明 細 書
PKC-iotaを用レ、た化合物の評価方法
技術分野
[0001] 本発明は、 PKC-iotaを用いた化合物の評価方法及び当該方法によって得られた 化合物に関する。また、 PKC-iota阻害剤の効果を予測する遺伝子'タンパク質マー カーに関する。
背景技術
[0002] 癌細胞において遺伝子に異常が見られることは広く知られており、これまでに多く の癌遺伝子や癌抑制遺伝子が見出されている。また、正常細胞が癌化するには複 数の遺伝子の異常を要する多段階発癌機構が存在することが明らかにされている。 具体的には、正常細胞の癌化には、 DNA修復遺伝子、癌抑制遺伝子及び癌遺伝子 を含む複数の遺伝子異常の蓄積が必要とされて!/、る。
[0003] なかでも、癌抑制遺伝子として知られる p53は、当初、腫瘍ウィルスである SV40の T 抗原と複合体を形成する分子として発見された (非特許文献 1)。その後、 p53遺伝子 が多くの癌で欠失が見られる 17番染色体の短腕(17pl3)に存在し、対立遺伝子の双 方が欠失と変異により不活性化されている癌抑制遺伝子であることが明ら力、となった (非特許文献 2)。また、その遺伝子産物は 393アミノ酸からなる転写制御因子で、 4量 体を形成して機能することが明ら力、となっている。さらに、細胞周期に関与する p21、 1 4-3-3、アポトーシスに関与する bax、 PIG3、 GADD45等、非常に多くの遺伝子が p53 の標的遺伝子として同定されており、 p53に異常が生じることにより標的遺伝子の転 写制御に異常を来たすと考えられる。
[0004] 実際、 p53遺伝子の変異は、肺癌では 70%、胃癌では 45%、乳癌では 30%、大腸 癌では 65%、膀胱癌では 61 %、勝臓癌では 70%にのぼることが明ら力、となっており、 他の癌抑制遺伝子と比較しても顕著に高!/、。
[0005] このような状況の下、 p53遺伝子の変異や機能異常と疾患との関連に関する研究が 盛んになされている。例えば、 Soussiらは 15000例以上にのぼる p53の変異をデータ ベース化しており(非特許文献 3)、 p53の DNA結合ドメイン領域内に位置するコドン 1
75、 245、 248、 273等には変異が頻発することを示している。また、ある種の肝細胞癌 では、 DNA結合ドメイン内のコドン 249には Argから Serへの変異が認められることが明 らかにされている(非特許文献 4)。また、紫外線によって生じる皮膚癌においても p53 遺伝子中の CCがチミンダイマー化して!/、ることが報告されて!/、る(非特許文献 5)。こ のように、 p53は多くの癌の発症に大きな影響を及ぼしているため、 p53異常細胞にお V、てのみ有効な創薬標的遺伝子の同定が望まれて!/、る。
[0006] 一方、 PI3キナーゼは、 85kD (p85)と UOkD (pl lO)のサブユニットからなる。 p85サブ ユニットはキナーゼ活性部位を有さな!/、が、 p85サブユニットに存在する SH2ドメインを 介して膜結合受容体と会合するアダプタータンパク質として機能している。一方、 pl l 0サブユニットは、キナーゼ活性を有する触媒サブユニットとして機能し、両サブュニ ットがー体となって細胞内情報伝達を司るリン酸化酵素として機能している。
[0007] PI3キナーゼは、様々な増殖因子受容体を介した刺激によって活性化され、ホスフ ァチジルイノシトール- 4,5-二燐酸 (PIP2)をリン酸化して、ホスファチジルイノシトール- 3,4,5-三燐酸 (PIP3)を生成し、さらに下流の主に Aktを介するシグナルを活性化する 。 Aktも癌遺伝子として知られる分子である。また、 PIP3を基質として PI3キナーゼ経路 を負に制御している癌抑制遺伝子 PTENの変異も癌化の原因となることが知られてお り、 PI3キナーゼ経路の異常は癌化に重要な役割を果たしている。 PI3キナーゼは、正 常細胞において PIP3を介して下流に存在する PDK1、 Akt、プロテインキナーゼ Cを活 性化することが報告されている(非特許文献 6)。また、 atypical PKCの一種であるプ 口ティンキナーゼ C-zetaは PDK-1によって活性化されるとの報告もある(非特許文献 8)。さらに、 atypical PKCの一種であるプロテインキナーゼ C_zetaとプロテインキナー ゼ C-1讓 bdaとがインシュリン刺激によって活性化された PI3キナーゼの下流に位置す ることが報告されて!/、る(非特許文献 9)。
[0008] また、 p53の変異は PTENの発現を減少させることも知られており、 p53パスウェイと PI 3キナーゼパスウェイとは互いにクロストークしながら、細胞の増殖、生存に不可欠な 役割を果たしている。
[0009] PI3キナーゼ(Phosphatidyl Inositol 3-kinase)も p53と同様にその変異が種々の癌の 原因となっていることが知られている。例えば、子宮内膜癌、腸癌、乳がん、卵巣癌な
ど、多くの癌において p85及び pi 10のいずれのサブユニットにも変異が見られることが 報告されて!/、る(非特許文献 7)。
[0010] 一方、 PKC (Protein kinase C)は、 1970年代に発見されたセリンースレオニンリン酸 化酵素である。 PKCは、受容体刺激等によって細胞質膜から産生されるジァシルグリ セロールと、同時に産生されるイノシトール三リン酸によって誘導された Ca2+により活 性化される。活性化された PKCは、基質タンパク質をリン酸化することにより所定の細 胞応答を生じさせ、生理機能を発揮させる。哺乳類の PKCはその構造上の違いから 大きく、 cP C(conventional PKC), nP C(novel PKC)及び aPKC(atypical PKC)の 3種 類に分類される。 cPKCの調節領域には、ジァシルグリセロールやホルボールエステ ルが作用する 2つの C 1ドメインと、カルシウムが結合する C2ドメインが存在する力 nP KCには C2ドメイン力 aPKCには一つの C 1ドメインが欠損している。
[0011] P C-iota (P C- ι :配列番号 1及び 2)は aPKCに分類されるセリンースレオニンリン 酸化酵素として、既知の PKCの触媒部位において塩基配列が高度に保存された部 位の配列を元に degenerate PCRにより単離された(非特許文献 10)。 PKC-iotaは 587 アミノ酸からなるタンパク質であり、 aPKCに属する PKC- ζと 72%の相同性を有する。
[0012] PKC-iotaの生理機能に関してはまだ不明な点が多いが、 Jin Ζ·らは、ニコチン(nico tine)のニトロソ化によって生じる発癌物質である Nitrosamine 4-(Methylnitrosamine)- l-(3-pyridyl)-l-butanone (NNK)が、 PKC_iotaを介して Bcl2ファミリーに属する Badを リン酸化することにより Badのアポトーシス促進機能を止め、結果的に肺癌細胞の生 存を維持すると報告している(非特許文献 1 1)。すなわち、 PKC-iotaは、癌細胞の生 命維持を司るシグナル伝達経路において、アポトーシスを誘導する Belファミリーを直 接リン酸化している。
[0013] 非特許文献 1: J.Virol.、第 31巻、 463頁、 1979年
非特許文献 2 : N.Engl.J.Med.、第 319巻、 525頁、 1988年
非特許文献 3 : Nuclek.Acids.Res.、第 22巻、 3551頁、 1994年
非特許文献 4 : Nature、第 350巻、 427頁、 1991年
非特許文献 5 : PNAS、第 88巻、 10124頁、 1991年
非特許文献 6 : Science、第 281巻、 2042頁、 1998年
非特許文献 7 : Cancer Cell,第 12巻、 104頁、 2007年
非特許文献 8 : Curr. Biol.,第 8巻、 1069頁、 1998年
非特許文献 9 : J. Cell Biol. ,第 164巻、 279頁、 2004年
非特許文献 10 :J.Biol.Chem.、第 268巻、 24296頁、 1993年
非特許文献 l l :J.Biol.Chem.、第 280巻、 16045頁、 2005年
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0014] しかしながら、 PKC-iotaと p53との関連については何ら知見がなぐ PKC-iotaを p53 変異細胞特異的に有効な抗癌剤標的遺伝子とすることの可能性については何ら示 唆がないのが現状であった。また PKC-iotaと PI3キナーゼとの間には正常細胞にお V、て PI3キナーゼの下流で PKC_iotaや aPKCが機能して!/、ることを示す報告はあった ものの(非特許文献 6、 8及び 9)、癌細胞における PKC-iotaの活性化の機序につい ては知見がなぐ PKC-iotaの発現と PI3キナーゼに起因する癌との関連についても知 見はないのが現状であった。また、 p53又は PI3キナーゼの異常を原因とする癌細胞 で特異的に有効な抗癌剤標的遺伝子についても知見が少なぐ創薬標的遺伝子と してより多くの情報が望まれているのが現状であった。
[0015] 本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、 p53又は PI3 キナーゼの異常を原因とする癌細胞で特異的に有効な抗癌剤標的遺伝子を見出し 、当該遺伝子を用いた化合物の評価を可能とすることを目的とする。
課題を解決するための手段
[0016] 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、 PKC-iotaの発現を 抑制することにより変異型 p53又は変異型 PI3キナーゼを有する細胞の増殖が抑制さ れること、その際、 PKC-iotaが BADのリン酸化を介して細胞増殖を制御していること、 すなわち、 PKC-iotaの阻害によって BADが脱リン酸化され、 Be卜 XLの機能抑制を介 してアポトーシスを誘導していることを見出した。言い換えれば、 p53又は PI3キナーゼ に変異を有する癌細胞において、 PKC-iotaの発現又は活性を阻害することによりァ ポトーシスを誘導可能であることを見出し、本発明を完成した。また、本発明者らは、 PKC-iotaを阻害することにより発現が増加又は減少し、 PKC-iota阻害剤の薬効予測
のマーカーとして使用し得る一連の遺伝子群を見出し、本発明を完成した。
[0017] すなわち、本発明の化合物の評価方法は、癌の治療に有効な化合物の評価方法 であって、 PKC-iota遺伝子を導入し、 PKC-iotaを発現する細胞を調製する工程と、 当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該 PKC-iotaに対する該被検化合物 の特異的結合を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
[0018] また、本発明の化合物の評価方法は、癌の治療に有効な化合物の評価方法であ つて、 PKC-iota遺伝子を導入し、 PKC-iotaを発現する細胞を調製する工程と、当該 細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該接触により生じた細胞内情報伝達物質 の活性を測定する工程と、当該活性と被検化合物を接触させな!/、場合の該細胞内 情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含むことを特徴とする。
[0019] さらに、本発明の化合物の評価方法は、癌の治療に有効な化合物の評価方法であ つて、 PKC-iota遺伝子を導入し、 PKC-iotaを発現する細胞を調製する工程と、当該 細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該 PKC-iotaの発現レベル又は PKC-iota を介した細胞内情報伝達物質の発現レベルを測定する工程と、を含むことを特徴と する。
[0020] ここで、上記化合物の評価方法において、前記細胞内情報伝達物質が、 BAD, LL
GL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKからなる群より選 択される!/、ずれか一つであることが好まし!/、。
[0021] また、本発明の化合物の評価方法は、癌の治療に有効な化合物の評価方法であ つて、被検化合物を、 PKC-iotaに接触させる工程と、当該接触による PKC-iotaの活 性の変化を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
[0022] さらに、本発明の化合物の評価方法は、癌の治療に有効な化合物の評価方法であ つて、 BAD又は LLGL2存在下で、被検化合物を PKC-iotaに接触させる工程と、当該 接触による PKC-iotaの活性の変化を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
[0023] ここで、上述した化合物の評価方法すべてにおいて、癌が p53の機能異常に起因 するものである場合に好適に適応可能である。
[0024] また、上述した化合物の評価方法すべてにお!/、て、癌が PI3キナーゼ(Phosphatidyl
Inositol 3-kinase)の機能異常に起因するものである場合に好適に適応可能である。
[0025] また、本発明の診断方法は、被検組織又は被検細胞における、 PKC-iota遺伝子の 発現量を測定する工程と、当該発現量と正常組織又は正常細胞における PKC-iota 遺伝子の発現量とを比較する工程と、比較した結果、被検組織又は被検細胞におけ る PKC-iota遺伝子の発現量が正常組織又は正常細胞における PKC-iota遺伝子の 発現量より有意に多レ、か否力、を判断する工程と、を含むことを特徴とする。
[0026] さらに、本発明の診断方法は、被検組織又は被検細胞における、 PKC-iotaの活性 を測定する工程と、当該活性と正常組織又は正常細胞における PKC-iotaの活性とを 比較する工程と、比較した結果、被検組織又は被検細胞における PKC-iotaの活性 が正常組織又は正常細胞における PKC-iotaの活性より有意に高いか否かを判断す る工程と、を含むことを特徴とする。
[0027] また、本発明の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法は、 PKC-iota阻害剤 を投与した被検体由来の組織における PKC-iotaの活性を測定する測定工程と、 PK C-iota阻害剤投与前後の活性を比較する比較工程を含むことを特徴とする。
[0028] さらに、本発明の遺伝子マーカーは、 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断する 遺伝子マーカーであって、当該遺伝子が、 BAD, LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 C LDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKからなる群より選択されるいずれか一つであること を特徴とする。
[0029] ここで、前記遺伝子マーカーを備えるマイクロアレイも本発明に含まれる。
[0030] また、本発明のタンパク質マーカーは、 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断す るタンパク質マーカーであって、当該タンパク質力 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKからなる群より選択されるいずれか一つであるこ とを特徴とする。
[0031] ここで、前記タンパク質マーカーを備えるマイクロアレイも本発明に含まれる。
[0032] また、本発明の癌診断キットは、前記タンパク質マーカーを検出可能な抗体を含む ことを特徴とする。
[0033] さらに、本発明の抗体アレイは、前記タンパク質マーカーを検出可能な抗体を備え ることを特徴とする。
[0034] また、本発明の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法は、 PKC-iota阻害剤
を投与した被検体由来の組織における HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 A T3及び SNF1LKからなる群より選択されるいずれか一つの遺伝子を検出する工程と、 PKC-iota阻害剤投与前後の発現量を比較する工程を含むことを特徴とする。
[0035] ここで、本発明の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法において、検出に 用いる検出手段が PCR又は DNAマイクロアレイであることが好ましい。
[0036] また、本発明の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法は、 PKC-iota阻害剤 を投与した被検体由来の組織における HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AK T3及び SNF1LKからなる群より選択されるいずれか一つのタンパク質の活性を測定 する工程と、 PKC-iota阻害剤投与前後の活性を比較する工程を含むことを特徴とす
[0037] さらに、本発明の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法は、 PKC-iota阻害 剤を投与した被検体由来の組織における BAD又は LGLL2のリン酸化レベルを測定 する工程と、 PKC-iota阻害剤投与前後のリン酸化レベルを比較する工程を含むこと を特徴とする。
発明の効果
[0038] p53又は PI3キナーゼの発現 ·機能異常を原因とする癌に特異的に働くターゲット遺 伝子として PKC-iotaが見出されたことから、当該遺伝子を創薬標的とする化合物の 評価 (例えば、医薬候補化合物のスクリーニング)が可能となる。 p53又は PI3キナー ゼの発現 ·機能の異常を原因とする癌は非常に多種に渡ることから、多くの癌の治療 に有効な化合物の提供が可能となる。また、 PKC-iotaの発現量を指標として診断を 行うことにより、 p53又は PI3キナーゼの発現 ·機能の異常を原因とする癌の診断が可 能となる。また、 PKC- iota阻害剤の薬効予測のマーカーとして BAD、 LLGL2、 HMGB 3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKを使用することが可能となる。 発明を実施するための最良の形態
[0039] 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[0040] 先ず、本発明に力、かる用語につ!/、て説明する。
[0041] 本発明における「PKC_iota」とは、由来となる生物種は特に限定されず、例えば、ヒ ト、サル、マウス、ラット、ィヌ又はゥサギ由来の PKC-iotaが挙げられる。中でも、評価
される化合物の投与対象がヒトであることから、ヒト PKC-iota遺伝子であることが好まし い。
[0042] また、本発明に係る PKC-iota遺伝子には、 PKC-iotaと同等の生理機能を有し、キ ナーゼ活性を有するものであれば 1又は 2以上の塩基の置換、欠失、付加又は揷入 がある遺伝子も含まれる。ここで、当該遺伝子としては、力、かるタンパク質をコードす る遺伝子であればその配列は特に制限されないが、相同性が 90%以上 (例えば、 9 1、 92、 93、 94、 95、 96、 97、 98、 99%以上)であることカ好ましい。
[0043] また、本発明に係る PKC-iota遺伝子には、 PKC-iota遺伝子とストリンジェントな条 件下でハイブリダィズする核酸も含まれる。ここで、「ストリンジェントな条件でハイプリ ダイズする」とは、二つの核酸断片力 Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第 2版、コールドスプリングハーバー(1989)、 9.47-9.62及び 11.45-11.61に記載され たハイブリダィゼーシヨン条件下で、相互にハイブリダィズすることを意味する。より具 体的には、例えば、約 45°Cにて 6.0 X SSCでハイブリダィゼーシヨンを行った後に、 50 °Cにて 2.0xSSCで洗浄する条件が挙げられる。ストリンジエンシー選択のため、洗浄 工程における塩濃度を、例えば低ストリンジエンシーとしての約 2.0xSSC、 50°Cから、 高ストリンジエンシーとしての約 0.2 X SSC、 50°Cまで選択することができる。さらに、洗 浄工程の温度を低ストリンジエンシー条件の室温、約 22°Cから、高ストリンジエンシー 条件の約 65°Cまで上昇させることができる。
[0044] また、本発明に係る PKC_iotaタンパク質には、 PKC_iotaと同等の生理機能を有し、 キナーゼ活性を有するものであれば 1又は 2以上のアミノ酸の置換、欠失、付加又は 揷入があるものも含まれる。ここで、当該タンパク質の配列は特に制限されないが、相 同十生力 80%以上であること力《好ましく、 90%以上(ί列えば、、 91、 92、 93、 94、 95、 9 6、 97、 98、 99%以上)であることカより好ましい。
[0045] 本発明者らは、 PKC-iotaの発現を阻害することにより変異型 ρ53又は ΡΙ3キナーゼを 有する細胞の増殖が抑制されることを見出した。 ρ53又は ΡΙ3キナーゼの発現量は細 胞の癌化と密接な関連があることが知られている。従って、 PKC-iotaの発現量ゃ活 性を測定することにより、 p53又は PI3キナーゼに異常を有する癌の検出をすることが 可能となる。また、 PKC-iotaの発現量と p53の変異又は PI3キナーゼの発現量ととの間
に相関があることから、 p53又は PI3キナーゼの発現量の異常を原因とする p53又は PI 3キナーゼの機能異常による細胞の癌化と PKC-iotaの発現又は活性とは密接な関係 を示す。従って、 PKC-iotaを創薬の標的として PKC-iotaに作用する化合物等を探索 することにより、抗癌剤を得ることが可能となる。
[0046] ここで、本発明に係る「p53の機能異常」とは、 p53遺伝子における塩基の欠失 (例え ばナンセンス変異)、置換 (例えば、ミスセンス変異、ポイントミューテーシヨン)、揷入 、フレームシフト等を原因とするものが考えられる力 S、本発明の対象としては、機能異 常の原因は特に限定されず、これらのいずれが機能異常の原因であってもよい。
[0047] また、 p53の機能異常の具体例としては、 p53タンパク質の転写活性が低下又は活 性化する場合や、転写が全く起こらない場合が挙げられるが、活性には異常を認め ないがコードされる遺伝子には変異を生じている場合も含まれる。具体的には、例え ば、 p53との関与が示唆されている Li— Fraumeni Syndrome (Science、第 250巻、 1233 頁、 1990年)、肝細胞癌(Nature、第 350巻、 377頁、 1991年)、骨原性肉腫(Proc Nat 1 Acad Sci USA、第 84巻、 7716頁、 1987年)、横紋筋肉種(Proc Natl Acad Sci USA,第 87巻、 5863頁、 1990年)、結腸癌(Science、第 244巻、 217頁、 1989年)、肺癌 (Science、第 246年、 491頁、 1989年)、グリア芽細胞腫(Am. J. Hum. Genet.、第 47 巻 (suppl.)、 A4、 1990年)、食道癌(Proc Natl Acad Sci USA、第 87巻、 9958頁、 19 90年)、膀胱癌(Science、第 252巻、 706頁、 1991年)、扁平上皮癌(Proc Natl Acad Sci USA,第 88巻、 10124頁、 1991年)、子宮頸癌(Lancet、第 339巻、 1070頁、 1992 年)、肺癌(Proc Natl Acad Sci USA、第 89巻、 7262頁、 1992年)、白血病 'リンパ IKJ Clin Invest.、第 90巻、 653頁、 1992年)が挙げられる。
[0048] また、本発明に係る「PI3キナーゼの機能異常」とは、 PI3キナーゼ遺伝子における 塩基の欠失(例えばナンセンス変異)、置換 (例えば、ミスセンス変異、ポイントミュー テーシヨン)、揷入、フレームシフト等を原因とするものが考えられる力 本発明の対 象としては、機能異常の原因は特に限定されず、これらのいずれが機能異常の原因 であってもよい。
[0049] また、 PI3キナーゼの機能異常の具体例としては、 PI3キナーゼの活性が低下又は 活性化する場合や、リン酸化が全く起こらない場合が挙げられるが、活性には異常を
認めないがコードされる遺伝子には変異を生じている場合も含まれる。具体的には、 例えば、子宮内膜癌、腸癌、乳がん、卵巣癌、が挙げられる。
[0050] 本発明における「被検組織」とは、癌の検査対象となる生体から抽出可能な組織で あり、 p53の関与を検討する必要のある癌組織や、癌診断の必要があると認められる 組織であればその種類は特に限定されな!/、。力、かる組織の例としては、ヒトの各種組 織のほか、例えば、神経芽腫、網膜芽細胞腫、脳腫瘍、頭頸部癌、下垂体腺腫、神 経膠腫、聴神経鞘腫、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、甲状腺癌、胸腺腫、中皮腫、乳癌 、肺癌、胃癌、食道癌、大腸癌、肝臓癌、勝臓癌、瞵内分泌腫瘍、胆道癌、陰茎癌、 外陰癌、腎盂尿管癌、腎臓癌、精巣癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮癌、絨毛性疾患、 膣癌、卵巣癌、卵管癌、卵巣胚細胞腫瘍、皮膚癌、菌状息肉症、悪性黒色腫、軟部 肉腫、骨腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、リンパ浮 腫が疑われる組織が挙げられる。
[0051] また、本発明における「被検細胞」も同様に、癌の検査対象となる生体から抽出可 能な組織であり、 p53の関与を検討する必要のある癌組織由来の細胞や、癌診断の 必要があると認められる組織由来の細胞であればその種類は特に限定されない。か 力、る細胞の例としては、例えば、神経芽腫、網膜芽細胞腫、脳腫瘍、頭頸部癌、下垂 体腺腫、神経膠腫、聴神経鞘腫、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、甲状腺癌、胸腺腫、中 皮腫、乳癌、肺癌、胃癌、食道癌、大腸癌、肝臓癌、勝臓癌、瞵内分泌腫瘍、胆道 癌、陰茎癌、外陰癌、腎盂尿管癌、腎臓癌、精巣癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮癌、 絨毛性疾患、膣癌、卵巣癌、卵管癌、卵巣胚細胞腫瘍、皮膚癌、菌状息肉症、悪性 黒色腫、軟部肉腫、骨腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨 髄腫、リンパ浮腫が疑われる細胞が挙げられる。
[0052] (1)化合物の評価
PKC-iota遺伝子又はタンパク質を用いて、 PKC-iotaに作用する化合物の評価をす ること力 Sできる。 PKC-iotaに対する作用を検出する方法として、被検化合物の PKC-io taに対する特異的結合 (例えば、酵素活性の阻害を生じる結合)を検出する方法、被 検化合物の接触によって変化した遺伝子の発現量を検出する方法、及び、当該接 触によって生じた細胞内情報伝達物質の活性又は発現レベルを測定する方法が挙
げられる。以下、順に説明する。
[0053] 先ず、被検化合物の PKC-iotaに対する特異的結合を検出することにより、被検化 合物を評価する方法につ!/、て説明する。
[0054] 本発明の第 1の化合物の評価方法は、 PKC-iota遺伝子を導入し、 PKC-iotaを発現 する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該 PKC- iotaに対する当該被検化合物の特異的結合を検出する工程と、を含むことを特徴と する。
本発明の化合物の評価方法において、被検化合物としては特に制限はなぐ具体的 には、例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、ペプチド等の単 一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出 物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞 抽出物、真核単細胞抽出物若しくは動物細胞抽出物等を挙げることができる。上記 被験試料は必要に応じて適宜標識して用いることができる。標識としては、例えば、 放射標識、蛍光標識等を挙げることができる。また、上記被験試料に加えて、これら の被験試料を複数種混合した混合物も含まれる。
[0055] また、「特異的結合」とは、 PKC-iotaと被検化合物との結合であって、被検化合物が PKC-iotaに結合することにより、 PKC-iotaの活性及び/又は発現に影響を与えるよう な結合をいう。
[0056] また、 PKC-iota遺伝子を発現する細胞は、当業者が公知の方法で調製すればよく 、具体的な方法としては特に制限はないが、例えば以下の方法によることができる。 すなわち、 PKC-iota遺伝子又はその一部からなる核酸を好適なプロモーター及び転 写調節エレメントを含む発現ベクターにクローユングし、クローニングされた核酸を有 するベクターを宿主細胞に導入することにより調製する。ここで、前記ベクターとして は、発現ベクターとして利用可能なものであれば特に限定されないが、例えば、 pCM V— Tag、 pcDNA3.1、 pBlueBacHis2、 pCト neo、 pcDNAI, pMClneo, pXTl、 pSG5、 pEF l/V5_HisB、 pCR2.1、 ρΕΤ11、 λ gtl l又は pCR3.1が挙げられる。
[0057] 次に、 PKC-iota遺伝子又はその一部からなる核酸が導入された発現ベクターを宿 主細胞に導入する。かかる宿主細胞としては、遺伝子の発現に通常使用されるもの
であれば特に限定されず、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物のいずれであつ てあよく、具体的には、例えば、 C0S1、 COS7、 CHO、 MH/3T3、 293、 Raji、 CV11、 C 1271、 MRC_5、 CPAE、 HeLa、 293T又は Si9が挙げられる。また、発現ベクターを宿主 細胞に導入する方法としては、公知の方法であれば特に限定されないが、具体的に は、例えば、エレクト口ポレーシヨン、リン酸カルシウム法、 DEAE-デキストラン法、リポ フエクシヨン法又は遺伝子銃が挙げられる。
[0058] 次に、このようにして調製した PKC-iotaを発現する細胞に被検化合物を接触させる 。接触させる方法としては特に制限はなぐ PKC-iotaが細胞内に発現した状態であ れば、細胞の培養液や細胞を含む緩衝液に被験試料を添加することにより行うことが できる。
[0059] また、上記のようにして調製した PKC-iotaを発現する細胞を破砕又は可溶化した後 、細胞抽出液を用いて PKC— iotaと被検化合物の接触を行うこともできる。細胞の破 砕方法としては、例えば、ホモジナイザーで細胞を押しつぶす方法、超音波による破 砕を挙げること力 Sできる。また、細胞の可溶化方法としては、例えば、可溶化剤(例え ば、 TritonX-100,コール酸ナトリウム、 NP— 40)を含む緩衝液に細胞を懸濁し、氷上 で静置する方法を挙げることができる。
被験試料がタンパク質の場合には、例えば、当該タンパク質をコードする DNAを含む ベクターを、 PKC-iotaが発現して!/、る細胞へ導入することにより接触させてもょレ、。
[0060] PKC-iotaと被検化合物との結合は、例えば、結合した化合物に付された標識によ る検出(例えば、結合量を放射活性や蛍光強度による検出)のほか、 PKCiotaが基質 タンパク質 (例えば、 BAD、 LLGL2)又は基質ペプチドをリン酸化する反応を被検化 合物が阻害することを指標とした検出(例えば、リン酸化量を放射活性や蛍光強度を 用いた検出)、また、被検化合物の PKC-iotaへの結合によって生じたシグナル伝達 の阻害(例えば、 BAD等の基質タンパク質のリン酸化、アポトーシスの誘導)を指標に 検出すること力 Sできる。基質として BADを用いる場合、 BADにおいてリン酸化を受ける 部位は 112番目、 136番目及び 155番目のアミノ酸であることが本発明者らによって見 出されている。従って、当該部位を含んだ BADの部分ペプチドを基質として使用する ことあでさる。
[0061] PKC-iotaと被検化合物との結合を検出し、被検化合物非存在下において同様に 反応を行った対照区の結果と比較した結果、結合により PKC-iotaの活性が阻害され ている場合には、当該被検化合物は PKC-iota阻害剤として機能する。
[0062] また、本発明の第 2の化合物の評価方法は、 PKC-iota遺伝子を導入し、 PKC-iota を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当 該接触により生じた細胞内情報伝達物質の活性を測定する工程と、当該活性と被検 化合物を接触させなレ、場合の細胞内情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含 むことを特徴とする。
[0063] 本評価方法においては、第 1の化合物の評価方法と同様にして調製した細胞を用 い、細胞に披検化合物を接触させることにより接触により生じた細胞内情報伝達物質 の活性を測定する。
[0064] ここで、細胞内情報伝達物質としては、情報伝達パスウェイにおいて PKC-iotaの下 流に位置し、 PKC-iotaの発現や活性によってその発現や活性に影響を受ける分子 であれば特に限定されず、例えば、 BAD (Accession No. ΝΜ_032989· 1:配列番号 3 及び 4)、 LLGL2 (Accession No. NM_001031803:配列番号 5及び 6)、 HMGB3 (Acce ssion No. NM— 005342 :配列番号 7及び 8)、 NFIB (Accession No. NM— 005596 :配列 番号 9及び 10)、 PXDN (Accession No. NM_012293:配列番号 11及び 12)、 CLDN12 (Accession No. NM_012129 :配列番号 13及び 14)、 RPIA (Accession No. NM.14456 3 :配列番号 15及び 16)、 AKT3 (Accession No. NM_005465 :配列番号 17及び 18) 及び SNF1LK (Accession No. NM_173354:配列番号 19及び 20)を挙げることができ
[0065] 細胞内情報伝達物質の活性の測定は、当該物質の種類に応じて適宜好適な条件 で行えばよい。例えば、転写調節因子である HMGB3であれば、ゲルシフト法や比色 法の ELISAアツセィにより活性測定を行うことができる。また、 BADであれば、 PKC-iot aが活性化して!/、ればそれによつて BADの 112番目、 136番目及び 155番目のアミノ酸 力 Sリン酸化を受け、脱リン酸化することによって BcHdの活性を抑制することから、 Bcl- xlの活性抑制活性を測定することにより BADの活性化状態を測定することができる。
[0066] さらに、本発明の第 3の化合物の評価方法は、 PKC-iota遺伝子を導入し、 PKC-iot
aを発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当 該 PKC-iotaの発現レベル又は PKC-iotaを介した細胞内情報伝達物質の発現レべ ルを測定する工程、を含むことを特徴とする。また、化合物の評価を行った結果、所 望の化合物を選択 (スクリーニング)するには、接触前と比較して、 PKC-iotaの発現レ ベル又は PKC-iotaを介した細胞内情報伝達物質の発現レベルを増加又は減少させ た被検化合物を選択する工程をさらに含んでレ、てもよレ、。
[0067] 本評価方法においては、第 1の化合物の評価方法と同様にして調製した細胞を用 い、細胞に披検化合物を接触させることにより、接触により生じた PKC-iota又は PKC- iotaを介した細胞内情報伝達物質の発現レベルを測定する。
[0068] ここで、 PKC-iotaを介した細胞内情報伝達物質としては、情報伝達パスウェイにお V、て PKC-iotaの下流に位置し、 PKC-iotaの発現や活性によってその発現や活性に 影響を受ける分子であれば特に限定されず、例えば、 BAD, LLGL2、 HMGB3、 NFIB 、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3又は SNF1LKを挙げることができる。
[0069] ここで、当該発現レベルを指標とする場合、発現レベルの測定法は特に制限されな いが、例えば、ノーザンブロッテイング、ウェスタンブロッテイング又は DNAチップが挙 げられる。ここで、本発明における「発現レベル」とは、 PKC-iotaを介した情報伝達パ スウェイ上に存在するタンパク質をコードする遺伝子の転写産物の絶対量又は相対 量をいう。この場合、当該遺伝子には DNA又は mRNAのいずれもが含まれる。また、 発現の検出対象がタンパク質の場合、その「発現レベル」とは、 PKC-iotaを介した情 報伝達経路上に存在するタンパク質の翻訳産物の絶対量又は相対量をレ、う。また、 シグナル伝達上の分子の活性を指標にする場合、活性測定方法は特に制限されず 、測定の対象となる分子の種類によって好適な方法を選択すればよ!/、。
[0070] 一方、単離された PKC-iotaタンパク質を化合物の評価に直接使用することもできる 。すなわち、被検化合物を PKC-iotaタンパク質に接触させ、次に、接触によって生じ た PKC-iotaタンパク質の活性の変化を検出する方法である。
[0071] 力、かる接触の方法としては特に制限はなぐ具体的には、例えば、緩衝液(リン酸緩 衝液、 Tris塩酸緩衝液、 HEPES緩衝液等)等の溶液中で混合することにより接触させ る方法や、 PKC-iotaタンパク質をメンブレン上に固定し、メンブレン上で被検化合物
と接触させる方法が挙げられる。緩衝液中で接触させる場合の反応条件としては、特 に限定されないが、例えば、 ρΗ5·0〜10、好ましくは ρΗ6·5〜8·5、さらに好ましくは ρΗ 7·0〜8·0で、通常、 10〜50°C、好ましくは 20〜40°C、より好ましくは 35〜40°C、さらに 好ましくは 37°Cの条件下、 1分間〜 24時間、好ましくは 5分間〜 10時間、より好ましく は 10分間〜 3時間、さらに好ましくは 30分間〜 1時間インキュベーションすることが挙 げられる。
[0072] 次に、接触によって生じた PKC-iotaの活性の変化を検出する。
[0073] タンパク質の活性測定方法としては、使用するタンパク質の性質により所望の方法 を選択すればよぐ具体的には、例えば、 PKC-iotaに対する適当な基質を準備し、 溶媒中で PKC_iota、基質及び被検化合物の存在下でキナーゼアツセィを実施する 方法が挙げられる。この場合、酵素反応の確認は放射性標識されたリン (例えば、 32P 、 33P)の取り込み等で確認することができる。
[0074] また、 PKC-iotaタンパク質の活性を測定する際に、基質として BAD又は LLGL2を用 V、ることもできる。 PKC_iotaは BAD及び LLGL2を基質として直接リン酸化して!/、ること を、本発明者らは見出している。その際、 BADであれば、 PKC-iotaによって少なくとも BADの 112番目、 136番目及び 155番目のアミノ酸がリン酸化を受けていることから、当 該アミノ酸を含む部分ペプチドを基質として使用することもできる。また、 LGLL2であ れば、 PKC-iotaによって少なくとも LLGL2の 653番目のセリンがリン酸化を受けている こと力 、当該セリンを含む部分ペプチドを基質として使用することもできる。ここで、 基質として当該部分ペプチドを使用する場合、そのアミノ酸数は特に限定されないが 、 BAD及び LGLL2のいずれについても、 8〜50アミノ酸であることが好ましぐ 10〜3 0アミノ酸であること力 り好ましく、 12〜20アミノ酸であることが特に好ましい。
[0075] BADを基質として使用し PKC-iotaの活性を測定する方法としては、公知のリン酸化 検出手段により行うことができる力 例えば、放射性標識されたリン (例えば、 32P)の取 り込みを確認するキナーゼアツセィ、リン酸化 BAD抗体を使用したウェスタンブロット を挙げること力 Sできる。リン酸化 BAD抗体は、公知の方法により作製することができ、 例えば、 BADの 112番目、 136番目及び 155番目のアミノ酸のうち少なくともいずれか のアミノ酸を含むペプチド断片を抗原として使用し、公知の方法に従ってポリクロー
ナル又はモノクローナル抗体を作製すればよ!/、。
[0076] LGLL2を基質として使用し PKC-iotaの活性を測定する方法としては、公知のリン酸 化検出手段により行うことができる力 例えば、放射性標識されたリン (例えば、 32P、 33 P)の取り込みを確認するキナーゼアツセィ、リン酸化 LGLL2抗体を使用したゥエスタ ンブロットを挙げること力 Sできる。リン酸化 LGLL2抗体は、公知の方法により作製する ことができ、例えば、 LGLL2の 653番目のセリンを含むペプチド断片を抗原として使用 し、公知の方法に従ってポリクローナル又はモノクローナル抗体を作製すればよい。
[0077] 以上のように、本発明の化合物の評価方法により化合物の評価をした結果、被検 化合物の存在下における PKC-iotaの活性力 被検化合物の非存在下における結合 活性 (対照)より低い値を示した場合には、当該被検化合物は、本発明に係る PKC-i otaとリガンドとの結合を阻害する活性を有するアンタゴニストと判定される。アンタゴ 二ストは、 PKC-iotaに対するリガンド及びそのアナログが有する生理活性を抑制する 。このため、アンタゴニストは、 p53の機能異常に基づき、 PKC-iotaを介したシグナル 伝達系の異常などに起因する癌の治療などのための医薬組成物として有用である。
[0078] また、本発明の化合物の評価方法により、 PKC-iotaへの被検化合物結合後の細胞 内シグナル伝達を促進又は阻害する物質のスクリーニングを行うことができる。すな わち、本発明の化合物の評価方法によって複数の被検化合物を評価することにより 、ァゴニスト又はアンタゴニストとして機能する化合物を選択することができる。かかる 選択の結果、被検化合物非存在下においてリガンド及びそのアナログを作用させた 場合の下流へのシグナル伝達の変化と比較して、その変化が抑制されれば、当該被 検化合物は、 PKC-iotaへの被検化合物結合後の下流へのシグナル伝達を阻害する 化合物であると判定される。逆に、被検化合物が細胞内シグナル伝達を増強させれ ば、当該化合物は、 PKC-iotaへの被検化合物結合後の細胞内シグナル伝達を促進 する化合物であると判定される。このようなスクリーニング方法によって選択された化 合物は、 p53の機能異常に起因する癌の治療及び診断に有効である。
(2) PKC-iotaリガンド
( 1 )において説明した本発明の化合物の評価方法により、 PKC-iotaリガンドを単離 すること力 Sできる。力、かるリガンドは単独で抗癌作用を有する薬剤として使用できる。
[0079] PKC-iotaリガンドとなり得る被検化合物としては特に制限はなぐ例えば、天然化合 物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、ペプチド等の単一化合物、 PKC-iotaの 抗体、アンチセンス、 RNAi又はリボザィムが挙げられる。このような PKC-iotaリガンドと し飞 (ュ、具体白勺 ίこ (ま、 列 Χ_ίュ、 myristoylated atypical C pseudosubstrate inhibitor peptide (BIOSOURCE社)が挙げられる。
[0080] 本発明の PKC-iotaリガンドをヒトゃ他の動物の医薬として使用する場合には、これら の物質自体を直接患者に投与する以外に、公知の製剤学的方法により製剤化して 投与を行うことも可能である。例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、 エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬 学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使 用できる。例えば、薬理学上許容される担体若しくは媒体、具体的には、滅菌水や生 理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、べヒク ノレ、防腐剤、結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求され る単位用量形態で混和することによって製剤化することが考えられる。
[0081] 錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コー ンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような 賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネ シゥムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、ァ 力モノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである 場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射 のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなべヒクルを用いて通常の製剤実施に 従って処方することができる。
[0082] 注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む 等張液、例えば D-ソルビトール、 D-マンノース、 D -マンニトール、塩化ナトリウムが挙 げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコ ール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤 、例えばポリソルベート 80 (TM)、 HCO-50と併用してもよい。
[0083] 油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、
ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸 ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロ力イン、安定剤、例えばべンジルアル コール、フエノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当 なアンプルに充填させる。
[0084] 患者への投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射などのほか、鼻腔 内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法により行 いうる。投与量は、患者の体重や年齢、投与方法などにより変動するが、当業者であ れば適当な投与量を適宜選択することが可能である。また、当該化合物が DNAにより コードされうるものであれば、当該 DNAを遺伝子治療用ベクターに組込み、遺伝子治 療を行うことも考えられる。投与量、投与方法は、患者の体重や年齢、症状などにより 変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。
[0085] 化合物の投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体 重 60kgとして)においては、 1日あたり約 0.1から 100mg、好ましくは約 1.0から 50mg、よ り好ましくは約 1.0から 20mgであると考えられる。
[0086] 非経口的に投与する場合は、その 1回の投与量は投与対象、対象臓器、症状、投 与方法によっても異なる力 例えば注射剤の形では通常成人(体重 60kgとして)にお いては、通常、 1日当り約 0.01から 30mg、好ましくは約 0.1から 20mg、より好ましくは約 0 .1から 10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であると考えられる。
(3)癌の分子診断方法
被検組織における PKC-iotaの発現量又は活性を測定して正常組織における PKC- iotaの発現量又は活性と比較をすることにより、その組織が癌化しているか否かを予 測-診断すること力でさる。
[0087] 本発明の第 1の癌の分子診断方法は、被検組織又は被検細胞における、 P C-iot a遺伝子の発現量を測定する工程と、当該発現量と正常組織又は正常細胞における PKC-iota遺伝子の発現量とを比較する工程と、比較した結果、被検組織又は被検細 胞における PKC-iota遺伝子の発現量が正常組織又は正常細胞における PKC-iota 遺伝子の発現量より有意に多!/、か否かを判断する工程と、を含むことを特徴とする。
[0088] 本発明の第 1の癌の分子診断方法において、先ず、被検組織又は被検細胞にお
ける PKC-iota遺伝子の発現量を測定する。遺伝子の発現量の測定の方法としては 特に制限はないが、例えば、被検組織又は被検細胞から抽出した mRNAを铸型とし て RT— PCRを行う方法、前記遺伝子がプロットされたマイクロアレイを用いる方法、ノ 一ザンブロットが挙げられる。ここで、遺伝子の「発現量」とは、遺伝子転写産物の絶 対量又は相対量をいい、相対量の場合は、後述する正常組織における発現量との 相対的な比較にお!/、て当該遺伝子の発現量を決定すればよ!/、。
[0089] 次に、上記の方法により測定した遺伝子の発現量と正常組織又は正常細胞におけ る対応遺伝子の発現量とを比較する。
[0090] ここで、「正常組織又は正常細胞」とは、被検組織又は被検細胞と比較の対象とな る組織又は細胞であればその由来は特に限定されず、健常人由来であっても癌患 者由来であってもよい。また、被検組織の近辺に存在する正常組織又は正常細胞で あってもよい。
[0091] 本工程にお!/、ては、被検組織又は細胞に発現する PKC-iota遺伝子と正常組織又 は細胞に発現する PKC-iota遺伝子(対応遺伝子)の発現量を比較するが、発現量の 絶対量を比較してもよぐまた、比較による相対値を算出してもよい。
[0092] 次に、比較した結果、被検組織又は被検細胞における遺伝子の発現量が正常組 織又は正常細胞における遺伝子の発現量より有意に多いか否かを判断する。
[0093] 前記の有意差の判断手法としては特に制限はないが、当業者に公知の統計学的 手法を用いて検定すればよ!/、。
[0094] 被検組織又は被検細胞と、正常組織又は正常細胞における前記遺伝子の発現量 の比較の結果、有意差をもって被検組織又は被検細胞において発現が高いと認め られた場合には当該被検組織又は被検細胞における p53又は PI3キナーゼの発現量 にに変異を有する可能性が高ぐ p53又は PI3キナーゼの変異に起因して当該組織 又は細胞が癌化している可能性があると判断できる。
[0095] また、本発明の第 2の癌の分子診断方法は、被検組織又は被検細胞における、 P C-iotaの活性を測定する工程と、当該活性と正常組織又は正常細胞における PKC-i otaの活性とを比較する工程と、比較した結果、被検組織又は被検細胞における PKC -iotaの活性が正常組織又は正常細胞における PKC-iotaの活性より有意に多いか否
力、を判断する工程と、を含むことを特徴とする。
[0096] PKC-iotaは細胞内で自己リン酸化することにより活性化することが知られている。す なわち、 PKC-iotaのリン酸化状態を測定することにより、その活性化の状態を知ること ができる。
[0097] 本発明の第 2の癌の分子診断方法において、先ず、被検組織又は被検細胞にお ける、 PKC-iotaの活性を測定する。活性の測定の方法としては特に制限はな!/、が、 例えば、被検組織又は被検細胞の抽出液に存在する PKC-iotaを単離又は抽出液ご と用い、これを適当な基質と溶媒中でリン酸化反応を生じせしめ、その活性を測定す ればよい。この場合、酵素反応の確認は放射性又は蛍光標識されたリン酸の取り込 み等で確認することができる。
[0098] 次に、上記の方法により測定した遺伝子の活性と正常組織又は正常細胞における PKC-iotaの活性とを比較する。
[0099] 活性を比較した結果、被検組織又は被検細胞における PKC-iotaの活性が正常組 織又は正常細胞における PKC-iotaの活性より有意に強いか否かを判断する。
[0100] 前記の有意差の判断手法としては特に制限はないが、当業者に公知の統計学的 手法を用いて検定すればよ!/、。
[0101] 被検組織又は被検細胞と、正常組織又は正常細胞における PKC-iotaの活性の比 較の結果、有意差をもって PKC-iotaの活性が上昇している場合には、当該組織又は 細胞における p53又は PI3キナーゼの機能又は発現量にに変異を有する可能性が高 く、 p53又は PI3キナーゼの変異に起因して当該組織又は細胞が癌化している可能性 力 ると判断できる。
[0102] (4)遺伝子マーカー
本発明の遺伝子マーカーは、 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断する遺伝子 マーカーであって、当該遺伝子が、 BAD, LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12 、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKからなる群より選択されるいずれか一つの遺伝子又は該 遺伝子と実質的に同等の機能を有する遺伝子であることを特徴とする。
[0103] 本発明の「遺伝子マーカー」とは、評価対象となる PKC-iota阻害剤の薬効や生体 に対する作用の指標となるものをいい、具体的には、 PKC-iota阻害剤の作用によつ
て発現量や活性が変化する遺伝子又はこれらに関連する物質 (例えば、 DNA及び R NA並びにこれらの断片)を!/、う。
[0104] また、本発明の遺伝子マーカーには、 BAD, LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLD N12、 RPIA、 AKT3又は SNF1LKの一部からなるポリヌクレオチドも含む。このようなポリ ヌクレオチドは、 BAD, LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3又は SNF1LK遺伝子から転写された RNA、これから産生される cDNA、ならびにこれらの遺 伝子由来の配列を有する合成核酸であってもよ!/、。
[0105] 本発明者らは、本発明の遺伝子マーカーの発現が PKC-iotaの発現を抑制すること によって増加又は減少することを確認している。すなわち、 PKC-iotaの発現を抑制す ることによって、 SNF1LK、 CLDN12及び RPIAの 3遺伝子は発現が増加し、 HMGB3、 N FIB, PXDN及び AKT3の 4遺伝子は発現が減少する。また、 PKC_iotaのキナーゼ活 性依存的に BADの 112番目、 136番目及び 155番目のアミノ酸、又は LLGL2の 653番 目のセリンがリン酸化を受けることも本発明者らにより見出されて!/、ること力、ら、 PKC-i otaの活性が阻害されることにより BAD及び/又は LLGL2もリン酸化を受けないか、あ るいは脱リン酸化される。従って、 BAD及び/又は LLGL2のリン酸化状態もまた PKC -iota阻害剤の遺伝子マーカーとして使用可能である(BAD及び LGLL2のリン酸化の 検出につ!/、ては(5)タンパク質マーカーの項で述べる。 )。
[0106] 本発明の遺伝子マーカーは、 PKC-iota阻害剤の投与により生体内組織中でその 発現が増加又は減少する。 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断する場合には、 遺伝子マーカーが発現している任意の組織における当該遺伝子マーカーの発現量 を測定すればよ!/、が、サンプルの入手が容易であるとの観点から血液又は皮膚組織 における発現量を測定することが好ましい。
[0107] また、本発明の遺伝子マーカーの発現量の測定方法としては特に制限はないが、 具体的には、例えば、ノーザンブロット法、定量的 RT-PCR法、 DNAマイクロアレイに よって mRNA量を測定することによりその発現量を定量することができる。
[0108] ここで、前記ノーザンブロット法に使用するプローブとしては、本発明の遺伝子マー カーである BAD、 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN, CLDN12、 RPIA, AKT3又は SNF1 LK遺伝子を検出可能なプローブであればよぐ具体的には、これらの遺伝子の塩基
配列の部分配列又は全部を使用することができる。また、当該プローブの塩基数に ついても特に制限はないが、少なくとも連続する 20塩基の長さの核酸であることが好 ましぐより好ましくは 40塩基、さらに好ましくは 60塩基、特に好ましくは 80塩基以上 のものが使用される。また、当該プローブは、必要に応じて検出可能なように標識し て用いてもよい。具体的には、例えば、 32P、 14C、 125I、 3H、 35S等の放射性同位体で 標識されていてもよぐビォチン、蛍光色素、酵素、金コロイド等で標識されていても よい。
[0109] また、前記定量的 RT-PCR法に使用するプライマーとしては、本発明の遺伝子マー カーである BAD、 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3又は SNF1 LK遺伝子を検出可能なプライマーであればよぐその塩基数は特に制限されず、プ ライマーの塩基配列や単離する遺伝子の塩基配列等によって適宜設定することがで きる力 一般に、連続した 10〜60塩基であることが好ましぐ 15〜30塩基であること 力はり好ましい。また、その塩基配列は、検出の対象となる BAD、 LLGL2、 HMGB3、 N FIB, PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3又は SNFILK遺伝子の塩基配列に基づいて決 疋 。
[0110] また、前記 DNAマイクロアレイによって本発明の遺伝子マーカーの発現量を測定す る場合、 BAD、 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3又は SNFILK 遺伝子のうちの少なくとも一つの遺伝子又は当該遺伝子の部分核酸力 Sスポットされた DNAマイクロアレイを準備し、測定を行えばよ!/、。
[0111] また、本発明の遺伝子マーカーは、 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断するた めに用いられる。すなわち、 PKC-iota阻害剤を生体に投与した後、当該遺伝子マー カーの発現量を測定し、投与前の発現量と比較して発現量が増加又は減少している 場合に、当該阻害剤が PKC-iota特異的に作用し所定の薬効を発揮していると認定 すること力 Sできる。すなわち、 SNF1LK、 CLDN12及び RPIAの 3遺伝子については発 現が増加した場合に、 HMGB3、 NFIB、 PXDN及び AKT3の 4遺伝子については発現 が減少した場合に PKC-iota阻害剤が所定の薬効を発揮すると認定することができる 。具体的には、 SNFILK, CLDN12及び RPIAの 3遺伝子については、 PKC_iota阻害 剤を投与後、本発明の遺伝子マーカーの発現が増加していれば、仮に PKC-iota阻
害剤の薬効が目に見える状態(例えば、癌症状の改善)に至っていない場合や、癌 組織が非常に小さぐ X線撮影のような従来の診断方法では診断が困難な場合であ つても、阻害剤の薬効が発揮されるであろうと予測できる。一方、 SNF1LK、 CLDN12 及び RPIAの 3遺伝子については、 PKC-iota阻害剤を投与後、本発明の遺伝子マー カーの発現が減少していれば、同様に阻害剤の薬効について予測することができる 。また、 PKC-iota阻害剤を薬剤として開発する段階において健常人を対象に臨床試 験を行う場合、本発明の遺伝子マーカーの発現量を指標にして当該薬剤の効果を 評価することが可能となる。
[0112] また、本発明の遺伝子マーカーは、癌の治癒成績を判定する際にも使用できる。す なわち、 PKC-iota阻害剤を抗癌剤として生体に投与し癌治療を行った場合、抗癌剤 が効いた力、どうかを判定するには実際に癌組織が縮小したことや癌細胞が減少した ことを確認する必要がある。このような確認作業には、 X線断層撮影や X線造影撮影 のような放射線を浴びるような検査や、内視鏡やバイオプシーのような患者の負担を 伴う検査が必要となる。しかし、本発明の遺伝子マーカーによれば、血液や皮膚のよ うな体組織の一部を極小量採取し、当該組織における遺伝子マーカーの発現を測 定するだけで検査が完了する。従って、 X線断層撮影、 X線造影撮影、内視鏡又は バイオプシーのような検査に代えて又はこれらの検査の予備的な検査として、患者に 苦痛や負担を与えることなく PKC-iota阻害剤の薬効を判定することが可能となる。
[0113] (5)タンパク質マーカー
本発明のタンパク質マーカーは、 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断するタン パク質マーカーであって、当該タンパク質力 BAD, LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN 、 CLDN12、 RPIA, AKT3及び SNF1LKからなる群より選択されるいずれか一つのタン ノ^質又は実質的に同等の機能を有することを特徴とする。
[0114] 本発明の「タンパク質マーカー」とは、評価対象となる PKC-iota阻害剤の薬効や生 体に対する作用の指標となるものを!/、い、具体的には PKC-iota阻害剤の作用によつ て発現量や活性が変化するタンパク質又はこれらに関連する物質 (例えば、部分ぺ プチド)をいう。
[0115] 本発明者らは、これらのタンパク質をコードする遺伝子のみならずタンパク質の発
現が PKC-iota阻害剤の投与によって増加又は減少することを確認している。
[0116] 本発明のタンパク質マーカーは、 PKC-iota阻害剤の投与により生体内組織中でそ の発現が増加又は減少する。 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断する場合には 、タンパク質マーカーが発現している任意の組織における当該タンパク質マーカーの 発現量を測定すればよいが、サンプルの入手が容易であるとの観点から血液又は皮 膚組織における発現量を測定することが好ましい。
[0117] ここで、本発明のタンパク質マーカーは、 BAD、 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 C LDN12、 RPIA, AKT3及び SNFILKからなる群より選択されるいずれか一つのタンパク 質と実質的に同等の機能を有するタンパク質を含む。このようなタンパク質としては、 BAD, LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA, AKT3及び SNFILKタンパク 質を構成するアミノ酸配列のうち 1又は 2以上のアミノ酸に置換、付カロ、欠失又は揷入 があり、且つ、同等の活性を有するものが挙げられる。同等の活性とは、 BADと実質 的に同等の機能を有するタンパク質であれば BAD活性を有することをいい、 LLGL2と 実質的に同等の機能を有するタンパク質であれば LLGL2活性を、 HMGB3と実質的 に同等の機能を有するタンパク質であれば HMGB3活性を、 NFIBと実質的に同等の 機能を有するタンパク質であれば NFIB活性を、 PXDNと実質的に同等の機能を有す るタンパク質であれば PXDN活性を、 CLDN12と実質的に同等の機能を有するタンパ ク質であれば CLDN12活性を、 RPIAと実質的に同等の機能を有するタンパク質であ れば RPIA活性を、 AKT3と実質的に同等の機能を有するタンパク質であれば AKT3活 性を、 SNFILKと実質的に同等の機能を有するタンパク質であれば SNFILK活性をそ れぞれ有することをいう。
[0118] 本発明のタンパク質マーカーの発現量の測定方法としては特に制限はないが、具 体的には、例えば、ウェスタンブロット法、 ELISA法、プロテインチップによってタンパ ク質量を測定することによりその発現量を定量することができる。
[0119] ここで、前記ウェスタンブロット法は当業者に公知の方法で行うことができる。具体 的には、例えば、 PKC-iota阻害剤を投与した生体から採取した組織の総タンパク質 を SDS-PAGEにより展開し、ニトロセルロース膜や PVDF膜等へ転写する。その後、当 該膜に本発明のタンパク質マーカーの抗体を添加、反応させ、さらに 2次抗体を添カロ
、反応させた後、当該 2次抗体を検出することにより、当該タンパク質マーカーを検出 すればよい。また、生体から採取した組織の総タンパク質をタンパク質マーカーの抗 体で免疫沈降し、沈降物として得られたタンパク質を SDS-PAGEにより展開し、ウェス タンプロット法により検出してもよ!/、。
[0120] 前記ウェスタンブロット法に使用する抗体としては、本発明のタンパク質マーカーで ある BAD、 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKタン ノ ク質を検出可能な抗体であればよぐポリクローナル抗体であってもよくモノクロ一 ナル抗体であってもよい。力、かるポリクローナル抗体は当業者に公知の方法で調製 すればよぐ例えば下記の方法に従って調製できる。すなわち、例えば、抗原を、必 要に応じてフロイントアジュバント(Freund' s Adjuvant)とともに、マウス、ラット、 ノヽ ムスター、モルモット又はゥサギ等の哺乳動物に免疫し、当該免疫感作動物から得た 血清から取得することができる。
[0121] また、前記モノクローナル抗体は、例えば、抗原を、必要に応じてフロイントアジュバ ントとともに、マウス、ラット、ノ、ムスター、モルモットまたはゥサギ等の哺乳動物に免疫 する。次に、当該免疫感作動物から得た抗体産生細胞と自己抗体産生能のない骨 髄腫系細胞(ミエローマ細胞)からハイプリドーマ(融合細胞)を調製し、ハイプリドー マをクローン化し、哺乳動物の免疫に用いた抗原に対して特異的親和性を示すモノ クローナル抗体を産生するクローンを選択することによって調製することができる。さ らに具体的には、抗原を、必要に応じてフロイントアジュバント哺乳動物の皮下内、筋 肉内、静脈内又は腹腔内等に 1又は数回注射するかあるいは移植することにより免 疫感作を施す。通常、最初の免疫から;!〜 14日毎に;!〜 4回程度免疫を行い、最終 免疫より;!〜 5日程度後に免疫感作された哺乳動物から抗体産生細胞を取得する。
[0122] モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ(融合細胞)の調製は、定法に従って 行うこと力 Sできる。すなわち、上述した方法により免疫感作された哺乳動物から取得さ れる脾臓、リンパ節、骨髄あるいは扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞 と、マウス、ラット又はヒト等由来の自己抗体産生能のないミエローマ細胞との細胞融 合させることにより調製する。モノクローナル抗体を産生するハイプリドーマクローンの スクリーニングは、ハイプリドーマをマイクロタイタープレート等を用いて培養し、増殖
の見られたゥエルの培養上清の免疫抗原に対する反応性を、例えば RIAや ELISA 等の酵素免疫測定法によって測定することにより行なうことができる。
[0123] ハイプリドーマからのモノクローナル抗体の製造は、ハイプリドーマをインビトロ、又 はマウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはゥサギ等の腹水中等でのインビボで培 養した後、得られた培養上清、又は哺乳動物の腹水から単離することにより行うことが できる。モノクローナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あるいは腹水を、飽和 硫酸アンモニゥム、ユーグロブリン沈澱法、力プロイン酸法、力プリル酸法、イオン交 換クロマトグラフィー(DEAEまたは DE52等)、抗ィムノグロブリンカラムあるいはプロ ティン Aカラム等のァフィ二ティカラムクロマトグラフィーに供すること等により行うこと ができる。
[0124] さらに、上述の方法により得られたポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用 いて抗体アレイを調製することも可能である。すなわち、上述の抗体をニトロセルロー ス膜ゃ PVDF膜等の膜や、ニトロセルロースがコートされたスライドやガラス基盤に、マ イクロアレイスポッターを用いて固定すればょレ、。
[0125] また、 BADと LGLL2は PKC-iotaによりリン酸化を受ける。従って、 BAD及び LGLL2 のリン酸化状態が PKC-iotaの活性の指標、すなわちマーカーとなり得る。 BADのリン 酸化は、抗リン酸化 BAD抗体を用いたウェスタンブロット法により検出することができ る。また、上述した方法で調製した抗 BAD抗体を用いてウェスタンブロットを行い、 BA Dのバンドを確認した後、当該バンドが抗リン酸化セリン'スレオニン抗体により検出さ れるかどうかを確認することによつても BADのリン酸化を確認することができる。 LGLL 2についても同様にリン酸化を確認することができ、 LGLL2のリン酸化をマーカーとし て PKC-iotaの阻害活性を検出可能である。
[0126] 一方、本発明のタンパク質マーカーである BAD、 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKの少なくとも一つのタンパク質をニトロセルロー ス膜ゃ PVDF膜等の膜や、ニトロセルロースがコートされた基盤やガラス基盤にマイク ロアレイスポッターを用いて固定することによりプロテインアレイを調製することもでき る。この場合、前記タンパク質を直接固定してもよぐタンパク質又は膜若しくは基盤 との間にリンカ一を介して固定してもよい。リンカ一を介して固定することにより、タン
ノ ク質の立体構造を損なわず活性を維持した状態でプロテインアレイ (マイクロアレイ )を調製することが可能となる。
[0127] また、本発明のタンパク質マーカーは、 PKC-iota阻害剤の薬効を予測又は診断す るために用いられる。すなわち、 PKC-iota阻害剤を生体に投与した後、当該タンパク 質マーカーの発現量を測定し、投与前の発現量と比較して発現量が増加又は減少 している場合に、当該阻害剤が PKC-iota特異的に作用し所定の薬効を発揮している と認定することができる。すなわち、 SNF1LK、 CLDN12及び RPIAの 3タンパク質につ いては発現が増加した場合に、 HMGB3、 NFIB、 PXDN及び AKT3の 4タンパク質につ いては発現が減少した場合に PKC-iota阻害剤が所定の薬効を発揮すると認定する こと力 Sできる。具体的には、 SNF1L , CLDN12及び RPIAの 3タンパク質については、 PKC-iota阻害剤を投与後、本発明のタンパク質マーカーの発現が増加していれば、 仮に PKC-iota阻害剤の薬効が目に見える状態(例えば、癌症状の改善)に至ってい ない場合や、癌組織が非常に小さぐ X線撮影のような従来の診断方法では診断が 困難な場合であっても、阻害剤の薬効が発揮されるであろうと予測できる。一方、 HM GB3、 NFIB、 PXDN及び AKT3の 4タンパク質については、 PKC- iota阻害剤を投与後 、本発明のタンパク質マーカーの発現が減少していれば、同様に阻害剤の薬効につ V、て予測すること力 Sできる。また、 PKC-iota阻害剤を薬剤として開発する段階にお!/ヽ て健常人を対象に臨床試験を行う場合、本発明のタンパク質マーカーの発現量を指 標にして当該薬剤の効果を評価することが可能となる。
[0128] また、本発明のタンパク質マーカーは、癌の治癒成績を判定する際にも使用できる 。すなわち、 PKC-iota阻害剤を抗癌剤として生体に投与し癌治療を行った場合、抗 癌剤が効いた力、どうかを判定するには実際に癌組織が縮小したことや癌細胞が減少 したことを確認する必要がある。このような確認作業には、 X線断層撮影や X線造影 撮影のような放射線を浴びるような検査や、内視鏡やバイオプシーのような患者の負 担を伴う検査が必要となる。しかし、本発明のタンパク質マーカーによれば、血液や 皮膚のような体組織の一部を極小量採取し、当該組織におけるタンパク質マーカー の発現を測定するだけで検査が完了する。従って、 X線断層撮影、 X線造影撮影、内 視鏡又はバイオプシーのような検査に代えて又はこれらの検査の予備的な検査とし
て、患者に苦痛や負担を与えることなく PKC-iota阻害剤の薬効を判定することが可 能となる。
[0129] (6)癌診断キット
本発明の癌診断キットは、本発明のタンパク質マーカーを検出可能の抗体を含む ことを特徴とする。当該抗体は、上述した BAD、 LLGL2、 HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CL
DN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKからなる群より選択されるいずれか一つのタンパク 質又は実質的に同等の機能を有するタンパク質に対するポリクローナル抗体及びモ ノクローナル抗体をいう。
[0130] 本発明の癌診断キットには、本発明のタンパク質マーカーを検出可能な抗体の他、 例えば、抗体検出用試薬、抗体検出用 2次抗体、反応に用いるプレートを備えてい てもよい。
[0131] 本発明の癌診断キットを用いることにより、 PKC-iota阻害剤を投与した生体力も採 取した組織 (例えば、血液又は皮膚)におけるタンパク質マーカーを迅速且つ簡便に 検出することが可能となり、投与前後のタンパク質量を比較することにより、 PKC-iota 阻害剤の薬効を予測又は診断することが可能となる。
[0132] (7) PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法
先ず、本発明の第 1の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法について説明 する。
[0133] 本発明の第 1の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法は、 PKC-iota阻害剤 を投与した被検体由来の組織における HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AK T3及び SNF1LKからなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子又は該遺伝子と実 質的に同等の機能を有する遺伝子を検出する検出工程と、 PKC-iota阻害剤投与前 後の発現量を比較する比較工程を含むことを特徴とする。
[0134] 本発明に係る検出工程は、 PKC-iota阻害剤を投与した被検体由来の組織におけ る HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKからなる群より選択さ れる少なくとも一つの遺伝子又は当該遺伝子と実質的に同等の機能を有する遺伝子 (すなわち、本発明の遺伝子マーカー)を検出する工程である。
[0135] ここで、本発明に係る「組織」とは、 PKC-iota阻害剤を投与した被験体由来の組織
であり、検出対象である遺伝子マーカーが発現している組織であればその組織の種 類は限定されないが、採取が容易であるとの観点より血液又は皮膚組織であることが 好ましい。
[0136] 本工程にお!/、ては、 PKC-iota阻害剤を投与した生体より前記組織を採取し、そこか ら遺伝子マーカー測定用の DNAを定法により抽出する。抽出する DNAはゲノム DNA であってもよく、抽出した RNAから逆転写反応によって得られた cDNAであってもよい 。次に、得られた DNAを用いて HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び S NF1LK遺伝子の検出を行う。検出方法は定量的な手段であれば特に限定されな!/、 1S 具体的には、例えば、 PCR法又はマイクロアレイが挙げられる。
[0137] 検出工程で HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LK遺伝子の 検出が完了した後、 PKC-iota阻害剤投与前後の発現量を比較する比較工程へと進 む。比較工程では、検出工程で検出した HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 A KT3及び SNF1LK遺伝子の発現量と、 PKC-iota阻害剤を投与する前の当該遺伝子 の発現量とを比較することとなる。比較の結果、 PKC-iota阻害剤の投与によって SNF 1LK、 CLDN12及び RPIAの 3タンパク質については発現が増加した場合に、 HMGB3 、 NFIB、 PXDN及び AKT3の 4タンパク質については発現が減少した場合には、投与 した PKC-iota阻害剤が投与対象である人体に当該阻害剤が適切な作用機序で作 用し、投与効果を示していると判断することができる。これは癌組織が非常に小さい 場合や、医薬開発の臨床試験段階のように、物理的な癌組織の大きさだけで薬効を 測定することが困難な場合に、 PKC-iota阻害剤の薬効を測定する方法として非常に 有益である。
[0138] 次に、本発明の第 2の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法について説明 する。
[0139] 本発明の第 2の PKC-iota阻害剤の効果の予測又は診断方法は、 PKC-iota阻害剤 を投与した被検体由来の組織における HMGB3、 NFIB、 PXDN, CLDN12、 RPIA, A T3及び SNF1LKからなる群より選択される少なくとも一つのタンパク質又は該タンパク 質と実質的に同等の機能を有するタンパク質を検出する検出工程と、 PKC-iota阻害 剤投与前後の発現量を比較する比較工程を含むことを特徴とする。
[0140] 本発明に係る検出工程は、 PKC-iota阻害剤を投与した被検体由来の組織におけ る HMGB3、 NFIB、 PXDN, CLDN12、 RPIA, AKT3及び SNF1LKからなる群より選択さ れる少なくとも一つのタンパク質又は当該タンパク質と実質的に同等の機能を有する タンパク質 (すなわち、本発明のタンパク質マーカー)を検出する工程である。
[0141] ここで、本発明に係る「組織」とは、 PKC-iota阻害剤を投与した被験体由来の組織 であり、検出対象であるタンパク質マーカーが発現している組織であればその組織 種は限定されないが、採取が容易であるとの観点より血液又は皮膚組織であることが 好ましい。
[0142] 本工程にお!/、ては、 PKC-iota阻害剤を投与した生体より前記組織を採取し、そこか らタンパク質マーカー測定用のタンパク質を定法により抽出する力、、又は、当該タン ノ ク質を含む総タンパク質を採取する。具体的には、例えば、ウェスタンプロット法に よる検出に供すること力できるよう、当該タンパク質を含む総タンパク質を可溶化サン プルとして調製し、本工程に係る抽出タンパク質とすることができる。また、総タンパク 質をサンプルとして、検出対象となるタンパク質の抗体を用いて免疫沈降を行い、当 該タンパク質のみを抽出してもよい。
[0143] 次に、得られたタンパク質を用いて HMGB3、 NFIB、 PXDN, CLDN12、 RPIA, A T3 及び SNF1LKタンパク質の検出を行う。検出方法は定量的な手段であれば特に限定 されないが、具体的には、例えば、ウェスタンブロット法又は ELISA法が挙げられる。 ここで、ウェスタンブロット法又は ELISA法による検出には抗 HMGB3抗体、抗 NFIB抗 体、抗 PXDN抗体、抗 CLDN12抗体、抗 RPIA抗体、抗 AKT3抗体又は抗 SNF1LK抗体 を用いる必要がある。これらの抗体はポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の いずれであってもよい。また、これらの抗体は定法により調製することができ、例えば 、先の(5)タンパク質マーカーの項で述べた方法により調製することができる。
[0144] また、 BADと LGLL2は PKC-iotaによりリン酸化を受ける。従って、 BAD及び LGLL2 のリン酸化状態が PKC-iotaの活性の指標、すなわちマーカーとなり得る。 BADのリン 酸化は、抗リン酸化 BAD抗体を用いたウェスタンブロット法により検出することができ る。また、上述した方法で調製した抗 BAD抗体を用いてウェスタンブロットを行い、 BA Dのバンドを確認した後、当該バンドが抗リン酸化セリン'スレオニン抗体により検出さ
れるかどうかを確認することによつても BADのリン酸化を確認することができる。 LGLL 2についても同様にリン酸化を確認することができ、 LGLL2のリン酸化をマーカーとし て PKC-iotaの阻害活性を検出可能である。
[0145] 検出工程で HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPIA、 AKT3及び SNF1LKタンパク 質の検出が完了した後、 PKC-iota阻害剤投与前後の発現量を比較する比較工程へ と進む。比較工程では、検出工程で検出した HMGB3、 NFIB、 PXDN、 CLDN12、 RPI A、 AKT3及び SNF1LKタンパク質の発現量と、 PKC-iota阻害剤を投与する前の当該 タンパク質の発現量とを比較することとなる。 BAD及び LGLL2の場合はそのリン酸化 レベルを比較する。比較の結果、 PKC-iota阻害剤の投与によって SNF1LK、 CLDN1 2及び RPIAの 3タンパク質については発現が増加した場合に、 HMGB3、 NFIB、 PXD N及び AKT3の 4タンパク質につ!/、ては発現が減少した場合には、投与した PKC-iota 阻害剤が投与対象である人体に当該阻害剤が適切な作用機序で作用し、投与効果 を示していると判断すること力 Sできる。また、 BAD及び LGLL2の場合には、そのリン酸 化レベルが低下している場合に PKC-iota阻害剤が適切な作用機序で作用し、投与 効果を示していると判断することができる。これは癌組織が非常に小さい場合や、医 薬開発の臨床試験段階のように、物理的な癌組織の大きさだけで薬効を測定するこ とが困難な場合に、 PKC-iota阻害剤の薬効を測定する方法として非常に有益である
〇
実施例
[0146] 以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実 施例に限定されるものではない。
[0147] 実施例 1
(変異型 p53を有する細胞に対し、活性阻害が特異的に細胞毒性を示す Kinaseの同 定)
先ず、変異型 p53発現誘導細胞の作製を行った。野生型 p53を持つ U20S Tet-on 細胞(以下、 U20S WTp53と示す)に、変異型 p53 (157番目のコドンに変異を有する) 発現用プラスミドを導入することにより、変異型 p53発現誘導細胞(以下、 U20S MT15 7と示す)を樹立した。 U20S MT157はドキシサイクリン(Doxycycline)添加により変異
型 p53を発現することができる。
[0148] 次に、樹立した細胞に対する siRNAのトランスフエクシヨンと細胞毒性の評価を行つ た。すなわち、ドキシサイクリン存在下で培養した U20S WT p53と U20S mt p53細胞 に kinome wide siRNAをトランスフエクシヨンした。 72時間後、 WST-8 (キシダ化学社製 )を用いて細胞数を定量し、各リン酸化酵素の阻害による細胞毒性効果を調べた。 U 20S mt p53細胞に対する毒性効果力 ¾20S WT p53に比べて 1.5倍以上であるリン酸 化酵素を変異型 p53 context specific target geneを選択したが、この中に PKC-iotaが 含まれていた。図 1に示すとおり、 PKC-iotaの阻害は、変異型 p53を有する細胞に対 し特異的に細胞毒性を示すことが分力、つた。
(肺癌細胞株を用いた PKC-iota阻害の効果)
野生型 p53を有することが知られている 4種類の細胞(A427、 A549、 LU99及び NCI- H460)、変異型 p53を有する 4種類の細胞(HOP62、 HOP92、 NCI-H322M及び NCI- H226)に対して PKC-iotaの siRNAをトランスフエクシヨンした。その 72時間後に WST-8 (キシダ化学社製)を用いて細胞数を定量し、各リン酸化酵素の阻害による細胞毒性 効果を調べた。なお、 HOP62細胞は 212番目のコドンに、 HOP92細胞は 175番目のコ ドンに、 NCI-H226細胞は 158番目のコドンに、それぞれ変異を有する。
[0150] 図 2〜9に示すように、 PKC-iotaの発現抑制により、変異型 p53を有する細胞(図 2 〜5)は全て増殖が抑制された力 野生型 p53を有する細胞(図 6〜9)では 4細胞中 3 細胞で増殖がほとんど抑制されな力、つた。このことから、肺癌細胞株においても、 P C-iotaの阻害は変異型 p53を有する細胞に対してより効果を示すと考えられた。
[0151] 実施例 3
(PKC-iota阻害は BADのリン酸化を抑制する)
PKC-iota阻害による増殖抑制のメカニズムを明らかにするため、 PKC-iotaの基質 であることが知られている BADの、 PKC-iotaによるリン酸化について検討した。すな わち、ドキシサイクリン存在下で培養した U20S WT p53及び U20S mt p53細胞に PK C-iotaの siRNAをトランスフエクシヨンした。 72時間後、細胞を回収し、各細胞溶解液 中の BAD Serl55のリン酸化状態をウェスタンブロットにより解析した。
[0152] 図 10に示すとおり、 U20S WT p53及び U20S mt p53細胞のいずれも、 PKC-iota阻 害により BADの Serl55のリン酸化が抑制された。このこと力、ら、 PKC-iotaが阻害される と BADの Serl55が脱リン酸化され、アポトーシスに向力、うことが確認できた。
[0153] 実施例 4
(過剰発現した p53は Bcl-XLに結合する)
これまでの文献報告(J.Biol.Chem.、第 276巻、 40583頁、 2001年)から、変異型 p53 を有する細胞は野生型 p53を有する細胞に比べて p53の発現量が高!/、ことと、 p53は B c卜 XLに結合して不活化することが知られている。そこで、変異型 p53を有する細胞が 野生型 p53を有する細胞に比べて、 PKC-iota阻害に対する感受性が高いメカニズム を明らかにするため、下記の試験を行った。
[0154] 先ず、ドキシサイクリン存在下で培養した U20S WT p53及び U20S mt p53細胞を回 収した。次に、各細胞溶解液に対して抗 p53抗体及び Protein A agaroseを加え遠心 することで、 p53及び p53結合産物を回収した。回収した p53結合産物中の Beト XLタン パク量をウェスタンブロット法(図 11中、 IB)により解析した。
[0155] 図 11に示すとおり、 p53過剰発現時には Beト XLの結合量が増えることが分かった。
このことから、 p53が過剰発現した細胞では p53の結合により Be卜 XLが不活化して、ミト コンドリアを介したアポトーシスが起きやすくなつていると結論された。
[0156] 実施例 5
(PI3キナーゼパスウェイが活性化した細胞における PKC-iotaの発現抑制の効果)
PKC_iotaは PI3キナーゼによって活性化されることが知られている。このこと力、ら、 P KC-iotaの活性を阻害することにより、これらのパスウェイ上に異常を有する癌細胞に 対して増殖抑制効果を有することが期待される。そこで、 PI3キナーゼが活性化してい る細胞を用いて、 PKC-iota阻害の効果を調べた。
[0157] PI3キナーゼのらせん状ドメイン(helical domain)に変異(E545K又は E545A)を有す る 3種類の細胞(NCI_H460、 NCI-H596及び NCI-H1869)に PKC-iotaの siRNAを導入 した。 72時間後、 WST-8を用いて細胞数を定量し、 PKC-iotaの阻害による細胞毒性 効果を調べた。
[0158] 図 12A(NCI_H460細胞)、図 12B (NCI_H596細胞)及び図 12C (NCI_H1869細胞)
に示すとおり、全ての細胞について細胞増殖が 40%以上抑制された。このこと力、ら、 PKC-iotaの発現阻害は PI3_kinaseが活性化している細胞に対してより効果を示す、 すなわち、 PKC-iotaを阻害することにより、 PI3キナーゼが活性化している癌細胞の 増殖抑制効果が期待されることが確認できた。
[0159] 実施例 6
(LLGL2は PKC-iotaの基質である)
siRNAを用いて PKC-iota/PKC_zetaダブルノックダウンすることにより LLGL2のリン 酸化が阻害されるか否力、を検討した。
[0160] MCF7及び HCC1419細胞株に PKC-iota siRNA (GGUUCGAGACAUGUGUUCUT T:配列番号 21、 GGAAGGAGACCCGUGUACATT:配列番号 22及び GGAGACCC GUGUACAGUAUTT :配列番号 23を混合溶液として使用)と PKC-zeta siRNAの混 合溶液か、又は陰性対照としてルシフェラーゼ(Luciferase) siRNAを siLentFect (Bio- Rad社)を用いて導入した。 MCF7については 72時間後、 HCC1419については 120時 間後に siRNA処理した細胞の溶解液を調製した。 BCA protein assay kit(PIERCE社) を用いて、各細胞溶解液中のタンパク質量を測定 '調整し、ウェスタンプロットによつ て、リン酸化 LLGL2 (pS653)、 LLGL2、 PKC- iota及び PKC- zetaを検出した。ただし M CF7細胞溶解液中の phospho_LLGL2(pS653)及び LLGL2については、 LLGL2抗体 によって免疫沈降を行った後、ウェスタンブロットを行い検出した。
[0161] 図 13A (MCF7細胞)及び図 13B (HCC 1419細胞)に示すとおり、 PKC-iotaと PKC_z etaの siRNA処理により PKC-iota及び PKC-zetaのタンパク量の減少がウェスタンブロ ットによって確認された。また、このときリン酸化 LLGL2 (PSer653)の発現レベルも、未 処理及び Luciferase siRNA処理した場合と比較して顕著に低下していた。すなわち、 LLGL2 Ser653のリン酸化は atypical PKCの発現に依存していることが確認された。
[0162] 次に、ドキシサイクリンで PKC-iotaの発現が誘導される細胞を樹立するため、下記 の手順で細胞の調製を行った。
[0163] まず、 PKC_iota、常活性変異体 PKCi(A120E)及び PKCi(K274W)を pTRE2hyg vecto rにクローユングした (以下、順に、 pTRE2hyg/P Ci-WT, pTRE2hyg/PKa_CA及び pTRE2hyg/PKa-KDとする)。次に、 pTRE2hyg/PKa_WT、 pTRE2hyg/P Ci-CA, p
TRE2hyg/PKQ-KD及び pTRE2hyg vectorをそれぞれ U-20S Tet-on細胞株に Nucl eofector (amaxa社)又は Fugene 6 (ロシュ社)を用いて導入した。 24時間後に細胞を 回収'再播種し、 lSO ^ g/mlハイグロマイシン(Hygromycin)存在下で約 2週間培養し 、出現したハイグロマイシン耐性の細胞コロニーをシリンダークローニング法により単 離した。樹立したこれらの細胞をそれぞれ PKCi-WT Tet-on, PKCi-CA Tet-on, P Ci- D Tet- on及び Vector Tet-on U- 20Sとする。
[0164] 次に、 N末端に HAタグをつけた LLGL2を pcDNA3.1 vectorにクローユングした(以 下 PCDNA3.1/HA— LLGL2とする)。この pcDNA3.1/HA— LLGL2を、 PKQ—WT Tet-on 、 PKCi-CA Tet-on, P Ci- D Tet- on及び Vector Tet-on U-20Sに、 Fugene HDを 用いて導入し、ドキシサイクリン(Doxycycline)を加えて PKC-iotaの発現を誘導した。 24時間後、これらの細胞の溶解液を調製し、 BCA protein assay kitを用いて各細胞 溶液中のタンパク量を測定'調整した後、リン酸化 LLGL2 (pS653)、 LLGL2 (HA)及び PKC_iotaをウェスタンブロッテイングにより検出した。
[0165] 図 14に示すとおり、ドキシサイクリンによる常活性変異体 PKC-iota(PKCi-CA)の発 現の誘導により、リン酸化 LLGL2 (pSer653)のバンドの顕著な増加がウェスタンブロッ トで認められた。一方 kinase dead P Ci (PKCi-KD)の発現を誘導しても LLGL2 Ser6 53のリン酸化の増強は認められな力、つた。この実験から PKC-iotaの kinase活性依存 的に LLGL2 Ser653のリン酸化が弓 Iき起こされること力 S確認された。
[0166] 以上の 2つの実験力、ら LLGL2が PKC-iotaの下流の基質であることが確認された。
[0167] 実施例 7
(LLGL2のリン酸化を指標とした化合物評価系の樹立)
LLGL2の 653番目のセリン (Ser653)のリン酸化を指標に PKC-iotaの阻害剤の評価を 行うことができる系を構築するため、下記の試験を行った。
[0168] まず、化合物評価に用いる細胞を調製するため、 PKCi-CA Tet-on U-20S細胞に pcDNA3.1/Zeo/HA-LLGL2を Fugene HDを用いて導入した。 48時間後に細胞を回 収 '再播種し、 50 8/½1ゼォシン 60(±1)存在下で約2週間培養し、出現したゼオシ ン耐性の細胞コロニーをシリンダークローニング法により単離した。以下、この樹立し た細胞を LLGL2 stable/P Ci-CA Tet-on U—20Sとする。
[0169] 次に、 LLGL2 stable/PKCi-CA Tet-on U-20Sをドキシサイクリン存在下で 24時間 培養した後、さまざまな濃度の PKC-iota阻害剤 Xと共に培養した。 PKC-iota阻害剤 処理中は血清不含の培養液を使用した。 PKC-iota阻害剤処理開始から 4時間後に 細胞溶解液を調製し、ウェスタンブロットと、 LLGL2抗体及びリン酸化 LLGL2(pS653) 抗体を用いた sandwich ELISAによりリン酸化 LLGL2(pS653)を検出した。
[0170] 図 15に示すとおり、ドキシサイクリン添加によって誘導される LLGL2 Ser653のリン酸 化が PKC-iota阻害剤の濃度依存的に抑制されること力 ウェスタンブロット及び sand wich ELISAにより確認された。すなわち、本実験系力 SPKC-iotaの阻害剤の評価に使 用可能であることが示された。また sandwich ELISAを阻害剤評価系に用いることで、 ハイスループットなスクリーニングを実現可能であることが確認された。
[0171] mmn
(マイクロアレイ解析による遺伝子発現マーカーの探索)
PKC-iotaの発現を siRNAによって抑制したときに、発現が up-regulation又は down-r egulationされるような遺伝子の探索を試みた。
[0172] 解析に用いる細胞を調製するため、まず、対数増殖期の HOP62細胞に 1種類の PK C-iotaの siRNAを導入した。また、対数増殖期の NCI-H596細胞に、 2種類の PKC-iot aの siRNAを導入した。それぞれ、 siRNAの導入後力、ら 16、 24又は 48時間後に細胞を 回収し、 RNeasy kit (キアゲン社)を用いて各サンプルから mRNAを抽出した。
[0173] 次に、各サンプルにおける mRNAの発現量を Affymetrix GeneChip (ァフィメトリタス 社)を用いて測定した。測定された mRNAの発現量を Rosetta Resolver System (ロゼッ タ社)を用いて解析することで、コントロール (Luciferase siRNA)処理と PKC-iota siRN A処理の間で有意な発現変化が観察された遺伝子を検出した。すなわち、 HOP62細 胞及び NCI-H596細胞の!/、ずれにお!/、ても有意な発現変化が観察された遺伝子を 抽出することで、 PKCiの調節に関連して mRNA発現量が変化する、マーカー候補遺 伝子の探索を行った。
[0174] その結果、 2種類の細胞と 2種類の siRNAに共通して、その発現が up-regulationさ れる遺伝子が 28個、 down-regulationされるような遺伝子が 17個見つかった。
[0175] 次に、マイクロアレイ解析によって発現変化の見られた遺伝子の解析を行った。
[0176] まず、 A549、 NCI_H460、 HOP62、 NCI-H596及び U20S細胞から RNeasy kitを用い て RNAを抽出した。次に、得られた RNAから、 SUPERSCRIPTIII PLATINUM TWO-S TEP QRT-PCR (インビトロジェン社)を用いて cDNAを調製した。こうして得られた cDN Aを铸型にして Taq-man RT-PCRを行うことで、それぞれの細胞中の候補遺伝子の m RNA量を定量した。
以上の解析によって発現変化の見られた遺伝子のなかから、発現変化が統計的に 有意で、 PKCiを調節する PI3Kパスウェイや、 PKCiが関わる細胞極性関連因子などに 注目してマーカー候補遺伝子を絞った。
[0177] 図 16〜23に示すとおり、 PKCiotaの発現を抑制した場合、試験に供した 5つの細胞 全てにおいて、 SNF1LK、 CLDN12及び RPIAの 3遺伝子は up-regulationされ、 AKT3 、 HMGB3、 NFIB及び PXDNの 4遺伝子は down-regulationされることが確認された。す なわち、これらの遺伝子は、 PKCiotaの発現調節に関連して変化する遺伝子マーカ 一として有用であることが確認できた。なお、図 16〜23中、國は無処置の場合の結 果を表し、口はコントロールの結果を表し、斜線は PKC-iota siRNA処理した場合の 結果を表す。
産業上の利用可能性
[0178] p53の発現 ·機能異常を原因とする癌に特異的に働くターゲット遺伝子として PKC-i otaが見出されたことから、当該遺伝子を創薬標的とする化合物の評価が可能となる 。 p53の発現 ·機能の異常を原因とする癌は非常に多種に渡ることから、多くの癌の治 療に有効な化合物の提供が可能となる。また、 PKC-iotaの発現量を指標として診断 を行うことにより、 p53の発現 ·機能の異常を原因とする癌の診断が可能となる。
図面の簡単な説明
[0179] [図 l]U2-OS細胞への変異型 p53の導入の有無による細胞毒性の影響を検討した結 果を示す図である。
[図 2]A427細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討した結果 を示す図である。
[図 3]A549細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討した結果 を示す図である。
[図 4]LU99細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討した結果 を示す図である。
[図 5]NCI_H460細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討した 結果を示す図である。
[図 6]HOP62細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討した結 果を示す図である。
[図 7]HOP92細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討した結 果を示す図である。
[図 8]NCI_H322M細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討し た結果を示す図である。
[図 9]NCI_H226細胞への PKC-iotaの siRNAの導入による細胞増殖の変化を検討した 結果を示す図である。
[図 10]PKC_iotaの阻害の有無及び p53の変異の有無によって生じる BADのリン酸化 を確認した結果を示す図である。
[図 11]ρ53の変異の有無 (発現量の多少)と Be卜 XLの結合量との関係を確認した結果 を示す図である。
[図 12]図 12Aは、 NCト H460 (E545K)細胞を用いて PKC-iotaの阻害による効果を確 認した結果を示す図である。
[0180] 図 12Bは、 NCト H596 (E545K)細胞を用いて PKC-iotaの阻害による効果を確認し た結果を示す図である。
[0181] 図 12Aは、 NCI_H1869 (E545A)細胞を用いて PKC-iotaの阻害による効果を確認 した結果を示す図である。
[図 13]図 13Aは、 MCF7細胞を用レ、て PKC- iota及び PKC- zetaの阻害による LLGL2 のリン酸化の変化を確認した結果を示す図である。
[0182] 図 13Bは、 Hccl419細胞を用いて PKC- iota及び PKC- zetaの阻害による LLGL2の リン酸化の変化を確認した結果を示す図である。
[図 14]常活性変異体 PKC-iotaの発現誘導による LLGL2のリン酸化の変化を確認し た結果を示す図である。
[図 15]PKC_iota阻害剤の添加による LLGL2のリン酸化の変化を確認した結果を示す 図である。
[図 16]図 16Aは、 A549細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PKC-iotaの 発現量を示す図である。
[0183] 図 16Bは、 HOP62細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PKC-iotaの発 現量を示す図である。
[0184] 図 16Cは、 H460細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PKC-iotaの発 現量を示す図である。
[0185] 図 16Dは、 H596細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PKC-iotaの発 現量を示す図である。
[0186] 図 16Eは、 U20S細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PKC-iotaの発 現量を示す図である。
[図 17]図 17Aは、 A549細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の AKT3の発現 量を示す図である。
[0187] 図 17Bは、 HOP62細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の AKT3の発現 量を示す図である。
[0188] 図 17Cは、 H460細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の AKT3の発現量 を 3示す図である。
[0189] 図 17Dは、 H596細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の AKT3の発現量 を示す図である。
[0190] 図 17Eは、 U20S細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の AKT3の発現量 を示す図である。
[図 18]図 18Aは、 A549細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の HMGB3の発 現量を示す図である。
[0191] 図 18Bは、 HOP62細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の HMGB3の発 現量を示す図である。
[0192] 図 18Cは、 H460細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の HMGB3の発現 量を示す図である。
[0193] 図 18Dは、 H596細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の HMGB3の発現 量を示す図である。
[0194] 図 18Eは、 U20S細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の HMGB3の発現 量を示す図である。
[図 19]図 19Aは、 A549細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の NFIBの発現 量を示す図である。
[0195] 図 19Bは、 HOP62細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の NFIBの発現 量を示す図である。
[0196] 図 19Cは、 H460細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の NFIBの発現量 を示す図である。
[0197] 図 19Dは、 H596細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の NFIBの発現量 を示す図である。
[0198] 図 19Eは、 U20S細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の NFIBの発現量 を示す図である。
[図 20]図 20Aは、 A549細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PXDNの発 現量を示す図である。
[0199] 図 20Bは、 HOP62細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PXDNの発現 量を示す図である。
[0200] 図 20Cは、 H460細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PXDNの発現量 を示す図である。
[0201] 図 20Dは、 H596細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PXDNの発現量 を示す図である。
[0202] 図 20Eは、 U20S細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の PXDNの発現量 を示す図である。
[図 21]図 21 Aは、 A549細胞を用レ、て PKC-iotaの発現を抑制した場合の SNF1LKの発 現量を示す図である。
[0203] 図 21Bは、 HOP62細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の SNF1LKの発 現量を示す図である。
[0204] 図 21Cは、 H460細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の SNF1LKの発現 量を示す図である。
[0205] 図 21Dは、 H596細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の SNF1LKの発現 量を示す図である。
[0206] 図 21EAは、 U20S細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の SNF1LKの発 現量を示す図である。
[図 22]図 22Aは、 A549細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の CLDN12の 発現量を示す図である。
[0207] 図 22Bは、 HOP62細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の CLDN12の発 現量を示す図である。
[0208] 図 22Cは、 H460細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の CLDN12の発現 量を示す図である。
[0209] 図 22Dは、 H596細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の CLDN12の発現 量を示す図である。
[0210] 図 22Eは、 U20S細胞を用いて PKC-iotaの発現を抑制した場合の CLDN12の発 現量を示す図である。