JP2000234139A - 溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方法 - Google Patents
溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方法Info
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- JP2000234139A JP2000234139A JP11031491A JP3149199A JP2000234139A JP 2000234139 A JP2000234139 A JP 2000234139A JP 11031491 A JP11031491 A JP 11031491A JP 3149199 A JP3149199 A JP 3149199A JP 2000234139 A JP2000234139 A JP 2000234139A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 HAZ靱性の優れた鋼材を提供する。
【解決手段】 重量%で、C:0.01〜0.15%、
Si:0.6%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:
0.030%以下、S:0.005%以下、Al:0.
010%以下、Mg:0.0001〜0.0060%、
O:0.001〜0.004%、N:0.001〜0.
006%、を含有し、残部がFeおよび不可避不純物か
らなり、粒径が0.0001〜1μmのMg酸化物或い
はMgとAlの複合酸化物が0.01個/μm2 以上分
散していることを特徴とする。
Si:0.6%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:
0.030%以下、S:0.005%以下、Al:0.
010%以下、Mg:0.0001〜0.0060%、
O:0.001〜0.004%、N:0.001〜0.
006%、を含有し、残部がFeおよび不可避不純物か
らなり、粒径が0.0001〜1μmのMg酸化物或い
はMgとAlの複合酸化物が0.01個/μm2 以上分
散していることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接熱影響部(H
AZ)における低温靱性に優れた鋼材とその製造方法に
関するもので、特に、アーク溶接、電子ビーム溶接、レ
ーザー溶接等を行うに最適な大入熱溶接鋼材および超大
入熱溶接鋼材とその製造方法に関するものである。
AZ)における低温靱性に優れた鋼材とその製造方法に
関するもので、特に、アーク溶接、電子ビーム溶接、レ
ーザー溶接等を行うに最適な大入熱溶接鋼材および超大
入熱溶接鋼材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の建築構造物の高層化に伴ない鋼製
柱部材への厚手の厚板材が使用される場合、四面ボック
スの製造にサブマージアーク溶接など50kJ/mm以上を
超える超大入熱溶接が適用されている。特に、最近では
建築構造物の安全性の観点から建築用鋼板に対しても母
材およびHAZの靱性レベル向上の必要性が指摘されて
いる。一方、海洋構造物についても海洋構造物用鋼とし
て、YP360〜460MPa 級の強度を有する高HAZ
靱性が開発されている。更に、天然ガス輸送用長距離パ
イプラインでは、輸送効率向上のための高圧化や使用鋼
管量の低減の理由からラインパイプの高強度化が検討さ
れている。これら用途に使用される鋼材に要求される重
要な特性の一つがHAZ靱性である。
柱部材への厚手の厚板材が使用される場合、四面ボック
スの製造にサブマージアーク溶接など50kJ/mm以上を
超える超大入熱溶接が適用されている。特に、最近では
建築構造物の安全性の観点から建築用鋼板に対しても母
材およびHAZの靱性レベル向上の必要性が指摘されて
いる。一方、海洋構造物についても海洋構造物用鋼とし
て、YP360〜460MPa 級の強度を有する高HAZ
靱性が開発されている。更に、天然ガス輸送用長距離パ
イプラインでは、輸送効率向上のための高圧化や使用鋼
管量の低減の理由からラインパイプの高強度化が検討さ
れている。これら用途に使用される鋼材に要求される重
要な特性の一つがHAZ靱性である。
【0003】近年、熱処理技術或いは制御圧延、加工熱
処理法(TMCP)が高度に発展し、鋼材それ自体の低
温靱性を改善することは容易になったが、反面、溶接H
AZは溶接時に高温に再加熱されるため、鋼材の微細組
織が完全に失われ、その微細組織は著しく粗大化してH
AZ靱性の大幅な劣化を招いている。従来から上記大入
熱溶接HAZ靱性向上に関しては多種、多様の知見・技
術が開発されているが、超大入熱溶接と大入熱溶接とで
はHAZが受ける熱履歴が大きく異なるために、大入熱
溶接HAZ靱性向上技術がそのまま超大入熱溶接のHA
Z靱性向上に適用できない場合が多く見られる。上述の
大入熱溶接HAZ靱性向上技術を分類すると、主に二つ
の技術に大別できる。その一つは、鋼中粒子によるピン
止め効果を利用したオーステナイト粒粗大化防止技術で
あり、他の一つはオーステナイト粒内フェライト変態利
用による有効結晶粒微細化技術である。それらの技術を
開示したものとして代表的な提案を以下に示すこととす
る。
処理法(TMCP)が高度に発展し、鋼材それ自体の低
温靱性を改善することは容易になったが、反面、溶接H
AZは溶接時に高温に再加熱されるため、鋼材の微細組
織が完全に失われ、その微細組織は著しく粗大化してH
AZ靱性の大幅な劣化を招いている。従来から上記大入
熱溶接HAZ靱性向上に関しては多種、多様の知見・技
術が開発されているが、超大入熱溶接と大入熱溶接とで
はHAZが受ける熱履歴が大きく異なるために、大入熱
溶接HAZ靱性向上技術がそのまま超大入熱溶接のHA
Z靱性向上に適用できない場合が多く見られる。上述の
大入熱溶接HAZ靱性向上技術を分類すると、主に二つ
の技術に大別できる。その一つは、鋼中粒子によるピン
止め効果を利用したオーステナイト粒粗大化防止技術で
あり、他の一つはオーステナイト粒内フェライト変態利
用による有効結晶粒微細化技術である。それらの技術を
開示したものとして代表的な提案を以下に示すこととす
る。
【0004】先ず、鉄と鋼、第61年(1975)第1
1号、第68頁には、各種の鋼中窒化物・炭化物につい
てオーステナイト粒成長抑制効果を検討し、Tiを添加
した鋼ではTiNの微細粒子が鋼中に生成し、大入熱溶
接HAZにおけるオーステナイト粒成長を効果的に抑制
する技術が開示されている。特開昭60−184663
号公報には、鋼中に、Al:0.04〜0.10%、T
i:0.002〜0.02%、REM:0.003〜
0.05%を含有させ、REMの硫化物・酸化物形成を
利用し、大入熱溶接時のHAZ部組織の粗大化を防止
し、入熱:150kJ/cmの大入熱溶接でもHAZ靱性向
上の技術が開示されている。また、特開昭60−245
768号公報では、粒子径:0.1〜3.0μm、粒子
数:5×10 3 〜1×107 個/mm3 のTi酸化物、T
i酸化物・Ti窒化物との複合体のいずれかを含有する
鋼では、入熱:150kJ/cmの大入熱溶接HAZ内でこ
れら粒子がフェライト変態核として作用することにより
HAZ組織が微細化してHAZ靱性向上の技術が開示さ
れている。特開平2−254118号公報では、Ti,
Sを適量含有する鋼において大入熱溶接HAZ組織中に
TiN,MnSの複合析出物を核として粒内フェライト
が生成し、HAZ組織を微細化することによりHAZ靱
性向上の技術が開示されている。特開昭61−2533
44号公報には、Al:0.005〜0.08%、B:
0.0003〜0.0050%に加え、Ti,Ca,R
EMの少なくとも1種を0.03%以下含有する鋼が、
大入熱溶接HAZで未溶解のREM.Ca酸化・硫化物
或いはTiNを起点として冷却過程でBNを形成させ、
ここからフェライトを生成させることにより大入熱HA
Z靱性向上の技術が開示されている。更に、CAMP−
ISIJ Vol.3(1990)808頁には、Ti
オキサイド鋼における粒内フェライト変態に及ぼすNの
影響が、また、鉄と鋼第79年(1993)第10号に
は、Tiオキサイドを含む鋼における粒内フェライト変
態に及ぼすBの影響が報告されている。また、特開平9
−157787号公報には、Ti,Mgを含有する鋼
で、粒子径:0.01〜0.20μmのMg含有酸化物
を40,000〜100,000個/mm2含み、かつ粒
子径:0.20〜5.0μmのTi含有酸化物とMnS
とからなる複合体を20〜400/mm2 して、γ粒成長
抑制と粒内フェライト変態促進を図ることにより500
kJ/cm以上の超大入熱溶接HAZ靱性に優れた高張力鋼
を開示している。
1号、第68頁には、各種の鋼中窒化物・炭化物につい
てオーステナイト粒成長抑制効果を検討し、Tiを添加
した鋼ではTiNの微細粒子が鋼中に生成し、大入熱溶
接HAZにおけるオーステナイト粒成長を効果的に抑制
する技術が開示されている。特開昭60−184663
号公報には、鋼中に、Al:0.04〜0.10%、T
i:0.002〜0.02%、REM:0.003〜
0.05%を含有させ、REMの硫化物・酸化物形成を
利用し、大入熱溶接時のHAZ部組織の粗大化を防止
し、入熱:150kJ/cmの大入熱溶接でもHAZ靱性向
上の技術が開示されている。また、特開昭60−245
768号公報では、粒子径:0.1〜3.0μm、粒子
数:5×10 3 〜1×107 個/mm3 のTi酸化物、T
i酸化物・Ti窒化物との複合体のいずれかを含有する
鋼では、入熱:150kJ/cmの大入熱溶接HAZ内でこ
れら粒子がフェライト変態核として作用することにより
HAZ組織が微細化してHAZ靱性向上の技術が開示さ
れている。特開平2−254118号公報では、Ti,
Sを適量含有する鋼において大入熱溶接HAZ組織中に
TiN,MnSの複合析出物を核として粒内フェライト
が生成し、HAZ組織を微細化することによりHAZ靱
性向上の技術が開示されている。特開昭61−2533
44号公報には、Al:0.005〜0.08%、B:
0.0003〜0.0050%に加え、Ti,Ca,R
EMの少なくとも1種を0.03%以下含有する鋼が、
大入熱溶接HAZで未溶解のREM.Ca酸化・硫化物
或いはTiNを起点として冷却過程でBNを形成させ、
ここからフェライトを生成させることにより大入熱HA
Z靱性向上の技術が開示されている。更に、CAMP−
ISIJ Vol.3(1990)808頁には、Ti
オキサイド鋼における粒内フェライト変態に及ぼすNの
影響が、また、鉄と鋼第79年(1993)第10号に
は、Tiオキサイドを含む鋼における粒内フェライト変
態に及ぼすBの影響が報告されている。また、特開平9
−157787号公報には、Ti,Mgを含有する鋼
で、粒子径:0.01〜0.20μmのMg含有酸化物
を40,000〜100,000個/mm2含み、かつ粒
子径:0.20〜5.0μmのTi含有酸化物とMnS
とからなる複合体を20〜400/mm2 して、γ粒成長
抑制と粒内フェライト変態促進を図ることにより500
kJ/cm以上の超大入熱溶接HAZ靱性に優れた高張力鋼
を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た技術にはそれぞれ以下に記すような問題点が指摘され
ている。まず、鉄と鋼、第61年(1975)第11
号、第68頁で開示された技術ではTiNを始めとする
窒化物を利用してオーステナイト粒成長を図るものであ
るが、大入熱溶接では効果が発揮されるも、超大入熱溶
接では1350℃以上の滞留時間が長いために殆どのT
iNが固溶し、粒成長効果が喪失するという欠点があ
る。特開昭60−184663号公報で開示された技術
は、硫・酸化物は、窒化物に比べて1350℃以上の高
温における安定性は高いために粒成長抑制効果は維持さ
れるが、硫・酸化物を微細を微細に分散させることは困
難である。この硫・酸化物は密度が低いために個々の粒
子のピン止め効果は維持されるとしても超大入熱溶接H
AZのオーステナイト粒径を小さくすることには限度が
あり、これだけで靱性向上を図ることはできない。特開
昭60−245768号公報で開示された技術では、T
i酸化物の高温安定性を考慮すると大入熱溶接において
もその効果は維持されるも、超大入熱溶接HAZではオ
ーステナイト粒が粗大化する場合には粒内変態だけでH
AZ組織を微細化することには限度がある。特開平2−
254118号公報に開示された技術では、大入熱溶接
のように1350℃以上の滞留時間が比較的短い場合に
は効果を発揮するが、超大入熱溶接の場合で前述の温度
以上での滞留時間が長い場合には、この間にTiNが固
溶してしまうためにフェライト変態核が消失し、その効
果が発揮できないという問題がある。特開昭61−25
3344号公報に開示された技術では、REM,Caの
酸化・硫化物或いはTiN上にBNを形成させても、R
EM,Caの酸化・硫化物の個数を増加させることは困
難な上に、TiNは固溶してしてフェライト生成核とし
て作用せず、その効果が発揮できないという問題があ
る。更に、CAMP−ISIJ Vol.3(199
0)808頁、および鉄と鋼第79年(1993)第1
0号に開示された技術においても、HAZ靱性のレベル
は必ずしも十分でなかった。
た技術にはそれぞれ以下に記すような問題点が指摘され
ている。まず、鉄と鋼、第61年(1975)第11
号、第68頁で開示された技術ではTiNを始めとする
窒化物を利用してオーステナイト粒成長を図るものであ
るが、大入熱溶接では効果が発揮されるも、超大入熱溶
接では1350℃以上の滞留時間が長いために殆どのT
iNが固溶し、粒成長効果が喪失するという欠点があ
る。特開昭60−184663号公報で開示された技術
は、硫・酸化物は、窒化物に比べて1350℃以上の高
温における安定性は高いために粒成長抑制効果は維持さ
れるが、硫・酸化物を微細を微細に分散させることは困
難である。この硫・酸化物は密度が低いために個々の粒
子のピン止め効果は維持されるとしても超大入熱溶接H
AZのオーステナイト粒径を小さくすることには限度が
あり、これだけで靱性向上を図ることはできない。特開
昭60−245768号公報で開示された技術では、T
i酸化物の高温安定性を考慮すると大入熱溶接において
もその効果は維持されるも、超大入熱溶接HAZではオ
ーステナイト粒が粗大化する場合には粒内変態だけでH
AZ組織を微細化することには限度がある。特開平2−
254118号公報に開示された技術では、大入熱溶接
のように1350℃以上の滞留時間が比較的短い場合に
は効果を発揮するが、超大入熱溶接の場合で前述の温度
以上での滞留時間が長い場合には、この間にTiNが固
溶してしまうためにフェライト変態核が消失し、その効
果が発揮できないという問題がある。特開昭61−25
3344号公報に開示された技術では、REM,Caの
酸化・硫化物或いはTiN上にBNを形成させても、R
EM,Caの酸化・硫化物の個数を増加させることは困
難な上に、TiNは固溶してしてフェライト生成核とし
て作用せず、その効果が発揮できないという問題があ
る。更に、CAMP−ISIJ Vol.3(199
0)808頁、および鉄と鋼第79年(1993)第1
0号に開示された技術においても、HAZ靱性のレベル
は必ずしも十分でなかった。
【0006】また、特開平9−157787号公報に
は、Ti,Mgを含有する鋼で、粒子径:0.01〜
0.20μmのMg含有酸化物を40,000〜10
0,000個/mm2 含み、かつ粒子径:0.20〜5.
0μmのTi含有酸化物とMnSとからなる複合体を2
0〜400/mm2 して、γ粒成長抑制と粒内フェライト
変態促進を図ることにより500kJ/cm以上の超大入熱
溶接HAZ靱性に優れた高張力鋼を開示している。
は、Ti,Mgを含有する鋼で、粒子径:0.01〜
0.20μmのMg含有酸化物を40,000〜10
0,000個/mm2 含み、かつ粒子径:0.20〜5.
0μmのTi含有酸化物とMnSとからなる複合体を2
0〜400/mm2 して、γ粒成長抑制と粒内フェライト
変態促進を図ることにより500kJ/cm以上の超大入熱
溶接HAZ靱性に優れた高張力鋼を開示している。
【0007】本発明は、溶接熱影響部(HAZ)におけ
る低温靱性に優れた鋼材とその製造方法に関するもの
で、特に、アーク溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接
等を行うに最適な大入熱溶接鋼および超大入熱溶接鋼材
とその製造方法を提供するものである。ここで、上述の
鋼材とは厚鋼板、熱延鋼板、形鋼、鋼管等を含めたもの
を指す。
る低温靱性に優れた鋼材とその製造方法に関するもの
で、特に、アーク溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接
等を行うに最適な大入熱溶接鋼および超大入熱溶接鋼材
とその製造方法を提供するものである。ここで、上述の
鋼材とは厚鋼板、熱延鋼板、形鋼、鋼管等を含めたもの
を指す。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋼材のH
AZ靱性を向上させるために、化学成分(組成)とその
ミクロ組織について研究(オキサイドメタラジー)を行
い、新しい高HAZ靱性を開発した。このオキサイドメ
タラジーの研究は、酸化物の組成と分布を制御して硫化
物、窒化物などの不均質核生成サイトとして作用させる
ことにより、結晶粒の成長制御、粒内フェライト変態、
マトリックスの清浄化などが可能となるばかりか、酸化
物自体の組成を変えて、その変態能を目的とす鋼材特性
に応じて制御することができる技術である。しかしなが
ら、この実用化はこの分野で先駆的な役割を果たした厚
板、条鋼、鋼管分野でも数が少なく、その主たる技術が
上述した先行技術に開示されたもので、1)Ti複合酸
化物を核として生成する粒内変態フェライトを利用した
HAZにおける低温靱性の改善技術(Ti脱酸鋼および
Ti−Al複合脱酸鋼)と、2)複合析出物:MnS+
VNを核として生成する粒内変態フェライトによる熱処
理時の靱性改善技術(熱間鍛造用非調質鋼)に過ぎな
い。また、これらの技術が実用化されてから久しいにも
拘わらず、オキサイドメタラジーの研究は停滞気味で、
その優れた概念を十分生かしきれないでいた。
AZ靱性を向上させるために、化学成分(組成)とその
ミクロ組織について研究(オキサイドメタラジー)を行
い、新しい高HAZ靱性を開発した。このオキサイドメ
タラジーの研究は、酸化物の組成と分布を制御して硫化
物、窒化物などの不均質核生成サイトとして作用させる
ことにより、結晶粒の成長制御、粒内フェライト変態、
マトリックスの清浄化などが可能となるばかりか、酸化
物自体の組成を変えて、その変態能を目的とす鋼材特性
に応じて制御することができる技術である。しかしなが
ら、この実用化はこの分野で先駆的な役割を果たした厚
板、条鋼、鋼管分野でも数が少なく、その主たる技術が
上述した先行技術に開示されたもので、1)Ti複合酸
化物を核として生成する粒内変態フェライトを利用した
HAZにおける低温靱性の改善技術(Ti脱酸鋼および
Ti−Al複合脱酸鋼)と、2)複合析出物:MnS+
VNを核として生成する粒内変態フェライトによる熱処
理時の靱性改善技術(熱間鍛造用非調質鋼)に過ぎな
い。また、これらの技術が実用化されてから久しいにも
拘わらず、オキサイドメタラジーの研究は停滞気味で、
その優れた概念を十分生かしきれないでいた。
【0009】本発明者らは、上記問題を打破すべく更に
研究を重ね、従来よりも更に有効な酸化物を多量・微細
に分散させ、前述の目的に適う酸化物種の選定およびそ
の分散技術について研究した結果、粒内変態フェライト
密度の増加や生成能力の向上に加えて、再加熱時のオー
ステナイト粒の成長抑制(微細化)効果が期待できるこ
と、また、鋼材中に含まれる不純物元素、例えば、P,
S、或いは水素トラップが可能な酸化物が発見できれば
マトリックスの清浄化や鋳片表面疵の防止などにも利用
しうること、更に、適切な酸化物を高密度で分散するこ
とができれば、高温クリープ強度を改善することが可能
であるとの期待しうるとの知見を得た。そして、このオ
キサイドメタラジーが完成すれば、鋼材製造プロセスで
は溶銑予備処理・製鋼工程での脱P、脱S処理や脱水素
処理の簡省略、圧延工程での低温加熱、TCMPの軽減
や成形加工での溶接時の予熱、熱処理の簡省略が可能と
なる。また、材料開発の面でも超大入熱溶接用鋼、HA
Z靱性の優れた高強度ラインパイプ、予熱低減型高張力
鋼など新しい鋼材の開発も期待しうるとの知見を得た。
研究を重ね、従来よりも更に有効な酸化物を多量・微細
に分散させ、前述の目的に適う酸化物種の選定およびそ
の分散技術について研究した結果、粒内変態フェライト
密度の増加や生成能力の向上に加えて、再加熱時のオー
ステナイト粒の成長抑制(微細化)効果が期待できるこ
と、また、鋼材中に含まれる不純物元素、例えば、P,
S、或いは水素トラップが可能な酸化物が発見できれば
マトリックスの清浄化や鋳片表面疵の防止などにも利用
しうること、更に、適切な酸化物を高密度で分散するこ
とができれば、高温クリープ強度を改善することが可能
であるとの期待しうるとの知見を得た。そして、このオ
キサイドメタラジーが完成すれば、鋼材製造プロセスで
は溶銑予備処理・製鋼工程での脱P、脱S処理や脱水素
処理の簡省略、圧延工程での低温加熱、TCMPの軽減
や成形加工での溶接時の予熱、熱処理の簡省略が可能と
なる。また、材料開発の面でも超大入熱溶接用鋼、HA
Z靱性の優れた高強度ラインパイプ、予熱低減型高張力
鋼など新しい鋼材の開発も期待しうるとの知見を得た。
【0010】本発明者らは、上述したような効果を有す
る酸化物種に関して探索的な検討を行ったところ、Mg
の酸化物が最も有望であるとの知見を得、Mgオキサイ
ドメタラジーの研究を続行した。その結果、Mg酸化物
(MgO)或いはMgとAlの複合酸化物(MgAlO
4 )は、強力な粒内フェライト変態生成能を有する他、
再加熱時のオーステナイト粒の成長抑制(微細化)や、
不純物元素P,Sの固定など種々の効果を併せもってい
ることも解明した。
る酸化物種に関して探索的な検討を行ったところ、Mg
の酸化物が最も有望であるとの知見を得、Mgオキサイ
ドメタラジーの研究を続行した。その結果、Mg酸化物
(MgO)或いはMgとAlの複合酸化物(MgAlO
4 )は、強力な粒内フェライト変態生成能を有する他、
再加熱時のオーステナイト粒の成長抑制(微細化)や、
不純物元素P,Sの固定など種々の効果を併せもってい
ることも解明した。
【0011】本発明は、上述した研究の結果得られた成
果であり、従来全く解明されていなかった新しいオキサ
イドメタラジー技術を発明した。その特徴は、溶鋼溶製
時にMg酸化物或いはMgとAlの複合酸化物を添加
し、鋼中にこのMg酸化物或いはMgとAlの複合酸化
物を微細に分散させ、粒内フェライト変態生成能を有
し、かつ再加熱時のオーステナイト粒の成長抑制(微細
化)や不純物元素P,Sを固定することを特徴とする溶
接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方
法である。その具体的要旨は以下のとおりである。
果であり、従来全く解明されていなかった新しいオキサ
イドメタラジー技術を発明した。その特徴は、溶鋼溶製
時にMg酸化物或いはMgとAlの複合酸化物を添加
し、鋼中にこのMg酸化物或いはMgとAlの複合酸化
物を微細に分散させ、粒内フェライト変態生成能を有
し、かつ再加熱時のオーステナイト粒の成長抑制(微細
化)や不純物元素P,Sを固定することを特徴とする溶
接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方
法である。その具体的要旨は以下のとおりである。
【0012】1)重量%で、C:0.01〜0.15
%、Si:0.6%以下、Mn:0.5〜2.5%、P
:0.030%以下、S :0.005%以下、A
l:0.010%以下、Mg:0.0001〜0.00
60%、N:0.001〜0.006%、O:0.00
1〜0.004%、を主成分とし、その他不可避的不純
物からなり、Mg酸化物或いはMgとAlの複合酸化物
を含むことを特徴とする溶接熱影響部靱性に優れた溶接
用高張力鋼材。
%、Si:0.6%以下、Mn:0.5〜2.5%、P
:0.030%以下、S :0.005%以下、A
l:0.010%以下、Mg:0.0001〜0.00
60%、N:0.001〜0.006%、O:0.00
1〜0.004%、を主成分とし、その他不可避的不純
物からなり、Mg酸化物或いはMgとAlの複合酸化物
を含むことを特徴とする溶接熱影響部靱性に優れた溶接
用高張力鋼材。
【0013】2)重量%で、C:0.01〜0.15
%、Si:0.6%以下、Mn:0.5〜2.5%、P
:0.030%以下、S :0.005%以下、A
l:0.010%以下、Mg:0.0001〜0.00
60%、N:0.001〜0.006%、O:0.00
1〜0.004%、を主成分とし、その他不可避的不純
物からなり、粒径が0.0001〜1μmのMg酸化物
或いはMgとAlの複合酸化物を0.01個/μm2 以
上含むことを特徴とする溶接熱影響部靱性に優れた溶接
用高張力鋼材。
%、Si:0.6%以下、Mn:0.5〜2.5%、P
:0.030%以下、S :0.005%以下、A
l:0.010%以下、Mg:0.0001〜0.00
60%、N:0.001〜0.006%、O:0.00
1〜0.004%、を主成分とし、その他不可避的不純
物からなり、粒径が0.0001〜1μmのMg酸化物
或いはMgとAlの複合酸化物を0.01個/μm2 以
上含むことを特徴とする溶接熱影響部靱性に優れた溶接
用高張力鋼材。
【0014】3)前記主成分に、更に、重量%で、T
i:0.005〜0.025%、Zr:0.05〜0.
025%、Nb:0.005〜0.10%、Mo:0.
05〜0.8%、B:0.0003〜0.0020%の
1種または2種以上を含有することを特徴とする1)ま
たは2)記載の溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力
鋼材。
i:0.005〜0.025%、Zr:0.05〜0.
025%、Nb:0.005〜0.10%、Mo:0.
05〜0.8%、B:0.0003〜0.0020%の
1種または2種以上を含有することを特徴とする1)ま
たは2)記載の溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力
鋼材。
【0015】4)上記1)1〜3)の何れかに記載の鋼
の製造方法において、溶鋼溶製時にMg酸化物或いはM
gとAlの複合酸化物を添加することを特徴とする溶接
熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材の製造方法。
の製造方法において、溶鋼溶製時にMg酸化物或いはM
gとAlの複合酸化物を添加することを特徴とする溶接
熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、前述したように、酸化
物としてMg酸化物或いはMgとAlの複合酸化物に着
眼し、粒径0.0001〜1μmのMg酸化物或いはM
gとAlの複合酸化物を0.01個/μm2 以上鋼中に
微細分散させることができれば、粒成長を抑制するピン
ニング効果により、HAZ靱性を向上させることが判明
した。なお、前述した酸化物の他に、例えばMnS,C
uS等の酸化物や、TiN,ZnN等の窒化物を含んで
もよい。
物としてMg酸化物或いはMgとAlの複合酸化物に着
眼し、粒径0.0001〜1μmのMg酸化物或いはM
gとAlの複合酸化物を0.01個/μm2 以上鋼中に
微細分散させることができれば、粒成長を抑制するピン
ニング効果により、HAZ靱性を向上させることが判明
した。なお、前述した酸化物の他に、例えばMnS,C
uS等の酸化物や、TiN,ZnN等の窒化物を含んで
もよい。
【0017】微細に分散したMg酸化物(MgO)或い
はMgとAlの複合酸化物(MgAlO4 )は、オース
テナイト粒成長を抑制し、HAZ靱性を大幅に改善する
ことを明らかにした。その理由を本発明者らは以下のよ
うに考えている。結晶粒成長が大幅に抑制された鋼板を
電子顕微鏡で観察した結果、前述したように0.1μm
以下の面心立方構造のMgOやスピネル型構造のMgA
l2 O4粒子が多数認められ、あるいはMg含有酸化物
−窒化物[TiN,(Ti,Zr)N,ZrN等]の複
合粒子が多数存在することがわかった。電子顕微鏡観察
において、Mg含有酸化物−窒化物粒子間の結晶学的な
方位関係を調べると、いずれも[001]酸化物‖[0
10]窒化物の方位関係を持っていることも明らかにな
った。このことは、Mgの微細酸化物が窒化物の優先析
出サイトとして作用していることを示しており、この析
出サイトが多数存在するために、結晶粒のピニングに有
効な窒化物を増加させているものと考えられる。さら
に、超大入熱溶接時のような高温での滞留時間が長い場
合、窒化物粒子の溶解が生じるが、本発明では、多数の
MgOないしはMg含有酸化物が存在しており、たとえ
窒化物粒子が溶解したとしても、依然として微細な酸化
物粒子が存在するために、高温でも従来鋼以上に優れた
ピニング効果を発揮できると考えられる。
はMgとAlの複合酸化物(MgAlO4 )は、オース
テナイト粒成長を抑制し、HAZ靱性を大幅に改善する
ことを明らかにした。その理由を本発明者らは以下のよ
うに考えている。結晶粒成長が大幅に抑制された鋼板を
電子顕微鏡で観察した結果、前述したように0.1μm
以下の面心立方構造のMgOやスピネル型構造のMgA
l2 O4粒子が多数認められ、あるいはMg含有酸化物
−窒化物[TiN,(Ti,Zr)N,ZrN等]の複
合粒子が多数存在することがわかった。電子顕微鏡観察
において、Mg含有酸化物−窒化物粒子間の結晶学的な
方位関係を調べると、いずれも[001]酸化物‖[0
10]窒化物の方位関係を持っていることも明らかにな
った。このことは、Mgの微細酸化物が窒化物の優先析
出サイトとして作用していることを示しており、この析
出サイトが多数存在するために、結晶粒のピニングに有
効な窒化物を増加させているものと考えられる。さら
に、超大入熱溶接時のような高温での滞留時間が長い場
合、窒化物粒子の溶解が生じるが、本発明では、多数の
MgOないしはMg含有酸化物が存在しており、たとえ
窒化物粒子が溶解したとしても、依然として微細な酸化
物粒子が存在するために、高温でも従来鋼以上に優れた
ピニング効果を発揮できると考えられる。
【0018】さらに、微細なMg酸化物或いはMgとA
lの複合酸化物を多量に得るためには、O量の限定が重
要である。O量が少な過ぎると、多量に複合酸化物が得
られず、多過ぎると、鋼の清浄度の劣化がする。このた
め、O量を0.001〜0.004%に限定した。以下
に成分元素の限定理由について説明する。C量は、0.
01〜0.15%に限定する。炭素は鋼の強度向上に極
めて有効な元素であり、結晶粒の微細化効果の発現のた
めに最低0.01%は必要である。しかしC量が多過ぎ
ると母材、HAZの低温靱性の著しい劣化を招くので、
その上限を0.15%とした。
lの複合酸化物を多量に得るためには、O量の限定が重
要である。O量が少な過ぎると、多量に複合酸化物が得
られず、多過ぎると、鋼の清浄度の劣化がする。このた
め、O量を0.001〜0.004%に限定した。以下
に成分元素の限定理由について説明する。C量は、0.
01〜0.15%に限定する。炭素は鋼の強度向上に極
めて有効な元素であり、結晶粒の微細化効果の発現のた
めに最低0.01%は必要である。しかしC量が多過ぎ
ると母材、HAZの低温靱性の著しい劣化を招くので、
その上限を0.15%とした。
【0019】Siは、脱酸や強度向上のため添加する元
素であるが、多く添加するとHAZ靱性を著しく劣化さ
せるので、上限を0.6%とした。Siは必ずしも添加
する必要はない。Mnは、強度・低温靱性バランスを確
保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.5%で
ある。しかしMn量が多過ぎると鋼の焼入性が増加して
HAZ靱性を劣化させるだけでなく、連続鋳造片(鋳
片)の中心偏析を助長し、母材の低温靱性をも劣化させ
るので上限を2.5%とした。
素であるが、多く添加するとHAZ靱性を著しく劣化さ
せるので、上限を0.6%とした。Siは必ずしも添加
する必要はない。Mnは、強度・低温靱性バランスを確
保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.5%で
ある。しかしMn量が多過ぎると鋼の焼入性が増加して
HAZ靱性を劣化させるだけでなく、連続鋳造片(鋳
片)の中心偏析を助長し、母材の低温靱性をも劣化させ
るので上限を2.5%とした。
【0020】Mg:Mgは本発明の主たる合金元素であ
り、主に脱酸材として添加されるが、前述したように
0.0060%を越えて添加されると、粗大な酸化物が
生成し易くなり、母材およびHAZ靱性の低下をもたら
す。しかしながら、0.0001%未満の添加では、ピ
ニング粒子として必要な酸化物の生成が十分に期待でき
なくなるため、その添加範囲を0.0001〜0.00
60%と限定する。
り、主に脱酸材として添加されるが、前述したように
0.0060%を越えて添加されると、粗大な酸化物が
生成し易くなり、母材およびHAZ靱性の低下をもたら
す。しかしながら、0.0001%未満の添加では、ピ
ニング粒子として必要な酸化物の生成が十分に期待でき
なくなるため、その添加範囲を0.0001〜0.00
60%と限定する。
【0021】Alは通常脱酸材として添加されるが、本
発明においては、0.01%越えて添加されるとMgの
添加の効果を阻害するために、これを上限とする。微細
なMg酸化物(MgO)或いはMgとAlの複合酸化物
(MgAlO4 )を多量に得るためには、O量の限定が
重要である。O量が少な過ぎると、多量に複合酸化物が
得られず、多過ぎると、鋼の清浄度の劣化がする。この
ため、O量を0.001〜0.004%に限定した。ま
た、O量については、微細酸化物を十分に得るために、
強脱酸元素Alの量を極力低下し、0.001〜0.0
04%に制御することが有効である。
発明においては、0.01%越えて添加されるとMgの
添加の効果を阻害するために、これを上限とする。微細
なMg酸化物(MgO)或いはMgとAlの複合酸化物
(MgAlO4 )を多量に得るためには、O量の限定が
重要である。O量が少な過ぎると、多量に複合酸化物が
得られず、多過ぎると、鋼の清浄度の劣化がする。この
ため、O量を0.001〜0.004%に限定した。ま
た、O量については、微細酸化物を十分に得るために、
強脱酸元素Alの量を極力低下し、0.001〜0.0
04%に制御することが有効である。
【0022】Nは、例えばTiNなどの窒化物を形成し
スラブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の
粗大化を抑制して母材、HAZの低温靱性を向上させ
る。このために必要な最小量は0.001%である。し
かしN量が多過ぎるとスラブ表面疵や固溶NによるHA
Z靱性の劣化の原因となるので、その上限は0.006
%に抑える必要がある。
スラブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の
粗大化を抑制して母材、HAZの低温靱性を向上させ
る。このために必要な最小量は0.001%である。し
かしN量が多過ぎるとスラブ表面疵や固溶NによるHA
Z靱性の劣化の原因となるので、その上限は0.006
%に抑える必要がある。
【0023】さらに本発明では、不純物元素であるP,
S量をそれぞれ0.030%以下、0.005%以下と
する。この主たる理由は母材およびHAZの低温靱性を
より一層向上させるためである。P量の低減は鋳片の中
心偏析を軽減するとともに、粒界破壊を防止して低温靱
性を向上させる。またS量の低減は制御圧延で延伸化し
たMnSを低減して延靱性を向上させる効果がある。
S量をそれぞれ0.030%以下、0.005%以下と
する。この主たる理由は母材およびHAZの低温靱性を
より一層向上させるためである。P量の低減は鋳片の中
心偏析を軽減するとともに、粒界破壊を防止して低温靱
性を向上させる。またS量の低減は制御圧延で延伸化し
たMnSを低減して延靱性を向上させる効果がある。
【0024】つぎにTi,Zr,Nb,MoおよびBを
添加する目的について説明する。基本となる成分にさら
にこれらの元素を添加する主たる目的は本発明鋼の優れ
た特徴を損なうことなく、強度・低温靱性、HAZ靱性
などの特性の一層の向上や製造可能な鋼材サイズの拡大
をはかるためである。したがって、その添加量は自ら制
限されるべき性質のものである。
添加する目的について説明する。基本となる成分にさら
にこれらの元素を添加する主たる目的は本発明鋼の優れ
た特徴を損なうことなく、強度・低温靱性、HAZ靱性
などの特性の一層の向上や製造可能な鋼材サイズの拡大
をはかるためである。したがって、その添加量は自ら制
限されるべき性質のものである。
【0025】Ti添加は、微細なTiNを形成し、スラ
ブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の粗大
化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびHAZ
の低温靱性を改善する。またAl量が少ないとき(たと
えば0.010%以下)、Tiは酸化物を形成しHAZ
において粒内フェライト生成核として作用し、HAZ組
織を微細化する効果も有する。このようなTi添加効果
を発現させるには、最低0.005%のTi添加が必要
である。しかしTi量が多過ぎると、TiNの粗大化や
TiCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるの
で、その上限を0.025%に限定した。
ブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の粗大
化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびHAZ
の低温靱性を改善する。またAl量が少ないとき(たと
えば0.010%以下)、Tiは酸化物を形成しHAZ
において粒内フェライト生成核として作用し、HAZ組
織を微細化する効果も有する。このようなTi添加効果
を発現させるには、最低0.005%のTi添加が必要
である。しかしTi量が多過ぎると、TiNの粗大化や
TiCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるの
で、その上限を0.025%に限定した。
【0026】Zr添加は、微細なZrNを形成し、スラ
ブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の粗大
化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびHAZ
の低温靱性を改善する。またAl量が少ないとき(たと
えば0.010%以下)、Zrは酸化物を形成しHAZ
において粒内フェライト生成核として作用し、HAZ組
織を微細化する効果も有する。このようなZr添加効果
を発現させるには、最低0.005%のZr添加が必要
である。しかしZr量が多過ぎると、ZrNの粗大化や
ZrCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるの
で、その上限を0.025%に限定した。
ブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の粗大
化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびHAZ
の低温靱性を改善する。またAl量が少ないとき(たと
えば0.010%以下)、Zrは酸化物を形成しHAZ
において粒内フェライト生成核として作用し、HAZ組
織を微細化する効果も有する。このようなZr添加効果
を発現させるには、最低0.005%のZr添加が必要
である。しかしZr量が多過ぎると、ZrNの粗大化や
ZrCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるの
で、その上限を0.025%に限定した。
【0027】Nbは、Moと共存して制御圧延時にオー
ステナイトの再結晶を抑制して結晶粒を微細化するだけ
でなく、析出硬化や焼入性増大にも寄与し、鋼を強靱化
する作用を有する。Nbは最低0.005%以上必要で
ある。しかしNb添加量が多過ぎると、HAZ靱性に悪
影響をもたらすので、その上限を0.10%とした。M
oは、Nbと共存して制御圧延時にオーステナイトの再
結晶を強力に抑制し、オーステナイト組織の微細化にも
効果がある。しかし過剰なMo添加はHAZ靱性を劣化
させるので、その上限を0.80%とした。また、Mo
量の下限0.05%は、それぞれの元素添加による材質
上の効果が顕著になる最小量である。
ステナイトの再結晶を抑制して結晶粒を微細化するだけ
でなく、析出硬化や焼入性増大にも寄与し、鋼を強靱化
する作用を有する。Nbは最低0.005%以上必要で
ある。しかしNb添加量が多過ぎると、HAZ靱性に悪
影響をもたらすので、その上限を0.10%とした。M
oは、Nbと共存して制御圧延時にオーステナイトの再
結晶を強力に抑制し、オーステナイト組織の微細化にも
効果がある。しかし過剰なMo添加はHAZ靱性を劣化
させるので、その上限を0.80%とした。また、Mo
量の下限0.05%は、それぞれの元素添加による材質
上の効果が顕著になる最小量である。
【0028】Bは、極微量で鋼の焼き入れ性を飛躍的に
高め、上部ベイナイトの生成を抑制し、下部ベイナイト
主体の組織を得るために、極めて有効な元素である。1
%Mnに相当する効果がある。さらに、BはMoの焼き
入れ性向上効果を高めるとともにNbと共存して相乗的
に焼入れ性を増す。このような効果を得るためには、B
は最低でも0.0003%が必要である。一方過剰に添
加すると低温靱性を劣化させるだけでなく、かえってB
の焼き入れ性向上効果を消失せしめることもあるのでそ
の上限を0.0020%とした。オーステナイト粒粗大
化抑制効果に効果があるMg酸化物あるいはMgとAl
の酸化物は0.1μm程度と非常に微細なためCMA等
では測定不可能である。また、Zenerの関係からピ
ニングは酸化物の半径と体積で決まってくるので密度の
概念を導入することは難しい。従って、Mg量が0.0
001%以上有れば可とする。Mg添加素材は純金属M
gあるいはMg合金を用いてもよい。Mg酸化物あるい
はMgとAlの酸化物を溶鋼中に投入する素材の製造方
法は例えば以下の通りである。Mgの酸化物とMgとA
lを含有する酸化物粉末を長時間、ボールミル等でメカ
ニカルミリングさせたのち鋼の中に挿入し熱間圧延にて
圧延し、Mg酸化物あるいはMgとAlの酸化物をバル
ク化させる。こうしてバルク化したMg酸化物あるいは
MgとAlの酸化物を溶鋼中に投入する。この時できる
だけ溶鋼中の底までバルク化したMg酸化物あるいはM
gとAlの酸化物を投入することが好ましい。
高め、上部ベイナイトの生成を抑制し、下部ベイナイト
主体の組織を得るために、極めて有効な元素である。1
%Mnに相当する効果がある。さらに、BはMoの焼き
入れ性向上効果を高めるとともにNbと共存して相乗的
に焼入れ性を増す。このような効果を得るためには、B
は最低でも0.0003%が必要である。一方過剰に添
加すると低温靱性を劣化させるだけでなく、かえってB
の焼き入れ性向上効果を消失せしめることもあるのでそ
の上限を0.0020%とした。オーステナイト粒粗大
化抑制効果に効果があるMg酸化物あるいはMgとAl
の酸化物は0.1μm程度と非常に微細なためCMA等
では測定不可能である。また、Zenerの関係からピ
ニングは酸化物の半径と体積で決まってくるので密度の
概念を導入することは難しい。従って、Mg量が0.0
001%以上有れば可とする。Mg添加素材は純金属M
gあるいはMg合金を用いてもよい。Mg酸化物あるい
はMgとAlの酸化物を溶鋼中に投入する素材の製造方
法は例えば以下の通りである。Mgの酸化物とMgとA
lを含有する酸化物粉末を長時間、ボールミル等でメカ
ニカルミリングさせたのち鋼の中に挿入し熱間圧延にて
圧延し、Mg酸化物あるいはMgとAlの酸化物をバル
ク化させる。こうしてバルク化したMg酸化物あるいは
MgとAlの酸化物を溶鋼中に投入する。この時できる
だけ溶鋼中の底までバルク化したMg酸化物あるいはM
gとAlの酸化物を投入することが好ましい。
【0029】
【実施例】つぎに本発明の実施例について述べる。実験
室溶解(50kg,120mm厚鋼塊)で種々の鋼成分の鋼
を製造した。これら供試鋼の化学成分を表1に示した。
バルク化したMg酸化物あるいはMgとAlの酸化物を
溶鋼中の底まで投入した。その後このバルク化した酸化
物が溶けたのを確認したのち鋳造した。
室溶解(50kg,120mm厚鋼塊)で種々の鋼成分の鋼
を製造した。これら供試鋼の化学成分を表1に示した。
バルク化したMg酸化物あるいはMgとAlの酸化物を
溶鋼中の底まで投入した。その後このバルク化した酸化
物が溶けたのを確認したのち鋳造した。
【0030】これらの鋼塊を種々の条件で厚みが13〜
30mmの鋼板に圧延し、諸機械的性質を調査した。HA
Z靱性(シャルピー衝撃試験の−20℃での吸収エネル
ギー:vE−20)は再現熱サイクル装置で再現したHA
Zで評価した(最高加熱温度:1400℃、800〜5
00℃の冷却時間〔Δt800-500 〕:28秒)。Mg酸
化物およびMgとAlの複合酸化物の大きさ、数は電子
顕微鏡観察(TEM)を行い、調査した。その結果を表
1に示した。
30mmの鋼板に圧延し、諸機械的性質を調査した。HA
Z靱性(シャルピー衝撃試験の−20℃での吸収エネル
ギー:vE−20)は再現熱サイクル装置で再現したHA
Zで評価した(最高加熱温度:1400℃、800〜5
00℃の冷却時間〔Δt800-500 〕:28秒)。Mg酸
化物およびMgとAlの複合酸化物の大きさ、数は電子
顕微鏡観察(TEM)を行い、調査した。その結果を表
1に示した。
【0031】
【表1】
【表2】
【0032】本発明に従って製造した鋼板は−20℃で
のHAZのシャルピー吸収エネルギーが150Jを越
え、優れたHAZ靱性を有する。これに対して比較鋼は
化学成分またはMg酸化物あるいはMgとAl酸化物の
大きさ、密度が不適切なため、−20℃でのHAZのシ
ャルピー吸収エネルギーが著しく劣る。
のHAZのシャルピー吸収エネルギーが150Jを越
え、優れたHAZ靱性を有する。これに対して比較鋼は
化学成分またはMg酸化物あるいはMgとAl酸化物の
大きさ、密度が不適切なため、−20℃でのHAZのシ
ャルピー吸収エネルギーが著しく劣る。
【0033】
【発明の効果】本発明によりHAZ靱性の優れた造船、
建築、圧力容器、ラインパイプなど構造物に使用する鋼
材が安定して大量に製造できるようになった。その結
果、造船、建築、圧力容器、パイプラインの安全性が著
しく向上することが可能となった。
建築、圧力容器、ラインパイプなど構造物に使用する鋼
材が安定して大量に製造できるようになった。その結
果、造船、建築、圧力容器、パイプラインの安全性が著
しく向上することが可能となった。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.01〜0.15%、 Si:0.6%以下、 Mn:0.5〜2.5%、 P :0.030%以下、 S :0.005%以下、 Al:0.010%以下、 Mg:0.0001〜0.0060%、 N:0.001〜0.006%、 O:0.001〜0.004%、 を主成分とし、その他不可避的不純物からなり、Mg酸
化物或いはMgとAlの複合酸化物を含むことを特徴と
する溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.01〜0.15%、 Si:0.6%以下、 Mn:0.5〜2.5%、 P :0.030%以下、 S :0.005%以下、 Al:0.010%以下、 Mg:0.0001〜0.0060%、 N:0.001〜0.006%、 O:0.001〜0.004%、 を主成分とし、その他不可避的不純物からなり、粒径が
0.0001〜1μmのMg酸化物或いはMgとAlの
複合酸化物を0.01個/μm2 以上含むことを特徴と
する溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材。 - 【請求項3】 前記主成分に、更に、重量%で、Ti:
0.005〜0.025%、Zr:0.05〜0.02
5%、Nb:0.005〜0.10%、Mo:0.05
〜0.8%、B:0.0003〜0.0020%の1種
または2種以上を含有することを特徴とする請求項1ま
たは2記載の溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼
材。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の鋼の製造
方法において、溶鋼溶製時に、Mg酸化物或いはMgと
Alの複合酸化物を添加することを特徴とする溶接熱影
響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11031491A JP2000234139A (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
| JP11031491A JP2000234139A (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000234139A true JP2000234139A (ja) | 2000-08-29 |
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ID=12332738
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|---|---|---|---|
| JP11031491A Withdrawn JP2000234139A (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方法 |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP2000234139A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002241888A (ja) * | 2001-02-16 | 2002-08-28 | Nippon Steel Corp | 高温強度が高く且つ溶損が少ない溶融亜鉛釜用鋼 |
| WO2012070358A1 (ja) * | 2010-11-22 | 2012-05-31 | 新日本製鐵株式会社 | 電子ビーム溶接継手及び電子ビーム溶接用鋼材とその製造方法 |
| EP2298950A4 (en) * | 2008-07-15 | 2014-01-29 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | STEEL MATERIAL FOR WELDING |
| KR20190022845A (ko) | 2016-08-09 | 2019-03-06 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 후강판 및 그의 제조 방법 |
-
1999
- 1999-02-09 JP JP11031491A patent/JP2000234139A/ja not_active Withdrawn
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