JP2000247918A - 弗化アルコールの気相精製方法 - Google Patents

弗化アルコールの気相精製方法

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JP2000247918A
JP2000247918A JP11051026A JP5102699A JP2000247918A JP 2000247918 A JP2000247918 A JP 2000247918A JP 11051026 A JP11051026 A JP 11051026A JP 5102699 A JP5102699 A JP 5102699A JP 2000247918 A JP2000247918 A JP 2000247918A
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purification
gas
fluorinated alcohol
hydrogen
nickel catalyst
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JP11051026A
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Kenji Otsuka
健二 大塚
Hiroshi Waki
弘 脇
Hisafumi Kasatani
尚史 笠谷
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Japan Pionics Ltd
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Japan Pionics Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弗化アルコールを気相で化学反応、化学吸
着、物理吸着を利用して極めて高純度に精製する技術を
提供する。 【解決手段】 弗化アルコールを含むガスを還元ニッケ
ル触媒、または還元ニッケル触媒に接触させたのち合成
ゼオライト等の吸着剤に接触させることにより不純物を
除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弗化アルコールの
気相精製方法に関する。更に詳細には気体状弗化アルコ
ール中、または気体状弗化アルコールを含むガス中に存
在する気体状不純物を除去して弗化アルコールを精製す
る気相精製方法に関する。
【0002】弗化アルコールは、アルコール中のC−H
結合の一部を弗素で置換した、C−F結合を有するアル
コールである。弗化アルコールは、その分子構造によ
り、有機化合物のように極性の弱い物質との親和性が高
いのみならず、水や各種無機化合物のような極性の強い
物質とも優れた親和力を有している。このことは半導体
製造工業などにおける、部品、製品、製造設備などの液
相または気相精密洗浄用の溶剤として、極めて優れた性
質を有していると考えられる。このような用途において
は、当然のこととして、弗化アルコール自身が液体、気
体の状態を問わず極めて高純度であることが求められ
る。
【0003】また蒸発潜熱が大きく、且つ室温付近での
蒸気圧が大きいため冷媒としての用途も考えられる。冷
媒として用いる場合には、非凝縮性のガスが共存すると
冷却効率が大きく低下するため、非凝縮性ガスを除去す
る必要がある。さらに弗化アルコールは、溶剤、洗浄
剤、冷媒等の用途において実使用に耐え得る程度の化学
的安定性を有しながら、大気中に放出された後は比較的
容易に分解されるという適度な不安定さを併せ持つこと
から、環境化学的な面において優れた特徴がある。
【0004】この様な特徴のある弗化アルコールは、昨
今注目を集めている環境問題の解決に向けて大きく寄与
する可能性を示唆している。即ち、従来から溶剤、洗浄
剤、冷媒等として用いられている弗化塩化炭化水素(C
FC、HCFC)はオゾン層の破壊や地球の温暖化を起
すこと、また弗化炭化水素(PFC、HFC)は地球の
温暖化を起すこと等の大きな欠点を有していた。一方弗
化アルコールはオゾン層を破壊することがなく、地球の
温暖化を生じることがなく、また毒性も低いこと等か
ら、従来の弗化塩化炭化水素、弗化炭化水素の代替用と
して実用可能な注目すべき物質である。
【0005】弗化アルコールを上記のように、溶剤、洗
浄剤、冷媒などとして用いる場合にはそれぞれの用途に
応じて精製する必要がある。特に、半導体製造工程で用
いる場合には高純度に精製する必要がある。一般に弗化
アルコールは、弗化アルコールの製造に伴って存在する
不純物、若しくは混入する不純物のほか、使用中の装置
基材の腐蝕などから発生する水素を含むこと、移送ある
いは充填の際などに不純物の混入することがあり、その
ために精製しなければならない場合がある。特に腐蝕に
よって発生する水素は経過時間と共に蓄積量が増大する
ことから、弗化アルコール中の水素を除去することも重
要な課題である。一般に常温で液体状の物質を精製する
方法としては、蒸留精製法が用いられるが、微量不純物
が残留すること、蒸留過程での熱分解、変質などによる
汚染を防止することができない等のために高純度な精製
には適していない。一方、気相での化学反応、化学吸
着、物理吸着などを利用した精製方法では極めて高純度
に精製することができる。
【0006】
【従来の技術】従来からガス中の不純物を除去して精製
する気相精製技術については多くの方法が知られてい
る。その精製方法は、精製対象ガスおよび除去対象不純
物ガスの化学的性質、物理的性質、精製前後の不純物濃
度、ガス量、精製コスト等を勘案して適宜選定される。
例えばメタノールと水を触媒存在下で反応させて得られ
たメタノール分解ガスから水素を分離精製する場合にお
いては、副生物である二酸化炭素濃度が高く、ガス量が
多量であるため連続操作が可能な高分子膜透過精製方法
や、吸着剤を用い高速再生が可能な圧力変動式精製方法
などが採用されている。
【0007】一方、半導体工業で使用するガスの場合
は、高純度であることが要求されることから、既に精製
され容器に充填されているガスを用い、より一層の高純
度化を目的にして高度な精製が行われている。水素ガス
を高純度に精製する技術としては、パラジウム合金膜
の水素選択透過性を利用し、加熱下で合金膜の表裏に水
素ガスの分圧差を与えて水素のみを選択透過させて精製
するパラジウム膜透過式精製法、水素ガスをジルコニ
ウムを主成分とする合金と加熱下に接触させて合金と不
純物を化学反応させることにより水素ガス中の不純物を
除去して精製するゲッター式精製法、水素ガスを常温
下で金属触媒および合成ゼオライト等の吸着剤と接触さ
せ、化学反応、化学吸着、物理吸着によって水素ガス中
の不純物を除去して精製する常温吸着式精製法、吸着
剤が充填され、液体窒素の沸点まで冷却された精製筒に
水素ガスを流通させて物理吸着により水素ガス中の不純
物を除去して精製する深冷吸着式精製法などがある。
【0008】酸素ガスを高純度に精製する方法として
は、酸素ガスを加熱下の金属触媒と接触させて水素、
一酸化炭素、炭化水素などの可燃成分を水分と二酸化炭
素に変換させた後、ゼオライトなどの吸着剤と常温で接
触させて水分と二酸化炭素を吸着除去して精製する吸着
式精製法のみが実用されている。また窒素ガスの場合は
常温吸着式精製法とゲッター式精製法が実用されてい
る。さらにアルゴン、ヘリウムなどの希ガスの場合は常
温吸着式精製法とゲッター式精製法が実用されているほ
か、ヘリウムの場合のみ深冷吸着式精製法も用いること
ができる。
【0009】このように化学的に安定な汎用ガスの場合
においてもガスの性質に応じて精製方法は適宜選択する
ことが必要である。更にガスの性質に応じて同じ精製方
法であっても使用する触媒、吸着剤、ゲッター剤などの
種類の選択も必要である。半導体工業では、これら汎用
ガスのほかにシラン、ジシラン、ジクロロシラン、ホス
フィン、アルシン、ジボランなどの水素化物ガスや塩
素、弗素、塩化水素、弗化水素、四弗化珪素、六弗化タ
ングステンなどの酸性ガス、四弗化炭素、六弗化エタン
などを代表とするフロンガス、さらには三弗化窒素、亜
酸化窒素など様々な性質を有するガスが使用されてい
る。
【0010】これらのガスも高純度化が求められている
が、化学的性質、物理的性質が様々であり、その精製方
法については現在も各個別のガスの性質に応じて検討が
進められ、その開発、実用化が進められているところで
ある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この様な状況下で将来
産業界から使用が期待されている弗化アルコール類の高
純度精製方法に関しては、弗化アルコールが高価であり
これまで多量に使用されることが無かったことから、そ
の高度な精製技術について研究した事例は見当たらな
い。また、弗化アルコールの化学的な安定性が比較的低
いこと、極性が極めて大きく吸着性が強く、蒸発潜熱が
大きく、また室温では蒸気圧が大気圧以下の液体である
など、化学的安定性の特異性、物理的性質の特異性など
から従来の精製技術の適用可能性についても全く予測す
ることができない。
【0012】しかし、弗化アルコールはオゾン層を破壊
することがなく、地球温暖化を生じないことなど環境保
護の観点から、今後その需要が増加すると考えられる。
そのため、弗化アルコールに関し、特に微量不純物を除
去して高純度に精製する気相精製技術の開発が望まれて
いた。即ち本発明の課題は弗化アルコールを気相で化学
反応、化学吸着、物理吸着を利用して極めて高純度に精
製する技術を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべくCFCHOHの構造式で表される三弗
化エタノール(沸点74.5℃)を弗化アルコールの代
表例として用い、その気相精製方法について鋭意研究を
重ねた。すなわち、三弗化エタノールと共に不純物とし
て酸素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水分を含む窒
素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを用いて、以下
のように不純物の変換あるいは固定することによる精製
方法について検討した。
【0014】チタン−ジルコニウム、鉄−ジルコニウム
などジルコニウム系合金からなるゲッター材を充填した
精製筒に前記ガスを流通させて、その出口ガス中の不純
物を測定したところ、室温程度の温度では不純物の除去
能力がないこと、温度を徐々に上げていった場合は、充
分な不純物の除去性能を得る以前に三弗化エタノールの
分解が起こることを確認した。
【0015】また銅、ニッケル、マンガンなどの酸化物
を有効成分とする金属酸化物触媒を用いて水素、一酸化
炭素を金属酸化物触媒中の酸素により水分、二酸化炭素
に変換させる方法についても検討した。その結果金属酸
化物の種類によっては常温から発熱を伴って三弗化エタ
ノールの分解を生じること、その他の金属酸化物におい
ても加熱と共に三弗化エタノールの分解を生じること、
また何れの金属酸化物も水素、一酸化炭素を水分、二酸
化炭素に変換させるに充分な効果が得られないことを確
認した。
【0016】さらに銅、ニッケル、パラジウムなどの還
元金属触媒についても同様に検討を行った結果、パラジ
ウム触媒は全ての不純物除去に関して効果がないこと、
還元銅触媒では酸素のみ除去可能であること、還元ニッ
ケル触媒のみが水素、酸素、一酸化炭素を除去し得るこ
とを見出した。
【0017】このほか気相での三弗化エタノールの濃度
を高めて精製するためには三弗化エタノールの蒸気発生
部から精製部を含む全ての系を加熱保温する必要がある
が、精製部の温度が200℃を超える場合には、三弗化
エタノールの分解反応が起こることを見出した。
【0018】一方、モレキュラーシーブス5Aなどの合
成ゼオライト、シリカゲル、アルミナなどの吸着剤で
は、三弗化エタノールの強い吸着によって不純物の吸着
が阻害されることが予想されたが、水素、酸素、一酸化
炭素は除去できないものの、三弗化エタノールを分解す
ることがなく、水分、二酸化炭素を除去できることを確
認した。
【0019】本発明者らは、これらの研究と知見を積み
重ねた結果、弗化アルコールを含むガスを常温で還元ニ
ッケル触媒に接触させることにより弗化アルコールを分
解することなしに、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭
素等の不純物を除去することができることを見出した。
また常温下で還元ニッケル触媒と接触させた後、合成ゼ
オライト、シリカゲル、アルミナなどの吸着剤と常温下
で接触させることにより、弗化アルコールの変質あるい
は分解を生じることなしに、水分及び還元ニッケル触媒
では除去しきれなかった二酸化炭素を除去することがで
きることを見出し本発明に到達した。
【0020】すなわち本発明は、気体状弗化アルコール
と共に気体状不純物を含むガスを、還元ニッケル触媒と
接触させて該気体状不純物を除去することを特徴とする
弗化アルコールの気相精製方法である。また本発明は、
気体状弗化アルコールと共に気体状不純物を含むガス
を、還元ニッケル触媒と接触させたのち、合成ゼオライ
ト、シリカゲル、またはアルミナと接触させることによ
り該不純物を除去することを特徴とする弗化アルコール
の気相精製方法でもある。
【0021】本発明は、気体状弗化アルコールを含むガ
ス中に存在する水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素
を、還元ニッケルを有効成分とする触媒と200℃以下
で接触させて除去精製するものである。さらに、還元ニ
ッケル触媒と接触させた後、合成ゼオライト、シリカゲ
ル、またはアルミナ等の吸着剤と接触させることにより
水分、及び還元ニッケル触媒では除去しきれなかった二
酸化炭素を除去することによって弗化アルコールを高純
度に精製する気相精製方法である。
【0022】本発明において、弗化アルコールとは、ア
ルコール中の炭素に結合する水素の一部を弗素で置換し
たものであり、化学式1で表される化合物である。
【0023】
【化1】C2n+1−mOH
【0024】本発明における弗化アルコールとしては、
例えば、パーフルオロメタノール、パーフルオロエタノ
ール、1,1,1-トリフルオロエタノール、パーフルオロプ
ロパノール、1,1,1,-トリフルオロプロパノール、1,1,
1,-2,2,-ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,-3,3,3-
ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。この
ほか化学式1で表される弗化アルコールであればいずれ
も本発明の範囲に含まれる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明は、化学式1で表される気
体状の弗化アルコール単独、あるいは気体状弗化アルコ
ールを含むガスの気相精製に適用される。また本発明は
これらの内でも特に1,1,1-トリフルオロエタノールの精
製に好適に用いることができる。ここで気体状弗化アル
コールを含むガスとは、弗化アルコールに対して化学的
に不活性なガス中に弗化アルコールを含むものを意味す
るものである。本発明において不活性なガスとは、弗化
アルコールに対して不活性であれば特に限定はなく、通
常は例えばヘリウム、アルゴン、窒素などのように本来
不活性ガスと分類されているガスのほか、通常の温度圧
力条件下では弗化アルコールと化学反応を引き起こさな
いようなガスをも意味するものである。
【0026】本発明において、還元ニッケル触媒とは有
効成分としてニッケルを含み、弗化アルコールを含むガ
ス中の酸素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素を捕捉除去
するものであり、これを用いることにより酸素、水素、
一酸化炭素、二酸化炭素を極低濃度まで除去することが
できる。ニッケル触媒は金属ニッケル又はニッケルの酸
化物など還元されやすいニッケル化合物を含むものであ
る。またニッケル以外の金属成分としてクロム、コバル
ト、鉄などの金属を少量含むものでもよい。これらのニ
ッケルは単独で用いてもよく、触媒担体などに担持させ
た形態で用いてもよいが、ニッケルの表面とガスとの接
触効率を上げる目的などから通常は触媒担体などに担持
させた形態で用いられる。
【0027】ニッケル触媒は、珪藻土、アルミナ、シリ
カアルミナなどの担体に硝酸ニッケル、蓚酸ニッケルな
どのニッケル塩の水溶液とアルカリ性物質を用いて含
浸、乾燥、焼成することなどにより調製することができ
る。また、ニッケルの無機酸塩、有機酸塩などを焼成し
た後、押し出し成形、打錠成形などによって調製するこ
ともできる。このほか、ニッケル触媒として市販品があ
ることから、それらを用いることもできる。
【0028】市販のニッケル触媒としては、例えば、水
素化触媒であるN−112(Ni−珪藻土)、ガス変成
触媒であるN−174(NiO)、ガス化触媒であるN
−185(NiO)[以上日揮化学(株)製]、水蒸気
変成触媒であるC11−2−03(NiO−セメン
ト)、水素化触媒であるC46−7(Ni−珪藻土)
[以上東洋CCI(株)製]などがある。要は、還元ニ
ッケル、酸化ニッケルなどが微細に分散されて、その表
面積が大きくガスとの接触効率の高い形態であればよ
く、触媒の形態に特に限定されるものではない。
【0029】本発明において、ニッケル触媒の比表面積
として通常は、BET法で10〜300m/gの範囲
のもの、好ましくは30〜250m/g範囲のもので
ある。また、ニッケル含有量は金属ニッケル換算で通常
は5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%であ
る。
【0030】本発明において、弗化アルコール含有ガス
のニッケル触媒による精製は、上記ニッケル触媒を筒状
の精製筒等に充填し還元した後、弗化アルコールの蒸気
単独、あるいは弗化アルコール含有ガスを精製筒に通気
することによって行われ、それらのガス中に含まれる酸
素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素等の不純物が捕捉除
去される。還元ニッケル触媒と弗化アルコール含有ガス
とを接触させる温度は、通常は常温〜200℃、好まし
くは常温〜130℃である。本発明が適用される弗化ア
ルコール含有ガス中の酸素、水素、一酸化炭素、二酸化
炭素の濃度に特に限定はないが、還元ニッケル触媒によ
る精製は高純度精製を目的とするものであること、及び
不純物の種類によってはその濃度が高くなると還元ニッ
ケル触媒との反応によって大きな発熱を生じることか
ら、通常はそれぞれ10000ppm以下である。
【0031】本発明において、精製筒でのニッケル触媒
の充填長は実用上通常は10〜1500mmとされる。
10mmよりも短いと酸素、水素、一酸化炭素、二酸化
炭素の除去率が低下する虞があり、1500mmよりも
長くなると圧力損失が大きくなり過ぎる虞がある。精製
時の弗化アルコール含有ガスの空筒線速度(LV)は弗
化アルコール中の酸素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素
の濃度によっても異なり一概に特定はできないが、通常
は100cm/sec以下、好ましくは30cm/se
c以下である。なお、精製開始の時点では、還元ニッケ
ル触媒による弗化アルコールの物理吸着に基づく発熱が
ある。このために還元ニッケル触媒層の温度が上昇する
ことから、弗化アルコールを含むガスの通気の初期は徐
々に供給することが好ましい。
【0032】還元ニッケル触媒が充填された精製筒は弗
化アルコール精製を行った後、使い捨てとすることもで
きるが、精製に用いたのちニッケル触媒を還元再生する
ことによって繰り返し使用することもできる。また、ニ
ッケル触媒を充填した精製筒の下流に合成ゼオライトな
どの脱湿剤を充填した精製筒を設けること、あるいは精
製筒内のニッケル触媒の下部又は上部、好ましくは下部
に脱湿剤層を設けることもできる。これにより弗化アル
コール含有ガス中の水分、及び還元ニッケル触媒では除
去しきれなかった二酸化炭素を除去し、弗化アルコール
をさらに高純度に精製することができる。
【0033】弗化アルコール含有ガスの脱湿剤として
は、例えば4Å、5Å程度の細孔径を有する合成ゼオラ
イト(ユニオン昭和(株)製、又はリンデ製、モレキュ
ラーシーブ4A、5A)などが用いられる。これらの合
成ゼオライトは、使用に先だち、加熱下に窒素などの不
活性ガスを通気することによって活性化した後、精製に
使用される。合成ゼオライトと弗化アルコール含有ガス
とを接触させる際の温度に特に限定はないが、通常は常
温〜200℃、好ましくは常温〜130℃である。また
精製時の弗化アルコール含有ガスの空筒線速度(LV)
は弗化アルコール中の水分、二酸化炭素の濃度によって
も異なり一概に特定はできないが、通常は100cm/
sec以下、好ましくは30cm/sec以下である。
【0034】なお、精製開始の時点では合成ゼオライト
による弗化アルコールの物理吸着に基づく発熱がある。
このために合成ゼオライトの温度が上昇することから、
通気の初期は流量を少なくし、徐々に通気量を上げるこ
とが好ましい。弗化アルコール含有ガス中の水分、二酸
化炭素の吸着に用いた後の合成ゼオライトは、真空排気
又は真空排気した後250〜350℃の加熱下に精製窒
素ガス又は水素ガス等を通気することによって再生する
ことができる。このほか、合成ゼオライトと同様にシリ
カゲル、アルミナ等を用いることもできる。
【0035】なお本発明において、弗化アルコール含有
ガスの精製を還元ニッケル触媒と合成ゼオライトなどの
脱湿剤と組み合わせる方法とした場合においても、使い
捨ての精製筒とすることもできるが、水素ガスで加熱下
にニッケル触媒の還元と同時に脱湿剤の再生を行い、繰
り返し使用することもできる。再生繰り返し使用する場
合には、水素で加熱下にニッケル触媒を還元した後、加
熱した状態のままで真空排気するか、または窒素ガスな
どの不活性ガスに切り換えて通気した後に真空排気する
ことなどによって、精製過程で脱離するような水素を完
全に排除しておくことが必要である。
【0036】このほか本発明の気相精製を実施する際
に、弗化アルコールの種類によって分解性が異なり、一
概には特定できないが200℃以上で還元ニッケル触媒
と接触させた場合には分解を生じるものがある。このた
め、精製中は精製筒を弗化アルコールの分解温度以下に
保つことが必要である。また、弗化アルコールが精製系
内で凝縮することなくガス状で流通できる温度、圧力条
件に保持することが必要であるほかに、特別な制限はな
い。但し、精製開始の際、初めて還元ニッケル触媒、お
よび合成ゼオライトなどの吸着剤と弗化アルコールが接
触する時は、それぞれに対する吸着熱の発生に伴い温度
上昇を生じるので、これにより分解温度に近接しないよ
う注意が必要である。
【0037】キャリアガスを用いない条件、つまり弗化
アルコールのみのガスを精製する場合においては、その
温度における弗化アルコールの蒸気圧に基づいて、精製
圧力が決定されることとなる。例えば沸点が74.5℃
の三弗化エタノールを室温で精製する場合は減圧での精
製となり、常圧で精製する場合は三弗化エタノールの沸
点以上の温度で精製を行うことなる。
【0038】本発明において、減圧で精製する場合は、
吸着による発熱が周囲に放散しにくいために、温度上昇
が大きくなる。また常圧での精製においては凝縮を避け
るために精製部の加熱が必要であり、これに吸着熱が加
わって分解温度への接近が生ずる。これらを考慮して弗
化アルコールの初期通気に際しては通気速度を調節する
こと、および加熱を適度に調節すること、または必要に
応じて冷却することなどが必要である。また、精製筒の
最下流部に、粒子状不純物を除去するための公知技術に
よるフィルターを設けることもできる。
【0039】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明の範囲がこれによって限定されるものではな
い。 (実施例1)内径30.7mm長さ300mmのSUS
316L製の筒にニッケル触媒(日揮化学(株)製、N
112)を147.8ml充填し精製筒とした。この精
製筒を250℃に加熱し水素と窒素の混合ガス(水素1
0%、窒素90%)を2時間流通させて還元し、次いで
その温度に保持したまま水素と窒素との混合ガスをアル
ゴンに換えて4時間流通させた。次に真空ポンプで吸引
し、10Pa以下の真空に保持しながら常温に冷却し還
元ニッケル触媒が充填された精製筒を調製した。
【0040】この精製筒に、常温、常圧でアルゴン中に
1,1,1-トリフルオロエタノール10%を含むガスを30
ml/secの流量で通気し、精製を行った。精製前の
1,1,1-トリフルオロエタノールを含むガス中の不純物濃
度、及び精製開始2時間後における精製ガス中の不純物
濃度を表1に示した。また、精製ガス中及び精製筒内に
は1,1,1-トリフルオロエタノールの変質物、分解生成物
ともに見出されなかった。なお、酸素、水素、一酸化炭
素、二酸化炭素の分析は,熱伝導度型検出器付きガスク
ロマトグラフ、及び質量分析器を用いて行った。
【0041】
【表1】 精製前後の不純物濃度 酸素 水素 一酸化炭素 二酸化炭素 水分 (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) 精製前 50 300 60 40 30 精製後 0 0 0 2 30
【0042】(実施例2)実施例1で用いたものと同様
にして調製した精製筒を用い、これを25℃に保持しな
がら、減圧下に1,1,1-トリフルオロエタノールのガスを
徐々に導入開始したのち、常圧換算で3ml/sec相
当の流量で通気し精製を行った。精製前の1,1,1-トリフ
ルオロエタノールガス中の不純物濃度、及び精製開始3
時間後における1,1,1-トリフルオロエタノールガス中の
不純物濃度を表2に示した。なお、精製ガス中及び精製
筒内には1,1,1-トリフルオロエタノールの変質物、分解
生成物ともに見出されなかった。
【0043】
【表2】 精製前後の不純物濃度 酸素 水素 一酸化炭素 二酸化炭素 水分 (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) 精製前 500 3000 590 410 300 精製後 0 0 0 10 300
【0044】(実施例3)内径30.7mm長さ400
mmのSUS316L製の筒に、実施例1で用いたもの
と同様のニッケル触媒147.8mlを充填すると共
に、その下流側に合成ゼオライト(ユニオン昭和(株)
製、モレキュラーシーブス5A)74.0mlを充填し
て精製筒とした。この精製筒を250℃に加熱しなが
ら、合成ゼオライト側から水素と窒素の混合ガス(水素
10%窒素90%)を2時間流通させて還元し、次いで
その温度に保持したまま水素をヘリウムに換えて4時間
流通させた。次に真空ポンプで吸引し10Pa以下の真
空に保持しながら常温に冷却し、還元ニッケル触媒及び
合成ゼオライトが充填された精製筒の活性化を行った。
【0045】この精製筒に、常温、常圧でヘリウム中に
1,1,1-トリフルオロエタノールを10%含むガスを30
ml/secの流量で通気し、精製を行った。精製前の
1,1,1-トリフルオロエタノールを含むガス中の不純物濃
度、及び精製開始2時間後における精製ガス中の不純物
濃度を表3に示した。なお、精製ガス中及び精製筒内に
は1,1,1-トリフルオロエタノールの変質物、分解生成物
ともに見出されなかった。
【0046】
【表3】 精製前後の不純物濃度 酸素 水素 一酸化炭素 二酸化炭素 水分 (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) 精製前 50 300 60 40 30 精製後 0 0 0 0 0
【0047】(実施例4)実施例3と同様にして、還元
ニッケル触媒及び合成ゼオライトが充填された精製筒を
調製した。この精製筒に、80℃、常圧で1,1,1-トリフ
ルオロエタノールのガスを徐々に導入開始したのち、
4.5ml/secの流量で通気し精製を行った。精製
前の1,1,1-トリフルオロエタノール中の不純物濃度、及
び精製開始1時間後における精製ガス中の不純物濃度を
表4に示した。
【0048】
【表4】 精製前後の不純物濃度 酸素 水素 一酸化炭素 二酸化炭素 水分 (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) (ppm) 精製前 450 3000 590 410 300 精製後 0 0 0 0 0
【0049】
【発明の効果】本発明によって、将来フロンの代替えと
して期待されている弗化アルコールを、常温付近の温度
で、分解、変質などを生じることなしに、容易に高純度
に精製することができるようになった。また、精製に用
いる還元ニッケル触媒及び合成ゼオライトは再生繰り返
し使用することができることから、精製する弗化アルコ
ールの規模に応じて使い捨て方式の精製筒あるいは繰り
返し使用可能な精製装置を構成することができる。従っ
て、安価に精製することができるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA03 BB02A BB02B BC68A BC68B CD01 CD10 DA06 EC02Y EC03Y 4H006 AA02 AD17 AD30 BA21 BA61 FE11 FE71 FE74

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体状弗化アルコールと共に気体状不純
    物を含むガスを、還元ニッケル触媒と接触させて該気体
    状不純物を除去することを特徴とする弗化アルコールの
    気相精製方法。
  2. 【請求項2】 気体状不純物が水素、酸素、一酸化炭
    素、及び二酸化炭素から選ばれる少なくとも一種である
    請求項1に記載の弗化アルコールの気相精製方法。
  3. 【請求項3】 気体状弗化アルコールと共に気体状不純
    物を含むガスを、還元ニッケル触媒と接触させたのち、
    合成ゼオライト、シリカゲル、またはアルミナと接触さ
    せることにより該気体状不純物を除去することを特徴と
    する弗化アルコールの気相精製方法。
  4. 【請求項4】 気体状不純物が水素、酸素、一酸化炭
    素、二酸化炭素及び水分から選ばれる少なくとも一種で
    ある請求項3に記載の弗化アルコールの気相精製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005225916A (ja) * 2004-02-10 2005-08-25 Fuji Xerox Co Ltd 有機機能性材料の製造方法、有機機能性材料、および、これを用いた有機電界発光素子

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