JP2000220524A - 抽気法による可変サイクルエンジン - Google Patents

抽気法による可変サイクルエンジン

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JP2000220524A
JP2000220524A JP11057484A JP5748499A JP2000220524A JP 2000220524 A JP2000220524 A JP 2000220524A JP 11057484 A JP11057484 A JP 11057484A JP 5748499 A JP5748499 A JP 5748499A JP 2000220524 A JP2000220524 A JP 2000220524A
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Isamu Nemoto
勇 根本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超音速輸送機用推進システムである可変サイ
クルエンジンのバイパス比の変動を拡大する。 【構成】 圧縮機中間段と高/低圧タービン間を結ぶ抽
気流路(P1)を設け、その入口と出口に抽気弁(V
1、V1’)を設ける。低圧タービン入口と排気ダクト
を結ぶ抽気流路(P2)を設け、その入口に抽気弁(V
2)を設ける。バイパス流路の入口に前部可変インジェ
クタ(FVABI)を、出口に後部可変インジェクタ
(RVABI)を設ける。超音速巡航時に抽気流路(P
1)を閉鎖して抽気流路(P2)を開通し、離陸時には
抽気流路(P1)を開通して抽気流路(P2)を閉鎖す
ることにより、高圧タービンと低圧タービンの流量を違
え、高圧系と低圧系の回転マッチングを変えることを特
徴としている。 【効果】 超音速巡航時に比推力を増加し、離陸時に排
気速度を低減出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音速輸送機用推
進システムである可変サイクルエンジンに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】地上静止から超音速までの広いマッハ数
範囲で、高い効率を要求される超音速輸送機のエンジン
には、高速と低速でバイパス比を変化させる可変サイク
ルエンジンが有力視されている。通商産業省工業技術院
産業科学技術研究開発制度のもとに実施されたHYPR
プロジェクト(Hypersonic Transpo
−rt Propulsion System Res
earch Project)において、マッハ数ゼロ
から3までの領域で作動するターボ系エンジンも、可変
低圧タービン静翼(以下、LPTVGと略す)を用いた
可変サイクルエンジンである。このエンジンは、高速飛
行時にはLPTVGを開いて高圧タービン(以下、HP
Tと略す)への仕事配分を増加し、圧縮機(以下、HP
Cと略す)の流量を増してバイパス比を減少させる。離
陸時及び亜音速巡航時はこの逆で、LPTVGを閉じる
ことによってバイパス比を上げている。
【0003】しかしながら、LPTVGのノズル角を制
御することにより低圧タービン(以下、LPTと略す)
の流量特性を変化させる方法は、ノズル流出角を強く絞
るとHPCのサージングを誘発するため、ノズル角の変
動を大きく出来ないという問題点があった。上記HYP
R用試作ターボジェットエンジンでは、LPTノズルの
可変角度はせいぜい5度と小さい。よってバイパス比の
変動範囲は0.7から0.94に止まっている。
【0004】バイパス比の変動を拡大する上で、現用の
技術では障害になる問題点を列記すると、 1)低圧系 HYPR用ターボ系エンジンでは、離陸時及び亜音速巡
航時において、前述のようにLPTVGを絞って、低圧
系への仕事配分を増加しバイパス比を高めている。バイ
パス流量をより以上に増加するために低圧系回転数を高
めると、ファン圧力比が上昇しHPC修正流量G√T
/Pの分母、入口圧力Pが高くなるので、ファンの
実流量が増えると同時にHPCの実流量も増える。従っ
て離陸時にファン回転数のみを今以上に高めてもLPT
VGの可変角度はあまり大きく出来ないため、バイパ
ス比を著しく高めることは困難である。
【0005】2)高圧系 離陸時は、超音速巡航時よりタービン入口温度(TI
T)は低いが、高空より地上の方が大気密度が濃いため
HPT入口ガスの実流量が増加し膨張比が増すので、高
圧系の回転数が高くなる。そこでHYPR用ターボ系エ
ンジンでは、離陸時にLPTVGを絞ってHPTへの仕
事配分を減少させ、HPC作動点をマッハ2.5におけ
る作動点近傍に寄せている。バイパス比の変動を増すた
めには、離陸時の高圧系回転数を高速飛行時より下げる
ことが望ましい。しかし高圧系の回転数を下げるためL
PT VGをより以上に絞るとHPCのサージングを誘
発してしまう。
【0006】2)高圧系と低圧系の回転マッチング 低圧系の設計点である離陸時に、回転数を高めるようL
PT膨張を大きく設定し、超音速巡航時にバイパス比を
低めるため高圧系回転数を高めると、部分負荷であるL
PTがチョークし、HPTによるHPCの運転線が寧ろ
LPTによって左右される場合も出て来る可能性があ
り、それが高圧系の回転数を高める上で制限を与える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、従来のLPTVGを用いた方法では、上述の問題点
のためバイパス比の変動を大きくしようとすると、HP
Cのサージングを誘発したり、或いはLPTがチョーク
したりするため、これを実現出来ない点である。バイパ
ス比の変動をより以上に拡大出来れば、高速飛行時に比
推力を高め、離陸時及び亜音速巡航時に推進効率を高め
ることが出来る。本発明は、可変サイクルエンジンのバ
イパス比の変動を拡大することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、抽気による流
量制御法によってHPTとLPTの流量を違えることに
より、高圧系と低圧系の回転マッチングを変えることを
特徴とする。本流量制御法は、超音速巡航時にはHPT
/LPT間から抽気して、HPC回転数を上げてもLP
Tがチョークしないようにし、HPCのサージングが問
題になる離陸時には、HPC中間段から抽気し、抽気空
気をHPT/LPT間に導入することにより、HPC入
口流量は多く出口流量は少なくして、HPCのサージマ
ージンを確保しながら、高圧系回転数を下げて低圧系回
転数を上げる方法である。よって本発明はバイパス比の
変動を拡大するという目的を抽気による流量制御法によ
りHPCのサージングを誘発せず、またLPTのチョー
クを起こさずに実現した。
【0009】本発明は、HPC中間段から抽気し、抽気
空気をHPT/LPT間に導入する出願番号「特許平8
−111051」の特許と、HPT/LPT間から抽気
し、抽気ガスを排気ダクトに導入する出願番号「特許平
10−143576」の特許を組み合わせバイパス比の
変動をより一層拡大させたものである。
【0010】
【実施例】図1は、本発明可変サイクルエンジンの概念
図である。図において、FANはファン、HPCは圧縮
機、COMBは燃焼器、HPTは高圧タービン、LPT
は低圧タービン、FVABIは前部可変インジェクタ、
RVABIは後部可変インジェクタ、P1、P2は抽気
流路、V1、V1’、V2は抽気弁であり、数字はエン
ジンの各断面位置を表す。
【0011】図1の上半部は、超音速巡航時でバイパス
比ゼロの場合である。FVABI及びRVABIの作動
によりバイパス流路を閉め、抽気弁V1、V1’を閉じ
て抽気流路P1を閉鎖する。燃料流量を増加して高圧系
の回転数を増すと同時に、抽気弁V2を開いて抽気ガス
を排気ダクトにバイパスし、LPT流量を減少させて低
圧系の回転数を下げる。
【0012】図1の下半部は、離陸時及び亜音速巡航時
でバイパス比を高めた場合である。FVABI及びRV
ABIの作動によりバイパス流路を開き、抽気弁V1、
V1’を開いて抽気流路P1を開通する。HPC中間段
から抽気することによりHPT流量を減じ、また燃料流
量を減らして高圧系の回転数を下げる。抽気弁V2を閉
じて抽気流路P2を閉鎖すると同時に、HPC中間段抽
気を燃焼器とHPTをバイパスしてHPT/LPT間に
導入する。よってLPT流量が増加し低圧系の回転数が
高まる。
【0013】
【作用】バイパス比μを数式1で、HPC中間段からの
抽気率QB2を数式2で定義する。
【0014】
【数1】
【0015】
【数2】
【0016】ここにGHC・iはHPC入口流量、G
HC・eはHPC出口流量、Gはファン空気流量、G
はバイパス空気流量、GBはHPC中間段抽気流
量である。数式1と数式2から数式3を導くことが出来
る。
【0017】
【数3】
【0018】一般にターボファンのバイパス比はμ=G
/GHC・iであるから、離陸時にHPC中間段か
らの抽気率QBを増すと、数式3からバイパス比μを
従来より大きく出来ることがわかる。次にHPC出口で
抽気するタービン冷却空気の抽気率QB3を数式4で、
LPT入口からの抽気率QB4を数式5で定義する。
【0019】
【数4】
【0020】
【数5】
【0021】ここに、GBはタービン冷却空気流量、
GBはLPT入口からの抽気流量、f=G/(G
HC・e−QB3)は燃料空気混合比であり、Gは燃
料流量である。またタービンは楕円法則に従うものと
し、流量特性を数式6で表す。
【0022】
【数6】
【0023】ここにiは要素の入口、eは出口を表す。
またkはストドラ係数であり定数である。数式1〜数
式6を用いて、バイパス比の変動を拡大する上で障害に
なる、前述の問題点に対する解決策について論証する。 1)超音速巡航時 1−1)高圧系 簡単化のために、HPC出口から抽気したタービン冷却
空気流量GBを全てHPT入口に導入するものとすれ
ば、HPT流量GHTは数式7で与えられる。
【0024】
【数7】
【0025】超音速巡航時はHPC中間段抽気は行わず
B2ゼロ、即ちGHC・e=G C・iであるから、
高空で大気密度が希薄になるにも拘わらず高圧系の流量
は多く、タービン入口温度が定められている場合、燃料
流量が増加し、高圧系回転数を高めることが出来る。
【0026】1−2)低圧系 超音速巡航時にはLPT入口から抽気する。よってLP
T流量GLTは数式8で与えられる。
【0027】
【数8】
【0028】LPT入口からの抽気率QB4を増すと、
数式8からGLTが減少し、低圧系の回転数を下げるこ
とが出来る。また高圧系回転数を高めても、LPT入口
からの抽気によりLPTはチョークしないので、高圧系
回転数を高く取ることが出来る。 2)離陸時 2−1)高圧系 離陸時においてHPC中間段からの抽気率QB2を増す
と、数式7からGHT が減少し、数式6からHPT膨張
比が低下するので高圧系の回転数を下げることが出来
る。しかもHPC入口流量は出口流量よりGBだけ多
いためHPC上流段動翼の正迎角の増大を防ぎサージン
グを回避することが出来る。
【0029】2−2)低圧系 離陸時に、HPC中間段抽気をLPT入口に導入する
と、LPT流量GLTは数式9となる。
【0030】
【数9】
【0031】HPT出口ガスと等しい圧力でHPC中間
段抽気を混合した場合、LPT入口ガスの温度は降下し
密度が増すからGLTはGHTよりGBだけ流量が増
加する。数式6の左辺から、修正流量に対し平方根で影
響する温度の降下より、有理数である実流量の増加の方
が強く効くため修正流量が増加し、LPT入口でのエネ
ルギ値が高まる。よって低圧系の設計点である離陸時
に、回転数を高めファン流量を増加するよう、LPT膨
張比を大きく設定することが出来る。このように本サイ
クルでは、離陸時にガス発生器流量のみでなく、HPC
中間段抽気もファン駆動に加わるため、ファン空気流量
が増し数式3のGBが増加する。以上からこれら
のサイクル特性を利用すると、抽気による流量制御法に
よって、高圧系と低圧系の回転マッチングを変えること
が出来る上、高圧系の回転数も変化するので、バイパス
比の変動を従来より拡大できる。
【0032】
【効果】サイクル計算の計算結果により、本発明の効果
を示す。先ず我が国のHYPR用試作ターボジェットエ
ンジンの性能の一部を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】ここにSFCは燃料消費率、BPRはバイ
パス比、TITはタービン入口温度である。本サイクル
計算では表1を参考に設定値を次のように定めた。超音
速巡航時は、飛行高度18km、飛行マッハ数2.5、
空気流量40kg/s、バイパス比ゼロ及び0.3、燃
焼器出口温度1873K。離陸時の燃焼器出口温度は1
496K。またHPC中間段からの抽気の条件は、P
=P61である。ここにP=は抽気空気の全圧、P
61はHPT出口全圧である。
【0035】次に、HYPR用ターボ系エンジンのファ
ン流量特性マップを図2に、効率特性マップを図3に示
す。また西野宏著「ガスタービン」朝倉書店に掲載され
ているHPC特性マップを図4に示す。本サイクル計算
ではこれ等の特性マップを用いた。図2〜4において
は超音速巡航時、は離陸時の作動点である。次に計算
結果に基づき本可変サイクルエンジンのエンジン性能を
表2と表3に示す。表2は超音速巡航時のバイパス比を
ゼロにした場合であり、表3は0.3とした場合であ
る。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】表2、表3におけるジェット排気速度の単
位はm/sである。表1〜3から、超音速巡航時に対す
る離陸時の、HPCを介したファンの相対的な修正回転
数の比は、次の如くになる。 HYPR用ターボ系エンジン (100/91)/(73/91)≒1.37倍 本エンジン (100/80)/(60/100)≒2.08倍 本流量制御法によれば、超音速巡航時にGHT
LT、離陸時には逆にG <GLTとなるため、高
圧系、低圧系ともに回転数が変化し、上記のように回転
数の変動が大幅に拡大するため、表2、表3のバイパス
比の変動が表1よりはるかに大きくなっている。表2か
ら、超音速巡航時のバイパス比をゼロに設定すると、表
1に比べ比推力が著しく増加することが分かる。また離
陸時は、ファン流量が増加するためこれも表1に比べ推
力が増加している。
【0039】本発明は、超音速巡航時に比推力が増加す
ることの外に、もう一つ特筆すべき特長を有する。離陸
時にHPC中間段抽気を、HPT出口ガスと等しい圧力
で、HPT/LPT間に導入すると、入口温度低下→入
口ガスの密度増加→修正流量増加→膨張比増加→出口温
度と圧力低下→コア排気速度低下 LPTにおいてこれ等の物理変化が連鎖的に起こり、ジ
ェット排気速度が減少する。ICAO Annex C
hapter 3の騒音低減要求を満たす排気速度は概
ね400m/sである。そのためにHYPR用ターボ系
エンジンではジェット騒音を低減するためミキサエジェ
クタノズルを使用して、離陸時に外部空気を取り入れ排
気速度を下げている。外部空気の取り込みによる推力損
失は7.5%以上にも及ぶ。抽気による本流量制御法を
用いると、超音速巡航時のバイパス比をμ=0.3と
し、離陸時のバイパス比をμ=2に高めた場合、表3か
ら明らかなようにミキサエジェクタノズルを使用せずと
もジェット排気速度は400m/sを下回ることが分か
る。
【0040】以上から本発明は、 1)ファン及びHPCの運転領域が拡大するため、バイ
パス比の変動を従来よりはるかみ大きく出来る。 2)離陸時にHPC中間段抽気をHPT/LPT間に導
入すると、全膨張比に占めるタービン膨張比の割合が増
加し、排気速度を低減できる。従ってその効果は、 1)バイパス比の変動が拡大する特性を利用すると;超
音速巡航時のバイパス比をゼロに設定すれば、比推力が
極めて大きくなり、エンジンを小型化出来る。 2)排気速度が低くなる特性を利用すると;超音速巡航
時を低バイパス比として離陸時のバイパス比をより高め
れば、排気速度が大幅に減少しジェット騒音を低減出来
るので、ミキサエジェクタノズルを排し、エンジンを軽
量化出来る。 本発明は、このように実用上有益な次世代超音速輸送機
用推進システムを世に提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明、抽気法による可変サイクルエンジンの
概念図である。
【図2】HYPR用ターボ系エンジンのファン流量特性
マップである。
【図3】HYPR用ターボ系エンジンのファン効率特性
マップである。
【図4】HPC特性マップである。
【符号の説明】
FAN ファン HPC 圧縮
機 COMB 燃焼器 HPT 高圧
タービン LPT 低圧タービン FVABI
前部可変インジェクタ RVABI 後部可変インジェクタ P1、P2
抽気流路 V1,V1’、V2 抽気弁 数字は各断面
位置を表す

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音速機推進用低バイパス比ターボファ
    ンエンジンにおいて、圧縮機中間段と高/低圧タービン
    間を結ぶ抽気流路(P1)を設け、該抽気流路(P1)
    の入口に抽気弁(V1)を出口に抽気弁(V1’)を設
    けて、低圧タービン入口と排気ダクトを結ぶ抽気流路
    (P2)を設け、該抽気流路(P2)の入口に抽気弁
    (V2)を設けて、バイパス流路入口に前部可変インジ
    ェクタ(FVABI)を、排気ダクトに開口したバイパ
    ス流路出口に後部可変インジェクタ(RVABI)を設
    けて、高速時に該抽気流路(P1)を閉鎖し同時に該抽
    気流路(P2)を開通して、低速時には該抽気流路(P
    1)を開通し同時に該抽気流路(P2)を閉鎖し、高圧
    タービンと低圧タービンの流量を違えて高圧系と低圧系
    の回転マッチングを変えることによって、バイパス比の
    変動を拡大することを特徴とする、抽気法による可変サ
    イクルエンジン。
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