明 細 書
铸造用塩中子の製造方法及び铸造用塩中子
技術分野
[0001] 本発明は、水溶性を有する铸造用塩中子の製造方法及び铸造用塩中子に関する ものである。
背景技術
[0002] 例えば、アルミニウムダイカスト等の铸造は、よく知られているように、アルミニウム合 金の溶湯を金型内に高速'高圧で射出し、所望とする形状の構造体を铸造する技術 である。このような铸造において、例えば内燃機関のシリンダブロックのような水冷用 のウォータージャケットなど中空構造を有する铸造物を成形する場合、中子が用いら れる。このようなときに用いられる中子は、ゲートから高速で射出される金属溶湯が衝 突して大きな衝撃を受けやすぐまた、凝固完了まで铸造圧力も大きいために、高圧 及び高温に耐えられる強度が要求される。また、中子は、铸造後、铸造物から除去す ることになるが、複雑な内部構造を有する铸造物などの場合に、一般的なフ ノール レジンで固めた砂中子を使用した場合、除去することが容易ではない。これに対し、 高温の水などにより溶解することで除去が可能な水溶性の塩中子がある(文献 1:特 開昭 48— 039696号公報,文献 2 :特開昭 50— 136225号公報,文献 3 :特開昭 52 — 010803号公報)。
[0003] 上述のような塩中子は、例えば、炭酸ナトリウム (Na CO ) ,塩ィ匕カリウム (KC1) ,及
2 3
び塩ィ匕ナトリウム (NaCl)などよりなる混合塩を用い、これらを溶融させて成形し、高 い耐圧強度を得るとともに、铸造における作業性や安定性を向上させるようにしてい る。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] し力しながら、塩を溶融して铸造して塩中子を形成する場合、凝固の過程で起きる 凝固収縮などの体積の変化により塩中子にひけ巣やミクロポロシティや微細な熱亀 裂などが発生し、精確に型どおりに成形することが容易ではな力 た。また、各成分
の組成によっては、融点が 700°C以上と溶融成形に適さない場合もある。このように、 従来の技術では、溶融塩を用いた铸造では、塩中子が容易に製造できないという問 題があった。
[0005] 本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ナトリウム,力 リウムなどの塩を溶融させて成形する塩の铸造物よりなる水溶性を有する铸造用塩 中子が、より容易に製造できるようにすることを目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明に係る铸造用塩中子の製造方法は、カリウムの塩及びナトリウムの塩を少な くとも含む混合塩を加熱して固相と液相とが共存する固液共存状態の溶湯を形成す る第 1工程と、固液共存状態の溶湯を中子成形用の型に入れる第 2工程と、型の内 部で溶湯を凝固させて铸造用塩中子を成形する第 3工程とを少なくとも備えるよう〖こ したものである。したがって、型に充填された時点で、溶湯の一部は凝固している。
[0007] また、本発明に係る铸造用塩中子は、カリウムの塩及びナトリウムの塩を少なくとも 含む混合塩を加熱して固相と液相とが共存する固液共存状態の溶湯を形成し、固液 共存状態の溶湯を中子成形用の型に入れ、型の内部で溶湯を凝固させることで成 形されたものである。この铸造用塩中子は、例えば、エンジン用シリンダの水冷用の ウォータージャケットを成形するための中子である。
発明の効果
[0008] 本発明によれば、固液共存の状態の溶湯を用いて铸造するようにしたので、ナトリ ゥム,カリウムなどの塩を溶融させて成形する塩の铸造物よりなる水溶性を有する铸 造用塩中子が、より容易に製造できるようになる。
図面の簡単な説明
[0009] [図 1]図 1は、本発明に係る铸造用塩中子を使用して铸造した場合のシリンダブロック の斜視図である。
[図 2]図 2は、塩中子 2の凝固組織の状態を示す金属顕微鏡 (光学顕微鏡)写真であ る。
[図 3]図 3は、半凝固状態の溶湯の固相率の温度依存性を示す特性図である。
[図 4]図 4は、塩ィ匕物が多く含まれる組成の混合塩を溶融成形して撹拌なしで凝固さ
せたときの凝固組織の走査型電子顕微鏡写真である。
[図 5]図 5は、炭酸塩が多く含まれる組成の混合塩を溶融成形して撹拌なしで凝固さ せたときの凝固組織の走査型電子顕微鏡写真である。
[図 6A]図 6Aは、試料番号 1〜9の抗折試験片の抗折強度を示すグラフである。
[図 6B]図 6Bは、試料番号 10〜 12の抗折試験片の抗折強度を示すグラフである。
[図 6C]図 6Cは、試料番号 13〜 17の抗折試験片の抗折強度を示すグラフである。
[図 7A]図 7Aは、試料番号 18〜23の抗折試験片の抗折強度を示すグラフである。
[図 7B]図 7Bは、試料番号 24〜27の抗折試験片の抗折強度を示すグラフである。
[図 8]図 8は、カリウムイオンの陽イオン比及び炭酸イオンの陰イオン比と、液相線温 度との関係を示す特性図 (状態図)である。
[図 9A]図 9Aは、抗折強度測定に用いる試験片の状態を示す構成図である。
[図 9B]図 9Bは、抗折強度測定に用いる試験片の一部示す断面図である。
[図 10]図 10は、抗折強度測定を説明するための説明図である。
[図 11]図 11は、塩中子の射出成形時のキヤビティー内の圧力の測定箇所を説明す るための写真である。
[図 12]図 12は、塩中子の射出成形時のキヤビティー内の圧力の測定結果を示す説 明図である。
[図 13]図 13は、本発明に係る铸造用塩中子を使用して铸造した場合の他のシリンダ ブロックの斜視図である。
[図 14]図 14は、図 13に示す塩中子 1302の写真である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施例について図を参照して説明する。はじめに、本発明の実施 例に係る铸造用塩中子の使用形態について図 1を用いて説明する。図 1は、本発明 に係る铸造用塩中子を使用して铸造した場合のシリンダブロックの斜視図で、同図は 一部を破断した状態で描いてある。図 1において、符号 1で示すものは、本発明に係 る铸造用塩中子としての塩中子 2を使用して铸造されたアルミニウム合金よりなるェン ジン用シリンダブロックである。このシリンダブロック 1は、自動二輪車用水冷式 4サイ クル 4気筒エンジンの一部であり、ダイカスト铸造法によって所定の形状に成形され
ている。
[0011] 図 1に示すシリンダブロック 1は、四箇所のシリンダボア 3,シリンダボア 3を有するシ リンダボディ 4,及びシリンダボディ 4の下端から下方に延びる上部クランクケース 5が 一体に形成されている。上部クランクケース 5は、下端部に下部クランクケース(図示 せず)が取り付けられ、この下部クランクケースとともに軸受けを介してクランク軸(図 示せず)を回転自在に軸支して 、る。
[0012] シリンダボディ 4は、いわゆるクローズドデッキ型のものであり、塩中子 2を用いてゥォ 一タージャケット 6が内部に形成されている。ウォータージャケット 6は、冷却水通路形 成部 7,冷却水入口 8,主冷却水通路 9,連通路 10を含んで構成されている。冷却水 通路形成部 7は、シリンダボディ 4の一側部に突設されシリンダボア 3の並設方向に 延在している。また、冷却水入口 8は、冷却水通路形成部 7に形成されている。主冷 却水通路 9は、冷却水通路形成部 7の内部に形成された冷却水分配通路(図示せず )に連通されるとともに全てのシリンダボア 3の周囲を覆うように形成されている。また、 連通路 10は、主冷却水通路 9から図 1において上側へ延びてシリンダボディ 4の上 端の図示して ヽな ヽシリンダヘッドとの合わせ面 4aに開口して!/、る。
[0013] 上述したウォータージャケット 6は、冷却水入口 8から流入した冷却水を冷却水分配 通路によってシリンダボアの周囲の主冷却水通路 9に供給し、さらに、この冷却水を 主冷却水通路 9から連通路 10を通してシリンダヘッド(図示せず)内の冷却水通路に 導くように構成されている。このようにウォータージャケット 6が形成されることにより、こ のシリンダボディ 4は、シリンダヘッドが接続される上端の合わせ面 4aにウォータージ ャケット 6の連通路 10が開口する他は、シリンダボディ 4の天井壁 (合わせ面 4aを形 成する壁)で覆われることになりクローズドデッキ型の構成となる。
[0014] ウォータージャケット 6を形成するための塩中子 2は、ウォータージャケット 6の各部 を一体に接続した形状に形成されている。図 1においては、塩中子 2の形状 (ウォー タージャケット 6の形状)を理解し易 、ように、シリンダボディ 4の一部を破断した状態 で描いてある。
[0015] この実施例に係る塩中子 (铸造用塩中子) 2は、炭酸ナトリウム,塩ィ匕ナトリウム,及 び塩ィ匕カリウムなど複数の塩を使用し、半凝固などの固液共存の状態で、例えばダ
イカスト铸造法によってウォータージャケット 6の形状となるように形成されて!、る。塩 中子 2は、カリウムの塩およびナトリウムの塩を少なくとも含む混合塩を加熱して固相 と液相とが共存する固液共存状態の溶湯を形成し、この溶湯を中子成形用の型に入 れ、型の内部で溶湯を凝固させて成形すればよい。塩中子 2の製造方法については 以下に詳述する。
[0016] なお、塩中子 2は、ダイカスト铸造法の他に、例えばグラビティ铸造法など、他の铸 造法を用いることによつても形成することができる。ダイカスト铸造法を用いる場合の 塩中子 2の形成では、先ず、後述する複数の塩からなる混合物を加熱して溶融させ 溶湯を造る。次に、この溶湯の温度を低下させて半凝固(固液共存)の状態とし、半 凝固の状態の溶湯を塩中子用の金型に高圧注入して凝固させ、凝固後に金型から 取り出すことによって行う。
[0017] 塩中子 2は、図 1に示すように、冷却水入口 8と冷却水分配通路とを形成する通路 形成部 2aと、四箇所のシリンダボア 3の周囲を囲む形状の環状部 2bと、環状部 2bか ら上方へ突出する複数の凸部 2cとが全て一体に形成されている。これらの凸部 2cに よってウォータージャケット 6の連通路 10が形成される。塩中子 2は、従来よく知られ ているように、铸造時には幅木(図示せず)によって金型(図示せず)内の所定の位 置に支持されており、铸造後に温水または蒸気によって溶解させて除去する。
[0018] 塩中子 2を铸造後に除去するためには、塩酸と温水など力 なる溶解液が貯留され た溶解槽 (図示せず)にシリンダブロック 1を浸漬させることによって行うことができる。 シリンダブロック 1を溶解液中に浸漬させることにより、塩中子 2における通路形成部 2 aと、合わせ面 4aに露出する凸部 2cとが溶解液に接触して溶解する。この溶解部分 は、徐々に拡がり、最終的に全ての部位が溶解する。このような中子除去工程では、 ウォータージャケット 6内に残存した塩中子 2の溶解を促進するために、穴から圧力を もって温水または蒸気を吹き付けるようにしてもよい。塩中子 2は、凸部 2cが形成され る部位に凸部 2cの代わりに幅木を挿入することもできる。
[0019] また、塩中子 2を铸造物であるシリンダブロック 1から除去する工程で、塩酸を用い れば、炭酸ガスが発泡するため、この発泡による撹拌作用が得られ、溶解の促進が 効果的に行える。また、塩中子 2は、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムを含むため、これ
が水に溶解するとアルカリ性を呈することになる。このようにアルカリ性の状態では、 アルミニウムの铸造物であるシリンダブロック 1が腐食するなどの問題がある。この問 題に対しても、塩酸を添加して pHを 7近くに管理することでシリンダブロックの腐食を 防止できる。
[0020] 次に、塩中子 2の製造方法について詳細に説明する。はじめに、ダイカスト铸造法 のように溶湯を高圧で注入 (圧入)せずに、溶湯を金型に流し入れて (流し込んで)塩 中子 2を製造する場合について説明する(グラビティ铸造法)。本実施例における塩 中子 2は、先ず、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,塩ィ匕ナトリウム,及び塩化カリウムを混 合し、これらが融解するまで加熱し、混合塩の溶湯を作製する。例えば、全陽イオン 中のカリウムイオンのモル成分比 XK+(= [K+]Z( [Na+] + [K+]) X 100)が 33mol %、全陰イオン中の炭酸イオンのモル成分比 YCO 2— (= [CO 2
3 3 ]Z( [CO 2— ] + [C1
3
"] ) X 100)が 67mol%となるように、上記塩を混合した場合、 647°Cで溶解する。例 えば、上述した混合塩をアルミナ製るつぼに入れて電気炉で溶解すればょ ヽ。
[0021] 次に、るつぼに収容した混合塩の温度が液相線温度である 647°C以上になったと きに、るつぼを電気炉の外に出して空冷した。冷却速度は、毎秒 0. 3〜1. 2°Cであ つた。このとき、アルミナ製の撹拌子で毎秒 3回転の回転数でるつぼ内の混合塩を撹 拌し、混合塩の溶湯の温度が 638°Cのときに金型に流し込んだ。混合塩の溶湯が 6 38°Cのときには、固相と液相とが共存する半凝固の状態であり、この状態の溶湯を 塩中子用の金型に入れて凝固させ、凝固後に金型から取り出す。なお、上述では、 混合塩を加熱して液相のみの状態とした後、これを冷却することで、固液共存状態の 溶湯を形成するようにしたが、これに限るものではない。混合塩を半凝固となる温度 に加熱することで、半凝固の状態を得るようにしても良 、。
[0022] こうして得られた塩中子 2の強度 (抗折強度)は、 21. 4-24. 6MPaと高い値であ つた。また、塩中子 2の凝固組織は,図 2の金属顕微鏡写真からわ力るように微細な 結晶粒力も構成されていた。また、図 3に示すように、上記組成とした混合塩におい ては、固液共存の温度範囲が約 60°Cと大きぐ固相率 0〜40%の範囲では固相率 の温度依存性が小さいため、均一な固液共存状態の混合塩の溶湯が得やすい。こ のように、本実施例における製造方法によれば、厳密な温度管理や等温保持をしな
くても塩中子 2が製造可能である。なお、混合した塩の各成分の組成比により、溶湯 全域が固相となる温度力 全体が液相となる温度の範囲、言い換えると固液共存の 状態が維持される温度範囲が変化する。
[0023] 上述したように溶解した溶湯を冷却する過程にお!ヽて、溶湯の温度が液相線温度( 融点)以下になると、複数個の固相粒子が生成し、これら複数個の固相粒子が残りの 液相中に分散した状態となる。このとき、半凝固状態の溶湯を撹拌することで、液相 中により均一に固相が分散した状態が得られる。ただし、撹拌は、必要なものではな い。
[0024] 例として、図 4に、 XK+ (= [K+]/ ( [Na+] + [K+]) X 100)が Omol%、 YCO 2— (= [
3
CO 2 ]Z( [CO 2— ] + [CI—]) X 100)が 10mol%の組成の混合塩を溶融成形し、撹
3 3
拌なしで凝固させたときの凝固組織の走査型電子顕微鏡 (SEM)写真を示す。この 組成では、初晶が榭枝状に成長しやすいので、撹拌した方がよい。また、別の例とし て、図 5に、 XK+ (= [K+]/ ( [Na+] + [K+]) X 100)が Omol%、 YCO 2— (= [CO 2一]
3 3
/ ( [CO 2— ] + [CI—]) X 100)が 70mol%の組成の混合塩を溶融成形し、撹拌なし
3
で凝固させたときの凝固組織の SEM写真を示す。この組成では、粒状の初晶が晶 出しやすいので、撹拌なしでも良い。
[0025] 上記の通り、撹拌は必要なものではないが、撹拌をしてもよい。なぜなら、撹拌によ り固液共存状態の混合塩内の温度分布を低下させることができ、均一な固相率の混 合塩を得やすくなる。また、撹拌により固液共存状態の混合塩中の固相粒子を微細- 球状化できるので成形性が向上する。高い固相率で中子を成形するときには、撹拌 をした方が良い。なお、機械的撹拌をする場合、撹拌子には溶融塩に対する耐食性 が良 、セラミックスを用いると良 、。
[0026] 上述したような特徴を備える半凝固の状態力 中子を成形すると、凝固の過程で起 きる凝固収縮量を抑制できるので、塩中子に発生するひけ巣やミクロポロシティゃ微 細な熱亀裂を抑制することが可能となる。また、凝固収縮量を抑制できるので、より精 確に型どおりに成形することが可能となる。従来のように完全に溶融した状態より铸 造すると、凝固収縮量が大きいためにひけ巣やミクロポロシティや微細な熱亀裂が多 く発生するが、半凝固法によればこれらの発生量を抑えられ、このため強度を向上で
さるようになる。
[0027] また、溶融成型法では、成形する中子の凝固収縮量が金型の収縮量より大きいた め、シリンダのウォータージャケットのような円筒環状中子を成形しょうとする場合、塩 中子にひけ巣やミクロポロシティや微細な熱亀裂が発生することがあり、また場合によ つては、塩中子が型内で割れてしまうことがある。これに対し、上述したように半凝固 状態の溶湯を用いることで、凝固収縮率が小さくできるので、ウォータージャケットの ような円筒環状の中子が形成可能となる。
[0028] また、溶融した溶湯を用いた射出成形では、マシンクランプ強度より大きな射出力 で射出すると、型割面力 溶湯が飛散するいわゆるフラッシングを起こす。これに対し 、固液共存状態の溶湯を用いた射出成形では、溶湯先端部が直ちに凝固するため 、型キヤビティー投影面積より大きな射出力で射出してもフラッシングを起こさない。こ のため、溶湯の凝固収縮時に溶湯補給のため大きな射出圧力を加え、铸巣をつぶ すことが可能となる。また、固液共存状態の溶湯を用いることで、完全に溶融した状 態より低い温度で铸造ができるため、作業性の向上,铸型への熱負荷の低減が可能 である。
[0029] また、塩は、金属と異なり酸ィ匕することがなぐ上述した撹拌を大気中で行っても、 溶湯の中に酸ィ匕物が巻き込まれることがなぐ溶湯の撹拌が容易に長時間行える。ま た、半凝固の状態で円環状の形状を成形する場合であっても、ゲートから周方向に 二手に分かれた溶湯の反対側の合流接合部には、酸化被膜が形成されない。よつ て、コールドシャット(C0ld shut)を起こして成形した後に接合部で分離することがない
[0030] なお、固液共存の状態を得るためには、溶融させた状態より半凝固域まで冷却して 固液共存状態とするようにした力 これに限るものではない。例えば、固相の混合塩 を半溶融域まで加熱して固液共存状態にするようにしてもよい。また、溶融塩に固体 粉末状の塩 (混合塩)を添加して固液共存状態にするようにしてもよい。また、予熱し た固体の塩 (混合塩)に溶融塩を添加して固液共存状態にしてもよい。
[0031] ところで、上述では、全陽イオン中のカリウムイオンのモル成分比 XK+( = [K+] Z ( [ Na+] + [K+]) X 100)が 33mol%、全陰イオン中の炭酸イオンのモル成分比 YCO 2
(= [CO 2—]/ ( [CO 2— ] + [C1—]) X 100)が 67mol%となるように、炭酸ナトリウム,
3 3
炭酸カリウム,塩ィ匕ナトリウム,及び塩ィ匕カリウムを混合した場合について説明したが
、これに限るものではない。例えば、以下の表 1及び表 2に示す組成とした場合につ いても、半凝固状態の溶湯を用いた铸造が可能である。なお、いずれの場合におい ても、混合塩は、カリウムイオン,ナトリウムイオン,塩素イオン,および炭酸イオンの みから形成されたものである。
[0032] ところで、表 1では、作製した試験片の抗折強度の測定結果 (最大抗折荷重)も示し 、表 2では、作製した試験片の抗折強度の測定結果 (最大抗折強度)も示している。 表 1及び表 2は、測定結果の表し方を変えているだけで、他は同一である。これらの 抗折荷重及び抗折強度の状態については、図 6A〜図 6C及び図 7A,図 7Bに、棒 グラフにして示している。なお、各イオンの濃度は、 JIS規格 K0127のイオンクロマト グラフ分析通則に制定された分析方法により測定したものである。
[0033] [表 1]
表
試料 陽イ オン比 陰イ オン比 液相線 成形 抗折荷重
番号 mc 1 % mc ) 1 % 温度 温度 N
X Na X κ * — 1 回目 2回目 3回目
6 7 3 3 3 3 6 7 6 4 7 6 3 8 2 5 6 6 2 9 4 7 2 5 7 4
7 0 0 4 0 6 0 6 4 9 6 3 2 3 2 2 9 3 1 9 2 3 2 7 4
7 0 3 0 3 0 7 0 6 5 6 4 8 4 3 0 3 1 5 8 2 9 1 6
6 0 4 0 4 0 6 0 6 1 5 5 9 7 3 0 2 1 2 1 9 0 2 3 8 2
6 0 4 0 3 0 7 0 6 3 0 6 1 9 2 1 5 0 2 6 6 2 2 6 0 6
1 00 0 5 0 5 0 6 7 5 6 4 8 2 8 5 2 4 1 4 9 3 3 2 2
1 00 0 3 〇 7 0 7 5 3 7 4 0 3 0 3 7 2 5 3 5 3 1 0 8 0 2 0 5 0 5 0 6 4 5 6 2 5 2 5 2 6 2 5 6 6 2 3 5 〇
8 0 2 0 3 0 7 0 7 0 4 6 8 2 6 6 2 2 6 0 6 2 6 0 B
7 0 3 0 6 ϋ 4 0 6 0 5 5 8 8 2 1 0 5 3 0 6 7 3 1 7 7
5 0 5 0 3 0 7 0 6 0 4 5 9 2 2 o 6 6 2 3 4 7 2 2 6 8
6 0 4 0 2 0 8 0 6 o 2 6 4 2 2 2 9 0 1 2 9 5 2 3 3 8
9 0 1 0 7 0 3 0 6 5 2 6 3 5 2 6 7 0 8 1 8 8 7
7 5 2 5 7 0 3 0 5 7 5 5 2 2 4 2 4 2 5 3 2 1 4 6 0
4 0 6 0 4 0 6 0 5 7 5 5 6 5 7 7 9 6 6 8 9 0 4
100 0 1 0 9 0 8 2 7 8 2 丄 7 0 1 1 2 6 1 1 1 2
B 0 4 0 1 0 9 0 6 8 5 6 7 1 1 4 7 4 1 5 3 3 1 6 3 0
3 3 6 7 6 7 3 3 6 4 8 6 3 8 2 0 4 8 1 9 0 1 1 6 0 9
4 0 6 0 6 0 4 0 6 2 0 6 0 6 1 0 0 2 1 7 6 9 1 4 0 2
4 0 6 0 7 0 3 0 6 4 3 6 3 0 1 4 2 6 1 7 6 1 4 1 0
3 0 0 7 0 3 0 6 5 5 6 3 8 1 8 9 7 1 3 4 5 1 8 5 0
3 0 0 6 0 4 0 6 3 0 6 2 0 1 3 5 4 6 5 7 1 0 9 6
5 0 5 0 5 0 5 0 5 9 0 5 7 1 2 0 8 9 1 0 1 2 4 3
5 0 5 0 8 0 2 0 6 3 0 6 2 2 1 3 9 4 2 3 1 a 2 1
4 0 6 0 8 0 2 0 6 5 2 6 4 4 4 2 4 3 4 8 6 2 5
6 0 4 0 7 0 3 0 6 0 2 5 8 9 1 7 6 1 1 5 5 3 1 1 5 2
2 0 8 0 5 0 5 0 5 9 5 5 8 8 1 2 9 0 1 3 6 8 1 1 3 5
[0034] [表 2]
表 2
試料 陽イオン比 陰イ オン比 液相線 成形 抗折強度 番号 mo l % mo l % 温度 温度 M P a
で
X Na* X K ' YC 1 " YC O s2- 1 回目 2回目 3回目
1 6 7 3 3 3 3 6 7 6 4 7 6 3 8 2 1 . 2 4 . 6 2 1 . 4
2 7 0 3 0 4 0 6 0 6 4 9 6 3 2 2 6 . 9 2 6 . 6 2 7 . 3
3 7 0 3 0 3 0 7 0 6 6 5 6 4 8 2 8 . 6 2 6 . 3 2 4 . 3
4 6 0 4 0 4 0 6 0 6 1 5 5 9 7 2 5 . 2 1 8 . 3 1 9 . 9
5 6 0 4 0 3 0 7 0 6 3 0 6 1 9 1 7 . 9 2 2 . 2 2 1 . 7
6 100 0 5 0 5 0 6 7 5 6 4 8 2 3 . 8 3 4 . 6 2 7 . 7
7 100 0 3 0 7 0 7 5 3 7 4 0 2 5 . 3 2 1 . 1 2 5 . 9
8 8 0 2 0 5 0 5 0 6 4 5 6 2 5 2 1 . 0 2 1 . 4 1 9 . 6
9 8 0 2 0 3 0 7 0 7 0 4 6 7 8 2 2 . 2 2 1 . 7 2 1 . 7
1 0 7 0 3 0 6 0 4 0 6 0 5 5 8 8 1 7 . 5 2 5 . 6 2 6 . 5
1 1 5 0 5 0 3 0 7 0 ϋ 0 4 5 9 2 2 1 . 4 1 9 . 6 1 8 . 9
1 2 6 0 4 0 2 0 8 0 6 5 2 6 4 2 1 9 . 1 1 0 . 8 1 9 . 5
1 3 9 0 1 0 7 0 3 0 6 5 2 6 3 5 2 2 . 3 6 . 8 6 . 6
1 4 7 5 2 5 7 0 3 0 5 7 5 5 7 2 2 0 . 2 2 1 . 1 1 2 . 2
1 5 4 0 6 0 4 0 6 0 5 7 5 5 6 5 6 . 5 5 . 6 7 . 5
1 6 1 00 0 1 0 9 0 8 2 7 8 2 1 8 . 1 9 . 4 9 . 3
1 7 6 0 4 0 1 0 9 0 6 8 5 6 7 1 1 2 . 3 1 2 . 8 1 3 . 6
1 8 3 3 6 7 6 7 3 3 6 4 8 6 3 8 1 7 . 1 1 5 . 8 1 3 . 4
1 9 4 0 6 0 6 0 4 0 6 2 0 6 0 6 8 . 4 1 4 . 7 1 1 . 7
2 0 4 0 6 0 7 0 3 0 6 4 3 6 3 0 1 1 . 9 1 4 . 7 1 1 . 7
2 1 3 0 7 0 7 0 3 0 6 5 5 6 3 8 1 5 . 8 1 1 . 2 1 5 . 4
2 2 3 0 7 0 6 0 4 0 6 3 0 6 2 0 1 1 . 3 5 . 5 9 . 1
2 3 5 0 5 0 5 0 5 0 5 9 0 5 7 5 1 0 . 1 7 . 6 1 0 . 4
2 4 5 0 5 0 8 0 2 0 6 3 0 6 2 2 1 1 . 6 1 . 9 6 . 8
2 5 4 0 6 0 8 0 2 0 6 5 2 6 4 4 3 . 5 2 . 9 5 . 2
2 6 6 0 4 0 7 0 3 0 6 0 2 5 8 9 1 4 . 7 1 2 . 9 9 . 6
2 7 2 0 8 0 5 0 5 0 5 9 5 5 8 8 1 0 . 8 1 1 . 4 9 . 5
[0035] また、図 8に、カリウムイオンの陽イオン比及び炭酸イオンの陰イオン比と、溶融温 度 (液相線温度)との関係 (Na-K-Cト CO系の状態図)を示し、図 8中に、表 1に示し
3
た各組成について、試料番号に対応させて示している。また、図 8中に、 K+0mol%, CO 2— Omol%の場合の NaClの液相線温度、 Na+0mol%, CO 2— Omol%の場合の
3
KC1の液相線温度、 K+0mol%, Cl—0mol%の場合の Na COの液相線温度、 Na+0
2 3
mol%, CrOmol%の場合の K COの液相線温度も示している。なお、図 8において
2 3
、太線で共晶線を示している。
[0036] ところで、表 1,表 2,及び図 6A〜図 6C,図 7A,図 7B,及び図 8から明らかなよう に、 XK+を、 0〜50mol%とし、 YCO 2を 30〜80mol%とした領域内において、抗折
3
試験の結果に高い抗折強度が得られている。また、 XK+を、 0〜40mol%とし、 YCO を 50〜70mol%とした領域内にお!/、て、特に高 1、抗折強度が得られて 、る。
[0037] 次に、抗折強度の測定について説明する。抗折強度の測定は、所定の寸法とした 角柱状の試験片を作製し、この試験片に荷重をかけ、破壊に要した最大荷重より抗 折荷重を求める。先ず、試験片の作製について説明する。所定の金型を用い、図 9 A及び図 9Bに示すような棒状の試験片 901を形成する。使用した金型は、例えば、 SCM440Hなどのクロームモリブデン鋼から構成されたものである。図 9Aでは、金型 に半凝固状態の溶湯を充填するにあたって用いた押し湯の部分 902も示しているが 、抗折強度の測定においては、部分 902を切り取る。なお、図 9Aは側面図,図 9Bは 図 9Aの b—b位置での断面図を示し、図中に示している寸法は、金型における設計 値である。
[0038] 上述したようにして作製した棒状の試験片 901の、抗折強度の測定は、図 10に示 すように、先ず、試験片 901の中央部に間隔が 50mm開いた状態で配置された 2つ の支持部 1001で試験片 901を支持する。このように支持された状態で、 2つの支持 部 1001の中間箇所において、間隔が 10mmとなる 2箇所の荷重部 1002により、試 験片 901に荷重をかける。試験片 901にカ卩える荷重を徐々に大きくしてゆき、試験片 901が折れたときの荷重を表 1に示す抗折荷重とした。
[0039] ここで、抗折強度 σ (MPa)は、抗折荷重 Pより「 σ = 3LP/BH2Jの式により求める ことができる。上記式において、 Hは試験片の断面における荷重方向の長さを示し、 Bは試験片の断面における荷重方向に垂直な長さを示し、 Lは支点となる支持部 10 01から荷重が加わる荷重部 1002までの間隔である。ところで、試験片 901は、固液 共存の状態の溶湯を上記金型に流し込むことで形成して 、るが、湯じわやひけ巣が 全くなぐかつ型どおりの寸法に完全に一致した形状にはなりにくい。このため、抗折 強度の算出は、試験片の断面が長方形であるものと近似し、 H = 20mm, B= 18m m, L = 20mmとして計算している。この近似をすることで,実際の強度より 0〜20% 程強度を低く見積もる状態になり、例えば、抗折荷重 1200Nで破断した試験片は, 抗折強度 lOMPaの強度をもつ理想的な試験片より強いものと考えることができる。
[0040] 次に、本発明の実施例における他の塩中子の製造方法について説明する。以下 では、溶湯を型 (金型)の中に圧力をかけて充填して塩中子 2を製造する場合にっ ヽ て説明する (ダイカスト铸造法)。るつぼは、タンマン管と同じ材質の稠密質アルミナる
つぼを使用する。このるつぼに、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,塩ィ匕ナトリウム,及び 塩化カリウムからなる所定量の混合塩を入れて加熱炉中に収容して昇温する。昇温 では、るつぼ保護のため、目標の温度にまで 14時間程度かけて徐々に昇温する。
[0041] 目標温度は、混合塩のモル成分比に応じた液相線温度より 10〜30°C高 、値とし、 到達した後は、当該温度に保持しておく。また、金型及び射出スリーブの温度は、 18 0〜220°C程度にしておく。なお、金型は、型温度を 250°C位に加熱可能なものがよ い。また、铸造射出圧力を最高 120MPa程度の高圧で、铸巣をつぶすことが可能な ものがよい。
[0042] 次に、るつぼ内で溶融している混合塩の溶湯を、柄杓でくみ上げる。ただし、くみ上 げる前に、柄杓は、バーナーなどの加熱手段により 500〜600°C程度に加熱する。る つぼ内より溶湯を柄杓でくみ上げると、この時点より溶湯は柄杓に徐々に熱を奪われ て温度が液相線温度より低くなり、固液共存状態となる。この際、移動中の柄杓内で 溶湯が揺れて撹拌され、初晶が粒状に析出する。このようにしてるつぼ力 射出スリ 一ブに溶湯を運搬注湯する工程の柄杓の中で、混合塩の溶湯は固液共存状態にな る。
[0043] このようにして半凝固状態となった混合塩の溶湯を射出スリーブに注ぎ込むと、スリ ーブ内でも半凝固状態が進行し、続いて高圧でキヤビティ内に射出する。溶湯を充 填した後,铸造圧力を型内に加え続ける。例えば、プランジャを前進させる油圧シリ ンダの圧力比率で 120MPaの圧力を型内に加える。この過程では、凝固が進む中 で起きる凝固収縮を補給するように、プランジャを前進させて 120MPaの圧力の印加 を継続する。凝固時間は、 65〜75秒程度である。凝固の過程の中で、凝固収縮が 補給できる間はプランジャを前進させ続けて 120MPaの圧力をカ卩え続ける。
[0044] 以上のように、溶湯を型の中に圧力をかけて充填して凝固させた後、凝固した中子 を型より取り出す。型が開くときに固定型力も素材が上手に離れるように,固定型に 押しピンとリターンピンを入れておくとよい。取り出した塩中子は、徐々に冷却し、冷 却した塩中子は乾燥した容器内に収容すればよい。
[0045] このように、固液が共存する半凝固の状態とした混合塩の溶湯を、金型に高圧注入 して製造した塩中子の製造条件と強度測定結果について一例を示す。
[0046] 条件は次の通りである。
(1)この強度測定を行った試験片は、図 9A及び図 9Bと同様に、ほぼ直方体の形状 とした。
(2)溶湯は、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,塩ィ匕ナトリウム,及び塩ィ匕カリウムを混合し 、これらを融解して作製し、全陽イオン中のカリウムイオンのモル成分比 XK+(= [K+] Z( [Na+] + [K+]) X 100)が 30mol%、全陰イオン中の炭酸イオンのモル成分比 Y CO 2— (= [CO 2— ]/ ( [CO 2— ] + [CI—]) X 100)が 54mol%となるように調整した。
3 3 3
(3)混合塩の液相線温度は、 630°Cである。
(4)るつぼに収容した混合塩を 14時間かけて液相線温度の 630°Cを越えるまで徐 々に昇温して溶解し、溶湯温度を 640〜660°Cの状態で保持した。なお、温度制御 は自動制御で行った。
(5)柄杓を 500〜600°Cに加熱。
(6)柄杓で溶湯をくみ上げ、柄杓内で 630° 以下まで冷却。→半凝固状態にする。
(7)スリーブ温度及び金型温度は、 180〜220°Cとした。
(8)混合塩の溶湯の温度が射出スリーブ内で 620°Cのときに、この溶湯を後述する 射出カーブのように金型に高圧注入した。混合塩の溶湯が 620°Cのときには、固液 が共存する半凝固の状態である。
[0047] ここで、キヤビティー内の圧力を、図 11に示すゲート部の部分 1101とこれより型の 内部側の部分 1102との 2箇所に設けた押しピンに掛カる圧力で測定すると、図 12の 射出カーブに示すように、共に約 60MPaであった。図 12において、実線が部分 110 1における測定結果を示し、波線が部分 1102における測定結果を示している。また 、測定される圧力は、射出開始時点より型を開放する凝固終了時点の直前 (約 5秒 前)にかけて、約 60MPaとほぼ一定の状態が維持され、型開き時点において急激に 低下した。なお、実際には、測定される圧力は図 12のようにわずかずつ降下している 。これは、塩中子が、表面力も凝固して圧力が伝わりに《なるためと考えられる。また 、ゲート部より先に、型の内部側の圧力の方が先に圧力降下する指向性凝固の状態 が示された。なお、前述したように、プランジャには約 120MPaの圧力をかけた力 射 出スリーブ内でジエル状に凝固した一部の溶湯がプランジャの駆動の妨げになり、実
際にキヤビティ内の溶湯に加わった圧力は 60MPa程度であったものと考えられる。
[0048] アルミニウムなどの金属のダイカストの場合は、溶湯は熱伝導性がよぐ凝固時間が 短ぐ多くの場合は、型の末端部より先に中間部が先に凝固し、型の末端部にまで十 分に溶湯が補給できないことがある。これに対し、塩の溶湯は、熱伝導性が低ぐ凝 固にアルミニウムの 3倍程度の時間がかかるため、図 12に示すように、型開きまでキ ャビティ全体にほぼ一定圧力をカ卩ぇ続けることが可能である。このように、型開きまで キヤビティーに対して常に同一の圧力を加え、又は、キヤビティーに対して加える圧 力を型開きまでの間に徐々に同一の変化量で変化させるなど、型を開くまでキヤビテ ィ一に圧力を均一にかけることが、高 、強度を得る条件である。
[0049] 上述したように製造した試験片について、前述同様に抗折強度測定を行った結果 、以下の表 3,表 4に示すように、 40MPaを越える高い強度が得られた。一般に現状 用いられて 、るプレス成形した後で焼結して製造されて 、る塩中子では、約 20〜37 MPaの抗折力が得られている(文献 4 :US3, 963, 818)。本実施例によれば、より 高い抗折力が得られている。また、プレス成形した後で焼結して製造されている塩中 子では、ウォータージャケットなどの複雑な形状は不可能であるが、本実施例によれ ば、複雑な形状の塩中子が容易に製造可能である。また、本実施例における塩中子 は、溶融塩を凝固させて形成しているため、金型の表面状態が塩中子の表面状態に 反映されるようになり、平滑な表面が得られる。このため、本実施例による塩中子を用 いた铸造物においては、塩中子が接する部分が、高い平滑性を備えた状態に形成 されるようになる。
[0050] [表 3]
表 3
[0051] [表 4]
表 4
[0052] なお、上述では、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,塩ィ匕ナトリウム,及び塩化カリウムの 混合塩を用いるようにした力 これに限るものではない。例えば、炭酸カリウム,塩ィ匕 ナトリウム,及び塩ィ匕カリウムを混合してもよぐ炭酸ナトリウム,塩ィ匕ナトリウム,及び 塩ィ匕カリウムを混合してもよい。また、臭化ナトリウム,臭化カリウム,ヨウ化ナトリウム, ヨウ化カリウム,塩ィ匕カルシウム,硝酸カリウム,硝酸ナトリウム,硫酸カリウム,硫酸リ チウム,硫酸マグネシウム,硫酸ナトリウム,炭酸バリウム,及び炭酸カルシウムなどの 他の塩が混合されていてもよい。また、これらに、強化用のセラミックスや他の強化剤 などが含まれていてもよい。
[0053] 次に、本発明の実施例に係る铸造用塩中子の他の使用形態について図 13及び図 14を用いて説明する。図 13は、本発明に係る铸造用塩中子を使用して铸造した場 合のシリンダブロックの斜視図で、同図は一部を破断した状態で描いてある。図 13に おいて、符号 1301で示すものは、本発明に係る铸造用塩中子としての塩中子 1302 を使用して铸造されたアルミニウム合金よりなるエンジン用シリンダブロックである。塩 中子 1302は、図 1に示す塩中子 2と同様にして製造されたものである。このシリンダ ブロック 1301は、自動二輪車用水冷式 4サイクル単気筒エンジンの一部であり、ダイ カスト铸造法によって所定の形状に成形されて 、る。
[0054] 図 13に示すシリンダブロック 1301は、シリンダボア 1303,シリンダボア 1303を有 するシリンダボディ 1304力も構成されている。なお、図示していないが、シリンダボデ ィ 1304の下部には、クランクケースが取り付けられ、軸受けを介してクランク軸を回転 自在に軸支している。
[0055] シリンダボディ 1304は、いわゆるクローズドデッキ型のものであり、塩中子 1302を 用 、てウォータージャケット 1306力内部に形成されて!、る。ウォータージャケット 130 6は、冷却水通路形成部(図示せず),冷却水入口(図示せず),主冷却水通路 130
9,連通路 1310を含んで構成されている。冷却水通路形成部は、シリンダボディ 130 4の一側部に突設されている。また、冷却水入口は、冷却水通路形成部に形成され ている。主冷却水通路 1309は、冷却水通路形成部の内部に形成された冷却水供 給通路(図示せず)に連通されるとともにシリンダボア 1303の周囲を覆うように形成さ れている。また、連通路 1310は、主冷却水通路 1309から図 13において上側へ延 びてシリンダボディ 1304の上端の図示していないシリンダヘッドとの合わせ面 1304 aに開口している。
[0056] 上述したウォータージャケット 1306は、冷却水入口(図示せず)から流入した冷却 水を冷却水供給通路によってシリンダボアの周囲の主冷却水通路 1309に供給し、 さらに、この冷却水を主冷却水通路 1309から連通路 1310を通してシリンダヘッド( 図示せず)内の冷却水通路に導くように構成されている。このようにウォータージャケ ット 1306が形成されることにより、このシリンダボディ 1304は、シリンダヘッドが接続さ れる上端の合わせ面 1304aにウォータージャケット 1306の連通路 1310が開口する 他は、シリンダボディ 1304の天井壁 (合わせ面 1304aを形成する壁)で覆われること になりクローズドデッキ型の構成となる。
[0057] ウォータージャケット 1306を形成するための塩中子 1302は、図 14の写真にも示す ように、ウォータージャケット 1306の各部を一体に接続した形状に形成されている。 図 13にお!/、ては、塩中子 1302の形状(ウォータージャケット 1306の形状)を理解し 易いように、シリンダボディ 1304の一部を破断した状態で描いてある。なお、符号 13 11は、カム軸駆動チェーン用通路を示し、符号 1312は、チェーンテンショナ一取り 付け穴を示している。
[0058] 図 13 (図 14)に示す塩中子 1302は、前述した塩中子 2と同様に、炭酸ナトリウム, 塩ィ匕ナトリウム,及び塩ィ匕カリウムなど複数の塩を使用し、例えば半凝固などの固液 共存の状態で铸造を行うダイカスト铸造法によってウォータージャケット 1306の形状 となるように形成されている。なお、塩中子 1302は、ダイカスト铸造法の他に、例えば グラビティ铸造法など、他の铸造法を用いることによつても形成することができる。ダイ カスト铸造法を用いる場合の塩中子 1302の形成では、先ず、後述する複数の塩から なる混合物を加熱して溶融させ溶湯を造る。次に、この溶湯の温度を低下させて半
凝固(固液共存)の状態とし、半凝固の状態の溶湯を塩中子用の金型に高圧注入し て凝固させ、凝固後に金型力 取り出すことによって行う。
[0059] 塩中子 1302は、図 13に示すように、冷却水入口と冷却水供給通路とを形成する 冷却水通路形成部(図示せず)と、シリンダボア 1303の周囲を囲む形状の環状部 13 02bと、環状部 1302bから上方へ突出する複数の凸部 1302aとが全て一体に形成 されている。これらの凸部 1302aによってウォータージャケット 1306の連通路 1310 が形成される。塩中子 1302は、従来よく知られているように、铸造時には幅木(図 13 には示さず)によって金型(図示せず)内の所定の位置に支持されており、铸造後に 温水または蒸気によって溶解させて除去する。
[0060] 塩中子 1302を铸造後に除去するためには、塩酸と温水などからなる溶解液が貯 留された溶解槽 (図示せず)にシリンダブロック 1301を浸漬させることによって行うこ とができる。シリンダブロック 1301を溶解液中に浸漬させることにより、塩中子 1302 における冷却水通路形成部(図示せず)の冷却水入口と、合わせ面 1304aに露出す る凸部 1302aとが溶解液に接触して溶解する。この溶解部分は、徐々に拡がり、最 終的に全ての部位が溶解する。このような中子除去工程では、ウォータージャケット 1 306内に残存した塩中子 1302の溶解を促進するために、穴力も圧力をもって温水ま たは蒸気を吹き付けるようにしてもよい。塩中子 1302は、凸部 1302aが形成される 部位に凸部 1302aの代わりに幅木を挿入することもできる。
[0061] 上述したように、本発明によれば、円環状の塩中子 1302が容易に形成可能である 。なお、図 14の写真に示す幅木の領域は、図 13の合わせ面 1304aより上部に突出 する領域である。また、図 14の写真に示すオーバーフロー,ゲート,ランナー,及び ビスケットの部分は、塩中子 1302を铸造した段階では形成されているが、塩中子 13 02をシリンダブロック 1301の铸造に用いる段階では削除される。
[0062] 本発明は、アルミニウムダイカスト等の铸造における中子として、好適に用いられる