JP2000226624A - 基材除去方法 - Google Patents

基材除去方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被覆物の品質を維持しつつ,容易に基材除去
を行うことができる基材除去方法を提供すること。 【解決手段】 基材の表面に被覆物を被覆させてなるコ
ート体を作製した後,該コート体から上記基材の少なく
とも一部を除去する方法であって,コート体を活性酸素
雰囲気中に保持して,基材と酸素を反応させることによ
り,基材の少なくとも一部を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,例えばゼオライト,FSM等の
多孔体を得る場合等に用いることができる基材除去方法
に関する。
【0002】
【従来技術】例えば,ゼオライトやMCM−41,FS
M−16のような多孔体を製造するに当たっては,得よ
うとする多孔体の形状を反転させた表面形状を有する基
材を準備し,この基材に被覆物を被覆させてコート体を
製造した後,上記基材を除去する。これにより,残存し
た上記被覆物を多孔体として得ることができる。また,
多孔体に限らず,基材の表面形状を転写した被覆物を単
体で得る場合にも同様の処理を行うことができる。
【0003】従来,上記コート体から基材を除去する方
法としては,基材を焼成する方法と基材を抽出する方法
とがあった。上記の焼成による方法は,例えば上記コー
ト体を500〜800℃程度の温度に保持して,基材を
焼成除去することにより行う。また,上記抽出による方
法は,例えば上記コート体を抽出溶媒中に浸漬し,基材
を溶媒中に分離除去することにより行う。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の焼
成又は抽出による基材除去方法には,次の問題がある。
即ち,上記焼成による基材除去方法においては,焼成時
の加熱によって,被覆物の原子に再配列が起こる。その
ため,被覆物が多孔体である場合には,上記基材が除去
されると共に多孔構造自体も崩れ,孔がつぶれてしまう
ことがある。特に,上記被覆物がチタニアなどの金属酸
化物,あるいは金属の場合には,上記焼成時に結晶化や
凝集(シンタリング)が生じやすく,多孔構造が崩れや
すい。
【0005】また,上記抽出による基材除去方法におい
ては,被覆物を抽出せずに基材のみを抽出する抽出溶媒
の選択が困難な場合がある。また,基材をほとんどすべ
て除去したい場合においても,基材が十分に溶解しない
という理由により,基材が必要以上に残存し,これを十
分に除去することができない場合がある。
【0006】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,被覆物の品質を維持しつつ,容易に基材
除去を行うことができる基材除去方法を提供しようとす
るものである。
【0007】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,基材の表面に被
覆物を被覆させてなるコート体を作製した後,該コート
体から上記基材の少なくとも一部を除去する方法であっ
て,上記コート体を活性酸素雰囲気中に保持して,上記
基材と酸素を反応させることにより,該基材の少なくと
も一部を除去することを特徴とする基材除去方法にあ
る。
【0008】本発明において最も注目すべきことは,上
記コート体を活性酸素雰囲気中に保持して,上記基材と
酸素を反応させることにより,該基材を除去することで
ある。上記活性酸素雰囲気とは,活性酸素が存在する状
態であり,低温酸素プラズマ,オゾン含有雰囲気等が挙
げられる。
【0009】その中でも,この活性酸素雰囲気として
は,低温酸素プラズマが好ましい。これは,反応が早く
しかも低温で活性酸素が存在する状態を得ることができ
ることにより被覆物の再配列等の構造変化を抑制できる
ためである。ここで,上記低温酸素プラズマとは,酸素
存在下においてグロー放電あるいは高周波放電などを行
うことにより得られる酸素プラズマである。なお,活性
酸素とは,基材の材質(例えば活性炭が基材の場合は炭
素)と,その状態で反応しうる酸素である。
【0010】上記基材としては,種々の分子,分子集合
体,活性炭等を適用することができる。但し,上記基材
は,酸素と反応する物質,例えば炭素質物質,有機物等
を含有していることが必要である。上記基材となりうる
分子としては,例えば,アミン等がある。そして,上記
分子よりなる基材を用いた場合には,上記被覆物として
例えばゼオライト等の多孔体を得ることができる。
【0011】また,上記基材となりうる分子集合体とし
ては,例えばミセル状の界面活性剤等がある。そして上
記分子集合体を基材として用いた場合には,上記被覆物
として例えばメソ多孔体であるMCM−14,FSM−
16等の多孔体を得ることができる。また,上記基材と
しては,活性炭等の多孔質体を用いることができる。こ
の活性炭等よりなる基材を用いた場合には,上記被覆物
として,例えばチタニア等よりなる触媒などを得ること
ができる。
【0012】また,上記被覆物としては,活性になった
酸素と容易に反応しガス化しないものであれば,種々の
物質を用いることができる。例えば,シリカ,アルミ
ナ,チタニア,白金等は上記被覆物として用いることが
できる。
【0013】また,上記基材の除去は,少なくとも一部
について行う。即ち,上記被覆物のみにより構成される
多孔体等を得る場合には基材を略100%除去する。一
方,基材を残した方がよい場合には,その一部のみを除
去することもできる。
【0014】また,上記基材に被覆物を被覆させて上記
コート体を作製するに当たっては,例えば,超臨界流体
を用いた超臨界コート法,ゾルゲル法,液相含浸法,C
VD法(chemical vapor deposition),CVI法(che
mical vapor infiltration)等,種々の方法を利用す
ることができる。
【0015】このうち,上記超臨界コート法は,均一な
被覆物を短時間で形成することができるので,より好ま
しい。この超臨界コート法は,例えば,上記基材の表面
に,前駆体を溶解した超臨界流体を接触させ,次いで,
上記前駆体を析出させて上記被覆物を形成することによ
り行うことができる。
【0016】ここで,上記超臨界流体とは,少なくとも
臨界点以上の温度を有する流体である。この状態の流体
は,液体と同等の溶解能力と,気体に近い拡散性,粘性
を有する性質がある。そのため,微細孔内まで容易かつ
迅速に多量の前駆体を運ぶことができる。上記溶解能力
は,温度,圧力,エントレーナー(添加物)等により調
整できる。
【0017】上記超臨界流体としては,例えば,メタ
ン,エタン,プロパン,ブタン,エチレン,プロピレン
等の炭化水素,メタノール,エタノール,プロパノー
ル,iso−プロパノール,ブタノール,iso−ブタ
ノール,sec−ブタノール,tert−ブタノール等
のアルコール,アセトン,メチルエチルケトン等のケト
ン類,二酸化炭素,水,アンモニア,塩素,クロロホル
ム,フレオン類等を用いることができる。
【0018】また,上記基材は活性炭よりなり,上記コ
ート体の作製は超臨界流体を用いて行うことが好ましい
(請求項3)。この場合には,基材のほとんどを除去
し,しかも活性炭の微細な細孔形状を反転させた表面形
状を有する被覆物を容易に形成することができる。
【0019】また,上記コート体を作製した後,基材を
除去する前に,被覆物の結晶化処理,あるいは還元処理
を行うこともできる。例えば,上記被覆物がTiO2
場合には,上記コート体を窒素中において高温に保持す
ることにより,TiO2が基材形状に忠実に再配列して
結晶化を起こす。この場合には,被覆物の種々の物性を
向上させることができる。
【0020】また,上記活性酸素雰囲気は低温酸素プラ
ズマであり,該活性酸素雰囲気中における上記コート体
の温度は180℃以下であることが好ましい(請求項
2)。この場合には,被覆物の再配列や構造変化を確実
に防止することができる。
【0021】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明においては,基材の表面に被覆物を被覆させてなるコ
ート体を作製した後,該コート体を活性酸素雰囲気中に
保持する。活性酸素雰囲気は,非常に活性な酸素を含有
する雰囲気であるので,上記コート体における基材は,
酸素と反応する。例えば基材が炭素を含有している場合
には,CがCO2となって除去される。そのため,上記
コート体を活性酸素雰囲気中に保持すれば,基材の除去
を行うことができる。
【0022】なお,基材のほとんどの表面を被覆物が被
覆した場合でも,CO2等の基材と酸素との反応物は被
覆物中を分子レベルで(分子と分子との間隙を)通過す
るため,基材を除去できる。
【0023】また,活性酸素雰囲気は,上記のごとく,
活性な酸素である一方,比較的温度が低い。そのため,
基材除去時において被覆物に対してほとんどダメージを
与えない。即ち,基材除去時に被覆物の原子の再配列を
生じさせるというような熱による不具合を防止すること
ができるので,被覆物の構造の崩壊等を防止することが
できる。それ故,上記被覆物が多孔体である場合には,
その孔形状を良好に維持することができる。
【0024】また,上記基材の除去は,該基材と酸素と
の化学反応により行う。そのため,活性酸素雰囲気を供
給し続ける限り基材の除去を続けることができる。それ
故,例えば,上記コート体から基材をほぼすべて取除き
たい場合においても,十分にその目的を達成することが
できる。また,上記基材の除去量は活性酸素雰囲気の条
件の変更,処理時間の変更等により容易に調整すること
ができる。そのため,上記コート体から基材をすべて除
去するだけでなく,一部のみを除去することもできる。
【0025】したがって,本発明によれば,被覆物の品
質を維持しつつ,容易に基材除去を行うことができる基
材除去方法を提供することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる基材除去方法につき,説明
する。本例は,活性炭素繊維よりなる基材の表面に,T
iO2よりなる被覆物を被覆させてなるコート体を作製
した後,該コート体から上記基材を除去して,触媒とし
ての上記被覆物を得る場合の基材除去方法を実施した例
である。そして,本例では,上記基材除去方法として,
本発明を適用した実施例E1と従来法を適用した比較例
C1を示す。
【0027】(実施例E1)まず,基材として活性炭素
繊維(大阪瓦斯製 リベノスA)を準備し,これに超臨
界コート法によりTiO2の被覆物を被覆した。即ち,
上記活性炭素繊維の存在下において,上記TiO2の前
駆体としてのチタンイソプロキシド{Ti(iso-Pr
O)4}を3.2mol/l溶解させたイソプロパノー
ル溶液を超臨界二酸化炭素(温度150℃,圧力374
atm)に溶解させた。そして,この状態を3時間保持
した。
【0028】その後,上記超臨界二酸化炭素を減圧・除
去した。これにより,活性炭素繊維よりなる基材の表面
にTiO2よりなる被覆物を被覆してなるコート体が得
られた。次いで,コート体を室温で10時間乾燥後,本
発明の基材除去方法を実施した。即ち,上記コート体を
低温酸素プラズマ中に保持して,上記基材と酸素を反応
させることにより,該基材を除去した。
【0029】具体的には,上記コート体をチャンバー内
に配置後10-4torrに減圧した後,出力500W,
酸素流量160ml/分の条件で,最高温度180℃以
下の低温酸素プラズマを発生させ,8時間保持した。こ
れにより,上記コート体から基材が除去されて,TiO
2よりなる被覆物が単離されて触媒として得られた。
【0030】(比較例C1)本比較例C1においては,
上記実施例E1と同様にしてコート体を作製し,従来の
焼成法を用いて基材除去を行った。即ち,上記コート体
を室温で10時間乾燥後,温度700℃,流量8リット
ル/分の空気気流下にコート体を6時間保持した。これ
により,コート体から基材が焼成除去されて,TiO2
よりなる被覆物が単離されて触媒として得られた。
【0031】次に,上記実施例E1および比較例C1に
おいて,基材が十分に除去できたか否かを調べた。具体
的には,上記の単離された被覆物を温度900℃まで加
熱して,その加熱前後の重量減少率を測定した。その結
果,重量減少率は,実施例E1は3.1重量%,比較例
C1は3.6重量%であって,いずれも非常にわずかで
あった。このことから,実施例E1,比較例C1のいず
れにおいても,基材のほとんどは除去されていることが
分かった。
【0032】次に,実施例E1および比較例C1におい
て得られた触媒の品質特性を代表して,その比表面積を
測定した。測定方法は,窒素吸着によるBET比表面積
測定法を用いた。測定の結果,実施例E1は比表面積が
287m2/g,比較例C1は15m2/gであり,実に
約19倍の差が生じた。
【0033】この理由は次のように考えられる。即ち,
比較例C1においては,焼成による基材除去時におい
て,被覆物が700℃という高温に曝される。そのた
め,被覆物は,結晶の再配列を起こし,多孔構造を自ら
破壊して細孔を潰す。これにより,比較例C1において
は,基材除去時に比表面積が大幅に減少する。
【0034】これに対して,実施例E1においては,上
記低温酸素プラズマを用いて,最高でも180℃以下の
低温条件で基材除去を行うことができる。それ故,被覆
物の多孔構造を破壊することなく,基材表面形状を忠実
に転写した状態で被覆物を得ることができ,比表面積を
大きい状態に維持することができる。
【0035】以上の結果から,上記低温酸素プラズマを
用いた本発明の基材除去方法によれば,従来の方法の場
合よりも,格段に優れた被覆物の品質を維持しつつ,容
易に基材除去を行うことができるということが分かる。
【0036】実施形態例2 本例は,活性炭素繊維よりなる基材の表面に,白金より
なる被覆物を被覆させてなるコート体を作製した後,該
コート体から上記基材を除去して,貴金属触媒としての
上記被覆物を得る場合の基材除去方法を実施した例であ
る。そして,本例では,上記基材除去方法として,本発
明を適用した実施例E2と従来法を適用した比較例C2
を示す。
【0037】(実施例E2)まず,基材として活性炭素
繊維(大阪瓦斯製 リベノスA)を1g準備した。ま
た,金属前駆体としての白金アセチルアセトナート錯体
0.2gをアセトン5mlと混合してアセトン混合液を
作製した。次いで,上記活性炭素繊維1gの存在下にお
いて,上記アセトン混合液と超臨界二酸化炭素(温度1
50℃,圧力351atm)とを混合させて2時間保持
し,超臨界コート法を実施した。
【0038】その後,上記超臨界二酸化炭素を減圧・除
去した。これにより,活性炭素繊維よりなる基材の表面
に白金(Pt)よりなる被覆物を被覆してなるコート体
が得られた。次いで,コート体を室温で10時間乾燥
後,本発明の基材除去方法を実施した。即ち,上記コー
ト体を低温酸素プラズマ中に保持して,上記基材と酸素
を反応させることにより,該基材を除去した。
【0039】具体的には,実施例E1と同様に,上記コ
ート体をチャンバー内に配置後,10-4torrに減圧
した後,出力500W,酸素流量160ml/分の条件
で,最高温度180℃以下の低温酸素プラズマを発生さ
せ,8時間保持した。これにより,上記コート体から基
材が除去されて,白金よりなる被覆物が単離されて貴金
属触媒として得られた。
【0040】(比較例C2)本比較例C2においては,
上記実施例E2と同様にしてコート体を作製し,従来の
焼成法を用いて基材除去を行った。即ち,上記コート体
を室温で10時間乾燥後,温度700℃,流量8リット
ル/分の空気気流下にコート体を6時間保持した。これ
により,コート体から基材が焼成除去されて,白金より
なる被覆物が単離されて触媒として得られた。
【0041】次に,上記実施例E2および比較例C2に
おいて,基材が十分に除去できたか否かを調べた。具体
的には,上記の単離された被覆物の元素分析(ICP発
光分光分析)を行った。その結果,実施例E2は白金が
99%以上,比較例C1は白金が98%以上であり,い
ずれもほとんどの基材は除去されていることが分かっ
た。
【0042】次に,実施例E2および比較例C2におい
て得られた貴金属触媒の品質特性を代表して,その比表
面積を測定した。測定方法は,実施形態例1と同様であ
る。測定の結果,実施例E2は比表面積が52m2
g,比較例C2は2.4m2/gであり,実に約21倍
の差が生じた。この理由も実施形態例1と同様であると
考えられる。
【0043】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,被覆物
の品質を維持しつつ,容易に基材除去を行うことができ
る基材除去方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 16/56 C23C 16/56 (72)発明者 福嶋 喜章 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4G042 DB12 DB26 DB31 DD06 4G047 CA02 CB05 CB08 CC03 CD05 KA03 KD02 LB10 4G073 AA03 BA20 BA63 BC10 BD11 FA11 FC18 FC25 FC26 FD12 FD23 UA02 UB39 4G076 AA02 AB12 BA24 BC02 BD02 BD04 CA12 DA01 FA01 4K030 AA11 BA01 BA43 BA44 BA46 CA05 CA08 DA08 FA00 FA17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に被覆物を被覆させてなるコ
    ート体を作製した後,該コート体から上記基材の少なく
    とも一部を除去する方法であって,上記コート体を活性
    酸素雰囲気中に保持して,上記基材と酸素を反応させる
    ことにより,該基材の少なくとも一部を除去することを
    特徴とする基材除去方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記活性酸素雰囲気
    は低温酸素プラズマであり,該活性酸素雰囲気中におけ
    る上記コート体の温度は180℃以下であることを特徴
    とする基材除去方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記基材は活
    性炭よりなり,上記コート体の作製は超臨界流体を用い
    て行うことを特徴とする基材除去方法。
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