JP2000226223A - 紫外光伝送用光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

紫外光伝送用光ファイバ及びその製造方法

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JP2000226223A JP11026260A JP2626099A JP2000226223A JP 2000226223 A JP2000226223 A JP 2000226223A JP 11026260 A JP11026260 A JP 11026260A JP 2626099 A JP2626099 A JP 2626099A JP 2000226223 A JP2000226223 A JP 2000226223A
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ultraviolet
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章 浦野
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昌春 茂木
Sukehiko Shishido
資彦 宍戸
Yuichi Oga
裕一 大賀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線照射劣化を低減された光ファイバ、バ
ンドルファイバとその製法の提供。 【解決手段】 光ファイバプリフォームに電磁波を照射
する第1工程、次に水素雰囲気に浸漬する第2工程、再
び電磁波を照射する第3工程、この後線引きする第4工
程、を経て光ファイバとすることにより、ガラス欠陥と
水素の間に安定した結合を形成できるので、耐紫外線特
性の向上した紫外光伝送用光ファイバを効率良く製造で
きる。また、このようにして製造した光ファイバを集束
することにより耐紫外線特性の向上した紫外光伝送用バ
ンドルファイバが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に波長が160
〜300nmの紫外線領域の光を伝送し、初期透過特性
に優れ、かつ紫外線照射による伝送損失の増加を抑える
ことができる紫外光伝送用の光ファイバ、バンドルファ
イバ及びその製造方法に関する。波長160〜300n
mの紫外線光は、最近、フォトリソグラフィ、レーザー
加工、殺菌、消毒等の分野での工業的利用価値が高まっ
ており、本発明による紫外線照射劣化を低減した紫外光
伝送用光ファイバ、同バンドルファイバを用いれば非常
に有利である。
【0002】
【従来の技術】光ファイバは低損失、軽量、細径、無誘
導といった利点から、通信、画像伝送、エネルギ伝送等
各種分野において近時その使用が増大している。その一
つとして紫外光を伝送して医療や微細加工等の分野に利
用することが期待されているが、紫外線照射環境下では
ガラスが劣化して伝送損失増加が起きる、すなわち紫外
線照射劣化という問題がある。石英系ガラスをコアとす
る石英系光ファイバは多成分系ガラス光ファイバに比べ
ると伝送損失増加が小さいため紫外光用として好適であ
るが、やはり紫外線照射劣化の問題は残っている。とこ
ろで、200nm以下の波長帯では空気中よりも石英ガ
ラス中のほうが光透過性が良い場合があり得る。この理
由は空気中では紫外線照射により酸素ガスの解離吸収が
起きるためである。そこで200nm以下の波長域にお
いて紫外線照射劣化を低減させれば、石英ガラス中で高
い紫外光透過性が期待できる。
【0003】この紫外線照射劣化の主因はガラスの結合
欠陥にあると言われている。本発明においてガラスの結
合欠陥とは、ガラスネットワーク構造の一部の結合が完
全に切断された状態、もしくはネットワークの一部に歪
が加わることにより結合距離が大きく引き延びたりして
極めて切断されやすい状態になっていることをいう。図
5に現在報告されている石英ガラスのガラス欠陥のうち
の数例を示す。このうち紫外線領域の光を吸収する代表
的なものとしてE′センター(≡Si・)、酸素欠損型
欠陥(≡Si−Si≡)由来のものが挙げられ、これら
により163nm,215nm,245nmで紫外線を
吸収する。これらはガラスを合成する際に酸素不足気味
の雰囲気であったり、OH基濃度の低いガラス程できや
すいと言われている。
【0004】石英ガラスの紫外線照射劣化を低減する技
術として、特開平5−147966号公報(文献とい
う)には、純粋石英コア中のOH基含有量を10〜10
00ppm、F(フッ素)含有量を50〜5000pp
m、Cl(塩素)含有量を実質的に零に調節することに
より、紫外線に対する初期透過特性に優れ、且つ特定量
のフッ素含有により紫外線照射劣化を低減した光ファイ
バを得ることが提案されている。
【0005】また、紫外線照射劣化の改善を直接対象と
したものではないが、可視光、近赤外光伝送用ファイバ
の耐放射線特性の改善に関する技術がいくつか知られて
いる。例えば特開昭60−90853号公報(文献と
いう)には、ガラススート成形体、透明ガラス母材、ガ
ラス成形体(光ファイバ)のいずれかを水素雰囲気で処
理し、ガラス中の欠陥を解消させて光ファイバの耐放射
線性を向上する処理方法が提案されているが、その効果
の確認として波長1.3μmの近赤外光における損失増
を測定した例しか挙げられていない。また、この方法に
よる耐放射線特性の向上効果は約2ケ月程度で消失して
しまう。
【0006】これに対し、東門,長沢等、「水素処理と
γ線照射による光ファイバの耐放射線性の改善」、昭和
60年度電子通信学会半導体・材料部門全国大会講演論文
集、分冊1、第1−213頁、(社)電子通信学会発
行、1985年(文献という)には、純粋石英コア光ファ
イバのγ線照射による波長630nm(可視光)におけ
る光吸収増加を抑制する方法として、第1工程として光
ファイバに水素処理を施した後、第2工程としてγ線を
照射することにより、ガラス中の欠陥のシード(プリカ
ーサー)を2eV帯の原因となる欠陥に変化させ、前工
程においてファイバ中に予め拡散させておいた水素と該
欠陥とを化学結合させることにより可視光域での耐放射
線性を改善することが報告されている。文献もファイ
バの耐紫外線特性については記載がない。
【0007】米国特許明細書第5574820号( 文献
という) には、可視光を伝送するイメージファイバと
して純粋石英コアファイバを放射線環境で使用する際
の、可視光領域での損失増加を低減する手段として、純
粋石英コアファイバに、予め105 Gy以上の大線量の
放射線を照射することにより、その後放射線を照射して
も波長400〜700nmの可視光線領域での損失増加
が30dB/kmを超えない光ファイバ及びその製法が提案
されているが、紫外線領域における特性についての記載
はない。
【0008】さらに特開平5−288942号公報(文
献という)には、文献と同様に可視光を伝送するイ
メージファイバの耐放射線性を向上する方法として、溶
融紡糸したイメージファイバに107 〜109 レントゲ
ン(105 〜107 Gy)という大線量のγ線を照射し
た後、水素雰囲気で加熱することが提案されている。こ
の文献にも紫外線領域での特性については記載されてい
ない。
【0009】前記文献では水素添加により近赤外光に
おける光ファイバの耐放射線性を向上しているが、最
近、石英系ガラス中に水素分子を添加することにより耐
紫外線特性向上を図ることも検討されている。例えばO
H基を100ppm以上含有し酸素欠陥が実質的に存在
せず且つ水素ガスを含有させたことにより耐紫外線性を
向上した石英ガラス(特開平3−23236号公報:文
献)、石英ガラス中の水素濃度を1.5×1017分子
/cm3 以上として紫外線照射による劣化を防止し、同
時に塩素濃度を100ppm以下とすることにより紫外
線照射時のガラス中の水素消費を低減し、耐紫外線特性
を維持すること(特開平5−32432号公報:文献
)、100ppm以下のOH基,200ppm以下の
塩素及び水素濃度1016分子/cm3 以下、屈折率変動
5×10-6以下、複屈折5nm/cmとすることにより
耐紫外線性を向上した石英ガラス(特開平6−1644
9号公報:文献)、石英ガラスであってOH基含有量
が50ppm以下であり、水素を少なくとも1018分子
/cm3 含有し、KrFレーザーを出力350mJ/c
2 で107 パルスで照射して光学的損傷を受けないも
の(特開平8−290935号公報:文献)、弗素添
加石英ガラスに水素分子を添加することにより耐紫外線
性を向上した石英ガラス〔米国特許第5679125号
明細書:文献(10)〕等が提案されている。
【0010】またさらに、文献と同様の手段で紫外線
特性を向上しようという試みとして、水素分子含有石英
ガラスにγ線を照射し、照射後の該石英ガラス中の水素
濃度を5×1016分子/cm3 以上とすることにより耐
紫外線性を向上する方法〔特開平7−300325号公
報:文献(11)〕、水素分子を2×1017〜5×1019
子/cm3 含有させたガラスに150〜300nmの紫
外光を20時間以上照射して耐紫外線特性を向上する方
法〔特開平9−124337号公報:文献(12)〕等が提
案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前記文献の方法によ
れば紫外線の初期透過特性に優れた光ファイバとなる
が、紫外線照射劣化に対してはあまり大きな効果は見ら
れない。また逆に、紫外吸収端に由来する吸収を増加し
てしまう場合もあり、最適な添加量の調整はかなり困難
であった。一方、可視光、近赤外光の伝送における耐放
射線特性改善に関する文献〜には、いずれも紫外線
照射劣化特性に関する記載がなかった。
【0012】文献〜(11)の方法でもOH基,F又はC
lの含有量を調節しているが、このような成分調整は初
期ガラス欠陥の低減には効果があるものの、紫外線誘起
欠陥の低減には効果が小さい。また文献〜(12)の方法
で行われている水素処理によれば、紫外線照射により生
成するガラス欠陥と、水素処理によりガラス中に拡散し
ていた水素分子が結合して光吸収の増加を抑制し、この
抑制効果は水素分子がガラス中に残存している期間に限
定される。文献〜(12)は主にバルクのガラス部材を対
象としているため、ガラス中の水素の拡散の速さに比べ
てガラス部材が大きく、部材中に水素分子が長期間にわ
たり残留し、耐紫外線性が保たれると考えられる。しか
し、文献〜(12)の技術を光ファイバのプリフォームに
適用した場合には、線引き後に水素が外部へ拡散してし
まい、光ファイバの状態では耐紫外線性が得られないと
いう問題があった。
【0013】このような現状に鑑み、本発明は紫外線初
期透過特性に優れるとともに、紫外線照射環境での長時
間使用によっても伝送損失増加のない優れた耐紫外線特
性を有する紫外光伝送用光ファイバ及びその製造方法を
課題とする。また、波長200nm以下の紫外線照射に
よっても劣化が少なく、空気中よりも光の透過性の高い
紫外光伝送用光ファイバ及びそのその製造方法を課題と
する。さらに、本発明はガラスファイバのみならずその
被覆についても紫外線による劣化がない紫外光伝送用光
ファイバ及び製造方法を課題とする。またさらに、本発
明は製造設備、製造コストの面で十分に実用的な、紫外
線照射劣化特性に優れた紫外光伝送用光ファイバ及びそ
の製造方法を課題とする。またさらに本発明は、上記の
課題を解決した本発明の紫外光伝送用光ファイバを束ね
てなる紫外光伝送用バンドルファイバの提供もその課題
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明は、(1) 光ファイバ用プリフォームに電磁波を照射
してガラス欠陥を生じさせる第1の工程、前記光ファイ
バ用プリフォームを水素ガスからなる雰囲気に浸漬する
第2の工程、前記雰囲気から前記光ファイバ用プリフォ
ームを取り出した後、再び電磁波を照射する第3の工
程、及び当該光ファイバ用プリフォームを線引して光フ
ァイバとする第4の工程からなり、紫外線照射による紫
外線領域での光吸収増加が実質的に発生しないようにさ
れた光ファイバを得ることを特徴とする紫外光伝送用光
ファイバの製造方法、(2) 前記電磁波はガラス欠陥を
生じさせ得る3.5eV以上の量子エネルギーを持つ紫
外線、真空紫外線、X線又はγ線であることを特徴とす
る上記(1) 記載の紫外光伝送用光ファイバの製造方法、
(3) 前記第2の工程を水素ガス分圧が0.5気圧から
10気圧、温度を200℃以上で行うことを特徴とする
上記(1) 又は(2) 記載の紫外光伝送用光ファイバの製造
方法、及び(4) 前記第3の工程における電磁波がKr
Fエキシマレーザー光であり、照射量が1〜200mJ
/cm2 /パルスで106 〜107 パルスであることを
特徴とする上記(1) ないし(3) のいずれかに記載の紫外
光伝送用光ファイバの製造方法、である。さらに本発明
は、(5) 光ファイバ用プリフォームに電磁波を照射し
てガラス欠陥を生じさせる第1の工程、前記光ファイバ
用プリフォームを水素ガスからなる雰囲気に浸漬する第
2の工程、前記雰囲気から前記光ファイバ用プリフォー
ムを取り出した後、再び電磁波を照射する第3の工程、
及び当該光ファイバ用プリフォームを線引して光ファイ
バとする第4の工程を経たことにより、紫外線照射によ
る紫外線領域での光吸収増加が実質的に発生しないよう
にされたことを特徴とする紫外光伝送用光ファイバ、及
び(6) 上記(5) 記載の紫外光伝送用光ファイバが多数
本束ねられてなることを特徴とする紫外光伝送用バンド
ルファイバ、に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、まず出発材である光フ
ァイバ用プリフォーム(以下、単に「プリフォーム」と
略記する場合もある)に電磁波を照射してガラス欠陥
(以下、単に「欠陥」と記載することもある)になる可
能性のある前駆体等をすべて欠陥に変化させておき(第
1の工程)、後に水素処理を行い(第2の工程)、前記
第2工程の後にプリフォームに再び電磁波を照射する第
3の工程を付した後、該プリフォームを線引して光ファ
イバとする(第4工程)ことにより、その後の紫外線照
射環境下で紫外線による光吸収増加のない光ファイバを
得ることができる。また、このように製造した光ファイ
バを多数本集束することにより、耐紫外線特性に優れた
バンドルファイバを得ることができる。
【0016】本発明の方法を具体的に説明する。まず、
本発明において紫外域とは波長160nm〜300nm
をいう。本発明の方法が対象とする出発の光ファイバ用
プリフォームの製法については特に限定されるところは
なく、例えばVAD法、OVD法、MCVD法、プラズ
マCVD法、直接法、ゾルゲル法等が挙げられる。具体
的なプリフォームの材質としては、石英(SiO2 )を
主成分とし、特に紫外線が透過する領域はフッ素(F)
を1重量%程度含むと良い。また、光ファイバのコアに
なる部分にはClは1ppm以上は含まない(Clが0
ppmの場合も含む)ことが特に好ましい。一方、クラ
ッドのように紫外線が透過しない領域の材料は前述の限
りではない。本発明にいうプリフォーム及び光ファイバ
の屈折率分布構造については特に限定されるところはな
く、モノコア、マルチコア、シングルモード、マルチモ
ードのいずれでもよい。本発明のバンドルファイバにつ
いては、本発明により得られた光ファイバを集束してバ
ンドルファイバとする。
【0017】出発のプリフォームにまず電磁波照射処理
を施すが、本発明にいう電磁波とは紫外線(400〜1
60nm)及び真空紫外線(160未満〜1nm)、X
線(数十〜0.01nm)又はγ線(0.01nm以
下)等の照射によりガラスに結合欠陥を生じさせ得るエ
ネルギー、すなわち3.5eV以上の量子エネルギーを
有するものである。エネルギーの上限は1.33MeV
であり、これはγ線源として工業的に広く利用されてい
60Coのγ線エネルギーの値に等しく、実用的に決め
た値である。第1工程で照射する線量は、10〜104
Gy、好ましくは102 〜103 Gyという低線量で十
分な紫外線劣化低減効果を得られる。具体的な照射手段
は、γ線の場合は60Co ,137 Cs等、X線の場合は
W,Cu等をターゲットとするX線管、紫外線,真空紫
外線を照射する場合は重水素ランプ,KrFエキシマレ
ーザー光,ArFエキシマレーザー光,シンクロトロン
軌道放射光等を用いる。
【0018】プリフォームの電磁波照射処理の後、水素
処理を行う。本発明の「水素ガスからなる雰囲気」と
は、水素ガスの分圧が0.1気圧〜10気圧程度、好ま
しくは0.5〜10気圧の、純粋な水素ガス又は水素ガ
スと窒素ガス及び/又は不活性ガスの混合雰囲気をい
う。気圧範囲の限定の根拠は、0.5〜10気圧範囲で
は、水素のガラス中での拡散速度としてほぼ同等の効果
が得られること、またこの程度のガス圧が実生産の上で
用いやすく、10気圧を超えると高圧ガスの取扱いにな
り法的規制が厳しくなり、経済的でないからである。ま
た0.1気圧程度でも効果として差異はないがかえって
取扱い易くないという現実的な理由による。なお、水素
ガスとして重水素ガスを用いても同様の効果を得ること
ができる。水素処理時の温度は特に限定されるところは
ないが、例えば直径10mmのプリフォームでは、10
気圧の水素で200℃、約1カ月でプリフォーム中心で
素分子濃度が1016分子/cm3 に達するので、2
00℃以上でよい。水素圧が同じ場合、プリフォーム直
径が大きくなる程、中心の水素分子濃度が1016分子/
cm3 に達するためにはより高温及び/又は長時間の処
理が必要となり、例えば直径40mmのプリフォームで
は水素10気圧の場合、500℃で2日間、400℃で
約1週間、300℃で約1ヶ月である。
【0019】以上説明してきたように、本発明は第1工
程により石英ガラス中の酸素欠損型欠陥等の不安定構造
を強制的に切断し、第2工程により切断部分と水素とを
強制的に結合させるものである。石英ガラス物品の中で
も板状あるいはブロック状の比較的大きなものでは、石
英ガラス物品中に導入された水素分子は、比較的長期間
(数年間)石英ガラス物品中に残存するので、水素分子
が石英ガラス中に残存する状態で紫外線が照射され、耐
紫外線特性は持続する。
【0020】本発明において、第1工程及び第2工程を
終了した時点で、ガラスと水素の間には緩やかな結合が
形成され、余剰な水素が抜けてしまった後もプリフォー
ムの耐紫外線特性はある程度維持されるが、第3工程を
実施しなければ、第4工程の線引きによって水素は完全
に抜けてしまい、光ファイバの耐紫外線特性は維持され
ない。
【0021】この水素抜けの問題は、第2工程の後に水
素分子がプリフォームガラス中にまだ存在している状態
でさらなる電磁波照射処理をするという本発明の第3工
程により解決できる。本発明の第3工程に付す際の「水
素分子がガラス中にまだ存在している状態」として、好
ましくはガラス中の水素分子濃度が1016分子/cm3
以上、より好ましくは1016〜1020分子/cm3 であ
ること、とりわけ好ましくは1018〜1020分子/cm
3 であることが挙げられる。また、本発明の第3工程に
おける電磁波は波長248nm以下の紫外光が好まし
く、特に好ましくはエキシマレーザー光又はγ線が挙げ
られ、さらに特に好ましくはKrFエキシマレーザー光
又はArFエキシマレーザー光が挙げられる。該第3の
工程における電磁波の照射条件は、電磁波がエキシマレ
ーザー光の場合、例えばKrFで照射量1〜200mJ
/cm2 /パルスで106 〜107 パルス(時間にする
と2〜3時間程度)、ArFでは照射量1〜200mJ
/cm2/パルスで104 〜107 パルスといった条件
が挙げられる。パルス周波数については例えば50〜1
000Hz程度が挙げられるが、これに限定されるもの
ではなく選択し得る範囲で実用的な値を選べばよい。第
3工程の電磁波がγ線の場合には、例えば60Coを線源
とするγ線で照射の線量が1〜104 Gyといった条件
が挙げられる。
【0022】該第3工程のメカニズムの詳細は不明であ
るが、エキシマレーザー等の電磁波照射が水素と欠陥と
の結合を促進させ、より安定な結合に変わる、すなわち
水素が固定化された状態となる、と本発明者らは考察し
ている。エキシマレーザー光の場合には2〜3時間程度
の照射で水素を固定化できた点については、エキシマレ
ーザー光の場合には瞬間的に強いパルスをプリフォーム
の端面に集中して照射できるので、エネルギーを無駄な
く利用して水素を固定できたものと考察している。
【0023】第3工程における電磁波再照射で水素を固
定した後、当該プリフォームを従来公知の技術に従い、
光ファイバに線引する。これにより、紫外線照射による
紫外線領域での光吸収増加が実質的に発生しない本発明
の紫外光伝送用光ファイバを得ることができる。なお、
本発明の光ファイバの1次被覆には、放射線照射後の伸
び残率の高い紫外線硬化性ウレタンアクリレートを用い
ることが好ましい。以上で得られた本発明の単心光ファ
イバの多数本をこの種技術分野での公知手段に従い集束
し、本発明の紫外光伝送用バンドルファイバを得る。
【0024】本発明の方法により得られた紫外線照射に
よる紫外線領域での光吸収の増加が実質的に発生しない
光ファイバ(バンドルファイバを含む)は、例えば長さ
1mの光ファイバの場合では、波長248nmのKrF
エキシマレーザーを出力10mJ/cm2 、パルス周波
数100Hzの条件で108 パルス照射したときに、波
長160〜300nmの紫外線領域において、初期紫外
線透過率と紫外線照射後の紫外線透過率の差が10%以
内であることを特徴とするものである。
【0025】本発明にいう「紫外線照射による紫外線領
域での光吸収の増加が実質的に発生しない」を更に説明
すると、長さ1mの光ファイバにおいて紫外線照射によ
る透過率劣化、すなわち初期の紫外線透過率(初期透過
率)がT0 、紫外線(160〜300nm)照射後の紫
外線透過率がT1 のとき、T0 を100%とする照射後
の相対透過率TR を〔TR =T1 /T0 ×100
(%)〕とすると、1−TR≦10%すなわち〔(T0
−T1 )/T0 〕≦10%であることを意味する。
【0026】プリフォーム中の水素濃度の測定は、Zurn
al Pril;adnoi Spektroskopii Vol.46 No.6 pp987-991
June 1987 〔文献(13)〕に記載の、ラマン分析によりS
iO 2 の波長800cm-1のラマンバンドの強度と合成
石英ガラス中の水素分子に関する4135cm-1の強度
比から算出する式から求めることができる。
【0027】以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】〔実施例1〕コアとなる部分がCl含有量:
1ppm未満、F(フッ素)添加量:1重量%である高
純度石英ガラスからなり、クラッドとなる部分がF添加
量:3重量%である高純度石英ガラスからなる光ファイ
バ用プリフォームの全体に、図1に示すように60Co を
線源とするγ線(1.17MeV:1.33MeV)
を、ファイバの放射線吸収線量が103 Gyとなるよう
に照射した(第1工程)。照射終了後、当該プリフォー
ムを直ちに300℃、10気圧の水素ガス雰囲気中に入
れ、1ヶ月曝した(第2工程)。この時点でのプリフォ
ーム中の水素濃度は4×10 16分子/cm3 であった。
次に当該プリフォームに波長248nmのKrFエキシ
マレーザー光を、10mJ/cm2 /パルスのエネルギ
ー量で107 パルス照射した。この後、該プリフォーム
を通常の線引手段により外径125μmの光ファイバに
線引した(第4工程)。図2は得られた光ファイバの概
略断面図であり、1はコア、2はクラッドを示す。以上
で得られた本発明の光ファイバの長さ1mについて、耐
紫外線テスト照射として、図3に示すようにその両端か
らKrFエキシマレーザー光、10mJ/cm2 /パル
スのエネルギー量で108 パルス照射した。第4工程後
で耐紫外線テスト照射直前の当該光ファイバの紫外線透
過率(初期透過率)に対し、テスト照射後の透過率は波
長248nmにおいて初期透過率の約93%に低下した
にすぎず、耐紫外線特性が非常に高いことが確認でき
た。
【0028】〔実施例2〕実施例1と全く同様にして本
発明の光ファイバを得た後、このファイバを長さ1mに
切断したもの2000本を束ねて、本発明のバンドルフ
ァイバとした。該バンドルファイバについて、実施例1
と同様に耐紫外線テスト照射を行ったところ、テスト照
射後の紫外線透過率は、波長248nmにおいて初期透
過率の約90%に低下したにすぎず、耐紫外線特性が非
常に高いことが確認できた。
【0029】〔比較例1〕コアとなる部分がCl含有
量:1ppm未満、F添加量:1重量%である高純度石
英ガラスからなり、クラッドとなる部分がF添加量:3
重量%である高純度石英ガラスからなる光ファイバ用プ
リフォームの全体に、60Co を線源とするγ線(1.1
7MeV:1.33MeV)を、ファイバの放射線吸収
線量が103Gyとなるように照射した(第1工程)。
その結果、光ファイバ中にガラス欠陥が生成し、透過率
低下が見られた。これを直ちに300℃、10気圧の水
素ガス雰囲気に1週間曝した(第2工程)。次に該プリ
フォームを通常の線引手段により外径125μmの光フ
ァイバに線引した。以上で得られた比較品の光ファイバ
の長さ1mについて、耐紫外線テスト照射として、その
両端からKrFエキシマレーザー光を10mJ/cm2
/パルスのエネルギー量で108 パルス照射した。第4
工程後で耐紫外線テスト照射直前の当該光ファイバの紫
外線透過率(初期透過率)に対し、テスト照射後の透過
率は波長248nmにおいて初期透過率の約5%と大幅
に低下してしまった。
【0030】
【発明の効果】光ファイバ用プリフォームに対し、紫外
線、X線又はγ線等、ガラスに結合欠陥を生じさせ得る
エネルギー、即ち3.5eV以上の量子エネルギーを持
つ電磁波を照射してガラスに欠陥を生じさせる第1の工
程と、水素ガスからなる雰囲気に浸漬する第2の工程、
及びさらに電磁波照射する第3の工程を経たことによ
り、欠陥が不活性化されたプリフォームとした後、当該
プリフォームを光ファイバに線引することにより、その
後の紫外線照射による波長160nm〜300nmの紫
外線領域での光吸収の増加を実質的に発生せず、長期に
わたり耐紫外線特性の安定した光ファイバを得ることが
できる。プリフォーム段階で紫外線照射劣化を低減する
処置をしているので、耐紫外線特性向上処理が効率的に
行える。また、従来の紫外領域用ファイバは波長160
nm〜200nmでは真空条件で光を伝送する必要があ
った(このために、この領域を真空紫外域という)上
に、紫外線照射劣化が大きく、実用は困難であったが、
本発明によれば、300〜200nmの紫外域は勿論の
こと、真空紫外線域でも真空にせずに利用できる。さら
に、真空紫外域では本発明による光ファイバ(バンドル
ファイバを含む)は、大気中よりも光の透過性が良いと
いう利点があり、可撓性を有するので、エキシマレーザ
ー光、重水素ランプ、ハロゲンランプ等の紫外光源を利
用した装置、特に加工装置、例えばレーザー加工、フォ
トレジスト、ファイバ硬化線源、接着硬化線源、各種マ
イクロ部品加工、SR(シンクロトロン)光発生源の光
伝送媒体に用いて非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明において電磁波としてγ線を照
射する工程を模式的に説明する概略図である。
【図2】 図2は本発明に係る光ファイバの概略断面図
である。
【図3】 図3は本発明の耐紫外線照射テストを説明す
る概略図である。
【図4】 図4は本発明に係るバンドルファイバの構造
の概略説明図である。
【図5】 図5はガラスの結合欠陥の数例を示した説明
図である。
【符号の説明】
1 コア 2 クラッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宍戸 資彦 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 大賀 裕一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 4G021 AA01 BA11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ用プリフォームに電磁波を照
    射してガラス欠陥を生じさせる第1の工程、前記光ファ
    イバ用プリフォームを水素ガスからなる雰囲気に浸漬す
    る第2の工程、前記雰囲気から前記光ファイバ用プリフ
    ォームを取り出した後、再び電磁波を照射する第3の工
    程、及び当該光ファイバ用プリフォームを線引して光フ
    ァイバとする第4の工程からなり、紫外線照射による紫
    外線領域での光吸収増加が実質的に発生しないようにさ
    れた光ファイバを得ることを特徴とする紫外光伝送用光
    ファイバの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記電磁波はガラス欠陥を生じさせ得る
    3.5eV以上の量子エネルギーを持つ紫外線、真空紫
    外線、X線又はγ線であることを特徴とする請求項1記
    載の紫外光伝送用光ファイバの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の工程を水素ガス分圧が0.5
    気圧から10気圧、温度を200℃以上で行うことを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の紫外光伝送用光
    ファイバの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第3の工程における電磁波がKrF
    エキシマレーザー光であり、照射量が1〜200mJ/
    cm2 /パルスで106 〜107 パルスであることを特
    徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の紫
    外光伝送用光ファイバの製造方法。
  5. 【請求項5】 光ファイバ用プリフォームに電磁波を照
    射してガラス欠陥を生じさせる第1の工程、前記光ファ
    イバ用プリフォームを水素ガスからなる雰囲気に浸漬す
    る第2の工程、前記雰囲気から前記光ファイバ用プリフ
    ォームを取り出した後、再び電磁波を照射する第3の工
    程、及び当該光ファイバ用プリフォームを線引して光フ
    ァイバとする第4の工程を経たことにより、紫外線照射
    による紫外線領域での光吸収増加が実質的に発生しない
    ようにされたことを特徴とする紫外光伝送用光ファイ
    バ。
  6. 【請求項6】 前記請求項5記載の紫外光伝送用光ファ
    イバが多数本束ねられてなることを特徴とする紫外光伝
    送用バンドルファイバ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014219524A (ja) * 2013-05-08 2014-11-20 日星電気株式会社 光吸収機能を有する光ファイバ
CN109574491A (zh) * 2019-01-31 2019-04-05 烽火通信科技股份有限公司 一种耐辐射光纤的制备方法

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