JP2000239219A - 脂肪族アルデヒド酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸の製造方法及び製造用触媒 - Google Patents

脂肪族アルデヒド酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸の製造方法及び製造用触媒

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JP2000239219A
JP2000239219A JP11361866A JP36186699A JP2000239219A JP 2000239219 A JP2000239219 A JP 2000239219A JP 11361866 A JP11361866 A JP 11361866A JP 36186699 A JP36186699 A JP 36186699A JP 2000239219 A JP2000239219 A JP 2000239219A
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catalyst
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Katsu Fujii
克 藤井
Toru Setoyama
亨 瀬戸山
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状ケトンの酸化による脂肪族アルデヒド酸
及び/又は脂肪族ジカルボン酸、特にシクロヘキサノン
の酸化によるアジポアルデヒド酸及び/又はアジピン酸
の新規な製造方法を提供する。 【解決手段】 担体に周期表第4族から第11族に属す
る少なくとも1種の金属元素を担持させた複合体からな
り、且つゼオライト単位重量あたり酸量が0.06mmol
/g以上である固定化触媒の存在下、環状ケトン(例え
ばシクロヘキサノン)を分子状酸素により酸化すること
よりなる脂肪族アルデヒド酸(アジポアルデヒド酸)及
び/又は脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸)の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状ケトンの酸化
による脂肪族アルデヒド酸、特にアジポアルデヒド酸
(5−ホルミルペンタン酸)及び/又は脂肪族ジカルボ
ン酸、特にアジピン酸の製造法及びその製造に有用な触
媒に関するものである。詳しくは周期表第4族から第1
1族に属する金属元素、例えば鉄を担体、特にゼオライ
ト担体に固定化した特定の酸性度を有する触媒(以下、
固定化触媒或いは単に触媒ともいう)、及びそれを使用
し環状ケトン、例えばシクロヘキサノンを酸化しアジポ
アルデヒド酸及び/又はアジピン酸を製造する方法に関
するものであり、更にアジポアルデヒド酸をε−カプロ
ラクタムに誘導する方法も提供するものである。
【0002】
【従来の技術】アジポアルデヒド酸は合成中間体として
有用な化合物であり、その製造方法としては、例えば、
シクロヘキサノンを水及び銅化合物の存在下、分子状酸
素により酸化する方法(特公昭47−26768号公
報)、シクロヘキサノンを水及び反応系に可溶な鉄また
はイリジウム化合物の存在下、分子状酸素により酸化す
る方法(特公平4−2583号公報)などが知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法において使用されている触媒はいずれも液相中に
可溶な鉄化合物、イリジウム化合物或いは銅化合物であ
るので、工業的に実施する場合、以下のような三つの問
題点を有している。まず第一に、シクロヘキサノンの酸
素による酸化反応系内では、鉄を含有する均一系触媒を
用いる場合、長時間使用することにより鉄原子同士が酸
素原子を介して重合、不活性な水酸化鉄、塩基性水酸化
鉄、酸化鉄などを生じ、経時的に活性が低下する。第二
には、銅もしくはイリジウムを含有する均一系触媒では
反応速度が低く、生産性に劣る。第三には、金属の対イ
オンがハロゲン類である化合物を触媒として用いると一
般に活性は高いが、その場合には、系中にハロゲンが存
在するため耐食性の高い材質の反応器、配管等の装置が
必須となり、製造コストが上昇するのを余儀なくさせら
れる。
【0004】
【謀題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、担体、特にゼ
オライト担体に周期表第4族から第11族に属する金属
元素、例えば鉄を担持させた、特定の酸性度を有する複
合体は、分子状酸素の共存下、不均一反応系で環状ケト
ンの酸化による脂肪族アルデヒド酸及び/又は脂肪族ジ
カルボン酸の生成反応、特にシクロヘキサノンを酸化し
てアジポアルデヒド酸及び/又はアジピン酸を生成する
反応に対し安定した活性を発現することを見出し本発明
に達した。
【0005】即ち、本発明は、環状ケトンの酸化による
脂肪族アルデヒド酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸、特
にシクロヘキサノンの酸化によるアジポアルデヒド酸及
び/又はアジピン酸の新規な製造方法を提供することに
あり、その要旨は、担体に周期表第4族から第11族に
属する少なくとも1種の金属元素を担持させた複合体か
らなり、且つ担体単位重量あたり酸量が0.06mmol/
g以上である固定化触媒の存在下、環状ケトンを分子状
酸素により酸化することを特徴とする脂肪族アルデヒド
酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸の製造方法に存する。
【0006】又、本発明は、環状ケトンの酸化による脂
肪族アルデヒド酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸、特に
シクロヘキサノンの酸化によるアジポアルデヒド酸及び
/又はアジピン酸を製造するための触媒に係わり、その
要旨は、担体に周期表第4族から第11族に属する少な
くとも1種の金属元素を担持させた複合体からなり、且
つ担体単位重量あたり酸量が0.06mmol/g以上であ
ることを特徴とする固定化触媒に存する。
【0007】本発明の更なる要旨は、シクロヘキサノン
を、担体に周期表第4族から第11族に属する少なくと
も1種の金属元素を担持させた複合体からなり、且つ担
体単位重量あたり酸量が0.06mmol/g以上である固
定化触媒の共存下、分子状酸素により酸化してアジポア
ルデヒド酸を含有する酸化反応物を生成し、次いで酸化
反応物から得られたアジポアルデヒド酸を水素化触媒の
存在下、アンモニア及び水素と反応させて6−アミノカ
プロン酸を生成し、生成した6−アミノカプロン酸を加
熱して閉環反応によりε−カプロラクタムに変換するこ
とよりなるε−カプロラクタムの製造方法である。
【0008】本発明の好ましい態様は、上記固定化触媒
において、担体がゼオライトであり、担体に担持させる
周期表第4族から第11族に属する金属元素が、鉄、銅
及びイリジウムから選ばれるもの、特に鉄錯体であるこ
とよりなる触媒、及びその触媒と水の共存下酸化する脂
肪族アルデヒド酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸、特に
アジポアルデヒド酸及び/又はアジピン酸の製造方法で
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において担体として使用されるものとしては、粘
土やイオン交換樹脂、金属酸化物等が挙げられるが、好
ましくはゼオライトが用いられる。ゼオライトとして
は、その結晶構造については特に制約はないが、ゼオラ
イト構造を構成するチャンネルについて、酸素8員環を
越える大きさのものを少なくとも一方向に持つものが好
ましい。さらに好ましくは同じ条件を満たすチャンネル
が二方向以上、最も好ましくは三方向以上持つゼオライ
トが担体として適当である。具体的にIZA(Internat
ional Zeolite Association)の勧告にしたがった骨格
構造タイプで表すと、FAU、ERI、FER、BE
A、MOR、MWW、MTW、MFI、MELなどが好
ましい。
【0010】本反応の固定化触媒においては、担体は固
体酸性を有することが重要であり、そのためゼオライト
の場合には、ケイ素、酸素以外の骨格を形成する元素と
して、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ホウ素、
鉄、チタン、亜鉛、マンガン、クロム、コバルト、バナ
ジウム、ジルコニウムといった群からなる元素(以下、
これらの元素をまとめてM元素と称する)の如き酸点を
形成する元素のうち少なくとも一種類を含まなければな
らない。このM元素は同時に二種類以上ゼオライト骨格
中に存在してもかまわない。その他、ケイ素の同型置換
元素としてゲルマニウム、スズなどを含むものを用いる
こともでき、これらの元素を同時に二種類以上存在して
いてもよい。
【0011】担体となるゼオライトの比表面積について
は、好ましくは50〜1500m2/g、より好ましくは100〜
1300m2/g、最も好ましくは150〜1200m2/gがよ
い。同じくゼオライトの平均粒子径については、このも
のが小さすぎると触媒分離性が悪くなり、大きすぎると
外表面積が小さくなり反応基質や目的生成物等の拡散律
速が大きくなるという理由から、好ましくは0.01μ
m〜10μm、より好ましくは0.02μm〜8μm、
最も好ましくは0.03μm〜6μmがよい。この場合
の平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡によって観察され
る結晶の観察面に投射された面積を、その等面積円形に
変換したときのその円径の数平均値のことをさす。
【0012】また本発明において使用する固定化触媒
は、担体としてゼオライトを使用する場合には、ゼオラ
イト骨格を形成する元素以外に少なくとも周期表第4族
から第11族に属する少なくとも一種の金属元素を含ま
なければならない。金属元素として具体的にはチタン、
クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、イリ
ジウムなどが挙げられるが、その中でも鉄、銅、イリジ
ウムが好ましく、さらに鉄が最も好ましい。また、これ
らの元素を二種類以上同時に含んでもよい。
【0013】本発明の固定化触媒は、担体としてゼオラ
イトを使用する場合には、周期表第4族から第11族に
属する金属元素以外にゼオライトの一部が対カチオンと
して、プロトン、リチウム、ナトリウム、カリウム、ル
ビジウム等の第1族元素、マグネシウム、カルシウム、
ストロンチウム等の第2族元素、亜鉛などの第12族元
素、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、などの第13族
の元素、あるいはアンモニウムイオン、テトラエチルア
ンモニウムイオン等に置換されていてもよい。しかしな
がら、ナトリウム等の金属元素、もしくはアンモニウム
イオンなどの置換量が多くなると、担体の酸性度が低下
するので、例えば担体がFAU型ゼオライトの場合で
は、Na/Al(モル比)が通常0.25以下、好まし
くは0.15以下である。これらの第4族から第11族
までの金属元素以外の元素では、プロトンならびにアル
ミニウムが好ましく、さらにプロトンが最も好ましい。
【0014】担体に担持させる第4族から第11族に属
する金属元素の量は、元素によりその最適値が異なる
が、例えば鉄を例に挙げると、鉄元素として担体に対す
る重量比で0.001%〜60%、好ましくは0.00
5%〜50%、さらに好ましくは0.01〜40%の範
囲がよい。この範囲を超えて担持量が少なすぎると十分
な反応活性が得られず、他方多すぎても触媒作用以外に
低分散状態の水酸化物、酸化物等の不活性な副生物を生
ずる場合もあるので好ましくない。
【0015】ゼオライト等の担体に第4族から第11族
に属する金属元素を担持させる方法としては特に制約は
なく、触媒調製法として一般に使用されている方法から
適宜採用することができる。鉄を例に挙げると、溶媒に
可溶な鉄化合物を用いた液相イオン交換法、鉄化合物と
ゼオライトを粉体混合した後に熱処理することによって
鉄を導入する固相イオン交換法、ゼオライトの細孔容積
とほぼ同等な体積の鉄を含む溶液を用いて含浸、溶媒留
去によって鉄を担持させるポアフィリング法、揮発牲の
鉄化合物の蒸気とゼオライトを接触させ、その後熱処理
によりゼオライト細孔内で鉄もしくは鉄の酸化物クラス
ターを成長させる方法などを含め、種々の方法を用いる
ことができる。液相イオン交換法、ポアフィリング法で
用いる溶媒には鉄化合物を溶かすことができれば特に制
約はなく、水、メタノール、エタノール、トルエンなど
様々なものを用いることができる。本発明の担体に第4
族から第11族に属する金属元素を担持させた複合体か
らなる固定化触媒は、その酸性度を後述の酸量滴定法で
測定した場合、担体単位重量あたりの酸量として0.0
6mmol/g以上、好ましくは0.08mmol/g以上、更
に好ましくは0.10mmol/g以上有するものである。
【0016】担体に担持させるために使用する第4族か
ら第11族に属する金属元素を含む化合物についても特
に制約はなく、金属の硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、塩化
物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン
酸塩等の有機酸塩、鉄ぺンタカルボニル等のカルボニル
錯体、フェロセン等の有機金属化合物、1,2−エチレ
ンジアミンやアセチルアセトンなどの有機配位子及び/
又は無機配位子をもつ錯体、並びに錯塩等が挙げられる
が、これらの中、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、臭化物が好
ましい。
【0017】本発明の固定化触媒は、第4族から第11
族に属する金属元素と担体との複合体に、更に有機化合
物を併用してもよい。使用する有機化合物としては、副
生成物の低減と、鉄(元素)の液相中への溶出抑制を目
的とし、具体的には1,2−エチレンジアミン、1,4
−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ピリジン、
4−ピコリン、キノリン、2,2’−ビピリジル、1,
10−フェナントロリン、ジメチルグリオキシム、1,
2−シクロヘキサンジオン・ジオキシム、アセトヒドロ
キサム酸、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリド
ン、エチレンジアミン四酢酸、ポルフィリンなどの含窒
素官能基を有する化合物類、或いは2,2’−ビフェニ
ルジオール、2,3−ブタンジオール、アセチルアセト
ン、2−ヒドロキシアセトフェノンなどの含酸素官能基
を有する化合物類、或いは含窒素官能基と含酸素官能基
を有する化合物類などが好ましい。その中でも2,2’
−ジピリジル、2,2’−ビフェニルジオール、1,1
0−フェナントロリン、アセチルアセトンが好適であ
り、これらを併用することもできる。
【0018】これらの有機化合物を導入する時期、添加
順序は特に制約はなく、担体に対する添加順序に関して
言えば第4族から第11族に属する金属元素の添加と同
時でも、先でも後でもよいが、その中でも第4族から第
11族に属する金属元素を導入した後から添加するのが
好ましい。また有機化合物の添加量に関しては、担体中
の第4族から第11族の金属元素の存在量に対してモル
比で0.001から20、より好ましくは0.01から
10がよい。有機化合物の添加方法に関しても特に制約
はなく、担体に第4族から第11族の金属元素を担持さ
せた後、有機化合物を固体の状態で添加し、減圧及び室
温以上の加熱条件で、担体表面及び/又は内部に導入す
る方法、あるいはメタノールなどの液相中に有機化合物
を溶解させて、担体と接触させる方法などを用いること
ができる。このなかでも固体の状態で接触させる方法が
簡便であり好ましい。
【0019】本発明の固定化触媒において、担体に担持
された第4族から第11族の金属元素は、担体細孔内及
び/又は外表面にて様々な状態をとりうるが、鉄を例に
挙げると、次の(1)及び(2)の状態などであり、こ
れらの両状態は共に存在していてもよい。 (1)鉄イオンとして存在。 鉄が配位子を持つ場合には上記した添加有機化合物の
他、水、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオ
ン、1,2−エチレンジアミンのような鉄を担体に担持
する過程で鉄とともに担体細孔内へ導かれたり、或いは
担体細孔内にもともと存在した分子またはイオンを配位
させていてもよい。さらに一つの有機化合物の配位子が
二個以上の鉄原子を配位させていてもかまわない。 (2)鉄の金属クラスターもしくは鉄の酸化物クラスタ
ー。 この場合も(1)と同様な配位子を有する場合があり得
る。クラスター全体での電荷は0価から3価が好まし
い。また一つのクラスター内に含まれる鉄の原子数に制
約はないが、好ましくは2個から11個である。
【0020】本発明方法では、上記の担体に第4族から
第11族に属する少なくとも1種の金属元素が担持され
固定化触媒を用いて、環状ケトンの酸化開裂反応を行い
脂肪族アルデヒド酸及び/又は脂肪族ジカルボン酸を製
造する。原料として使用される環状ケトンとしては、炭
素数4〜7の飽和脂環式モノケトンであり、具体的には
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノ
ン等が挙げられるが、これらの中、特にシクロヘキサノ
ンが有用である。本発明方法におけるその反応条件につ
き、シクロヘキサノンからアジポアルデヒド酸及び/又
はアジピン酸を製造する例を挙げて示せば以下のとおり
である。
【0021】本発明方法によるアジボアルデヒド酸及び
/又はアジピン酸製造において、水の存在は必ずしも必
須ではないが、水の存在下実施するのが副反応が抑制さ
れるという点で好ましい。水の使用量はシクロヘキサノ
ンに対し、重量比で0.01倍ないし1000倍、より
好ましくは0.05倍ないしは100倍程度、さらに好
ましくは0.1倍ないしは50倍とするのがよい。水の
使用量により反応系のシクロヘキサノンと水との液相は
反応温度下で均一相あるいは懸濁相となるが、本発明方
法を実施するにはそのいずれでもよい。ここで水という
のは反応基質として外部から供給するものだけでなく、
目的とする反応及び副反応によって生じる水も含めたも
のを指し示し、これら全てを合わせた水の量が上述の一
定量の中に入っていればよい。
【0022】固定化触媒の使用量は反応基質である環状
ケトンに対し重量比で0.005以上であることが好ま
しい。上限は、固定化触媒と液相のスラリーが少なくと
も反応条件において流動牲を保つ範囲ならばよい。本発
明方法を実施する際の反応温度としては、かなり広い範
囲から選定することができ、例えば0℃から200℃、
より好ましくは20℃から160℃、最も好ましくは4
0℃から140℃である。圧力は常圧で充分反応を進行
させ得るが、常圧以上に加圧してもよい。これら温度、
圧力の組み合わせは水及びシクロヘキサノンを液体の状
態で保ちうる条件が望ましい。
【0023】反応に使用する分子状酸素源としては純酸
素を用いても、また空気等の希釈された形態で用いても
差し支えない。より低圧で反応を行うためには10%を
越える酸素濃度が好ましく、気相部の爆発限界を考慮す
る場合には希釈ガス中の酸素濃度は1%から10%が望
ましい。酸素を希釈するガスとしては、窒素、アルゴ
ン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム、水素、ブタン、プ
ロパン、エタン、メタンなどが挙げられる。また、酸素
分圧が低すぎると目的とするアジポアルデヒド酸の生産
効率が悪くなり、高すぎると制御しにくい自動酸化など
の副反応が起こり得るため、反応条件下で酸素分圧は、
通常0.01〜2.0MPa、好ましくは0.02〜
1.0MPa、最も好ましくは0.05〜0.5MPa
を保つ必要がある。
【0024】また反応系中に脂肪族炭化水素、芳香族炭
化水素、含酸素有機化合物、含窒素有機化合物、含硫黄
有機化合物、含ハロゲン有機化合物等を存在させてもよ
い。これらの化合物として例えば、ベンゼン、シクロヘ
キセン、1,3−シクロヘキサジエン、ヘキサン、ペン
タン、1,1’−ビシクロヘキシリデン、3−シクロヘ
キシリデンシクロヘキセン、1,1’−ビシクロヘキセ
ニル、1−シクロヘキシルシクロヘキセン、ジシクロヘ
キシルなどの炭化水素類、メタノール、エタノール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、1,2
−エタンジオール、シクロヘキサノール、cis及びtrans
−1,2−シクロヘキサンジオール、cis及びtrans−
1,3−シクロヘキサンジオール、cis及びtrans−1,
4−シクロヘキサンジオール、2−シクロヘキセン−1
−オール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサ
ンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−(1−シ
クロヘキセニル)−シクロヘキサノール、2−シクロヘ
キシリデンシクロヘキサノール、2−シクロヘキシルシ
クロヘキサノール、1−(1−シクロヘキセニル)−シ
クロヘキサノールなどのアルコール類が挙げられる。
【0025】又、アセトン、2−ヒドロキシシクロヘキ
サノン、3−ヒドロキシシクロヘキサノン、1,2−シ
クロヘキサンジオン、2−シクロヘキセン−1−オン、
3−シクロヘキセン−1−オン、1,2−エポキシシク
ロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキセン、2,3
−エポキシシクロヘキサン−1−オン、カプロラクト
ン、6−ヒドロキシヘキサナール、5−ヒドロキシヘキ
サナール、5−ヘキセナール、1,6−ヘキサンジアー
ル、2−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)−シクロヘ
キサノン、2−(2−ヒドロキシシクロヘキシル)−シ
クロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)−シク
ロヘキサノン、2−シクロヘキシリデンシクロヘキサノ
ン、2−シクロヘキシルシクロヘキサノン、ジシクロヘ
キシルエーテルなどの含酸素有機化合物類、ヒドロペル
オキシシクロヘキサン、3−ヒドロペルオキシシクロヘ
キセン、4−ヒドロペルオキシシクロヘキセン、2−ヒ
ドロペルオキシシクロヘキサノン、3−ヒドロペルオキ
シシクロヘキサノン、4−ヒドロペルオキシシクロヘキ
サノン、2−ヒドロペルオキシシクロヘキサノール、3
−ヒドロペルオキシシクロヘキサノール、4−ヒドロペ
ルオキシシクロヘキサノール、などの有機過酸化物類を
挙げることもできる。
【0026】更に、アジピン酸モノメチル、アジピン酸
ジメチル、ペンタン二酸、ペンタン二酸モノメチル、ペ
ンタン二酸ジメチル、ブタン二酸、ブタン二酸モノメチ
ル、ブタン二酸ジメチル、6−ヒドロキシヘキサン酸、
6−ヒドロキシヘキサン酸メチル、5−ホルミル−6−
ヒドロキシウンデカン二酸、5−ホルミル−5−ウンデ
セン二酸、6−(2−オキソシクロヘキシル)−6−ヒ
ドロキシヘキサン酸、6−(2−オキソシクロヘキシリ
デン)−ヘキサン酸、5−(1−ヒドロキシシクロヘキ
シル)−5−ホルミルペンタン酸、5−シクロヘキシリ
デン−5−ホルミルペンタン酸、5−(1−シクロヘキ
セニル)−5−ホルミルペンタン酸などのカルボン酸類
もしくはカルボン酸誘導体類、2−クロロシクロヘキサ
ノンなどの含ハロゲン有機化合物類、2,2’−ビピリ
ジル、2,2’−ビフェニルジオール、1,10−フェ
ナントロリン、アセチルアセトン、ジベンゾ[b、d]
フランなどの触媒に添加した有機化合物由来の化合物類
などが挙げられる。
【0027】またこうした化合物のうち、任意のアルデ
ヒド、ケトンに相当する化合物は、任意のアルコール
類、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノー
ル、1,1−ジメチルエタノール、シクロヘキサノー
ル、2−シクロヘキセノール、2−ヒドロキシシクロヘ
キサノンといった化合物とアセタール及び/又はケター
ル、或いはヘミアセタール及び/又はヘミケタールを形
成して存在していてもよい。さらに任意のアルデヒド又
はケトンに相当する化合物は、任意のアルデヒド又はケ
トンに相当する化合物とともにアルドール縮合、もしく
はアルドール縮合してその後脱水反応によって生成する
化合物を存在させてもよい。この場合、二つのアルデヒ
ド、ケトンに相当する化合物は互いに異なっていてもよ
いし、同じ種類の二つの分子であってもかまわない。ま
た一つの分子内に存在する二つのカルボニル基によっ
て、アルドール縮合もしくはアルドール縮合の後に脱水
反応が生じたことにより生成する化合物が存在していて
もかまわない。また任意の上述のようなカルボン酸類と
任意の上述のようなアルコール類とがエステル化したこ
とによって生じる化合物を存在させてもかまわない。任
意のアルコール類が、エーテル結合することによって生
じた化合物を反応中に存在させてもかまわない。上述し
た化合物のうち、メタノール、エタノール,1−プロパ
ノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタ
ノール、1,1−ジメチルエタノール、1,2−エタン
ジオールを除く化合物は、反応系中に大量に存在すると
副反応が起こりやすく、触媒の活性に悪影響を与えるた
め、反応液中の各化合物の存在量は、通常全液相重量の
20wt%以下、好ましくは10wt%以下、更に好ましく
は5wt%以下とするのがよい。一方、前述のアルコール
類はその合計重量が全液相重量の90wt%まで占めて
いてもかまわない。
【0028】さらに水相中及び/又は有機相中に、第4
族から第11族の金属元素由来のイオン、錯体、クラス
ター、イオン性クラスター、酸化物、イオン性金属酸化
物クラスター、水酸化物、金属酸化物のコロイドなどが
重量パーセント濃度にして15%まで、より好ましくは
10%まで存在していてもよい。この際、金属元素に配
位する配位子及び金属元素の価数に関しては特に制約は
ない。また同じく水相中及び/又は有機相中に、ナトリ
ウムイオン、カリウムイオン等の第1族元素の陽イオ
ン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等の第2族
元素の陽イオン、アルミニウムイオン等の第3族元素の
陽イオン等が、固定化触媒に対する重量パーセント濃度
にして15%まで、より好ましくは10%まで含まれて
いてもかまわない。
【0029】本発明の酸化反応の反応時間あるいは滞留
時間は、反応条件、反応形式等により異なるが、好まし
くは10秒〜10時間、更に好ましくは1分〜7時間で
ある。反応の形式は、回分式、連続式のいずれでもよ
く、反応器の形式も攪拌懸濁床式、固定床式、流動床式
など任意の形式のものを用いることができる。通常は攪
拌懸濁床を用いて連続的に反応を行うのが工業的には有
利である。以下、攪拌懸濁床を用いたシクロヘキサノン
の連続酸化反応の例を挙げて具体的に述べる。
【0030】[反応形式の概要]反応形式は任意である
が、例えば以下のような反応形式を用いることができ
る。反応器に本発明の固定化触媒を収容しておき、水、
シクロヘキサノン及び分子状酸素源となりうる酸素含有
ガスを連続的に反応器に供給し、同時に生成したアジポ
アルデヒド酸やアジピン酸と未反応のシクロヘキサノン
を含む反応混合物を連続的に取り出す。取り出した反応
混合物はガス分離塔でガスを分離し、分離したガスは反
応器へ再循環する。一方、取り出した反応混合物に含ま
れる固定化触媒を含む水層は、有機層と層分離した後に
反応器へと再循環する。目的生成物を含んだ有機層は蒸
留塔へと導かれ、蒸留により未反応シクロヘキサノン
と、目的生成物であるアジポアルデヒド酸やアジピン
酸、副生成物であるその他の化合物類に分離される。回
収したシクロヘキサノンは反応器へと再循環し、不要な
副生成物類はパージすればよい。このとき副生成物群に
有用な化合物が含まれている場合には、この蒸留工程で
その化合物を取り出すことも可能である。なお、反応器
から取り出した水を含む反応混合物の有機層と水層との
分離が不十分で、有機層に不溶な固定化触媒が含まれて
いる場合にはそれを分離し、さらに残った有機層を有機
溶媒によって抽出した上で、有機溶媒層を蒸留塔に導
き、目的生成物等を分離してもよい。
【0031】[原料供給方法] 1.反応の開始時 反応開始後の反応器中には固定化触媒、シクロヘキサノ
ン、酸素を含むガスが少なくとも存在し、反応器への初
期充填の段階でこれら反応原料等を加える順番には特に
制約はない。しかしながら、副生成物の生成を減少させ
るために、反応系中に水を共存させ、なおかつ水非存在
下でシクロヘキサノンと固定化触媒とが接触するのを避
けた方が好ましい。反応に水を用いる場合の具体的な添
加順序としては、次のような態様の混合ならびに充填方
法を用いることが好ましい。 (1−1):反応器に固定化触媒を入れた後、水を加
え、次いでシクロヘキサノンを加える。 (1−2):反応器にシクロヘキサノンを入れ、さらに
水を加え、その後固定化触媒を加える。 (1−3):反応器にシクロヘキサノンを入れ、さらに
予め水と接触させてスラリー状にしておいた固定化触媒
の水分散液を加える。 (1−4):反応器に予め水と接触させてスラリー状に
しておいた固定化触媒の水分散液を加え、さらにシクロ
ヘキサノンを加える。 (1−5):初期充填用の別容器に(1−1)から(1
−4)の方法を用いて固定化触媒、水、シクロヘキサノ
ンを混合して懸濁液を調製し、懸濁したスラリーの状態
で反応器に移送する。
【0032】ここでいう固定化触媒には、粉体としての
性状が保たれている限り、適当量の水が含まれていても
良い。例えばFAUタイプのゼオライトを担体とする触
媒の場合には、ゼオライトと金属元素の複合体の乾燥重
量と等重量までの水を含んでいてもかまわない。なお反
応温度が室温を超える場合、(1−1)から(1−5)
の各方法の任意の段階で加熱を開始してもよい。
【0033】また、反応器に充填する前の固定化触媒、
水、シクロヘキサノンとも別途事前に酸素を含むガスと
接触しておくことが好ましいが、この場合の酸素濃度は
必ずしも反応条件と同じでなくてもよい。さらに反応混
合物の攪拌及び酸素を含むガスの流通は、固定化触媒、
水、シクロヘキサノンの各充填段階、もしくは反応温度
が室温より高い場合には反応器の昇温段階ならびに昇温
終了後の、いずれから開始してもよい。また攪拌と酸素
を含むガスの流通は、必ずしも同時に開始する必要はな
い。
【0034】2.反応継続時 原料(酸素)の供給 酸化反応が進行するにつれ、反応器内のシクロヘキサノ
ン及び酸素が減少するため、これらを補充しながら連続
的に反応するのが好ましい。酸素の供給方法としては、
以下の態様のいずれかを用いることができる。 (2−1):反応器上部にシクロヘキサノン、水等を還
流させるための冷却装置を設置し、その冷却装置におい
て酸素を含むガスをある一定の流量、もしくは、ある一
定の圧を保って流通させ、連続的に酸素を供給する方
法。 (2−2):反応器上部にシクロヘキサノン、水等を還
流させるための冷却装置を設置し、その冷却装置におい
て酸素を含むガスを流通させるが、反応器内の酸素濃度
を測定し、その指示値に応じて酸素を含むガスの流量も
しくは酸素分圧を変化させ、連続的に酸素を供給する方
法。 (2−3):酸素供給口を反応液内に設置した(2−
1)もしくは(2−2)に準ずる方法。 (2−4):反応器内の圧力を一定に保ち、反応の進行
によって圧力が減少した分を純酸素の添加により補償す
る、もしくは、反応器内の酸素濃度を測定し、その指示
値に応じて純酸素又は純酸素と希釈ガスを供給し、反応
器内の全圧ならびに酸素分圧を一定に保つ方法。
【0035】酸素を含むガスを流通させる場合には、酸
素の供給量は「酸素の供給量(mol/h)/シクロヘ
キサノンの供給量(mol/h)」の値が0.01から
200、好ましくは0.05から100の間で行うとよ
い。また酸素を含むガスを反応混合物内に直接供給する
場合には、その供給口の形状及び大きさには特に制約が
ない。供給口は、攪拌軸もしくは攪拌翼に取り付けてあ
ってもかまわないし、それらとは独立して別途設けても
よい。
【0036】原料(シクロヘキサノン)の供給 シクロヘキサノンの反応器への供給方法は、以下の態様
のいずれを用いてもよいが、反応を安定化させるために
(3−1)の方法を用いるのが好ましい。 (3−1):反応器へ間断なく連続的に供給する方法 (3−2):ある間隔時間をおいて間欠的に供給する方
【0037】[反応器]反応器の形式については特に制
約はなく、1槽或いは2槽以上の連続した撹拌槽からな
る反応器や、チューブラー型反応器等、一般的な反応器
を使用することができる。また、反応器材質に関しても
特に制約はなく、反応条件における腐食の進行が著しく
ない限り様々なものを用いることができる。例えばステ
ンレス鋼、ハステロイ、モネル、インコネル、チタン、
チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ニッケ
ル、ニッケル合金、タンタル、フッ素系樹脂を内側にコ
ーティングした材料、各種ゴムを内側にコーティングし
た材料、各種ガラスを内側にコーティングした材料、各
種ガラスなどが例示できる。
【0038】[反応方法]本反応は、攪拌を伴って行っ
ても、攪拌をさせずに行ってもよいが、攪拌を行う方が
好ましい。その場合、攪拌動力は、固定化触媒を含む反
応混合物の容積当たり、好ましくは0.05〜50W/
L、更に好ましくは0.1〜10W/Lである。攪拌動
力があまりに大きすぎると固定化触媒の破砕が起こりや
すくなり、その結果、固定化触媒の分離性や触媒活性の
低下をもたらすので好ましくない。攪拌軸の本数は、槽
に対して一本でも二本でもそれ以上でもかまわない。液
に対する攪拌軸の挿入は上部でも横でも下部でもそれぞ
れの中間的な角度でもよい。例えば、中心攪拌、攪拌軸
を槽底から挿入する中心攪拌、偏心攪拌、側面攪拌など
が挙げられるが、もちろん、これらの方法に特に限定さ
れるわけではない。
【0039】攪拌翼の羽根の枚数は特に限定されず、1
乃至10枚等のものが適宜使用できる。攪拌翼はいかな
るタイプのものでも使用できる。例えば、プロペラ翼、
角度付き平羽根、ピッチ付き平羽根、平羽根ディスクタ
ービン、平羽根(タービン)、パドル、湾曲羽根、ファ
ウドラー型、ブルマージン型、ヘリカル翼、アンカー
翼、適当な穴のあいたパドル翼、スカバー翼、ベーンド
ディスクタービンなどが挙げられる。さらに液相同士の
混合の効率を上げ、気相部との接触効率を高めるため
に、反応器内にじゃま板、バッフルプレート、ドラフト
チューブ等を設置してもよい。また、必要に応じて金属
(鉄)化合物を水、もしくはシクロヘキサノンに可溶な
形で反応器に連続して供給してもよい。
【0040】[反応混合物の分離方法]反応混合物の分
離方法に特に制約はなく、例えば以下の態様が採用され
るが、これらの中、フィルターの目詰まり等の負担を減
少させる意味で(4−1)及び(4−2)がより好まし
い。 (4−1):反応器内もしくは反応器外に反応混合物の
触媒分離槽を設け、固定化触媒の混入を避けて液相(有
機層)部分のみを取り出す。 (4−2):反応器内もしくは反応器外に反応混合物の
触媒分離槽を設け、固定化触媒の混入を避けて液相(有
機層)部分のみを取り出し、さらに微量混入した固定化
触媒を除去する目的で液相(有機層)をフィルターに通
して取り出す。 (4−3)反応器内もしくは反応器外にフィルターを設
置し、固定化触媒を除去して液相部を取り出す。 但し、ここで言う触媒分離槽とは、静置槽、遠心分離機
など、密度差を利用して液相と固定化触媒を分離せしめ
るものを指す。また触媒分離槽、フィルターともに複数
用いてもよく、その場合は並列させても直列させてもあ
るいはそれらが混在する形式で用いてもよい。また有機
層と水層の分離性を高める目的で、触媒分離槽内で反応
温度よりも低い温度に自然放冷ないしは強制冷却しても
よい。
【0041】[再循環方法]反応器から取り出した反応
混合物を、静置、更にはフィルター通過等を施して得た
固定化触媒を含んだ液相(水層等)を反応器内へと再循
環させる際、或いは後述の蒸留操作によって回収したシ
クロヘキサノンを反応器へと再循環させる際には、その
固定化触媒を含んだ液相もしくは回収したシクロヘキサ
ノンの温度を(反応温度−60℃)を超える温度で、よ
り好ましくは(反応温度−50℃)を超える温度で反応
器内へと再循環させるのが好ましい。このとき移送用に
圧縮ガスを用いてもよく、その種類についての制約は特
にないが、反応で使用しているガスと同様のガス、反応
で使用しているガスを他の不活性ガスで希釈したガス、
或いは不活性ガスを用いるのが好ましい。この場合の不
活性ガスとは窒素、アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘ
リウム等をいう。酸素を含むガスを反応器内へと再循環
させるときには、その温度は任意だが、室温から反応温
度までの間で行うのが好ましい。この再循環ガスが室温
より高温の場合には、反応器の熱媒として使用すること
もできる。
【0042】[抽出方法]反応混合物を有機層と水層と
に静置分離した際に有機層に随伴した固定化触媒をフィ
ルター分離した後、液相(有機層)を有機溶媒にて抽出
する場合、抽出溶媒としては芳香族炭化水素、エステ
ル、エーテル、ケトン等を用いることができる。それら
一連の化合物の中でも、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノンが好ましく、更にはシクロヘキサノンを用いるの
が最も好ましい。抽出時の温度は任意だが、室温から反
応温度までの間で行うのが好ましい。
【0043】[蒸留方法]最終的に目的生成物であるア
ジポアルデヒド酸やアジピン酸を取り出すためには蒸留
工程を用いるのが好ましい。例えば以下のような方法を
用いることができる。反応混合物から分離した有機化合
物を主体とする混合物及び/又は抽出溶液をまず第一塔
にて蒸留し、未反応もしくは抽出溶媒として用いたシク
ロヘキサノンならびに低沸点化合物を、反応混合物から
分離する。底部から得られた混合物をさらに第二塔で蒸
留し、目的生成物であるアジポアルデヒド酸を塔頂から
取り出す。この際、付加価値の高いアジピン酸を塔底か
ら得られる混合物の中から更に取りだしてもよい。
【0044】[触媒活性の安定化方法及び触媒賦活方
法]触媒活性の経時的な劣化が起こり反応が不安定にな
った場合には、反応液の一部を連続的に取り出し、反
応液中の固定化触媒に対し賦活処理を施した後再循環す
る、あるいは新しい固定化触媒、担体に担持している
金属元素を含む化合物、若しくは必要な有機化合物等を
連続的に反応器へと供給して、反応器内の触媒活性を一
定のレベルに保つことが望ましく、及びを組合せて
行ってもよい。
【0045】固定化触媒を賦活させる方法としては、下
記のいずれの方法をも用いることができ、これらの方法
は必要に応じて組み合わせて用いてもよい。 (5−1):酸性水溶液で処理する方法、 (5−2):アルカリ性水溶液で処理する方法、 (5−3):酸化剤で処理する方法、 (5−4):還元剤で処理する方法、 (5−5):溶媒にて固定化触媒上の付着成分を除去す
る方法、 (5−6):超臨界流体を用いて処理する方法、 (5−7):100℃以上の温度で熱処理する方法、 (5−8):液相または気相にて固定化触媒から溶出し
た金属元素、有機化合物などを補充する方法、 (5−9):50kPa以下に減圧して低沸点化合物を
除去する方法
【0046】賦活処理の終わった固定化触媒は、乾燥し
た状態、水、シクロヘキサノン等を含んだスラリーの状
態、或いは水、シクロヘキサノン等の溶媒を含んだケー
キ状態のいずれの状態で反応器に再循環させてもよい。
このとき、乾燥した状態というのは固定化触媒が粉体と
しての性状を保っている状態をいい、適当量の水を含ん
でいてもかまわない。また、再循環させるときの温度
は、室温から(反応温度+30℃)、より好ましくは、
室温から(反応温度+20℃)がよい。
【0047】上記方法によりシクロヘキサノンの酸化反
応で得られるアジポアルデヒド酸は各種合成品の中間原
料として有用であるが、特に、このアジポアルデヒド酸
を水素化触媒の存在下、アンモニア及び水素と反応させ
6−アミノカプロン酸を生成することが出来、このもの
は更に加熱処理することによりナイロン−6の原料であ
るε−カプロラクタムに変換することができる。
【0048】6−アミノカプロン酸は、アジポアルデヒ
ド酸及び/又はアジポアルデヒド酸誘導体を、通常、3
0〜300℃の温度で加圧条件下、水素化触媒の存在下
に過剰量のアンモニア及び水素と反応させるか、或いは
アジポアルデヒド酸及び/又はアジポアルデヒド酸誘導
体をアンモニアによりアミド化した後に水素と反応させ
ることにより生成する。この場合、アジポアルデヒド酸
誘導体は、主に前記アジポアルデヒド酸の製造時に由来
するもので、異なった種類の誘導体が二種類以上含まれ
る混合物であってもかまわず、具体的にはアジポアルデ
ヒド酸エステル、アジポアルデヒド酸アセタール、アジ
ポルデヒド酸エステルのアセタール体を示す。エステル
前駆体のアルコール及びアセタール体の前駆体となるア
ルコールとしては、通常炭素数1から4のアルコールで
あり、好ましくはメタノール、エタノールn−プロパノ
ール,i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノ
ール、1,4-ブタンジオールである。水素化触媒として
は、水素化反応に使用されている公知触媒から適宜選択
することが出来、例えばコバルト、ニッケル、パラジウ
ム、白金、ルテニウム、ロジウムを主体とする触媒を挙
げることができる。又、これらの反応で溶媒を用いる場
合には、通常炭素数1〜6のアルカノール、水、三級ア
ミン、炭素数2〜10のエーテルを使用することが出来
る。さらに必要に応じて酸触媒によるエステルの加水分
解工程、アセタールの加水分解工程を任意の段階で行っ
てもよい。
【0049】還元及びアミノ化反応により得られた生成
物から触媒、アンモニアを分離した後、必要な場合は6
−アミノカプロン酸を分離し、更に精製して製品として
回収することができる。一方、ε−カプロラクタムの製
造を目的とする場合には、触媒及びアンモニアを分離し
た後のアミノカプロン酸含有溶液若しくは更に分離精製
操作を行ったアミノカプロン酸を、通常100〜370
℃に加熱して縮合閉環反応させ目的化合物に変換する。
ε−カプロラクタムは、蒸留等の通常の方法により反応
生成液から分離、回収する。
【0050】本発明方法における反応の条件を若干変更
することにより、アジピン酸を主成分として製造するこ
とも可能である。この場合も、反応に用いる分子状酸素
源としては純酸素を用いても、また空気等の希釈された
形態で用いても差し支えない。希釈のために必要なガス
はアジポアルデヒド酸製造時と同様なものが使用でき
る。また気体の圧力は常圧でも、常圧以上に加圧しても
かまわない。ただし酸素分圧はアジポアルデヒド酸を主
生成物として得ようとする場合より高めに設定すること
が望ましい。具体的には0.05〜2.5MPa、好ま
しくは0.07〜1.5MPa、最も好ましくは0.0
9〜0.8MPaの酸素分圧を反応開始時から反応終了
時の間保っていることが望ましい。ここでいう反応開始
時とは、反応に必要な全ての物質が反応器内に投入され
た状態を指し示し、もし反応が室温以上の場合は前述の
条件に加えてそれら反応に必要な物質の混合物が反応に
必要な温度に達した状態を指し示す。また反応終了時と
は、反応開始時以降で反応に必要な物質の組成(酸素分
圧を含む)が別途指定した条件を逸脱する場合、若しく
は、反応に必要な温度から30℃以上温度が低下した状
態のいずれかの条件を満たしている状態を指し示す。
【0051】
【実施例】次に本発明方法を実施例及び参考例により、
更に詳しく説明するが本発明はその要旨を越えない限り
以下の実施例に限定されるものではない。触媒の酸量
は、酸量滴定により求め、その測定条件は以下の通りで
ある。触媒を、120℃、常圧、空気雰囲気で12時
間、乾燥する。乾燥後のサンプル(触媒)をデシケータ
ー中にて室温まで放冷し、そのうち0.25gを秤量
し、それをなす型フラスコ(25ml)に入れ、氷浴上で
冷却する。これに0℃に冷却した4.3規定の塩化ナト
リウム水溶液を4.25ml加え、0℃の温度を保って1
0分間撹拌する。その後、その混合物を平均細孔径0.
8μmのポリエーテルスルホン製メンブランフィルタで
濾過し、得られた濾液を0.02規定水酸化ナトリウム
水溶液で中和滴定する。得られた酸の当量を使用した担
体(ゼオライト)の重量で除し、担体(ゼオライト)の
単位重量あたりの酸量(単位:mmol/g)を求める。
尚、下記参考例中、「2Si/Al」は、[Siのモル
数]を[Alのモル数÷2]で除した値を意味する。
【0052】参考例:固定化触媒の調製 例1(固定化触媒−1) 東ソー社製FAU型ゼオライトHSZ−360HUA
(2Si/Al=14.0、Na2O/SiO2=0.0
008[いずれもモル比]、H型)16.00gに、水
150mlに硫酸鉄(II)7水和物8.33gを溶解
させた溶液を加え、不活性ガス雰囲気下、室温で3時間
攪拌した。得られた固形物(サンプル)を水で洗浄・乾
燥した後、蛍光X線分光法(以下、XRFと称する)に
よって鉄含有量を測定したところ、重量濃度にして0.
35%であった。
【0053】このサンプルの一部を取り出し,3kPa
の減圧下,120℃で3時間乾燥させたところ4.30
gであった。これに0.0417gの2,2’−ビピリ
ジル(サンプル中の鉄に対して約1当量)を加え,よく
振とうしたのち3kPaまで減圧,この状態で室温下で
1時間,その後,同じく減圧の状態で120℃で3時間
保った。続いて0.0496gの2,2’−ビフェニル
ジオール(サンプル中の鉄に対して約1当量)も加え,
よく振とうしたのち3kPaまで減圧,この状態で室温
下で1時間,その後,同じく減圧の状態で120℃で3
時間保った。得られたサンプルを塩化メチレン50ml
の中に投入,還流条件下で1時間洗浄した後にサンプル
を濾別する,この洗浄作業を二回繰り返した後に,3k
Paの減圧下,60℃で3時間乾燥させ、(固定化触媒
−1)を得た。
【0054】例2(固定化触媒−2) PQ社製FAU型ゼオライトCBV−760(2Si/
Al=55.0[モル比]、H型)23.6gに、0.
1M硝酸221mlに硝酸鉄(III)9水和物8.98
gを溶解させた溶液を加え、空気雰囲気下、室温で1時
間攪拌した。得られた固形物(サンプル)を水で洗浄・
乾燥した後、XRFによって鉄含有量を測定したとこ
ろ、重量濃度にして0.50%であった。このサンプル
の一部を取り出し,3kPaの減圧下,120℃で3時
間乾燥させたところ20.02gであった。これに0.
268gの2,2’−ビピリジル(サンプル中の鉄に対
して約1当量)を加え,よく振とうしたのち3kPaま
で減圧,この状態で室温下で1時間,その後,同じく減
圧の状態で120℃で3時間保った。続いて0.320
gの2,2’−ビフェニルジオール(サンプル中の鉄に
対して約1当量)も加え,よく振とうしたのち3kPa
まで減圧,この状態で室温下で1時間,その後,同じく
減圧の状態で120℃で3時間保った。得られたサンプ
ルを塩化メチレン200mlの中に投入,還流条件下で
1時間洗浄した後にサンプルを濾別する,この洗浄作業
を二回繰り返した後に,3kPaの減圧下,60℃で3
時間乾燥させて(固定化触媒−2)を得た。
【0055】例3(固定化触媒−3) 東ソー社製FAU型ゼオライトHSZ−360HUA
(2Si/Al=14.0、Na2O/SiO2=0.0
008[いずれもモル比]、H型)16.00gに、
0.1M硝酸150mlに硝酸鉄(III)9水和物3.
02gを溶解させた溶液を加え、空気雰囲気下、室温で
一時間攪拌した。得られた固形物(サンプル)を水で洗
浄・乾燥した後、XRFによって鉄含有量を測定したと
ころ、重量濃度にして0.78%であった。このサンプ
ルの一部を取り出し,3kPaの減圧下,120℃で3
時間乾燥させたところ2.53gであった。これに0.
0549gの2,2’−ビピリジル(サンプル中の鉄に
対して約1当量)を加え,よく振とうしたのち3kPa
まで減圧,この状態で室温下で1時間,その後,同じく
減圧の状態で120℃で3時間保った。続いて0.06
56gの2,2’−ビフェニルジオール(サンプル中の
鉄に対して約1当量)も加え,よく振とうしたのち3k
Paまで減圧,この状態で室温下で1時間,その後,同
じく減圧の状態で120℃で3時間保った。得られたサ
ンプルを塩化メチレン50mlの中に投入,還流条件下
で1時間洗浄した後に触媒を濾別する,この洗浄作業を
二回繰り返した後に,3kPaの減圧下,60℃で3時
間乾燥させて(固定化触媒−3)を得た。
【0056】例4(固定化触媒−4) (固定化触媒−3)2.14gに、2Mの硝酸ナトリウ
ム水溶液30mlを加え、2時間還流条件下で処理し、
その後、濾過し、水で洗浄した。このナトリウムによる
イオン交換の処理をもう一度繰り返した。さらに脱塩水
にて洗浄し、3kPaの減圧下,60℃で5時間乾燥さ
せて(固定化触媒−4)を得た。得られた(固定化触媒
−4)の鉄含有量をXRFによって測定したところ、重
量濃度にして0.70%であった。またNa/Alは
0.085(モル比)であった。
【0057】例5(固定化触媒−5) 東ソー社製FAU型ゼオライトHSZ−360HUA
(2Si/Al=14.0、Na2O/SiO2=0.0
008[いずれもモル比]、H型)16.00gに、
0.1M硝酸150mlに硝酸鉄(III)9水和物3.
02gを溶解させた溶液を加え、空気雰囲気下、室温で
1時間攪拌し、得られた固形物(サンプル)を水で洗浄
・乾燥した。乾燥後のサンプルのうち5.00gを2M
硝酸ナトリウム水溶液47mlに加え、2時間還流条件
下で処理を行い、その後ろ過し、水で洗浄した。このナ
トリウムによるイオン交換の処理をさらに二回、合計三
回行い、その後、脱塩水にて洗浄し、常圧空気雰囲気
下、120℃にて12時間乾燥させた。このサンプルの
鉄含有量をXRFによって測定したところ、重量濃度に
して0.76%であった。またNa/Alは0.18
(モル比)であった。
【0058】このサンプルの一部を取り出し、さらに3
kPaの減圧下,100℃で3時間乾燥させたところ
1.04gであった。これに0.0226gの2,2’
−ビピリジル(サンプル中の鉄に対して約1当量)を加
え,よく振とうしたのち3kPaまで減圧,この状態で
室温下で1時間,その後,同じく減圧の状態で120℃
で3時間保った。続いて0.0264gの2,2’−ビ
フェニルジオール(サンプル中の鉄に対して約1当量)
も加え,よく振とうした後3kPaまで減圧,この状態
で室温下で1時間,その後,同じく減圧の状態で120
℃で3時間保った。得られたサンプルを塩化メチレン3
0mlの中に投入,還流条件下で一時間洗浄した後に触
媒を濾別する,この洗浄作業を二回繰り返した後に,3
kPaの減圧下,60℃で3時間乾燥させて(固定化触
媒−5)を得た。
【0059】例6(固定化触媒−6) PQ社製FAU型ゼオライトCBV−760(2Si/
Al=55.0[モル比]、H型)64.0gに、水6
00mlに硫酸鉄(II)7水和物33.40gと1M
塩酸0.6mLを混合させた溶液を加え、不活性ガス雰
囲気下、室温で3時間攪拌した。得られた固形物(サン
プル)を水で洗浄・乾燥した後、XRFによって鉄含有
量を測定したところ、重量濃度にして0.47%であっ
た。(固定化触媒−6)
【0060】例7(固定化触媒−7) (固定化触媒−6)4.00gに水25mlを加え、さ
らに0.1Mアンモニア水7.15mlを加えた。得ら
れたスラリーを室温にて10分間攪拌し、その後、濾過
を行い、さらに脱塩水による洗浄を濾液のpHが7.5
になるまで行った。サンプルをエバポレーターで減圧乾
燥し、(固定化触媒−7)を得た。
【0061】例8(固定化触媒−8) (固定化触媒−7)を窒素気流下、510℃で4時間熱
処理を行い、(固定化触媒−8)を得た。
【0062】例9(固定化触媒−9) 塩化鉄(III)6水和物0.541gを水40mlとメ
タノール20mlの混合物にとかし、更に炭酸水素ナト
リウム0.164g、2,2’−ビピリジル0.313
g、2,2’−ビフェニルジオール0.373gをこの
順序で加え、室温で撹拌したところ、暗赤色の混合物を
得た。これに1−ブタノール29.4g、ケイ酸エチル
83.4g、ドデカタングストケイ酸26水和物3.3
1gを加え、得られたスラリーを45℃で1時間、次い
で80℃で4時間45分撹拌し、その後室温下で15時
間熟成させた。ゲル化したサンプルを減圧下にて溶媒留
去し、得られた濃赤色のドライゲルを80℃の水で3回
洗浄し、その後120℃空気雰囲気下で12時間乾燥さ
せて(固定化触媒−9)を得た。また(固定化触媒−
9)を空気気流下、600℃にて6時間焼成を行ったと
ころ、重量が24%減少した。得られた黄白色の粉末を
XRF測定したところ、鉄の含有量は重量濃度にして
0.16%であった。よって(固定化触媒−9)は0.
12%の鉄を含有していたと考えられる。
【0063】例10(固定化触媒−10) 水100mlに硝酸鉄(III)9水和物4.05gを溶
かした溶液に、シリカ系触媒担体・キャリアクトQ−1
5(富士シリシア化学株式会社製;粒子径75〜500
μm、細孔径約150Å)10.0gを加え、すぐに濃
アンモニア水溶液(28〜30wt%)2.02mlを
滴下した。得られたスラリーを60℃において1時間攪
拌し、その後、濾別し、濾液が約pH7になるまで脱塩
水による洗浄を行った。濾別したサンプルは減圧下エバ
ポレーターによって乾燥させ、その後、窒素気流下にて
600℃で4時間熱処理を行い、黄白色の粉体(固定化
触媒−10)を得た。
【0064】上記例1〜10で得られた各固定化触媒に
ついて、上記測定法により触媒の酸量滴定を行い、酸量
を算出した。その結果を下記表−1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】実施例 1 (固定化触媒−1)を用いたシクロヘキサノンの酸化開
裂反応 内径50mm,内側の高さ25mmのガラス製反応器に
1.79gの(固定化触媒−1)を入れ,水15ml,
シクロヘキサノン1.5gを加え,分子状酸素微加圧下
(常圧に対して1kPa程度加圧)全長30mm,最大
直径8mmのテフロンコートされたほぼ円筒形のスター
ラーバーを用い,マグネチックスターラーで1200か
ら1500rpmにて撹拌しながら,65℃で1.5時
間反応させた。得られた反応混合物から固定化触媒を遠
心分離し,さらに溶媒(メタノール)を用いて抽出し,
内部標準を用いたガスクロマトグラフにて分析したとこ
ろ、目的生成物であるアジポアルデヒド酸の収率は0.
96%であり、アジピン酸の収率は0.39%であっ
た。
【0067】反応後の(固定化触媒−1)の分析 上記反応の後,(固定化触媒−1)触媒は1.77g回
収された(投入量の99%)。また,XRFによって回
収触媒の元素分析を行ったところ,2Si/Al比(モ
ル比)は1%増加,Fe/Al比(モル比)の変化量は
検出限界(1%)以下,Fe含有量は3%減少してい
た。さらに粉末X線回折によっては反応前後での結晶化
度の変化は検知できなかった(検出限界1%以下)。
【0068】実施例 2〜5及び比較例1〜6 各固定化触媒の使用量及び反応温度を、表−2に記載の
条件に変更した以外は実施例1と同様の反応条件でシク
ロヘキサノンの酸化開裂反応を実施し、目的生成物であ
るアジポアルデヒド酸及びアジピン酸を得た。その結果
を表−2にまとめて示す。
【0069】
【表2】
【0070】比較例7 (固定化触媒−1)を2.00g用い、分子状酸素を用
いる代わりに窒素ガスを流通させる以外は、実施例1と
同様な条件で反応を行ったところ、目的生成物であるア
ジポアルデヒド酸は得られなかった。
【0071】比較例8 触媒としてPQ社製FAU型ゼオライトCBV−760
(2Si/Al=55.0[モル比]、H型)を2.0
0g使用した以外は、実施例1と同様の反応条件で反応
を行ったところ、目的生成物であるアジポアルデヒド酸
は得られなかった。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、環状ケトンの酸化反
応、特にシクロヘキサノンからアジポアルデヒド酸及び
/又はアジピン酸製造に必要な酸化開裂触媒として、担
体、特にゼオライトに特定の金属元素を担持させた特定
の酸性度を有する固定化触媒を使用することを可能と
し、それによって触媒の分離精製工程の簡略化、更には
対イオンとしてハロゲンが入らない系を構築し反応器等
の材質の低級化が可能となるので、工業的に利するとこ
ろが大きい。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】担体に周期表第4族から第11族に属する
    少なくとも1種の金属元素を担持させた複合体からな
    り、且つ担体単位重量あたり酸量が0.06mmol/g以
    上である固定化触媒の存在下、環状ケトンを分子状酸素
    により酸化することを特徴とする脂肪族アルデヒド酸及
    び/又は脂肪族ジカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】担体に周期表第4族から第11族に属する
    少なくとも1種の金属元素を担持させた複合体からな
    り、且つ担体単位重量あたり酸量が0.06mmol/g以
    上である固定化触媒の存在下、シクロヘキサノンを分子
    状酸素により酸化することを特徴とするアジポアルデヒ
    ド酸及び/又はアジピン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】周期表第4族から第11族に属する金属元
    素が、鉄、銅及びイリジウムから選ばれるものであるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】周期表第4族から第11族に属する金属元
    素が、鉄であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か一項記載の製造方法。
  5. 【請求項5】担体に周期表第4族から第11族に属する
    少なくとも1種の金属元素を担持させた複合体からな
    り、且つ担体単位重量あたり酸量が0.06mmol/g以
    上であることを特徴とする脂肪族アルデヒド酸及び/又
    は脂肪族ジカルボン酸製造用固定化触媒。
  6. 【請求項6】周期表第4族から第11族に属する金属元
    素が、鉄、銅及びイリジウムから選ばれるものであるこ
    とを特徴とする請求項5記載の固定化触媒。
  7. 【請求項7】周期表第4族から第11族に属する金属元
    素が、鉄であることを特徴とする請求項5又は6記載の
    固定化触媒。
  8. 【請求項8】脂肪族アルデヒド酸がアジポアルデヒド酸
    であり、脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸であることを
    特徴とする請求項5〜7のいずれか一項記載の固定化触
    媒。
  9. 【請求項9】担体がゼオライトであることを特徴とする
    請求項5〜8のいずれか一項記載の固定化触媒。
  10. 【請求項10】シクロヘキサノンを、担体に周期表第4
    族から第11族に属する少なくとも1種の金属元素を担
    持させた複合体からなり、且つ担体単位重量あたり酸量
    が0.06mmol/g以上である固定化触媒の存在下、分
    子状酸素により酸化してアジポアルデヒド酸を含有する
    酸化反応物を生成し、次いで酸化反応物から得られたア
    ジポアルデヒド酸を水素化触媒の存在下、アンモニア及
    び水素と反応させて6−アミノカプロン酸を生成し、生
    成した6−アミノカプロン酸を加熱して閉環反応により
    ε−カプロラクタムに変換することを特徴とするε−カ
    プロラクタムの製造方法。
  11. 【請求項11】酸化は水の共存下行われることを特徴と
    する請求項1〜4及び10のいずれか一項記載の製造方
    法。
  12. 【請求項12】担体がゼオライトであることを特徴とす
    る請求項1〜4、10及び11のいずれか一項記載の製
    造方法。
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JP2006175353A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Mitsubishi Rayon Co Ltd 貴金属含有担持触媒、およびそれを用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法
CN109126640A (zh) * 2017-06-27 2019-01-04 神华集团有限责任公司 浆态床反应系统和费托合成反应的方法

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