JP2000220037A - 生理学的媒体に可溶な非晶質無機繊維 - Google Patents

生理学的媒体に可溶な非晶質無機繊維

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JP2000220037A JP11020218A JP2021899A JP2000220037A JP 2000220037 A JP2000220037 A JP 2000220037A JP 11020218 A JP11020218 A JP 11020218A JP 2021899 A JP2021899 A JP 2021899A JP 2000220037 A JP2000220037 A JP 2000220037A
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正章 中山
Noboru Kobayashi
昇 小林
Akira Sasaki
章 佐々木
Hideki Kitahara
英樹 北原
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Nichias Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロックウールと同様に安価且つ容易に製造で
きる非晶質無機繊維でありながら、従来のロックウール
以上の耐熱性を有し、しかもKI値が40以上で人体内
蓄積性が低い無機繊維を提供する。 【解決手段】 SiO2とCaOとの合計含有量が85
重量%以上であり、0.5〜3.0重量%のMgOと
2.0〜8.0重量%のP2O5とを含有し、かつドイツ
危険物質規制による発癌性指数(KI値)が40以上で
あることを特徴とする生理学的媒体に可溶な非晶質無機
繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性と体液等の
生理学的媒体への溶解性に優れた非晶質無機繊維に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ロックウールは、鉄鋼スラグや各種鉱物
質原料の混合物に珪石、ドロマイト等を成分比率調整材
として加えたものをキューポラまたは電気炉で加熱して
熔融させ、得られた熔融物を圧縮空気で吹き飛ばす方法
(ブローイング法)、高速回転体に衝突させる方法(ロ
ーター法)等で繊維化することにより得られる非晶質の
無機繊維である。その組成は、一般にSiO2 35〜4
5重量%、CaO30〜40重量%、MgO3〜6重量
%、FeO+Fe2O3 0.1〜3重量%であり、ほか
に、原料に由来する不純物としてTiO2、MnO、N
a2O、K2O、S等を合計量で5重量%程度含むものが
多い。
【0003】このロックウールは比較的安価な不燃繊維
であり、耐火被覆材や高温用断熱材としてバルク繊維の
状態で、またブランケット、マット、フェルト、ボード
等の形態の断熱材として、広く利用されている。しかし
ながら、従来の一般的なロックウール製品はせいぜい7
50℃が使用可能温度の上限であって、それ以上の高温
では軟化し、さらには熔融して、著しい収縮、変形を起
こす。したがって、800℃以上の高温に耐えることを
要求される用途では、シリカ−アルミナ系など各種セラ
ミック繊維を使用せざるを得ないのが現状であるが、セ
ラミック繊維はロックウールに比べるとはるかに高価で
ある。
【0004】また、粉塵化したセラミック繊維が人に吸
入されて肺内に蓄積すると各種呼吸器疾患を起こす可能
性があることが分かったため、耐火被覆材等にセラミッ
ク繊維を利用することには一定の規制が加えられてお
り、近年においては同様の理由からロックウールにも適
用されるようになりつつある。セラミック繊維やロック
ウール等の無機繊維が呼吸器疾患を招く原因は複雑であ
り、解明されていない部分が多い。しかし、その一方
で、肺に吸入された無機繊維が短期間で体液に溶けて吸
収されれば、早期に体外に排出され、呼吸器疾患の発病
を解消できると考えられている。
【0005】そこで、人の健康に対する影響を考える
と、無機繊維の体液への溶解性を高めることにより、た
とえ粉塵化した無機繊維が肺に吸入されても、蓄積せず
に有害作用を発揮しないようにすることが望ましい。こ
のような観点から、無機繊維の体液中への溶解性が重要
視されるようになってきている。具体的には、体液の代
わりに生理学的塩類溶液(たとえば生理食塩水)を用い
て行われる溶解性試験における溶解性の良いものが求め
られている。このような要望に対して、ロックウール系
の非晶質無機繊維についても体液溶解性向上の試みがな
されており、たとえば、特公平7−42139号公報で
は、0.1〜30重量%のMgO、0〜10重量%のA
l2O3および残部がSiO2およびCaOからなる組成
とすることにより、生理学的塩類溶液に対する溶解性の
よいアルカリ土類金属珪酸塩系繊維を得ている。また、
特表平8−511760号公報には、SiO240〜6
7重量%、CaO20〜45重量%を必須の成分とする
生物分解性の無機繊維が開示されている。さらに特開平
4−228455号公報には、SiO237〜58重量
%、CaO7〜40重量%、MgO4〜16重量%、P
2O51〜10重量%、Al2O34〜14重量%、Fe2
O34〜14重量%を必須成分とする生物分解性の無機
繊維が開示されている。
【0006】一方、ドイツ危険物質規制では、上記溶解
性試験に替えて無機繊維の化学組成から計算される、K
I値(発癌性指数)と呼ばれる指標値を体液溶解性ひい
ては安全性の判断基準として採用している。すなわち、
無機繊維についてその組成に含まれるナトリウム、カリ
ウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびホウ
素の各酸化物の含有率(重量%)の総和から酸化アルミ
ニウムの含有率(重量%)を2倍して差し引いた値をK
I値とし、それが小さいものほど発癌性が高くなり、4
0以上であれば発癌性の恐れなしとする扱いをしてい
る。
【0007】例を挙げて説明すると、アルミナシリケー
ト系のセラミック繊維は1000〜1300℃の高温に
も耐えるが、構成成分がAl2O350重量%、SiO2
50重量%前後のもであるから、KI値は−100にも
達し、化学的に安定で、生理学的塩類溶液に対する抵抗
はすこぶる大きい。また、1000℃以上の高温にさら
されると、遊離珪酸の一種であるクリストバライトを生
成し、該遊離珪酸を生じた繊維は珪肺等の呼吸器疾患の
原因にもなる。したがって、このアルミナシリケート系
のセラミック繊維は、人体に有害な繊維であるとの認識
が強くなってきており、EUやドイツでは“カテゴリー
2”繊維として「人に対して恐らく発癌性有り」と格付
けし、規制の対象としている。また、前述の組成を有す
る一般的なロックウールのKI値はセラミック繊維と比
べるとはるかに大きいが、それでも40には達っせず生
理学的塩類溶液に対する溶解性も小さなものである。し
たがって、ロックウールが体内に蓄積したときの有害性
について、EU及びドイツでは“カテゴリー3”繊維と
して「人に対し発癌性が有るかも知れない」と格付け
し、セラミック繊維同様規制の対象としている。
【0008】上記した生物分解性無機繊維について、同
様の計算によりKI値を求めてみると、特公平7−42
139号公報に記載された無機繊維では、KI値が約2
0〜50の範囲にあり、体液溶解性に関しては一般的な
ロックウールよりも改善されてはいるが、十分では無い
ものも多い。また、その耐熱性については約743〜8
15℃の範囲で連続使用可能であることが記載されてい
るが、実施例を見るとそれほどの耐熱性を有しないと認
められるものも含まれているので、従前のロックウール
と同様またはそれよりも若干優れている程度と認められ
る。また、特表平8−511760号公報に記載された
無機繊維のKI値は、実施例についてそれを計算してみ
ると40以上のものである。しかしながら、その耐熱限
界は700℃程度と認められ、従来のロックウールのそ
れを超えるものではない。また、特開平4−22845
5号公報に記載された無機繊維のKI値は、実施例の全
てについて40に達していない。しかも、その耐熱性は
従来のロックウール並のものである。
【0009】KI値はドイツのみならず世界的にも有力
な安全性判断基準として普及しつつある。したがって、
ロックウールの耐熱性向上を考える場合にもKI値を無
視することはもはや許されない状況になっている。しか
しながら、ロックウールにせよ、セラミック繊維にせ
よ、800℃を超える高温に耐える高度の耐熱性と、4
0以上のKI値とを両立した無機繊維は未だ見い出され
ていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ロッ
クウールと同様に安価且つ容易に製造できる非晶質無機
繊維でありながら、従来のロックウール以上の耐熱性を
有し、しかもKI値が40以上で人体内蓄積性が低い無
機繊維を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、SiO2とCaOとの合計含有量が8
5重量%以上であり、0.5〜3.0重量%のMgOと
2.0〜8.0重量%のP2O5とを含有し、かつドイツ
危険物質規制による発癌性指数(KI値)が40以上で
あることを特徴とする生理学的媒体に可溶な非晶質無機
繊維を提供する。
【0012】本発明により提供された新規な非晶質無機
繊維は、SiO2およびCaOを主成分して含有するこ
とによりKI値を高めるとともに、耐熱性を向上させる
成分であるMgOをKI値が40以上となるように含有
させ、また、耐熱性向上のための必須の少量成分として
P2O5を加えることにより、800℃における線収縮率
が5%以下という優れた耐熱性と、生理食塩水に対する
溶解度4%以上という高い生体溶解性とを有する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本発明の非晶質無機繊維は、SiO2およびCa
Oを主成分とする基本組成を採用し、そこにKI値を高
め耐熱性向上に効果のあるMgOと、耐熱性向上に効果
のあるP2O5とをそれぞれ所定量含有させたものであ
る。これは、本発明の目的達成を可能にする組成を検討
する過程において得られた以下のような知見に基づく。
【0014】先ず、従来のロックウール主要構成成分を
再検討した結果、 Al2O3はKI値を小さくする成分であるだけでな
く、生理食塩水溶解性も顕著に低下させる。したがっ
て、Al2O3は極力少なくすることが必要であり、理想
的にはゼロにすることが望ましい。 CaOは従来の通常のロックウールでも主要成分の一
つであるが、KI値と生理食塩水溶解性のいずれをも大
きくする。 MgOも従来の通常のロックウール構成要素であり、
KI値を大きくする観点からは有利な成分となり、少な
くとも制限される対象ではない。 などを確認した。
【0015】その結果、最初に、KI値および生理食塩
水溶解性の観点から好ましい組成の繊維として、SiO
2およびCaOが主成分である、好ましくは合計で85
重量%を占めるケイ酸カルシウム質の繊維が考えられ
た。この組成においてKI値を40以上とするには、C
aOを約40重量%以上とする必要がある。しかしなが
ら、CaOを40重量%以上としたSiO2−CaO系
の繊維は耐熱性が悪く、700℃程度の使用にしか耐え
ず従来のロックウールの範疇にある。ところが、そこに
少量のP2O5を含有させると、耐熱性が飛躍的に向上し
て従来のロックウールの耐熱温度以上の800℃の加熱
にも耐える繊維となり、組成的にも安定になることが確
認された。これは、高温に加熱された繊維中でSi
O 2、CaO、MgOからウォラストナイトやディオプ
サイド等の結晶物が生成する時にP2O5が核結晶として
働き、このことが該結晶物を速やかに生じせしめ繊維自
体の剛直化が図られ、結果としてクリープ等による繊維
の軟化・収縮を抑制させるものと考えられる。そこで、
P2O5の影響を定量的に求めるために以下の試験を行っ
た。
【0016】表1は、SiO2とCaOとを主成分とす
る無機繊維の耐熱性に及ぼすP2O5の影響を評価したも
のである。具体的な評価方法は以下の通りである。先
ず、表1に示す組成の各無機繊維125gを水5l中で
ドリルミキサーを用いて1分間撹拌し、繊維を分散させ
た後、2%PVA溶液を固形分濃度で全体の0.08w
t%になるように添加撹拌し、脱水成型器により成型し
てフェルト状となし、105℃で十分に乾燥したものを
所定の大きさに切断して加熱試験試料を用意する。そし
て、加熱試験試料上にセラミックピンにより印を付け、
800℃にて8時間加熱し、加熱前後におけるセラミッ
クピンの間隔を測定して下記式から線収縮率(%)を求
めた。 線収縮率(%)=(LO−L1)/LO×100 ここで、L0:試験片上セラミックピンの最初の間隔
(mm) L1:試験片上セラミックピンの加熱後の間隔(mm)
【0017】
【表1】
【0018】また、生成結晶物中のP2O5の割合(P2
O5比率と記す)を下記式から求め、P2O5比率と得ら
れた線収縮率(生値)との関係を求めた。尚、生成結晶
物量として、CaO及びMgOについてそれぞれのモル
濃度に換算した合計値とした。 P2O5比率=P2O5/(CaO+MgO)(全てモル濃
度で算出) 表1に示すように、P2O5比率が高まるのに従い線収縮
率が低下していることが確認された。これは上述の考え
を裏付けるものであり、核結晶が多く存在する程結晶化
度が上がり、耐クリープ性の向上による線収縮率が低下
したものと考えられる。
【0019】図1は、表1に示されたP2O5比率と線収
縮率との関係をグラフ化したものであるが、両者の関係
はある範囲を持って相関が認められ、P2O5比率0.0
1に対し、線収縮率が約7.6%低下する関係となる。
また、本発明においては、耐熱性能の指標として加熱温
度800℃において線収縮率が5%以下となることを目
的としているが、図1より、線収縮率5%に相当するP
2O5比率は0.02〜0.05の範囲であり、P2O5比
率が0.02以上ならば線収縮率は5%以下になると考
えられる。
【0020】しかし、P2O5は生理食塩水溶解度を低下
させる働きを持つ。これはリン系化合物が繊維に皮膜を
形成し易く、結果として不溶解分を多くならしめるため
と考えられる。表2は、SiO2とCaOとを主成分と
し、P2O5を含有する各種無機繊維について、生理食塩
水溶解度を測定した結果を示しているが、溶解度測定結
果とP 2O5含有量との関係には極めて強い相関関係が存
在し、両者を回帰分析に供すると、P2O5濃度が8重量
%以下であれば、生体溶解性を有すると判断される生理
食塩水溶解度4%以上となる。尚、表2に示した生理食
塩水溶解度は、200メッシュ以下に粉砕した繊維試料
1gを生理食塩水150mlと共に三角フラスコ(30
0ml) に入れて40℃のインキュベーターに設置し、
毎分120回転で50時間水平振動を加え、その後、濾
過・乾燥して不溶解分を秤量し、その値を溶解前の重量
から差し引いて得た重量減少率(重量%)である。
【0021】
【表2】
【0022】他成分については、生理食塩水溶解度との
明確な相関関係は存在せず、SiO 2−CaO−P2O5
−MgO系においてP2O5濃度が8重量%以下であるこ
とが生体溶解性を有する基準となる。
【0023】上述したように、図1に示したP2O5比率
と800℃加熱線収縮率との間には相関があるものと認
められるが、同図中に示されるように回帰線に対して或
る幅(R2 =0.73)を持っており、P2O5比率だけ
では相関が規定されず、他の因子も絡んでいることが考
えられる。その因子の一つとして遊離SiO2の存在が
考えられる。繊維を過剰に粘性の大きな液体と考える
と、繊維の収縮は被熱による流動化と解釈される。繊維
の流動化を抑制するためには、粘性の大きなSiO2を
化合物の形態ではなく、単体で存在させる必要があり、
この量が多くなると繊維の流動化、即ち、収縮が小さく
なると考える。この遊離SiO2分(以下、過剰SiO2
量と記す)を以下のように定義する。 過剰SiO2量=繊維中SiO2−CaO−MgO(全てモ
ル濃度で算出) これは、加熱により結晶化が認められたウォラストナイ
ト、ディオプサイド等の化合物に結びついているSiO
2量を全体のSiO2量から差し引いた値を示している。
【0024】表1及び図2に、過剰SiO2量と800
℃加熱線収縮率(補正収縮率1)との関係を示す。尚、
図中の線収縮率の値は、前述のように生値にはP2O5の
影響が存在するので、線収縮率の生値を図1の回帰線の
傾きにより各繊維中のP2O5比率を0.035(図1上
での5%収縮領域におけるP2O5比率の中間点)に補正
した値(以下、P2O5比率補正収縮率と記す)である
(正値)。以下に補正計算に用いたP2O5比率補正収縮
率の算出式を示す。 P2O5比率補正収縮率=各収縮率生値+7.6×(各P
2O5比率−0.035)×100
【0025】図2に示されるように、両者には過剰Si
O2量1%当たり(P2O5比率補正収縮率−1.7%)
の関係があり、しかも図1に示した800℃加熱線収縮
率(生値)とP2O5比率との関係よりも強い相関が認め
られ、繊維の収縮がP2O5比率と過剰SiO2量とによ
り規定されることが確認できる。前記の過剰SiO2量
の算出式に示される通り、この指標はSiO2、Ca
O、MgO濃度を規定するものであり、図2において補
正収縮率が5%での過剰SiO2量の値は7〜10mo
l%である。即ち、過剰SiO2量の値が7mol%以
上ならば線収縮率は5%以下になると考えられる。
【0026】しかしながら、図2に示す相関関係におい
ても図1に示す相関関係程ではないものの、多少のバラ
ツキが認められ、繊維の収縮がP2O5比率や過剰SiO
2量の他に競合する因子があるものと考えられ、その因
子をMgOであると判断した。本発明において、SiO
2−CaO−P2O5−MgO系がKI値40以上を満足
するためには、CaOとMgOとの合計値(重量%)が
40以上となる必要があるが、CaOとMgOとではそ
の分子量の違いにより同じ合計値でもモル濃度基準で規
定される生成化合物量は等しくはなく、分子量の小さな
MgOを多くした方が生成化合物の量は多くなる。生成
化合物量が多くなると、繊維の結晶化が進み、P2O5に
よる効果と同様に繊維の剛直化が図られ、耐クリープ性
が向上して収縮が抑制されると考えられる。しかしなが
ら、MgOの量を多くしすぎると、MgO系化合物の量
が増えることになるが、該化合物は一般に密度が大き
く、CaO化合物であるウォラストナイトとの密度差に
より一転して収縮が起こるようになることが考えられ
る。そのため、繊維中のMgO量には繊維収縮抑制に関
して或る程度の最適範囲が存在するものと考えられる。
【0027】表1及び図3に、繊維中のMgO量(mo
l%)と、P2O5比率及び過剰SiO2量による補正を
加えた800℃加熱線収縮率(補正収縮率2)との関係
を示す。図2と同様、生値にはP2O5比率及び過剰Si
O2量の影響が存在するため、両方で補正した値である
P2O5比率、過剰SiO2量補正収縮率を算出し、解析
に供した。以下にP2O5比率、過剰SiO2量補正収縮
率の算出式を示す。 P2O5比率、過剰SiO2量補正収縮率=P2O5比率補正収縮率
+1.7×(各過剰SiO2量−8.5)×100 ここに記した8.5は、図2で求めた過剰SiO2量の
最適範囲の中間値を用いた。図3に示されるように、M
gO濃度と補正収縮率との関係を見ると、MgO濃度が
1〜4mol%の範囲で収縮率が低下しており、それ以
上では収縮率が大きくなる。即ち、上記MgO効果の考
えを裏付けるものである。
【0028】以上の考察から、本発明の非晶質無機繊維
においては、SiO2とCaOとの合計で85重量%で
あり、耐熱性向上のための成分であるP2O5は、モル濃
度により計算されるP2O5/(CaO+MgO)の指標
を用いると、図1より0.02以上であり、また、表2
に示した生理食塩水溶解性の観点より8重量%以下とな
る。また、同じく耐熱性向上成分であるMgOは、図3
よりモル濃度で1〜4mol%である。さらに、SiO
2とCaOは、SiO2−CaO−MgO(モル濃度)で
定義した指標である過剰SiO2量が図2より7mol
%以上と規定される。そして、このような組成範囲にお
いて、KI値40以上となる組成比を算出すると、Si
O2とCaOとの合計含有量か85重量%以上で、Mg
Oが0.5〜3.0重量%、P2O5が2.0〜8.0重
量%となり、より好ましくはSiO2が51.0〜5
8.0重量%、CaOが37.0〜43.0重量%、P
2O5 が2.0〜8.0重量%、MgOが0.5〜3.
0重量%(但し、合計で100重量%以下である)と導
き出される。このようにして、KI値が40以上の、優
れた生理食塩水溶解性と通常のロックウール以上の耐熱
性とを兼備する本発明の非晶質無機繊維が求められた。
【0029】尚、本発明の非晶質無機繊維の製造に当た
り、鉱物原料を使用すると上記必須成分以外にも多くの
金属酸化物の混入が避けられないが、それらはなるべく
少ないことが望ましい。中でもKI値を低下させるAl
2O3は、多くても0.5重量%、好ましくは0.2重量
%以下であることが望ましく、それよりも多いと、KI
値および生理食塩水溶解性に関する目標値を達成するこ
とが困難になる。その他、Na2O、K2O、BaO、B
2O3等は、多いと耐熱性を悪化させるので、個別には約
0.5重量%、合計量で2重量%を超えないようにする
ことが望ましい。
【0030】本発明の非晶質無機繊維は、その化学組成
が上述の範囲になるように原料とその配合比を選ぶこと
を除けば従来のロックウールと全く同様に製造すること
ができる。原料として適当なものは、珪石(石英)、ウ
ォラストナイト、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ド
ロマイト、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、アル
カリ金属もしくはアルカリ土類金属のリン酸塩、ピロリ
ン酸カルシウム等である。これらの原料を適宜配合し、
電気炉またはキューポラ炉で加熱して熔融させ、ブロー
方式、ローター方式等ロックウール製造に採用されてい
る周知の方式で繊維化すればよい。得られた繊維は常法
により集綿し、積層、バインダー付与・硬化処理するな
どしてボードその他の形状に成形し、断熱材等の用途に
提供することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに明確にす
る。 (実施例1〜5)原料としてウォラストナイト、第一リ
ン酸カルシウム、珪砂、酸化マグネシウムを用い、表3
に記載したように、本発明の組成範囲を満足するように
これらの原料を混合した後、電気炉で加熱して溶融さ
せ、ブロー方式で繊維化後、集綿した。得られた繊維に
ついて、下記の方法で生理食塩水溶解性及び耐熱性を調
べた。
【0032】〔生理食塩水溶解性〕各繊維を200メッ
シュ以下に粉砕した試料1gを生理食塩水150mlと
共に三角フラスコ(300ml) に入れ、40℃のイン
キュベーターに設置し、毎分120回転で50時間水平
振動を加え、その後、濾過・乾燥して不溶解分を秤量
し、その値を溶解前の重量から差し引いて溶解による重
量減少率(重量%)を求め、生理食塩水溶解率とした。
【0033】〔耐熱性試験法〕各繊維125gを水5l
中でドリルミキサーを用いて1分間撹拌し、繊維を分散
させた後、2%PVA溶液を固形分濃度で全体の0.0
8wt%になるように添加撹拌し、脱水成型器により成
型したフェルトを測定用試料とした。成型したフェルト
は105℃で十分に乾燥したものを所定の大きさに切断
し加熱試験に供した。加熱試験は試料上にセラミックピ
ンにより印を付け、各加熱温度で8時間加熱し、加熱前
後でのセラミックピンの間隔を測定し、加熱線収縮率
(%)を求めた。収縮率算出式を以下に示す。 線収縮率(%)=(LO−L1)/LO×100 ここで、L0:試験片上セラミックピンの最初の間隔
(mm) L1:試験片上セラミックピンの加熱後の間隔(mm)
【0034】
【表3】
【0035】表3に各試験結果を示すが、何れの実施例
も生理食塩水溶解性が良好であり、また、耐熱性試験に
おいても800℃での線収縮率が5%以下であり、10
00℃以上の高温においても優れた耐熱性を示すことが
わかる。
【0036】(比較例1〜4)原料としてウォラストナ
イト、第一リン酸カルシウム、珪砂、酸化マグネシウム
を用い、表4に記載した割合で混合した後、電気炉で加
熱して溶融させ、ブロー方式で繊維化後、集綿した。得
られた繊維について、実施例と同様の方法で生理食塩水
溶解性及び耐熱性を調べた。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】表4から、本発明の組成範囲外の非晶質無
機繊維は、KI値が40以上であっても、生理食塩水溶
解性及び耐熱性の両方を満足しないことが確認された。
【0039】
【発明の効果】上述のように、本発明による非晶質無機
繊維はドイツ危険物規制において望ましいとされている
KI値40以上の組成を有し、生理食塩水溶解性に優れ
ており、しかも、従来のロックウールと同様に安価に製
造可能でありながら従来のロックウールの常識を越える
高度の耐熱性を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】SiO2−CaO−P2O5−MgO系非晶質無
機繊維の耐熱性に及ぼすP2O5添加量の影響を示すグラ
フである。
【図2】SiO2−CaO−P2O5−MgO系非晶質無
機繊維の耐熱性に及ぼす遊離SiO2分の影響を示すグ
ラフである。
【図3】SiO2−CaO−P2O5−MgO系非晶質無
機繊維の耐熱性に及ぼすMgO添加量の影響を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 章 東京都港区芝大門1−2−26 (72)発明者 北原 英樹 静岡県浜松市新都田1−8−1 Fターム(参考) 4G062 AA05 BB01 DA06 DB01 DC01 DD03 DE01 DF01 EA01 EB01 EC01 ED02 ED03 EE05 EF01 EG01 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM01 NN31 4L037 CS23 CS34 FA02 FA05 PA41 PF07 UA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2とCaOとの合計含有量が85
    重量%以上であり、0.5〜3.0重量%のMgOと
    2.0〜8.0重量%のP2O5とを含有し、かつドイツ
    危険物質規制による発癌性指数(KI値)が40以上で
    あることを特徴とする生理学的媒体に可溶な非晶質無機
    繊維。
  2. 【請求項2】 SiO2を51.0〜58.0重量%、
    CaOを37.0〜43.0重量%、MgOを0.5〜
    3.0重量%、P2O5を2.0〜8.0重量%含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の生理学的媒体に可溶
    な非晶質無機繊維。
  3. 【請求項3】 800℃における線収縮率が5%以下で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の生理学
    的媒体に可溶な非晶質無機繊維。
  4. 【請求項4】 生理食塩水に対する溶解度が4%以上で
    あることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載
    の生理学的媒体に可溶な非晶質無機繊維。
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