JP2000234165A - アモルファスダイヤモンド膜の形成装置および形成方法 - Google Patents

アモルファスダイヤモンド膜の形成装置および形成方法

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JP2000234165A
JP2000234165A JP11031661A JP3166199A JP2000234165A JP 2000234165 A JP2000234165 A JP 2000234165A JP 11031661 A JP11031661 A JP 11031661A JP 3166199 A JP3166199 A JP 3166199A JP 2000234165 A JP2000234165 A JP 2000234165A
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film
amorphous diamond
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forming
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Tadashi Kitahara
正 北原
Norio Ichikawa
典男 市川
Takashi Suzuki
孝 鈴木
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分の含有率を低くすることで、高品質で膜
厚の大きなアモルファスダイヤモンド膜を形成すること
ができるアモルファスダイヤモンド膜の形成装置および
形成方法を提供すること。 【解決手段】 炭素成分を含むターゲット14にレーザ
光を照射して放出物を放出させ、当該放出物を基板16
の表面に堆積させることでアモルファスダイヤモンド膜
を形成するための装置2であって、ターゲット14およ
び基板16を内部に収容するチャンバ4と、二つのレー
ザ光を生成する二光束生成手段12,24と、一方のレ
ーザ光L1を、ターゲット14に照射させる第1の光学
系26と、他方のレーザ光L2を、基板16上で堆積し
た放出物の堆積膜に照射させる第2の光学系28と、基
板16の周囲に位置する冷却部材30と、を備え、チャ
ンバ4内の水分は、冷却部材30の表面で凝縮すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザーアブレー
ションを用いたアモルファスダイヤモンド膜の形成装置
および形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、真空チャンバ内でターゲット
にYAGレーザ等のレーザ光を照射し、この照射によっ
て生じるターゲットからの放出物を基板上に堆積させて
薄膜を形成するレーザーアブレーション法を用いた薄膜
形成技術が知られている。そして、この技術を用いたア
モルファスダイヤモンド薄膜の形成方法を開示した文献
として、Appl.Phys.Lett.,vol.71,pp.3820-3822(1997)
がある。
【0003】この文献に開示された薄膜形成技術は、レ
ーザーアブレーションによってアモルファスダイヤモン
ド薄膜を基板上に形成し、さらに薄膜を約600℃に加
熱することで薄膜のアニールを行うものである。この技
術によれば、成膜とアニールを繰り返すことで薄膜内の
歪みをある程度は除去できるため、厚さ約1.2μmの
アモルファスダイヤモンド薄膜を得ることができる。
【0004】一方、アモルファスダイヤモンド薄膜の形
成を目的としたものではないが、レーザーアブレーショ
ンを利用した薄膜形成技術を開示した文献として、たと
えば特開平10−32166号公報や特開平7−291
773号公報がある。
【0005】特開平10−32166号公報の薄膜形成
方法は、レーザーアブレーションによってターゲットか
らの放出物を基板上に堆積させる工程と、堆積層にレー
ザ光を照射して溶融再結晶させる工程とを複数回繰り返
すことで、大粒径の結晶薄膜を形成するものである。ま
た、特開平7−291773号公報の薄膜形成方法は、
ターゲットである炭素試料からレーザーアブレーション
によって超微粒炭素を放出させてこの超微粒炭素を基板
表面に散布した後に、所定の照射条件の反応光を照射す
ることで光化学反応により特定の炭素系物質の結晶を選
択的に成長させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記各文献に
開示された技術には、次のような問題があった。すなわ
ち、上述の各薄膜形成方法で使用されるターゲットには
水分が含まれており、レーザーアブレーションを行う際
に、アモルファスダイヤモンド薄膜の形成に必要な炭素
成分のみならず、当該水分もチャンバ内を漂うことにな
る。そして、この水分が不純物として基板上の堆積層に
含まれると、アモルファスダイヤモンド薄膜の品質が低
下してしまう。そして、堆積層の厚みが増すにつれて当
該堆積層に含まれる水分が増加するため、実用的な厚さ
のアモルファスダイヤモンド膜を形成することが困難で
あった。
【0007】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、水分の含有率を低くすることで、高品質で膜
厚の大きなアモルファスダイヤモンド膜を形成すること
ができるアモルファスダイヤモンド膜の形成装置および
形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、炭素成分を含むターゲットにレーザ光を
照射して放出物を放出させ、当該放出物を基板の表面に
堆積させることでアモルファスダイヤモンド膜を形成す
るための装置であって、ターゲットおよび前記基板を内
部に収容するチャンバと、二つのレーザ光を生成する二
光束生成手段と、二つのレーザ光のうち一方のレーザ光
をターゲットに照射させる第1の光学系と、他方のレー
ザ光を、基板上で堆積した放出物の堆積膜に照射させる
第2の光学系と、基板の周囲に位置する冷却部材と、を
備え、チャンバ内の水分は、冷却部材の表面で凝縮する
ことを特徴とする。
【0009】本発明に係るアモルファスダイヤモンド膜
の形成装置によれば、二光束生成手段によって生成され
た二つのレーザ光のうち一方のレーザ光が、第1の光学
系によってターゲットに照射される。そして、このとき
のレーザーアブレーションによって、ターゲットから炭
素成分を含む放出物が放出され、当該放出物が基板上に
堆積する。なお、このときターゲットからは、アモルフ
ァスダイヤモンド膜の生成に必要な炭素成分のみならず
水分も放出される。
【0010】基板上に放出物が堆積した後、他方のレー
ザ光が第2の光学系によって基板上の堆積膜に照射さ
れ、これにより堆積膜中に混入する水素等の不純物が除
去される。そして、このようなターゲットへのレーザ照
射および堆積膜へのレーザ照射を繰り返すことで、アモ
ルファスダイヤモンド膜が形成される。ここで、本発明
では、基板の周囲に冷却部材が設けられており、上述の
ターゲットから放出された水分が当該冷却部材の表面で
凝縮(吸着)するため、チャンバ内の水分、特に基板近
傍の水分が堆積膜に含まれる事態を防止することができ
る。
【0011】また、本発明において、冷却部材は、その
内部を液体窒素などの冷却液が通過可能なパイプである
ことが望ましい。さらに、当該パイプは、略螺旋形状を
なす螺旋パイプであり、上記基板が螺旋パイプの内部空
間に位置することが望ましい。このようにパイプを螺旋
状にした場合は、チャンバ内の水分が吸着する面積が広
くなり、基板上の堆積膜に水分が含まれる事態が一層低
減される。
【0012】また、上記二光束生成手段は、一のレーザ
光を出力するレーザ光出力手段と、当該一のレーザ光を
二つに分離するレーザ光分離手段と、を備えるように構
成することができる。なお、二光束生成手段は、ターゲ
ットを照射する一方のレーザ光を出力する第1のレーザ
出力手段と、堆積膜を照射する他方のレーザ光を出力す
る第2のレーザ出力手段と、を備えるように構成しても
よい。
【0013】本発明に係るアモルファスダイヤモンド膜
の形成方法は、炭素成分を含むターゲットに第1のレー
ザ光を照射させて、照射によりターゲットから放出した
放出物を基板上に堆積させる堆積工程と、堆積した放出
物の堆積膜に第2のレーザ光を照射する堆積膜照射工程
と、を複数回繰り返し、堆積工程および堆積膜照射工程
において、基板の周囲の水分は、基板の近傍に設けられ
た冷却部材の表面で凝縮することを特徴とする。
【0014】本発明に係るアモルファスダイヤモンド膜
の形成方法によれば、堆積工程によって基板上に堆積膜
が形成され、堆積膜照射工程によって当該堆積膜中に混
入する水素等の不純物が除去される。そして、このよう
なターゲットへのレーザ照射および堆積膜へのレーザ照
射を複数回繰り返すことで、アモルファスダイヤモンド
膜が形成される。なお、堆積工程でターゲットに第1の
レーザ光を照射する際に、ターゲットからはアモルファ
スダイヤモンド膜の生成に必要な炭素成分のみならず水
分も放出されている。しかし、本発明では、基板の近傍
に冷却部材が設けられており、上述のターゲットから放
出された水分が当該冷却部材の表面で凝縮(吸着)する
ため、チャンバ内の水分、特に基板近傍の水分が堆積膜
に含まれる事態を防止することができる。
【0015】また、本発明に係るアモルファスダイヤモ
ンド膜の形成方法において、堆積工程および堆積膜照射
工程を複数回繰り返して所望厚さのアモルファスダイヤ
モンド膜を形成した後に、堆積膜の表面にレーザ光を所
定時間照射することが望ましい。このように、堆積膜の
表面に所定時間レーザ光を照射することで、アモルファ
スダイヤモンド膜の硬度が高められる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に係るアモルファスダイヤモンド膜の形成装置および
形成方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
尚、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する
記載は省略する。
【0017】図1は、本実施形態のアモルファスダイヤ
モンド膜を形成するための膜形成装置2を示す図であ
る。膜形成装置2は、主に、ステンレスから成る円筒形
のチャンバ4と、当該チャンバ4内の下部に位置すると
ともにモータMの回転軸によって回転自在に支持された
ターゲットホルダ6と、チャンバ4内の上部に位置する
基板ホルダ8と、チャンバ4内を真空にする真空ポンプ
10と、チャンバ4の外部に配置されパルスレーザ光
(波長:193nm、パルス幅:15〜20ns、周波
数:20Hz)を出力するArFエキシマレーザ装置1
2と、から構成されている。
【0018】また、ターゲットホルダ6にはグラシィー
カーボン製のターゲット14が固定され、基板ホルダ8
にはSi製の基板16がターゲット14と対向するよう
に図示しないバネによって固定されている。なお、基板
ホルダ8には、基板16を冷却するための、内部に氷水
が収容される冷却筒17が挿入されている。また、チャ
ンバ4内にはターゲット14と基板16との間を遮断可
能な回転板18が回転自在に設けられ、さらに、チャン
バ4の底面および周側面には、それぞれフッ化マグネシ
ウムからなる入射窓20,22が設けられている。な
お、入射窓20,22は、図示しないシャッタによって
外来光を遮断できるように構成されている。
【0019】レーザ装置12は、出力したレーザ光が入
射窓22を通過してターゲット14に到達できるように
配設されており、レーザ装置12と入射窓22との間に
は、レーザ装置12から出力されたレーザ光Lをレーザ
光L1(直進成分)とレーザ光L2(反射成分)に分離す
るビームスプリッタ(レーザ光分離手段)24と、レー
ザ光L1を集光する石英ガラス製の集光レンズ26と、
が配置されている。また、チャンバ4の側部下方には、
レーザ光L2を全反射して基板16に照射させる反射ミ
ラー28が配置されている。なお、レーザ装置12およ
びビームスプリッタ24によって二つのレーザ光を生成
する二光束生成手段が構成され、集光レンズ26によっ
て一方のレーザ光L1をターゲット14に照射させる第
1の光学系が構成され、反射ミラー28によって他方の
レーザ光を基板16に照射させる第2の光学系が構成さ
れている。
【0020】また、チャンバ4内の上部には、本実施形
態の特徴である冷却パイプ(冷却手段)30が設けられ
ている。冷却パイプ30は、その内部を液体窒素などの
冷却液が通過可能であり、冷却液が導入される導入部3
0iと、冷却液が排出される排出部30oと、導入部3
0iと排出部30oの間に位置するとともに螺旋形状を
なす冷却部30sと、から成る。また、冷却部30sの
内部空間には、基板16が位置している。
【0021】なお、チャンバ4の高さは約25cm、直
径は約20cmである。また、ビームスプリッタ24と
ターゲット14の距離は約50cmで、反射ミラー28
と基板16の距離は約50cmである。さらに、ターゲ
ット14へのレーザ光L1の入射角は70゜で、基板1
6へのレーザ光L2の入射角は30゜となっている。
【0022】次に、膜形成装置2を用いたアモルファス
ダイヤモンド膜の形成方法を説明する。まず、ターゲッ
ト14をターゲットホルダ6に固定するとともに、基板
16を基板ホルダ8に固定する。次いで、チャンバ4内
を真空ポンプ10によって10-6程度に真空排気する。
【0023】次に、ターゲット14の前処理を行う。こ
の前処理を行うに際しては、回転板18を回転させてタ
ーゲット14と基板16の間の空間を遮断し、さらに、
入射窓20のシャッタを閉じる。そして、レーザ装置1
2を作動させて、ターゲット14にレーザ光L1を照射
する。このとき、ターゲット14上でのフルエンスは
1.5J/cm2である。このようなレーザ照射によっ
て、ターゲット14の表面の加工汚染層を除去すると共
にターゲット14中の不要なガスを放出させることがで
き、基板16上に堆積する薄膜への不純物の混入を予防
できる。また、レーザ光L1の照射に際しては、ターゲ
ット14を1rpmで回転させるとともにレーザ光L1をタ
ーゲット14の半径方向に走査させる。これにより、タ
ーゲット14の全面にレーザ光L1を照射させることが
できる。なお、レーザ光L2は回転板18によって遮断
されるため、基板16には到達しない。
【0024】ターゲット14の前処理が終了した後、続
いて基板16の前処理を行う。この基板16の前処理を
行うに際しては、回転板18を所定の位置に戻して入射
窓20のシャッタを開くと共に、入射窓22のシャッタ
を閉じる。そして、レーザ装置12を作動させて、基板
16にレーザ光L2を約10分間照射する。このとき、
基板16上でのフルエンスは2mJ/cm2である。こ
のようなレーザ照射によって、基板16の不純物を放出
させることができ、以下に述べる基板16への堆積膜の
付着力を高めることができる。
【0025】以上のようなターゲット14および基板1
6の前処理が終了した後、基板16へのアモルファスダ
イヤモンド膜の堆積工程を開始する。
【0026】まず、入射窓22のシャッタを開いてレー
ザ装置12を作動させる。レーザ装置12から出力され
たレーザ光Lのうち、ビームスプリッタ24を通過した
レーザ光L1は、集光レンズ26によって集光された後
にターゲット14を照射し、アブレーションが生じる。
このとき、ターゲット14からは、アモルファスダイヤ
モンド膜の形成に必要な炭素成分を含む放出物がレーザ
光L1の照射時間に応じた量だけ放出される。この放出
物は図中の領域Aを上昇して基板16に到達し、これに
より放出物が基板16上で堆積する。なお、アブレーシ
ョンされるターゲット14からは、上記放出物のほかに
アモルファスダイヤモンド膜の形成に不要な水分も放出
されるが、この水分を基板16上の堆積膜に混入させな
い点が本実施形態の特徴である(詳しくは後述する)。
【0027】一方、ビームスプリッタ24で反射された
レーザ光L2は、基板16上に堆積した放射物の堆積膜
を照射する(堆積膜照射工程)。これにより、次のアブ
レーションが行われるまでに基板16上の堆積膜に混入
する水素などの不純物を除去することができる。
【0028】図2(a)は、ターゲット14へのレーザ
光L1の照射タイミングを示しており、図2(b)は、
基板16上の堆積膜へのレーザ光L2の照射タイミング
を示している。このタイミングチャートから分かるよう
に、基板16上の堆積膜がレーザ光L2によって照射さ
れるのは、レーザ光L1によるターゲット14の照射時
の2ns後である。なお、レーザ装置12から出力され
るレーザ光Lのパルス間隔は、放出物の基板16への堆
積が、当該放出物をターゲット14から放出させたレー
ザ光L1に対応するパルス光(レーザ光L2)が基板16
に到達した直後に開始し、次のパルス光(レーザ光
2)が基板16を照射する前に終了するように設定さ
れている。また、最初のアブレーションによって堆積し
た堆積膜は、二回目に出力されるレーザ光L2によって
照射される。
【0029】ここで、本実施形態では、上述のように基
板16の周囲に液体窒素が流れる冷却パイプ30が設け
られており(図1参照)、上述のターゲット14から放
出された水分が当該冷却パイプ30の表面で凝縮(吸
着)するため、チャンバ4内の水分、特に基板16近傍
の水分が堆積膜に含まれる事態を防止することができ
る。また、冷却パイプ30の冷却部30sは螺旋形状で
あるため、水分を吸着できる面積が広くなり、基板16
上の堆積膜に水分が含まれる事態を一層低減することが
できる。このため、形成された堆積膜(この堆積膜がア
モルファスダイヤモンド膜であることの説明は後述す
る)を高品質にすることができ、ひいては実用的な厚さ
まで大きくすることができる。
【0030】なお、冷却パイプ30の表面で水分を凝縮
させるため、冷却パイプ30の温度は約−200℃〜約
0℃にすることが望ましい。また、本実施形態では、液
体窒素を入れた冷却パイプ30の吸着効果によってチャ
ンバ4内の真空度は1×10 -7程度に向上し、また、冷
却パイプ30および冷却筒17の冷却作用によって基板
16の温度は約0℃となった。
【0031】さらに、このように基板16を冷却するこ
とで、次のような効果が得られる。すなわち、上述のAp
pl.Phys.Lett.,vol.71,pp.3820-3822(1997)で開示され
たアモルファスダイヤモンド膜の形成方法では、膜の品
質向上を図るために堆積膜を加熱するので、アモルファ
スダイヤモンド薄膜中でグラファイト成分が増加してし
まう。また、薄膜を加熱するにあたって、熱を外部から
加える方式を採用すると薄膜温度の上昇と下降に時間が
かかる。このため、膜の実用性を考慮して膜厚を大きく
しようとする場合は、成膜とアニーリングを何回も繰り
返さなければならず、多大な時間を費やすことになる。
これに対し、本実施形態の膜形成方法では、基板の加熱
を行わず冷却によって堆積膜の品質向上を図っているた
め、膜内におけるグラファイト成分の生成を防止できる
とともに、膜形成に要する時間を低減することができ
る。
【0032】ここで、図3を用いて、基板の温度と反り
の関係について説明する。図3は、堆積膜(アモルファ
スダイヤモンド膜)が形成された基板を加熱して、その
加熱温度と基板の反りの関係を求めたグラフである。な
お、この実験には、厚さ0.4mmのSi(100)基
板に、厚さ150nmのアモルファスダイヤモンド膜が
形成されたものを使用した。このグラフより、基板温度
が50℃以上になると基板の反りが大きくなることがわ
かる。基板の反りが大きくなると、それに伴い堆積膜に
歪みが生じ、膜を厚くできないという問題が生じる。し
かし、本実施形態では、冷却パイプ30および冷却筒1
7の冷却効果によって基板16の温度は約0℃にされて
いるため、基板16の反りは小さく、高品質なアモルフ
ァスダイヤモンド膜を得ることができる。
【0033】以上のような状況のもとでターゲット14
へのレーザ照射および基板16上の堆積膜へのレーザ照
射を繰り返すことで、基板16上に不純物の少ない堆積
膜(アモルファスダイヤモンド膜)が形成される。な
お、かかるレーザ照射を20時間続けることで、厚さ約
20μmの堆積膜(アモルファスダイヤモンド膜)を形
成することができた。
【0034】基板上への膜の堆積が終了した後、堆積膜
の硬度を増すために、さらにレーザ光(波長:193n
m、フルエンス:140mJ/cm2)を約2分間堆積
膜の全面に一様に照射した。これにより、単結晶ダイヤ
モンド(100GPa)とほぼ同じ硬さの膜を得ること
ができる。図4は、堆積終了後に照射したレーザ光のフ
ルエンスと堆積膜のビッカース硬度との関係を示すグラ
フである。このグラフより、レーザ光のフルエンスを上
げることで堆積膜の硬度が向上することが分かる。
【0035】図5は、自由電子の損失エネルギ(横軸)
と電子エネルギ(縦軸)との関係を示したグラフであ
る。エネルギ半値幅0.1eV以下のエネルギがそろっ
た自由電子を外部から堆積膜に入射することで炭素の1
s電子を伝導帯に励起し、その励起エネルギ分だけ損失
した後に堆積膜の外部に出てくる電子のエネルギ分布を
観測すると、図5に示すような、反結合π電子軌道(π
*軌道)と反結合σ電子軌道(σ*軌道)とからなる伝導
帯の電子状態密度分布に対応した電子エネルギ分布(EE
LS:Electron Energy Loss Spectroscopy)を得ること
ができる。
【0036】このグラフに示されているように、グラフ
ァイトのEELSにはπ*電子の存在を示す約286eVの
ピークが存在し、π結合を含むことがわかる。これに対
し、本実施形態で基板16上に形成された堆積膜のスペ
クトル(図5中の曲線A)の場合、そのエネルギをもつ
ピークは存在しない。このことから、本実施形態の堆積
膜はπ結合を含まない、すなわちσ結合のみのネットワ
ークによる炭素膜と考えることができる。このようなネ
ットワークとしては長距離秩序をもつダイヤモンド結晶
と無秩序状態のアモルファスダイヤモンドとがある。そ
して、前者の結晶ダイヤモンドのEELSでは、伝導帯が結
晶性のものであることを示す急峻なピークが存在する。
しかし、本実施形態の堆積膜に関する曲線Aにはかかる
急峻なピークは存在せず、なだらかな曲線となってい
る。このことから、本実施形態の膜形成装置によって得
られた堆積膜は結晶ダイヤモンドでなく、アモルファス
ダイヤモンドであるといえる。
【0037】以上、本発明者によってなされた発明を実
施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施
形態に限定されるものではない。例えば、二光束生成手
段は、ターゲットを照射する一方のレーザ光を出力する
第1のレーザ装置と、堆積膜を照射する他方のレーザ光
を出力する第2のレーザ装置と、を備えるように構成し
てもよい。また、ターゲットおよび基板に照射するレー
ザ光は、波長を248nmとしてもよい。ただし、この
ときはレーザ光密度を15J/cm2程度以上とするこ
とが望ましい。
【0038】また、ターゲットは、グラシィーカーボン
のほか、グラファイトやダイヤモンドなどの炭素成分を
含有するものを使用することができる。ただし、硬度が
高く、かつ、水素、水等の不純物の含有率が低いものが
好ましい。また、グラファイトをターゲットとして用い
た場合は、グラシィーカーボンを使用するときよりもタ
ーゲット中に含まれている水素成分が多いため、得られ
たアモルファスダイヤモンド膜に水素が含まれやすくな
る。このため、波長が290nm以下の紫外パルスレー
ザ光を成膜後に照射して水素元素成分を除去することが
望ましい。
【0039】また、基板は、Siのほか、サファイア、
石英ガラス、プラスチック、または鉄などの金属で形成
してもよい。さらに、上記実施形態では、成膜時に基板
は回転させていないが、厚さが均一な膜を得るために基
板を回転させてもよい。また、基板の上方に位置する冷
却筒には、氷水のほか、冷却水、冷却ガス、液体窒素な
どの流体を導入してもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るアモ
ルファスダイヤモンド膜の形成装置では、二光束生成手
段によって生成された二つのレーザ光のうち一方のレー
ザ光が、第1の光学系によってターゲットに照射され
る。そして、このときのレーザーアブレーションによっ
て、ターゲットから炭素成分を含む放出物が放出され、
当該放出物が基板上に堆積する。なお、このときターゲ
ットからは、アモルファスダイヤモンド膜の生成に必要
な炭素成分のみならず水分も放出される。
【0041】さらに、基板上に放出物が堆積した後、他
方のレーザ光が第2の光学系によって基板上の堆積膜に
照射され、これにより堆積膜中に混入する水素等の不純
物が除去される。そして、このようなターゲットへのレ
ーザ照射および堆積膜へのレーザ照射を繰り返すこと
で、アモルファスダイヤモンド膜を形成することができ
る。ここで、本発明では、基板の周囲に冷却部材が設け
られており、上述のターゲットから放出された水分が当
該冷却部材の表面で凝縮(吸着)する。このため、チャ
ンバ内の水分、特に基板近傍の水分が堆積膜に殆ど混入
せず、高品質なアモルファスダイヤモンド膜を得ること
ができる。また、高品質であるがゆえに、膜厚が大きく
実用的なアモルファスダイヤモンド膜を形成することが
できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜形成装置を示す全体図である。
【図2】図2(a)はターゲットへのレーザ光L1の照
射タイミングを示す図であり、図2(b)は基板上の堆
積膜へのレーザ光L2の照射タイミングを示す図であ
る。
【図3】アモルファスダイヤモンド膜が形成された基板
を加熱して、その加熱温度と基板の反りの関係を示すグ
ラフである。
【図4】堆積終了後に照射したレーザ光のフルエンスと
堆積膜のビッカース硬度との関係を示すグラフである。
【図5】自由電子の損失エネルギと電子のエネルギ分布
との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2…膜形成装置、4…チャンバ、6…ターゲットホル
ダ、8…基板ホルダ、10…真空ポンプ、12…レーザ
装置(二光束生成手段)、14…ターゲット、16…基
板、17…冷却筒、18…回転板、20,22…入射
窓、24…ビームスプリッタ(二光束生成手段)、26
…集光レンズ(第1の光学系)、28…反射ミラー(第
2の光学系)、30…冷却パイプ(冷却部材)、L…レ
ーザ光、L1…レーザ光(一方のレーザ光)、L2…レー
ザ光(他方のレーザ光)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 孝 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 Fターム(参考) 4G046 GA01 GB02 4K029 BA34 BB10 DB02 DB20 5F103 AA01 BB23 BB41 DD30 GG03 NN07 RR06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素成分を含むターゲットにレーザ光を
    照射して放出物を放出させ、当該放出物を基板の表面に
    堆積させることでアモルファスダイヤモンド膜を形成す
    るための装置であって、 前記ターゲットおよび前記基板を内部に収容するチャン
    バと、 二つのレーザ光を生成する二光束生成手段と、 前記二つのレーザ光のうち一方のレーザ光を、前記ター
    ゲットに照射させる第1の光学系と、 他方のレーザ光を、前記基板上で堆積した前記放出物の
    堆積膜に照射させる第2の光学系と、 前記基板の周囲に位置する冷却部材と、を備え、 前記チャンバ内の水分は、前記冷却部材の表面で凝縮す
    ることを特徴とするアモルファスダイヤモンド膜の形成
    装置。
  2. 【請求項2】 前記冷却部材は、その内部を液体窒素な
    どの冷却液が通過可能なパイプであることを特徴とする
    請求項1記載のアモルファスダイヤモンド膜の形成装
    置。
  3. 【請求項3】 前記パイプは、略螺旋形状をなす螺旋パ
    イプであり、前記基板は前記螺旋パイプの内部空間に位
    置することを特徴とする請求項2記載のアモルファスダ
    イヤモンド膜の形成装置。
  4. 【請求項4】 前記二光束生成手段は、一のレーザ光を
    出力するレーザ光出力手段と、前記一のレーザ光を二つ
    に分離するレーザ光分離手段と、を備えることを特徴と
    する請求項1〜請求項3のうち何れか一項記載のアモル
    ファスダイヤモンド膜の形成装置。
  5. 【請求項5】 基板の表面にアモルファスダイヤモンド
    膜を形成する形成方法であって、 炭素成分を含むターゲットに第1のレーザ光を照射させ
    て、前記照射により前記ターゲットから放出した放出物
    を前記基板上に堆積させる堆積工程と、 堆積した前記放出物の堆積膜に第2のレーザ光を照射す
    る堆積膜照射工程と、を複数回繰り返し、 前記堆積工程および前記堆積膜照射工程において、前記
    基板の周囲の水分は、前記基板の近傍に設けられた冷却
    部材の表面で凝縮することを特徴とするアモルファスダ
    イヤモンド膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記堆積工程および前記堆積膜照射工程
    を複数回繰り返して所望厚さのアモルファスダイヤモン
    ド膜を形成した後に、前記堆積膜の表面にレーザ光を所
    定時間照射することを特徴とする請求項5記載のアモル
    ファスダイヤモンド膜の形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7179729B2 (en) * 2000-12-05 2007-02-20 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Heat treatment apparatus and method of manufacturing a semiconductor device
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