JP2000212715A - プレス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

プレス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

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JP2000212715A
JP2000212715A JP29475699A JP29475699A JP2000212715A JP 2000212715 A JP2000212715 A JP 2000212715A JP 29475699 A JP29475699 A JP 29475699A JP 29475699 A JP29475699 A JP 29475699A JP 2000212715 A JP2000212715 A JP 2000212715A
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dip galvanized
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alloyed hot
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Yoichi Tobiyama
洋一 飛山
Chiaki Kato
千昭 加藤
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき
鋼板およびその製造方法の提供。 【解決手段】 鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後、10℃
/s以上の昇温速度で最高到達板温まで昇温し、最高到
達板温以下で合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき
層のAl含有率:XAl%、めっき付着量:Wg/m2が下記式
(1) を満足し、鉄含有率:7〜12%のZn−Fe合金めっき
層を得る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法、並びに
めっき層をめっき/鋼板界面で剥離し、めっき層につい
てX線回折を行った時のζ相、δ1 相、Γ相の所定の結
晶格子面間隔の強度が下記式(4) 、(5) を満足する合金
化溶融亜鉛めっき鋼板および所定範囲の白色度および光
沢度を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 5≦W×(XAl−0.12)≦15…(1) 、I(ζ:1.26)/I(δ
1:2.13)≦0.02…(4) 、I(Γ:2.59)/I(δ1:2.13)≦0.1 …(5)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用防錆鋼板
などとして多用されている合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法および該製造方法で得られる合金化溶融亜鉛め
っき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車用防錆鋼板としてその優れ
た犠牲防食能から亜鉛系の溶融めっき、電気めっきが開
発実用化されている。また、亜鉛系めっき鋼板のうち、
特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板が、製造コストが低廉
でかつ高耐食性を有することから、自動車用鋼板として
多用されている。
【0003】上記したように、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板は、低廉でかつ高耐食性を有する優れた表面処理鋼板
であるが、自動車用防錆鋼板として使用される場合に
は、めっき層自体が地鉄と純亜鉛との相互拡散によって
生成されるZn-Fe 系の金属間化合物から構成されるとい
う本質的な問題から、電気系の亜鉛めっきに比較してプ
レス成形時の加工性に問題があることが以前から指摘さ
れており、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性改
善のために数多くの研究がこれまで遂行されてきた。
【0004】実際のプレス加工における合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の問題点は大別すると以下の2点である。一
つは、加工時にめっき層が粉状に剥離するパウダリング
という現象であり、耐パウダリング性は、めっき/鋼板
界面にΓ相が多量に生成すると劣化し、耐パウダリング
性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が要求される。
【0005】プレス加工時に満足すべきもう一つの特性
は、金型との摺動性といっためっきの表層の性状に関与
する特性である。これらの特性は、めっき表層の相構造
に大きく依存し、δ1 相に比較して軟質で低融点のζ相
の存在により特性が大きく劣化する。従って、良好なプ
レス加工性を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは、上
記の耐パウダリング性、摺動性の両者を満足する鋼板で
あり、このためにはめっきの相構造としてΓ相、ζ相の
生成を極力抑制したδ1 相を主体としためっき相が理想
となる。
【0006】相構造が制御された耐パウダリング性、摺
動性が良好な合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法
として、従来、めっき時の浴中のAl濃度を制御するとい
った基本的な方法や、めっき層の合金化度を規定するこ
とで過剰なΓ相、ζ相の生成を抑制する方法が用いられ
てきた。一方、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場
合の合金化条件に関するものとしては、合金化温度を規
定することが有効であることが従来から報告されてき
た。
【0007】しかしながら、δ1 相を主体とした合金化
溶融亜鉛めっきを通常工程で得ようとする場合、単純に
合金化温度のみを規定しただけでは目標とするめっきの
相構造を得るのは困難であり、厳密なめっきの相構造の
制御には他の要件が必要となってくる。その要件の一つ
として、合金化時の昇温速度に注目した技術がこれまで
に幾つか紹介されている。
【0008】すなわち、例えば、特開平4− 48061号公
報では、30℃/sec以上の昇温速度で470 〜530 ℃の温度
範囲で合金化し、めっき付着量とめっき層の鉄含有率と
の関係を規定することによってプレス成形性を改善する
技術が開示されている。また、特開平1−279738号公報
では、めっき浴中のAl濃度を0.04〜0.12wt%と規定し、
目付制御完了後470 ℃以上の合金化温度に2秒以下で到
達し、かつ合金化完了後420 ℃以下の温度域まで2秒以
下で急冷することによって耐パウダリング性、耐フレー
キング性に優れためっきが得られることが開示されてい
る。
【0009】また、特開平7−34213 号公報では、浴中
Al濃度を0.105 〜0.3wt %とし、溶融亜鉛めっきを施し
た後、20℃/sec以上の昇温速度で昇温し、420 〜650 ℃
の温度域で合金化し、引き続き450 〜550 ℃で3秒以上
加熱処理を行うことで界面密着性を向上させるという技
術が開示されている。以上述べたように、プレス加工性
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するために
は、めっき層の相構成をδ1 相を主体とする必要がある
が、後記する本発明の目的は、いかにζ相、Γ相の生成
を抑制するかという点にある。
【0010】この点に関して、前記した特開平4− 480
61号公報で開示された、30℃/sec以上の昇温速度で昇温
し、470 〜530 ℃の温度範囲で合金化し、めっき付着量
とめっき層の鉄含有率との関係を規定することによって
プレス成形性を改善するという従来技術の場合、ζ相、
Γ相の生成をある程度までは抑制することができるが、
これだけの条件ではプレス成形性を十分な水準まで改善
することはできず、後記する本発明のように、めっき層
中に十分な量のAlを確保しなければζ相、Γ相を低減さ
せた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することはできな
い。
【0011】また、特開平4−48061 号公報ではめっき
付着量(Wg/m2)とめっき層の鉄含有率(CFewt%)と
の関係を18−(W/10)≧CFe≧9の関係で規定してい
るが、この場合、めっき付着量が多くなると、制御すべ
きめっき層中の鉄含有率の範囲が狭くなり実操業が難し
くなるという問題が生じる。一方、前記した特開平1−
279738号公報、特開平7−34213 号公報では、合金化条
件以外にめっき浴中のAl濃度を規定している。
【0012】しかしながら、後記するように、めっきの
相構造を理想的に制御しようとする場合、めっき浴中の
成分濃度を規定するのみでは十分ではなく、後記するよ
うに、最も重要なのは合金化時にめっき層中に十分な量
のAlを取り込むことであり、上記した技術もΓ相、ζ相
の生成を極力抑制するという目標達成のためには不十分
である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、プレス加工性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記点に
鑑み、優れたプレス加工性を有する合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板を製造するためには、合金化条件として適切な合
金化温度のみならず昇温速度を規定することが重要では
あるが、これらの合金化条件に関する対策だけではΓ
相、ζ相の生成抑制には限界があり、めっき層中に十分
な量のAlを確保した状態で合金化することによって、初
めて、優れたプレス加工性を有する合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板が実現可能であることを見出した。
【0015】さらに、本発明者らは、めっき層中に十分
な量のAlを確保するためには、めっき浴の成分濃度のみ
ならず、焼鈍炉内の雰囲気ガスの酸素濃度、露点、およ
び焼鈍炉からめっき浴に到るまでの鋼板通板部内の雰囲
気ガスの酸素濃度、露点、めっき浴への鋼板の浸入板温
と浴温との関係などを規定することが必要であり、これ
らを規定し、めっき層中に十分な量のAlを確保した上
で、加熱合金化に際しての最高到達板温までの昇温速度
を一定値以上の高速とし、最高到達板温の適正化によっ
て、著しく優れた耐パウダリング性、摺動性を有する合
金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造可能であることを見出し
た。
【0016】また、本発明者らは、さらに検討を重ねた
結果、上記した焼鈍炉から溶融亜鉛めっき浴までの雰囲
気ガスの条件、溶融亜鉛めっき条件および加熱合金化条
件で製造した合金化溶融亜鉛めっき鋼板を、所定の粗度
を付与した圧延ロールで調質圧延し、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の光沢度および白色度の両者を所定の範囲内と
することによって、さらにプレス加工性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板が製造可能であることを見出した。
【0017】すなわち、第1の発明は、鋼板に溶融亜鉛
めっきを施した後、めっき付着量制御のためのガスワイ
ピングを行い、該ガスワイピング終了後10(℃/s)以
上の昇温速度で470 〜550 ℃の最高到達板温まで昇温
し、引き続き前記最高到達板温以下で合金化処理を施
し、合金化溶融亜鉛めっき層のAl含有率:XAl(%:質
量百分率)および合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付
着量:W(g/m2)が下記式(1) を満足し、合金化溶融亜
鉛めっき層の鉄含有率:7〜12(%:質量百分率)のZn
−Fe合金めっき層を得ることを特徴とするプレス加工性
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0018】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) 前記した第1の発明においては、前記溶融亜鉛めっき時
のめっき浴中の総Al濃度:NAl(%:質量百分率)、総
鉄濃度:NFe(%:質量百分率)が下記式(2)を満足
し、めっき浴への浸入板温:t(℃)、めっき浴温:T
(℃)が下記式(3) を満足することが好ましい(第1の
発明の第1の好適態様)。
【0019】0.08≦NAl−NFe≦0.12……………(2) 0 ≦t−T≦50………………………(3) また、前記した第1の発明においては、前記した溶融亜
鉛めっきに際しての鋼板の前処理工程における焼鈍炉内
および焼鈍炉からめっき浴までの鋼板通板部内の雰囲気
ガスの酸素濃度を50volppm(体積百万分率)以下、露点
を−20℃以下とすることが好ましい(第1の発明の第2
の好適態様、)。
【0020】さらに、前記した第1の発明においては、
前記した合金化処理後、表面粗さ:Raが0.5 μm 以上
の粗度を有するロール(:ワークロール)で調質圧延す
ることが好ましい(第1の発明の第3の好適態様)。第
2の発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を、
めっき/鋼板界面で剥離し、剥離しためっき層について
前記界面側からX線回折を行った時のζ相、δ1 相、Γ
相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を満足することを特
徴とするプレス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板である。
【0021】 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0022】前記した第2の発明においては、前記した
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付着量:Wが10〜10
0g/m2 、めっき層の鉄含有率が7〜12%(:質量百分
率)で、かつ、めっき層のAl含有率:XAl(%:質量百
分率)およびめっき付着量:W(g/m2)が下記式(1) を
満足することが好ましい(第2の発明の好適態様)。 5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) 第3の発明は、JIS Z 8722(条件d、光トラップ有り)
の方法で測定した白色度:L値が70以下で、かつJIS Z
8741(60度鏡面光沢法)の方法で測定した光沢度が30以
下であることを特徴とするプレス加工性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0023】前記した第3の発明のより好適な態様は、
JIS Z 8722(条件d、光トラップ有り)の方法で測定し
た白色度:L値が70以下で、かつJIS Z 8741(60度鏡面
光沢法)の方法で測定した光沢度が30以下である合金化
溶融亜鉛めっき鋼板であって、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき層を、めっき/鋼板界面で剥離し、剥離した
めっき層について前記界面側からX線回折を行った時の
ζ相、δ1 相、Γ相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を
満足することを特徴とするプレス加工性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板である(第3の発明の第1の好適態
様)。
【0024】 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0025】また、前記した第3の発明、第3の発明の
第1の好適態様のさらに好適な態様は、JIS Z 8722(条
件d、光トラップ有り)の方法で測定した白色度:L値
が70以下で、かつJIS Z 8741(60度鏡面光沢法)の方法
で測定した光沢度が30以下である合金化溶融亜鉛めっき
鋼板であって、該合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付
着量:Wが10〜100g/m2 、めっき層の鉄含有率が7〜12
%(:質量百分率)で、かつ、めっき層のAl含有率:X
Al(%:質量百分率)およびめっき付着量:W(g/m2
が下記式(1) を満足し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき層を、めっき/鋼板界面で剥離し、剥離しためっき
層について前記界面側からX線回折を行った時のζ相、
δ1 相、Γ相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を満足す
ることを特徴とするプレス加工性に優れた合金化溶融亜
鉛めっき鋼板である(第3の発明の第2の好適態様)。
【0026】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0027】なお、前記した第1の発明、第2の発明の
好適態様、第3の発明の好適態様におけるめっき層のAl
含有率:XAl、鉄含有率は、合金化溶融亜鉛めっき層中
の平均Al含有率、平均鉄含有率を示す。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。 〔第1の発明、第1の発明の第1の好適態様、第2の好
適態様、第2の発明、第2の発明の好適態様:〕第1の
発明は、鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後、ガスワイピ
ングを行い、ガスワイピング終了後10℃/s以上の昇温
速度で470 〜550 ℃の最高到達板温まで昇温し、引き続
き最高到達板温以下で合金化処理を施し、合金化溶融亜
鉛めっき層のAl含有率:XAl(%:質量百分率)および
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付着量:Wg/m2が下
記式(1) を満足し、合金化溶融亜鉛めっき層の鉄含有
率:7〜12(%:質量百分率)のZn−Fe合金めっき層を
得ることを特徴とするプレス加工性に優れた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0029】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) 前記した第1の発明の第1の好適態様は、前記した第1
の発明において、前記溶融亜鉛めっき時のめっき浴中の
総Al濃度:NAl(%:質量百分率)、総鉄濃度:N
Fe(%:質量百分率)が下記式(2) を満足し、めっき浴
への浸入板温:t(℃)、めっき浴温:T(℃)が下記
式(3) を満足することを特徴とするプレス加工性に優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0030】0.08≦NAl−NFe≦0.12……………(2) 0 ≦t−T≦50………………………(3) 前記した第1の発明の第2の好適態様は、前記した第1
の発明または第1の発明の第1の好適態様において、前
記した溶融亜鉛めっきに際しての鋼板の前処理工程にお
ける焼鈍炉内および焼鈍炉からめっき浴までの鋼板通板
部内の雰囲気ガスの酸素濃度を50volppm(体積百万分
率)以下、露点を−20℃以下とすることを特徴とするプ
レス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法である。
【0031】第2の発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
のめっき層を、めっき/鋼板界面で剥離し、剥離しため
っき層について前記界面側からX線回折を行った時のζ
相、δ1 相、Γ相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を満
足することを特徴とするプレス加工性に優れた合金化溶
融亜鉛めっき鋼板である。 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0032】前記した第2の発明のより好適な態様は、
前記した合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付着量:W
が10〜100g/m2 、めっき層の鉄含有率が7〜12%(:質
量百分率)で、かつ、めっき層のAl含有率:XAl(%:
質量百分率)およびめっき付着量:W(g/m2)が下記式
(1) を満足することを特徴とするプレス加工性に優れた
合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0033】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) なお、前記した第1の発明、第2の発明の好適態様にお
けるめっき層のAl含有率:XAl、鉄含有率は、合金化溶
融亜鉛めっき層中の平均Al含有率、平均鉄含有率を示
す。以下、上記した第1の発明、第1の発明の第1の好
適態様、第2の好適態様、第2の発明、第2の発明の好
適態様について説明する。
【0034】先にも述べたように、本発明は、Γ相、ζ
相の生成を極力抑制したδ1 相主体の合金化溶融亜鉛め
っき鋼板およびその製造方法を提供するものであるが、
その骨子は下記(1) 〜(3) の3点である。 (1) :溶融亜鉛めっき鋼板を加熱合金化する際に、めっ
き層中に所定量のAlを含有させる。
【0035】(2) :めっき層中に十分な量のAlを確保す
るために、めっき浴の成分濃度のみならず、焼鈍炉内の
雰囲気、焼鈍炉からめっき浴に到るまでの鋼板通板部内
の雰囲気、めっき浴への鋼板の浸入板温と浴温との関係
などを規定する。 (3) :溶融亜鉛めっき鋼板を加熱合金化する際に、所定
範囲内の最高到達板温まで高速の昇温速度で昇温し、合
金化時間の制御などによってめっき層の鉄含有率が7〜
12%となるように合金化する。
【0036】すなわち、上記した所定の条件下でめっき
層中に所定量のAlを取り込んだ後、最高到達板温まで高
速で昇温し、合金化することによって、初めて、Γ相、
ζ相の生成を極力抑制しためっき層を得ることが可能と
なる。以下、本発明において必要な要件に関して詳述す
る。まず、ζ相の生成を抑制するためには、図1のZn-F
e-Al3元平衡状態図(Urednicek 、Kirkaldy)から、め
っき層中のAl量を十分に確保する必要がある。
【0037】すなわち、熱力学的に、ζ相は合金化中に
めっき層と接している溶融亜鉛中のAl濃度が低くならな
いと存在しえず、換言すれば溶融亜鉛中のAl濃度を一定
量以上確保すれば生成を抑制することが可能となる。本
発明者らは、ζ相の生成抑制のために必要なめっき層中
のAl量に関して種々検討した結果、合金化溶融亜鉛めっ
き層のAl含有率(平均Al含有率):XAl(%)とめっき
付着量:W(g/m2)が下記式(6) の関係を満足し、さら
には、その後の合金化条件を適正に選定することによっ
て、ζ相の生成を著しく抑制できることが判明した。
【0038】5≦W×(XAl−0.12)………(6) 次に、Γ相の抑制であるが、Γ相は、図1の状態図か
ら、溶融亜鉛めっき時に素地鋼板とめっきとの界面に生
成する鉄アルミ金属間化合物が存在している間は存在し
えず、合金化の過程で鉄アルミ金属間化合物が消失した
段階で生成する。したがって、Γ相の生成抑制のために
は、上記した鉄アルミ金属間化合物を十分確保するため
に、前記と同様に、めっき層中に十分な量のAlを確保す
ることが必要となる。
【0039】本発明者らは、その必要量を検討した結
果、前記したζ相の生成を抑制するAl含有率の範囲でΓ
相の生成が十分抑制できることが判明した。すなわち、
めっき層中に取り込むAlの量が、めっき付着量:WとAl
含有率:X Alとの関係で前記した式(6) の関係を満足
し、さらには、引き続いて行う合金化処理における条件
を適正に選定することによって、Γ相、ζ相の生成を抑
制できる。
【0040】一方、めっき層中のAlはその量が多くなる
と合金化速度が遅くなり、必要量以上のAlは合金化を遅
延させ生産性の低下を招く。また、合金化速度が遅くな
ると、本質的に、以下で述べる高速昇温の効果が発現し
にくくなり、相構造制御の点からも不利になる。本発明
者らは、めっき層中のAl量の上限について種々検討した
結果、合金化溶融亜鉛めっき層中のAl含有率(平均Al含
有率):XAl(%)とめっき付着量:W(g/m2)が下記
式(7) の関係を満足することによって、上記問題点を解
決できることが分かった。
【0041】W×(XAl−0.12)≦15………(7) 以上述べたように、合金化溶融亜鉛めっき層の相構造の
厳密な制御のためには、めっき層中に一定量のAlを確保
する事が重要な要件であり、合金化溶融亜鉛めっき層中
のAl含有率(平均Al含有率):XAl(%)、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板のめっき付着量:W(g/m2)が下記式
(1) を満足することが必要である。
【0042】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) 上記式(1) の関係を満足するために必要な条件は、下記
[1] 〜[3] の通りである。 [1]めっき浴成分濃度:めっき層中に一定量のAlを確保
するためには、先ず、溶融亜鉛めっき時のめっき浴中の
総Al濃度:NAl(%)、総鉄濃度:NFe(%)が下記式
(2) を満足するめっき浴成分濃度範囲内で操業すること
が必要である。
【0043】0.08≦NAl−NFe≦0.12………(2) 総Al濃度:NAlと総鉄濃度NFeとの差で浴濃度を規定す
るのは下記の理由による。すなわち、めっき浴中には不
可避的に鋼板から溶出する鉄によって、鉄アルミ金属間
化合物が固体状態で存在し、溶融亜鉛中に溶解している
Al量は総Al量より少なく、実際の溶解Al量は(NAl−N
Fe)の値で近似的に求められるためである。
【0044】(NAl−NFe)の値が0.08%未満の場合、
めっき層中に取り込まれるAl量が不十分であり、逆に
(NAl−NFe)の値が0.12%超えの場合、前記したよう
に、合金化速度が遅くなり本発明における高速昇温の効
果が発現しにくくなる。また、不必要な浴中Al量の増加
は、鉄アルミ金属間化合物からなるドロスを多量に生成
させ、ドロスの鋼板付着などという表面品質上の問題も
生じる。
【0045】一方、本発明者らは、めっき層中へのAlの
確保について検討した結果、単純に浴中のAl濃度を規定
するのみでは、合金化時の相構造制御が可能な量のAlを
めっき層中に取り込むことは困難であることを見出し
た。 [2]めっき時の浴温、浸入板温:すなわち、めっき層中
のAl含有率を一定量以上確保するためには、浴組成以外
に下記の条件を満足させることが必要となる。
【0046】先ず、めっき時の浴温:T(℃)と鋼板の
めっき浴への浸入板温:t(℃)との間に下記式(3) の
関係が成立しなければならない。 0≦t−T≦50………(3) これは下記理由による。すなわち、めっき層に十分な量
のAlが取り込まれるためには、めっき時に鋼板近傍の溶
融亜鉛中の溶解Al濃度が十分高くなければならない。
【0047】しかしながら、浸入してくる鋼板の温度が
めっき浴の温度より低ければ、めっき浴は鉄アルミ金属
間化合物が過飽和状態であるため、鋼板近傍の浴温の低
下により鉄アルミ金属間化合物がさらに晶出し、このた
め鋼板近傍での溶解Al濃度が低下する。この結果、溶融
亜鉛めっき層中に有効に取り込まれるAl量が減少し、め
っき層中に所定量のAlを確保することが不可能となる。
【0048】したがって、本発明において必須とするめ
っき層中の所定量のAlの確保のためには、浸入板温はめ
っき浴温以上でなければいけない。また、t−Tの値を
50℃以下と規定した理由は、浸入板温:t(℃)が浴
温:T(℃)より50℃を超えて高くなると、めっきの連
続操業中に浴温が上昇し、浴温を一定温度に保持するこ
とが困難になり、浴温を一定温度に保持するための浴の
冷却などが必要となり操業上の問題が生じるためであ
る。
【0049】[3]めっき浴に浸入する鋼板の性状:さら
に、本発明においては、めっき浴に浸入する鋼板の性状
が重要となる。これは、表層が酸化された状態で鋼板が
めっき浴に浸入すると、浴中の溶解Alが鋼板表面の酸化
物の還元に消費されてしまい、前記した鉄アルミ金属間
化合物の場合と同様に、有効に作用する鋼板近傍の浴中
の溶解Al濃度の低下が生じ、めっき中の所定量のAlの確
保が困難となる。
【0050】したがって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造工程においてめっきに先だって施される焼鈍工程以
降の工程での鋼板の酸化を極力避ける必要がある。この
ため、本発明においては、焼鈍炉内の雰囲気ガスのみな
らず、焼鈍炉からめっき浴までの鋼板通板部内の雰囲気
ガスの酸素濃度を50volppm以下、露点を−20℃以下と規
定することによって鋼板の酸化を極力防止し、所定量の
Alをめっき層中に取り込む。
【0051】本発明においては、本発明の目的から、焼
鈍炉内および焼鈍炉からめっき浴までの鋼板通板部内の
雰囲気ガスの酸素濃度、露点の下限は特に制限されるも
のではないが、工業的実施の面および経済性の面から、
雰囲気ガスの酸素濃度は1volppm以上、露点は−60℃以
上であることが好ましい。なお、上記した焼鈍炉からめ
っき浴までの鋼板通板部内とは、焼鈍炉からスナウトに
至るまでの鋼板通板部内およびスナウト内、すなわち、
焼鈍炉からめっき浴浴面に至るまでの鋼板通板部内を示
す。
【0052】以上述べたように、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板のめっき層の相構造の厳密な制御のための重要な要
件、すなわち合金化時のめっき層中の十分な量のAlの確
保のためには、前記[1] で述べた浴中のAl量の下限を設
定するだけでは不十分で、本発明で開示した前記[2] 、
[3] で述べた要件を満足させることが必要不可欠であ
る。
【0053】次に、本発明における加熱合金化処理時の
合金化条件に関して述べる。本発明においては、最高到
達板温は470 〜550 ℃の範囲内であることが必要条件で
あり、さらには、最高到達板温は470 〜520 ℃の範囲内
であることが好ましく、さらには、最高到達板温は480
〜520 ℃の範囲内であることがより好ましい。
【0054】合金化時の最高到達板温が上記した温度範
囲内でない場合、後記する昇温速度などの他の合金化条
件を変えても目標とする相構造を有する合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を製造することは困難である。すなわち、最
高到達板温が470 ℃未満の場合、めっき表層にζ相が生
成し易くなる。
【0055】さらには、ζ相が生成し易くなることで、
めっき層と地鉄との界面にはΓ相も生成し易くなる。こ
れは、ζ相は鉄の固溶限が少ないため、この相がZn-Fe
合金層表面に存在するとδ1 単相の場合に比較して地鉄
からの鉄の拡散が抑制され、結果的に、界面の鉄含有率
が上昇しΓ相が生成し易くなるためである。
【0056】したがって、Γ相、ζ相の両者の生成を抑
制するためには、最高到達板温の下限を470 ℃に限定す
ることが必要となる。また、最高到達板温が550 ℃を超
える場合、Γ相が生成し易くなり、最高到達板温は550
℃を超えてはならない。以上述べたように、合金化は、
最高到達板温が470 〜550 ℃の範囲内で行うことが必要
であり、より好ましくは470 〜520 ℃の範囲内で行い、
さらに好ましくは480 〜520 ℃の範囲内で行う。
【0057】本発明においては、合金化時に最高到達板
温に到達した後、最高到達板温以下で合金化する必要が
ある。これは、前記した理由で、Γ相、ζ相の生成を極
力抑制するために最高到達板温を決定するが、最初の到
達板温より高温で引き続き合金化を行うと、その温度
は、Γ相が容易に生成してしまう高温側での合金化にな
りΓ相の生成を抑制することが困難になるためである。
【0058】本発明においては、Γ相の生成抑制のため
には、めっき層中の鉄含有率の制御が極めて重要であ
り、合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造後のめっき層の鉄含
有率を7〜12%に管理する必要がある。加熱合金化後の
めっき層の鉄含有率が7%未満の場合、めっき表層に未
合金のη相が残存し、耐食性、塗膜密着性などの諸性能
に悪影響を与える。
【0059】逆に、加熱合金化後のめっき層の鉄含有率
が12%を超える場合、めっき/鋼板界面にΓ相が多量に
生成するようになり、良好な耐パウダリング性を確保す
ることが困難となる。したがって、耐パウダリング性に
優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造のためには、合
金化時間の適正な制御などによって加熱合金化後のめっ
き層の鉄含有率を上記範囲内とすることが必要条件とな
る。
【0060】さらに、本発明においては、めっき層の相
構造の制御のために、合金化に際しての昇温速度を一定
値以上にし、高速昇温を行う。すなわち、本発明におい
ては、溶融亜鉛めっきに引き続いて行われるめっき付着
量制御のためのガスワイピング終了後、合金化時の最高
到達板温までを10℃/s以上、より好ましくは20℃/s
以上という高速で昇温することを合金化条件とする。
【0061】この結果、合金化時のζ相、Γ相の生成を
極力抑制することが可能となる。この理由は、次のよう
に説明される。すなわち、合金化に際しての昇温速度が
遅い場合、ζ相が生成し易い470 ℃未満の低温領域に滞
留する時間が長くなるため、先ずζ相が生成し易くな
る。また、昇温速度が遅くζ相が存在した状態で合金化
が進行すると、前記したようにζ相は鉄の固溶限が少な
いため、ζ相がZn-Fe 合金層表面に存在するとδ1単相
の場合に比較して地鉄からの鉄の拡散が抑制され、結果
的にめっき層と地鉄との界面の鉄含有率が上昇しめっき
/鋼板界面にΓ相が生成し易くなる。
【0062】したがって、Γ相、ζ相の生成抑制のため
に、前記しためっき層中のAl量の確保、適正最高到達板
温以外に昇温速度の管理も本発明の重要な要件である。
合金化時の昇温速度を10℃/s以上とするための手段と
しては、ガス加熱、インダクションヒーティングなどを
例示することができる。本発明においては、昇温速度が
10℃/s以上、より好ましくは20℃/s以上を確保でき
れば、その手段を特に限定するものではない。
【0063】本発明においては前記した合金化時の最高
到達板温までの昇温速度は、100 ℃/s以下であること
が好ましい。これは、合金化時の最高到達板温までの昇
温速度が100 ℃/sを超える場合、昇温速度増加の効果
が実用上飽和し、経済的に不利となるためである。な
お、本発明は、めっき層中に十分な量のAlを確保した上
で、鋼板の最高到達温度および昇温速度を規定するもの
であるが、めっきのη相が消失した時点を合金化終了と
定義すると、合金化終了までの合金化温度は最高到達板
温以下であれば特にこれを規定するものではない。
【0064】合金化終了までの時間、すなわち合金化時
間についても同様である。したがって、上記した要件を
満足すればいかなるヒートパターンであってもよい。本
発明によって得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっ
き層の相構造は、好ましくは後記する実施例に示す方法
によってめっき層をめっき/鋼板界面から剥離し、剥離
しためっき層について上記界面側からX線回折を行った
時のζ相、δ 1 相、Γ相の強度が下記式(4) 〜(5) を満
足する相構造である。
【0065】 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、 I(ζ:1.26) :ζ相の結晶格子面間隔d=1.26Åの
強度 I(δ1 :2.13):δ1 相の結晶格子面間隔d=2.13Å
の強度 I(Γ:2.59) :Γ相の結晶格子面間隔d=2.59Åの
強度 を示す。
【0066】さらに、本発明によって得られる合金化溶
融亜鉛めっき鋼板のめっき層の相構造は、好ましくは後
記する実施例に示す方法によってめっき層をめっき/鋼
板界面から剥離し、剥離しためっき層について上記界面
側からX線回折を行った時のζ相、δ1 相、Γ相の前記
した各強度が下記式(8) 〜(9) を満足する相構造である
ことがより好ましい。
【0067】 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.01………(8) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.05………(9) すなわち、ζ相、Γ相の生成量を上記範囲に抑制するこ
とによって、耐パウダリング性、摺動性に著しく優れた
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
【0068】なお、本発明においては、前記した式(4)
、(5) もしくは(8) 、(9) におけるI(ζ:1.26)/
I(δ1 :2.13)、I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)
の下限は特に制限を受けるものではない。また、前記し
たように、上記した本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板
においては、合金化溶融亜鉛めっき層中のAl含有率:X
Al(%)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付着量:
W(g/m2)が、好ましくは下記式(1) を満足するよう
に、めっき層中に必要十分な量のAlが含有されているこ
とが必要である。
【0069】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) また、上記した本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板にお
いては、合金化溶融亜鉛めっき層の鉄含有率を、好まし
くは7〜12%の範囲内となるように制御する必要があ
る。また、合金化溶融亜鉛めっきのめっき付着量は、10
〜100g/m2 であることが好ましい。
【0070】〔第1の発明の第3の好適態様、第3の発
明、第3の発明の第1の好適態様、第2の好適態様:〕
第1の発明の第3の好適態様は、前記した第1の発明ま
たは第1の発明の第1の好適態様または第1の発明の第
2の好適態様において、前記した合金化処理後、表面粗
さ:Raが0.5 μm 以上の粗度を有するロールで調質圧
延することを特徴とするプレス加工性に優れた合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0071】第3の発明は、JIS Z 8722(条件d、光ト
ラップ有り)の方法で測定した白色度:L値が70以下
で、かつJIS Z 8741(60度鏡面光沢法)の方法で測定し
た光沢度が30以下であることを特徴とするプレス加工性
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。前記した第
3の発明のより好適な態様は、JIS Z 8722(条件d、光
トラップ有り)の方法で測定した白色度:L値が70以下
で、かつJIS Z 8741(60度鏡面光沢法)の方法で測定し
た光沢度が30以下である合金化溶融亜鉛めっき鋼板であ
って、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を、めっき
/鋼板界面で剥離し、剥離しためっき層について前記界
面側からX線回折を行った時のζ相、δ1 相、Γ相の強
度が下記式(4) 、(5) の両者を満足することを特徴とす
るプレス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板であ
る(第3の発明の第1の好適態様)。
【0072】 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0073】また、前記した第3の発明、第3の発明の
第1の好適態様のさらに好適な態様は、JIS Z 8722(条
件d、光トラップ有り)の方法で測定した白色度:L値
が70以下で、かつJIS Z 8741(60度鏡面光沢法)の方法
で測定した光沢度が30以下である合金化溶融亜鉛めっき
鋼板であって、該合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付
着量:Wが10〜100g/m2 、めっき層の鉄含有率が7〜12
%(:質量百分率)で、かつ、めっき層のAl含有率:X
Al(%:質量百分率)およびめっき付着量:W(g/m2
が下記式(1) を満足し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき層を、めっき/鋼板界面で剥離し、剥離しためっき
層について前記界面側からX線回折を行った時のζ相、
δ1 相、Γ相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を満足す
ることを特徴とするプレス加工性に優れた合金化溶融亜
鉛めっき鋼板である(第3の発明の第2の好適態様)。
【0074】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0075】なお、前記した第3の発明の好適態様にお
けるめっき層のAl含有率:XAl、鉄含有率は、合金化溶
融亜鉛めっき層中の平均Al含有率、平均鉄含有率を示
す。以下、上記した第1の発明の第3の好適態様、第3
の発明、第3の発明の第1の好適態様、第2の好適態様
について説明する。本発明者らは、プレス加工性に優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板についてさらに検討を重ね
た結果、前記した第1の発明、より好ましくは第1の発
明の第1の好適態様、さらに好ましくは第1の発明の第
2の好適態様の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法で
得られたζ相、Γ相の生成を極力抑制した合金化溶融亜
鉛めっき鋼板を、表面粗さ:Raが0.5 μm 以上の粗度
を有するロールで調質圧延することによって、さらにプ
レス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造可
能であることを見出した(第1の発明の第3の好適態
様)。
【0076】また、上記した製造方法で得られた、JIS
Z 8722(条件d、光トラップ有り)の方法で測定した白
色度:L値が70以下で、かつJIS Z 8741(60度鏡面光沢
法)の方法で測定した光沢度が30以下である合金化溶融
亜鉛めっき鋼板が、摺動性に著しく優れていることを見
出した(第3の発明)。上記した合金化溶融亜鉛めっき
鋼板が、摺動性に著しく優れる理由としては、下記のこ
とが考えられる。
【0077】すなわち、通常、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の場合、溶融亜鉛めっき、加熱合金化の後、所望の機
械的特性を得るために調質圧延が施されるが、この際、
めっき表面の凸部は平滑に押しつぶされ、光沢度は上が
る。この場合、光沢度の上昇に関与する完全に平坦に押
しつぶされためっきの部分は、粗度が著しく小さいた
め、プレス成形時に潤滑油などが十分摺動面に行き渡ら
ず、いわゆる型かじりが生じ易いため好ましくない。
【0078】一方、同様に調質圧延によって押しつぶさ
れた部分であっても、金型に対してある角度をもってつ
ぶれためっきの部分については、完全に油切れになるこ
とはなく、したがって型かじりも生じにくい。本発明者
らは、上記した型かじりに起因する摺動性不良とめっき
層の性状との関係について種々検討した結果、めっきが
調質圧延によって完全に平滑につぶされる部分の面積と
光沢度との間に強い相関があることを見出した。
【0079】すなわち、調質圧延後の光沢度を30以下に
することによって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の良好な
摺動性を確保することが可能となった。上記した光沢度
が30以下の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、前記した第1
の発明、より好ましくは第1の発明の第1の好適態様、
さらに好ましくは第1の発明の第2の好適態様の合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法における溶融亜鉛めっき
条件、加熱合金化条件、さらには焼鈍炉から溶融亜鉛め
っき浴までの雰囲気ガスの条件を満足させ、さらに、合
金化処理後、表面粗さ:Raが0.5 μm 以上の粗度を有
する圧延ロールで調質圧延することによって製造するこ
とができる。
【0080】その理由は、表面粗さ:Raが0.5 μm 未
満の低粗度のロールで調質圧延した場合、前記しためっ
きが押しつぶされた部分が著しく平坦になり、光沢度が
本発明で規定した範囲を超え、形成された平坦面は耐型
かじり性に有効でないためである。なお、上記した合金
化後に行う調質圧延時の圧延ロールの表面粗度は、表面
粗さ:Raが2.0 μm 以下であることが好ましい。
【0081】これは、圧延ロールの表面粗さ:Raが2.
0 μm を超える場合、めっきの粗度も上昇し、めっき層
の凹凸によってプレス成形時の摺動性が悪化するためで
ある。さらに、本発明者らは、光沢度が同じであって
も、めっき層表面の白色度が異なると摺動性が異なり、
白色度が低い合金化溶融亜鉛めっき鋼板の方が良好な摺
動性を示すことを見出した。
【0082】白色度が低い合金化溶融亜鉛めっき鋼板が
良好な摺動性を示す理由としては、下記のことが考えら
れる。すなわち、白色度:L値は、光の材料表面での拡
散反射光の強度で表され、これは入射光から正反射光
(光沢度)と表面吸収光を差し引いたものとして規定さ
れる。
【0083】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面に
は、めっき層の合金化によって、めっき表層を形成する
金属間化合物の結晶粒群から構成される凹凸が形成され
る。この場合、溶融亜鉛めっき条件、加熱合金化条件の
適正化によって、プレスにおける摺動時に油を有効に保
持する効果を有する微細な凹凸を形成すれば、この微細
な凹凸は同時に光の吸収効果も大きいものと考えられ
る。
【0084】したがって、光沢度が同じ場合には、光の
吸収効果が大きい、すなわち白色度の低いめっきは、プ
レスにおける摺動時に油を保持する微細な凹凸のために
良好な摺動性を示すものと考えられる。本発明によれ
ば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の白色度:L値を70以下
とすることによって良好な摺動性を得ることができる。
【0085】なお、上記したL値が70以下の白色度を有
する、すなわち摺動性に有利な微細な凹凸を有する合金
化溶融亜鉛めっき鋼板は、前記した第1の発明、より好
ましくは第1の発明の第1の好適態様、さらに好ましく
は第1の発明の第2の好適態様の合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法によって初めて得ることができる。前記
した第3の発明のより好適な態様は、JIS Z 8722(条件
d、光トラップ有り)の方法で測定した白色度:L値が
70以下で、かつJIS Z 8741(60度鏡面光沢法)の方法で
測定した光沢度が30以下である合金化溶融亜鉛めっき鋼
板であって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を、
めっき/鋼板界面で剥離し、剥離しためっき層について
前記界面側からX線回折を行った時のζ相、δ1 相、Γ
相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を満足することを特
徴とするプレス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板である(第3の発明の第1の好適態様)。
【0086】 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0087】また、前記した第3の発明、第3の発明の
第1の好適態様のさらに好適な態様は、JIS Z 8722(条
件d、光トラップ有り)の方法で測定した白色度:L値
が70以下で、かつJIS Z 8741(60度鏡面光沢法)の方法
で測定した光沢度が30以下である合金化溶融亜鉛めっき
鋼板であって、該合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付
着量:Wが10〜100g/m2 、めっき層の鉄含有率が7〜12
%(:質量百分率)で、かつ、めっき層のAl含有率:X
Al(%:質量百分率)およびめっき付着量:W(g/m2
が下記式(1) を満足し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき層を、めっき/鋼板界面で剥離し、剥離しためっき
層について前記界面側からX線回折を行った時のζ相、
δ1 相、Γ相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を満足す
ることを特徴とするプレス加工性に優れた合金化溶融亜
鉛めっき鋼板である(第3の発明の第2の好適態様)。
【0088】5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1) I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
面間隔d=2.59Åの強度を示す。
【0089】以上述べたように、本発明によれば、本発
明の製造方法で製造したζ相、Γ相の生成を極力抑制し
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板を、表面粗さ:Raが0.5
μm以上の粗度を有する圧延ロールで調質圧延し、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の白色度:L値が70以下で、かつ
光沢度を30以下とすることによって、著しく良好な摺動
性が発現することが判明した。
【0090】なお、本発明においては、合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の白色度:L値、光沢度の下限値は特に制限
されるものではないが、白色度:L値が30以上、光沢度
が1以上であることが好ましい。これは、白色度:L値
が30未満の場合、光沢度が1未満の場合、いずれの場合
も、めっき表面の過度の凹凸によって、プレス成形時の
摺動性が悪化する可能性があるためである。
【0091】以上、本発明について述べたが、本発明に
おいては、めっきの素材となる鋼板の種類については、
特に限定するものではない。実用的には、近年自動車用
防錆鋼板として用いられる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
素材として多用されているTi系、Nb系、Ti−Nb系などの
極低炭素IF鋼板、低炭素鋼板あるいはP、Mn、Siなどの
強化元素を添加した高張力鋼板などを例示することがで
きる。
【0092】また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板
のめっき層は、溶融亜鉛単層めっきのみならず、該溶融
亜鉛めっき層の上に鉄系の電気めっきを施した2層めっ
き、鉄系以外の上層めっきを施した複層めっきも含み、
また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板、複層型合金化溶融亜鉛めっき鋼板に
クロメート処理、リン酸塩処理などの化成処理を施した
鋼板も含む。
【0093】また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板
のめっき層中には、Fe、Al以外に、素材となる鋼の成分
であるMn、P、Si、Ti、Nb、C、S、Bなどが含まれて
いてもよい。
【0094】
【実施例】以下、本発明を、実施例に基づいてさらに具
体的に説明する。 〔実施例1〕(本発明例1〜12、比較例1〜10) 表1に示す組成のTi−Nb系の極低炭素軟鋼板の冷延未焼
鈍材を素材とし、実ラインの連続式溶融亜鉛めっきライ
ン(オールラジアントチューブ型CGL)で、下記に示
す条件下で、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理および調
質圧延を施した。
【0095】〔ライン速度;〕 120mpm 〔焼鈍条件;〕 焼鈍炉内雰囲気ガス組成;5vol %H2−N2 焼鈍炉内雰囲気ガスの露点、雰囲気ガス中の酸素濃度:
表2に示す。
【0096】焼鈍温度:800 ℃ 焼鈍時間:20s 〔焼鈍炉からめっき浴までの鋼板通板部内の雰囲気ガ
ス;〕 雰囲気ガス組成:5vol %H2−N2 雰囲気ガスの露点、雰囲気ガス中の酸素濃度:表2に示
す。
【0097】なお、上記雰囲気ガス組成、雰囲気ガスの
露点は、焼鈍炉出口からスナウト入口の鋼板通板部内の
雰囲気ガスおよびスナウト内の雰囲気ガスの平均値を示
す。 〔溶融亜鉛めっき条件;〕めっき浴総Al濃度、めっき浴
総Fe濃度、浴温、めっき浴への浸入板温:表2に示す。
【0098】なお、めっき浴総Al濃度、めっき浴総Fe濃
度は、浴サンプルとして、めっき浴浴面から500mm 以上
の深さから溶融亜鉛をサンプリングし、水中急冷法によ
り凝固させた後、得られたサンプルを1+1の硝酸で加
熱溶解せしめ、原子吸光分析によってAl濃度、Fe濃度を
分析することによって求めた。 〔合金化条件;〕ガスワイピング終了後最高到達板温ま
での昇温速度、最高到達板温:表2に示す。
【0099】〔調質圧延条件;〕 調質圧延機のワークロールの表面粗さ:Ra=0.8 μm
(JIS B 0601-1994 、算術平均粗さ) 次に、上記の条件下で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき層の各種特性、および合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の性能を、下記試験方法および評価方法で試験、評
価した。
【0100】〔合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付着
量:W、合金化溶融亜鉛めっき層の鉄含有率、Al含有
率:XAl、およびW×(XAl−0.12);〕上記の条件下
で得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を、イ
ンヒビター入りの塩酸に溶解させ、ICP(誘導結合プ
ラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行った。
【0101】上記分析結果から算出した合金化溶融亜鉛
めっき鋼板のめっき付着量:W、合金化溶融亜鉛めっき
層の鉄含有率(平均鉄含有率)、Al含有率(平均Al含有
率):XAl、およびW×(XAl−0.12)を、表3に示
す。 〔合金化溶融亜鉛めっき層の相構造;〕得られた合金化
溶融亜鉛めっき層の相構造を、下記の方法によって調査
した。
【0102】先ず、脱脂後のめっき鋼板のサンプルを、
幅:25mm、長さ:100mm に剪断し、エポキシ系の接着剤
を用いて、同サイズの冷延鋼板に、接着面積:25mm×13
mm、接着剤厚さ:1.5mm で接着し、170 ℃×30min の条
件下で焼き付けを行った。次に、得られた試験片を、イ
ンストロン型の引っ張り試験機を用いて、引っ張り速
度:50mm/minで引っ張り、めっき層をめっき/鋼板(:
めっき鋼板)界面から剥離した。
【0103】剥離しためっき層が付着した上記冷延鋼板
の試料を、15mmφのサイズで打ち抜き、X線回折用のサ
ンプルとした。次に、剥離しためっき層について、めっ
き/鋼板(:めっき鋼板)の界面側から、下記の条件
下、X線回折を行った。 (X線回折の条件;) θ−2θ法 X線管球:Cu 管電圧:50kV 管電流:250mA 得られたX線回折の結果に基づき、下記で示されるI
(ζ:1.26)、I(δ1:2.13)の値から、両者の比で
ある{I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)}を求めた。
【0104】 I(ζ:1.26) :ζ相の結晶格子面間隔d=1.26Åの
強度 I(δ1 :2.13):δ1 相の結晶格子面間隔d=2.13Å
の強度 得られた結果を表3に示す。同様にして、下記で示され
るI(Γ:2.59)の値および前記したI(δ1 :2.13)
の値から、両者の比である{I(Γ:2.59)/I
(δ1 :2.13)}を求めた。
【0105】I(Γ:2.59):Γ相の結晶格子面間隔d
=2.59Åの強度 得られた結果を表3に示す。また、得られた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板のめっき層の性能試験として、下記に示
す耐パウダリング性試験、摺動性試験を行った。 〔耐パウダリング性試験;〕 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の試験片サイズ:幅;40mm×
長さ;100mm 90度曲げ戻し(1Rの治具使用)→テープ剥離→テープ
面の蛍光X線分析 めっき剥離量として、蛍光X線分析にて測定したカウン
ト数を指標とした。
【0106】得られたカウント数(CPS) (:パウダリン
グ指数)を表3に示す。 〔摺動性試験;〕 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の試験片サイズ:幅;20mm×
長さ;200mm 金型:平板金型(:図2) 試験片と金型との接触面積:10mm×20mm 押しつけ圧力(P):1962N 摺動速度:20mm/s 塗油条件:洗浄油R303P 塗油 上記条件で試験を行ったときの引き抜き力(F)(単
位:N)を測定し、摺動性は下記式(10)から算出される
摩擦係数μで評価した。
【0107】μ=F/2P………(10) 得られたμの値を表3に示す。表2、3に示すように、
めっき浴の総Al濃度と総Fe濃度との関係:NAl
Fe、めっき浴への浸入板温と浴温との関係:t−
T、焼鈍炉内、焼鈍炉からめっき浴までの鋼板通板部
内の雰囲気ガスの酸素濃度、露点の規定によって、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層中に所定量のAlを確保
し、かつ、所定の最高到達板温までの昇温速度、最
高到達板温で合金化することによって得られた合金化溶
融亜鉛めっき鋼板は、ζ相、Γ相の生成が十分に抑制さ
れ、プレス加工性に著しく優れた鋼板であることが分か
る。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】〔実施例2〕(本発明例13〜21、比較例11
〜17) 表1に示す組成のTi−Nb系の極低炭素軟鋼板の冷延未焼
鈍材を素材とし、実ラインの連続式溶融亜鉛めっきライ
ン(オールラジアントチューブ型CGL)で、下記に示
す条件下で、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理および調
質圧延を施した。
【0113】〔ライン速度;〕 120mpm 〔焼鈍条件;〕 焼鈍炉内雰囲気ガス組成:5vol %H2−N2 焼鈍炉内雰囲気ガスの露点、雰囲気ガス中の酸素濃度:
表4に示す。
【0114】焼鈍温度:800 ℃ 焼鈍時間:20s 〔焼鈍炉からめっき浴までの鋼板通板部内の雰囲気ガ
ス;〕 雰囲気ガス組成:5vol %H2−N2 雰囲気ガスの露点、雰囲気ガス中の酸素濃度:表4に示
す。
【0115】なお、上記雰囲気ガス組成、雰囲気ガスの
露点は、焼鈍炉出口からスナウト入口の鋼板通板部内の
雰囲気ガスおよびスナウト内の雰囲気ガスの平均値を示
す。 〔溶融亜鉛めっき条件;〕めっき浴総Al濃度、めっき浴
総Fe濃度、浴温、めっき浴への浸入板温:表4に示す。
【0116】なお、めっき浴総Al濃度、めっき浴総Fe濃
度は、前記した実施例1と同様に、浴サンプルとして、
めっき浴浴面から500mm 以上の深さから溶融亜鉛をサン
プリングし、水中急冷法により凝固させた後、得られた
サンプルを1+1の硝酸で加熱溶解せしめ、原子吸光分
析によってAl濃度、Fe濃度を分析することによって求め
た。
【0117】〔合金化条件;〕ガスワイピング終了後最
高到達板温までの昇温速度、最高到達板温:表4に示
す。 〔調質圧延条件;〕調質圧延機のワークロールの表面粗
さ:Ra(JIS B 0601-1994 、算術平均粗さ):表4に
示す。
【0118】次に、上記の条件下で得られた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板のめっき層の各種特性、および合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の性能を、前記した実施例1と同一の
試験方法および評価方法で試験、評価した。また、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の白色度:L値、光
沢度を、下記試験方法に基づいて測定した。
【0119】〔白色度:L値;〕 JIS Z 8722-1994 (条件d、光トラップ有り) 〔光沢度;〕 JIS Z 8741-1983 (60度鏡面光沢法) 得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層の各種特
性、および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の性能を、表5に
示す。
【0120】表5に示すように、本発明の合金化溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法で得られた白色度:L値が70以
下で、かつ光沢度が30以下である合金化溶融亜鉛めっき
鋼板は、さらに摺動性が向上し、プレス加工性に著しく
優れた鋼板であることが分かる。
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
【表7】
【0124】
【表8】
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、本発明で開示した方法
により、めっき層中に所定量のAlを確保した上で、所定
の最高到達板温までを高速昇温することによって、初め
て、ζ相、Γ相の生成が十分に抑制され、プレス加工性
に著しく優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供するこ
とが可能となった。
【0126】また、本発明によれば、本発明で開示した
方法により、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の
白色度:L値および光沢度の両者を特定の範囲に制限す
ることによって、プレス加工性に著しく優れた合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】Zn-Fe-Al3元平衡状態図を示すグラフである。
【図2】摺動性試験方法を示す説明図(縦断面図)であ
る。
【符号の説明】
1 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の試験片 2 金型 F 引き抜き力 P 押しつけ圧力 r 曲率半径

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後、めっ
    き付着量制御のためのガスワイピングを行い、該ガスワ
    イピング終了後10(℃/s)以上の昇温速度で470 〜55
    0 ℃の最高到達板温まで昇温し、引き続き前記最高到達
    板温以下で合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき層
    のAl含有率:XAl(%)および合金化溶融亜鉛めっき鋼
    板のめっき付着量:W(g/m2)が下記式(1) を満足し、
    合金化溶融亜鉛めっき層の鉄含有率:7〜12(%)のZn
    −Fe合金めっき層を得ることを特徴とするプレス加工性
    に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 記 5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1)
  2. 【請求項2】 前記溶融亜鉛めっき時のめっき浴中の総
    Al濃度:NAl(%)、総鉄濃度:NFe(%)が下記式
    (2) を満足し、めっき浴への浸入板温:t(℃)、めっ
    き浴温:T(℃)が下記式(3) を満足することを特徴と
    する請求項1記載のプレス加工性に優れた合金化溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造方法。 記 0.08≦NAl−NFe≦0.12……………(2) 0 ≦t−T≦50………………………(3)
  3. 【請求項3】 前記した溶融亜鉛めっきに際しての鋼板
    の前処理工程における焼鈍炉内および焼鈍炉からめっき
    浴までの鋼板通板部内の雰囲気ガスの酸素濃度を50volp
    pm以下、露点を−20℃以下とすることを特徴とする請求
    項1または2記載のプレス加工性に優れた合金化溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記した合金化処理後、表面粗さ:Ra
    が0.5 μm 以上の粗度を有するロールで調質圧延するこ
    とを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のプレス加
    工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層
    を、めっき/鋼板界面で剥離し、剥離しためっき層につ
    いて前記界面側からX線回折を行った時のζ相、δ
    1 相、Γ相の強度が下記式(4) 、(5) の両者を満足する
    ことを特徴とするプレス加工性に優れた合金化溶融亜鉛
    めっき鋼板。 記 I(ζ:1.26)/I(δ1 :2.13)≦0.02………(4) I(Γ:2.59)/I(δ1 :2.13)≦0.1 ………(5) ここで、I(ζ:1.26)はζ相の結晶格子面間隔d=1.
    26Åの強度、I(δ1:2.13)はδ1 相の結晶格子面間
    隔d=2.13Åの強度、I(Γ:2.59)はΓ相の結晶格子
    面間隔d=2.59Åの強度を示す。
  6. 【請求項6】 前記した合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめ
    っき付着量:Wが10〜100g/m2 、めっき層の鉄含有率が
    7〜12%で、かつ、めっき層のAl含有率:X Al(%)お
    よびめっき付着量:W(g/m2)が下記式(1) を満足する
    ことを特徴とする請求項5記載のプレス加工性に優れた
    合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 記 5≦W×(XAl−0.12)≦15………(1)
  7. 【請求項7】 JIS Z 8722(条件d、光トラップ有り)
    の方法で測定した白色度:L値が70以下で、かつJIS Z
    8741(60度鏡面光沢法)の方法で測定した光沢度が30以
    下であることを特徴とするプレス加工性に優れた合金化
    溶融亜鉛めっき鋼板。
  8. 【請求項8】 JIS Z 8722(条件d、光トラップ有り)
    の方法で測定した白色度:L値が70以下で、かつJIS Z
    8741(60度鏡面光沢法)の方法で測定した光沢度が30以
    下であることを特徴とする請求項5または6記載のプレ
    ス加工性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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