JP2000250421A - ディスプレイ前面板 - Google Patents

ディスプレイ前面板

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JP2000250421A
JP2000250421A JP11048930A JP4893099A JP2000250421A JP 2000250421 A JP2000250421 A JP 2000250421A JP 11048930 A JP11048930 A JP 11048930A JP 4893099 A JP4893099 A JP 4893099A JP 2000250421 A JP2000250421 A JP 2000250421A
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JP
Japan
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copper
display front
display
component
infrared light
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Application number
JP11048930A
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English (en)
Inventor
Hiroki Katono
浩樹 上遠野
Tomoyoshi Koizumi
智義 小泉
Masuhiro Shoji
益宏 庄司
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外光吸収性能を維持しつつ、従来に比し
て、熱的及び化学的な安定性に優れると共に、製造方法
及び材料の選択性、並びに成形加工性を向上することが
可能なディスプレイ前面板を提供する。 【解決手段】 本発明のディスプレイ前面板は、(A)
成分;銅イオン及び下記式(1)で表されるリン酸エス
テル化合物より成る成分、及び(B)成分;下記式
(2)又は下記式(3)で表されるリン酸エステル銅化
合物より成る成分、のうち少なくとも一つの成分を含有
して成る近赤外光吸収層としての透明部材11を備え
る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はディスプレイ前面板
に関し、詳しくは近赤外領域の電磁波に対して吸収特性
を有するディスプレイ前面板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラズマ・ディスプレイ・パネル
( Plasma Display Panel ;以下単にPDPと云う。)
等の電子ディスプレイの研究開発や商品化が行われてい
る。これら電子ディスプレイに備わる発光体の中には、
波長800nm〜1100nmの近赤外領域の光(以
下、近赤外光と云う。)を発生するものがあり、電子デ
ィスプレイの前面から出射された近赤外光が、電子ディ
スプレイ周辺で使用されるTV等の近赤外光リモートコ
ントロールシステム(以下単に赤外線リモコンと云
う。)の誤動作を引き起こすといった問題点が挙げられ
る。特に、PDPにおいては、発光体電極間に封入され
ている希ガス(Xe,Ne)の放電励起が利用されてお
り、他の電子ディスプレイに比して高強度の近赤外光が
発光される。
【0003】このような近赤外光対策に用いられるもの
としては、電子ディスプレイの前面に配置して使用され
る近赤外光吸収特性を有する前面板があり、特に、特開
平10−153964号公報及び特開平10−2231
46号公報には、リン原子含有化合物及び銅原子含有化
合物を含む基板を備えるディスプレイ前面板が開示され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来
のディスプレイ前面板に用いられるリン原子含有化合物
は、実質的に、分子内に不飽和二重結合を有する重合系
化合物である。このようなリン原子含有化合物及びその
銅塩は、紫外光に曝されたり熱が加えられると、重合反
応が進行して徐々に硬化してしまうため、従来のディス
プレイ前面板は、これらリン原子含有化合物及び銅原子
含有化合物を樹脂中に含有させて重合させることにより
製造されており、製造方法や材料の選択性が十分ではな
かった。
【0005】このような樹脂の成形方法としては、加工
性、生産性及び経済性等の観点から、樹脂ペレットの熱
プレス成形や液状材料の注型重合等が広く用いられてい
る。しかし、従来のディスプレイ前面板に用いられるリ
ン原子含有化合物及びその銅塩は、上述の如く熱に対す
る安定性が十分ではなく、熱プレス成形に必ずしも適し
ているとは言えなかった。また、注型重合する際に、型
に癒着して離型が困難であり、しかも熱による再成形が
困難であった。
【0006】そこで、本発明は、このような課題に鑑み
て、近赤外光吸収性能を維持しつつ、従来に比して、熱
的及び化学的な安定性に優れると共に、製造方法及び材
料の選択性、並びに成形加工性を向上することが可能な
ディスプレイ前面板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為
に、本発明のディスプレイ前面板は、下記(A)成分及
び下記(B)成分のうち少なくとも一つの成分を含有し
て成る近赤外光吸収層を備えることを特徴とする。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分
【0008】
【化2】
【0009】このような本発明のディスプレイ前面板に
よれば、リン酸エステル化合物のリン酸基が配位結合及
び/又はイオン結合により銅イオンに結合し、銅イオン
は、リン酸エステルに囲まれた状態で近赤外光吸収層中
に溶解又は分散されている。近赤外光の選択吸収は、こ
の銅イオンのd軌道の電子遷移によって起こるものであ
り、従来と同等以上の近赤外光吸収性が得られる。ま
た、上記(A)成分のリン酸エステル化合物及び上記
(B)成分のリン酸エステル銅化合物は、分子構造中に
不飽和二重結合を有さず、紫外線や熱によって硬化し難
いので、従来のように樹脂組成物として安定化させなく
ても、例えば、上記(A)成分又は上記(B)成分を溶
媒に溶解又は分散させたものを平面に塗布して乾燥させ
ることにより近赤外光吸収性の薄膜を形成させることが
可能である。
【0010】さらに、上記(A)成分のリン酸エステル
化合物及び上記(B)成分のリン酸エステル銅化合物
は、分子構造中に不飽和二重結合を有さず、樹脂と混合
して型中で重合させる際の離型性が従来に比して高めら
れる。これは、上記樹脂組成物の重合収縮度が、従来の
二重結合を有するリン原子含有化合物を含有する樹脂組
成物に比して小さいことに因ると推定される。また、熱
的な負荷を与えても、例えば樹脂ペレットとして熱プレ
ス成形しても、十分な熱安定性を有するため、銅塩の熱
分解が起こる虞がない。加えて、成形されたこの樹脂組
成物は熱可塑性を有するので、成形後の熱による再成形
が容易となる。
【0011】また、電磁波を遮蔽する為の導電層を更に
備えると好適である。このようにすれば、導電層によっ
て形成される電磁シールドにより、ディスプレイから出
射される電磁波が良好に遮蔽されるので、ディスプレイ
上の映像を観賞する際に、電磁波に曝されることがな
い。
【0012】また、ディスプレイ前面板に入射した外光
の反射を防止する反射防止層を更に備えることが好まし
い。このように構成すれば、ディスプレイ前面板の前方
からディスプレイへ向かって入射する外光の反射が防止
されるので、ディスプレイの周囲が明るくとも、外光の
反射によってパネル面21の映像等が見え難くなること
が防止される。
【0013】また、本発明者らは、ディスプレイ前面板
に要求される近赤外光吸収特性及び物理的安定性の観点
から、上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物、
並びに上記式(2)又は上記式(3)で表されるリン酸
エステル銅化合物の物性を多角的に研究したところ、よ
り耐熱性に優れると共に耐環境性にも優れる近赤外光吸
収層を形成することが可能な成分を見出した。
【0014】すなわち、上記式(1)で表されるリン酸
エステル化合物並びに上記式(2)及び上記式(3)で
表されるリン酸エステル銅化合物は、上記式(4)又は
上記式(5)におけるmが1である基Rを有すると好適
である。このようにすれば、mが1である基Rを有する
リン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合
物は、mが2以上の整数である基Rを有するリン酸エス
テル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物に比して
高い熱分解温度を有するため、mが1である基Rを有す
るリン酸エステル化合物の銅塩又はリン酸エステル銅化
合物を含む組成物は、熱成形する際の成形温度が高めら
れる。よって、従来に比して成形性を向上することが可
能となる。また、mが1である基Rを有するリン酸エス
テル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物は、mが
2以上の整数である基Rを有するリン酸エステル化合物
の銅塩及びリン酸エステル銅化合物に比して、高温高湿
環境下における分光特性の劣化が起こり難く、特に可視
領域の光の透過率が殆ど低下しない。したがって、mが
1である基Rを有するリン酸エステル化合物の銅塩又は
リン酸エステル銅化合物を含む組成物は、光学部材とし
てのディスプレイ前面板の構成物として非常に適したも
のである。
【0015】またさらに、近赤外光吸収層は、上記
(A)成分及び上記(B)成分のうち少なくとも一つの
成分がアクリル系樹脂中に含有されて成るアクリル系樹
脂組成物で形成されると更に好適である。このようにす
れば、アクリル系樹脂が他の樹脂に比して可視光透過
性、耐候性、成形加工性等の観点で優れているため、デ
ィスプレイに表示された映像が暗くならずに観賞し易
く、また耐久性に優れると共に、加工形状の制約が少な
いディスプレイ前面板が得られる。
【0016】さらにまた、上記アクリル系樹脂組成物
は、銅イオンの含有割合が、アクリル系樹脂組成物全体
の0.1〜20重量%であるとより一層好適である。こ
の割合が0.1重量%未満であると、近赤外光を高い効
率で吸収する性能が得られない傾向にあり、一方、この
割合が20重量%を超えるときには、銅イオンをアクリ
ル系樹脂中に分散させることが困難となり、可視光透過
性に優れた光学フィルタが得難い傾向にある。したがっ
て、銅イオンの含有割合がアクリル系樹脂組成物全体の
0.1〜20重量%とすることにより、近赤外光吸収性
及び可視光透過性に優れた近赤外光吸収層を備えたディ
スプレイ前面板を確実に得ることができる。
【0017】また、本発明のディスプレイ前面板は、波
長800nm〜1000nmの近赤外領域における光線
透過率が20%以下、好ましくは10%以下であると更
に好適である。このようにすれば、赤外線リモコンで主
に利用されている波長950nm近傍の近赤外光が十分
に減衰されるので、ディスプレイの周囲にある赤外線リ
モコン等が誤動作する虞がない。
【0018】さらに、具体的な用途としては、上記ディ
スプレイがPDPであることが望ましい。この場合、P
DPは電子ディスプレイの中でもとりわけ近赤外光の発
生強度が高く、PDPの周辺に置かれた赤外線リモコン
が誤動作する可能性が高いが、本発明のディスプレイ前
面板をPDPへ適用することにより、このような誤動作
が有効に防止される。また、PDPは大面積の画面を持
つ大型ディスプレイとして有望な装置であって、このよ
うな大型画面に合わせてディスプレイ前面板も大型化が
要求される。本発明のディスプレイ前面板は、近赤外光
吸収層を樹脂組成物として形成するときの成形加工性に
優れ、また上記(A)成分及び/又は上記(B)成分を
含有する液状の組成物を透明基板等に塗布することによ
っても近赤外光吸収層を形成できるので、従来よりも大
型のディスプレイ形状に対応したディスプレイ前面板が
簡易に得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図を参照して本発明の
実施形態を説明する。なお、同一の要素には同一の符号
を付し、重複する説明を省略する。また、説明にあたっ
ては、まず、本発明に係るディスプレイ前面板の各実施
形態の構成及び使用状態について述べ、その後で近赤外
光吸収層を形成する為の成分及び組成物等について述べ
る。
【0020】図1は、本発明のディスプレイ前面板に係
る第1実施形態を示す図であって、図1(a)は断面図
であり、図1(b)は積層構造を示す斜視図である。図
1に示すディスプレイ前面板1は、PDPの前面に取り
付けられる光学的に透明な板状体であり、略平板状を成
し近赤外光吸収層を有する透明部材11の一方の面に、
導電性を有する細線が縦横に編み込まれてメッシュ状を
成す導電層としてのシールドメッシュ13が、樹脂製、
例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明
フィルム14で覆われるように貼付されて成っている。
また、透明部材11の他方の面の全域には反射低減膜1
2が形成されている。更に、シールドメッシュ13と接
していない透明フィルム14の面には反射防止層として
の反射防止膜15が形成されている。
【0021】本実施形態で採用される透明部材11とし
ては、以下の3種類の形態が好適である。 [第1の形態]:上記(A)成分及び上記(B)成分の
うち少なくとも一つの成分を含有する樹脂組成物で形成
されるもの、又はガラス若しくは透明な樹脂板等から成
る透明基板にこの樹脂組成物が貼合されたもの。 [第2の形態]:ガラス若しくは透明な樹脂板等から成
る透明基板に、上記(A)成分及び上記(B)成分のう
ち少なくとも一つの成分から成る近赤外光吸収性膜16
が形成されたもの。 [第3の形態]:上記(A)成分及び/又は上記(B)
成分のみから成る組成物で形成されたもの、又はガラス
若しくは透明な樹脂板等から成る透明基板にこの組成物
が貼合されたもの。
【0022】上記どの形態においても、(A)成分及び
/又は(B)成分を用いると、銅化合物に含まれる銅イ
オンは、近赤外光を選択的に吸収するという銅イオンに
特徴的な特性を発現する一方、上記化合物は可視領域の
光(可視光)の波長に相当するエネルギー準位をもたな
いので、可視光は吸収されない。したがって、これら成
分を含有して成る本発明のディスプレイ前面板1によれ
ば、従来に比して同等以上の優れた近赤外光吸収性能及
び可視光透過性能が達成できる。
【0023】上記第1の形態は、(A)成分及び(B)
成分のうち少なくとも一つの成分を含有する樹脂単量体
を重合硬化させて樹脂組成物とすることにより製造され
る。このとき、(A)成分及び/又は(B)成分中のリ
ン酸エステル化合物は、上記式(4)又は上記式(5)
に示す如く、分子構造中に不飽和二重結合を有しないた
め、上記樹脂単量体を型中で重合硬化させる際に、硬化
後の樹脂組成物の離型性が従来に比して格段に高められ
る。これは、上記樹脂組成物の架橋度が従来よりも低い
ため、従来の二重結合を有するリン原子含有化合物を含
有する樹脂組成物に比して重合収縮度が小さいことに因
ると推定され得る。また、熱的な負荷を与えても、例え
ば樹脂ペレットとして熱プレス成形しても、十分な熱安
定性を有するため、銅塩の熱分解が起こる虞がない。さ
らに、(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つ
の成分を含有する樹脂組成物は熱可塑性を有するため、
成形後の熱による再成形が可能である。したがって、上
記第1の形態の透明部材11を備えるディスプレイ前面
板1によれば、従来に比して成形加工性を格段に向上す
ることが可能となる。
【0024】ここで、(A)成分及び(B)成分のうち
少なくとも一つの成分を含有する樹脂組成物を構成する
樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネイト系樹
脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系
樹脂等から成るものが挙げられるが、なかでも可視光透
過性、耐候性、成形加工性等の観点からアクリル系樹脂
が適している。このようにアクリル系樹脂から成る樹脂
組成物とすれば、ディスプレイに表示された映像が暗く
ならずに観賞し易く、また耐久性に優れると共に、加工
形状の制約が少ないディスプレイ前面板1を得ることが
できる。なお、(A)成分、(B)成分、樹脂及び樹脂
組成物の詳細については後述する。
【0025】一方、上記第2の形態の透明部材11は、
例えば、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一つの
成分が溶媒に溶解された液状の組成物を基板面に塗布
し、溶媒を蒸発させることにより生成される。或いは、
基板面上に、(B)成分そのもの又は(B)成分を含む
粉末を粉体スプレー等で吹き付けて付着させることによ
っても、近赤外光吸収性膜16を形成することができ
る。なお、接着剤等の粘着性物質を介してこれら粉体を
付着させてもよい。このようにすると、(A)成分及び
/又は(B)成分が、紫外線や熱に対する感受性の高い
不飽和二重結合をその分子構造中に含んでいないため、
上記第2の形態において形成される近赤外光吸収性膜1
6はこれら紫外線や熱に対して安定である。よって、
(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分
を樹脂と共に重合硬化させて樹脂組成物としなくとも、
近赤外光吸収性能に優れると共に熱的及び化学的に安定
で劣化し難いディスプレイ前面板1を得ることができ
る。すなわち、ディスプレイ前面板1を製造する方法及
び材料の選択性を向上することが可能となる。なお、上
記液状の組成物、及び単量体組成物の詳細については後
述する。
【0026】他方、上記第3の形態の透明部材11は、
(A)成分及び/又は(B)成分のみから成る成分を、
例えば加圧成形することにより、フィルム状又は板状の
成形品として製造される。この第3の形態の透明部材1
1を用いると、近赤外光吸収特性に優れると共に、樹脂
等による若干の可視光吸収をもなくすことが可能とな
る。
【0027】ここで、上記各形態の透明部材11を備え
るディスプレイ前面板1においては、波長800nm〜
1000nmの波長領域におけるディスプレイ前面板1
としての近赤外光の透過率が20%以下、好ましくは1
0%以下となるように、上記(A)成分及び/又は上記
(B)成分の種類、濃度、層厚(塗布若しくは積層され
る場合はその層の厚さ、樹脂層に分散される場合は樹脂
層の厚さ)が調整されている。このようにすれば、赤外
線通信等で主に利用されている波長950nm近傍の近
赤外光が十分に減衰されるので、ディスプレイの周囲に
ある赤外線リモコン等が誤動作する虞がない。
【0028】また、シールドメッシュ13は、例えば銅
やニッケルといった遷移金属で被覆されたプラスチック
繊維で編成されており、数Mhz〜数100Mhzの周
波数範囲の電磁波を有効に遮へいする機能を有してい
る。また、反射低減膜12及び反射防止膜15は共に、
例えば二酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の低屈折率材
料から成る薄膜と、例えば二酸化チタンや酸化イットリ
ウム等の高屈折率材料の薄膜とが交互に積層されて成っ
ている。
【0029】図2は、本発明のディスプレイ前面板に係
る上記第1実施形態の使用状態を示す斜視図である。図
1に示す積層構造を有するディスプレイ前面板1は、図
2に示すように、反射防止膜15が形成された面を前方
にして、PDP2のパネル面21を覆うように配置され
る。そして、ディスプレイ前面板1を構成する透明部材
11が、上記第1の形態のような樹脂組成物で形成され
ているときには、PDP2のパネル面21から発せられ
た近赤外光は、近赤外光吸収層としての透明部材11に
より吸収されて強度が10%以下に減じられる。また、
ディスプレイ前面板1を構成する透明部材11が、上記
第2の形態のような近赤外光吸収性膜16が形成された
基板であれば、PDP2のパネル面21から発せられた
近赤外光は、近赤外光吸収層としての近赤外光吸収性膜
16により吸収されて強度が10%以下に減じられる。
【0030】一方、PDP2のパネル面21から近赤外
光と同時に発せられる可視光は、上述の如く、ディスプ
レイ前面板1に含まれる上記(A)成分や(B)成分に
よって吸収されないので、ディスプレイ前面板1による
可視光の吸収は近赤外光の場合に比して非常に少ない。
したがって、図2に示すPDP2の周辺に、近赤外光で
作動するような機器が置かれていても、PDP2のパネ
ル面21から出射される近赤外光がそれら機器の誤動作
を起こすことを有効に防止できると共に、パネル面21
に映し出される映像等を支障なく観賞できる。
【0031】また、PDP2のパネル面21からは、電
磁波が放出されるが、このような電磁波は、図1に示す
シールドメッシュ13によって有効に遮蔽されるので、
PDP2の観賞中にこのような電磁波に曝されることが
ない。さらに、このシールドメッシュ13は、金属並の
導電性を有するため、ディスプレイ前面板1に静電気が
殆ど帯電せず、静電気によりディスプレイ前面板1に埃
等が付着することが防止される。また、シールドメッシ
ュ13は、プラスチック繊維を主成分としているため、
ディスプレイ前面板1を軽量化することが可能である。
しかも、シールドメッシュ13は柔軟性に富むので、デ
ィスプレイ前面板1が凹凸形状を有する場合でも容易に
貼合できる利点がある。
【0032】また、ディスプレイ前面板1側からパネル
面21へ入射する外光(主に自然光や電灯からの光)
は、ディスプレイ前面板1の反射防止膜15に入射する
と、反射防止膜15を形成する屈折率の異なる多層の作
用によって反射することが防止されるので、PDP2の
周囲が明るくても、外光の反射によってパネル面21の
映像等が見え難くなることが防止される。このとき、上
記外光のごく一部は反射防止膜15を透過するが、この
透過光は透明部材11の面に形成された反射低減膜12
によって反射が低減されるので、外光の反射によってパ
ネル面21に写った映像等が見え難くなることが一層防
止される。
【0033】図3は、本発明のディスプレイ前面板に係
る第2実施形態を示す断面図である。このディスプレイ
前面板1は、上記(A)成分及び上記(B)成分のうち
少なくとも一つの成分の成分で形成された近赤外光吸収
性膜16を有する透明フィルム14aに、シールドメッ
シュ13が透明フィルム14bで覆われるように貼付さ
れて成っている。図4は、このようなフィルム状のディ
スプレイ前面板1の積層構造を示す分解斜視図である。
【0034】ここで、近赤外光吸収性膜16は、例え
ば、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一つの成分
が溶媒に溶解された液状の組成物を透明フィルム14a
上に塗布し、溶媒を蒸発させることにより生成される。
或いは、粘着剤が塗布された透明フィルム14aの面状
に、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一つの成分
を分散させた樹脂単量体の粉末、又は(B)成分の粉末
を粉体スプレー等で吹き付けて付着させることによって
も、近赤外光吸収性膜16を形成することができる。
【0035】これら(A)成分及び/又は(B)成分
は、紫外線や熱に対して安定なので、樹脂単量体から成
る材料を調製し、その材料を樹脂組成物として重合硬化
させなくとも、安定な近赤外光吸収層を形成できるが、
近赤外光吸収性膜16を樹脂組成物の薄膜フイルムとし
て、透明フィルム14aと貼り合わせることも当然可能
である。よって、このディスプレイ前面板1は、透明フ
ィルム14aの厚さやシールドメッシュ13の厚さを適
宜選択することにより、ごく薄い厚さ、例えば数100
μm以下のフィルム状のものとすることが可能である。
【0036】また、図3に示される透明フィルム14b
のシールドメッシュ13と接していない面には、表面の
硬度を強化するためのハードコート層17が設けられて
いる。なお、シールドメッシュ13の構成及び作用と効
果については、上記第1実施形態と同様であるので、こ
こでの説明は省略する。
【0037】ここで、図3に示されるPDP2は、後面
基板22と前面基板24との間に発光層23が形成され
ており、この発光層23には、後面基板22に接する陽
極31と、隔壁32とによって、複数の表示セル33が
画成されており、これら表示セル33の内部には希ガス
が封入されている。ひとつの表示セル33には、蛍光体
34a(赤色発光用),34b(緑色発光用),34c
(青色発光用)のうちのひとつが陽極31に塗布されて
設けられている。また、それら蛍光体34a,34b,
34cに対向する面には、各蛍光体の発光色のみを透過
するカラーフィルター36が設けられている。また、各
表示セル33内のカラーフィルター36面(陽極31と
対向する面)には、陰極37が配設されている。さら
に、フィルム状のディスプレイ前面板1が貼合された前
面基板24の表面には反射防止膜15が形成されてい
る。
【0038】このように一体化されたPDP2とフィル
ム状のディスプレイ前面板1は、次のような作用を呈す
る。表示セル33内の放電で希ガスが励起され、希ガス
に固有の紫外光及び近赤外光が発光される。このうち、
紫外光は、その周辺に塗布されている蛍光体34a、3
4b、34cを励起し、その蛍光体に固有の波長の蛍光
(可視光)が発せられ、その蛍光は、カラーフィルター
36、前面基板24及びディスプレイ前面板1によって
殆ど吸収されることなく、ディスプレイ前面板1を透過
して前方へ出射される。一方、表示セル33内で発せら
れた近赤外光は、上記カラーフィルター36及び前面基
板24を透過するが、ディスプレイ前面板1の近赤外光
吸収性膜16で吸収され、ディスプレイ前面板1の前方
へ出射される近赤外光の強度は当初の10%以下まで低
減される。
【0039】ところで、ディスプレイ前面板1の外方か
らPDP2へ入射する外光は、反射防止膜15により反
射が防止される。この反射防止膜15を透過してカラー
フィルター36に達したごく一部の外光は、そのカラー
フィルター36に対応した色以外の波長の光が吸収さ
れ、蛍光体34a,34b,34cで反射されて、カラ
ーフィルター36を再度透過して、再出射される。よっ
て、ディスプレイ前面板1と上記カラーフィルター36
とによる外光の反射低減効果が相俟って、周囲が明るい
場所でも高いコントラストが得られる。そして、本実施
形態のディスプレイ前面板1は、厚さを数100μmと
することができるので、可視光(蛍光)の透過厚みを極
力小さくすることにより、可視光の吸収率を極めて小さ
くし得るため、PDP2の高いコントラストを阻害する
ことなく、近赤外光を有効に吸収することが可能であ
る。また、PDP2の前面基板24表面は、表示セル3
3から発せられる近赤外光等の熱線によって熱せられる
が、上記(A)成分及び(B)成分が上述のように熱に
対して重合を起こさず安定しているので、前面基板24
とディスプレイ前面板1が接していても、近赤外光吸収
性を維持すると共に、ディスプレイ前面板1の近赤外光
吸収性膜16が劣化する虞がない。
【0040】以下に、上記各実施形態のディスプレイ前
面板1の近赤外光吸収層に含有される上記(A)成分及
び/又は上記(B)成分と、その樹脂組成物について説
明する。
【0041】〈(A)成分〉(A)成分は、銅イオン及
び上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物(以
下、「特定のリン酸エステル化合物」と云う。)より成
るものである。銅イオンを供給するための銅塩の具体例
としては、酢酸銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸
銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸
銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物、或い
は水酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等
の無機酸の銅塩の無水物や水和物が挙げられるが、有機
酸塩を用いることが好ましく、特に好ましくは酢酸銅、
安息香酸銅である。なお、上記(A)成分には、銅イオ
ン以外の金属イオン(以下、「他の金属イオン」と云
う。)が含有されていてもよい。かかる他の金属イオン
の具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、鉄、マンガン、マグネシウム、ニッケル等の金属に
よるイオンが挙げられる。
【0042】また、上記の特定のリン酸エステル化合物
は、例えば以下の第1の方法、第2の方法及び第3の方
法のいずれかによって製造される。
【0043】〔第1の方法〕:この第1の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、下記式(6)又は下記式
(7)で表されるアルコール(以下、「特定のアルコー
ル」と云う。)と、五酸化リンとを反応させる方法であ
る。
【0044】
【化3】
【0045】ここで、特定のアルコールと五酸化リンと
の反応に用いられる有機溶剤としては、五酸化リンと反
応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケ
トン、ジブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられ、
これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。ま
た、特定のアルコールと五酸化リンとの反応条件は、反
応温度が0〜100℃、好ましくは40〜80℃であ
り、反応時間が1〜24時間、好ましくは4〜9時間で
ある。
【0046】この第1の方法においては、例えば特定の
アルコール及び五酸化リンをモル比で3:1となる割合
で用いることにより、式(1)において水酸基の数nが
2であるリン酸エステル化合物(以下、「モノエステ
ル」とも云う。)と、式(1)において水酸基の数nが
1であるリン酸エステル化合物(以下、「ジエステル」
とも云う。)との割合が略1:1の混合物が得られる。
また、特定のアルコールと五酸化リンとの割合及び反応
条件を適宜選択することにより、モノエステルとジエス
テルとの割合をモル比で99:1〜40:60となる範
囲内で調整し得る。
【0047】〔第2の方法〕:この第2の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールとオキシ
ハロゲン化リンとを反応させ、得られる生成物に水を添
加して加水分解する方法である。オキシハロゲン化リン
としては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンを用いるこ
とが好ましく、特に好ましくはオキシ塩化リンである。
また、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの反
応に用いられる有機溶剤としては、オキシハロゲン化リ
ンと反応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シ
クロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエ
ーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、トルエン、
キシレンが好ましい。そして、特定のアルコールとオキ
シハロゲン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜11
0℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜
20時間、好ましくは2〜8時間である。また、この第
2の方法においては、例えば特定のアルコール及びオキ
シハロゲン化リンをモル比で1:1となる割合で用いる
ことにより、モノエステルを得ることができる。
【0048】さらに、上記式(7)で表される特定のア
ルコールを用いる場合には、この特定のアルコールとオ
キシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択すると
共に、反応触媒としては、四塩化チタン(TiC
4)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化アルミニ
ウム(AlCl3)等のルイス酸触媒、副生する塩酸の
キャッチ剤としては、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン等のアミン類や、ピリジン等が好ましく用いられ
る。これらの反応触媒や塩酸キャッチ剤を用いることに
より、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、
このとき、その割合はモル比が99:1〜1:99とな
る範囲で調整される。
【0049】また、上記式(6)で表される特定のアル
コールを用いる場合には、この特定のアルコールとオキ
シハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択すると共
に、ルイス酸触媒及び塩酸キャッチ剤を併用することに
より、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、
このとき、その割合はモル比が99:1〜1:99とな
る範囲で調整される。但し、特定のアルコールとしてア
ルキレンオキサイド基の繰り返し単位mが小さいものを
用いる場合には、得られるリン酸エステル化合物が水溶
性のものとなるため、アミン類等の塩酸キャッチ剤を用
いると、生成されるアミン塩酸塩を水による洗浄によっ
て除去することが困難となる傾向にある。以上におい
て、反応触媒の使用量としては、オキシハロゲン化リン
1モルに対して0.005〜0.2モル、好ましくは
0.01〜0.05モルである。
【0050】〔第3の方法〕:この第3の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールと三ハロ
ゲン化リンとを反応させることにより、ホスホン酸エス
テル化合物を合成し、その後、得られたホスホン酸エス
テル化合物を酸化する方法である。三ハロゲン化リンと
しては、三塩化リン、三臭化リンを用いることが好まし
く、特に好ましくは三塩化リンである。また、特定のア
ルコールと三ハロゲン化リンとの反応に用いられる有機
溶剤としては、三ハロゲン化リンと反応しない有機溶剤
であって、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油ス
ピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭
素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げら
れ、これらの中では、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。
そして、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとの反応
条件は、反応温度が0〜90℃、好ましくは40〜75
℃であり、反応時間が1〜10時間、好ましくは2〜5
時間である。
【0051】上記ホスホン酸エステル化合物を酸化する
手段としては、ホスホン酸エステル化合物に例えば塩素
ガス等のハロゲンを反応させることにより、ホスホロハ
ロリデート化合物を合成し、このホスホロハロリデート
化合物を加水分解する手段を利用することができる。こ
こで、ホスホン酸エステル化合物とハロゲンとの反応温
度は0〜40℃が好ましく、特に好ましくは5〜25℃
である。また、ホスホン酸エステル化合物を酸化する前
に、このホスホン酸エステル化合物を蒸留して精製して
もよい。
【0052】この第3の方法においては、例えば特定の
アルコール及び三ハロゲン化リンをモル比で3:1とな
る割合で用いることにより、ジエステルが高い純度で得
られる。また、特定のアルコールと三ハロゲン化リンと
の割合及び反応条件を選択することにより、モノエステ
ルとジエステルとの混合物が得られ、このとき、その割
合はモル比が99:1〜1:99となる範囲で調整され
る。
【0053】以上の第1〜第3の方法等で製造された特
定のリン酸エステル化合物の好ましい具体例としては、
下記式(8)−a〜下記式(8)−xで表される化合物
が列挙される。これらの化合物は、単独で用いられるか
又は2成分以上組み合わせて使用される。
【0054】
【化4】
【0055】
【化5】
【0056】
【化6】
【0057】ところで、(A)成分を構成する特定のリ
ン酸エステル化合物は、上記式(1)で表されるよう
に、その分子構造中に、ある程度の極性を有するアルコ
キシ基が存在するため、溶媒や樹脂等の媒体に対する溶
解性又は分散性が良好である。例えば、アクリル系樹
脂、特に(メタ)アクリル酸エステル系樹脂への分散性
が良好であり、それら樹脂への相溶性が高いものであ
る。この特定のリン酸エステル化合物との相溶性が高い
他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネイト、さらにはスチレン、α−メチル
スチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキ
シスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレ
ン等の芳香族ビニル化合物等の重合体が挙げられる。以
下、上記(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一
つの成分を含有する樹脂組成物として、アクリル系樹脂
組成物を例にとって説明するが、アクリル系樹脂組成物
中の「アクリル系樹脂」を上述のアクリル系樹脂組成物
以外の樹脂として読み替えてもよい。なお、上記( )
で囲まれた「メタ」の意味は、アクリル酸若しくはその
誘導体、及びメタクリル酸若しくはその誘導体の両方を
記載する必要があるときに、記載を簡潔にするため便宜
上使用されている記載方法であり、本明細書においても
採用したものである。
【0058】〈(B)成分〉(B)成分は、上記式
(2)又は上記式(3)で表されるリン酸エステル銅化
合物(以下、「特定のリン酸エステル銅化合物」と云
う。)より成るものである。このような特定のリン酸エ
ステル銅化合物は、前述した特定のリン酸エステル化合
物と、前述の銅塩とを反応させることにより得られる。
特定のリン酸エステル化合物と銅塩との反応は、適宜の
条件下で両者を接触させることにより行われる。具体的
には、(イ)特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを混
合して両者を反応させる方法、(ロ)適宜の有機溶剤中
において特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応さ
せる方法、(ハ)特定のリン酸エステル化合物が有機溶
剤中に含有されて成る有機溶剤層と、銅塩が溶解又は分
散されて成る水層とを接触させることにより、特定のリ
ン酸エステル化合物と銅塩とを反応させる方法、等が挙
げられる。この特定のリン酸エステル化合物と銅塩との
反応条件は、反応温度が0〜150℃、好ましくは40
〜100℃であり、反応時間が0.5〜10時間、好ま
しくは1〜7時間である。
【0059】上記(ロ)の方法において用いられる有機
溶剤としては、用いられる特定のリン酸エステル化合物
を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されず、
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合
物、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等
のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシ
ン、石油エーテル等が挙げられる。また、(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重
合性を有する有機溶剤も用いられる。
【0060】一方、上記(ハ)の方法において用いられ
る有機溶剤としては、水に不溶又は難溶であって、用い
られる特定のリン酸エステル化合物を溶解又は分散し得
るものであれば、特に限定されず、例えば(ロ)の方法
において用いられる有機溶剤として例示したもののう
ち、芳香族化合物、エーテル類、エステル類、ヘキサ
ン、ケロシン、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族
ビニル化合物等が挙げられる。
【0061】また、特定のリン酸エステル化合物と銅塩
との反応においては、銅塩から陰イオンである酸成分が
遊離される。このような酸成分は、アクリル系樹脂組成
物の耐湿性及び熱安定性を低下させる原因となり得るた
め、必要に応じて除去することが好ましい。上記(イ)
又は(ロ)の方法によりリン酸エステル銅化合物を製造
する場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを
反応させた後、生成された酸成分((ロ)の方法におい
ては生成された酸成分及び有機溶剤)を蒸留によって除
去することができる。さらに、上記(ハ)の方法により
リン酸エステル銅化合物を製造する場合には、酸成分を
除去する好ましい方法として、水に不溶又は難溶の有機
溶剤に特定のリン酸エステル化合物が含有されて成る有
機溶剤層に、アルカリを添加することによって中和した
後、この有機溶剤層と銅塩が溶解又は分散された水層と
を接触させることより、特定のリン酸エステル化合物と
銅塩とを反応させ、その後、有機溶剤層と水層とを分離
する方法がある。ここで、アルカリとしては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。この方法によれ
ば、銅塩から遊離される酸成分とアルカリとによって水
溶性の塩が形成され、この塩が水層に移行すると共に、
生成される特定のリン酸エステル銅化合物は、有機溶剤
層に移行するため、この水層と有機溶剤層とを分離する
ことにより、酸成分が除去される。
【0062】ここで、上記式(1)で表されるリン酸エ
ステル化合物並びに上記式(2)及び上記式(3)で表
されるリン酸エステル銅化合物において、基Rは、上記
式(4)又は上記式(5)で表されるように、アルキレ
ンオキサイド基が結合されたアルキル基である。また、
上記の特定のリン酸エステル化合物及び上記の特定のリ
ン酸エステル銅化合物におけるアルキレンオキサイド基
の繰り返し単位数mは、1〜6、好ましくは1〜3の整
数である。このmの値が6を超えると、樹脂組成物とし
たときの硬度が大幅に低下する。一方、mの値が0すな
わちアルキレンオキサイド基が結合されていない場合に
は、樹脂中に銅イオンを分散させる性能が著しく低下す
る。
【0063】また、リン酸エステル化合物及びリン酸エ
ステル銅化合物の熱的安定性及び耐環境性の観点から、
このアルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mが1で
あると特に好適である。このmが1であるアルキレンオ
キサイド基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリ
ン酸エステル銅化合物は、mが2以上の整数であるアル
キレンオキサイド基を有するそれらに比して、高い熱分
解温度を持つので、mが1であるアルキレンオキサイド
基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エス
テル銅化合物を含む組成物を熱成形する際に、その成形
温度を高めることができる。よって、成形が容易とな
り、成形加工性をより向上することが可能となる。ま
た、mが1であるアルキレンオキサイド基を有するリン
酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物
は、mが2以上の整数であるアルキレンオキサイド基を
有するそれらに比して、優れた耐環境性を有する。具体
的には、mが1であるアルキレンオキサイド基を有する
リン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合
物は、高温高湿環境下における可視領域の光線透過率の
経時的な劣化が殆ど無いのに対し、mが2以上の整数で
あるアルキレンオキサイド基を有するそれらは、経時的
な劣化が起こる傾向にある。
【0064】さらに、上述したように、特定のリン酸エ
ステル化合物は、上記式(1)において水酸基の数nが
2であるモノエステル及び水酸基の数nが1であるジエ
ステルのいずれであってもよいが、nの値が0のトリエ
ステルである場合には、銅イオンと配位結合及び/又は
イオン結合が可能な水酸基を有しないため、樹脂組成物
としたときに、銅イオンを樹脂中に分散させ難い。
【0065】またさらに、上記式(4)又は上記式
(5)において、R1は、炭素数が1〜20、好ましく
は1〜10、更に好ましくは1〜3のアルキル基であ
る。このアルキル基R1の炭素数が20を超える場合に
は、アクリル系樹脂との相溶性が低下するため、アクリ
ル系樹脂中に銅イオンを含む金属イオンを分散させ難
い。また、R2は、炭素数が1〜4のアルキル基であ
る。すなわち、アルキレンオキサイド基としては、プロ
ピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基等が挙げら
れ、特にプロピレンオキサイド基が好ましい。このアル
キル基R2の炭素数が4を超える場合には、樹脂中に高
い割合で分散させることが困難である。
【0066】また、上記(A)成分及び上記(B)成分
におけるリン酸エステル化合物と銅イオンとの割合は、
銅イオン1モルに対してリン酸エステル化合物における
水酸基又は水酸基由来の酸素原子が0.5〜10モル、
特に1.5〜5モルであることが好ましい。この割合が
0.5モル未満である場合には、銅イオンをアクリル系
樹脂等の樹脂中に分散させることが困難となる傾向にあ
る。この割合が10モルを超える場合には、銅イオンと
の配位結合及び/又はイオン結合に関与しない水酸基の
割合が過大となるため、このような組成割合の組成物
は、吸湿性が比較的大きくなる傾向にある。よって、こ
の割合を0.5〜10モルとすることにより、銅イオン
が樹脂中に良好に分散されて近赤外光吸収特性に優れ、
且つ吸湿性を有しない樹脂組成物から成る近赤外光吸収
層を備えたディスプレイ前面板を得ることが可能とな
る。
【0067】そして、(A)成分及び(B)成分のうち
少なくとも一つの成分を、特にアクリル系樹脂に含有さ
せてアクリル系樹脂組成物とする場合には、銅イオンの
含有割合がアクリル系樹脂組成物全体の0.1〜20重
量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1
5重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。こ
の割合が0.1重量%未満であるときには、近赤外光を
高い効率で吸収する性能が得られない傾向にあり、一
方、この割合が20重量%を超えるときには、銅イオン
をアクリル系樹脂中に分散させることが困難となり、可
視光透過性に優れた近赤外光吸収層を備えるディスプレ
イ前面板1が得られない傾向にある。よって、銅イオン
の含有割合がアクリル系樹脂組成物全体の0.1〜20
重量%とすることにより、可視光透過性に優れた近赤外
光吸収層を備えるディスプレイ前面板1を確実に得るこ
とができる。
【0068】さらに、前述の金属イオンの使用割合は、
銅イオンを含む全金属イオンにおける50重量%以下で
あることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、
更に好ましくは20重量%以下である。この割合が50
重量%を超える場合には、銅イオンとリン酸エステル化
合物との結合配位が他の金属イオンの影響を受けるた
め、近赤外光吸収率が十分大きい近赤外光吸収層を有す
るディスプレイ前面板を得ることが困難となる。
【0069】〈アクリル系樹脂〉上述の如く、アクリル
系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体
から得られる重合体が好ましく用いられる。かかる(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、n−ヘ
キシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)ア
クリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、グリ
シジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキプロピル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポ
リエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)
アクリレート等の変性(メタ)アクリレート類、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メ
タ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリ
ロキシエトキシフェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−
1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシ
プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等
の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これ
らの単量体は、単独で又は2種類以上組み合わせて用い
られ得る。
【0070】また、別のアクリル系樹脂としては、上記
の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、この(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体との共重合が可能な他
の共重合性単量体との共重合体も用いられる。かかる共
重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和
カルボン酸、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアク
リルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、クロル
スチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニ
ル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニ
ル化合物等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又
は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0071】以上において、単量体として単官能性のも
ののみを用いる場合には、熱可塑性のアクリル系樹脂が
得られ、単量体の一部又は全部として多官能性のものを
用いる場合には、熱硬化性のアクリル系樹脂が得られる
ので、これらアクリル系樹脂組成物を適宜選択すること
により、使用目的、用途及び加工成形方法等に応じたデ
ィスプレイ前面板1を得ることが可能であり、既に述べ
たように、熱可塑性のものを用いれば、硬化後の再成形
が容易となって成形加工性が向上する。
【0072】〈液状の組成物〉本発明において用いられ
る液状の組成物は、前記(A)成分及び前記(B)成分
のうち少なくとも一つの成分を、適宜の溶媒中に溶解又
は分散させたものであり、溶媒を蒸発させて生成される
薄膜が光学的に透明であれば、液状の組成物自体は、透
明なもの、半透明なもの又は不透明なものであってもよ
い。ここに、溶媒としては、水又は有機溶媒を用いるこ
とができ、有機溶媒としては、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等のアルコール類、メチルセルソルブ、エチルセル
ソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピ
ル、酢酸ブチル、酢酸ブチルセルソルブ等のエステル
類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、
ヘキサン、ケロシン、石油エーテル等が用いられる。ま
た、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニ
ル化合物等の重合性を有する有機溶媒も用いられ得る。
【0073】〈単量体組成物〉本発明に用いられる単量
体組成物を構成する単量体としては、上記〈アクリル系
樹脂〉の説明において述べたアクリル酸エステル系単量
体、又は上記〈アクリル系樹脂〉の説明において述べた
他の共重合性単量体が好適である。
【0074】〈アクリル系樹脂組成物〉ここでは、上記
(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分
を含有する樹脂組成物の例として、アクリル系樹脂組成
物について説明するが、アクリル系樹脂組成物以外の樹
脂組成物についても同様である。このアクリル系樹脂組
成物は、上記(A)成分及び上記(B)成分のうち少な
くとも一つの成分を前述のアクリル系樹脂中に含有させ
ることにより調製され、その具体的な方法は、特に限定
されるものではないが、好適な方法として、以下の2つ
の方法が挙げられる。
【0075】[第1の方法]:この第1の方法は、アク
リル系樹脂を得るための単量体中に、(A)成分(ここ
では、リン酸エステル化合物と銅塩化合物を混合したも
の)及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分が含有
されて成る単量体組成物を調製し、この単量体組成物を
ラジカル重合処理する方法である。この方法において、
単量体組成物のラジカル重合処理の具体的な方法として
は、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合
開始剤を用いるラジカル重合法、例えば塊状(キャス
ト)重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等の
公知の方法を利用し得る。
【0076】[第2の方法]:この第2の方法は、アク
リル系樹脂中に、(A)成分及び(B)成分のうち少な
くとも一つの成分を添加して混合する方法である。この
方法は、アクリル系樹脂として熱可塑性樹脂を用いると
きに利用される。具体的には、溶融させたアクリル系
樹脂中に、(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも
一つの成分を添加して混練する方法、アクリル系樹脂
を適宜の有機溶剤に溶解、分散又は膨潤させ、この溶液
に(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成
分を添加して混合した後、この溶液から有機溶剤を除去
する方法がある。
【0077】上記の方法において、アクリル系樹脂と
(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分
とを混練する手段としては、熱可塑性樹脂の溶融混練法
として一般に用いられている手段、例えばミキシングロ
ールによって溶融混練する手段、ヘンシェルミキサー等
によって予備混合した後、押出機によって溶融混練する
手段が挙げられる。一方、上記の方法で用いられる有
機溶剤としては、上記アクリル系樹脂を溶解、分散又は
膨潤し得るものであれば、特に限定されるものではな
く、その具体例としては、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メ
チレン等の塩素系炭化水素類、ジメチルアクリルアミ
ド、ジメチルフォルムアミド等のアミド化合物等が挙げ
られる。
【0078】以上のアクリル系樹脂組成物の調製におい
て、(A)成分を用いる場合には、特定のリン酸エステ
ル化合物と銅塩とが反応する結果、銅塩から陰イオンで
ある酸成分が遊離される。このような酸成分は、前述と
同様の理由により、必要に応じて除去することが好まし
い。そのための方法としては、(a)アクリル樹脂組成
物を適宜の有機溶剤に浸漬させることにより、酸成分を
抽出する方法、(b)単量体組成物の重合処理を行う前
に、この単量体組成物を冷却処理することにより、酸成
分を析出させて分離するといった方法が例示される。
【0079】上記(a)の方法において用いられる有機
溶剤としては、遊離される酸成分を溶解することがで
き、用いられるアクリル系樹脂に対して適度な親和性
(アクリル系樹脂を溶解しないが、このアクリル系樹脂
中に浸透する程度の親和性)を有するものであれば、特
に限定されるものではない。このような溶剤の具体例と
しては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級脂
肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
石油エーテル等のエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライ
ド、四塩化炭素等の脂肪族系炭化水素類及びそのハロゲ
ン化物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭
化水素類等が挙げられる。一方、上記(b)の方法にお
いては、(A)成分を構成する銅塩として、遊離される
酸成分が単量体に溶解しにくいものを用いることが好ま
しく、具体的には、安息香酸等の芳香環を有するカルボ
ン酸の銅塩が挙げられる。
【0080】なお、上記の各実施形態においては、シー
ルドメッシュ13を用いる代わりに、透明部材11の表
面及び/又は透明フィルム14の表面に導電性薄膜を形
成させてもよいし、透明部材11に金属粉末、金属繊維
等の導電性物質を充填してもよく、また、シールドメッ
シュ13を透明部材11の形成時に透明部材11に埋め
込んでもよい。上記導電性薄膜は、白金、金、銀、銅及
びパラジウム等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の
導電性金属酸化物をメッキ、蒸着、スパッタリング等に
より積層する方法、透明な導電塗料を塗布する方法、導
電性高分子より成る層を形成する方法といった種々公知
の方法を用いて形成させることができる。
【0081】また、上記の各実施形態における反射低減
膜12及び反射防止膜15は、上記の無機酸化物材料か
ら成るものに限られるものではなく、例えば特開平10
−291838号公報に記載の無機フッ素化物でもよ
く、さらに、他の無機ハロゲン化物やハロゲンを含む重
合体であってもよい。これらは、真空蒸着、イオンプレ
ーティング、スパッタリングといった種々公知の方法に
よって形成させることができる。
【0082】さらに、上記の各実施形態において、反射
低減膜12、シールドメッシュ13、反射防止膜15、
近赤外光吸収性膜16が形成又は貼付される面は、図示
した面に限定されるものではない。
【0083】またさらに、上記第2実施形態において、
カラーフィルター36の成分として、上記(A)成分及
び上記(B)成分のうち少なくとも一つの成分を含有さ
せてもよく、このときには、表示セル33の直近におい
ても近赤外光が吸収されるので、近赤外光の吸収効果が
一層高められる。カラーフィルター36は紫外線で照射
される状態にあるが、上記(A)成分及び上記(B)成
分は、紫外線にも熱にも安定であるので、従来の成分を
用いるよりも、カラーフィルター36の劣化や近赤外光
吸収性能の低下が起こる可能性が少ない。この場合、図
3に示すディスプレイ前面板1、PDP2の前面基板2
4及びカラーフィルター36を併せたものを一種のディ
スプレイ前面板1と見なし得る。
【0084】さらにまた、本発明のディスプレイ前面板
1に用いられるリン酸エステル銅化合物として特に好ま
しいものは、上記式(2)又は上記式(3)で表される
化合物であるが、特定のリン酸エステル化合物と銅塩と
を反応させて得られるものであれば、これらに限定され
るものではなく、例えば、モノエステルにおける2つの
水酸基に互いに異なる銅イオンに結合した構造のもの、
モノエステルにおける2つの水酸基の一方のみに銅イオ
ンが結合した構造のもの、銅イオンが1つのジエステル
の水酸基に結合したもの、分子中に2以上の銅イオンを
含有する多量体又はこれらの配位化合物であってもよ
い。
【0085】
【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。また、以下の実施例においては、特定のリン酸エス
テル化合物として上記式(8)−a〜式(8)−rで表
される化合物(以下、これらを「エステル(a)」〜
「エステル(r)」と云う。)を用いた。
【0086】〈実施例1〉特定のリン酸エステル化合物
としてエステル(a)0.14g及びエステル(b)
0.80gをメチルメタクリレート20gに添加して混
合した。この混合溶液に、無水安息香酸銅1.17gを
添加し、60℃で1時間攪拌混合することにより、単量
体組成物を調製した。調製した単量体組成物に、t−ブ
チルパーオキシピバレート0.2gを添加し、45℃で
16時間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異な
る温度で加熱して単量体組成物の重合処理を行うことに
より、アクリル系樹脂組成物を調製した。このアクリル
系樹脂組成物を200℃でプレス成形することにより、
図1に示す透明部材11としての厚みが4mmの青色透
明の板状体を製作した。そして、得られた板状体につい
て、波長550nm、波長800nm及び波長900n
mにおける光線透過率を測定した。また、得られた板状
体について、サンシャインウエザメーター(ブラックパ
ネル温度63℃、降水有り)により、500時間の耐候
性試験を行い、試験後における板状体の光線透過率を測
定し、その変化の有無を調べた。以上の結果を表1に示
す。
【0087】〈実施例2〜実施例12〉下記表1に示す
配合処方に従って単量体組成物を調製したこと以外は、
上記実施例1と同様にして図1に示す透明部材11とし
てのアクリル系樹脂組成物から成る板状体を製作し、そ
の評価を行った。実施例2〜実施例12に対する結果を
まとめて表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】〈実施例13〉下記式(9)で表されるリ
ン酸エステル銅化合物1gと、エステル(n)1.03
gとを、メチルメタクリレート20gに添加し、60℃
で1時間攪拌混合することにより、青色透明な単量体組
成物を調製した。この単量体組成物に、t−ブチルパー
オキシピバレート0.3gを添加し、45℃で16時
間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異なる温度
で加熱して単量体組成物の重合処理を行うことにより、
図1に示す透明部材11としてのアクリル系樹脂組成物
から成る板状体を製作した。上記実施例1と同様に評価
した結果を表2に示す。
【0090】
【化7】
【0091】
【表2】
【0092】〈実施例14〉式(9)で表されるリン酸
エステル銅化合物の代わりに、下記式(10)で表され
るリン酸エステル銅化合物1gを用い、エステル(n)
の代わりにエステル(p)1.08gを用いたこと以外
は、上記実施例13と同様にして図1に示す透明部材1
1としてのアクリル系樹脂組成物から成る板状体を製作
し、その評価を行った。結果を上記表2に示す。
【0093】
【化8】
【0094】〈実施例15〉式(9)で表されるリン酸
エステル銅化合物の代わりに、下記式(11)で表され
るリン酸エステル銅化合物1gを用い、エステル(n)
の代わりにエステル(r)1.18gを用いたこと以外
は、上記実施例13と同様にして図1に示す透明部材1
1としてのアクリル系樹脂組成物から成る板状体を製作
し、その評価を行った。結果を上記表2に示す。
【0095】
【化9】
【0096】〈実施例16〉特定のリン酸エステル化合
物としてエステル(c)0.4g及びエステル(d)
1.6gと、無水安息香酸銅1.3gとをトルエン20
g中に混合し、60℃で1時間攪拌混合することによ
り、青色透明な混合溶液を得た。この混合溶液の全量
を、ポリメチルメタクリレート樹脂ビーズ(住友化学工
業(株)製,「MHGA」)40gに添加して攪拌混合
し、その後、60℃で24時間真空乾燥することにより
トルエンの除去処理を行い、塊状物を得た。この塊状物
を粉砕した後、180℃の加熱ロールにより5分間混練
することにより、青色透明なアクリル系樹脂組成物を調
製した。このアクリル系樹脂組成物を、200℃でプレ
ス成形することにより、図1に示す透明部材11として
の厚みが2mmの青色透明の板状体を製作し、上記実施
例1と同様にしてその評価を行った。結果を上記表2に
示す。
【0097】以上の表1及び表2に示した結果から明ら
かなように、実施例1〜実施例16で製作した透明部材
11としてのアクリル系樹脂組成物から成る板状体は、
可視光透過性に優れ、近赤外光を高い効率で吸収する性
能を有し、しかも、紫外線による近赤外光吸収性の低下
(劣化)が少ないものであることが確認された。
【0098】〈比較例1〉下記式(12)−a及び下記
式(12)−bで表され、分子構造中に重合性の不飽和
二重結合を有するリン酸エステル化合物の混合物と、無
水安息香酸銅とをメチルメタクリレートに添加して樹脂
単量体を調製し、この樹脂単量体を、幅1mmの間隔で
平行に配置された2枚のガラス平板から成る型に注入し
適当な重合条件で注型重合して板状体を得た。成分割合
を後記表3の「重合性リン酸エステル」の欄に示す。
【0099】
【化10】
【0100】〈実施例17〉また、上記実施例13で使
用した成分を後記表3の「非重合性リン酸エステル」の
欄に示す割合で使用して、実施例13と同様の製造方法
と上記比較例1と同じ型を用いて板状体を製作した。
【0101】〈比較試験1〉上記比較例1及び上記実施
例17で製作した2種類の板状体の離型性について比較
した。その結果を、下記表3に示す。本発明で用いる特
定のリン酸エステル化合物としての非重合性リン酸エス
テル化合物を用いた樹脂組成物は、従来の重合性を有す
るリン酸エステル化合物を用いたものよりも、離型性の
点で非常に優れていることが判明した。
【0102】
【表3】
【0103】〈実施例18〉トルエン180mlに1−
メトキシ−2−プロパノール90.1mg(1モル)を
溶解し、5℃以下で五酸化二リン47.4g(1/3モ
ル)を少量ずつ加え、終夜攪拌した。次いで、60℃で
8時間攪拌後、水7mlを加えて100℃で3時間攪拌
した。溶媒等を減圧下で留去し、微黄色の粘調なオイル
状のリン酸エステル化合物124gを得た。そして、ト
ルエン200mlにこのリン酸エステル120gと酢酸
銅1水和物100gを入れて混合し、溶解させた後、6
時間脱水還流させた。脱酢酸及び脱水後、溶媒を留去
し、上記式(4)又は上記式(5)におけるmが1であ
る基Rを有するリン酸エステル銅化合物としての緑青色
の固体粉末141.3gを得た。
【0104】〈実施例19〉ジメトキシエタン200m
lにジプロピレングリコールモノメチルエーテル(東京
化成製)150g(1モル)を溶解し、5〜10℃で五
酸化二リン47.4g(1/3モル)を少量ずつ加え、
終夜攪拌した。次いで、60℃で2時間攪拌後、水15
mlを加えて80℃で2時間攪拌した後、溶媒等を減圧
下で留去し、微黄色の粘調なオイル状のリン酸エステル
化合物205gを得た。そして、トルエン150mlに
このリン酸エステル50gと酢酸銅1水和物26gを入
れて混合し、溶解させた後、6時間脱水還流させた。脱
酢酸及び脱水後、溶媒を留去し、上記式(4)又は上記
式(5)におけるmが2である基Rを有するリン酸エス
テル銅化合物としての緑青色の粘調なオイル47.6g
を得た。
【0105】〈比較試験2〉上記実施例18及び上記実
施例19で得られたリン酸エステル銅化合物の熱分解特
性を、以下の測定装置及び測定条件で測定し、比較し
た。 a)測定装置:メトラー製TA4000熱分析システム b)測定条件 ・昇温速度:10℃/分 ・温度範囲:30〜300℃ ・雰囲気 :窒素雰囲気 ・ 測定試料重量 :m=1(実施例18) 9.878mg :m=2(実施例19) 17.206mg 図5は、実施例18に係るmが1である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解チャートを示すグラフ、
図6は、実施例19に係るmが2である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解チャートを示すグラフで
ある。図5及び図6に示すように、mが1である基Rを
有するリン酸エステル銅化合物の熱分解温度が220.
7℃であるのに対し、mが2である基Rを有するリン酸
エステル銅化合物の熱分解温度は193.2℃である。
なお、図中には分解温度の小数点以下を四捨五入した値
を示した。このように、mが1である基Rを有するリン
酸エステル銅化合物の方が、mが2である基Rを有する
リン酸エステル銅化合物よりも27.5℃高い温度で分
解しており、熱的に安定であることが判明した。両化合
物は製造における出発物質のアルコールの種類が異なる
のみであり、両者は共にアルコール1モルに対して五酸
化二リン1/3モルが反応するという同じ化学量論条件
で製造されたものである。よって、上記の熱的安定性の
差異は、原料アルコールの種類の相違に因るものと推定
され得る。
【0106】〈実施例20〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物5g
を、メチルメタクリレート95gに添加して完全に溶解
させた。これに重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデ
カネートを1g添加し、幅3mmの間隔で配置された2
枚のガラス基板から成る型に注入し、40℃で8時間、
40℃から65℃まで2時間、65℃から100℃まで
1時間、100℃を1時間、100℃から70℃まで1
時間の重合プログラムで重合した。重合後、離型して、
図1に示す透明部材11としての青色透明な板状体を得
た。次に、この板状体の表面に、図1に示すシールドメ
ッシュ13としての電磁波シールドメッシュ(セーレン
製;製品番号Su−4X−13540)を、図1に示す
透明フィルム14としての厚さ20μmの軟質アクリル
フィルム(鐘淵化学工業製;傘寿連SD003)を用い
て接着した。次に、この両側面に鏡面仕上げのステンレ
ス板を当てがって50トンプレス機に装填し、プレス温
度150℃、プレス圧力40kg/cm2で10分間加
熱しながら押圧した。冷却後、ステンレス板を取り外
し、図1に示すディスプレイ前面板1を得た(反射低減
膜12及び反射防止膜15は設けず)。
【0107】このディスプレイ前面板1の電磁波遮蔽性
能を調べたところ、周波数10MHz及び500MHz
において、それぞれ最大51dB及び最大53dB(電
場強度相当)の強度の電磁波が遮蔽された。また、分光
光度計を用いてこのディスプレイ前面板1の分光透過率
曲線を測定した結果を図7に示す。図7に示すように、
このディスプレイ前面板1は、可視光を最大60%程度
透過するのに対し、波長800nm〜1000nmの波
長範囲にある近赤外光は略5%以下しか透過しないこと
がわかった。そして、このディスプレイ前面板1に、図
1に示す反射低減膜12と反射防止膜15とを蒸着し
て、同様に分光透過率曲線を測定したところ、図7に示
す結果と略同等であった。
【0108】〈実施例21〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物80
gをエタノール20gに完全に溶解して溶液とした。次
に、図3の透明フィルム14aとしての厚さ50μmの
PETフィルムに、図3に示すシールドメッシュ13と
しての電磁波シールドメッシュ(セーレン製;製品番号
Su−4X−13540)を載置し、上記溶液を滴下し
た後、溶媒のエタノールのみを蒸発させた。このような
滴下と蒸発を繰り返し、図3に示す近赤外光吸収性膜と
しての厚さが190μmの銅塩層を形成させた。そし
て、この銅塩層が形成されたフィルム面に、図3に示す
透明フィルム14bとしての厚さ50μmのPETフィ
ルムを貼合し、図3に示すフィルム状のディスプレイ前
面板1としての多層フィルム(合計厚さ0.29mm)
を製作した(ハードコート層17は設けず)。
【0109】このフィルム状のディスプレイ前面板1の
電磁波遮蔽性能を調べた結果、上記実施例20と同様、
周波数10MHz及び500MHzにおいて、それぞれ
最大51dB及び最大53dB(電場強度相当)の強度
の電磁波が遮蔽された。また、分光光度計を用いて上記
フィルム状のディスプレイ前面板1の分光透過率曲線を
測定した結果を図8に示す。図8に示すように、このデ
ィスプレイ前面板1は、可視光を最大60%程度透過す
るのに対し、波長800nm〜1000nmの波長範囲
にある近赤外光を略5%以下しか透過しないことがわか
った。そして、このフィルム状のディスプレイ前面板1
をアクリル樹脂板に貼付して図1に示すようなディスプ
レイ1前面板とし(反射低減膜12及び反射防止膜15
は設けず)、図3に示すようなハードコート層17を形
成して、同様に分光透過率曲線を測定したところ、図8
に示す結果と略同等であった。
【0110】〈実施例22〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物1g
を、メチルメタクリレート19.0gに添加して完全に
溶解させた。これにα−メチルスチレン0.04gと、
重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデカネートを0.
2g添加し、幅3mmの間隔で配置された2枚のガラス
基板から成る型に注入し、40℃で8時間、40℃から
65℃まで2時間、65℃から100℃まで1時間、1
00℃を1時間、100℃から70℃まで1時間の重合
プログラムで重合した。重合後離型して、熱線吸収性複
合体の近赤外光吸収層としての青色透明な板状体を得
た。この板状体を、温度60℃、湿度90%RHの高温
高湿環境下におき、0時間、500時間、1000時間
経過後の分光透過率曲線を測定した結果を図9に示す。
図9に示すように、この板状体は、1000時間経過し
た後でも可視領域における透過率の変化がなかった。目
視により板状体を観察したところ、色の変化もなかっ
た。
【0111】〈実施例23〉上記実施例19で製造した
mが2である基Rを有するリン酸エステル銅化合物1.
5gを、メチルメタクリレート18.5gに添加して完
全に溶解させた。これにα−メチルスチレン0.04g
と、重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデカネートを
0.2g添加し、幅3mmの間隔で配置された2枚のガ
ラス基板から成る型に注入し、40℃で8時間、40℃
から65℃まで2時間、65℃から100℃まで1時
間、100℃を1時間、100℃から70℃まで1時間
の重合プログラムで重合した。重合後離型して、熱線吸
収性複合体の近赤外光吸収層としての青色透明な板状体
を得た。この板状体を、温度60℃、湿度90%RHの
高温高湿環境下におき、0時間、500時間、1000
時間経過後の分光透過率曲線を測定した結果を図10に
示す。図10に示すように、この板状体は、0時間〜1
000時間経過するにつれて、経時的に可視領域におけ
る透過率が低下することが判明した。目視により板状体
を観察したところ、経時的に色が黄ばんでいく様子が認
められた。上記実施例22との比較から、mが1である
基Rを有するリン酸エステル銅化合物の方が、mが2で
ある基Rを有するリン酸エステル化合物よりも耐環境性
に優れていることが確認された。
【0112】〈実施例24〉上記式(8)−nで表され
るこのリン酸エステル化合物及び上記式(8)−mで表
されるリン酸エステル化合物の混合物と酢酸銅一水和物
とから得たリン酸エステル銅化合物5.0gを、メチル
メタクリレート95.0gに添加して完全に溶解させ
た。これにα−メチルスチレン0.20gと、重合開始
剤t−ブチルパーオキシネオデカネートを1.0g添加
し、2枚のガラス基板から成る型に注入し、40℃で8
時間、65℃で2時間、100℃で1時間の重合プログ
ラムで重合した。重合後離型して、得られた板状体の分
光透過率曲線を測定した。それから、150℃、40k
gf/cm2の圧力で10分間加熱プレスし、再度板状
体の分光透過率曲線を測定した。加熱プレス前後のそれ
ら分光透過率曲線の測定結果を図11に示す。図11に
示すように、この板状体は、上記条件の加熱プレス前後
において、分光特性の変化が殆ど見られなかった。
【0113】〈比較例2〉上記式(12)−a及び上記
式(12)−bで表され、分子構造中に重合性の不飽和
二重結合を有するリン酸エステル化合物の混合物8.6
6gと酢酸銅3.80gを混合し、メチルメタクリレー
ト91.34gに添加して溶解させた。これにα−メチ
ルスチレン0.30gと、重合開始剤t−ブチルパーオ
キシネオデカネート1.0gと、離型剤アルキルリン酸
エステル塩0.10gとを添加し、2枚のガラス基板か
ら成る型に注入し、40℃で8時間、65℃で2時間、
100℃で1時間の重合プログラムで重合した。重合後
離型して、得られた板状体の分光透過率曲線を測定し
た。それから、150℃、40kgf/cm2の圧力で
10分間加熱プレスし、再度板状体の分光透過率曲線を
測定した。加熱プレス前後のそれら分光透過率曲線の測
定結果を図12に示す。図12に示すように、この板状
体の上記条件における加熱プレス後の分光透過率は、広
い波長領域において加熱プレス前よりも低下してること
が確認された。このように上記実施例24との比較か
ら、本発明で用いられるリン酸エステル銅化合物は、従
来の重合性を有するものよりも熱的に安定であることが
判明した。
【0114】〈比較試験3〉上記実施例24で使用した
リン酸エステル銅化合物及び上記比較例2で得られたリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解チャートを、以下の装置
及び条件で測定して比較した。 a)測定装置:メトラー製TA4000熱分析システム b)測定条件 ・昇温速度:10℃/分 ・温度範囲:30〜300℃ ・雰囲気 :窒素雰囲気 実施例24に係るリン酸エステル銅化合物の熱分解チャ
ートは、図5に示す実施例18に係るリン酸エステル銅
化合物の熱分解温度特性を示すグラフと同様であり、2
00℃付近までの重量変化は顕著ではなかった。図13
は、比較例2に係るリン酸エステル銅化合物の熱分解チ
ャートを示すグラフである。図13より、比較例2に係
る従来の重合性を示すリン酸エステル銅化合物は150
℃付近から重量が漸次減少していることがわかる。この
ように、従来のディスプレイ前面板に用いられる重合性
のリン酸エステル銅化合物は、本発明のディスプレイ前
面板に用いられるリン酸エステル銅化合物よりも低温で
熱分解が生じることが判明した。したがって、本発明の
ディスプレイ前面板は、従来に比して、熱的安定性に優
れており、熱プレス等の熱加工に適したものであること
が確認された。
【0115】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、近
赤外光吸収性能を維持しつつ、従来に比して、熱的及び
化学的安定性に優れると共に、製造方法及び材料の選択
性、並びに成形加工性を向上することが可能なディスプ
レイ前面板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスプレイ前面板に係る第1実施形
態を示す図であって、図1(a)は断面図であり、図1
(b)は積層構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のディスプレイ前面板に係る第1実施形
態の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明のディスプレイ前面板に係る第2実施形
態を示す断面図である。
【図4】本発明のディスプレイ前面板に係る第2実施形
態の近赤外光吸収フィルムの積層構造を示す斜視分解図
である。
【図5】実施例18に係るmが1である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解チャートを示すグラフで
ある。
【図6】実施例19に係るmが2である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解チャートを示すグラフで
ある。
【図7】実施例20に係るディスプレイ前面板の分光透
過率曲線を示すグラフである。
【図8】実施例21に係るディスプレイ前面板の分光透
過率曲線を示すグラフである。
【図9】実施例22に係るmが1である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物を含有して成る板状体の高温高湿
環境下における分光透過率曲線の経時変化を示すグラフ
である。
【図10】実施例23に係るmが2である基Rを有する
リン酸エステル銅化合物を含有して成る板状体の高温高
湿環境下における分光透過率曲線の経時変化を示すグラ
フである。
【図11】実施例24に係る板状体の加熱プレス前後に
おける分光透過率曲線を示すグラフである。
【図12】比較例2に係る板状体の加熱プレス前後にお
ける分光透過率曲線を示すグラフである。
【図13】比較例2に係るリン酸エステル銅化合物の熱
分解チャートを示すグラフである。
【符号の説明】
1…ディスプレイ前面板、2…PDP(ディスプレ
イ)、11…透明部材(近赤外光吸収層)、13…シー
ルドメッシュ(導電層)、15…反射防止膜(反射防止
層)、16…近赤外光吸収性膜(近赤外光吸収層)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 庄司 益宏 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内 Fターム(参考) 2H048 CA04 CA05 CA12 CA19 CA23 CA24 4J002 BB031 BB121 BC031 BC081 BC111 BC121 BD041 BG001 CF061 CG001 DA076 EW046 GP00 GQ02 5G435 AA16 BB06 DD13 FF14 GG33

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分及び下記(B)成分のう
    ち少なくとも一つの成分を含有して成る近赤外光吸収層
    を備えることを特徴とするディスプレイ前面板。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
    酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物より成る成分 【化1】
  2. 【請求項2】 電磁波を遮蔽する為の導電層を更に備え
    ることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ前面
    板。
  3. 【請求項3】 前記ディスプレイ前面板に入射した外光
    の反射を防止する反射防止層を更に備えることを特徴と
    する請求項1又は2記載のディスプレイ前面板。
  4. 【請求項4】 前記式(1)で表されるリン酸エステル
    化合物並びに前記式(2)及び前記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物は、前記式(4)又は前記式
    (5)におけるmが1である基Rを有することを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスプレイ
    前面板。
  5. 【請求項5】 前記近赤外光吸収層は、前記(A)成分
    及び前記(B)成分のうち少なくとも一つの成分がアク
    リル系樹脂中に含有されて成るアクリル系樹脂組成物で
    形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一
    項に記載のディスプレイ前面板。
  6. 【請求項6】 前記アクリル系樹脂組成物は、銅イオン
    の含有割合が、該アクリル系樹脂組成物全体の0.1〜
    20重量%であることを特徴とする請求項5記載のディ
    スプレイ前面板。
  7. 【請求項7】 前記ディスプレイ前面板は、波長800
    nm〜1000nmの近赤外領域における光線透過率が
    20%以下であることを特徴とする請求項1〜6記載の
    いずれか一項に記載のディスプレイ前面板。
  8. 【請求項8】 前記ディスプレイは、プラズマ・ディス
    プレイ・パネルであることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれか一項に記載のディスプレイ前面板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008209839A (ja) * 2007-02-28 2008-09-11 Matsushita Electric Ind Co Ltd 画面保護装置
KR20200015270A (ko) * 2018-08-03 2020-02-12 삼성에스디아이 주식회사 양자점 함유 경화성 조성물, 상기 경화성 조성물을 이용한 컬러필터용 화소 제조방법 및 컬러필터

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KR102224055B1 (ko) 2018-08-03 2021-03-05 삼성에스디아이 주식회사 양자점 함유 경화성 조성물, 상기 경화성 조성물을 이용한 컬러필터용 화소 제조방법 및 컬러필터

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