明 細 書 増大した密度のポリ (エチレンォキシド) のブラシ様構造表面 技術分野
本発明は、 バイオセンサーの分野に関し、 より具体的には、 生物学的 流体等に含まれる被検体以外の夾雑物による非特異吸着もしくは結合を 低減もしくは防止するバイオセンサー表面に関する。
背景技術
生物学的試料中に存在する被検体を検出する方法として、 多種多様な 検出様式をもつバイオセンサーが提案されている。 そのようなバイオセ ンサ一の中で、 表面プラズモン共鳴 (S PR) を利用するセンサーは、 金属薄膜の表面およびその近傍における屈折率変化に対して敏感である (例えば、 A. Szabo et al., Curr. Opin. Strnct. Biol. 5 (199 5) 699— 705参照) 。 S PRは、 表面と複雑な生物学的液体との 間で生じる過程のインサイチュ ( situ) での観察が可能であり、 そ して例えば、 標識を使用することなく リアルタイムに被検体からのデー 夕が入手できるので、 動力学的および熱力学的なパラメーターを取得す るのに適していることから注目を集めているセンサーの一つである。 このような表面をもつバイオセンサーチップの典型的なものとしては. アマシャム フアルマシア バイオテク (株) から入手できる B I A C ORE (商標) がある。 この B I ACOREは、 末端がカルボキシル化 されたデキストランのマトリ ックスが半透明の状態で金の薄膜上に固定
されている。 かような検出表面を特許請求すると思われるものとしては 特許第 2815120号 (E P U. S. P a t e n t N o.5, 242, 828および EP 0 589 867 B 1に対応する) 公報がある。 該 公報によれば、 HS— R— Y (Rは 10原子を越える鎖の長さを有し、 ヘテロ原子で中断されていてもよい炭化水素鎖であり、 Yはリガン ド又 は生適合性多孔質マトリ ックスを共有結合させるための活性基である) で表される有機分子を用いて、 そのチオール (またはメルカプト) 基を 介して金、 銀などの自由金属の膜表面へ結合させて密に詰め込まれた単 層で該表面を被覆し、 次いで、 生適合性多孔質マトリ ックスとして、 リ ガンドを結合させるための官能基を有していてもよいァガロース、 デキ ストラン、 ポリエチレングリコール等からなるヒ ドロゲルを共有結合し た表面が記載されている。
特許第 3071823号 (U. S. Pa t e n t No.576319 1および EP O 574 000 B 1に対応) には、 保持材上へ硫黄 原子 (メルカプト基の) を介して結合したスぺーサ一分子 (炭素原子数 1〜30のアルキレン鎖) に親水性リンカ一部 (鎖長 4から 15原子の 直鎖分子) と固相反応物質 (ピオチン誘導体残基) が順に共有結合した 表面が記載されている。 そして、 かような表面を形成するピオチニル化 化合物の典型的なものとして、 次式で表される化合物が記載されている (
て 0
該表面の固相反応物質を有する分子鎖は、 さらに固相反応物質 (すな
わち、 上式の例では、 ピオチン誘導体残基) を有しないか、 または固相 反応物質も親水性リンカーも有しない希釈分子によって希釈されていて もよい。
Roberts et al., J. Am. Chem So 1 998, 120, 6548— 6555には、 HS—スぺ一サー分子 (炭素原子数 1 1のアルキレン鎖) 一親水性リ ンカー (エチレンォキシド単位 3個または 6個からなる鎖) 一をベースとする化合物を用い、 メルカプト基を介して金表面に自己組 織化単分子層 (SAM) を形成することが記載されている。 また、 親水 性リ ンカ一部がエチレンォキシド単位 3個の化合物と、 エチレンォキシ ド単位 6個 (末端にオリゴペプチドのリガンドが結合している) の化合 物との混合物から形成された表面は、 細胞のリガンド特異的結合を促進 するが、 付着した細胞によるタンパク質の堆積を低減することも教示さ れている。 また、 Holmlin et al. , Langmuir, 17, 2841— 285 0 (2001) には、 該 SAMと両性イオンを含む表面へのタンパク質 の吸着の抑制について記載されている。
Pavey et al., Biomaterials 20 (1 999) 885— 890には、 ポリ (エチレンォキシド) π—ポリ (プロピレンォキシド) m—ポリ (ェチ レンォキシ ド) nのトリプロックコポリマーの様々な 2種の組み合わせ物 を、 S PRの検出用金属薄膜上に付着させた表面が記載されている。 ま た、 こうして形成された表面では、 溶液中にポリ (エチレンォキシド) 鎖が伸長し、 ブラシ様構造物 (brush-like architecture) を形成する ことが示唆されている。 さらに、 ポリ (エチレンォキシド) の鎖長 (n) が異なる 2種のトリプロックコポリマ一が付着した表面は、 それらの 1 種が付着した表面より一般的にタンパク質 (ゥシ血清アルブミ ン) の吸
着が低減することも示されている。
ところで、 以上の先行技術文献のうち、 特許第 2 8 1 5 1 2 0号には、 鎖 (R ) の長さが 1 0原子を越え、 好ましくは 1 2〜3 0原子の例えば、 疎水性のかなり大きなアルキレン鎖をもつ 1 6 —メルカプトへキサデ力 ノールをチオール基を介して金属表面に化学吸着させることにより、 有 機分子が密に詰め込まれた単層の表面が得られることが記載されている こうして得られる単層は貯蔵安定性があり、 しかも、 金属表面を化学腐 食から保護する有効なバリアー層となりうることも示唆されている。 そ して、 かようなバリアー層上には、 タンパク質適合性と非特異的相互作 用を最小化するヒ ドロゲルが結合されている。 したがって、 該特許発明 に関連する好適な態様と思われる上記 B I A C O R E (商標) (デキス トランのヒ ドロキシゲルを担持する) は、 実用化されている。 しかし、 バリア一層上にヒ ドロキシゲルを均一に担持させるのは容易ではなく、 厳密な操作が必要であり、 また、 タンパク質の非特異的吸着は相当に低 減しているが、 未だ改良の余地がある。
特許第 3 0 7 1 8 2 3号は、 上述したピオチニル化化合物の形成する 表面のビォチニル (固相反応物質) が密である場合には、 例えば、 ピオ チンと非共有結合的結合対を形成する遊離のアビジンとの結合が遅いこ と等を改良するために、 敢えて、 ピオチニル化化合物を疎らに保持材料 表面へ結合させるか、 あるいはビォチニル残基を有していない希釈分子 と相当するピオチニル残基を有する分子とを 1 0 : 1〜2 : 1で用いて 希釈分子とピオチニル残基 (固相反応物質) を有する分子とを、 共に該 表面へ結合させている。 かような表面また、 Roberts et al. の表面は、 エチレンォキシド単位約 5〜 6個までの親水性リ ンカ一部を有するが、
特許第 2815120号のようなヒ ドロゲル層を有しないので、 目的と するタンパク質 (例えば、 ストレプトアビジン) や細胞以外の夾雑タン パク質の非特異的吸着が生じうる。
Bavey et al. , はトリブロックコポリマーの疎水性ブロックであるポ リ (プロピレンォキシド) ドメインを介して金属表面へ付着させるもの であり、 通常のポリマ一コーティ ングと同様に安定性、 均一性および再 現性ある表面を得ることが困難である (U. S. P a t e n t No.4 415666も参照) 。 しかも、 ポリ (エチレンォキシド) 鎖の密度を 高めることも困難である。
本発明者らの一部は、 以上のような先行技術に伴う短所が解消される か軽減された表面を提供するものとして、 片末端にメルカプト (_SH) 基を有し、 もう一つの末端に保護されていてもよいポリ (エチレンォキ シ ド) (以下、 PEGと略記する場合あり) を主体とするポリマーを緩 衝液に溶解させた後約 1時間 S PRのセンサーチップの金表面の接触さ せたところ、 該表面への非特異的なタンパク質の吸着が上記市販の B I ACORE (商標) のセンサ一チップ表面 CM5に対するのと同等以上 に低減できることを見出して特許出願した (WO 01Z86301参 照) 。
上述の特許第 2815120号によれば、 金属表面へ密に H S— R— Y鎖を詰め込むのに、 Rが少なく とも 10原子の炭化水素基であること が必要であるとされている。 他方、 特許第 3071823号によればビ ォチニル化化合物が、 例えば、 鎖長 4から 15原子の親水性リ ンカ一 (ェ チレンォキシド単位で 1〜3) を有するものを使用することによって、 該化合物による鎖が疎な表面を形成している。 ところが上記 WO 01
/86301によれば、 驚くべきことに、 例えば、 P E G部の分子量が 1000〜 10000であるような長鎖のポリマーを有する点で特許第 3071823号または Roberts et al. に記載のポリマーとは全く異 なる巨大分子がそのメルカプト基を介して水溶液から金属表面に効率よ く結合できることが本発明者の一部により見出された。 すなわち、 WO 01/86301に記載のポリマーでは、 溶液中の親水性 PEO鎖と タンパク質との空間的な反発作用を介して、 表面でのそれらの相互作用 を低下させるように水和された P E 0層はフレキシブルであり可動性で あると当業者に認識されているにもかかわらず、 所望量 (または適度な 密度) の P E 0鎖が表面に安定に結合されているのである。
しかし、 WO 01/86301に記載の表面も B I AC ORE (商 標) のセンサー表面と同様に、 可能であれば、 夾雑タンパク質の非特異 的吸着がさらに低減できることが望まれるであろう。 したがって、 本発 明は、 WO 01/86301に記載の表面の、 例えば、 非特異的吸着 において、 さらなる低減がなされた表面を提供することにある。
発明の開示
理論によって拘束されるものでないが、 上述のように溶液中の P E O 鎖は可動性で立体的に相互に反発しあうためか、 WO 01/8630 1に記載したような結合方法では、 假に、 処理時間を延良してもポリマ 一の結合量を有意に増大させることはできなかった。 しかしながら、 改 めて、 該結合操作を繰り返した場合には、 新たに、 追加のポリマーを同 一表面上へより密に結合できることを見出した。 しかも、 こうして得ら れる表面は、 WO 01/86301に記載された表面に比し、 夾雑タ ンパク質 (例えば、 ゥシ血清アルブミ ン (以下、 BSAという) ) の吸
着が有意に低減できることが確認できた
したがって、 本発明によれば、
( a ) 一般式
A-(CH2)p-L1-(CH2CH20)n-L2-X (I)
[式中、
Aは H S—または
OR1
R20-Si- OR3
を衣しヽ で、ヽ
R1. 尺2ぉょび1^3は独立して(:1〜じ6ァルキル基を表し、
は第一の連結基または原子価結合を表し、
L 2は第二の連結基または原子価結合を表し、 Xは水素原子、 官能基、 保護された官能基またはリガンドを表し、 pは 2〜12の整数であり、
nは平均値として 10以上、 好ましくは、 20〜 10, 000の整数の いずれかである] で表されるポリマーの 1種または 2種以上を、 それら の A部を介して結合したバイオセンサー表面であって、
( b ) 該表 を熱重量分析 (thermogravimetric analysis) にかけ て得られるデータから換算した場合の表面 1 nm2当たりのポリマー鎖 数が 0.1本以上 (好ましくは 0.25本以上) である、
ことを特徴とする表面が提供される。
さらに本発明によれば、 上記のような表面の一部の作製方法であって.
(A) 一般式 ( l a)
HS-(CH2)p-L!— (CH2CH20)n-L2-X (l a)
(式中、 Lh L2、 X、 pおよび nは上記一般式 ( I ) について定義し たのと同義である)
で表されるポリマーの水性溶液を金、 銀、 銅およびアルミニウムよりな る群から選ばれる金属表面と該ポリマーの所定量が該金属表面に結合す るのに十分な条件下で接触させた後、 未結合ポリマ一を洗浄除去するェ 程、
(B) 次いで、 前記工程で結合させたポリマーと同一のポリマーま たは異なるポリマーであって、 nの整数 (すなわち、 エチレンォキシド 単位の数) の平均値が小さいポリマーの水性溶液を、 (A) 工程でもた らされた金属表面と、 該表面に結合するのに十分な条件下で接触させた 後、 未結合ポリマーを洗浄除去する工程、 ならびに
(C) こうして得られる表面に (B) 工程と同様な複数 (一般に、 2〜6回好ましくは 3〜4回) の工程を行うこと、
を含んでなる方法、 も提供される。
さらなる発明として、 上記表面の別の一部の作製方法であって、 (A) 一般式 ( I b)
OR1
R20-Si-(CH2)p-L1-(CH2CH20)n-L2-X (l b)
OR3
(式中、 R R2、 R3、 L,, L2、 X、 pおよび nは上記一般式 ( I ) について定義したのと同様である)
で表されるポリマーの有機溶媒溶液をガラス、 半導体、 セラミ ックス、 金属酸化物および合金酸化物よりなる群から選ばれる材料と該ポリマー の所定量が該材料表面に付着または結合するのに十分な条件下で接触さ せた後、 溶媒を留去し、 そして未結合ポリマーを洗浄除去する工程、 ( B ) 次いで、 前記工程で結合させたポリマーと同一のポリマ一ま たは異なるポリマーであって、 nの整数 (すなわち、 エチレンォキシド 単位の数) の平均値が小さいポリマーの有機溶媒溶液を、 (A ) 工程で もたらされた材料表面と該表面に付着または結合するのに十分な条件下 で接触させた後、 溶媒を留去し、 そして未結合ポリマーを洗浄除去する 工程、 ならびに
( C ) こうして得られる表面に (B ) 工程と同様な複数の工程を行 うこと、 を含んでなる請求項 1に記載の表面のうち、 一般式 ( I ) の A がトリアルコキシシリル基である表面の作製方法、 も提供される。
また、 別法として、 一般式 ( I a ) または ( I b ) における n数が最 初のポリマーのそれより少なく とも 1 0、 好ましくは 2 0異なる 2種以 上のポリマー群の混合物を用いる、 上記表面の作製方法も提供される。 図面の簡単な説明
図 1は、 従来技術に従う表面を包含する各表面に対する B S Aの吸着 試験の結果を示すグラフである。
図 2は、 各表面に対する分子量の異なるペプチドおよびタンパク質の 吸着挙動を示すグラフである。
図 3は、 各表面に対する種々のタンパク質の等電点を有するタンパク 質の吸着挙動を示すグラフである。
図 4は、 各表面上でのリガンドと被検体の相互作用の差違を示すグラ
フである。
図 5は、 各種官能基の表面に対するタンパク質の吸着挙動を示すグラ フである。
図 6は、 PEG表面および SAM (低分子量 EO担持) 表面に対する ピオチンの吸着挙動を示すグラフである。
図 7は、 ストレプトアビジンの検出に際して、 夾雑タンパク質として の B S Aの存在の影響を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
本発明に従う表面における B S Aの吸着の程度を示す [°] は、 例えば、 Jung et al. , Langmuir 1998, 14, 5636に記載され るとおり、 金属界面での屈折率変化により誘起される値であり、 大きな 値は BS Aの吸着量が大きいことを示す。 なお、 この値は測定条件によ り変動する値であるが、 本発明にいう [°] 値は、 後述する 「非特 異的吸着試験」 に従って測定される場合を前提とする。
また、 本発明にいう、 「ポリマーのそれぞれを一般式 ( I ) における Aが HS—であり、 そして— L2— Xが— CH2CH2CH (OCH2CH
3) 2であるポリマーに相当するポリマーとして」 とは、 一般式 (I) に おける Aの定義が H S一以外であり、 そして一 L2— Xが一 CH2CH2 CH(OCH2CH3)3 以外であるポリマーを、 假に、 それぞれを HS— および一CH2CH2CH (0 CH2CH3)2 のポリマ一とした場合の性 状を想定するものである。
一般式 (I) における nの定義について、 「nは平均値として」 とか, または 「nの整数が、 平均値として」 という語は、 通常、 一般式 (I) で表されるポリマーがある一定の分子量分布をもつものとして製造され
ることを考慮したものである。 後述する該ポリマーの製造例によると、 実質的に単分散ポリマーが得られ、 本発明ではかようなポリマーを使用 することが好ましいが、 それらに限定されることなく、 多分散性 (例え ば、 重量平均分子量 (Mw) と数平均分子量 (Mn) の比: MwZMn が 1.6〜 2.0にある) ポリマーであっても、 上記の定義に従うことを 条件に使用できる。
本発明に従う表面は、 主として S PRを応用したバイオセンサー表面 について特に注目しているが、 所謂、 生物学的に特異的に非共有結合を 形成する広く、 リガンドとレセプター、 例えば、 抗原もしくはハプテン と抗体、 糖とレクチン、 基質と酵素、 ホルモンとその受容体、 オリゴヌ クレオチドとそれの相補鎖、 のごとき結合対の形成を介して、 表面に生 じる何らかの変化がトレースできるバイオセンサ一表面であればいかな るものであってもよい。 トレースできるシグナルとしては、 放射能、 接 触角、 沈降、 紫外分光、 表面プラズモン共鳴等の変化であることができ る。
本発明に表面に用いることのできるポリマーは、 殆どがそれら自体公 知のものであり、 Aが H S—を表すポリマ一については、 上記 WO 0 1/86301に記載されており、 一般式 (l a) HS— (CH2)p-L!— (CH2CH20)n-L2-X (l a)
(式中、 L2、 X、 pおよび nは上記定義したとおりである) で表され、 L,、 L2、 Xは、 それぞれ製造方法によって、 最適な基が選 ばれ得る。 1^および L2は、 独立して原子価結合または各種連結基であ ることができる。 の具体的な連結基としては、 一 COO— (この基
は、 酸素原子を介してエチレンォキシド単位に結合する) 、 — 0—また は一 S—が代表的なものである。 L2の具体的な連結基は、 _(CH2)q 一 (ここで、 qは 2〜6の整数である) である。
Xは、 水素原子、 官能基、 保護された官能基であり、 官能基は、 上記 のリガンドを共有結合しうるいかなる基であってもよい。 リガンドがタ ンパク質またはヌクレオチドである場合を例にとれば官能基または保護 された官能基としては、
一 N:
、Rb 、Rc または— CO OHであり、 R bは独立して水素原子または d— C 6アル キルを表し、 ま独立して d— Ceアルキルォキシ (ケタールもしく はァセタール) または 2つの Reがー緒になってォキシ (上記基は、 全 体としてアルデヒ ドもしくはホルミル基 : 一 CHOとなる) であること ができ、 あるいは尺。は、 C ,— Ceアルキルで置換されていてもよいェ チレン基 (環状ケタールを形成する) であることができる。 特に、 アル デヒ ド (もしくはホルミル) 基または保護されたアルデヒ ド (もしくは ホルミル) 基 (ケタール基) が、 都合よく使用できる。 Ct— C6アルキ ルは、 メチル、 ェチル、 n—プロピル、 i s o—プロピル、 n—ブチル、 s e c—プチル、 n—へキシル等であるが、 メチルであることが好まし い。
上記の WO 1/86301に記載の代表的な製造方法を反応スキー ムで示せば、 次のとおりである。
反応スキーム
XaO— (Cl CHsO)!^ -CH2CH20® M ®
0
II 還 兀ヽ
XaO- (CH2CH20)n-CCH2CH2SS-
0
II
XaO- (CH2CH20)n-CCH2CH2SH
(なお、 上記各式中、 Xaは X_L2であり、 その他の略号は、 上記と 同じ意味を有する。 )
また、 別法として、 反応スキーム 2、 具体的には後述する方法に従つ て上記一般式 (l a) のポリマーを製造することもできる。
XaO-(CH2CH2O)n-CH2CH2O0M®
n S
Π ® 11一
XaO- (CH2CH20)n-CH2CH20-S-CH3 m "c— 0CH2CH3 ヽ
11 II
0
Xa0-(CH2CH20)n-CH2CH20-S-C0CH2CH3
CH3CH2CH3NH2\ xao(CH2CH20)n SM-CH2CH2-SH
Aがト リアルコキシシリル基である場合の一般式 ( l b) : OR1
R20-Si-(CH2)p-L,-(CH2CH20)n-L2-X (I b)
OR3 (式中、 R R2、 R3、 L,、 L2、 X、 pおよび nは上記定義したと おりである)
で表されるポリマーも、 殆どがそれ自体公知である。
具体的には、 R R
2および R
3について定義する C C
6アルキル は、 R
bおよび こついて定義した C!一 C
eアルキルと同じ意味を有す る。 一般式 ( I b) においても、 一 Xは、 上記一般式 ( l a) と同義で あることができるが、 L,は、 例えば、 一 0—、 一 NHCOO— (酸素 原子を介してエチレンォキシド単位に結合する) または一 N(R
d)_ (R
dは d— C
6アルキルである) であり、 L
2は一(CH
2)
7—または一 C O(CH
2)
r- (yは 2〜6の整数である) である。 かようなポリマ一
は、 例えば、 以下の反応スキームに従って都合よく製造することができ る o 反応スキーム 3 :
— (CH
2CH
20)
n_
1-CH
2CH
20
e Μ
Φ
OR1
0CN-(CH2)p-Si-0R2 0 0R1
OR3 II I
X-L2-(CH2CH20)n-CNH(CH2)p-Si-0R5
0R; 反応スキーム 4 :
Ru、 V
OR1 Rd
R20-Si-(CH2)p-N-CHzCH2-(0CH2CH2)n-0 M®
OR3
0
II
(CH2)S\0
、
, Z
II
0 \
OR1 Rd 0
I I II
R20-Si-(CH2)p-N-CH2CH2-(0CH2CH2)n— 0-C(CH2).C00H
OR3
反応スキーム 5 ø θ
CH2 = CH- CH0 Μ V
θ θ
CH2 = CH-CH20CH2CH— (0CH2CH2)n-0 Μ
0
II
CH 2 = CH _ CH20CH 2CH— (0CH2CH2)n-C(CH2) - C00H
OR1
HSi-0Rz
OR3
H2PtCle
OR1 0
I II
Rz0-Si-CH2CH2CH20CH2CH2— (0CH2CH2)n— C(CH2)„— C00H
OR3
(以上の各式中の略号は、 Mはカリウム、 ナトリウム、 リチウムを表 す。 )
以上のリビング重合工程は、 それ自体公知の反応条件の下で実施でき る (例えば、 WO 96/32434. WO 97/06202, 等を参 照されたい。 ) 。 その他は、 後述する実施例に従い、 または記載されて いる条件を改変して実施できる。 以上のポリマ一を用いる表面の形成は、 限定されるものでないが、一
般式 (I a) のポリマーを用いる場合は、 表面の支持体 (SPRセンサ 一では、 金属薄膜) は、 金、 銀、 銅およびアルミニウム等の金属から選 ぶのがよい。 他方、 一般式 (l b) のポリマーを用いる場合は、 支持体 は、 ガラス、 半導体、 セラミ ック、 金属酸化物および合金酸化物で、 湿 分等により、 表面にヒ ドロキシル基を形成し、 ト リアルコキシシランと 共有結合を形成するものから選ぶのがよい。
本発明に従う表面は、 上記一般式 ( I a) または ( I b) のポリマー が、 それらを含有する溶液を用いて、 複数回の結合処理を行うか、 また はエチレンォキシ ド単位 (平均値) の大きさの異なる 2種以上のポリマ —を含有する溶液を用いる結合処理を行うことにより、 ほぼ同一のポリ マ一の一度の結合処理ではほぼ一定の飽和結合基となるのにもかかわら ず、 かかる一度の処理による結合量に比べ有意に結合量の増加した状態 となっている。 一般式 (I a) のポリマーを用いる場合は、 適当な緩衝 化した水溶液にポリマーを溶解し、 こうして得られたポリマー溶液を適 当な温度、 例えば周囲温度 (20〜37°C) で支持体表面と接触させる ( ポリマ一溶液は用いるポリマーの分子量により、 最適濃度が異なるが、 通常、 0. 1〜5mgZm l、 好ましくは lmgZm l濃度として、 接 触はポリマー溶液と支持体表面とを接触させておき数 10分から〜数時 間ィンキュベー 卜することによって行う。
こうして、 ポリマーの一定量が支持体表面に結合 (おそらく、 化学結 合) する。 こうして得られる表面を洗浄することにより未結合のポリマ 一等を表面から洗浄除去する。 洗浄は、 未結合のポリマ一を効率よく除 去できるものであればいかなる洗液でもよいが、 希薄 N a OH水溶液を 用いるのがよい。 こう して洗浄が終了した後、 得られた表面に、 改めて-
ポリマー溶液を用いるポリマ一の再度の結合処理を行う。 この再度の結 合処理は、 最初の結合処理および洗浄処理と実質的に同一であってもよ い。 好ましくは、 この再度の結合処理および洗浄処理はさらに、 1回以 上行うことが好ましい。 この各再度の結合処理に用いるポリマ一は、 最 初の処理に用いたものと同一であることができるが、 ポリ (エチレンォ キシド) ブロックの分子量が最初のものと、 それぞれ異なっていてもよ い。 異なる場合は、 好ましくは、 再度の結合処理に用いるポリマーの方 が最初の結合処理に用いるものより、 分子量が小さくなるように選ぶの がよい。 各再度の結合処理ごとに、 徐々に分子量が小さくなるように選 ぶこともできる。 限定されるものでないがポリ (エチレンォキシ) ブロッ クの分子量を基準に、 最初の結合処理と再度の結合処理とにそれぞれ用 いるのに好ましい組み合わせとしては、 一般式 ( I ) または ( I a ) の nが平均値として、 5 0〜 1 0 0 0 0のいずれかの整数であるポリマー で最初の結合処理を行い、 各再度の結合処理を、 最初に用いたポリマ一 より、 エチレンォキシド単位の数が 1 0以上小さい、 好ましくは 5 0位 上小さいポリマーを用いて行うことが好ましい。 こうして、 該表面を熱 重量分析 (例えば、 W. P. Wuelfing et. al., J. Am. Chem. So 1998, 120, 12696— 12697参照) にかけて得られるデータから換算した場合の 値が 0 . 1本 Z n m 2以上となる表面が都合よく得られる。
一般式 ( I a ) のポリマ一に代え、 一般式 ( I b ) のポリマーを用い る場合には、 ポリマーは、 好ましくは無水の有機溶媒 (例えば、 トルェ ン等のポリマー易溶性有機溶媒) に溶解した溶液を用い、 例えば、 ガラ ス、 チタン、 アルミニウム等の表面 (必要があれば、 水酸化処理した後) へのボリマーの結合または付着処理を行った後、 溶媒を留去した後、 表
面に対して未反応のポリマーを該有機溶媒を用いて洗浄除去することの 他は、 一般式 ( I a ) のポリマーを用いる場合と同様に処理することに より、 目的の表面を形成できる。
こう して形成された表面は、 1回のポリマーの結合処理で得られる表 面に比べ、 より高密度なポリエチレングリコール (またはポリ (ェチレ ンォキシド) ) の高分子ブラシが構築できバイオセンサー表面へ非特異 的吸着を起こす試料中の夾雑タンパク質の吸着を著しく低下させること ができる。 さらには、 より精密な生体分子間特異的相互作用の検出を可 能にするであろう。
以下、 具体例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明するが、 これ らの例に本発明を限定することを意図するものでない。
ポリマーの製造例 1 : ァセタール— PEG— SH (Mn = 2000、 5
000) の合成 (反応スキーム 1参照) -CH2CH2-SH
アルゴン置換した受器中に蒸留テトラヒ ドロフラン (THF) 20m 1 と開始剤 3, 3—ジエトキシ一 1—プロパノ一ル 0.2 mm 0 1 (0. 032m l ) を加え、 さらに当量の力リウムナフタレンを加えて 1 5分 撹拌することでメタル化を行った。 その後、 エチレンォキシド 22. 7 mm 0 1 (1, 135m l ) を加え、 室温で 2日間撹拌し重合させた。 停止剤として N—スクシンィ ミ ジル一 3— (2—ピリジルチオ) プロピ ォネート (S PDP) 0.4mmo 1 (0. 125 g) を少量の蒸留 TH Fに溶解させ、 この溶液に対し前記の重合反応溶液を等圧滴下漏斗にて
氷冷下で滴下した。 一晩撹拌して停止反応を行った後に、 飽和食塩水洗 浄 · クロ口ホルム抽出、 エーテル再沈、 ベンゼン凍結乾燥を経て、 ポリ マーを回収した。 回収したポリマ一は
1 H— N MRにて構造を確認し、 末端に導入された S P DP残基の量は、 2—メルカプトエタノールと反 応させることによって遊離した 2—チォピリ ドンの UV吸収によっても 確認した。
PEG-S S-Py 2.0x l O—2mmo 1 ( 100 m g ) を蒸留水 4 m 1に溶解させ、 さらに 5倍 mo 1量のジチォトレィ トーノレ 0. lm mo 1 (15.42mg) を加え、 室温で 30分撹拌した。 反応後、 飽 和食塩水洗浄 · クロロホルム抽出 ·エーテル再沈を経て P E G部の Mn = 5000のポリマー (以下、 P E G 5000と略記する) を回収した ( 回収したポリマーは1 H— NMRによって構造を確認し、 さらに 2—ピ リジルジスルフィ ド (2— PDS) との反応により、 末端 SH基の定量 を ί亍つた。
さらに、 上記エチレンォキシドの仕込み量を、 減少させたこと以外、 実質的に上記の操作を繰り返し、 PEG部の Μη=2000のポリマー を得た。 なお、 Mn値は P E Gセグメ ントの分子量を表す。
ポリマーの製造例 2 : ァセタール一 PEG— SH (Mn = 2000. 5
000) の合成 (反応スキーム 2参照)
アルゴン置換下、 室温のフラスコ中、 に溶媒として TH F 60 m 1を 入れ、 これに開始剤 3, 3—ジェ卜キシ一 1—プロパノール lmm 0 1
と K_ナフ夕レン (0.3168mo l Z l ) 1 mmo 1を撹拌しなが ら加え、 メタル化を行った。 充分撹拌後、 エチレンォキシ ドを 112. 99 mmo 1加え水冷しながら二日間撹拌し、 重合を行った。
二日間撹拌後、 この溶液に再メタル化を目的として K—ナフタレン 0. 5 mm o 1 と トリェチルァミ ン 4.5 mm o 1を加えた。 ァルゴン置換 下のナスフラスコ中に THF溶媒 10m 1と停止剤として、 メチルスル ホニルクロライ ド 3.5 mmo 1を溶解させ、 これに等圧滴下漏斗を用 いて P E G重合溶液を滴下した。 滴下後、 ジェチルエーテル再沈により 回収し、 その後、 クロ口ホルムと飽和食塩水で抽出を行い、 無水 Na2 S 04により脱水、 ベンゼン凍結乾燥にて回収した。
減圧乾燥された o—ェチルジチォ炭酸ナトリウム 0.44 mmo 1に アルゴン下で溶媒として TH F 50m 1とジメチルホルムアミ ド (DM F) 3.6m 1を加え撹拌した。 この溶液を減圧乾燥させたァセタール -PEG-MS 0.2 gに加え、 室温で 4時間反応させた。 反応後、 ク ロロホル と飽和食塩水で抽出を行い、 無水 N a 2S 04により脱水、 ジ ェチルエーテル再沈により精製、 ベンゼンを用いる凍結乾燥にて回収し た。 更に、 減圧乾燥させたァセタール一 P E G—ジチォカルボナ一 ト 0.1 gにアルゴン下で溶媒として THF l Om lを加えた、 ここに n 一プロピルアミ ンを 1.4M THF溶液になるように加え、 室温で 3時 間撹拌し反応させた。 反応後、 クロ口ホルムと飽和食塩水で抽出を行い、 無水 N a 2S 04により脱水、 ジェチルエーテル再沈により精製、 ベンゼ ン凍結乾燥にて、 P E G部の Mn = 5000のポリマー (以下、 PEG 5000と略記する) を回収した。 回収後、 'H— NMRにより構造解 析、 G P C測定を行い、 上記のァセタール— P EG— SHが得られたこ
とを確認した。 さらに、 上記エチレンォキシドの仕込み量を、 減少させ たこと以外、 実質的に上記の操作を繰り返し、 PEG部の Mn = 200 0のポリマーを得た。 このポリマーを、 以下、 P EG 2000と略記す る。 なお、 Mn値は P EGセグメントの分子量を表す。
例 1〜8 : J 1センサ一チップ上への P E Gの固定化
上記製造例に従って得られる各ポリマーの 1.0mg/m l濃度溶液 (溶媒 : lM N a C l含有 50mM リ ン酸バッファー (pH 7.3) ) を 37°C下で、 流速 20 1 /分により 20分間 J 1センサーチップ (B I A COREから入手) の金表面に流した。 その後、 表面を 5 OmM N a OH溶液で流速 20 / 1 /分により 30秒間 2回洗浄した。 この一 連の操作を固定化実験一回とし、 それぞれ、 以下に示す概要でポリマー の固定化を行い、 各表面を得た。
例 1 (参考) : PEG5000 (1) "'PEGSOOOを金表面に固定化。 固定化実験回 数は 1回。
カツコは回数表示。
例 2 (参考) : PEG2000 (1) •••PEGZOOOを金表面に固定化。 固定化実験回 数は 1回。
例 3 (本発明): PEG5000 (1) +PEG2000 (1) · · 'PEG5000を金表面に 1回 固定化。 その後、 PEG2000を金表面に 1回 固定化。
例 4(本発明): PEG5000 (1) +PEG2000 (3) · · 'PEG5000を金表面に 1回 固定化。 その後、 PEG2000を金表面に 3回 固定化。
例 5 (本発明): PEG5000 (1) +PEG2000 (5) · · 'PEG5000を金表面に 1回
固定化。 その後、 PEG2000を金表面に 5回 固定化。
例 6 (本発明): PEG5000 および PEG2000 (1) ·'·ΡΕΟ5000 および PEG20
00の混合物溶液を金表面に 1回固定化。 例 7(本発明): PEG5000 (4) " £65000を金表面に固定化。 固定化実験 回数は 4回。
例 8 (本発明) : PEG5000 (4) +PEG2000 (3) · · 'PEG5000を金表面に 4回 固定化。 その後、 PEG2000を金表面に 3回 固定化。
非特異的吸着試験 (その 1)
例 1〜8で得た J 1センサ一チップ、 未処理 CM 5 (カルボキンメチ ルデキストラン (B I A COREより入手) を J 1センサーチップに吸 着した) およびブロック CM 5 (カルボキンメチル基をブロッキングし た) の各表面に l mgZrn l濃度のゥシ血清アルブミ ン (B SA) 溶液 [溶媒 : 0. 15M N a C l含有 10mM HE P E S緩衝液 (p H 7. 4) + 3 mM EDTAおよび 0.005% ( v/v) サーファクタント P 20] を 25°Cで、 流速 20 1 /分にて 10分間流した。
B S A溶液注入終了 3分後の表面への B S Aの結合量を各表面におい て測定した。 なお、 未処理 CM 5は市販のままの状態で用いたものであ る。 他方、 ブロック CM 5は、 ① NH SZE D C混合溶液を 10〃 1 Z 分の流速で未処理 CM 5表面に 10分間流し、 次いで②ェタノールァミ ン溶液を 10 β 1 分の流速で 10分間流し、 最後に 50 mM N a 0 H溶液を 1 0 1 分の流速で 1分間流す洗浄を 3回行ってカルボキシ メチル基をプロックしたものである。 結果を図 1に示す。
図 1より、 本発明に従う表面は、 BSAの吸着量は、 市販の未処理 C M 5およびブロック CM 5、 さらには例 1 (参考) および例 2 (参考) に比べて著しく低下していることがわかる。
非特異的吸着試験 (その 2) (BSA以外のタンパクについての評価) この試験は、 P E G 5000のみを固定化した表面および P E G 50 00と 2000の混合ブラシ表面におけるタンパクの非特異的吸着量の 比較を行うことを目的として実施した。
(方法 ·結果)
ァセタール— PEG— SH (Mn = 5000) を 1回固定化した表面、 ァセタール一 P EG— SH (Mn = 5000) を 1回固定化した表面に さらに分子鎖長の短いァセタール一 P E G— S H (Mn = 2000) を 3回固定化した表面をそれぞれ精製する。 以上の表面に、 HEPESバッ ファー (ビアコア製; 0.15M_Na C l含有 1 OmM HE P E Sバッ ファー (pH7.4) に 3mM EDTAおよび 0.005% (v v) s u r f a c t a n t P 20を加える。 ) で調整した 0.1 m g Zm L のべプチドまたはタンパク質の溶液を、 流速; 20 // LZ分、 反応時間 ; 10分、 温度 25 °Cで流した。 それぞれの溶液注入終了後、 HEPE Sバッファーを 3分間流し、 その後、 表面へのペプチドまたはタンパク の吸着量を各表面において測定した。 選択したぺプチドおよびタンパク 質は表 1に示したもの (フイブリノ一ゲン、 BSA、 ミオグロビン、 リ ゾチウム、 ブラジキニン、 RGDS (アミノ酸の一文字表記による) を 使った。 コントロールとして、 CM表面 (B I A c 0 r e市販品) を用 いた。 そのまま使用したもの (n o rma 1— CM) 、 カルボキシ末端 をェタノ一ルァミ ンでブ口ッキングしたもの (b 1 0 c k - CM) の 2
種用意した。 結果を図 2に示す。
表 1. 夕ンパク質およびべプチドのキャラクタリゼーシヨン 夕ンパク質またはべプチド MW [一] P I [一]
フイブリノ一ゲン 340, 000 6.0
B S A 68, 000 4.8
ミオグロビン 17,600 6.8
リゾチォム 14, 300 10.9
ブラジキニン 1,060 12.5
RGD S 433 6.7 ァセタール一 P EG— SH (Mn = 5000) を 1回固定化した表面 では、 B S Aなどの分子量の大きい生体分子の非特異的吸着量は抑制さ れたが、 RGDSなどのペプチド (低分子量のもの) の非特異的吸着は B SAより多かった。 これは分子量が小さいため、 P EGブラシ間に入 り込む確率が高く、 非特異的吸着量が増えたためと思われる。 しかし、 分子量 2000の P E Gをさらに表面に導入することによって、 表面の P EG密度を増加させた表面では、 ぺプチドの非特異的吸着量は大幅に 減少した。 P E Gブラシ間の隙間を鎖長の短い P E Gで埋めることによつ て、 低分子量物質の非特異的吸着を抑制した結果といえる。 また、 ブロッ キングした CM表面よりも、 P EGブラシ表面はべプチド · タンパクの 非特異的吸着を抑制した。 さらに、 タンパクの等電点と非特異的吸着の 関係を図 3に示す。 この結果、 n o rma 1一 CM表面は、 カルボキシ ル基を有しているため、 タンパクの等電点の影響による非特異的吸着量
の変化が生じたが、 P E Gブラシ表面および b l o c k— CM表面では 等電点の影響はなかった。 以上のことより、 P EGブラシ表面における タンパクなどの生体分子の非特異的吸着抑制は、 分子量 (大きさ) 、 形 状、 荷電などの要因も考えられるが、 P E Gブラシの密度に大きく依存 しているといえる。
混合ブラシ表面における分子認識能への影響 (センサー感度への影響) の評価試験
この試験は、 混合ブラシ表面において、 長鎖長にリガンド物質を結合 させたときの分子認識能、 短鎖長にリガンド物質を結合させたときの分 子認識能のデータを示す目的で行った。
(方法 ·結果)
各表面の作製 :
(a) ピオチン化した分子量 2000の P EGをほぼ同等量導入した 複数の表面を調製し、 その一部はァセタール一 P E G 5000— SHを 導入し、 混合ブラシ表面を調製した (ピオチン一 P E G 2000表面お よびピオチン一P EG 2000 + PEG 5000表面) 。
(b) ピオチン化した分子量 2000の P EGをほぼ同等量導入した 複数の表面を調製し、 その一部はさらに、 ァセタール一 P E G 2000 - S Hを導入することによって、 ブラシ密度を増加させた表面を調製し た (ピオチン一 P EG 2000表面およびピオチン一 P EG 2000 + P EG 2000表面) 。
(c) ピオチン化した分子量 5000の P EGをほぼ同等量導入した 複数の表面を調製し、 その一部はさらに、 ァセタール一 P EG 2000 —SHを導入し、 混合ブラシ表面を調製した (ピオチン一 P EG 500
0表面およびピオチン一 P E G 5000 + P E G 2000表面) 。
分子認識能:
その後、 各 P E Gブラシ表面において同濃度のストレブトァビジン溶 液 (0. 1 m g/m 1 ) を流し、 表面におけるストレプトアビジン結合 量を測定した。 その結果、 ( a) ァセタール— P EG 5000を導入す ることによって、 P EGブラシ表面へのストレプトァビジン結合量が減 少した (図 4 (a) 、 (b) および (c) 参照) 。 このことから、 鎖長 の長い P EG分子を表面に導入することにより、 リガンドー被検体相互 作用を阻害する働きがあることが示唆された。 つまり、 表面の構成が被 検体の認識能に影響を及ぼすことがわかった。 しかし、 (b) 鎖長が同 じァセタール一 P E G 2000を導入し P EGブラシ密度を増加させた 表面ではストレプトアビジン結合量が増加した。 理由として、 P EG鎖 の密度が増えたことで高分子鎖が表面に対して垂直方向に伸びやすくな り、 被検体との結合性 (分子認識能) が上がったためと思われる。 (c) bと同様、 鎖長の短いァセタール一 P E G 2000を導入することによつ て、 P E G鎖の密度が増加したことにより、 ストレプトアビジンの結合 量が増加した。
また、 (b) の場合において、 B S Aの非特異的吸着量を比較すると、 △ 6> = 24. 3 x 1 0 (ピオチン一 P E G 2000表面) 、 厶 θ = 1 5. 2 x 1 0— 4 (ァセタール一 P EG 2000とビォチン一 P E G 20 00の複合表面) [° ] と、 混合ブラシ表面の方が少なく、 非特異的吸 着量の抑制からも、 P E G密度が増加したと考えられる。 以上の結果よ り、 P E G表面に構築された構造により、 リガンドー被検体相互作用を コントロールできることが認められる。
非特異吸着抑制能についての従来技術表面の評価 (比較)
従来技術としては、 上述の Roberts et al.,および Holmlin. et al. , について追試した。
この試験 S AM— E 0利用表面 ; EOセグメ ント 9の EO鎖を SAM 上に固定化した表面の非特異的吸着量を評価する目的で
(方法 ·結果)
自己組織化単分子層 (SAM) を利用した表面におけるタンパクの非 特異的吸着抑制能について検討した (Roberts et al. ,の追試) 。 10 —カルボキシー 1—デカンチオールを金表面に固定化し、 その上に、 Ν Η2— ΕΟ„(η = 9)— ΟΗを結合させた。 この表面に、 lmgZmL— B S A溶液を流した際のタンパクの非特異的吸着量を測定した。 その結 果、 SPR角度変化は 15.8 x 10—4d e gであり、 b l o c k— C M表面 (22.6 x 10— 4 d e g) 、 P EG 2000 (1) 表面 (19. 6 x 10— 4d e g) レベルの非特異的吸着抑制能を示した。 し力、し、 P EG 5000および 2000の複合表面 (5 x 10—4d e g以下) の方 が B S Aの非特異的吸着を有意に抑制した。 P E G鎖末端の官能基の変換方法
上記のポリマー製造例 1および 2に示される、 例えば、 ァセタール一 P EG— SHは、 支持体表面に固定された状態でァセタール (またはァ セタール化ホルミル基) を、 例えば次の順で容易にアルデヒ ド (もしく はホルミル) 基、 アミ ノ基、 さらにはカルボキシル基に変換できる。
(1)
ァセタール一 P EG— [S u r f ·]— CHO— P EG— [S u r f -] (2) (3)
— NH2_ P E G-[S u r f -]— C OOH - P EG— [Su r f -]
[S u r f -] :支持体表面
(1) シャーレにァセタール一 P E G _ S Hを固定化した金基板を入れ、 0.1N HC 1 (pH 2) 溶液に浸し 3時間穏やかに振盪した。 反応終了後、 蒸留水にて洗浄した。
(2) シャーレに基板を入れ、 20 OmM酢酸アンモニゥム溶液 (溶媒: 150 mM N a C 1含有 5 OmM PBS (p H 7.4) ) に浸し て 1時間穏やかに振盪し、 その後 30分おきに 200 mMジメチ ルァミ ンボラン溶液 (溶媒: 15 OmM N a C 1含有 5 OmM PBS ( p H 7.4 ) ) を 3回にわけて加えた。
反応終了後、 150 mM Na C l含有 50mM PBS (p H
7.4) にて洗浄した。
(3) 0.7M無水コハク酸溶液 (溶媒: THF) と 卜リエチルァミ ンを 等モル混和し、 シャーレに入れた基板をこの混合溶液に浸して一 晚 (OZN) で穏やかに振盪した。
反応終了後、 THFにて洗浄後、 150 mM Na C l含有 50 mM PBS (p H 7.4) で洗浄した。
非特異的吸着抑制能に関する P E G鎖末端官能基の影響の評価試験
上記の変換方法により P E G鎖末端官能基を変換させたときのタンパ ク質非特異的吸着量を調べた。 上述の試験においては、 単独タンパク質 溶液での結果であつたが、 より実践的な使用を考え、 この試験では、 牛 血清 (混合タンパク質溶液) を用いた。 さらに、 ここでは、 ビアコア製 以外の金チップ表面を P E G化した際のデータ [日本レーザー社の装置 (S PR-MAC S) を用いたデータ] を記載する。 PEG化チップの 非特異的吸着抑制能はビアコア製以外の場合でも同じ結果を示すことを
意識してのものである。
(方法 ·結果)
混合ブラシ表面の作製 (ビアコアではフローで固定化したが今回はディ ッ ビング方式をとつた)
1M— N a C 1含有 5 OmM PBS (p H 7.4) に溶解した lmg 1ァセタール一 P E G— S H (Mw= 5000) 溶液を金基板に滴 下し、 30分室温で放置した。 その後、 1M NaC l含有 50mM P BS (p H 7.4) で洗浄した後、 50mM NaOH溶液を滴下し 30 秒放置し、 再び 1M NaC l含有 50mM PBS (pH 7.4) にて 3回洗浄した。 これをもう一度繰り返す。 次に、 1M Na C 1含有 5 OmM PBS (p H 7.4) に溶解した lmgZm l M e 0- P E G — SH (ァセタール末端ではなくメ トキシ末端の PEG; 反応性なし) (Mw= 2000) 溶液を、 P EG 5000を 2回固定化した基板上に 滴下し 3 Om i n室温で放置した。 その後、 1M Na C l含有 50m M PBS (pH7.4) で洗浄した後、 5 OmM NaOHを滴下し 3 0秒放置し、 再び 1M Na C l含有 50 mM PBS (p H 7.4) に て 3回洗浄する。 これを 2回繰り返した。 こうして、 PEG 5000 (2) +PEG 2000 (3) の修飾基板を作製した。
末端官能基を変換した混合 P EGブラシ表面におけるタンパク質の非特 異的吸着量の評価試験
以下の表面上に、 25°C、 1 SmgZmLのゥシ胎仔血清 (F B S) 溶液 (溶媒 ; 0.15M— NaC l含有 50mM PBS (p H 7.4) ) を 15 / LZ分の流速で 4分間、 3回流し、 その後バッファー (0.1 5M— Na C l含有 50mM PBS (pH 7.4) ) を 5分間流した際
のタンパク質の吸着量を調べた。 結果を図 5に示す。
(使用表面) ① ァセタール一 PEG表面
② C HO— P E G表面
③ NH2— P E G表面
④ C OOH— P E G—表面
⑤ COOH— PEG—表面 (ブロッキング)
⑥ SAM (4, 4'—ジチォ二酪酸) 表面 (COOH末 端表面)
⑦ SAM (4, 4'—ジチォ二酪酸) 表面 (COOH末 端表面) (プロッキング)
⑧ 金表面 (未修飾表面)
①〜④表面 :上記の変換方法参照
⑤表面 : 1_ェチル一 3— ( 3—ジメチルァミノプロピル) カルボジィ ミ ド (EDC) 25mgを lmlの蒸留水に溶解し、 N—ヒ ドロキシス クシンイ ミ ド (NH S) 15 mgを 9m 1のジォキサンに溶解し、 混合 する。 この混合溶液に基板を浸し、 穏やかに室温で 30分振盪し活性化 させた。 その後基板を S PR装置にセッ トし、 1Mエタノールァミ ン (p H 8.6) を 25°C、 流速 5 1 Z分で 12分間、 2回インジ クショ ンしてプロッキングした。
⑥表面: シャーレに金基板を入れ、 lmM4, 4'—ジチォ二酪酸溶液 (溶 媒 ; エタノール) に浸し、 30分間穏やかに振盪する。 反応終了後、 ェ 夕ノ一ルで 2回洗浄した。
⑦表面 :⑤、 ⑥表面参照
低分子量物質 (ピオチン : Mw= 244) の検出試験
F B Sの吸着量の評価に用いた表面、 ④ (COOH— P EG—表面) 、 ⑥ (SAM (4, 4'—ジチォ二酪酸) 表面 (COOH末端表面) ) を用 いて、 ス トレプトアビジンを表面に固定化し、 D—ピオチンの検出を行つ た。
(方法 ·結果)
EDC 25mgを lm 1の蒸留水に溶解し、 NHS 15mgを 9m 1のジォキサンに溶解し、 混合した。 この混合溶液に各基板 (上記の④ (COOH— PEG—表面) 、 ⑥ (SAM (4, 4 '―ジチォ二酪酸) 表 面 (COOH末端表面) ) ) を浸し、 穏やかに室温で 30分振盪し活性 化させた。 その後、 基板を S PR装置にセッ トし、 25°C、 5〃 1 Z分 の条件下で 0. lmgZm 1ストレブトァビジン溶液 (溶媒 : 150m M NaC l含有 50mM PBS ( H 7.4) ) を 12分間、 2回ィ ンジヱタ トした。 その後、 1Mエタノールァミ ン (pH8.6) を 1回 インジヱクシヨン ( 12分間) して末反応の活性化エステルをブロッキ ングした。
これらのストレブトァビジン固定化表面に lmgZm 1 D—ビォチ ン溶液 (溶媒 : 150 mM Na C l含有 50mM PBS (p H 7.4) ) を 2回インジヱクシヨン (12分間 X 2回) し、 その後、 バッファー を 5分間流した後、 表面へのピオチンの結合量を測定した。 結果を図 6 に示す。
図 6から、 両表面とも低分子量であるピオチンの検出が可能であるこ とが認められる。 しかし、 表面への非特異的吸着抑制能は P E Gブラシ 表面の方が高い。
混合タンパク溶液中での分子認識能について B S A共存下におけるスト
レブトァビジンの検出による評価試験
(方法 ·結果)
ァセタール— PEG— SH (Mw= 5000および 2000) で構築 した複合表面におけるストレブトァビジンの認識能を検討した。 今回は、 PEG5000と 2000を同時に金表面に導入した P E G 5000お よび 2000 (2) (2 : 2) 表面を用いた。
P EGを表面に固定化した後、 0.0 IN HC 1溶液を表面に流し、 ァセタール基をアルデヒ ド基に変換した。 その後、 ピオチンヒ ドラジド 溶液 (溶媒; 50 mM PBS (pH7.4) ) を表面に流すことでピオ チンを結合させた。
ビォチン一 PEG表面に、 それぞれ、 ( i) l g/L— BSA+0. lmgZL—ス トレプトアビジン溶液、 (ii) O. lmgZL—ス トレ ブトアビジン溶液、 (ffi) 1 gZL— B S A溶液を流し、 表面への結合 量を測定した。 その結果、 B S Aとストレプトアビジンの濃度差が 10 000倍あるにもかかわらず、 ピオチン P EG固定化表面は、 ストレブ トァビジンのみを認識し、 高い分子認識能を有していることが示せた (図 7 (a) 参照) 。 また、 aのグラフの B S Aとストレブトァビジン混合 溶液を流した際のグラフの数値 ( i) から B S Aのみを流した際の値 (m ) を引いた数値、 つまり (i) ― (m) の値をグラフにしたところ、 ス トレブトアビジン溶液を流した際のグラフとほぼ一致した (図 7 (b) 参照) 。 この結果からも、 PEGブラシ表面は高い分子認識能を有して いるといえる。
産業上の利用可能性
本発明によれば、 生物由来のタンパク質の非特異的吸着が顕著に抑制
されたセンサ一チップ表面が提供される。 したがって、 本発明はバイオ アツセィ機器製造業、 臨床診断業等で利用可能である。