JP2000237832A - 金属管の拡管方法とその装置 - Google Patents

金属管の拡管方法とその装置

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属管を減肉することなく拡管を行う方法及
び装置を提供することを課題としている。 【構成】 互いに対向する一対の回転保持体で直線上の
金属管を適当な間隔Dをおいて掴み、該金属管に軸回り
の回転を加えた状態で、前記回転保持体の少なくとも一
方を他方に接近する方向に移動させるとともに、両回転
保持体の何れかを他方の回転保持体の軸線と交差する方
向へ徐々に偏倚させることにより、曲げの内側と外側に
おいて常に圧縮応力が作用する条件下で回転中の金属管
に圧縮力と曲げ力を作用させ、両回転保持体間の金属管
に拡管方向の塑性変形を生じさせた後、曲げの内側と外
側において圧縮応力が作用する条件を保ったまま前記偏
倚を徐々に復元させることにより、金属管の中間部に拡
管部分を形成する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属管の一部を拡
管成形する方法と、その装置に関するものである。詳述
すると、金属管の中間部分、すなわち軸線方向任意の位
置に他の部分よりも大きい径の凸部を成形するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、機器の一部に、柔軟性、密封
性などを必要とする場合に用いられる伸縮自在の継手、
たわみ管等にはベローズ管のようなじゃばら形の金属管
が用いられる。このベローズの製造技術として、例えば
特公平3−42969号公報に記載されているようにバ
ルジ液圧を利用するバルジ成形方法が知られている。こ
のバルジ成形方法は、金属管内にバルジ液を注入し、加
圧することによって、金属管を金型に合わせた形状に加
工する技術である。しかしながら、この方法では拡管部
が減肉するという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みなされたものであり、金属管を減肉することなく
拡管を行う方法及び装置を提供することを課題としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、次のようにした。すなわち、互いに対向す
る一対の回転保持体で直線上の金属管を適当な間隔Dを
おいて掴み、該金属管に軸回りの回転を加えた状態で、
前記回転保持体の少なくとも一方を他方に接近する方向
に移動させるとともに、両回転保持体の何れかを他方の
回転保持体の軸線と交差する方向へ徐々に偏倚させるこ
とにより、曲げの内側と外側において常に圧縮応力が作
用する条件下で回転中の金属管に圧縮力と曲げ力を作用
させ、両回転保持体間の金属管に拡管方向の塑性変形を
生じさせた後、曲げの内側と外側において圧縮応力が作
用する条件を保ったまま前記偏倚を徐々に復元させるこ
とにより、金属管の中間部に拡管部分を形成することを
特徴とする。
【0005】さらに、互いに対向するとともに少なくと
も一方が他方の軸線に交差するように回動自在な一対の
回転保持体を設けるとともに、少なくとも一方の回転保
持体を他方の回転保持体に接近及び離反する加圧あるい
は送り手段と、少なくとも一方の回転保持体を回転駆動
する駆動手段と、少なくとも一方の回転保持体を他方の
軸線に交差するように回動させる偏倚手段を設けたこと
を特徴とする。
【0006】
【作用】本発明の金属管Wの拡管成形方法を具体的に述
べれば、まず、ワークである直線上の金属管Wを互いに
対向する一対の回転保持体で掴んで保持する。回転保持
体は、例えば旋盤のチャックのようなもので、適当な間
隔Dをおいて金属管Wを強固に保持し、回転させること
ができるものであれば良い。また、拡管する金属管Wが
短い場合には、金属管Wの端部から押圧できるチャック
スリーブを用いても良い。両回転保持体で掴む間隔D
は、金属管Wの内外径及び拡管量と拡管部の長さに応じ
て十数ミリメートル乃至数百ミリメートルの範囲で変え
れば良い。
【0007】この状態で少なくとも一方の回転保持体を
回転駆動し、掴んでいる金属管Wを回転させる。この回
転速度は通常毎分数回転乃至数百回転であり、金属管W
の材質、寸法などに応じて最適なものを選べば良い。ま
た、回転速度が遅いと成形時間が長く、速すぎると、後
述の塑性変形が生じた時に加圧を塑性変形に追従させる
のが困難となり、疲労による破断が生じる恐れがある。
【0008】つぎに、回転中の金属管Wに圧縮力を作用
させる。この圧縮は、通常、油圧ジャッキあるいは油圧
シリンダなどで、作用させる。この圧縮力は金属管Wの
材質や外径及び肉厚によって異なる。しかしながら、バ
ルジ加工時の圧縮力と比較すると極めて小さい圧縮力で
所望の形状が得られる。
【0009】この回転と圧縮状態を維持したまま、金属
管Wに曲げ方向の力を作用させる。この曲げ力は、例え
ばネジ式の送り装置を利用して何れか一方の回転保持体
を他方の回転保持体の軸線と交差する方向に偏倚させ
る。すると、両回転保持体間の金属管Wは湾曲しつつ、
回転する。また、この曲げ角度は数度乃至十数度であ
り、この角度が小さすぎると所望の形状が得られず、逆
に、大き過ぎると金属管Wの湾曲部に無理な力が作用
し、金属管Wが損傷する。
【0010】このように、金属管Wに圧縮力を加えなが
ら曲げると、曲がった部分の内側に強大な圧縮力が作用
するので、この部分に塑性変形が生じ、圧縮力を逃がす
方向の変形すなわち拡管方向の膨らみが生じる。金属管
Wは回転しているので、金属管Wの全周が交互に曲げの
内側に位置することになり、全周にわたって塑性変形が
生じる。なお、このとき湾曲部の外側にも圧縮力を作用
させることが重要であり、もし、この外側部分に引っ張
り力が作用すれば、金属管Wに伸びと収縮が交互に生じ
て、疲労により破断する。また、拡管方向の膨らみが生
じると、その分だけ初期の掴み間隔Dが狭くなるが、上
記のように湾曲部の全周に圧縮力が作用しなければなら
ないので、間隔が狭くなる分だけ何れか一方の回転保持
体を他方の回転保持体に接近させるように、連続的に加
圧しなければならない。このように金属管Wを回転させ
ながら圧縮と曲げとを作用させるため、バルジ加工と比
較しても小さい圧縮力で金属管Wの拡管ができる。
【0011】所望の拡管が行われたら、金属管Wの曲げ
を戻すために両回転保持部の軸線が直線状になるように
復帰させ、金属管Wを真直化する。この場合にも、曲げ
の内側と外側に常に圧縮力を作用し続ける。ここで、圧
縮を緩めると前述したように金属管Wの曲げ部分に伸び
と収縮が繰り返し作用し、破断する恐れがある。拡管し
た金属管Wが真直化できれば、圧縮力を除去し、回転を
停止させ、金属管Wを取り外せば良い。
【0012】本拡管方法によれば、金属管Wに軸線方向
の圧縮力を作用させながら、回転と曲げを加えることに
よって拡管成形しており、素材となる金属管Wの長さは
加工前と比較して短くなる。この金属管Wの短くなった
分が拡管部に吸収され、拡管部の肉厚は素材以上のもの
が得られる。このように、拡管部が減肉していないこと
で、従来のバルジ加工品と比較して強度が増している。
【0013】
【実施例】以下、本発明の加工装置の一実施例を図面に
基づいて説明する。この拡管装置1は、床上に載置され
るベース2の側部に一対の側板3を立設し、その上部に
平面視において長方形のフレーム4が設けられている。
このフレーム4の前端部には、一方の回転保持体である
駆動回転部5が設けられている。
【0014】駆動回転部5は、フレーム4の左右方向の
部材5aに固着された支持筒体6内に円筒状の保持筒7
が回転自在に支承され、該保持筒7の端部には従動歯車
8が取り付けられている。保持筒7の内部には、金属管
Wを保持するチャック部材としてチャックスリーブ9が
嵌め込まれている。チャックスリーブ9の芯部には金属
管Wが嵌合する保持孔9aが設けてあり、該チャックス
リーブ9前端部には前後方向のスリット9bが設けられ
ている。このスリット部9bに固定部材10,10を取
付、ボルト11,11を締め付けることによって、金属
管Wを保持する構成である。
【0015】上記支持筒体6の下方には駆動源であるモ
ータ12が設置されており、その出力軸に取り付けた駆
動歯車13が上記従動歯車8と噛合している。
【0016】前記駆動回転部5に対向するように他方の
回転保持体である従動回転部14が設けられている。該
従動回転部14は、フレーム4の上縁部に設けたレール
部15に沿って前後にスライドする摺動体16を備え、
該摺動体16の端部にはリング状の回動フレーム17が
軸18によって枢着されている。この回動フレーム17
には従動側の支持筒体19が固着されており、該支持筒
体19の内部に保持筒20が回転自在に支承されてい
る。この保持筒20の内部には、上記駆動回転部5のチ
ャックスリーブ9と同様なワーク保持用のチャックスリ
ーブ21が嵌合している。チャックスリーブ21の芯部
には保持穴21aが設けられ、該保持穴21aの後端部
には前後方向のスリット21bを設け、該スリット21
bを固定具22で締め付け、金属管Wを保持する構成で
ある。
【0017】摺動体16の後部には送り装置23が設け
られている。この送り装置23は、従動回転部14を駆
動回転部5に対し接近・離反する方向に前後移動させる
送り手段をなすもので、摺動体16の後端部にブラケッ
ト24が設けられ、該ブラケット24に軸受25が設け
られている。また、フレーム4の後端部の横枠26には
通孔26aが設けられるとともに、前側には送り手段を
構成する筒体27が固着されている。この筒体27には
前後方向のスリット27aが設けられ、内部には前後方
向のネジ穴を備えた移動ブロック28が、その上端部に
設けた突起28aを前記スリット27aから突出させた
状態で前後移動自在に嵌合している。
【0018】前記ブラケット24の軸受25と横枠26
とによって、送りロッド29が軸回りに回転自在に支持
されている。この送りロッド29の外周部には雄ネジが
設けられ、これに前記移動ブロック28が螺合してい
る。送りロッド29の前端部には抜け止め用のリング3
0が取り付けられ、後端部にはハンドル31が取り付け
られている。
【0019】従動回転部14の下方には加圧装置32が
設けられている。この加圧装置32は、前記従動回転部
14を駆動回転部5に向かって押圧する加圧手段を構成
するもので、ベース2上に流体ジャッキである油圧ジャ
ッキ33が設置されている。この油圧ジャッキ33の前
寄り上部には軸34によって上下に回動自在に支持され
たカム35が設けられている。カム35の前部には前記
従動回転部14の摺動体16後部に係合する係合部35
aが形成されている。また、カム35の後部側には前記
油圧ジャッキ33のピストンロッドに当接して該ジャッ
キの押し上げ力を受ける受部36が設けられている。
【0020】前記従動回転部14には、該従動回転部1
4を上下に回動させる偏倚手段として偏倚装置37が設
けられている。この偏倚装置37は、上記従動回転部1
4の支持筒体19に固着したナット部材38と、該ナッ
ト部材38に螺合するネジ棒39とを備えている。ネジ
棒39の下端部は前記摺動体16に当接しており、その
上端部にはハンドル40が取り付けられている。このハ
ンドル40を回すと、ネジ棒39が回転するが、当該ネ
ジ棒39の下端部は摺動体16上面に当接しているの
で、ネジ棒39自体は上下動せず、これに螺合している
ナット部材38が支持筒体19とともに上下動する。こ
れにより、従動回転部が軸を中心として上下に回動する
のである。
【0021】この拡管装置の使用に際しては、まず駆動
回転部5と従動回転部14を互いの保持筒7,20の軸
線が同一線上に位置するように配置する。すなわち、偏
倚装置37による角度付加を解除した状態としておく。
次に駆動回転部5のチャックスリーブ9と従動回転部の
チャックスリーブ21に金属管Wを挿入して保持する。
このとき、拡管部とする箇所をチャックスリーブ9の後
端部にあわせ、固定部材10をスリット9bの位置に配
し、ネジ11でチャックスリーブ9を締め付け、金属管
Wを保持する。
【0022】然る後、送り装置23によって駆動回転部
5のチャックスリーブ9と従動回転部14のチャックス
リーブ21の間隔を所定の間隔Dとする。この間隔D
は、所望の拡管が得られる距離であり、予め試験を行っ
て決定しておく。この間隔調節は、ハンドル31を操作
して移動ブロック28をその突起28aがスリット27
aの後端部に当接するまで後進させた後、さらにハンド
ル31を回して送りロッド29を徐々に前進させること
により行う。送りロッド29の先端部は摺動体16に接
続されているので、従動回転部14がレール15に沿っ
て前進する。そして、所定の間隔Dとした後、駆動回転
部のチャックスリーブのスリット21bに固定部材22
を付け、金属管Wを保持する。
【0023】次に、加圧装置32で金属管Wを軸心方向
に加圧し、駆動手段であるモータ12を作動させる。こ
の加圧は、油圧ジャッキ33を作動させ、カム35を矢
印X方向に回転させることによって行う。また、モータ
12を作動させると、チャックスリーブ9,21に保持
された金属管Wが回転する。すなわち、金属管Wは軸方
向に圧縮されつつ、回転している。この時の回転速度は
毎分数回乃至数百回程度でよい。この後に、偏倚装置3
7により金属管Wに曲げを加える。この時の曲げ角は3
〜7度程度で良い。
【0024】なお、一実施例として外径22.2ミリメ
ートル肉厚1.6ミリメートルの機械構造用炭素鋼管の
中間部に外径27ミリメートル幅7ミリの拡管部を形成
する場合には、回転数を毎分4回転そして曲げ角度6度
さらに圧縮力を1〜2トン作用させる条件で拡管でき
る。
【0025】上記加圧、回転、曲げによりチャックスリ
ーブ9,21の間隔部分が圧縮され拡管が行われる。こ
の拡管の進行により、初期間隔Dは狭くなるがこの間も
加圧し続ける。この時、加圧状態がとかれると金属管W
の間隔D内で曲げ伸ばしが繰り返される状態となり、金
属管Wの破断が起きてしまう。所望の拡管が行われた
ら、回転と加圧を継続しつつ偏倚装置37を元の状態に
復帰させ、金属管Wを直線化する。この時もなお、加圧
し続ける。これにより、中間部が拡管した直線上の金属
管Wが得られる。そこで、回転と加圧を停止し、金属管
Wをチャックスリーブ9,21から取り外す。
【0026】金属管Wは、両側のチャックスリーブ9,
21に当初はゆるく嵌合していたが、上記回転、曲げ、
圧縮により拡管部近傍がチャックスリーブ9,21にき
つく嵌まり込んだ状態となっている。そのため、金属管
Wの取出しは、次のように行う。まず、油圧ジャッキ3
3を後方にスライドさせ、カム35を反X方向に下げ
る。そして固定部材22を緩め、送り装置23によっ
て、駆動回転部5と従動回転部14を離間させ、チャッ
クスリーブ21から金属管Wを抜き取る。ピン41を抜
き、フレーム4と横枠26の固定を解除し、従動回転部
14を後方にスライドさせ金属管Wを抜き取る。然る
後、固定部材10を緩め、駆動回転部5側からも金属管
Wを抜き取ればよい。
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の金属管
の拡管方法及び装置によれば、金属管の減肉を生じさせ
ずに拡管部を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拡管装置の一例を示す側断面図
【図2】その平面図
【図3】その動作を示す要部の側断面図
【図4】拡管加工の第一工程(金属管の装填状態)を示
す要部側断面図
【図5】拡管加工の第二工程(金属管に回転と圧縮及び
曲げを作用させた状態)を示す要部側断面図
【図6】拡管加工の第三工程(第二工程を続けた状態)
を示す要部側断面図
【図7】拡管加工の第四工程(金属管に回転と圧縮を作
用させながら、曲げを戻した状態)を示す要部側断面図
【図8】拡管状態を示す拡管部の断面図
【符号の説明】
1 拡管装置 5 駆動回転部 14 従動回転部 23 送り装置 32 加圧装置 37 偏倚装置 W 金属管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する一対の回転保持体で直線
    上の金属管を適当な間隔Dをおいて掴み、該金属管に軸
    回りの回転を加えた状態で、前記回転保持体の少なくと
    も一方を他方に接近する方向に移動させるとともに、両
    回転保持体の何れかを他方の回転保持体の軸線と交差す
    る方向へ徐々に偏倚させることにより、曲げの内側と外
    側において常に圧縮応力が作用する条件下で回転中の金
    属管に圧縮力と曲げ力を作用させ、両回転保持体間の金
    属管に拡管方向の塑性変形を生じさせた後、曲げの内側
    と外側において圧縮応力が作用する条件を保ったまま前
    記偏倚を徐々に復元させることにより、金属管の中間部
    に拡管部分を形成することを特徴とする金属管の拡管方
    法。
  2. 【請求項2】 互いに対向するとともに少なくとも一方
    が他方の軸線に交差するように回動自在な一対の回転保
    持体を設けるとともに、少なくとも一方の回転保持体を
    他方の回転保持体に接近及び離反する加圧あるいは送り
    手段と、少なくとも一方の回転保持体を回転駆動する駆
    動手段と、少なくとも一方の回転保持体を他方の軸線に
    交差するように回動させる偏倚手段を設けたことを特徴
    とする金属管の拡管装置。
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