JP2000209765A - 電力系統保護リレ―整定値設定システム - Google Patents

電力系統保護リレ―整定値設定システム

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JP2000209765A
JP2000209765A JP11006928A JP692899A JP2000209765A JP 2000209765 A JP2000209765 A JP 2000209765A JP 11006928 A JP11006928 A JP 11006928A JP 692899 A JP692899 A JP 692899A JP 2000209765 A JP2000209765 A JP 2000209765A
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computer
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JP11006928A
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English (en)
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Tsutomu Suzuki
努 鈴木
Yutaka Komi
裕 小海
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オンライン監視制御用計算機よりオンライン
の系統構成及び潮流状態を取り込み、取り込んだオンラ
インデータを使用して整定値を決定することにより、整
定値の精度を向上させることにある。 【解決手段】 電力系統におけるオンライン監視制御用
計算機101とリレー整定値決定用計算機102が通信
路で接続される。リレー整定値決定用計算機102は、
オンライン監視制御用計算機101からオンラインの系
統構成データ及び潮流状態データを取り込む手段と、該
取り込んだデータを使用して潮流計算を実行する潮流計
算手段と、該潮流計算結果を使用して故障計算を実行す
る故障計算手段と、前記潮流計算結果と故障計算結果に
より保護リレー整定値を決定する整定値決定手段とを備
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統を構成し
ている設備を保護する保護リレーの整定値を決定する業
務に関する整定値設定システム、さらに、決定したリレ
ーの整定値を実際の保護リレー装置に設定する業務に関
する整定値設定システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来においては、計算された整定値を保
護リレー装置に設定する作業は、手作業であった。ま
た、保護リレーの整定値を決定する作業には電力系統の
理解と系統運用のノウハウが必要であるため、自動化・
機械化することが困難であり、人間の手作業に頼らざる
を得ず、かなり、困難な作業であった。
【0003】このため、従来においては、整定値を決定
する作業も、また、決定された整定値を実際の保護リレ
ー装置に設定する作業も手間がかかる作業であり、頻繁
に整定値を決定・変更することができなかった。したが
って、一度設定された保護リレーの整定値により、全て
の系統構成・潮流状態、および、全てのリレー保護区間
内の故障に対応することができるように保護リレーの整
定値を決定しており、オンラインの系統構成、および、
潮流状態を考慮することはなかった。この整定値決定に
関して特開平8−289456号公報、特開平10−2
01075号公報等が知られている。
【0004】整定値を決定する場合の計算方法の例とし
て、送電線を保護する高速度タイプの過電流リレー(以
下、51Hリレーと略す)の場合における従来の整定値
決定方法について、以下に述べる。
【0005】51Hリレーの場合、電力系統に故障がな
い正常な状態においてリレーに流れる最大の電流値では
動作してはならないという条件が課せられる。また、電
力系統に故障が発生した場合にリレーに流れる最小の電
流値で動作しなければならないという条件が課せられ
る。
【0006】正常時に51Hリレーに流れる最大の電流
値は、過度安定度維持のための潮流制約、系統安定度維
持のための潮流制約等を度外視すれば、設備の定格容量
により制限され、系統構成・潮流状態には依存しない。
したがって、系統構成・潮流状態とは無関係に、設備の
定格容量を使用してリレーに流れる最大の電流値を求め
る。
【0007】故障電流は、電力系統の系統構成により決
定される。したがって、51Hリレーに全ての故障を検
出させるため、故障発生時に51Hリレーに流れる電流
が最小となる系統構成で故障電流を求める。また、故障
電流を計算する際の系統構成は確定しているが、潮流状
態が不明であるため、故障電流を求める際に最も重要な
各母線の電圧を決定することができない。したがって、
故障電流を求める際には、各母線の電圧を便宜的に1.
0∠0°(PU)として計算する。
【0008】上述したように、電力系統に故障がない正
常な状態においてリレーに流れる最大の電流値、およ
び、電力系統に故障が発生した場合にリレーに流れる最
小の電流値とを求めて両者を比較し、両者の電流値の間
にある51Hリレーのタップ値を選択することにより、
51Hリレーの整定値を決定する。
【0009】以上のように、従来の技術では、保護リレ
ーの整定値を決定する場合、オンラインの系統構成、お
よび、潮流状態を考慮せず、保護リレーの整定値を決定
していた。また、決定した保護リレーの整定値を実際の
保護リレーに設定する作業は、手作業であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来技術
では、以下の問題点が発生していた。
【0011】第1に適切な整定値を決定できない場合が
発生していた。上述したように、保護リレーの整定値を
決定する際に、電力系統に故障がない正常な状態におい
てリレーに流れる最大の電流値、および、電力系統に故
障が発生した場合にリレーに流れる最小の電流値との間
の値を保護リレーの整定値としていた。しかしながら、
電力系統に故障がない正常な状態においてリレーに流れ
る最大の電流値は、設備容量により決定するため、実際
には流すことができないほどの大きな電流値となる可能
性があり、また、電力系統に故障が発生した場合にリレ
ーに流れる最小の電流値は、停止設備が多すぎるため、
実際に生じる故障により流れる電流よりはるかに小さい
電流値となる可能性がある。短絡容量が小さい系統で
は、両者の差がほとんどないばかりか、正常な状態にお
いてリレーに流れる最大の電流値が、故障が発生した場
合にリレーに流れる最小の電流値を上回る結果となるこ
とがあった。その結果、リレーの整定値を決定すること
ができないケースが生じていた。
【0012】第2に、リレーの整定値を決定する際に考
慮した故障電流と実際の系統における故障時に流れる故
障電流とが異なるというケースが発生していた。その場
合、設定した整定値では、実際の故障電流を検出でき
ず、リレーが誤動作し、問題となる場合があった。リレ
ーの整定値を決定する際に考慮した故障電流と実際の系
統における故障時に流れる故障電流とが異なる原因は、
以下の理由による。
【0013】故障電流を計算する際の各母線の電圧値は
1.0∠0°(PU)として計算するが、実際の電力系
統では各母線の母線電圧は1.0(PU)ではない電圧
である場合が多い。仮に、送電線の両端の母線電圧が高
い場合、送電線を流れる電流は大きくなるため、系統構
成、および、潮流状態を考慮しない場合、故障電流が小
さくなる問題が生じていた。また、送電線の両端の母線
電圧に位相差がある場合の電流値と位相差がない場合の
電流値とは異なる値となる。したがって、系統構成、お
よび、潮流状態を考慮しない場合、故障電流が実際の系
統における故障電流とは異なる結果となっていた。
【0014】第3に、実際の保護リレーに整定値を設定
する作業が手作業であるため、整定値を決定してから実
際に整定値を設定するまでに時間がかかることにより、
その時間を考慮して整定値を決定する作業を開始する必
要があり、整定値決定作業に制約が生じていた。また、
突然の系統構成の変更などにより、整定値を変更する必
要が発生した場合、整定値を決定したにもかかわらず、
変更するべき整定値を直ちに設定できない場合があっ
た。
【0015】以上のように、従来技術により整定値を決
定して設定する場合、概して上記3つの大きな問題が発
生していた。
【0016】本発明の目的は、オンライン監視制御用計
算機よりオンラインの系統構成、および、潮流状態を取
り込み、取り込んだオンラインデータを使用して整定値
を決定することにより、決定する整定値の精度を向上さ
せることである。
【0017】また、決定した整定値をオンラインで設定
することを可能にすることにより、整定値決定業務の時
間的制約を解消するとともに、突然の系統構成などによ
る整定値の変更にも迅速に対応可能とすることである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、電力系統
におけるオンライン監視制御用計算機とリレー整定値決
定用計算機が通信路で接続されてなり、前記リレー整定
値決定用計算機は、前記オンライン監視制御用計算機よ
りオンラインの系統構成データ及び潮流状態データを取
り込む手段と、該取り込んだオンラインデータを使用し
て潮流計算を実行する潮流計算手段と、該潮流計算結果
を使用して故障計算を実行する故障計算手段と、前記潮
流計算結果と故障計算結果より保護リレー整定値を決定
する整定値決定手段とを備えたことによって達成され
る。
【0019】また、上記の目的は、上記リレー整定値決
定用計算機と通信路で接続され前記リレー整定値決定用
計算機よりオンラインで伝送される整定値を保護リレー
装置に自動設定するリレー整定値設定用計算機を備えた
ことによって達成される。
【0020】上記手段により、先ず第1に、オンライン
監視制御用計算機とリレー整定値決定用計算機とを通信
路で接続し、オンラインの系統構成データ、および、潮
流状態データを取得する。リレー整定値決定用計算機が
有する設備データのデータ項目にオンライン監視制御用
計算機が有する設備データの定義情報を持たせ、オンラ
イン監視制御用計算機との対応関係がとれるようにす
る。設備データの対応関係に基づき、本機能を実現する
ために定義する設備データに対応するオンラインデータ
の開閉器状態、有効電力、無効電力、電圧などの計測値
を本機能を実現するために定義するデータとして置き換
える。以上により、オンラインの系統構成データ、およ
び、潮流状態データを取得する。この結果、オンライン
の系統構成データ、および、潮流状態データを使用する
ことにより、オンラインのデータによる整定値の決定、
および、設定が可能となる。
【0021】第2に、オンラインの系統構成データ、お
よび、潮流状態データを使用し、潮流計算を実行する。
取得した系統構成データに基づき、系統構成をオンライ
ンデータの通りとする。また、取得した潮流状態データ
を使用し、各母線に電圧、および、流入、または、流出
する有効電力、無効電力を設定する。設定した有効電
力、および、電圧、または、無効電力を拘束条件として
潮流計算を実行し、最もオンラインデータに近い潮流状
態を作成する。これにより、オンラインの潮流状態を再
現することが可能となる。また、オンラインの系統構成
データによる系統構成と、潮流計算により得られた結果
の潮流状態を用い、これを初期値として故障計算を実行
し、故障計算結果を得る。これにより、オンラインのデ
ータを使用して整定値を決定することが可能となる。
【0022】第3に、潮流計算の実行結果を初期状態と
した整定計算を実行可能とする。具体的には、例えば、
51Hリレーの場合、設備に流れる電流の最大値とし
て、潮流計算結果により得られる電流値を使用する。ま
た、設備に流れる故障電流の最小値として、オンライン
の系統構成データによる系統構成、および、潮流計算に
より得られた結果を初期値として実行する故障計算によ
り求められる故障電流とする。以上により、オンライン
のデータを使用して保護リレーの整定値を決定すること
が可能となる。
【0023】前述した51Hリレーの整定計算方法につ
いて、以下に記述する。51Hリレーの場合、電力系統
に故障がない正常な状態においてリレーに流れる最大の
電流値では動作してはならないという条件、および、電
力系統に故障が発生した場合にリレーに流れる最小の電
流値で動作しなければならないという条件により、整定
値が決定される。
【0024】電力系統に故障がない正常な状態において
リレーに流れる最大の電流値は、潮流計算により得られ
た電流値の130%の値とする。電流値の130%の値
とした理由は、近時点ではあるが将来時点の潮流増加の
安全性を考慮したためである。
【0025】電力系統に故障が発生した場合にリレーに
流れる最小の電流値は、潮流計算により得られた各母線
の電圧値を故障前状態として相手側母線の2線短絡故障
が発生した場合の電流値とする。この電流値は、故障計
算により求められる。
【0026】以上により得られた最大電流値と最小故障
電流値との間に有るタップを51Hリレーの整定値とし
て決定する。これにより、オンラインの系統構成、およ
び、潮流状態を使用して整定値を決定することが可能と
なる。
【0027】以上の手段により、従来の技術の問題点 (1)正常な状態においてリレーに流れる最大の電流値
が、故障が発生した場合にリレーに流れる最小の電流値
を上回る結果となる結果、リレーの整定値を決定するこ
とができないケースが生じていた。
【0028】(2)リレーの整定値を決定する際に考慮
した故障電流より実際の系統における故障時に流れる故
障電流の方が大きく、リレーの整定値の精度が悪いた
め、リレーが誤動作する可能性のあるケースが存在して
いた。が解決される。
【0029】第4に、保護リレー装置に接続している計
算機、および、リレー整定値決定用計算機を通信路で接
続し、整定計算により決定した整定値を保護リレー装置
に接続している計算機に送信した後、保護リレー装置に
接続している計算機より保護リレー装置に整定値を自動
設定することを可能とする。
【0030】具体的には、保護リレー装置は数多く存在
するため、保護リレー装置の整定値を決定する計算機、
および、多数の電気所に設置されている保護リレー装置
の整定値をまとめて受信する計算機を通信路で接続す
る。保護リレー装置の整定値を決定する計算機より、多
数の電気所に設置されている保護リレー装置の整定値を
まとめて受信する計算機に決定した整定値を送信する。
決定された整定値を受信した計算機は、該当する保護リ
レー装置に接続している計算機に受信した整定値を送信
する。保護リレー装置に接続している計算機は、保護リ
レー装置に整定値を送信し、保護リレー装置の整定値が
設定される。
【0031】以上より、保護リレー装置の整定値が、計
算機間でデータを送受信することにより、設定可能とな
る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
使用して説明する。
【0033】図1は、本発明の一実施形態で、オンライ
ン監視制御用計算機とリレー整定値決定用計算機との接
続を示す。通信路を利用してオンライン監視制御用計算
機101とリレー整定値決定用計算機102を接続し、
両計算機間のデータ送受信を可能としている。これによ
りオンラインの系統構成データ及び潮流状態データの取
得が可能となる。
【0034】図2は、オンライン監視制御用計算機10
1から送信されるデータの一部とリレー整定値決定用計
算機102のデータとの対応関係を示す。オンライン監
視制御用計算機101のデータ部111からは、設備コ
ード、設備種別、設備の計測値(電圧、有効電力、無効
電力など)、設備に接続している開閉器のコード、開閉
器の入り切り情報などが送信される。整定値決定用計算
機102のデータ部112は、送信されたデータを受信
する。データを受信した後、送信されてきたデータの中
の設備コードをキーとして、整定値決定用計算機102
で定義されている設備データの中から対応する設備のテ
ーブルにデータをセットする。セットしたデータより、
開閉器の入り切り情報を使用して系統構成をオンライン
の系統構成と同一になるように、入り切り状態を設定す
る。また、セットしたデータより、設備の計測値情報を
使用して各設備にオンラインの計測値を設定する。
【0035】図3は、リレー整定値決定用計算機102
の各機能手段の実行による整定値の決定方法を示す。上
記により設定した系統構成、および、潮流状態データを
使用し、潮流計算を実行する。潮流計算を実行すること
により、オンラインデータ通りの潮流状態を作成し、各
母線の電圧、位相角、各母線に流入・流出する有効電力
・無効電力、送電線・変圧器・発電機等を流れる有効電
力潮流・無効電力潮流を決定でき、保護リレーに流れる
負荷電流値を求めることができる(121)。
【0036】次に、実行した潮流計算の結果を使用して
故障を設定し、故障計算を実行することにより、保護リ
レーに流れる故障電流値を求めることができる(12
2)。潮流計算結果、および、故障計算結果よりタップ
値を決定する。51Hリレーの場合、潮流計算により求
められた保護送電線に流れる負荷電流値に安全を見込ん
で1.3をかけた値を整定値の下限値とする(12
3)。次に、故障計算により求められた保護送電線に流
れる故障電流値に安全係数の0.7をかけた値を整定値
の上限値とする(124)。整定値の下限値と整定値の
上限値との間にあるタップを求め(125)、それをリ
レーの整定値として決定する(126)。
【0037】万一、整定値の下限値が整定値の上限値を
上回り、整定値下限値と整定値上限値の間にあるタップ
が存在しない場合は、1.3という係数値aを下げる
か、あるいは、0.7という係数値bを上げるかするこ
とにより、上記を繰り返して整定値を決定する(12
7)。故障計算は、潮流計算の結果を使用しているた
め、最悪でも両者の値を100%にすれば、整定値下限
値は整定値上限値を上回らないことが保証されている。
したがって、整定値を必ず決定することができる。
【0038】次に、潮流計算について説明する。各ノー
ドから系統に流入する電流をI1、I2、…、In、各
ノードの電圧をV1、V2、…、Vnとすると、次の回
路方程式が成り立つ。
【0039】
【数1】
【0040】ただし、電流、電圧、および、インピーダ
ンスは複素数である。ここで、Y11は、ノード1の駆
動点アドミタンスであり、ノード1に接続される全ての
ブランチのアドミタンスを合計した値に等しい。同様
に、Y22、Y33、…、Ynnは、ノード2、3、
…、nの駆動点アドミタンスである。Y21は、ノード
1と2との間の伝達アドミタンスであり、ノード1とノ
ード2とを結ぶブランチのアドミタンスにマイナスの符
号を付けた値に等しい。同様に、Y31、Y41、…、
Y12は、それぞれ、ノード3と1、ノード4と1、
…、ノード1と2との間の伝達アドミタンスである。数
1は、一般的に
【0041】
【数2】
【0042】と表現することができる。ノードiの電力
Pi、および、無効電力Qiは、
【0043】
【数3】
【0044】であるから、数2、数3より、
【0045】
【数4】
【0046】ここで、
【0047】
【数5】
【0048】とおけば、数4は、
【0049】
【数6】
【0050】したがって、
【0051】
【数7】
【0052】数7が、多ノード系統における電力方程式
である。同式の数は2n個であり、
【0053】
【数8】
【0054】の4n個の変数を含む。したがって、この
うちの2n個の変数を指定することにより、残りの変数
は、上式により一義に決定される。基準とするノード
(swingnode、または、slack nodeと呼ばれる)につい
ては、V、および、δを指定し、その他のノードについ
ては、PとQ(P−Q指定ノードの場合)、または、P
とV(P−V指定ノードの場合)を指定する。これらの
合計2n個の変数を指定し、電力方程式を解くことによ
り、残りの2n個の未知数を求めるのが潮流計算であ
る。各ノードの電圧の大きさと位相角が求められた場
合、ノードlとノードmとを結ぶブランチの潮流Plm
+jQlmは、以下の数9により求められる。
【0055】
【数9】
【0056】ここで、 Zlm:ノードlとノードmとを結ぶブランチのインピ
ーダンス Ilm:ノードlとノードmとを結ぶブランチを流れる
電流 Plm+jQlm:ノードl側の電力、無効電力潮流 である。
【0057】電力方程式は非線形方程式であることが特
徴である。したがって、電力方程式を解くためには、未
知数に適当な初期値を設定し、電力方程式から近似解を
求め、求めた近似解を電力方程式に代入してより精度の
高い近似解を求める反復計算により解を求める。代表的
な手法としては、ニュートン・ラプソン法がある。以下
に、ニュートン・ラプソン法を使用して電力方程式を解
く方法について説明する。
【0058】直角座標を使用することにより、母線電圧
を以下のように表わすことができる。 x=(e1,f1,e2,f2,…,en,fn) ここで、電力方程式は、一般式として以下のように表わ
すことができる。 ys=y(x) このように表現された電力方程式をテーラー展開する。
テーラー展開した第2項までを考慮し、以下の式の修正
方程式を修正値Δxについて繰返し解く。この方法がニ
ュートン・ラプソン法である。
【0059】
【数10】
【0060】計算のフローとしては、 (1)アドミタンス行列を作成する。 (2)上式に対し、電圧の初期値を与える。この際、電
圧指定ノードに対しては、指定電圧を与え、それ以外の
ノードに対しては、基準電圧(1.0PU)を与える。
また、各電圧の位相角は、基準ノード(slack node)の
位相角と同じとする。 (3)上式を解き、 ΔPk=Pk(指定値)−Pk(計算値) ΔQk=Qk(指定値)−Qk(計算値) より、ΔPk、および、ΔQkを求める。求めたΔP
k、および、ΔQkが、ノードkにおけるアンバランス
な電力を表わしている。 (4)全てのΔPk、およびΔQkが許容範囲以内であ
る場合、計算を終了する。そうでない場合、(5)に移
る。 (5)ヤコビアン行列により、電圧修正量を計算する。
電圧を修正し、(3)に戻る。
【0061】以上により、電力方程式を解き、ノードの
電圧、電圧の位相角、および、ブランチに流れる有効電
力、無効電力を求めることができる。また、ノードの電
圧、電圧の位相角、および、ブランチに流れる有効電
力、無効電力より、ブランチに流れる電流を求めること
ができる。
【0062】また、故障計算について説明する。電力系
統における故障計算には、対称座標法が広く使用されて
いる。対称座標法とは、a相、b相、c相から構成され
る電力系統の回路を正相、逆相、零相から構成される回
路に変換し、正相、逆相、零相から構成される等価回路
を故障条件に応じて作成し、作成した等価回路より得ら
れる回路方程式を解くことにより、故障電流、各ノード
の電圧、各ブランチを流れる電流を計算する方法であ
る。以下に、対称座標法を使用した故障計算手法につい
て、記述する。
【0063】非対称である三相交流電圧Va、Vb、V
cについて考える。ここで、以下で表わされるベクトル
オペレータaを導入する。
【0064】
【数11】
【0065】以上より、ベクトルオペレータには、以下
の関係がある。
【0066】
【数12】
【0067】ベクトルオペレータaを使用し、非対称三
相電圧Va、Vb、Vcより、以下の3つの電圧を求め
る。
【0068】
【数13】
【0069】これより、
【0070】
【数14】
【0071】整理して、
【0072】
【数15】
【0073】となる。以上より、非対称三相電圧Va、
Vb、Vcが与えられた場合、V0、V1、V2を求め
ることができる。また、Va、Vb、Vcは、V0、V
1、V2により表わされる。V0、V1、V2は、以下
のような特徴がある。
【0074】(1)零相分 V0のことであり、各相について等しい電圧である。こ
れは、零相電圧と呼ばれる。
【0075】(2)正相分 V1のことであり、各相について大きさが等しく、位相
がa→b→c相の順に120°ずつ遅れている対称三相
電圧である。基準相の電圧は、正相電圧と呼ばれる。
【0076】(3)逆相分 V2のことであり、各相について大きさが等しく、位相
がa→b→c相の順に120°ずつ遅れている対称三相
電圧である。基準相の電圧は、逆相電圧と呼ばれる。
【0077】同様に、電流についても、非対称三相電流
は、以下のように、零相電流、正相電流、逆相電流によ
り表わすことができる。
【0078】
【数16】
【0079】このように、非対称三相交流を零相、正
相、逆相の対称分に分けて取り扱う計算方法を対称座標
法と呼ぶ。非対称三相交流を零相、正相、逆相の対称分
に変換する方法について、以上に記述した。上述した方
法に従い、各種故障が発生した場合において、対称座標
法を使用した場合の等価回路について、以下に記述す
る。
【0080】(1)三相短絡故障発生時の等価回路につ
いて 三相短絡故障が発生した場合、電圧、電流には以下の関
係が成り立つ。 Va=Vb=Vc Ia+Ib+Ic=0 上式を数13、数16に代入することにより、 I0=0 V1=0 V2=0 が得られる。起電力が存在するのは正相回路だけである
ため、三相短絡故障発生時の等価回路は、正相回路のみ
の回路となる。
【0081】(2)2線短絡故障発生時の等価回路につ
いて 2線短絡故障が発生した場合、電圧、電流には以下の関
係が成り立つ。 Vb=Vc Ib+Ic=0 Ia=0 上式を数13、数16に代入することにより、 I0=0 I1+I2=0 V1=V2 が得られる。零相回路は存在しないため、2線短絡故障
発生時の等価回路は、正相回路と逆相回路を故障点で並
列に接続した回路となる。
【0082】(3)2線地絡故障発生時の等価回路につ
いて 2線地絡故障が発生した場合、電圧、電流には以下の関
係が成り立つ。 Vb=Vc=0 Ia=0 上式を数13、数16に代入することにより、 I1+I2+I0=0 V1=V2=V0 が得られる。以上より、2線地絡故障発生時の等価回路
は、正相回路、逆相回路、および、零相回路を故障点で
並列に接続した回路となる。
【0083】(4)1線地絡故障発生時の等価回路につ
いて 1線地絡故障が発生した場合、電圧、電流には以下の関
係が成り立つ。 Va=0 Ib=Ic=0 上式を数13、数16に代入することにより、 V1+V2+V0=0 I1=I2=I0 が得られる。以上より、1線地絡故障発生時の等価回路
は、正相回路、逆相回路、および、零相回路を故障点で
直列に接続した回路となる。
【0084】以上のように、故障条件に応じて、三相回
路を対称分回路に変更することができる。変換した対称
分回路より、電流と電圧の関係を回路方程式として定式
化し、回路方程式を解くことにより、対称分電流、電圧
を求めることができる。ここで、回路方程式は、潮流計
算と同じように、
【0085】
【数17】
【0086】の形となる。対称分電流、電圧を
【0087】
【数18】
【0088】により、変換し、各相の電流、電圧を求め
ることができる。また、リレーがみるインピーダンスZ
は、 Z=V/I により求めることができる。
【0089】以上は、過電流リレー(51Hリレー)の
整定値決定について説明したが、潮流計算、および、故
障計算により求めたデータを使用して整定値を決定する
ことができるリレーは、過電流リレーの他に、表示線継
電器(17リレー)、不足電圧継電器(27リレー)、
距離継電器(44リレー)、逆相過電流継電器(46リ
レー)、欠相電圧継電器(47リレー)、回線選択継電
器(50リレー)、過電圧継電器(59リレー)、地絡
過電圧継電器(64リレー)、方向継電器(67リレ
ー)、電流差動継電器(87リレー)等がある。
【0090】17リレーは、計算結果得られた最大電流
と最小故障電流との間にあるタップを整定値として決定
する。27リレー、47リレー、及び59リレーは、最
小電圧と最大故障電圧との間にあるタップを整定値とし
て決定する。44リレー及び50Sリレーは、最小イン
ピーダンスと最大故障インピーダンスとの間にあるタッ
プを整定値として決定する。46リレーは、最小故障電
流より小さく、かつ最も近いタップを整定値として決定
する。64リレーは、最小故障電圧より小さく、かつ最
も近いタップを整定値として決定する。67Sリレー
は、最大の電力または無効電力の値と、故障時の最小の
電力または無効電力との間にあるタップを整定値として
決定する。87リレーは、最大電流と最小故障電流との
間にあるタップを整定値として決定する。
【0091】図4は、リレー整定値決定用計算機とリレ
ー整定値送受信用計算機、および、整定値設定用計算機
との接続を示す。通信路を利用してリレー整定値決定用
計算機131とリレー整定値送受信用計算機132とを
接続し、両計算機間のデータ送受信を可能としている。
また、リレー整定値送受信用計算機132と各電気所に
設置されているリレー整定値設定用計算機133とを接
続し、両計算機間のデータ送受信を可能としている。以
上のように計算機を接続することにより、リレー整定値
決定用計算機131から保護リレー装置に整定値を送信
して自動的に設定することができる。リレー整定値送受
信用計算機132はリレー整定値決定用計算機131か
ら多数の電気所に設置されている保護リレー装置の整定
値を一括して受信し、リレー整定値設定用計算機133
は複数設けられ、それが各保護リレー装置に接続されて
いて該当する整定値を該当保護リレー装置に自動設定す
る。
【0092】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、オンラ
インの系統構成、および、潮流状態を使用して整定値を
決定することが可能となる。それにより、整定値を決定
できないという状況を回避することができ、また、実際
の故障電流を検出できず、リレーが誤動作する場合を回
避することが可能となる。それにより、保護リレー装置
の信頼性を向上させることができるという効果がある。
【0093】また、突然の系統構成の変更などにより整
定値を変更する必要が発生した場合にも、直ちに整定値
を決定して自動設定することができるので、保護リレー
装置の信頼性を向上させることができるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のオンライン監視制御用計
算機とリレー整定値決定用計算機との接続構成図。
【図2】本発明の一実施形態のオンライン監視制御用計
算機から送信されるデータの一部とリレー整定値決定用
計算機のデータとの対応関係の例示図。
【図3】本発明の一実施形態の整定値の決定方法を説明
する流れ図。
【図4】本発明の一実施形態のリレー整定値決定用計算
機とリレー整定値送受信用計算機および整定値設定用計
算機との接続構成図。
【符号の説明】
101…オンライン監視制御用計算機、102、131
…整定値決定用計算機、111…オンライン監視制御用
計算機データ部、112…整定値決定用計算機データ
部、132…リレー整定値送受信用計算機、133…リ
レー整定値設定用計算機。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統を構成している設備の保護リレ
    ーの整定値を設定する電力系統保護リレー整定値設定シ
    ステムにおいて、電力系統におけるオンライン監視制御
    用計算機とリレー整定値決定用計算機を通進路で接続し
    てなり、前記リレー整定値決定用計算機は、前記オンラ
    イン監視制御用計算機よりオンラインの系統構成データ
    及び潮流状態データを取り込む手段と、該取り込んだオ
    ンラインデータを使用して潮流計算を実行する潮流計算
    手段と、該潮流計算結果を使用して故障計算を実行する
    故障計算手段と、前記潮流計算結果と故障計算結果より
    保護リレー整定値を決定する整定値決定手段とを備えた
    ことを特徴とする電力系統保護リレー整定値設定システ
    ム。
  2. 【請求項2】 上記データ取込手段は、リレー整定値決
    定用計算機が有する設備データのデータ項目に上記オン
    ライン監視制御用計算機が有する設備データの定義情報
    を持たせ、オンライン監視制御用計算機との対応関係が
    とれるようにし、オンラインの系統構成データ及び潮流
    状態データを取得するものであることを特徴とする請求
    項1記載の電力系統保護リレー整定値設定システム。
  3. 【請求項3】 上記潮流計算手段は、取得した系統構成
    データに基づき系統構成をオンラインデータの通りと
    し、取得した潮流状態データを使用して各設備のデータ
    項目に計測値を設定し、該設定値を拘束条件として潮流
    計算を実行してオンラインデータ通りの潮流状態を作成
    するものであることを特徴とする請求項1記載の電力系
    統保護リレー整定値設定システム。
  4. 【請求項4】 上記故障計算手段は、取得した系統構成
    データに基づき系統構成をオンラインデータの通りと
    し、上記潮流計算手段の潮流計算により得られた潮流状
    態を初期値とし、故障を設定して故障計算を実行するも
    のであることを特徴とする請求項1記載の電力系統保護
    リレー整定値設定システム。
  5. 【請求項5】 上記整定値決定手段は、電力系統に故障
    がない正常状態における潮流計算結果を下限値(又は上
    限値)とし、電力系統に故障が発生した場合の故障計算
    結果を上限値(又は下限値)として整定値を決定するも
    のであることを特徴とする請求項1記載の電力系統保護
    リレー整定値設定システム。
  6. 【請求項6】 上記整定値決定手段は、電力系統に故障
    がない正常状態における潮流計算結果に安全係数aを乗
    じた値を下限値(又は上限値)とし、電力系統に故障が
    発生した場合の故障計算結果に安全係数bを乗じた値を
    上限値(又は下限値)として整定値を決定するものであ
    ることを特徴とする請求項1記載の電力系統保護リレー
    整定値設定システム。
  7. 【請求項7】 上記リレー整定値決定用計算機と通信路
    で接続され、前記リレー整定値決定用計算機よりオンラ
    インで伝送される整定を保護リレー装置に自動設定する
    リレー整定値決定用計算機を備えたことを特徴とする請
    求項1記載の電力系統保護リレー整定値設定システム。
  8. 【請求項8】 上記リレー整定値決定用計算機は、上記
    リレー整定値決定用計算機から各保護リレー装置の整定
    値をまとめて受信するリレー整定値送受信用計算機と、
    各保護リレー装置に接続され前記受信した整定値を該当
    する保護リレー装置に設定する各保護リレー用整定値設
    定用計算機とからなることを特徴とする請求項7記載の
    電力系統保護リレー整定値設定システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010284047A (ja) * 2009-06-08 2010-12-16 Chugoku Electric Power Co Inc:The リレー整定変更システムおよびリレー整定変更方法
CN112101708A (zh) * 2020-07-31 2020-12-18 中国电力科学研究院有限公司 一种融合专家知识的电网短路安全智能决策方法及系统
CN112417372A (zh) * 2020-12-07 2021-02-26 国网新疆电力有限公司 适用于任意规模电网的定值整定计算方法及系统

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