JP2000239101A - ラット精子の凍結保存法 - Google Patents

ラット精子の凍結保存法

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JP2000239101A
JP2000239101A JP11039361A JP3936199A JP2000239101A JP 2000239101 A JP2000239101 A JP 2000239101A JP 11039361 A JP11039361 A JP 11039361A JP 3936199 A JP3936199 A JP 3936199A JP 2000239101 A JP2000239101 A JP 2000239101A
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rat
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liquid
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Naomi Kashiwazaki
直巳 柏崎
Masao Shino
正雄 紫野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラットの精子の凍結保存方法の提供。 【構成】 ラットより採取した精子を室温においてpH
を6.8−7.3の範囲に保つ緩衝剤,浸透圧調整剤、
電解質、栄養源、精子膜保護成分、および細菌抑制剤を
含む一次希釈液に浮遊させ、これを15℃の恒温器に1
0分間以上24時間以内および2−10℃に10分間以
上24時間以内放置し、次いで細胞の凍結障害を防止す
るための保護剤を添加してある二次希釈液を前記精子浮
遊一次希釈液と同じ温度である2−10℃に冷却してお
き、この二次希釈液を前記精子浮遊一次希釈液に加え、
撹拌し、この撹拌後の液をストロー法またはペレット法
により凍結するラット精子の凍結保存法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラットの精子の凍
結保存方法に関する。特に、一次希釈前に遠心分離処理
及び洗浄処理をしないラットの精子の凍結保存方法に関
する。
【0002】
【従来技術】精液の長期保存法には、大きく1)液状保
存法と2)凍結保存法があり、後者の方法は精液の異化
代謝がほとんどゼロであるから、半永久的な精液の保存
を可能にする。ウシ、ブタ、ヒツジ、マウスなどの哺乳
動物精子の凍結保存は、ハプロイドゲノム(haploid ge
nome)の遺伝子資源保存法として非常に重要であり、ト
ランスジェニツクなどの系統や希少種の効率的な保存、
増殖へ応用されている。また、ヒトにおいては不妊治療
法として確立されている。一方、トランスジェニックラ
ットは、医学領域、特に生理学や栄養学などの分野で実
験動物として非常に重要であり、また糖尿病や高血圧な
どの疾患モデル動物としても貴重な動物であるが、いま
だにその精子凍結保存法が開発されていないため、これ
らの特定の形質を有するラットを飼育、繁殖させて維持
しなながら、利用しなければならなかった。
【0003】また、従来の家畜精液の凍結保存において
は、精漿中の成分に凍結融解後の精子の生存性に悪影響
を及ぼす因子が存在すことことから、精子採取後に精液
を500−1000gで遠心分離処置して精漿を除去し
て精子を洗浄する処置がおこなわれている。さらにこの
洗浄に用いられる洗浄液と凍結する際の精液希釈液(一
次希釈液)を置き換えるために、同様な遠心分離処置を
精液に施す。このように精液の凍結保存の過程には、精
液に対する物理的刺激や衝撃を与える機会が多いが、ウ
シ、ブタ、ヒツジ、マウスなどでは精子の運動性に対す
る影響は少なく、凍結融解後の精子の運動性は、利用上
問題がない。ところが、ラットにおいては前記動物類の
精子で採用されている凍結保存法では、精子の保存が不
可能であり、ラットにおいては精子の凍結保存はできな
いと思われてきた。また、これまでにラットの精子の凍
結保存の報告はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ラットの精子を凍結保存する方法を確立し提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記目的
の検討の中で、ラットの精子は前記動物類の精子に比べ
遠心分離などの物理的刺激や衝撃に対して敏感であるの
ではないかと考え、従来の精子の凍結保存において通常
採用されていた上記の方法を、物理的刺激や衝撃を与え
る、遠心分離処理や洗浄処理をなくした凍結処理及び融
解処理を試みたところ、驚くべきことに、ラットの精子
の凍結保存が可能であることが分かった。本発明の要旨
は、ラットより採取した精子を室温においてpHを6.
8−7.3の範囲に保つ緩衝剤、浸透圧調整剤、電解
質、栄養源、精子膜保護成分、および細菌抑制剤を含む
一次希釈液に浮遊させ、これを15℃の恒温器に10分
間以上24時間以内および2−10℃に10分間以上2
4時間以内放置し、次いで細胞の凍結障害を防止するた
めの保護剤を添加してある二次希釈液を前記精子浮遊一
次希釈液と同じ温度の2−10℃に冷却しておき、この
二次希釈液を前記精子浮遊一次希釈液に加え、撹拌し、
この撹拌後の液をストロー法またはペレット法により凍
結することを特徴とするラット精子の凍結保存法であ
り、好ましくは、前記精子を浮遊した撹拌後の液を空間
を保持して充填した容器を液体窒素の表面から1−4c
mの範囲で離れたところで2−60分間放置した後液体
窒素中へ投入する前記ラット精子の凍結保存法、または
精子を浮遊した撹拌後の液体をドライアイス小穴に滴下
して冷却して−80℃へ冷却させ、その温度に2−20
分間放置後液体窒素中へ投入する前記ラット精子の凍結
保存法である。本発明者等は、遠心分離処理や洗浄処理
をなくし、希釈剤の組成、添加される抗生物質、冷却条
件および冷凍条件などを適当に組み合わせることによ
り、前記課題を解決したものである。
【0006】
【本発明の実施の態様】本発明を詳細に説明する。 ラット精子の採取について。 精子は生後12−15週齢の成熟雄ラット、特にSD
系:Spraque-Dawley系ラットの精巣上体から採取され
る。採取方法には、例えば前記雄ラットに麻酔をかけ、
と殺後、その精巣上体を摘出して、室温下(23−25
℃)の一次希釈液中で遊離させ精子を浮遊させるもの、
および雄ラットをエーテルにて麻酔する際に射精する現
象を利用し、雄を殺さずに精子を採取するものがある。
前記この一次希釈液としては以下の表1に示す卵黄液が
好ましいが、この他に一般に組織培養や体外受精あるい
はヒト、ウシ、マウスなどの精液凍結希釈用の液を使用
することができる。
【0007】
【表1】
【0008】希釈液または保存液は、基本的には精漿に
替わるin vitroでの精子の保存媒質であるから、精漿の
pH,浸透圧、緩衝作用、電解質、栄養源をもち、更に
精子膜保護の卵黄などのリポタンパク質成分(卵黄に代
えて牛乳や脱脂粉乳が使われる場合もある。)、細菌抑
制剤として抗生物質などを含む。凍結保存に際しては細
胞の凍結障害を防止するための保護剤、例えばグリセリ
ンなど添加した二次希釈液を配合する必要がある。
【0009】二次希釈液へ添加される前記グリセリンに
代えて、他の凍結保獲物質、例えばDMSO、エチレン
グリコール、プロパンディオール、エタノール、アセト
アミド、ショ糖、トレハロース、ポリビニールプロピド
ン、ラフイノース、グルコース、スキムミルク、血清、
BSAなどを適当な濃度で添加したものが使用される。
また、細菌抑制剤としては種々の抗生物質、例えばペニ
シリン、ストレプトマイシンなどが使用できる。二次希
釈剤の基本組成には、一次希釈剤で使用されている組成
を採用することができ、二次希釈剤の配合量は一次希釈
剤とほぼ等量である。
【0010】凍結操作。 精液を凍結保存するためには、精子を0℃前後まで冷却
し、媒質が氷結する0℃以下を精子の採取時の運動能や
受精能を損なうことなく通過し、液体窒素の−196℃
まで冷却させることが必要である。従って、ラットの精
液の凍結操作においても、上記冷却時の低温衝撃及び凍
結時の氷晶形成から精子を保護するために、前記希釈液
の組成、例えば従来ブタの精子の凍結保存に使用されて
いた希釈液組成を選択し、冷却条件や凍結条件を適当に
選択することが必要がある。また、保存方法としては、
ストロー法やペレット法などが有り、ストロー法では、
プラスチックストロー、すなわち0.25ml、0.5
mlまたは、1.0mlのストローへ吸入し、空間を設
けてストローパウダー等で封入する。なお、本明細書に
おいてストローとは、二次希釈剤を配合し、混合して形
成された液を冷凍のために収容できる容器を意味し、カ
プセル、プラスチックストロー、ガラス細管などを挙げ
ることができる。前記封入したストローは液体窒素の液
面から2cm(1−4cmの範囲で選択しうる。この位
置の温度はおおよそ−170℃)離れたところで約10
分間(2−60分間)放置した後、液体窒素中へ投入す
る。また、ペレット法では二次希釈液添加後の最終希釈
液を少量、例えば0.01−2.0ml、をドライアイ
ス小穴に滴下して冷却して−80℃へ冷却させ、その温
度に数分(2−20分)放置後、液体窒素中へ投入す
る。
【0011】
【実施例】実施例1 SD系の成熟雄ラットを麻酔、と殺後、その精巣上体を
摘出し、室温下の一次希釈液中にて切り刻み、精子を浮
遊させた。この精子浮遊液を15℃の恒温器に入れ30
分間放置し、その後さらに4−5℃の冷蔵庫へ入れ30
分間放置して冷却した。なお、この15℃および4−5
℃の放置時間は、それぞれ10分間以上24時間以内で
あればかまわない。あらかじめ一次希釈液に約6%(v
/v)(1−10%の範囲で選択しうる。)のグリセリ
ンおよび約1.4%(v/v)(0.5−4.0%の範
囲で選択しうる)のOEP(オーバスエスペースト)
(NOVA CHEMICAL SALES, INC., MA, USAの界面活性剤)
を添加した二次希釈液を4−5℃の冷蔵庫にて冷却して
おく。こうすることで、凍結融解後の精子の運動性を改
善することができる。そして精子浮遊希釈液を4−5℃
へ冷却後、4−5℃の二次希釈液をその精子浮遊一次希
釈液と等量だけ加え撹拌した。この液を0.25と0.
5mlのプラスチックストローヘ封入し、液体窒素の液
面から1−4cmにて数分間から20分間保持して(ス
トロー法)、もしくはドライアイス小穴に滴下する(ベ
レット法)ことにより冷却し、その後、このストローも
しくはドライアイス上のベレットを液体窒素中へ浸漬し
て凍結保存する。
【0012】前記各方法で凍結したラットの精液を溶解
し、凍結融解精子の受精能力を調べた。前記ストロー法
では、液体窒素中に保存したストローを35℃の温水中
で10秒間振とうさせて融解した。融解後、1ml前後
の凍結精液精子を適切に希釈しうる精子希釈液(以下、
凍結精子融解液という。)、例えば、RIECM;Miyo
shi et al.,1993、に記載の一般的な胚の培養液もし
くは組織培養液でもかまわない、中ヘストロー内の精子
浮遊液を注入した。ペレット法では、38℃の凍結精子
融解液1mlへ0.05mlの凍結精液ペレットを直接
投入して融解した。融解精子は、融解直後、30分後、
1時間後、2時間後、3時間後、4時間後に精液性状検
査盤(冨士平社製)にて活力を顕微鏡的に観察し、精子
生存指数を求めた。この精子生存指数とは精子の運動力
に+++、++、+、±を与え、各運動力に対し、++
+に100、++に75、+に60、±に25の係数を
与え、それぞれの当該の生存率に乗じ、得られた数値を
合計して100で割ることによって求められる。その結
果を、ストロー法については、表2に、そしてペレット
法については、表3に示す(但し、融解30分後までの
データ)
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】結果・考察:前記表2、表3から、ストロ
ー法およびペレット法いずれの方法においても凍結融解
後、運動性を示す精子が得られことが理解される。
【0016】凍結融解精子の受精能力の確認。 前記ストロー法により凍結保存したラット精液の凍結融
解した精子の受精能力を判定する目的で、擬妊娠を誘起
させた雌ラット(10−20週齢)の子宮へ0.05m
lの凍結融解精液(総精子数:3−5×106)を外科
的に注入した。精液注入後19−20日目に、これらの
雌を麻酔して開腹し、子宮内の胎子の存在を確認した。
その結果を表4に示す。
【0017】
【表4】
【0018】前記表4のように、凍結融解精子が正常な
受精能を有するかどうかを子宮への注入による人工授精
によって調べたところ、形態上正常な生存胎子がえられ
た。以上の結果から、本発明のラット精子の凍結保存法
により、凍結融解後のラットの精子は正常な受精能を有
し、19−20日齢の胎子へ発育することが明らかにな
った。本発明のラットの精子凍結保存法が有用であるこ
とが分かる。
【0019】また、ラット精子の遠心分離処置による物
理的刺激がラットの精子に与える影響について調べるた
めに表5に示す実験をした。ラット精子は物理的刺激に
対して弱く、その運動性を低下させることが明らかにな
った。
【0020】
【表5】
【0021】ちなみに、ブタの精子の遠心分離処理の影
響を前記ラットの精子と同じ条件で調べたところ、精子
生存指数は、前記処理をしない方が低かった。このこと
は、ラットの場合とは反対に、精漿の影響の方が大きい
ことを示している。
【0022】
【発明の効果】以上、述べたように、ラットの精子にお
いても凍結保存が可能であることの発見、及びラットの
精子の凍結保存方法の確立および提供は、医学領域、特
に生理学や栄養学などの分野における実験動物として、
また糖尿病や高血圧などの疾患モデル動物としても貴重
なラットの維持を容易にし、その供給をも容易にすると
いう効果がもたらされる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラットより採取した精子を室温において
    pHを6.8−7.3の範囲に保つ緩衝剤,浸透圧調整
    剤、電解質、栄養源、精子膜保護成分、および細菌抑制
    剤を含む一次希釈液に浮遊させ、これを15℃の恒温器
    に10分間以上24時間以内および2−10℃に10分
    間以上24時間以内放置し、次いで細胞の凍結障害を防
    止するための保護剤を添加し、前記精子浮遊一次希釈液
    と同じ温度である2−10℃に冷却した二次希釈液を前
    記精子浮遊一次希釈液に加え、撹拌し、この撹拌後の液
    をストロー法またはペレット法により凍結することを特
    徴とするラット精子の凍結保存法。
  2. 【請求項2】 精子を浮遊した撹拌後の液を空間を保持
    して充填した容器を液体窒素の表面から1−4cmの範
    囲で離れたところで2−60分間放置した後液体窒素中
    へ投入することを特徴とする請求項1に記載のストロー
    法によるラット精子の凍結保存法。
  3. 【請求項3】 精子を浮遊した撹拌後の液をドライアイ
    ス小穴に滴下して冷却して−80℃へ冷却させ、その温
    度に2−20分間放置後液体窒素中へ投入することを特
    徴とする請求項1に記載のラット精子の凍結保存法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007537727A (ja) * 2004-03-29 2007-12-27 モンサント テクノロジー エルエルシー 受精で用いられる精子分散液
JP2009022214A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Obihiro Univ Of Agriculture & Veterinary Medicine イヌ精子の凍結保存剤および凍結保存方法
JP2009148218A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Meiji Univ 生殖細胞用デバイス及び生殖細胞凍結保存方法
CN105010305A (zh) * 2015-07-02 2015-11-04 宁波市海洋与渔业研究院 马鲛鱼精液的超低温冷冻保存方法

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