明 細 書
プラズマ成膜装置
技術分野
[0001] 本発明は、プラズマ成膜装置、特にシート状にしたプラズマで成膜するシートプラズ マ成膜装置に関する。
背景技術
[0002] シートプラズマ成膜装置は、円柱状のプラズマビームを挟んで同極同士を対向させ て配置した永久磁石の反発磁場により円柱状のプラズマをシート状に変形し、この変 形されたシート状のプラズマ(以下、シートプラズマと!/、う)をイオン源としてスパッタリ ングを起こさせ、成膜する装置である。
[0003] このようなシートプラズマ成膜装置として、シートプラズマを生成するシートプラズマ 変形室と、該シートプラズマ変形室に連結された表面処理室とを備え、シートプラズ マ変形室と表面処理室とを、互いに電気的に絶縁させ、かつ、互いに異なる電位とな るように構成されたシートプラズマ成膜装置が開示されている (例えば、特許文献 1)
[0004] 図 5は、特許文献 1に開示されている従来のシートプラズマ成膜装置の構成の概略 を示す断面図である。
[0005] 図 5に示すように、この従来のシートプラズマ成膜装置は、圧力勾配型プラズマ源と して動作する陰極部 51と、円柱状のプラズマをシート状に成形するシートプラズマ成 形室 52と、スパッタリングを行う表面処理室 (スパッタリング室) 53と、スパッタリング室 53の内側に配置され、シート状のプラズマを受けるための陽極部 56と、シートプラズ マ成形室 52の外側に配置された一対の永久磁石 54a、 54bと、スパッタリング室 53 の外側に配置された一対のコイル 55と、を有している。この装置では、陰極部 51で 発生した円柱状のプラズマが、シートプラズマ成形室 52で、永久磁石 54a、 54bによ つて形成される磁場によりシート状のプラズマに変形され、変形されたシートプラズマ は、コイル 55の磁場によりスパッタリング室 53内(正確には、陽極部 56)に導かれるよ うに構成されている。
[0006] そして、特許文献 1に開示されて!ヽるシートプラズマ成膜装置は、シートプラズマ変 形室 52とスパッタリング室 53とを互いに電気的に絶縁し、互いに異なる電位となるよ うに構成されている。このため、シートプラズマ成形室 52に電流が不可避的に流れる ことがないので、電力の損失が生じない。また、電力の損失が生じないことから、スパ ッタリング室 53に導入されたシートプラズマの密度が低下するようなことなぐ成膜す ることがでさる。
特許文献 1:特許第 2952639号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] し力しながら、特許文献 1に開示されて!、るシートプラズマ成膜装置では、シートプ ラズマ成形室 52をガラス等の絶縁材料で形成した場合、永久磁石 54bの磁場により 、成形されたシートプラズマの一部力 シートプラズマ成形室 52の内壁の方向に吸 引され広がり(この部分を角 71という)、プラズマ密度が減少しスパッタ効率が悪くなる という問題があった。また、角 71付近のプラズマがシートプラズマ成形室 52の内壁に 衝突すると、プラズマの有するエネルギーの熱影響により、シートプラズマ成形室 52 の損傷が生じると!、う問題があった。
[0008] 本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、シートプラズマに角を発生 させないことにより、プラズマ密度を減少させることがなぐスパッタ効率のよいプラズ マ成膜装置を提供することを目的とする。また、シートプラズマに角を発生させないこ とにより、安全に運転することができるプラズマ成膜装置を提供することを目的とする 課題を解決するための手段
[0009] 前記課題を解決するために本発明に係るプラズマ成膜装置は、プラズマの輸送方 向の中心に対して略等密度分布するソースプラズマを放電により形成して、前記ソー スプラズマを前記輸送方向に向けて放出可能なプラズマガンと、前記輸送方向に延 びた輸送空間を有するシートプラズマ変形室と、互いに同極同士を向き合わせて、 前記放出されたソースプラズマの輸送中心を挟むように配置される磁界発生手段の 対と、前記輸送空間に連通した成膜空間を有する成膜室と、を備え、前記輸送方向
において前記磁界発生手段の対より上流側に前記輸送中心を貫通せしめるように設 けられた成形電磁コイルを有し、前記磁界発生手段の対及び前記成形電磁コイルが 、前記中心の前記成形電磁コイル及び前記磁界発生手段の対を通過する部分及び その近傍部において前記輸送方向における磁束密度が略一定である磁場を発生さ せる。
[0010] これにより、シートプラズマに角が発生することがないので、成形されたシートプラズ マのプラズマ密度は高いレベルを維持することができ、スパッタ効率がよくなる。また 、シートプラズマに角が発生しないので、シートプラズマ変形室の内壁に過剰なプラ ズマの衝突が発生しな 、ため、シートプラズマ変形室の損傷を抑制することができ、 安全にプラズマ成膜装置を運転することができる。
[0011] 前記磁界発生手段の対と前記成形電磁コイルとが近接して配置されていることが 好ましい。
[0012] 前記磁界発生手段の対及び前記成形電磁コイルが、前記輸送中心の前記成形電 磁コイル及び前記磁界発生手段の対を通過する部分及びその近傍部にお!、て前記 輸送方向における磁束密度が 100〜600Gである磁場を発生させることが好ましい。 発明の効果
[0013] 本発明のプラズマ成膜装置によれば、シートプラズマのプラズマ密度を高いレベル で維持することができるため、スパッタ効率がよくなり、また、シートプラズマ変形室の 損傷を抑制することにより、安全にプラズマ成膜装置を運転することができる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]図 1は、本発明の実施の形態 1に係るプラズマ成膜装置の構成を模式的に示 す断面図である。
[図 2]図 2は、図 1に示したプラズマ成膜装置を III— III線断面図である。
[図 3]図 3は、図 1に示したプラズマ成膜装置の磁束密度を測定したグラフである。
[図 4]図 4は、シートプラズマの形成法の概略を説明する模式図である。
[図 5]図 5は、従来のプラズマ成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。
符号の説明
[0015] 1 プラズマガン
シートプラズマ変形室 真空成膜室 第 1電磁コイル 成形電磁コイル 第 2電磁コイル 第 3電磁コイル 永久磁石
放電空間 ターゲット ターゲットホルダa 第 1ホルダ部b 第 1支持部 基板
基板ホルダa 第 2ホルダ部b 第 2支持部 主電源
バイアス電源 バイアス電源 第 1筒部
第 2筒部
第 3筒部
第 4筒部
力ソード
ボトルネック部 ボトルネック部 抵抗体
抵抗体
抵抗体
フランジ
a 蓋部
b 蓋部
a 蓋部
b 蓋部
a 蓋部
b 蓋部
アノード
パイプ
第 1真空ポンプ接続口 第 2真空ポンプ接続口 輸送空間
貫通孔
スリット孔
スリット孔
スリット孔
スリット孔
バルブ
バルブ
円柱プラズマ シートプラズマ 成膜空間
永久磁石
陰極部
シートプラズマ成形室 スノ ッタリング室a 永久磁石
64b 永久磁石
65 コィノレ
66 陽極部
71 角
100 輸送中心
G1 第 1グリッド電極 (第 1中間電極)
G2 第 2グリッド電極 (第 2中間電極)
S 主面
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態 1)
図 1は、本発明の実施の形態 1に係るプラズマ成膜装置の構成を模式的に示す断 面図である。図 2は、図 1のプラズマ成膜装置の III— III線断面図である。なお、図 1 に示したように、 X軸、 Y軸及び Z軸が便宜上設けられており、図 2にも同様に、 X軸、 Y軸及び Z軸が設けられている。また、図 2においては、一部を省略している。
[0017] まず、本実施の形態 1に係るプラズマ成膜装置の構成について、図 1を参照しなが ら説明する。
[0018] 図 1に示すように、本実施の形態 1に係るプラズマ成膜装置は、 YZ平面において 略十字形をなしており、プラズマ輸送の方向(Z方向)から見て順番に、プラズマを高 密度に生成するデュアルタイプのプラズマガン 1と、 Z方向の軸を中心とした円筒状 の非磁性 (例えばステンレス製やガラス製)のシートプラズマ変形室 2と、 Y方向の軸 を中心とした円筒状の非磁性 (例えばステンレス製)の真空成膜室 3と、を備えて構成 されている。なお、プラズマガン 1、シートプラズマ変形室 2、真空成膜室 3は、プラズ マを輸送する通路を介して互 、に気密状態を保って連通されて ヽる。
[0019] プラズマガン 1は、円筒状の第 1筒部 21を有している。第 1筒部 21の内部空間によ り、放電空間 10が形成される。第 1筒部 21の一方の端部は、放電空間 10を塞ぐよう にフランジ 31が配置されている。第 1筒部 21の内部には、フランジ 31の中心部を貫 通して、第 1筒部 21の中心軸 (Z軸)に沿って延びるように、力ソード 25が気密的に配
設されている。力ソード 25は、プラズマ放電誘発用熱電子を放出し、直流電源からな る主電源 17の負極と抵抗体 28を介して電気的に接続されている。また、第 1筒部 21 の内部には、フランジ 31の中心部を貫通して、第 1筒部 21の中心軸 (Z軸)に沿って 延びるように、パイプ 37が気密的に配設されている。このパイプ 37から、アルゴン (A r)ガス等の不活性ガス力 プラズマガン 1 (正確には、放電空間 10)内に供給される。
[0020] また、プラズマガン 1は、第 1グリッド電極 (第 1中間電極) Gl、第 2グリッド電極 (第 2 中間電極) G2を有している。第 1グリッド電極 Gl、第 2グリッド電極 G2は、第 1筒部 2 1の周面に気密的に設けられており、力ソード 25との間でプラズマ放電 (グロ一放電) を維持するため、主電源 17と適宜の抵抗体 29、 30と電気的に接続され、所定のブラ ス電圧を印加される。このようなプラズマ放電により、プラズマガン 1の放電空間 10に は、荷電粒子 (ここでは Ar+と電子)の集合体としてのプラズマが形成される。
[0021] なお、ここでは、プラズマガン 1は、主電源 17に基づく低電圧、かつ、大電流の直流 アーク放電により、力ソード 25と後述するアノード 36との間に高密度のプラズマ放電 を可能にする、公知の圧力勾配型のプラズマガンと複合陰極型プラズマガンの両者 を組み合わせたデュアルタイプのプラズマガンが採用されて 、る。
[0022] 第 1筒部 21の径方向の外側には、磁力の強さをコントロールできる環状の第 1電磁 コイル 5が、第 1筒部 21側面周囲を取り囲むように、第 1筒部 21と同心に設けられて いる。この第 1電磁コイル 5の卷線に電流を流すことにより、プラズマガン 1の放電空 間 10には、コイル磁界に基づく磁束密度の Z方向の勾配が形成される。このような磁 束密度の Z方向の勾配により、プラズマを構成する荷電粒子は、この放電空間から Z 方向(アノード 36に向力 方向)に運動するよう、磁力線の回りを旋回しながら Z方向 に進み、これらの荷電粒子の集合体としてのプラズマ力 Z方向の輸送中心 100に対 して略等密度に分布してなる円柱状のソースプラズマ(以下、円柱プラズマ 49という) として、プラズマガン 1の Z方向の他端とシートプラズマ変形室 2の Z方向の一端との 間に介在する貫通孔 42を介してシートプラズマ変形室 2へ引き出される。なお、第 1 筒部 21と、第 1グリッド電極 G1と、第 2グリッド電極 G2と、力ソード 25は、適宜な手段 によって、互いに絶縁されている。
[0023] シートプラズマ変形室 2は、 Z方向の軸を中心とした円筒状の第 2筒部 22を有して
いる。第 2筒部 22の内部空間により、輸送空間 40が形成される。第 2筒部 22の一方( 第 1筒部 21側)の端部は、蓋部 32aにより閉鎖されており、他方の端部は、蓋部 32b により閉鎖されている。蓋部 32aの中心部には、貫通孔 42が設けられ、この貫通孔 4 2により、プラズマガン 1とシートプラズマ変形室 2との間に介在する通路が形成される 。また、蓋部 32bの中心部には、スリット孔 43が X軸方向に延びるように形成されてい る。第 2筒部 22は、適宜な手段により、気密的に、かつ、電気的に絶縁されるように、 第 1筒部 21と同軸状(中心軸を共有するように)に接続されている。第 2筒部 22は、 永久磁石 9等の磁力を円柱プラズマに影響させやすい観点から、ガラスや SUS等の 非磁性の材料で構成されて 、る。
[0024] 第 2筒部 22の適所には、バルブ 47により開閉可能な第 1真空ポンプ接続口 38が 設けられている。第 1真空ポンプ接続口 38には、図示されない真空ポンプ (例えば、 ターボポンプ)が接続されている。この真空ポンプにより、真空引きされ、輸送空間 40 は円柱プラズマ 49を輸送可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。
[0025] 第 2筒部 22の外側には、第 2筒部 22 (正確には、輸送空間 40)を挟み、互いに同 極 (ここでは N極)が対向するようにして、 Y方向に磁化され、かつ、 X方向に延びる一 対の角形の永久磁石 9 (磁界発生手段の対)が設けられている。
[0026] また、永久磁石 9の輸送方向の上流側 (力ソード 25に近い側)には、環状の成形電 磁コイル 6 (空心コイル)力 第 2筒部 22の周面を囲むように (輸送中心 100を貫通せ しめるように)配設されている。なお、成形電磁コイル 6の卷線には、力ソード 25側を S 極、アノード 36側を N極とする向きの電流が通電されている。
[0027] そして、成形電磁コイル 6の卷線に電流を流すことにより、シートプラズマ変形室 2の 輸送空間 40に形成されるコイル磁界と、永久磁石 9によりこの輸送空間 40に形成さ れる磁石磁界との相互作用により、シートプラズマ変形室 2の輸送空間 40を円柱ブラ ズマ 49が輸送方向(Z方向)に移動する。この間に、円柱プラズマ 49は、その輸送方 向の輸送中心 100を含む XZ平面(以下、「主面 S」という)に沿って拡がる、均一なシ ート状のプラズマ(以下、シートプラズマ 50という)に変形される。
[0028] このようにして変形されたシートプラズマ 50は、第 2筒部 22の蓋部 32bと真空成膜 室 3の側壁との間に介在するスリット状のボトルネック部 26を介して真空成膜室 3へ流
入する。
[0029] 真空成膜室 3は、 Y軸方向に中心軸を有する円筒状の第 3筒部 23と、ボトルネック 部 27を介して第 3筒部 23と連通する Z軸方向に中心軸を有する第 4筒部 24と、を有 している。第 3筒部 23の内部空間により、成膜空間 51が形成される。第 3筒部 23の 一方の端部は、蓋部 33aにより閉鎖されており、他方の端部は、蓋部 33bにより閉鎖 されている。
[0030] 第 3筒部 23の第 2筒部 22近傍側の周面の中央部には、 X軸方向に延びるスリット 孔 44が形成されている。このスリット孔 44には、第 3筒部 23と第 2筒部 22の内部空間 が連続するように、断面が四角形で筒状のボトルネック部 26が気密的に設けられて いる。ボトルネック部 26は、蓋部 32bに設けられたスリット孔 43と気密的に接続されて いる。なお、ボトルネック部 26の高さ (Y方向寸法)及び長さ(Z方向寸法)並びに幅( X方向寸法)は、シートプラズマ 50を適切に通過するように設計されている。また、スリ ット孔 43、 44の幅は、成形されたシートプラズマ 50の幅よりも大きく形成されていれ ばよぐ適宜な大きさに設計される。これにより、シートプラズマ 50を構成しない余分 なアルゴンイオン (Ar+)と電子が、真空成膜室 3に導入されるのを防止することができ 、シートプラズマ 50の密度を高い状態に保つことができる。
[0031] 第 3筒部 23の内部には、シートプラズマ 50を挟んで対抗するようにターゲット 13と 基板ホルダ 16が配設されている。ターゲット 13は、ターゲットホルダ 14に保持されて おり、該ターゲットホルダ 14は、第 1ホルダ部 14aと第 1支持部 14bを有している。第 1 支持部 14bは、蓋部 33aを気密的に、かつ、摺動自在に貫通し、図示されない駆動 機構と接続されており、 Y軸方向に移動可能に構成されている。また、ターゲットホル ダ 14には、バイアス電源 18と電気的に接続されている。バイアス電源 18は、第 1ホル ダ部 14aにシートプラズマ 50に対して負のバイアス電圧を印加する。なお、ターゲット ホルダ 14の第 1支持部 14bと蓋部 33aとは、絶縁されている。一方、基板ホルダ 16は 、基板 15を保持するものである。該基板ホルダ 16は、第 2ホルダ部 16aと第 2支持部 16bを有している。第 2支持部 16bは、蓋部 33bを気密的に、かつ、摺動自在に貫通 し、図示されない駆動機構と接続されており、 Y軸方向に移動可能に構成されている 。また、基板ホルダ 16は、バイアス電源 19と電気的に接続されている。バイアス電源
19は、第 2ホルダ部 16bにシートプラズマ 50に対して負のバイアス電圧を印加する。 なお、基板ホルダ 16の第 2支持部 16bと蓋部 33bとは、絶縁されて接続されている。 また、ここでは、ターゲットホルダ 14と接続するバイアス電源 18と基板ホルダ 16と接 続するバイアス電源 19を別々に設けたが、これらを 1つの共通のバイアス電源で構 成してもよい。さらに、主電源 17にターゲットホルダ 14と基板ホルダ 16がそれぞれ接 続されるような構成としてもよい。但し、上述のようにターゲットホルダ 14と基材ホルダ 16とに、別々にバイアス電源を設けることにより、ターゲット 14と基板 16の間の距離 を自由に設定することができ、かつ、負のバイアス電圧をターゲット 14と基板 16の両 方に印加することができる、その結果、スパッタ効率が向上する。
[0032] また、蓋部 33bの適所には、バルブ 48により開閉可能な第 2真空ポンプ接続口 39 が設けられている。第 2真空ポンプ接続口 39には、図示されない真空ポンプが接続 されている。この真空ポンプ (例えばターボポンプ)により真空引きされ、これにより、 成膜空間 51はスパッタリングプロセス可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧さ れる。
[0033] 第 3筒部 23の外部には、磁力の強さをコントロールできる第 2電磁コイル 7と第 3電 磁コイル 8が、互いに対を成して輸送中心 100を貫通せしめるように設けられて!/、る。 第 2電磁コイル 7と第 3電磁コイル 8は、異極同士(ここでは、第 2電磁コイル 7は N極、 第 3電磁コイル 8は S極)を向か!/、合わせて設けられて 、る。
[0034] この第 2電磁コイル 7及び第 3電磁コイル 8の卷線に電流を流すことにより作られるコ ィル磁界(例えば 10G〜300G程度)によれば、シートプラズマ 50の幅方向(X方向) について、シートプラズマ 50は、真空成膜室 3の成膜空間 51を跨ぐように Z方向に移 動する間に、ミラー磁界として、その幅方向拡散を適切に抑えるように形状を整形さ れる。
[0035] また、真空成膜室 3は、ボトルネック部 27を介して第 3筒部 23と連通する Z軸方向に 中心軸を有する第 4筒部 24を有している。第 4筒部 24の一方の (第 3筒部 23側)端 部は、蓋部 34aにより閉鎖されており、他方の側面は、蓋部 34bにより閉鎖されている 。蓋部 34aの中心部には、 X軸方向に延びるスリット孔 46が形成されている。このスリ ット孔 46には、第 4筒部 24と第 3筒部 23の内部空間が連続するように、断面が四角
形で筒状のボトルネック部 27が気密的に設けられている。ボトルネック部 27は、第 3 筒部 23の周面の中央部に X軸方向に延びるように形成されたスリット孔 45と気密的 に接続されている。なお、ボトルネック部 27の高さ (Y方向寸法)及び長さ (Z方向寸 法)並びに幅 (X方向寸法)は、ボトルネック部 26と同様にシートプラズマ 50を適切に 通過するように設計されている。また、スリット孔 45、 46の高さ及び幅は、上述したスリ ット孔 43、 44と同様に構成されている。
[0036] 蓋部 34bの内面には、アノード 36が設けられており、アノード 36は、主電源 17の正 極と電気的に接続されている。アノード 36は、力ソード 25との間で適宜の正の電圧( 例えば 100V)を印加され、これにより、力ソード 25及びアノード 36の間の直流アーク 放電によるシートプラズマ 50中の荷電粒子 (特に電子)を回収する役割を担っている
[0037] アノード 36の裏面 (力ソード 25に対する対向面の反対側の面)には、アノード 36側 を S極、大気側を N極とした永久磁石 52が配置されている。これにより、永久磁石 52 の N極から出て S極に入る XZ平面に沿った磁力線により、アノード 36に向力うシート プラズマ 50の幅方向(X方向)の拡散を抑えるようにシートプラズマ 50が幅方向に収 束され、シートプラズマ 50の荷電粒子力 アノード 36に適切に回収され得る。
[0038] なお、第 1筒部 21、第 2筒部 22及び第 4筒部 24の X軸方向の断面は、ここでは円 形であるが、これに限定されるものではなぐ多角形等であってもよい。また、第 3筒 部 23の Z軸方向の断面は、ここでは円形であるが、これに限定されるものではなぐ 多角形等であってもよい。
[0039] 次に、本実施の形態 1における永久磁石 9と成形電磁コイル 6の磁場について、円 柱プラズマ 49からシートプラズマ 50に変形する方法と併せて、図 3及び図 4を参照し ながら詳細に説明する。
[0040] 図 3は、プラズマガン 1とシートプラズマ変形室 2を輸送されるプラズマの輸送中心 1 00における磁束密度を、図 1に示した本実施の形態 1に係るプラズマ成膜装置の第 2グリッド電極 G2から Z軸方向に検出した結果を示すグラフである。図 4は、シートプ ラズマの形成法の概略を説明する模式図であり、図 4 (a)は、棒磁石の Z方向略中央 付近の XY平面に平行な断面の模式図であり、図 4 (b)は、棒磁石の X方向略中央付
近の YZ平面に平行な断面の模式図である。
[0041] なお、図 3において、横軸を第 2グリッド電極 G2からの距離 (mm)で表し、縦軸を磁 束密度(G)で表している。また、図 4中の符号 Bx、 Byおよび Bzは各々、図 1中の X方 向、 Y方向及び Z方向の磁束密度ベクトル成分を表している。
[0042] 図 4 (b)に示すように、成形電磁コイル 6の磁界により、永久磁石 9に到達する前の 円柱プラズマ 49の Z軸方向に作用する初期の磁束密度成分 BzOが形成されている。 このとき、初期の磁束密度成分 BzOと、一対の永久磁石 9が作る Z軸方向の磁束密度 成分 Bzとの間の大小関係を図 3に示す磁束密度をとるように、成形電磁コイル 6の配 置や成形電磁コイル 6の卷線に流す電流量が設定されている。すなわち、成形電磁 コイル 6と永久磁石 9によって形成される輸送中心 100における Z軸方向の磁束密度 力 第 2グリッド電極 G2から Z軸方向に進むにしたがって、まず減少し、その後増加 する。そして、輸送中心 100の成形電磁コイル 6及び永久磁石 9を通過する部分及 びその近傍部において、略一定 (ここでは、 350G)となるように、成形電磁コイル 6と 永久磁石 9が配置され、かつ、それぞれの磁力が調整される。
[0043] このように成形電磁コイル 6と永久磁石 9が調整されること (特に、磁束密度が、輸送 中心 100の成形電磁コイル 6及び永久磁石 9を通過する部分及びその近傍部にお いて、略一定となるように調整されること)により、永久磁石 9から発生する磁力のうち プラズマガン 1方向に戻る磁力力、成形電磁コイル 6から発生する磁力によって打ち 消される。このため、シートプラズマの一部がシートプラズマ変形室 2を構成する第 2 筒部 22の内壁方向に広がらな 、ので、角が発生することはな!/、。
[0044] なお、永久磁石 9から発生する磁力のうちプラズマガン 1方向に戻る磁力を成形電 磁コイル 6から発生する磁力によって打ち消すと!、う観点から、成形電磁コイル 6と永 久磁石 9は、プラズマガン 1の出力、プラズマ変形室 2の大きさや成形電磁コイル 6の 大きさ等によって異なる力 第 2グリッド電極 G2から 300〜400mm離れて 、ることが 好ましい。また、同様の観点から、成形電磁コイル 6と永久磁石 9は、近接して配置さ れていることが好ましぐ互いに当接するように配置されていることがより好ましい。さら に、ここでは、輸送中心 100の成形電磁コイル 6及び永久磁石 9を通過する部分及び その近傍部にお ヽて成形電磁コイル 6及び永久磁石 9によって形成される磁束密度
を 350Gとなるように、成形電磁コイル 6と永久磁石 9を調整している力 これに限定さ れず、成形電磁コイル 6や永久磁石 9の大きさ等によって異なるが、例えば、これらに よって形成される磁束密度は、 100〜600Gであることが好ましぐ 200〜500Gであ ることがより好まし!/、。
[0045] 次に、図 4 (a)に示すように、 XY平面上には、一対の永久磁石 9の N極面から互い に輸送中心 100に近づぐ磁束密度の Y方向成分 Byの対が形成されるとともに、こ れらの永久磁石 9の N極面と平行に輸送中心 100から互いに離れる、磁束密度の X 方向成分 Bxの対が形成されて 、る。
[0046] 磁束密度の Y方向成分 Byの対については、永久磁石 9の N極面を互いに対向配 置させていることから、これらの N極面力も輸送中心 100に近づくに連れて、その Y方 向成分に互いに相殺され、これらの磁束密度の Y成分に適宜のマイナス勾配を持た せることができる。
[0047] このような磁束密度の Y方向成分 Byの勾配は、図 4 (a)の矢印で示すように、輸送 中心 100に向かつて Y方向に円柱プラズマ 49を圧縮する方向に荷電粒子を運動さ せ、これにより、円柱プラズマ 49中の荷電粒子は、磁力線の回りを旋回しながら輸送 中心 100の方向に進む。
[0048] 一方、磁束密度の X方向成分 Bxの対にっ 、ては、永久磁石 9の配置やその磁場 強度の適切な設計により、輸送中心 100から X方向に離れるに連れて、これらの磁束 密度の X成分に適宜のマイナス勾配を持たせるように調整できる。
[0049] このような磁束密度の X方向成分 Bxの勾配は、図 4 (a)の矢印で示すように、円柱 プラズマ 49を主面 S (XZ平面)に沿って拡げる方向に荷電粒子を運動させ、これによ り、円柱プラズマ 49中の荷電粒子は、磁力線の回りを旋回しながら輸送中心 100か ら離れる方向に進む。
[0050] こうして、円柱プラズマ 49は、シートプラズマ変形室 2を Z方向に移動する間に、成 形電磁コイル 6および永久磁石 9による磁界相互作用に基づいて、主面 Sに沿ったシ ートプラズマ 50に均一に変形される。なお、シートプラズマ 50の幅、厚みおよび荷電 粒子密度分布等は、これらの磁束密度 Bx、 By、 Bz、 BzOを適宜変更することにより、 調整可能である。
[0051] 次に、本実施の形態 1に係るプラズマ成膜装置の動作について説明する。
[0052] まず、図示されない真空ポンプの真空引きにより、プラズマ成膜装置内が真空状態 になる。このとき、真空ポンプ接続口が 2箇所に設けられているので、プラズマ成膜装 置内の減圧を迅速に行うことができる。そして、プラズマガン 1に設けられたパイプ 37 から、 Arガスが放電空間 10内に供給され、力ソード 25から、プラズマ放電誘発用熱 電子が放出され、プラズマが生成される。このプラズマは、第 1グリッド電極 Gl、第 2 グリッド電極 G2による電界と第 1電磁コイル 5による磁界により、力ソード 25からァノー ド 36側〖こ引き出され、円柱状に成形される。成形された円柱プラズマ 49は、貫通孔 4 2を通過してシートプラズマ変形室 2に導かれる。
[0053] シートプラズマ変形室 2に導かれた円柱プラズマ 49は、一対の永久磁石 9と成形電 磁コイル 6から発生する磁場によってシート状に広がって (ZY平面に延びるように)、 シートプラズマ 50が成形される。このシートプラズマ 50は、スリット孔 43、ボトルネック 部 26及びスリット孔 44を通過して真空成膜室 3に導かれる。
[0054] 真空成膜室 3に導入されたシートプラズマ 50は、第 2電磁コイル 7と第 3電磁コイル 8による磁場によって、幅方向の形状が整えられ、ターゲット 13と基板 15の間の空間 にまで導かれる。ターゲット 13には、ターゲットホルダ 14を介して、シートプラズマ 50 に対して負のバイアス電圧が印加される。また、基板 15にも、基板ホルダ 16を介して 、シートプラズマ 50に対して負のバイアス電圧が印加される。ターゲット 13が負にバ ィァスされることにより、 Ar+イオンがターゲットを効率よくスパッタする。スパッタされた ターゲット 13を構成する原子は、垂直方向にシートプラズマ 50中を通過し、このとき 陽イオンにイオンィ匕される。この陽イオンは、負にバイアスされた基板 15上に堆積し、 電子を受け取り、基板 15を成膜する。
[0055] そして、シートプラズマ 50は、永久磁石 52の磁力線により、幅方向に収束され、シ ートプラズマ 50の荷電粒子力 アノード 36に適切に回収される。
[0056] なお、ここでは、プラズマ成膜装置内を真空状態にして成膜を行ったが、真空成膜 室 3に反応性のガスを導入し、このガスとターゲットの反応物を用いて基板 15を成膜 するような構成としてもよ 、。
[0057] このような構成とすることにより、シートプラズマ変形室内で、シートプラズマに角が
発生することがないので、シートプラズマのプラズマ密度が高くなり、スパッタ効率が よくなる。また、シートプラズマ変形室内で、角が発生することがないので、シートブラ ズマ変形室の損傷を抑制することができるため、安全にプラズマ成膜装置を運転す ることがでさる。
産業上の利用可能性
本発明のプラズマ成膜装置は、シートプラズマのプラズマ密度が高!、ため、スパッ タ効率がよくなるので有用である。また、シートプラズマ変形室の損傷を抑制すること ができるため、安全に運転することができるプラズマ成膜装置として有用である。