JP2000205942A - 移動体に設けられた機器の異常を診断するための診断装置 - Google Patents

移動体に設けられた機器の異常を診断するための診断装置

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JP2000205942A
JP2000205942A JP11004366A JP436699A JP2000205942A JP 2000205942 A JP2000205942 A JP 2000205942A JP 11004366 A JP11004366 A JP 11004366A JP 436699 A JP436699 A JP 436699A JP 2000205942 A JP2000205942 A JP 2000205942A
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川 裕 一 森
Katsuyoshi Nagayasu
安 克 芳 長
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外乱音の影響を廃し、移動体に搭載された機
器の異常診断を高精度に行うことができる診断装置を提
供する。 【解決手段】 診断装置は、移動体の移動方向に沿って
地面等の静止系に配設された複数の音響センサ1-iと、
移動体と各音響センサ1-iとの位置関係を検出するため
の移動体検知装置4と、各音響センサ1-iからの信号に
基づいて移動体に搭載された機器の異常を判定する信号
処理装置10を備えている。信号処理装置10は、各音
響センサ1-iからの信号の加算平均を求め、この平均値
に基づいて機器の異常を診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響工学的手法を
用いて移動体に搭載された機器の異常の有無を遠隔的に
診断する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの機器は、異常が発生すると正常運
転時とは異なった音を発生する。このことを利用して、
従来から、人間の聴覚または音響的分析を行う機器によ
り機器の異常の有無の診断が行われてきている。
【0003】静止系(例えば地面)に固定されている機
器の異常を自動的に診断する装置は、従来から知られて
いる。この種の異常診断装置は、診断対象機器の近傍に
配置された例えば集音マイク等の音響センサと、この音
響センサとは離れた位置に設けられた信号処理装置とか
ら構成されており、信号処理装置により音響センサから
の出力信号の周波数分析を行い、その結果がある一定値
を越えた時を異常と判定するとともに機器に異常がある
旨のメッセージを出すようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な固定機器用に構成された従来の異常診断装置を移動体
に搭載された機器用のものとして適用するにあたって
は、以下のような問題がある。
【0005】まず、第1に、固定機器用の診断装置は診
断対象機器が常時音響センサ近傍に存在することを前提
としているため、診断対象機器が近傍に無いときの音も
判定の対象となってしまう。このため、診断対象となる
機器が発する音と類似の外乱音が発生した場合、診断装
置の誤動作が発生するおそれがある。
【0006】また、移動体が音響センサの前を通過して
いる時間は通常短時間であるため、十分な測定時間を確
保することができない。このため、移動体の通過中に外
乱音が発生すると、音響センサにより採取される音響信
号のS/N比が低下し、精度のよい異常診断を行うこと
が困難となる。また、診断対象機器が発する音が低周波
である場合、短時間の測定では正確な判定を行うために
十分な情報量を確保することが極めて困難となる。
【0007】また、移動体が複数の機器を搭載している
場合、従来の固定機器用の診断装置を用いたのでは、こ
れら複数の機器がそれぞれ発生する音をいずれの機器か
らのものかを判別して各種機器の異常を個別に判定する
ことは不可能である。
【0008】本発明は、上記実状に鑑みなされたもので
あり、移動体に無関係な外乱音による誤動作の防止、異
常診断精度の向上、互いに異なる移動体および互いに異
なる搭載機器に対する個別的な診断等を可能とすること
ができる、移動体に搭載された機器用の異常診断装置を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の第1の手段は、移動体に設けられた機器の異常を診断
するための診断装置において、移動体の移動方向に沿っ
て地面等の静止系に配設された複数の音響センサと、前
記各音響センサから出力される信号を平均化し、この平
均信号に基づいて機器の異常を判定する信号処理装置
と、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】この第1の手段によれば、異常診断時の外
乱音の影響を最小限とすることができ、これにより高精
度の判定を行うことができる。
【0011】また、本発明は、移動体に設けられた機器
の異常を診断するための診断装置において、移動体の移
動方向に沿って地面等の静止系に配設された複数の音響
センサと、前記各音響センサから出力される信号を合成
し、この合成信号に基づいて機器の異常を判定する信号
処理装置と、を備えたことを特徴とするものである。こ
の第2の手段によれば、移動体が高速で移動している場
合に低周波音に基づいて異常判定を行う場合において
も、仮想的に十分な測定時間を確保することができる。
このためより高精度な異常判定を行うことができる。
【0012】また、第3の手段は、移動体に設けられた
機器の異常を診断するための診断装置において、移動体
の移動経路近傍の地面等の静止系に所定の位置関係をも
って配設された複数の音響センサと、前記移動体と前記
音響センサとの位置関係を検出するための移動体検知装
置と、前記各音響センサからそれぞれ送信された信号に
基づいて、機器の異常を判定する信号処理装置と、を備
え、前記信号処理装置は、前記各音響センサからの信号
に基づいて音響インテンシティを算出する手段と、音響
インテンシティに基づいて前記音響センサが捉えた音の
音源方向を算出する音源方向判定手段と、前記移動体検
知装置により検出された移動体の位置と、前記音源方向
判定手段により算出された音源方向とを比較する手段
と、を有することを特徴とするものである。
【0013】この第3の手段によれば、音響インテンシ
ティの理論により算出された音源方向と移動体の方向が
特定の関係にある場合に得られた信号のみが診断処理の
対象となる。このため、外乱音の影響を低減することが
でき、より高精度の異常診断を行うことができる。
【0014】また、第4の手段は、移動体に設けられた
機器の異常を診断するための診断装置において、移動体
の移動経路近傍の地面等の静止系に配設された指向性音
響センサと、前記移動体と前記指向性音響センサとの位
置関係を検出するための移動体検知装置と、前記指向性
音響センサから送信された信号に基づいて、機器の異常
を判定する信号処理装置と、を備えたことを特徴とする
ものである。
【0015】この第4の手段によれば、外乱音の影響を
最小限として異常診断を行うことができる。
【0016】また、第5の手段は、移動体に設けられた
機器の異常を診断するための診断装置において、移動体
の移動経路近傍の地面等の静止系に配設された音響セン
サと、移動体が前記音響センサの前を通過することを検
出するための移動体検知装置と、前記移動体が前記音響
センサの近傍を通過中に前記音響センサから送信された
信号に基づいて機器の異常を判定する信号処理装置と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0017】この第5の手段によれば、移動体が音響セ
ンサの近傍を通過している場合の信号のみに基づいて異
常診断を行うことができるため、外乱音の影響を低減す
ることができる。
【0018】また、第6の手段は、移動体に設けられた
機器の異常を診断するための診断装置において、移動体
の移動経路近傍の地面等の静止系に配設された音響セン
サと、前記音響センサから送信された信号に基づいて、
前記機器の異常を判定する信号処理装置と、前記移動体
を識別するための移動体識別手段と、前記移動体、前記
移動体を構成する移動体単体、または移動体に設けられ
た機器ごとの信号レベルのデータを保存するデータ保存
手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0019】この第6の手段によれば、移動体または機
器の個別的な履歴管理をすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。 [第1の実施の形態]まず、第1の実施の形態について
説明する。図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を
示す図である。
【0021】図1に示すように、移動体に設けられた機
器の異常を診断するための診断装置は、移動体の移動方
向に沿って、すなわち鉄道車両連結体7の軌道8に沿っ
て軌道8の近傍の地面9(静止系)上に配設された複数
の音響センサ1-iと、複数の移動体センサ3-iを有する
移動体検知装置4と、各音響センサ1-iからの信号に基
づいて機器の異常の判定を行う信号処理装置10とを備
えている。この信号処理装置10は、各音響センサ1-i
が設置されている場所から離れた場所、例えば管制室に
設けられている。また、移動体診断装置には、信号処理
装置10の前段で各音響センサ1-iからの信号を増幅す
る増幅器2が設けられている。
【0022】なお、以下、本明細書において「車両連結
体」という用語は、車両単体を複数連結することにより
構成されたものを意味し、また「車両単体」とは車両連
結体を構成する一両の車両を意味する。
【0023】移動体センサ3-iは、各音響センサ1-iに
対応して設けられるとともに各音響センサ1-iと一緒に
軌道8に沿って地面9上に配置されている。これら移動
体センサ3-iは、移動体検知装置4におけるセンサ部と
しての機能を果たすものである。
【0024】移動体検知装置4は、各移動体センサ3-i
からの信号に基づいて、信号処理装置10に音響センサ
1-iからの信号を取り込むように指示するトリガ信号の
発信や、鉄道車両連結体7と各音響センサ1-iとの相対
的位置関係の算出等を行う機能を有している。
【0025】更に、軌道8の近傍には、受信装置5が設
けられている。この受信装置5は、鉄道車両連結体7が
常時発信しているID信号、すなわち自らを特定する信
号を受信して管制塔に設けられた移動体識別装置6に送
信するようになっている。移動体識別装置6は、前記I
D信号に基づいて通過中の鉄道車両連結体7を識別し、
その識別結果を信号処理装置10に送信するようになっ
ている。なお、鉄道車両連結体7が発するID信号は、
当該車両連結体の編成および各車両単体に使用されてい
る車両の種類を特定することができるようなものであ
る。
【0026】次に、信号処理装置10の構成について説
明する。
【0027】信号処理装置10は、各音響センサ1-iか
らの信号を信号処理装置10の内部に取り込むレシーバ
11と、A/D変換器12と、高速フーリエ変換器すな
わち周波数分析器13と、演算装置14と、比較器15
と、判定器16と、データ保存装置17と、表示器18
とを有している。なお、信号処理装置10の各構成要素
の詳細については以下の作用の説明において説明する。
【0028】次に、上記構成を有する本実施形態の作用
について説明する。なお、以下の説明においては、本診
断装置を鉄道車両に搭載された圧縮空気配管からの漏気
検出を行うために適用した場合を例にとって説明する。
【0029】鉄道車両連結体7が鉄道車両連結体7の移
動方向に関して最も上流側の移動体センサ3-iの前、す
なわち対応する音響センサ1-iの前を通過し始めると、
移動体検知装置4は、信号処理装置10のレシーバ11
に各音響センサ1-iからの信号を取り込むように指令を
発する。
【0030】各音響センサ1-iは鉄道車両連結体7の移
動方向に沿って配置されているため、鉄道車両連結体7
は、その移動速度および各音響センサ1-iの配置間隔に
より定まる所定の時間差をもって、順次各音響センサ1
-iの前を通過することになる。従って、鉄道車両連結体
7が発する音は各音響センサ1-iを介して信号処理装置
10に順次取り込まれることになる。各音響センサ1-i
からの信号の取り込みは、鉄道車両連結体7がその移動
方向に関して最も下流側にある移動体センサ3-iの前、
すなわち対応する音響センサ1-iの前を通過し終わるま
で、継続的に行われる。
【0031】以下の処理を図1及び図2を参照して説明
する。なお、図2において、流れ図の左側に付されたカ
ッコ付きの参照符号(13)、(14)は、各処理を実
施する構成要素を示している(図6においても同じ)。
【0032】信号処理装置10に取り込まれた各音響セ
ンサ1-iからの信号は、まずA/D変換器12によりデ
ジタル信号に変換され、周波数分析器13に導入され
る。周波数分析器13は、導入された音響信号を12.
8kHz までの各周波数帯域成分に分解し、各周波数帯域
ごとの成分信号を演算装置14に送信する。
【0033】そして演算装置14は、各音響センサ1-i
からの音響信号にそれぞれ対応するパワースペクトルを
算出する(ステップS1)。各音響センサ1-iのうちの
1つの音響センサからの信号に基づいて算出されたパワ
ースペクトルの時間変化を示す図の一例が、図3に示さ
れる。A/D変換、周波数分析およびパワースペクトル
の算出は各音響センサ1-iからの信号に対して並列的に
実行される。
【0034】次に、演算装置14は、パワースペクトル
の時間変化データの加算平均を求める(ステップS
2)。なお、ここで、各音響センサ1-iは鉄道車両連結
体7の移動方向に沿って配置されているため、鉄道車両
連結体7が第n番目の音響センサ1-iの前を通過した
後、第n+1番目の音響センサ1-iを通過するまでには
所定の時間差があり、このため各パワースペクトルの時
間変化データの時間軸には少しずつずれがある。
【0035】この時間軸のずれは、移動体検知装置4に
より各移動体センサ3-iからの信号に基づいて算出する
ことができ、演算装置14は移動体検知装置4により算
出されたデータに基づいて時間軸のずれを修正した後、
前記パワースペクトルの時間変化データの加算平均を算
出することになる。
【0036】次に、演算装置14は、前記パワースペク
トルの加算平均から圧縮空気配管に漏気が発生した場合
に発生する周波数である8kHz 〜11kHz に対応するデ
ータを抜き出し、周波数について積分する(ステップS
3)。すなわち、ここでは、機器に異常が発生した場合
に変化する周波数帯域がその機器によって決まる場合が
多いという事実に基づいて、異常検出に必要な周波数の
みを抜き出す処理を行っていることになる。
【0037】次に、演算装置14は、積分演算の結果を
対数のdB表示に変換して出力する。(ステップS4)
出力されるデータの形態は、経過時間と音圧との関係を
示すものとなる。
【0038】次に、演算装置14は、鉄道車両移動体7
からのID信号に基づいて移動体識別装置6が認識した
鉄道車両連結体7の種別(ID)に基づいて、当該鉄道
車両連結体7の編成および各車両単体に使用されている
車両の種類を特定する。
【0039】通過中の鉄道車両連結体7が特定される
と、移動体検知装置4からの信号を考慮することによ
り、経過時間に対応する音響センサ1-iと鉄道車両連結
体7との位置関係を特定することができるようになる。
【0040】比較器15は、移動体識別装置6からの信
号により通過中の鉄道車両連結体7を特定し、データ保
存装置17から該当する車両連結体に関する音響的な基
準値(上限および下限の基準値)に関する情報を取得す
る。データ保存装置17には、所定の編成を有する鉄道
車両連結体7全体についての基準値、各車両単体につい
ての基準値、および各車両単体の特定の搭載機器につい
ての基準値が記録されている。
【0041】比較器15は、演算装置14からの入力値
を各車両ごとに基準値と比較し、この入力値が前記基準
値の範囲外にある場合、基準範囲の値からのずれを出力
する。
【0042】比較器15の出力は判定器16に導入さ
れ、判定器16は比較器15から得られた値が基準範囲
内にあるか否かを示す判定信号を出力する。
【0043】表示器18は判定器16からの判定信号を
導入して診断対象機器の異常の有無を表示する。
【0044】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、移動体センサからの信号に基づいて車両の通過中の
音響信号のみにより機器の異常診断を行うようになって
いるため、外乱音による影響を受けず高精度に機器の異
常を検出することができる。すなわち、移動体を対象と
しない従来の機器異常診断装置のように常に音響信号を
監視している場合には、音響センサの周囲に外乱音が発
生した場合に誤動作が発生する場合もあり得るが、本実
施形態によればこの問題を解決することができることに
なる。
【0045】また、移動体センサからの信号により、各
音響センサと車両連結体の位置関係を特定することがで
き、かつ、移動体識別装置によって、車両連結体の特
定、車両連結体を構成する車両単体の形式の特定、およ
び各車両単体に設けられた個々の機器を特定することが
できるようになっている。従って、車両連結体全体ない
し車両単体を一単位とした測定を行うことができるのみ
ならず、個々の機器を対象とした測定をも行うことがで
きる。
【0046】このため、データ保存装置に保存された車
両連結体全体ごと、車両単体ごと、または個々の機器ご
との基準値と上記測定結果とを比較することにより、車
両連結体全体ないし車両単体を一単位とした異常診断の
みならず、個々の機器を対象とした異常診断をも高精度
で行うことができる。
【0047】また、診断を行うたびにデータ保存装置に
診断結果を保存しておくことにより、車両連結体全体、
車両単体、および個々の機器ごとに履歴管理を行うこと
ができる。このため、単に機器の異常を判断するのみな
らず、各機器のメンテナンス計画の作成等をも行うこと
ができる。
【0048】また、本実施形態によれば、移動体の移動
方向に沿って配置された複数の音響センサを使用し、各
音響センサからの信号(の処理結果)の平均値に基づい
て機器の異常を判断しているため、すなわち複数の音響
センサにより同一の移動体が発する音を複数回測定した
結果の平均値に基づいて機器の異常を判定するようにな
っているため、外乱音の影響をより小さくすることがで
きる。
【0049】また、本実施形態によれば、移動体の移動
方向に沿って配置された複数の音響センサにより遅延を
かけて音響信号を採取することができるようになってい
るため、低周波の音響信号に基づいて診断を行わなけれ
ばならない場合でも、移動体の機器が各音響センサを通
過する時の信号を合成することにより測定時間を仮想的
に長くすることができ、これにより高精度の診断を行う
ことができる。すなわち、診断対象である(移動体の)
機器が音響センサの前を高速で通過する場合、診断対象
である機器が発する音が低周波の音である場合には、十
分な測定時間を確保することが困難となるが、本実施形
態によればこの問題を解決することができることにな
る。
【0050】また、固定系に音響センサを設置している
ので、移動体がそこを通過することで移動体の全体の異
常を少ないセンサ数で短時間に診断することができる。
【0051】また、本実施形態によれば、音響センサか
らの信号のすべてに基づいて異常診断を行うのではな
く、診断対象となる機器に異常が生じた場合に発生する
周波数帯域の信号成分の変化(すなわちスペクトルの変
化)のみに基づいて異常診断が行われるようになってい
る。このため、外乱音の影響をより低減することがで
き、より高精度に機器の異常を診断することができる。
【0052】[第2の実施の形態]次に、第2の実施の
形態について説明する。図4乃至図7は本発明の第2の
実施の形態を示す図である。第2の実施の形態に係る機
器異常診断装置は、第1の実施の形態に対して、音源方
向を特定するための手段が更に設けられている点が主と
して異なり、他は第1の実施形態と略同一である。第2
の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分に
ついては同一符号を付し、詳細な説明は省略する。な
お、第2の実施の形態は、本発明を鉄道車両に搭載され
た機機の冷却フアンの音を検出するために適用した例を
示すものである。
【0053】本実施形態においては、第1の実施の形態
に対して音響センサの配置が異なっている。すなわち本
実施形態においては、図5に示すように、3本の音響セ
ンサ1a,1b,1cが設けられており、このうち中央
の音響センサ1bはその軸線が移動体の進行方向と直交
する方向を向き、中央の音響センサ1bを挟んで音響セ
ンサ1a,1cが配置されている。音響センサ1a,1
cの軸線(図5二点鎖線参照)は、音響センサ1bの軸
線(図5二点鎖線参照)に対してそれぞれ略45度の角
度をなしており、音響センサ1aの軸線は鉄道車両連結
体7の移動方向の上手側を向き、音響センサ1cの軸線
は鉄道車両連結体7の移動方向の下手側を向いている。
【0054】演算装置14aは、第1の実施の形態の演
算装置14に対して、音源方向を判定するための音響イ
ンテンシティを算出する機能を更に備えている。そして
信号処理装置10は、演算装置14aにより算出された
音響インテンシティに基づいて音源方向を算出するため
の音源方向判定器20を更に備えている。
【0055】次に、上記構成を有する本実施形態の作用
について説明する。
【0056】図6に示すように、演算装置14aは、第
1の実施の形態と同様にして、各音響センサ1a,1
b,1cからの信号に基づいて、パワースペクトルの算
出(ステップS1)、パワースペクトルデータの平均化
(ステップS2)、冷却ファンに対応する所定周波数帯
域の信号についての積分(ステップS3)およびdB表
示への変換演算(ステップS4)を行う。
【0057】演算装置14aは、上記演算と並行して音
響インテンシティの算出を行う。すなわち、「2マイク
ロフォン法」による音響インテンシティの算出手法を用
いて、音響センサ1a,1bおよび音響センサ1b,1
cからの信号にそれぞれ基づいて、判定対象である冷却
ファンの周波数帯域の音の発生源の方向を算出するため
に音響インテンシティの算出を行う。
【0058】ここで、以下に、演算装置14aにより実
行される音源方向検出時の信号処理の流れについて、音
響インテンシティの理論と併せて説明する。
【0059】ある任意点でのr方向の音響インテンシテ
ィIr は、その点での音圧p(t)と粒子速度のr方向
成分u(t)を用いて、次式(1)で表すことができ
る。
【0060】
【数1】 ここで、粒子速度ur は音圧pと次の関係がある。
【0061】
【数2】 ただし、ρ0 は空気の密度。式(2)より、粒子速度u
r は次式(3)で表すことができる。
【0062】
【数3】 2マイクロホン法を用いて測定を行った場合、2本のマ
イクロホンの間隔を△rとし、各マイクロホンで測定さ
れるr方向の音圧をそれぞれp1 (t)、p2 (t)と
すると、式(3)における被積分関数は次式(4)で近
似することができる。
【0063】
【数4】 また、これら2測定点の中点の音圧を下式(5)で近似
することができる。
【0064】
【数5】 音響インテンシティは、上式(3)(4)(5)を上式
(1)に代入することにより得られる次式(6)により
表現することができる。
【0065】
【数6】 パーシバルの定理から、時問領域のパワーと周波数領域
のパワーとの間の関係は次式(7)で表現される。
【0066】
【数7】 ただし、p(f)、ur (f)は各々p(t)、u
r (t)のフーリエ変換対、ur (f)はur (f)
の共役複素数をそれぞれ示す。ここで、上式(3)〜
(5)より、ur (f)、p(f)は次式(8)(9)
で表現することができ、
【0067】
【数8】 ここで上式(8)(9)を上式(7)に代入すると、
【0068】
【数9】 となる。ただし、Im(p1 2 )はp1 ・p2 のク
ロススペクトルの虚部。
【0069】単一周波数の場合、時間領域から複素フー
リエ係数に展開されたとすると、上式(10)は、
【数10】 となる。
【0070】ある周波数帯域(f1 ≦f≦f2 )におけ
る音響インテンシティは、個々の周波数に対応する音響
インテンシティの和であるため、
【0071】
【数11】 上式(12)から最終的に音響インテンシティ値Ir
求めることができる。
【0072】以上説明したように、演算装置14aは、
図6に示すように、クロススペクトルの算出(ステップ
T1)を複数回繰り返した後、データの平均化(ステッ
プT2)を行い、これから音響インテンシティ値の算出
を行い(ステップT3)、その結果を音源方向判定器2
0(図4参照)に出力するようになっている。
【0073】特に、本実施形態においては、演算装置1
4aは、上記ステップT1〜T3の演算を、音響センサ
1a、1bからの音響信号および音響センサ1b、1c
からの音響信号のそれぞれに対して行うことにより、音
響センサ1a、1bからの音響信号に対応する音響イン
テンシティと音響センサ1b、1cからの音響信号に対
応する音響インテンシティとをそれぞれ算出している。
そして、これら2つの音響インテンシティのベクトル値
を合成することにより音源方向を算出している。すなわ
ち、本実施形態においては、図6に示すステップT3の
後段で2つの音響インテンシティのベクトルを合成する
処理が行われている。
【0074】図7に、上記手法により求められた音響イ
ンテンシティの経時変化の一例を示す。図7は、車両に
搭載される機器である冷却ファン音の一定時間(0.2
4sec )ごとの音響インテンシティの変化をとらえたも
のであり、車両の移動に伴い音のベクトルが変化し、音
源が移動していることが確認できる。
【0075】次に、音源方向判定器20は、移動体検知
装置4からの信号と、音響インテンシティに基づいて求
められた音源方向とを比較して、音源方向が車両の方向
と一致している場合にのみ、前記ステップS1〜S4に
おける演算結果を比較器15に出力する(図4参照)。
そして、以下、第1の実施形態と同様の処理が行われ
る。
【0076】以上説明したように、本実施形態において
は、信号処理装置10が、判定対象となる周波数帯域の
音響信号の発生源の方向が移動体の方向と一致している
場合にのみ正規の信号として処理し、方向が一致してい
ない場合には、外乱音として処理するようになってい
る。このため、診断対象機器が発する周波数の音と同一
帯域の外乱音が発生している環境下においても、高精度
に機器の異常を判定することができる。
【0077】なお、上記実施形態においては、音響イン
テンシティの理論を用いて音源方向を算出し、移動体の
方向と音源方向とが一致した場合にのみ、その音を機器
異常診断に用いるようにしたが、これに限定されるもの
ではない。すなわち、外乱音の発生源が、移動体の方向
とは全く関係のない音響センサ後方に限られている場合
には、音響インテンシティを算出する手法に代えて、指
向性音響センサを用いることによっても外乱音の影響を
除去することができる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
移動体に設けられた機器の異常を、外乱音の影響を受け
ることなく高精度に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図的構
成図。
【図2】信号処理装置におけるデータ処理の流れを示す
図。
【図3】圧縮空気配管から空気が漏れている時の音響ス
ペクトルの時間変化を示す図。
【図4】本発明の第2の実施例を示すブロック図的構成
図。
【図5】音響インテンシティを求めるために好ましい音
響センサの配置を示す図。
【図6】信号処理装置におけるデータ処理の流れを示す
図。
【図7】音響インテンシティの時間変化の一例を示す
図。
【符号の説明】
1-i、1a,1b,1c 音響センサ 3 移動体センサ 10 信号処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉 川 賢 一 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 森 川 裕 一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 長 安 克 芳 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 2G064 AA14 AB01 AB02 AB16 AB22 BA02 BD02 CC35 CC43 CC53 CC55 CC57 DD21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】移動体に設けられた機器の異常を診断する
    ための診断装置において、 移動体の移動方向に沿って地面等の静止系に配設された
    複数の音響センサと、 前記各音響センサから出力される信号を平均化し、この
    平均信号に基づいて機器の異常を判定する信号処理装置
    と、を備えたことを特徴とする診断装置。
  2. 【請求項2】移動体に設けられた機器の異常を診断する
    ための診断装置において、 移動体の移動方向に沿って地面等の静止系に配設された
    複数の音響センサと、 前記各音響センサから出力される信号を合成し、この合
    成信号に基づいて機器の異常を判定する信号処理装置
    と、を備えたことを特徴とする診断装置。
  3. 【請求項3】移動体に設けられた機器の異常を診断する
    ための診断装置において、 移動体の移動経路近傍の地面等の静止系に所定の位置関
    係をもって配設された複数の音響センサと、 前記移動体と前記音響センサとの位置関係を検出するた
    めの移動体検知装置と、 前記各音響センサからそれぞれ送信された信号に基づい
    て、機器の異常を判定する信号処理装置と、を備え、 前記信号処理装置は、 前記各音響センサからの信号に基づいて音響インテンシ
    ティを算出する手段と、 音響インテンシティに基づいて前記音響センサが捉えた
    音の音源方向を算出する音源方向判定手段と、 前記移動体検知装置により検出された移動体の位置と、
    前記音源方向判定手段により算出された音源方向とを比
    較する手段と、を有することを特徴とする診断装置。
  4. 【請求項4】移動体に設けられた機器の異常を診断する
    ための診断装置において、 移動体の移動経路近傍の地面等の静止系に配設された指
    向性音響センサと、 前記移動体と前記指向性音響センサとの位置関係を検出
    するための移動体検知装置と、 前記指向性音響センサから送信された信号に基づいて、
    機器の異常を判定する信号処理装置と、を備えたことを
    特徴とする診断装置。
  5. 【請求項5】移動体に設けられた機器の異常を診断する
    ための診断装置において、 移動体の移動経路近傍の地面等の静止系に配設された音
    響センサと、 移動体が前記音響センサの前を通過することを検出する
    ための移動体検知装置と、 前記移動体が前記音響センサの近傍を通過中に前記音響
    センサから送信された信号に基づいて機器の異常を判定
    する信号処理装置と、を備えたことを特徴とする診断装
    置。
  6. 【請求項6】前記信号処理装置は、 前記音響センサから出力される信号を各周波数成分に分
    ける周波数分析器と、 前記周波数分析器によって分けられた各周波数成分のう
    ち、予め指定された周波数帯域の信号成分だけを取り出
    す手段と、 取り出された信号成分のレベルが予め定められた基準値
    を外れた場合に異常と判定する手段と、を有することを
    特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の診断装
    置。
  7. 【請求項7】移動体に設けられた機器の異常を診断する
    ための診断装置において、 移動体の移動経路近傍の地面等の静止系に配設された音
    響センサと、 前記音響センサから送信された信号に基づいて、機器の
    異常を判定する信号処理装置と、 前記移動体を識別するための移動体識別手段と、 前記移動体、前記移動体を構成する移動体単体、または
    移動体に設けられた機器ごとの信号レベルのデータを保
    存するデータ保存手段と、を備えたことを特徴とする診
    断装置。
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