明 細 書
硬化性シート組成物
技術分野
本発明は、 硬化性のシート組成物に関し、 特に、 ガラス基板への密着性に優れ、 さらに透明性、 耐候性に優れ、 ガラス基板上に載せて雌型を押しつけ成型すること により、 光学用部品などをガラス基板上に直接成型することが可能な硬化性シ一卜 組成物、 その硬化方法およびこれを用いて成型した成型物に関する。
背景技術
レンズなどの光学用部品の成型方法として、 従来から、 液状の光硬化性樹脂を用 いる方法が知られている。 しかしながら液状の光硬化性樹脂を用いた場合には、 膜 厚を一定に保つことが困難なことや、 気泡の混入、 ハンドリングの煩雑さなどの問 題がある。 そこで硬化性シート組成物 (即ち硬化性組成物からなるシート) を用い るレンズの成型方法が提案されている (特開平 7— 1 7 1 3 2号公報参照)。
従来知られた硬化性シート組成物を用いた成型方法は、 フィルム上や、 フィルム 基板上に光学素子パターンなどを成型するものであり、 ガラス基板上にシートを載 せ雌型を押しつけ成型する直接成型を行うと、 ガラスへの密着性が悪いために雌型 から剥離する際にガラス面から剥離してしまったり、 また長期にわたり屋外で使用 すると剥離してしまうといつた耐久性上の問題があった。
他方、 ガラス基板への直接成型方法としては、 特開 2 0 0 6— 2 3 1 9 1 7号公 報に示されるような、 ペースト状の硬化性組成物を雌型上に塗工し、 活性光を照射 することで硬化させるという方法が提案されているが、 硬化性組成物とガラスとの 密着性を高めるためにガラス基板にカツプリング剤処理を行う必要があり工程数が 多くなつてしまう。 また、 ペースト状であるために、 気泡の混入やはみ出した部分 の処理に配慮しなければならないという問題があつた。
発明の開示
発明の目的
本発明の目的は、 加熱加圧により雌型形状に容易に追従し、 光照射により重合硬 化し、 容易且つ確実に光学素子成型パタ一ンを固定化することができる硬化性シー
ト組成物を提供することにある。
本発明の更なる目的は、 ガラス基板にカップリング剤処理などの前処理を行うこ となく、 ガラス基板上に直接レンズパターンを成型でき、 硬化後はガラス基板への 密着性に優れ、 透明性および耐候性にも優れた硬化性シ一ト組成物を提供すること にある。
発明の要約
本発明は、 第 1に、
(A) ポリカーボネートジォ一ル ( a 1 ) とジイソシァネ一卜 ( a 2 ) と分子中 に少なくとも 1個のヒドロキシル基を含有する (メタ) ァクリレート (a 3 ) の反 応によって得られるウレタン (メタ) ァクリレ一トオリゴマー; 5 0乃至 9 4重
( B ) 分子内に少なくとも 1個の力ルポキシル基を有する (メタ) ァクリレ一 ト ; 5乃至 4 0重量%ぉよび
( C) 光重合開始剤; 0 . 3乃至 1 0重量%
からなることを特徴とする室温で固体状態であり、 加熱により液化流動すること ができる硬化性シート組成物である。 '
本発明は、 第 2に、 上記の硬化性シート組成物をガラスを典型例とする基板上に 適用し、 4 0 °C乃至 1 0 0 °Cの温度に加熱することにより、 該組成物を軟化または 溶融させ、 軟化または溶融状態の該組成物に活性エネルギー線を照射することによ り硬化させることを特徴とする硬化性シート組成物の硬化方法である。
本発明は、 第 3に、 上記の硬化方法により硬化成型された成型物、 好ましくは成 型されたレンズなどの光学用部品である。
発明の効果
本発明の硬化性シ一ト組成物は、 室温下では固形シート状であるためハンドリン グ性に優れ、 種々の基材に対して高い密着性を有するため、 例えばガラス基板への 前処理を必要とせずにガラス基板上に直接光学素子を形成することが可能となる。 さらには、 成型時に気泡混入やはみ出しなどの問題が発生せず、 また透明性、 耐候 性に優れた硬化成型物を得ることができ、 長期屋外での使用に適した光学素子を形
成することが可能となる。
発明の実施の態様 ·
以下、 本発明について詳細に説明する。 本発明の硬化性シート組成物は、 室温で 固体状態であり、 加熱により液化流動することができるシ一ト状の組成物であって、
(A) ポリ力一ポネートジオール ( a 1 ) とジイソシァネート ( a 2 ) と分子中に 少なくとも 1個のヒドロキシル基を含有する (メタ) ァクリレート (a 3 ) の反応 によって得られるウレタン (メタ) ァクリレートオリゴマーを 5 0乃至 9 4重量%、
( B ) 分子内に少なくとも 1個のカルボキシル基を有する (メタ) ァクリレートを 5乃至 4 0重量%、 および (C ) 光重合開始剤を 0 . 3乃至 1 0重量%含有するこ とを特徴とするものである。
本発明における成分 (A) は、 硬化性シート組成物に常温で固体のシートを形成 させるために必要な成分であり、 また硬化物に柔軟性と耐候性を与える成分である。 成分 (A) は、 ポリカーボネートジオール ( a 1 ) とジイソシァネー 1、 ( a 2 ) と 分子中に少なくとも 1個のヒドロキシル基を含有する (メタ) ァクリレート (a 3 ) の反応によって得られるウレタン (メタ) ァクリレートオリゴマーである。 ポリ力一ボネ一トジオール (a l ) は、 カーボネート反復単位の両末端にヒドロ キシル基をもつオリゴマー (ポリマーも含む) であり、 典型的には、 ジオール化合 物とジエステル化合物とを、 ジオール化合物がジエステル化合物より化学量論的に 多い量で反応させて得られることができる。 この際のジォ一ル化合物としては、 主 鎖炭素数 4乃至 6の 2価の脂肪族基の両末端にヒド口キシル基をもつジオール化合 物が好ましく用いられる。 主鎖炭素数 4乃至 6の 2価の脂肪族基としては、 C 4乃 至 C 6のアルキレン基または該アルキレン基の水素原子がアルキル基、 ァリル基、 ハロゲン、 ハロゲン化アルキル基などで置換した基がある。 これらのジオール化合 物の例としては、 1, 5一ペンタンジオール、 1 , 6一へキサンジオール、 3—メ チルー 1, 5ペン夕ジオール、 2 , 4—ジェチルー 1, 5—ペンタンジオール、 1, 4一ブタンジオール、 3—フルォロメチルー 1 , 5一ペンタンジオール、 3—フル オロー 1 , 5—ペン夕ンジオールなどのジオール化合物が挙げられる。 これらは単 独で用いても 2種以上を併用してもよい。
またボリカーボネー卜ジオール ( a 1 ) を製造する際に、 ジオール化合物と反応 させるジエステル化合物としては一般に、 炭酸ジエステル化合物が好適に用いられ る。 炭酸ジエステルの例として、 エチレン力一ポネート、 ジメチルカ一ポネート、 ジェチルカ一ポネート、 ジ— n—プロピル力一ポネート、 ジイソプロピルカーポネ ート、 ジブチルカーポネ一ト、 ジシクロへキシルカーポネート、 ジフエ二ルカ一ボ ネートなどが挙げられ、 これらは単独で用いても 2種以上を併用して用いてもよい。 ジイソシァネート (a 2 ) としては、 ウレタン形成に用いられる適宜のジイソシ エネートを用いることができる。 その例としては、 2, 4—トリレンジイソシァネ ート、 4, 4 ' ージフエニルメタンジイソシァネート、 4, 4 ' ージシクロへキシ ルメタンジイソシァネー卜、 2 , 6—トリレンジイソシァネート、 1, 3—キシリ レンジイソシァネート、 1, 4一キシリレンジイソシァネート、 テトラメチルキシ
ン、 1, 3一ビス (イソシアナトメチル) シクロへキサン、 1 , 4一ビス (イソシ アナトメチル) シクロへキサン、 ノルポルナンジィソシァネートなどが挙げられる。 中でも、 耐候性に優れた硬化物を得られることから、 イソホロンジイソシァネート、 へキサメチレンジイソシァネー卜などの飽和ジイソシァネートが好ましく、 さらに は接着性の点から、 イソホロンジイソシァネート、 ビス ( 4一イソシアナトシクロ へキシル) メタン、 1 , 3—ビス (イソシアナトメチル)、 シクロへキサン、 1 , 4—ビス (イソシアナトメチル) シクロへキサンが好ましい。
分子中に少なくとも 1個のヒドロキシル基を含有する (メタ) ァクリレート (a 3 ) は、 ァクリレー卜またはメタクリレートのエステル結合に少なくとも 1個のヒ ドロキシル基を含有する化合物があり、 その例としては、 エチレングリコ一ル、 プ ロピレングリコ一ル、 1, 3—プロパンジオール、 1, 3一ブタンジオール、 1 , 4一ブタンジオール、 ポリエチレングリコールなどの二価のアルコールのモノ (メ 夕) ァクリル酸エステル、 トリメチロールェタン、 卜リメチロールプロパン、 グリ セリンなどの三価のアルコールのモノ (メタ) アクリル酸エステルまたはジ (メ 夕) ァクリル酸エステル、 フエニルダリシジルエーテル、 2一ェチルォキシラン、
スチレンォキシド、 1, 4—フエ二ルジグリシジルエーテル、 エチレングリコール ジグリシジルエーテル、 1, 2—ビス (グリシジルォキシ) プロパン、 2, 3—ブ チレングリコ一ルジグリシジルエーテル、 ビスフエノ一ル Aジグリシジルエーテル、 ビスフエノール Fジグリシジルエーテルなどのモノ、 ジグリシジル化合物のモノま たはジ (メタ) アクリル酸付加物などが挙げられ、 これらは単独で用いても 2種以 上を併用して用いてもよい。
本願明細書で用いる用語 「(メタ) ァクリレート」 は、 ァクリレートおよび Zま たはメタクリレートを意味する。
本願発明に用いる成分 (A) は、 ポリ力一ポネ一トジォ一ル (a l) を HO—P C— OHで示し、 ジイソシァネート (a 2) を OCN— R— NCOで示し、 分子中 に少なくとも 1偭のヒドロキシル基を含有する (メタ) ァクリレート (a 3) を
CH2 = CR' ' -COOR' 一 OHで示した場合、 モデル的には、
R" O H H 〇
I II I I II
CH2=C-COOR' -0-C-N-R-N-C-
O H H O R"
II I I II I
-O-PC-O-C-N-R-N-C- O— R'OOC— C = CHり として示すことができる。
成分 (A) の合成方法としては、 ウレタン結合の形成に用いられる公知の合成方 法を適宜用いることができる。 その際、 成分 (a l) と成分 (a 3) のヒドロキシ ル基の合計量と成分 (a 2) のイソシァネー卜基が化学量論的に釣り合った量関係 で用いられる。 3成分を同時に反応させても、 また成分 (a l) と成分 (a 2) を 反応させ両末端にイソシァネート基をもつウレタンオリゴマーを形成させた後に成 分 (a 3) を反応させてもよい。
なお、 本発明に用いる成分 (A) は、 重量平均分子量 (Mw) が 20, 000乃 至 200, 000であることが好ましく、 さらに 40, 000乃至 100, 000 の範囲であることが特に好ましい。 Mwが 20, 000未満であると室温でのシー ト状態を保つことが困難となり、 200, 000を超えると加熱により流動しにく
くなり、 被着体への密着性、 金型への追従が困難となる。
本発明における成分 (A) の重量割合は 5 0乃至 9 4 %が好ましく、 さらには 6 0乃至 8 0 %であることが好ましい。 5 0 %未満であると、 室温でのシート状態を 保つことが困難となり、 9 4 %を超えると硬化物が硬くなりすぎ、 成型物の成型が 困難となる。
本発明における成分 (B ) は硬化性シート組成物が基材に対して密着性を与える 成分である。 成分 (B ) の構成は、 分子内に少なくとも 1個の力ルポキシル基を有 する (メタ) ァクリレートであり、 その例としては、 ω—力ルポキシ—ポリ力プロ ンラクトンモノ (メタ) ァクリレート、 フタル酸モノヒドロキシェチル (メタ) ァ クリレート、 (メタ) アクリル酸、 アクリル酸ダイマー、 ]3— (メタ) ァクリロイ ルォキシェチルハイドロジェンサクシネート、 2 - (メタ) ァクリロイロキシェチ ルコハク酸、 2 - (メタ) ァクリロイ口キシェチルフタル酸、 2― (メタ) ァクリ
どが挙げられる。 中でも硬化性に優れ、 耐候性に優れた硬化物を得られ、 かつシート形状を保持できる点から、 2—ァクリ ロイ口キシェチルへキサヒドロフタル酸が特に好ましい。
本発明における成分 (Β ) の重量割合は 5乃至 4 0重量%が好ましく、 さらには 1 0乃至 3 0重量%であることが好ましい。 5重量%未満であると、 ガラス基板へ の密着性が悪くなり、 4 0重量%より多くなると室温でのシート状態を保つことが 困難となる。 ·
本発明における成分 (C) は光重合開始剤であり硬化性シート組成物に硬化性を 与える。 成分 ( C) の例としては、 ァセトフエノン、 ジエトキシァセトフエノン、 2—メチル— 1一 〔4一 (メチルチオ) フエニル〕 — 2—モルホリノプロパン一 1、 ベンゾィン、 ベンゾィンェチルエーテル、 ベンジルジメチルケタール、 ベンゾフエ ノン、 ベンジル、 メチルベンゾィルフオルメート、 チォキサントン、 ジェチルチオ キサントンなどを挙げられるが、 これらに限定されず、 従来から公知の光重合開始 剤が使用可能である。 特に、 2—ヒドロキシ— 2—メチルー 1一フエニルプロパン ― 1一オン、 4一 ( 2—ヒドロキシエトキシ) フエニル一 (2—ヒドロキシ一 2— プロピル) ケトン、 4一 (2—ァクリロイルォキシエトキシ) フエ二ルー (2—ヒ
ドロキシー 2—プロピル) ケトン、 1ーヒドロキシシクロへキシルーフエ二ルケト ン、 1一 (4一^ Γソプロピルフエニル) 一 2—ヒドロキシ一 2—メチルプロパン— 1一オン、 1一 (4—ドデシルフェニル) 一 2—ヒドロキシー 2—メチルプロパン — 1一オン、 2—メチルー 2—モルホリノ (4ーチオメチルフエニル) プロパン一 1一オン、 2一べンジルー 2—ジメチルアミノー 1一 (4一モルホリノフエニル) ーブタノン、 2—ヒドロキシー 2—メチルー 1一 〔4一 (1ーメチルビニル) フエ ニル〕 プロパンのオリゴマーなどを光重合開始剤として用いることにより、 揮発性 ガスの発生を抑制することができ、 特に 2—ヒドロキシー 2—メチルー 1— 〔4一 ( 1ーメチルビニル) フエニル〕 プロパンのオリゴマーは、 その効果が大きく特に 好ましい。 これらは、 1種単独でまたは 2種以上を併用して用いることができる。 本発明における成分 (C) の重量割合は 0. 3乃至 10重量%が好ましく、 さら には 0. 5乃至 5重量%であることが好ましい。 10重量%より多いと組成物の保 存安定性が低下したり、 硬化物の物性が低下する。 また、 0. 3重量%未満である と光硬化性が低下する。
なお、 上記 (A), (B), (C) 各成分の重量割合の和は 100以下の値である。 以上が本発明の硬化性シート組成物の構成成分であるが、 その性能を損なわない 範囲であれば必要に応じて、 (A), (B) 以外の (メタ) アクリル化合物、 反応性 希釈剤、 熱可塑性ポリマー、 レべリング剤、 着色剤、 スリップ剤、 酸化防止剤、 光 安定性剤、 無機充填剤、 紫外線吸収剤、 重合禁止剤、 シリカカップリング剤などの 公知の添加剤などを適宜配合して用いることができる。 特には、 硬化性シート組成 物の貯蔵安定性向上や、 硬化成型物の耐候性を向上させるために、 酸化防止剤や光 安定剤を添加することができる好ましい。
酸化防止剤、 光安定剤として市販されている商品の例としては、 スミライザ一 B HT、 スミライザ一 S、 スミライザ一 BP— 101、 スミライザ一 GA— 80、 ス ミライザ一TNP、 スミライザ一 TPP— R、 スミライザ一 P— 16 (以上、 住友 化学社製)、 アデカスタブ AO— 20、 アデカスタブ AO— 30、 アデカスタブ A O— 40、 アデカスタブ AO— 50、 アデカスタブ AO— 60、 アデカスタブ AO — 70、 アデカスタブ AO— 80、 アデカスタブ AO— 330、 アデカスタブ PE
P— 4C、 アデカスタブ HP— 10、 アデカスタブ 21 12、 アデカスタブ 260 (以上、 旭電化工業社製)、 チヌビン 770、 チヌビン 765、 チヌビン 144、 チ ヌビン 622、 チヌビン 11 1、 チヌビン 123、 チヌピン 292、 ィルガノック · ス 1010、 ィルガノックス 1035、 ィルガノックス 1076、 ィルガノックス 1098、 ィルガノックス 1 135、 ィルガノックス 259 (以上、 チバジャパン 社製)、 ファンクリル FA— 71 1M、 FA- 712HM (以上、 日立化成工業社 製)、 ダブルポンドケミカル社製 c h i s 0 r b 292などが挙げられる (いずれ も商品名)。
これらの酸化防止剤や光安定剤の添加量は特に限定されないが、 樹脂成分 100 重量部に対して、 好ましくは 0. 00 1乃至 5重量部、 より好ましくは 0. 0 1乃 至 3重量部の範囲で用いられる。
本発明の硬化性シート組成物をシー卜状に加工する方法としては、 公知の技術が 使用できる。 例えば、 本発明の組成物を溶剤で希釈することで液状の塗液とし、 離 型処理が施されたポリエステルフィルムなどの支持体上に塗液をフローコート法、 口一ルコート法、 グラビア口一ル法、 マイヤバ一法、 リップダイコート法などによ り塗工し、 溶媒を乾燥することにより任意の膜厚で本発明の硬化性シート組成物を 得ることができる。 液状の塗液は、 成分 (A) 乃至 (C) を配合後に溶剤で希釈す るか、 各成分の配合前にあらかじめ溶剤で希釈しておくことも可能である。
本発明はまた、 上記の硬化性シート組成物を 40°C乃至 100 の温度に加熱す ることにより軟化または溶融させ、 該軟化または溶融状態の該組成物に活性エネル ギ一線を照射することにより硬化させる硬化方法に関する。
本発明の硬化性シート組成物は、 好ましくはガラス、 金属、 プラスチック、 セラ ミックなどの基材上に適用し、 これを 40°C乃至 100°C、 好ましくは 60°C乃至 90°Cに加熱することで軟化または溶融し流動液化状態とする。 ここで流動液化状 態とは、 該シート組成物の熱挙動をレオメータにて測定した際、 G' (貯蔵弹性 率) と G" (損失弾性率) の比で表すことができ、 典型的には G'' /G' が 1以 上の値となった状態のことである。 また、 適用される基材に特に限定はないが、 密 着性および後述する透光性の点からガラスが特に好ましい。
上記の流動液化状態となった後、 本発明の組成物に可視光、 紫外線、 ガンマ線な どの活性エネルギー線を照射することで該硬化性シート組成物は重合反応を起こし て硬化する。 ここで照射する活性エネルギー線の波長は、 (C ) 成分の光重合開始 剤の吸収波長に依存する。 流動液化状態にある硬化性シ一ト組成物に雌型を押し当 て、 この状態で硬化させれば任意の形状に成型することができる。 また、 雌型が金 属製などで光を通さない材質である場合、 基材をガラスなどの透光性のものにして 基材面から活性エネルギー線を照射すればよい。
本発明はさらに、 上記方法により成型された成型物に関する。
上記の方法により成型される成型物としては、 電気 ·電子部品、 コーティング基 板、 フレネルレンズ、 レンチキュラーレンズ、 プリズムレンズ、 マイクロレンズ、 光反射レンズ、 ホログラムなどの光学用部品などが挙げられる。 本発明の硬化性シ ート組成物は透明性、 耐候性に優れるため、 特にレンズなどの光学用部品に好適で ある。 なお、 光学用部品に用いる場合、 基材であるガラス上に直接成型した状態で 用いることができる。
以下、 本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、 本発明はこれらにより限 定されるものではない。
合成例 1 (ウレタンァクリレート 1 ) :温度計、 撹拌機、 還流管を備えたガラス 製反応器に、 メチルェチルケトン 5 8 2 . 2 6重量部、 イソホロンジイソシァ ネート 5 9 . 9 4重量部、 4—メトキシフエノール 0 . 0 5重量部、 ジブチル スズジラウレート 0 . 1重量部を仕込み、 撹拌しながら 6 0 °Cに加温した。 こ れに 7 0 °Cに加温したポリ力一ポネートジオール (T 5 6 5 2旭化成ケミカル ズ製、 1, 5 —ペンタンジオールおよび 1 , 6—へキサンジオールを原料とす る) 5 2 0重量部を滴下し、 滴下終了後、 3時間撹拌して反応させた。 ついで 2—ヒドロキシェチルァクリレート 2 . 3 2重量部を滴下し、 滴下終了後 3時 間撹拌して反応させた。 赤外分光によって、 イソシァネート基が消失するのを 確認して反応終了とし、 ポリカーボネートウレタンァクリレートを得た。 G P C (ゲル浸透クロマトグラフィー) 測定の結果、 この化合物の Mwは 6 0, 0 0 0であった。
比較合成例 1 (ウレタンァクリレー卜 2 ) :合成例 1の手順同様でメチルェチル ケトン 9 '3 4 . 2重量部、.イソホロンジイソシァネ一ト 9 0重量部、 4—メト キシフエノール 0 . 0 8重量部、 ジブチルスズジラウレート 0 . 1 6重量部、 ポリ力一ポネ一トジオール (T 5 6 5 2旭化成ケミカルズ製) 7 0 0重量部、 2—ヒドロキシェチルァクリレート 1 1 . 6重量部にて合成を実施した。 得ら れた化合物の Mwは 1 5 , 0 0 0であった。
比較合成例 2 (ウレタンァクリレート 3 ) :合成例 1の手順同様でメチルェチル ケトン 2 4 9 3 . 1 8重量部、 イソホロンジイソシァネート 2 5 0 . 8 6重量 部、 4ーメトキシフエノール 0 . 2 5重量部、 ジブチルスズジラウレート 0 . 5重量部、 ポリ力一ポネートジオール (T 5 6 5 2旭化成ケミカルズ製) 2 2 4 0重量部、 2—ヒドロキシェチルァクリレート 2 . 3重量部にて合成を実施 した。 得られた化合物の Mwは 2 5 0, 0 0 0であった。
比較合成例 3 (ウレタンァクリレー卜 4 ) :ボリ力一ポネートジオールの代わり に、 ポリエーテルジオール (P TM G 2 0 0 0三菱化学製) を使用するほかは、 合成例 1と同様の添加量、 手順でポリエーテルウレタンァクリレートを得た。 得られた化合物の Mwは 6 0, 0 0 0であった。
実施例および比較例:合成例 1および比較合成例 1乃至 3で得られたウレタンァ クリレートを用いて、 表 1と表 2に示す配合割合にて硬化性シ一ト組成物の塗 液を得た。 ついで、 この塗液を離型処理が施されたペットフィルム上に、 乾燥 膜厚 1 0 となるように、 バーコ一夕一を用いて成膜し、 乾燥炉にて希釈 溶剤を蒸発させることで硬化性シート組成物を得た。 なお、 表中の配合割合は 特に断りのない限り重量基準である。
成膜性試験:塗液を離型処理が施された P E Tフィルム上に、 乾燥膜厚 1 0 0 /X mとなるように、 バーコ一夕一を用いて成膜し、 乾燥炉にて希釈溶剤を蒸発さ せた後、 塗膜の状態を確認した。 乾燥後の塗膜の状態が一様であるものを合格 とし、 はじきや流動性を有する塗膜を不合格とした。
成型性試験: 1つのプリズム寸法が幅 1 0 0; m高さ 5 0 mであり、 多数のプ リズムが連続的に施された金型を用いて、 実施例および比較例のシート組成物
を温度 70° (、 プレス圧力 0. IMP aにて 3分間押し圧成型を行い、 その後 紫外線を照射して硬化させ、 硬化後に金型から剥離してシ一ト組成物の成型硬 化物を得た。 この成型硬化物の形状と金型の形状を非接触三次元測定機 (NH 一 3型測定機、 三鷹光器社製) を用いて比較し、 幅および高さ寸法がそれぞれ 5 %以内のものを合格とした。
接着力試験: 5. OmmX 25mmX 100 mmのガラス板に実施例および比較 例の硬化性シート組成物 1 OmmX 15 mmの大きさで貼り付け支持体を除去 後、 他方のガラス板と貼り合わせ、 70°CX 1時間加熱した後、 積算光量 30 k J Zm2の紫外線を照射したものを試験片として評価に用いた。 この試験片 の両端をチャックに固定し、 引張速度 50 mm/m i nにて引張せん断荷重を かけ、 試験片が破壊するまでの最大荷重を測定し、 引張せん断接着強さを算出 した。 引張せん断接着強さは 3. OMP a以上を合格とした。
透過率試験: 3. OmmX 25mmX 50 mmのガラス板に実施例および比較例 の硬化性シート組成物を全面に貼り付け、 積算光量 30 k J /m2の紫外線を 照射した後、 支持体を除去したものを試験片として評価に用いた。 この試験片 の全光線透過率を濁度計 (NDH2000日本電色製) を用いて測定した。 全 光線透過率は 85 %以上のものを合格とした。
耐候性試験: 3. OmmX 75mmX 150 mmのガラス板に実施例および比較 例の硬化性シート組成物を全面に貼り付け、 積算光量 30 k JZm2の紫外線 を照射した後、 支持体を除去したものを試験片として評価に用いた。 この試験 片をキセノンアークウエザーォメーター (アトラス · C i 4000東洋精機製 作所製) にて、 1000時間劣化促進試験を行い、 劣化促進試験後の試験片の 状態を全光線透過率で確認し、 初期の全光線透過率からの減少率が 5 %以内を 合格、 5%以上の減少率のものを不合格とした。
表 1
表中、 ( ) は希釈溶剤を除いた樹脂成分の重量である。 また表中、
◎は 「合格:非常に優れている」 、 〇は 「合格:優れている」 、 Xは 「不合格」
を意味する。
また、 表中、 光重合開始剤 1は 1ーヒ ドロキシシクロへキシルフェニルケトン ( I r g a c u r e l 84、 チパ 'スぺシャリティ ·ケミカル社製品)、 光重合開始 剤 2は 2—ベンゾィルプロパン一 2—ォーノレ (ダロキュア、 メルク社製品) である。 実施例 1乃至 5では、 成膜性、 成型性、 接着力、 透過率およぴ耐候性において、 良好な結果が得られた。 中でも 2—アタリロイ口キシェチルへキサヒドロフタル酸 を使用した実施例 2乃至 5および比較例 3乃至 5では特に耐候性が良好であった。 比較例 1では成膜性が十分ではなく、 接着力も低かった。 比較例 2では接着力が 低かった。 比較例 3、 4では成膜が困難であった。 比較例 5では成形性が十分でな かつた。 比較例 6では耐候性が十分ではなかった。
産業上の利用可能性
本発明の硬化性シート組成物は、 ガラス基板への前処理を必要とせずにガラス基 板上に直接光学素子を形成することが可能となり、 生産効率を向上させることがで きる。 成型硬化物は高い耐候性を有するため、 長期屋外での使用に適した光学素子 を製造することが可能となる。