロ一ナルファージ抗体を用いて、 ウエスタンブロッ トによ りその特異性を確認した。 すなわち " l i p i d r a f t s " を一次 元 (S D S— PAGE) あるいは二次元 (等電点電気泳動と S D S— P AGE) に展開し、 ニトロセルロース膜 ( Amersham Pharmacia社製 ·
Hybond - ECL) に転写したものについて、 まずこれを 1 0 %の Tw e e n 2 0を含む P B Sで 1時間 renature させ、 さらに 1 0 %MP B S Tで 1時間ブロッキングした。 これを脱イオン水で洗浄後、 波長 2 6 0 nmでの吸光度が 0. 0 5になるような濃度のファージ抗体を含む 1 0 %MP B S Tを加え、 室温で 1時間振盪, 反応させた。 このメンブレ ンを脱イオン水で 3回、 さらに P B S Tで 5分間ずつ 3回洗浄した後、 5 %MP B S T中に 7 0 0 0倍希釈した HR P (ホースラディッシュパ —ォキシデース) 標識抗 M 1 3抗体 (Amersham Pharmacia社製) を加 え、 室温で 3 0分から 1時間振盪した。 これを P B S Tで 5分間ずつ 3 回、 P B S Tで 5分間 1回洗浄し、 E C L検出試薬を加えたのち、 その 化学発光シグナルをフィルムに露光した。 これによりバニング操作を通 じて選択されたポリク口一ナルおよびモノクローナルファージ抗体は、 スクリ一二ングに用いた標的タンパク質スポッ トに高い特異性をもって 反応していることを確認した。 またこの一連の操作は他の複数のスポッ トについても検証の結果同様の効果を示したことから、 これにより二次 元分離し膜上に固相化されたタンパク質群より、 ファージ抗体ライブラ リーのスクリ一二ングを通して直接特異抗体を取得できることを確認し た。
実施例 7 [可溶化型抗体断片の調製]
実施例 6で特異性を確認したファージ抗体クローンを: 11111^の 2 TY/G 1 c ( 1 %) 中に波長 6 0 0 nmにおける吸光度が 0. 5から 1. 0になるまで培養した大腸菌 HB 2 1 5 1株の培養液に加え、 3 7 °C に 3 0分間静置した。 これにアンピシリンを終濃度 1 0 0 X gZmLに なるように加え 3 7 °Cでー晚振盪培養した。 このうち 0. 5 mLをあら かじめ 3 7 °Cに保温しておいた 5 0 mLの 2 XTYZAmp ' G l c ( 0. 1 %) に接種し、 3 7 °Cにて対数増殖期終期に至るまで振盪培養したの
ち、 これに I P TG (イソプロピル i3 _Dチォガラク トピラノシド) を 終濃度 I mMになるように加えて発現を誘導し、 3 0 °Cにて一晩振盪培 養して培地中に可溶化型抗体断片を分泌させた。 これを 1 0 7 5 0 X g で 1 0分間遠心分離して菌体を除き、 可溶化型钪体断片を含む培地上清 を得た。 この可溶化型抗体断片はそのカルポキシ末端にヒスチジン 6残 基からなるタグを有するため、 これを利用した金属キレ一トァフィニテ ィークロマトグラフィーにより必要に応じてこの分子を精製した。 すな わち中性条件において可溶化型抗体断片を含む培地上清を TAL ON樹 脂 (CLONTECH社製) を充填したカラムに通した後、 Wa s hバッフ ァー ( 5 0 mMリン酸ナトリウム · p H 7. 0、 3 0 0 mMの N a C l、 5 mMイミダゾールを含む) で洗浄後、 吸着した抗体断片を E 1 u t i o nバッファー ( 5 0 mMリン酸ナトリウム · ρΗ 7. 0、 3 0 0 mM の N a C l、 1 5 0 mMイミダゾ一ルを含む) で溶出させ、 精製標品を 得た。
実施例 8 [ VH鎖 D P 4 7および VL鎖 D P K 2 2のクローニング]
S ALファージ抗体ライブラリ一を作製するために、 その出発材料と なる VH鎖 D P 4 7クロ一ンおよび VL鎖 D P K 2 2クローン (DP 4 7 ~ D P K 2 2 S e q u e n c e :配列番号 1 6 3 ) のクローニングを 前記ヒト合成 F Vライブラリー " G r i f f i n . 1 "を基に行った(図 1参照)。 ファージミ ドベクターおよびプライマ一 [D P 4 7 (配列番号 1 6 4) は D P 4 7— NZN c o (配列番号 1 6 5) と D P 47— C (配 列番号 1 6 6 )、 D PK 2 2 (配列番号 1 6 7) は D P K 2 2— NZA p a (配列番号 1 6 8 ) と D P K 2 2— C (配列番号 1 6 9)] を用いて P CRを行い、 VH鎖 D P 47および V L鎖 D P K 2 2を増幅し、 TA— クローニングベクターを使ってクローニングした後、 ファージミ ドを回 収し、 シーケンスを行った (D P 47 _ 4 (配列番号 1 7 0) および D
P K 2 2)。 VH鎖 D P 47クローンについては、期待された配列が得ら れなかったために、 新たに変異を入れるためのプライマ一 [D P 4 7— 5 ' - 1 (配列番号 1 7 1 )、 - 3 ' 一 1 (配列番号 1 7 2)、 - 5 ' - 2 (配列番号 1 7 3 )、 - 3 ' - 2 (配列番号 1 7 4 )] を合成し、 Stratagene社の QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kitを使って P C R法でボイントミューテーションを導入し、再度シーケンスを行い、 変異を確認した (Mutated D P 4 7)。 これにより、 Mutated D P 4 7 (配列番号 1 7 5) は D P 4 7と塩基配列は異なるが、 期待されたアミ ノ酸配列と相同のクローンが得られた。 これらのクローンをもとに、 抗 原抗体反応において重要な 8ケ所 (VH鎖 Mutated D P 47及び V L 鎖 D PK 2 2各々 4ケ所ずつ) のアミノ酸に実施例 9に示すようにアミ ノ酸変異を導入し、 S ALファージ抗体ライブラリーを作製した。
実施例 9 [ファージ抗体ライブラリー S ALの作製]
VH鎖 D P 4 7用プライマーとして、 配列番号 1〜 8 1で示される塩 基配列からなる 8 1種類のプライマ一と、 VL鎖 D P K 2 2用プライマ —として、 配列番号 8 2〜 1 6 2で示される塩基配列からなる 8 1種類 のプライマーを常法により合成した。 これらのプライマ一を用いて P C Rを行い、 ( 1 ) ランダム領域(抗原抗体反応において重要な 8ケ所にお ける)の作製 [D P 4 7— N/N c oと D P 4 7 _CZ r a n d om (配 列番号 1〜 8 1 )、および D P K 2 2— NZAp aと D PK 2 2— C/ r a n d om (配列番号 8 2〜 1 6 2 )] と、 (2 ) ファージミ ドへの組み 込みに必要な制限酵素部位の付加 [D P 4 7— N/N c oと D P 4 7— C/X h o (配列番号 1 7 6 )、 および D P K 2 2— NZAp aと D P K 2 2 - C/N o t (配列番号 1 7 7)] を行った。 これらのプライマーに よって、 図 1に 「NNNJ で示される VH鎖 D P 47の 9 5、 9 6、 9 7、 9 8残基、 および VL鎖 D PK 2 2の 9 1、 9 3、 9 4、 9 6残基
に 7種類のアミノ酸 (G S D N R Y P) のいずれかがランダム に配置される。 これらのプライマーを用いて P C R法で VH鎖 D P 4 7 と VL鎖 D P Kを合成し、これらの増幅断片を制限酵素で切断した後に、 常法に準じてファ一ジディスプレイライブラリーを作製した。 これによ り 1 06の多様性の一本鎖抗体断片を繊維状ファージ表面に提示してい るシーケンス一アレイ ド · ライブラリ一を得た。 なお、 図 1の D P 4 7 - C / r a n d omプライマーおよび D PK 2 2— C/ r a n d omプ ライマーにおける 「NNN」 には ATH (Hは C, T又は A ; AT C A s p , AT T = A s n, AT A = T y r )、 A C B (Bは T G又は C ; ACT= S e r , A C G = A r g , AC C = G l y) C GG (P r o) のいずれかから選択されるが、 上記実施例により作製したライブラリ一 は ATHと AC Bとの組合せのみを用いたので、 各プライマーで 3 X 3 X 3 X 3 = 8 1種類の合成プライマーを使用することになる。 また、 A THと A C Bとの組合せは、 D P 4 7及び D PK 2 2のそれぞれにおい て 1 6通りあることから、 このライブラリ一の多様性は全部で ( 8 1 X 1 6) X (8 1 X 1 6 ) = 1. 7 X 1 06となる。 産業上の利用可能性
個々のタンパク質についてその局在や詳細な機能、 他分子や細胞にも たらす相互作用を解析するにあたっては、その特異抗体が不可欠である。 本発明によると、 試料中の標的夕ンパク質に対する抗体を高効率でスク リ一ニングすることができ、 得られた抗体を用いて、 標的タンパク質の 同定のみならず、 得られた特異抗体を用いての対象タンパク質分子の活 性阻害や細胞への刺激導入などの検討を行うことができ、 今後のプロテ ォミクス研究を推進する上できわめて有用である。 また、 スクリーニン グにより得られた抗体を用いて、 タンパク質の c D N A発現ライブラリ
一をスクリーニングすることができ、 二次元電気泳動により分離した夕 ンパク質群より、 質量分析 · アミノ酸シークェンス等の従来のプロテオ ミクス解析法を用いることなく、 夕ンパク質を効率よく同定することが できる。 また本発明によると、 標的タンパク質は、 抗体スクリーニング における反応系全体を通じて、 分子全体が水相中に露出する状態を免れ るため、 通常ファージ抗体系において要求される抗原の親水性について 無視することができ、 さらにスクリーニングにより得られた抗体を用い て、 タンパク質の c D N A発現ライブラリーをスクリ一二ングすること ができるので、 標的スポット夕ンパク質が断片化したタンパク質の一部 であっても、 全長配列を確定することも可能となる。