JP2000247733A - 誘電体磁器組成物、積層セラミックコンデンサとその製造方法 - Google Patents
誘電体磁器組成物、積層セラミックコンデンサとその製造方法Info
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Abstract
可能であり、急速焼成でもクラックを生じることなく良
好に焼結可能で、バレル処理後にチッピングが生じにく
い誘電体磁器組成物を提供する。 【解決手段】 組成式がBaTiO3 からなる組成物に
対して、SiO2 −Al2 O3 −BaO−CaO−Ta
2 O5 −Nb2 O5 −MgO−Y2 O3 からなる添加物
を2〜10wt%加えた誘電体磁器組成物であって、前
記添加物を構成する各成分が、それぞれSiO2 =10
〜50mol%、Al2 O3 =1〜20mol%、Ba
O=3〜40mol%、CaO=0〜10mol%、T
a2 O5 =1〜10mol%、Nb2 O5 =0〜10m
ol%、MgO=10〜40mol%,Y2 O3 =0〜
20mol%であり、その平均粒径が0.5μm以下に
なるように調製する。
Description
ンデンサ用の誘電体磁器組成物、その組成物を用いた積
層セラミックコンデンサとその製造方法に関する。特
に、誘電体磁器組成物の組成を改善して、コンデンサ製
造時における熱効率及び量産性を向上するための技術に
関するものである。
た時に、特に優れたスラリーの安定性、焼結特性、電気
的特性(特に、優れたエージング特性と高温150℃で
の絶縁抵抗)を示す、環境対応型の積層セラミックコン
デンサ用の誘電体磁器組成物に関するものである。
ミックコンデンサ(MLC)においては、近年、ますま
す小型化、多層化が進展しており、積層数についても2
00層を超えるものが現れている。このMLCの製造方
法としては、これまではスクリーン印刷機を用いたウェ
ットスタック法やグリーンシートを積層するドライスタ
ック法が採用されてきた。これらの方法では、誘電体粉
末に有機バインダーや可塑剤、有機溶剤を混合してペ―
ストやスラリーを作製し、これらを乾燥して誘電体シー
トを作製している。
有機溶剤を使用するために、その蒸発管理が難しいのみ
ならず、人体や環境に与える影響も無視できず、環境面
で大きな社会問題となっていた。また、ドライスタック
法では、ベースフィルムとしてポリプロピレン(PP)
やポリエチレン(PET)フィルムを使用するために、
誘電体シートが5μm以下に薄層化するに従い、多量の
有機物フィルムの廃棄の問題が生じていた。
用いたウェットスタック法では、PETフィルムを使用
しないことからフィルム廃棄の問題は生じないが、5μ
m以下の厚みでピンホールのない均一な誘電体シートを
作製することは原理的に困難であった。
解決するために、本発明者等は、すでに水系バインダー
を使用することができる新規な製造方法(特願平9−3
3759号)を提案している。
っては、ジルコニアやマグネシアの磁器セッター上に未
焼成のチップを整列し、300℃前後で脱脂した後に、
トンネル炉やバッチ炉を用いて昇温速度50〜200℃
/時間で1300℃前後まで昇温し、数時間保持後に降
温速度50〜200℃/時間で降温して焼成を行ってい
る。
境問題の改善のために、熱効率の良い製造プロセスが要
望されている。例えば、MLC製造の熱効率の改善のた
めに、600℃〜1500℃/時間の速度で昇温や降温
を行い、短時間で焼成を達成する方法も提案されてい
る。この急速焼成を実現するためのセッター材料とし
て、急激な熱衝撃に耐える白金、ニクロム、モリブデ
ン、タングステン系金属からなる金属ベースの焼成用セ
ッター、及びこれにジルコニア、マグネシア等のセラミ
クスをコートした材料等、各種のセッター材料が提案さ
れている。
製造の熱効率を改善するために、通常用いられる誘電体
材料(例えば、特開昭47−35751号、特願昭59
−220745号、特願昭60−8999号、特開平6
−342735号、特開平10−255549号等)を
用いて、600℃〜1500℃/時間の速度で昇温、降
温を行い、短時間で焼成した場合には、焼成後の素子に
クラックが生じやすいという欠点があった。このクラッ
ク発生の問題は、特に、5.0×5.7×3.0mmサ
イズで、5μm以下の誘電体層を有するような大型のM
LCを製造する場合には特に顕著であった。
ーを用いて、従来のEIAのX7R特性(容量変化率が
±15%以下、−55〜+125℃)及びJISのB特
性(容量変化率が±10%以下、−25〜+85℃)を
満足するチタン酸バリウム系材料のスラリー化を行った
場合には、さらに次のような問題が生じていた。
れるアクリル樹脂を用いたバインダーの場合にはスラリ
ーの泡が立ちやすく、またピンホールが出やすいという
欠点があった。また、水溶液の粘度が時間と共に大きく
変化することがしばしば見られた。さらに、得られた素
子の端面研磨のために湿式バレル処理を行うと、チッピ
ングが生じ易いという欠点があった。これらの欠点は、
特に水系バインダーを用いた時に顕在化し、量産上の大
きな問題点であった。
5.7×3.0mmサイズで5μm以下の誘電体層を有
するような大型のMLCを製造する場合には、絶縁耐圧
が200V以下に低下するという問題点が存在してい
た。さらに得られた卑金属MLCでは、その初期の静電
容量が時間とともに減少していくエージング特性が悪
く、はなはだしい場合は静電容量が1年間で10%以上
も変化するという問題があった。また、高温150℃以
上での絶縁抵抗が充分ではなかった。
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
水系のバインダーを使用して良好にスラリー化可能であ
り、急速焼成でもクラックを生じることなく良好に焼結
可能で、バレル処理後にチッピングが生じにくく、積層
セラミックコンデンサ用として好適な誘電体磁器組成物
を提供することにある。
用いて、大型の場合でも耐圧に優れ、EIAのX7R特
性及びJISのB特性を満たすことが可能な、高性能で
信頼性の高い積層セラミックコンデンサを提供すること
であり、さらに、そのような優れた積層セラミックコン
デンサを製造可能な、熱効率、量産性、及び環境性に優
れた製造方法を提供することにある。
題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、請求項1に記載
の通り、誘電体材料として、組成式がBaTiO3 から
なる組成物に対して、SiO2 −Al2 O3 −BaO−
CaO−Ta2 O5 −Nb2 O5 −MgO−Y2 O3 か
らなる添加物を、2.0〜10wt%加えたことを特徴
とする誘電体磁器組成物を用いることにより、上記課題
を達成し得ることを見出した。
組成物に上記添加物を添加する場合、まず、添加物を1
100℃以上の高温度で仮焼きして均一化し、これをベ
ースとなるチタン酸バリウムに添加することが好まし
い。この方法により、添加物を水系溶媒に添加しても、
安定に水系スラリーを作製できるばかりでなく、焼結し
た後に粒界に選択的にこれらの添加物を均一に析出させ
ることが可能となる。また、低温焼成が実現でき、水系
の溶媒を用いても粘度が安定する。また、添加物の比重
差が小さいために、より均一なグリーンシートを作製す
ることができる。
2 −Al2 O3 −BaO−CaO−Ta2 O5 −Nb2
O5 −MgO−Y2 O3 からなる添加物を構成する各成
分は、それぞれSiO2 =10〜50mol%、Al2
O3 =1〜20mol%、BaO=3〜40mol%、
CaO=0〜10mol%、Ta2 O5 =1〜10mo
l%、Nb2 O5 =0〜10mol%、MgO=10〜
40mol%,Y2 O3 =0〜20mol%であり、こ
の添加物の平均粒径は、0.5μm以下であることが望
ましい。
aTiO3 の平均粒径が0.1〜0.5μmである原料
を用い、SiO2 −Al2 O3 −BaO−CaO−Ta
2 O5 −Nb2 O5 −MgO−Y2 O3 の各成分が、そ
れぞれSiO2 =15〜40mol%、Al2 O3 =1
〜10mol%、BaO=5〜30mol%、CaO=
0〜5mol%、Ta2 O5 =2〜5mol%、Nb2
O5 =0〜5mol%、MgO=10〜30mol%,
Y2 O3 =5〜15mol%であり、その平均粒径が
0.3μm以下である添加物を、3〜6wt%添加する
ことが望ましい。このような誘電体磁器組成物は、水系
のバインダーを使用して良好にスラリー化可能であり、
急速焼成でもクラックを生じることなく良好に焼結可能
である。
は、次の理由によって決定されている。まず、SiO2
−Al2 O3 −BaO−CaO−Ta2 O5 −Nb2 O
5 −MgO−Y2 O3 からなる添加物を、ベースとなる
チタン酸バリウムに対して2〜10wt%添加すること
としたのは、次の理由による。すなわち、上記添加物の
添加量が2.0wt%以下では、1300℃以下での焼
成が困難となり、さらに、600℃/時間を超える急速
な昇温、降温の焼成プロファイルを用いた時に、素子に
クラックが生じやすくなるためである。また、水系バイ
ンダーを用いた場合の泡の発生が多いばかりでなく、誘
電体シートにピンホールが出やすくなり、MLCを焼成
した後にバレル処理を行った場合のチッピングが多くな
るためである。また、高温度において、絶縁抵抗を増加
させたりエージングレートを小さくする効果がほとんど
見られないためである。一方、上記添加物の添加量が1
0wt%以上では、誘電率が低下するばかりでなく、焼
成体同士やジルコニアセッター等との融着が激しくな
り、素子の変形が著しくなるためである。
としたのは、特に誘電体層を5μmレベルまで薄層化し
た場合に、耐圧が400V以上となる優れたMLCを得
ることができるためである。
CaO−Ta2 O5 −Nb2 O5 −MgO−Y2 O3 か
らなる添加物を構成する各成分を、それぞれSiO2 =
10〜50mol%、Al2 O3 =1〜20mol%、
BaO=3〜40mol%、CaO=0〜10mol
%、Ta2 O5 =1〜10mol%、Nb2 O5 =0〜
10mol%、MgO=10〜40mol%,Y2 O3
=0〜20mol%としたのは、以下の理由による。
上記の範囲に限定したのは、この範囲外では、特に13
00℃以下の低温焼成が達成できないためであり、Ba
OやCaOの量を上記の範囲に限定したのは、この範囲
外では、誘電体層が5μm以下での耐圧が低下し、さら
に絶縁抵抗が低下するためである。Ta2 O5 の量を上
記の範囲に限定したのは、1.0mol%より少ない場
合は、バレル処理時のチッピングが多くなり、また耐圧
も十分な値が得られないばかりでなく、急速焼成時のク
ラックが生じるためである。また、小さなエージングレ
ートと高温度での大きな絶縁抵抗が得られなくなるため
である。一方、10mol%より多い場合には、容量温
度特性がEIAのX7R特性を満たさなくなるため、あ
るいは誘電率が大幅に低下するためである。Y2 O3 の
量を上記の範囲に限定したのは、20mol%以上では
誘電率が2500以下となり、温度特性がEIAのX7
R特性及びJISのB特性の両方を満たさなくなるため
である。
電体にCoOを0.1mol%以下添加した場合も同様
の効果が得られるが、CoOの量を0.1mol%以下
とした理由は、誘電損失を低下させるためであり、これ
以上の添加量では容量のエージングレートが1%/de
cade以上と大きくなるためである。さらに、着色な
どの目的でMnOやFe2 O3 などを少量添加すること
は差し支えない。これらの遷移元素の添加量は多くても
0.2mol%以下、好ましくは0.05mol%以下
である。
のみならず、炭酸塩またさらに蓚酸化物、硝酸化物、酢
酸化物などの水溶性の塩を用いても良い。これらの水溶
性の塩を用いることにより、ベースとなるチタン酸バリ
ウムに低温で均一にこれらの添加物を分散させることが
できる。また、ベースとなるチタン酸バリウムに上記添
加物を添加する方法としては、最初に特定の成分(例え
ば、MgOやCoO)等をBaTiO3 と高温で反応さ
せ、その後に残りの成分を加えるような2段階プロセス
を用いても良い。
にすることにより、1120〜1300℃の還元雰囲気
焼成温度で、EIAのX7R特性やJISのB特性を持
つ誘電体材料を容易に得ることができる。すなわち、E
IAのX7R特性やJISのB特性の基本的な性能であ
る1012Ωcmより大きな絶縁抵抗、4%以下の小さな
誘電損失、優れた高温負荷寿命特性、及び2500以上
の大きな誘電率を満たしながら、X7R特性の容量温度
範囲(容量変化率が±15%以内、−55〜125℃)
及びJISのB特性(容量変化率が±10%以下、−2
5〜+85℃)の両方を満足する誘電体材料を得ること
ができる。
レートが0.3〜0.8%/decadeと小さく、1
50℃での容量抵抗積(CR150℃)が1000ΩF
以上と極めて高い誘電体材料、及びこれを用いたMLC
を作製することができる。なお、従来までは、卑金属内
部電極を用いてこれらの要求の全てを満たす材料は知ら
れていない。
誘電体を交互に積層して積層体を形成し、この積層体を
焼成して積層セラミックコンデンサを製造する方法にお
いて、請求項1から請求項3に記載された誘電体磁器組
成物の中から選択された組成物を誘電体として使用する
ことを特徴としている。この方法によれば、請求項1〜
3に記載された組成物が、水系のバインダーを使用して
良好にスラリー化可能であり、急速焼成でもクラックを
生じることなく良好に焼結可能であることから、これら
の組成物を用いて急速焼成を行うことができるため、熱
効率を改善でき、それによって環境性を向上することが
できる。また、この方法により得られる積層セラミック
コンデンサにおいては、ピンホールやチッピングが防止
され、その電気的特性が向上できる。
記載の方法において、積層体として、上記組成物からな
る誘電体と、NiまたはNi合金からなる内部電極を少
なくとも2層以上有する積層体を形成することを特徴と
している。この方法によれば、NiまたはNi合金(例
えば、Ta,Mo,W等の合金組成物)からなる内部電
極を少なくとも2層以上有することにより、コンデンサ
の信頼性を向上できる。Niの合金組成物の量は、Ni
に対してTa,Mo,W等を10%以下添加することに
より、3μm以下の誘電体層を持つMLCにおいても、
250V以上の耐圧を持つMLCを作製することができ
る。しかし、金属の電気抵抗の観点からは、これらの添
加量は3%以下が望ましい。
記載の方法において、前記積層体を、1120〜130
0℃で、酸素分圧10-7atmから10-13 atmの還
元雰囲気で焼成し、その後に、600〜1100℃で酸
素分圧2×10-1atmから1×10-7atmの雰囲気
で熱処理することを特徴としている。この方法によれ
ば、上記組成物を1300℃以下の還元雰囲気で焼成す
ることで、EIAのX7R特性やJISのB特性を持つ
誘電体層を効率よく生成することができるため、電気的
特性に優れたMLCを効率よく作製することができる。
したがって、熱効率および環境性を向上できる。
の方法において、上記積層体を、上記誘電体磁器組成物
の焼結粒子が0.2〜2μmとなる条件で焼成し、熱処
理することを特徴としている。この方法によれば、誘電
体組成の焼結粒子を0.2〜2μmとすることにより、
特に誘電体層を5μmレベルまで薄層化した場合に、耐
圧の優れたMLCを実現できる。
の方法において、上記誘電体磁器組成物をスラリー化す
る際に、分散媒体として水系溶剤を用いることを特徴と
している。この方法によれば、誘電体磁器組成物を水系
溶剤を用いて良好にスラリー化可能であり、泡の発生等
を抑えてピンホールの発生を防止でき、焼成後のバレル
処理時におけるチッピングの発生を防止できるため、量
産性を向上できる。また、有機溶剤を使用する場合に比
べて、環境性を格段に向上できる。
の方法において、上記積層体を、金属板セッター又は金
属網セッター上に置き、600〜1500℃/時間の昇
温速度で1120〜1300℃まで昇温させ、数時間保
持し、その後に、600〜1500℃/時間の降温速度
で室温まで降下させることを特徴としている。この方法
によれば、急速焼成を行うことにより、熱効率を向上で
き、それによって環境性を向上できる。なお、図1は、
本発明に係る積層セラミックコンデンサの焼成温度プロ
ファイルを示す図である。
載の方法において、金属板セッター及び金属網セッター
が、W、Mo、Pt、Ni−Cr−Fe系、およびFe
−Cr−Co−Al系のいずれか一つを含む金属からな
ることを特徴としている。この方法によれば、金属板セ
ッター及び金属網セッターの材料を限定したことによ
り、急速焼成時の急激な熱衝撃に対しても、金属板セッ
ター及び金属網セッターの変形や破損等の発生を防止で
きるため、その上に置いた積層体を良好に保持すること
ができ、MLCを良好に製造することができる。
載の方法において、上記金属板セッター及び金属網セッ
ターが、W、Mo、Pt、Ni−Cr−Fe系、および
Fe−Cr−Co−Al系のいずれか一つを含む金属板
であり、その上部がセラミクスでコートされていること
を特徴としている。この方法によれば、金属板セッター
及び金属網セッターの材料を限定し、さらに、その上部
をセラミクスでコートしたことにより、急速焼成時の急
激な熱衝撃に対しても、金属板セッター及び金属網セッ
ターの変形や破損等の発生を防止できるため、その上に
置いた積層体を良好に保持することができ、MLCを良
好に製造することができる。
ンサは、請求項4から請求項11に記載の方法の中から
選択された方法により製造されたことを特徴としてい
る。すなわち、請求項4〜11の各製造方法は、前述し
た通り、熱効率、量産性、および環境性に優れた製造方
法であり、そのような優れた製造方法を用いることによ
って、優れた電気的特性を持つ、小型・高性能で信頼性
の高い積層セラミックコンデンサを得ることができる。
特に、本発明は、誘電体層を5μmレベルまで薄層化し
た小型・多層の積層セラミックコンデンサに好適であ
る。
セラミックコンデンサの製造方法として、より望ましい
範囲は以下の通りである。すなわち、ベースとなるBa
TiO3 の平均粒径が0.1〜0.5μmである原料を
用い、添加物であるSiO2−Al2 O3 −BaO−C
aO−Ta2 O5 −Nb2 O5 −MgO−Y2 O3 の各
成分が、それぞれSiO2 =15〜40mol%、Al
2 O3 =1〜10mol%、BaO=5〜30mol
%、CaO=0〜5mol%、Ta2 O5 =2〜5mo
l%、Nb2 O5 =0〜5mol%、MgO=10〜3
0mol%,Y2O3 =5〜15mol%であり、その
平均粒径が0.3μm以下である酸化物成分を、ベース
となるBaTiO3 に3〜6wt%添加した誘電体を、
1180〜1260℃で焼成し、焼成後の平均粒径を
1.0μm以下にすることである。これらの焼成温度で
焼成することにより、内部電極であるNiまたはNi系
合金の厚みを1.0μm以下と薄くすることができる。
をさらに詳細に説明する。
して、平均粒径が0.4μmのBaTiO3 を用いた。
なお、このBaTiO3 は水熱合成で得られたものを使
用した。また、添加物である酸化物成分の作製に当たっ
ては、まず、MgO、Y2 O3,SiO2 、BaC
O3 、CaCO3 、Al2 O3 、Ta2 O5 及びNb2
O5を、それぞれ、表1に示した組成に従って所定の量
を秤量した。そして、均一混合の後に、これらをアルミ
ナるつぼに入れ、1150℃で4時間の仮焼を行った。
次に、得られた仮焼粉を、ジェットミル、アトライタミ
ルなどの微粉砕機を用いて粉砕することにより、平均粒
径が0.2〜0.5μmの酸化物粉末を得た。なお、こ
の酸化物粉末は、作製条件により一部または全部がガラ
ス化する場合があるが、その組成が均一であれば得られ
る特性には大きな差はない。
料と酸化物粉末から、表1に示したように、各材料の混
合比率の異なる複数の誘電体原料を作製した。すなわ
ち、各誘電体原料1000gに対して、水とエチルアル
コール及び分散剤を80:19:1で混合した溶剤を7
00g入れ、ホモジナイザーを用いて分散させた。この
混合物を、通常の良く知られている分散方法であるボー
ルミルやアトリッションミルを用いて20時間分散させ
た後、さらに水性エマルジョンとアクリル樹脂と可塑剤
を含む溶液を入れて、複数種類の誘電体スラリーを作製
した(実施例1〜16)。なお、これらのスラリーの粘
性は、いずれも約200cpsに調整した。
ようにして得られた誘電体スラリーを用いて、ドクター
ブレード装置により、PETフィルム上に5〜10μm
の厚さを持つグリーンシートを成形し、このグリーンシ
ート上に、内部電極用ペーストを2μmの厚みで印刷し
た。なお、内部電極用ペーストとしては、平均粒径0.
5μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチ
ルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重
量部に溶解したもの)40重量部、及びブチルカルビト
ール10重量部とを、3本ロールにより混練し、ペース
ト化したものを使用した。
して積層し、80℃で1トン/cm2 の静水圧を用いて
加圧接着してグリーンチップを得た。積層数は100層
とした。次に、このグリーンチップを所定サイズに切断
し、Fe−Cr−Co−Al金属板上にジルコニアをコ
ートしたセッターに搭載し、脱バインダー処理、焼成及
びアニールを、下記の条件で連続的に行ない、コンデン
サチップ体を作製した。なお、脱バインダー処理、焼成
及びアニールの条件は、以下の通りである。また、それ
ぞれの雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用いた。
得られたコンデンサチップ体の端面をバレル処理により
研磨した後、平均粒径0.5μmのCu粒子100重量
部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部を
ブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重
量部、及びブチルカルビトール7重量部とを混練し、ペ
ースト化した外部電極用ペーストを前記端面に転写し、
N2 雰囲気中で850℃にて5分間焼成して外部電極を
形成し、図2に示すような構成を有する積層セラミック
コンデンサを得た。なお、図において、1は誘電体層、
2は内部電極、3は外部電極である。
うにして製造した各サンプルのサイズは、3.2×1.
6×1.3mm及び5.0×5.7×2.5mmであ
り、有効誘電体層の厚さは5μm×100層、内部電極
層の厚さは約1.0μmであった。なお、各サンプルの
誘電体層の組成は、上記表1に示す通りであり、各サン
プルの特性は表2に示す通りである。
本発明に係る組成であり、参考例1〜8は、本発明の範
囲外の組成である。すなわち、参考例1は、酸化物成分
をまったく添加していない誘電体組成からなるサンプル
であり、参考例2は、実施例5と同一の組成を有する酸
化物成分を1wt%だけ添加した誘電体組成からなるサ
ンプルである。参考例3〜8は、それぞれ*を付した組
成が、本発明の範囲外となる誘電体組成からなるサンプ
ルである。
を持つ複数のサンプルの各々について、グリーンシート
のピンホールの有無、焼成後のクラック数、バレル処理
後のチッピング数といった外観検査を行うと共に、誘電
率、容量の温度特性、誘電損失、耐圧、絶縁抵抗等を測
定したところ、下記の表2に示すような結果が得られ
た。なお、この場合の検査および測定の詳細は、次の通
りである。
は、シートを1cm2 に切断して50倍の顕微鏡で観察
し、ピンホールの有無を調べた。なお、ピンホールがあ
る場合には、その数を記載した。焼成後のクラック数
は、各組成ごとに20個のサンプルを使用し、目視によ
りその不良率を求めた。バレル後のチッピング数は、各
組成ごとに20個のサンプルを使用し、回転バレル装置
に1mm径のジルコニアボールと800番のアルミナ研
磨剤を入れ、60rpmで3時間回転させてバレル処理
を行い、その後に実体顕微鏡でエッジの欠けを観察し、
その不良率を求めた。
IAのX7R特性を満足するか否かを調べた。具体的に
は、LCRメータにより、−55〜125℃について測
定電圧1Vで容量を測定し、容量変化率が±15%以内
(基準温度25℃)を満足するか否かを調べた。また、
−25〜85℃について測定電圧1Vで容量を測定し、
容量変化率が±10%以内(基準温度20℃)を満足す
るかどうかを調べた。両者を満足する場合を○、満足し
ない場合を×とした。
ける静電容量を測定し、電極面積と誘電体の厚みから比
誘電率を測定した。なお、誘電率と誘電損失は1vrm
s、1.0kHzでの値を用いた。
が10mA以上流れた電圧を耐圧とした。測定数は各組
成ごとに5個であり、その平均を求めた。
時間熱処理し、その後に25℃の恒温槽の中で、2時間
後及び20時間後に静電容量を測定し、エージングレー
ト%/decadeを求めた。
恒温槽に放置し、10分後に容量と絶縁抵抗の1分値を
測定し、その積をCR150℃とした。
電体組成を持つサンプル(実施例1〜16)の各特性
は、いずれも本発明の範囲外の誘電体組成を持つサンプ
ル(参考例1〜8)に比べて格段に優れている。すなわ
ち、実施例1〜16の各特性から明らかなように、本発
明に係る誘電体組成を用いた場合には、1000℃/時
間の昇温のような急速な焼成条件で焼成を行っても、素
子にクラックが生じることはなく、バレル処理後のチッ
ピングも生じない。また、水系バインダーを用いてシー
ト成形を行っても、ピンホールの発生が極めて少なく、
結果として、大型サイズでも耐圧に優れたMLCを製造
することができる。また、得られたMLCは高温150
℃でも極めて高い絶縁抵抗を示し、さらに室温における
小さな容量エージング特性を示す。
比較]続いて、前述した製造工程によって得られたサン
プルのように内部電極にNiを用いた場合と、Ni合金
を用いた場合との比較について説明する。一例として、
表1に示す実施例8と同じ誘電体組成を持ち、内部電極
に2%のMoを添加したNi合金を用いたサンプルを実
施例17として、表2と同様の特性を調べたところ、下
記の表3に示すような結果が得られた。
のみが異なる以外は全く同じ条件で作製された、本発明
に係る同じ誘電体組成を持つ同サイズの2種類のサンプ
ルとして、Ni金属のみを用いた実施例8と、2%のM
oを添加したNi合金を用いた実施例17の各特性をそ
れぞれ示したものである。
圧や絶縁抵抗は、実施例8に比べて大幅に向上してい
る。このことから、内部電極用金属として、Ni金属の
みを用いた場合よりも、Ni−Mo合金を用いることに
よって、耐圧を向上でき、さらに絶縁抵抗を向上できる
ことが判明した。さらに、200℃で50vを印可する
高温加速寿命試験を行ったところ、絶縁抵抗が106 Ω
以下に低下するまでの時間は、実施例8では平均10時
間であるのに対して、実施例17では平均30時間まで
向上していた。これらの結果から、内部電極用金属とし
て、Ni−Mo合金を用いることによって、各種の特性
を向上できることが明らかとなった。
較]以下には、前述した製造工程によって得られたサン
プルのように誘電体組成物をスラリー化する際のバイン
ダーとして水系バインダーを用いた場合と、有機溶剤を
用いた場合との比較について説明する。一例として、表
1に示す実施例8と同じ誘電体組成について、有機溶剤
を用いたサンプルを実施例18として、表2と同様の特
性を調べたところ、下記の表4に示すような結果が得ら
れた。
外は全く同じ条件で作製された、本発明に係る同じ誘電
体組成を持つ同サイズの2種類のサンプルとして、水系
バインダーを用いた実施例8と有機溶剤を用いた実施例
18の各特性をそれぞれ示したものである。
て作製した実施例18の特性は、水系バインダーを用い
て作製した実施例8とほぼ同等である。このことから、
本発明に係る組成物を用いることにより、バインダーの
種類に関わらず、良好な特性を安定して得られることが
判明した。
実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他
にも多種多様な変形例を実施可能である。例えば、誘電
体磁器組成物の具体的な組成は、本発明の範囲内で適宜
選択可能である。同様に、電極用金属の組成やバインダ
ーの組成等も、適宜選択可能である。さらに、具体的な
製造工程や各工程の条件も適宜選択可能である。例え
ば、脱バインダー処理や焼成、アニールにおける温度条
件や昇温・降温速度条件、雰囲気ガス条件等は、適宜選
択可能である。これに関連して、前記実施例において
は、還元雰囲気での焼成について説明したが、酸化雰囲
気でPd/Ag電極を内部電極に用いても同等な特性が
得られる。
水系のバインダーを使用して良好にスラリー化可能であ
り、急速焼成でもクラックを生じることなく良好に焼結
可能で、バレル処理後にチッピングが生じにくく、積層
セラミックコンデンサ用として好適な誘電体磁器組成物
を提供することができる。
場合でも耐圧に優れ、EIAのX7R特性及びJISの
B特性を満たすことが可能な、高性能で信頼性の高い積
層セラミックコンデンサを提供することができる。さら
に、そのような優れた積層セラミックコンデンサを製造
可能な、熱効率、量産性、及び環境性に優れた製造方法
を提供することができる。
温度プロファイルを示す図
を示す斜視図
Claims (12)
- 【請求項1】 組成式がBaTiO3 からなる組成物に
対して、SiO2 −Al2 O3 −BaO−CaO−Ta
2 O5 −Nb2 O5 −MgO−Y2 O3 からなる添加物
を、2.0〜10wt%加えたことを特徴とする誘電体
磁器組成物。 - 【請求項2】 前記SiO2 −Al2 O3 −BaO−C
aO−Ta2 O5 −Nb2 O5 −MgO−Y2 O3 から
なる添加物を構成する各成分が、それぞれSiO2 =1
0〜50mol%、Al2 O3 =1〜20mol%、B
aO=3〜40mol%、CaO=0〜10mol%、
Ta2 O5 =1〜10mol%、Nb2 O5 =0〜10
mol%、MgO=10〜40mol%,Y2 O3 =0
〜20mol%であり、前記添加物の平均粒径が0.5
μm以下であることを特徴とする請求項1記載の誘電体
磁器組成物。 - 【請求項3】 前記添加物に、CoO=0〜0.1mo
l%を加えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記
載の誘電体磁器組成物。 - 【請求項4】 内部電極と誘電体を交互に積層して積層
体を形成し、この積層体を焼成して積層セラミックコン
デンサを製造する方法において、 上記請求項1から請求項3に記載された誘電体磁器組成
物の中から選択された組成物を誘電体として使用するこ
とを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。 - 【請求項5】 前記積層体として、前記組成物からなる
誘電体と、NiまたはNi合金からなる内部電極を少な
くとも2層以上有する積層体を形成することを特徴とす
る請求項4記載の積層セラミックコンデンサの製造方
法。 - 【請求項6】 前記積層体を、1120〜1300℃で
10-7atmから10-13 atmの還元雰囲気で焼成
し、その後に、600〜1100℃で2×10-1atm
から1×10-7atmの雰囲気で熱処理することを特徴
とする請求項4記載の積層セラミックコンデンサの製造
方法。 - 【請求項7】 前記積層体を、前記誘電体磁器組成物の
焼結粒子が0.2〜2.0μmとなる条件で焼成し、熱
処理することを特徴とする請求項4記載の積層セラミッ
クコンデンサの製造方法。 - 【請求項8】 前記誘電体磁器組成物をスラリー化する
際に、分散媒体として水系溶剤を用いることを特徴とす
る請求項4記載の積層セラミックコンデンサの製造方
法。 - 【請求項9】 前記積層体を、金属板セッター又は金属
網セッター上に置き、600〜1500℃/時間の昇温
速度で1120〜1300℃まで昇温させ、数時間保持
し、その後に、600〜1500℃/時間の降温速度で
室温まで降下させることにより作製することを特徴とす
る請求項4記載の積層セラミックコンデンサの製造方
法。 - 【請求項10】 前記金属板セッター及び金属網セッタ
ーが、W、Mo、Pt、Ni−Cr−Fe系、およびF
e−Cr−Co−Al系のいずれか一つを含む金属から
なることを特徴とする請求項9記載の積層セラミックコ
ンデンサの製造方法。 - 【請求項11】 前記金属板セッター及び金属網セッタ
ーが、W、Mo、Pt、Ni−Cr−Fe系、およびF
e−Cr−Co−Al系のいずれか一つを含む金属から
なり、その上部がセラミクスでコートされていることを
特徴とする請求項9記載の積層セラミックコンデンサの
製造方法。 - 【請求項12】 上記請求項4から請求項11に記載の
方法の中から選択された方法により製造されたことを特
徴とする積層セラミックコンデンサ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04827699A JP4461503B2 (ja) | 1999-02-25 | 1999-02-25 | 誘電体磁器組成物、積層セラミックコンデンサとその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04827699A JP4461503B2 (ja) | 1999-02-25 | 1999-02-25 | 誘電体磁器組成物、積層セラミックコンデンサとその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000247733A true JP2000247733A (ja) | 2000-09-12 |
| JP4461503B2 JP4461503B2 (ja) | 2010-05-12 |
Family
ID=12798926
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP04827699A Expired - Lifetime JP4461503B2 (ja) | 1999-02-25 | 1999-02-25 | 誘電体磁器組成物、積層セラミックコンデンサとその製造方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1999
- 1999-02-25 JP JP04827699A patent/JP4461503B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| JP2023043674A (ja) * | 2021-09-16 | 2023-03-29 | Tdk株式会社 | 誘電体組成物および積層セラミック電子部品。 |
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| CN115831606B (zh) * | 2021-09-16 | 2026-03-06 | Tdk株式会社 | 电介质组合物和层叠陶瓷电子部件 |
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