JP2000251708A - 電子線装置用スペーサの製造方法、電子線装置用スペーサ、及び該スペーサを備えた電子線装置 - Google Patents

電子線装置用スペーサの製造方法、電子線装置用スペーサ、及び該スペーサを備えた電子線装置

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JP2000251708A
JP2000251708A JP11048890A JP4889099A JP2000251708A JP 2000251708 A JP2000251708 A JP 2000251708A JP 11048890 A JP11048890 A JP 11048890A JP 4889099 A JP4889099 A JP 4889099A JP 2000251708 A JP2000251708 A JP 2000251708A
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Yasuhiro Ito
靖浩 伊藤
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空減圧装置を必要とせずに、低抵抗膜を付
与した耐大気圧構造としてのスペーサを容易に、かつ安
価に作製する。 【解決手段】 真空容器を構成するフェースプレート1
7及びリアプレート15にはそれぞれ、メタルバック1
9が形成された蛍光膜18と、電子放出素子が形成され
た基板11とが設けられる。メタルバック19と基板1
1との間には、耐大気圧構造としてスペーサ20が設置
される。スペーサ20は、表面に高抵抗膜22が形成さ
れた絶縁性基体21の、メタルバック19及び基板11
との接合部に低抵抗膜25を形成したものである。低抵
抗膜25は、シート抵抗値が絶縁性基体21のシート抵
抗値よりも低く、印刷法によって形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空容器内に設け
られた電子源とその電子源から放出された電子を制御す
る電極を備えた電子被照射部材とを有する電子線装置に
関し、特に、真空容器の耐大気圧構造として電子源と電
極との間に設置されるスペーサ、及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、例えば表面伝導型放出素子や、電界放出型
素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型放
出素子(以下MIM型と記す)、などが知られている。
【0003】表面伝導型放出素子としては、例えば、M.
I. Elinson, Radio Eng. ElectronPhys., 10, 1290(19
65)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの[G.
Dittmer: "Thin Solid Films", 9, 317(1972)]や、I
23/SnO2薄膜によるもの[M. Hartwell and C.
G. Fonstad: "IEEE Trans. ED Conf.", 519(1975)]
や、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第2
6巻、第1号、22(1983)]等が報告されてい
る。
【0005】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図33に前述のM. Hartwellらによ
る素子の平面図を示す。同図において、基板3001に
は、金属酸化物よりなる導電性薄膜3004が、H型形
の平面形状に、スパッタで形成されている。導電性薄膜
3004には、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電
処理を施すことにより、電子放出部3005が形成され
る。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],幅Wは、
0.1[mm]に設定されている。尚、図示の便宜か
ら、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央に
矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実
際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけ
ではない。
【0006】M. Hartwellらによる素子をはじめとして
上述の表面伝導型放出素子においては、電子放出を行う
前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより電子放出部3005を形成す
るのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは、
導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、もしく
は、例えば1V/分程度の非常にゆっくりとしたレート
で昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電性薄膜30
04を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質せしめ、
電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形成する
ことである。尚、局所的に破壊もしくは変形もしくは変
質した導電性薄膜3004の一部には亀裂が発生する。
この通電フォーミング後に導電性薄膜3004に適宜の
電圧を印加した場合には、亀裂付近において電子放出が
行われる。
【0007】FE型の例としては、例えば、W. P. Dyke
& W. W. Dolan, "Field emission", Advance in Elect
ron Physics, 8, 89(1956)や、或は、C. A. Spindt, "P
hysical properties of thin-film field emission cat
hodes with molybdenium cones", J. Appl. Phys., 47,
5248 (1976)などが知られている。
【0008】このFE型の素子構成の典型的な例とし
て、図34に前述のC. A. Spindtらによる素子の断面図
を示す。同図において、3010は基板で、3011は
導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタコ
ーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極であ
る。本素子は、エミッタコーン3012とゲート電極3
014の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッ
タコーン3012の先端部より電界放出を起こさせるも
のである。
【0009】また、FE型の他の素子構成として、図3
4のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ
平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
【0010】また、MIM型の例としては、例えば、C.
A. Mead, "Operation of tunnel-emission Devices",
J. Appl. Phys., 32, 646(1961)などが知られている。
【0011】MIM型の素子構成の典型的な例を図35
に示す。同図は断面図であり、図において、3020は
基板で、3021は金属よりなる下電極、3022は厚
さ100Å程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80〜3
00Å程度の金属よりなる上電極である。MIM型にお
いては、上電極3023と下電極3021の間に適宜の
電圧を印加することにより、上電極3023の表面より
電子放出を起こさせるものである。
【0012】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒー
タを必要としない。従って、熱陰極素子よりも構造が単
純であり、微細な素子を作成可能である。また、基板上
に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱溶融な
どの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒータの
加熱により動作するため応答速度が遅いのとは異なり、
冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利点もあ
る。
【0013】このため、冷陰極素子を応用するための研
究が盛んに行われてきている。
【0014】例えば、表面伝導型放出素子は、冷陰極素
子の中でも特に構造が単純で製造も容易であることか
ら、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで、例えば本願出願人による特開昭64−31
332号公報において開示されるように、多数の素子を
配列して駆動するための方法が研究されている。
【0015】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、例えば画像表示装置、画像記録装置などの画像形成
装置や、荷電ビーム源等の電子線装置が研究されてい
る。
【0016】特に、画像表示装置への応用としては、例
えば本願出願人による米国特許5,066,883号や
特開平2−257551号公報や特開平4−28137
号公報において開示されているように、表面伝導型放出
素子と電子の衝突により発光する蛍光体とを組み合わせ
て用いた画像表示装置が研究されている。表面伝導型放
出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置
は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が
期待されている。例えば、近年普及してきた液晶表示装
置と比較しても自発光型であるためバックライトを必要
としない点や、視野角が広い点が優れているといえる。
【0017】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、例えば本願出願人による米国特許4,904,8
95号に開示されている。また、FE型を画像表示装置
に応用した例として、例えば、R. Mayerらにより報告さ
れた平板型の表示装置が知られている[R. Meyer: "Rec
ent Development on Microtips Display at LETI", Tec
h. Digest of 4th Int. Vacuum Microelectronics Con
f., Nagahama, pp.6〜9(1991)]。
【0018】また、MIM型を多数個並べて画像表示装
置に応用した例は、例えば本願出願人による特開平3−
55738号公報に開示されている。
【0019】上記のような電子放出素子を用いた画像形
成装置のうちで、奥行きの薄い平面型表示装置は省スペ
ースかつ軽量であることから、ブラウン管型の表示装置
に置き換わるものとして注目されている。
【0020】図36は、平面型の画像表示装置をなす表
示パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示す
ためにパネルの一部を切り欠いて示している。図中、3
115はリアプレート、3116は側壁、3117はフ
ェースプレートであり、リアプレート3115、側壁3
116およびフュースプレート3117により、表示パ
ネルの内部を真空に維持するための外囲器(気密容器)
を形成している。
【0021】リアプレート3115には基板3111が
固定されているが、この基板3111上には冷陰極素子
3112が、N×M個マトリックス状に形成されてい
る。(N、Mは2以上の正の整数であり、目的とする表
示画素数に応じて適宜設定される。)また、前記N×M
個の冷陰極素子3112は、図36に示すとおり、M本
の行方向配線3113とN本の列方向配線3114によ
り配線されている。これら基板3111、冷陰極素子3
112、行方向配線3113および列方向配線3114
によって構成される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。
また、行方向配線3113と列方向配線3114の少な
くとも交差する部分には、両配線間に絶縁層(不図示)が
形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0022】フェースプレート3117の下面には、蛍
光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤
(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体(不図
示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をな
す上記各色蛍光体の間には黒色体(不図示)が設けてあ
り、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115側の
面には、Al等からなるメタルバック3119が形成さ
れている。
【0023】Dx1〜DxMおよびDy1〜DyNおよびHv
は、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的に接
続するために設けた気密構造の電気接続用端子である。
Dx1〜DxMはマルチ電子ビーム源の行方向配線3113
と、Dy1〜DyNはマルチ電子ビーム源の列方向配線31
14と、Hvはメタルバック3119と各々電気的に接
続している。
【0024】また、上記気密容器の内部は10-6Tor
r程度の真空に保持されており、画像表示装置の表示面
積が大きくなるにしたがい、気密容器内部と外部の気圧
差によるリアプレート3115およびフェースプレート
3117の変形あるいは破壊を防止する手段が必要とな
る。リアプレート3115およびフェースプレート31
16を厚くすることによる方法は、画像表示装置の重量
を増加させるのみならず、斜め方向から見たときに画像
のゆがみや視差を生ずる。これに対し、図36において
は、比較的薄いガラス板からなり大気圧を支えるための
構造支持体(スペーサあるいはリブと呼ばれる)312
0が設けられている。このようにして、マルチビーム電
子源が形成された基板3111と蛍光膜3118が形成
されたフェースプレート3116間は通常サブミリない
し数ミリに保たれ、前述したように気密容器内部は高真
空に保持されている。
【0025】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1〜DxM、Dy1〜DyNを通じて各
冷陰極素子3112に電圧を印加すると、各冷陰極素子
3112から電子が放出される。それと同時にメタルバ
ック3119に容器外端子Hvを通じて数百[V]〜数
[kV]の高圧を印加して、上記放出された電子を加速
し、フェースプレート3117の内面に衝突させる。こ
れにより、蛍光膜3118をなす各色の蛍光体が励起さ
れて発光し、画像が表示される。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上説
明した表示パネルにおいては、以下のような問題点があ
った。
【0027】第1に、スペーサ近傍の電子放出素子から
放出された電子の一部がスペーサに当たることにより、
或は放出された電子の作用によりイオン化したイオンが
スペーサに付着することにより、スペーサの帯電を引き
起こすおそれがある。このスペーサの帯電により、電子
放出素子から放出された電子はその軌道を曲げられ、フ
ェースプレートに設けられた蛍光体上の正規な位置とは
異なる場所に到達し、スペーサ近傍の画像がゆがんで表
示されてしまう。
【0028】第2に、電子放出素子から放出された電子
を加速するために、電子源基板とフェースプレートとの
間には数百V以上の高電圧(即ち、1kV/mm以上の
高電界)が印加されるため、スペーサの表面での沿面放
電が懸念される。特に上記のようにスペーサが帯電して
いる場合は、放電が誘発されるおそれがある。
【0029】この問題点を解決するために、スペーサに
微小電流が流れるようにして帯電を除去する提案がなさ
れている(特開昭57−118355号公報、特開昭6
1−124031号公報)。そこでは絶縁性のスペーサ
の表面に帯電防止膜として高抵抗薄膜を形成することに
よりスペーサ表面に微小電流が流れるようにしている。
ここで用いられている帯電防止膜は酸化スズ、或は酸化
スズと酸化インジウム混晶薄膜や金属膜である。
【0030】また、画像の種類によっては、電子放出の
デューティの大きい場合、高低抗薄膜により帯電を除去
する方法だけでは画像のゆがみの低減が不十分であるこ
とがあった。この問題は、高低抗薄膜が形成されたスペ
ーサと上下基板、即ち、フェースプレート(以下FP)
およびリアプレート(以下RP)との間の電気的接合が
不十分であり、その接合部付近に帯電が集中することが
要因として考えられる。この点を解決する提案として、
特開平8−180821号公報等のように、スペーサの
底面とFP側およびRP側から100〜1000μm程
度の範囲までを白金などの金属、又は高低抗薄膜等の導
電率の高い材料を成膜することにより、上下基板との電
気的コンタクトを確保することが提案されている。
【0031】これらの低抵抗膜の成膜法として、スパッ
タ成膜、抵抗加熱蒸着等の気相成膜手法によるメタライ
ゼーションが一般的であった。これらは実験上、均一な
混合薄膜の材料組成設計が簡便に行えるという理由等に
より用いられてきた。しかしながら、このような手法は
真空減圧工程を必要とし、バッチ処理のタクトタイムが
かかること、成膜のための装置コストが大きいこと、原
料の利用効率が低いことなどの理由から、大量生産時に
コストの点で大きな問題となる。従って、これらの低抵
抗膜を、簡便で安価に、かつ一度に大量に作成できる作
成プロセスが要求されていた。
【0032】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、真空減圧装置を必要とせずに、低抵抗膜を付与した
スペーサを容易に、かつ安価に作製可能な電子源装置、
およびその製造方法等を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の電子線装置用スペーサの製造方法は、空容
器内に設けられた、電子放出素子を備えた電子源と、該
電子源から放出された電子を制御する電極を備えた電子
被照射部材と、を有する電子線装置の耐大気圧構造とし
て、前記電子源と前記電極との間に設置されるスペーサ
の製造方法であって、前記スペーサの基体である絶縁性
部材の、前記電子源側の端部及び前記電極側の端部の少
なくとも一方に、前記絶縁性部材よりもシート抵抗値が
低い低抵抗膜を印刷法により形成する印刷工程を有す
る。
【0034】上記のように電子源と電子被照射部材とが
対向配置された電子線装置においては、真空容器の耐大
気圧構造として、電子源と電子被照射部材との間にスペ
ーサが設置される。電子源から放出された電子を制御す
るために、電子被照射部材の電極と電子源との間に高電
圧が印加されるので、スペーサは、この高電圧に耐える
だけの絶縁性を有しており、このため、電子放出に伴っ
てスペーサの表面が帯電してくる。従って、スペーサの
基体である絶縁性部材の、電子源側の端部及び電極側の
端部の少なくとも一方に、この絶縁性部材よりもシート
抵抗値が低い低抵抗膜を設けることで、スペーサの表面
に発生した電荷が速やかに除去され、またそれに伴い、
電子源と電子被照射部材との間の電位分布に影響を与え
るスペーサ表面の電位分布が均一化され、結果的に電子
放出軌道が安定する。
【0035】本発明では、上記低抵抗膜の形成を印刷法
により行っている。印刷法により低抵抗膜を形成するこ
とで、真空減圧工程を必要とせず簡易かつ安定的に低抵
抗膜が形成可能であり、しかも、低抵抗膜の原料の利用
効率が高いものとなる。
【0036】低抵抗膜を形成する絶縁性部材は、加工工
程を経て、電子源と電極との間隔に応じた所望の形状に
加工することができる。この加工工程は、低抵抗膜を形
成する印刷工程の後に行ってもよいし、前に行ってもよ
い。加工工程を印刷工程の後に行う場合には、絶縁性部
材の加工を切断によって行うことができる。この切断
は、電子源または電極と固定される当接面を形成するた
めに行ってもよく、この場合は、切断工程の後に、切断
によって形成された当接面に更に低抵抗膜を形成しても
よい。この当接面への低抵抗膜の形成方法としては、浸
漬転写法や回転転写法が挙げられる。一方、加工工程を
印刷工程の前に行う場合には、加熱延伸法によって絶縁
性部材を所望の形状に加工することができる。
【0037】低抵抗膜の形成に用いられる印刷法として
は、代表的なものとしてスクリーン印刷法やオフセット
印刷法が挙げられる。さらに、印刷工程の前に、上記当
接面とこの当接面と隣接する側面との間を鈍角または曲
面に加工するエッジ処理工程を有するものとすることも
できる。これにより、絶縁性部材の側面との当接面とを
跨ぐような印刷領域が形成されるので、当接面にも低抵
抗膜を形成する場合の印刷工程数が少なくてすむ。
【0038】また本発明は、上記の電子線装置の耐大気
圧構造として用いられるスペーサを提供するものであ
る。本発明のスペーサは、真空容器内に設けられた、電
子放出素子を備えた電子源と、該電子源から放出された
電子を制御する電極を備えた電子被照射部材と、を有す
る電子線装置の耐大気圧構造として、前記電子源と前記
電極との間に設置されるスペーサであって、上記本発明
のいずれか一つの製造方法によって製造されたものであ
る。
【0039】これにより、安価で、かつ、電子放出素子
から放出される電子の軌道に影響を与えにくいスペーサ
が得られる。
【0040】さらに本発明は、上記本発明のスペーサを
備えた電子線装置をも提供するものである。すなわち本
発明の電子線装置は、真空容器内に設けられた、電子放
出素子を備えた電子源と、該電子源から放出された電子
を制御する電極を備えた電子被照射部材と、を有する電
子線装置において、前記真空容器の耐大気圧構造とし
て、上記本発明のスペーサが前記電子源と前記電極との
間に設置されていることを特徴とする。
【0041】これにより、安価で、かつ、電子放出素子
から放出された電子の軌道のずれも少なく、また、スペ
ーサ付近の耐電圧も良好な電子線装置が得られる。
【0042】電子源に設けられる電子放出素子として
は、冷陰極素子、その中でも特に、対向配置された対の
素子電極と、この素子電極と電気的に接続され素子電極
間に電子放出部が形成された導電膜とを有する表面伝導
型電子放出素子が好ましい。また、電子被照射部材とし
て、電子放出素子から放出された電子が照射されること
で画像を形成する画像形成部材を用いることで、画像形
成装置として機能する。さらに、この画像形成部材を、
電子放出素子から放出された電子が衝突することにより
発行する蛍光体を含む蛍光膜とすることにより、画像表
示装置として機能する。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を説明する前
に、本発明の実施形態の特徴について説明する。
【0044】本実施形態は、真空容器を含む電子線装置
の応用である表示装置等の画像形成装置に関するもの
で、特に、真空容器内に耐大気圧構造として設置される
スペーサの、電子放出素子を備えた電子源及び電子源か
ら放出された電子を制御する電極を備えた電子被照射部
材との間の、適切な電気的接合と電子軌道の最適化制御
を実現するものである。
【0045】以下に、本発明の実施形態について図面を
参照して詳細に説明する。
【0046】(表示パネルの構成と製造法)ここでは、
本発明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製
造法について具体的な例を示して説明する。
【0047】図1は、本発明を適用した画像表示装置の
表示パネルの一実施形態の外観斜視図であり、その内部
構造を示すために表示パネルの一部を切り欠いて示して
いる。
【0048】図中、15はリアプレート、16は側壁、
17はフェースプレートであり、これらリアプレート1
5、側壁16及びフェースプレート17により、表示パ
ネルの内部を真空に維持するための外囲器(気密容器)
を形成している。この気密容器を組み立てるにあたって
は、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させる
ために封着する必要がある。この封着は、例えばフリッ
トガラスを接合部に塗布し、大気中或は窒素雰囲気中
で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することに
より達成することができる。また、気密容器の内部は1
-6[Torr]程度の真空に保持されるので、大気圧
による変形や不意の衝撃などによる気密容器の破損を防
止する目的で、耐大気圧構造体としてスペーサ20が設
けられている。
【0049】ところで、本発明の画像形成装置に用いら
れる電子源基板は複数の冷陰極素子を基板上に配列する
ことにより形成される。冷陰極素子の配列の方式には、
冷陰極素子を並列に配置し、個々の素子の両端を配線で
接続するはしご型配置(以下、はしご型配置電子源基板
と称する)や、冷陰極素子の一対の素子電極のそれぞれ
X方向配線、Y方向配線を接続した単純マトリクス配置
(以下、マトリクス型配置電子源基板と称する)が挙げ
られる。なお、はしご型配置電子源基板を有する画像形
成装置には、電子放出素子からの電子の飛翔を制御する
電極である制御電極(グリッド電極)を必要とする。
【0050】以下に、上記のリアプレート15、フェー
スプレート17及びスペーサ20の概略について説明す
る。
【0051】まず、リアプレート15について説明す
る。
【0052】リアプレート15の上面には、電子源基板
である基板11が固定されている。この基板11上には
冷陰極素子12がN×M個マトリクス状に形成されてい
る。ここで、これらN,Mは2以上の正の整数であり、
目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。例え
ば、高品位テレビジョンの表示を目的とした表示装置に
おいては、N=3000,M=1000以上の数を設定
することが望ましい。これらN×M個の冷陰極素子12
は、M本の行方向配線13とN本の列方向配線14により
単純マトリクス配線されている。、ここでは、これら基
板11及び基板11上に形成された冷陰極素子12、各
配線13,14によって構成される部分をマルチ電子源
と呼ぶことにする。本実施の形態のマルチ電子源は、冷
陰極素子12を単純マトリクス配線もしくは、はしご型
配置した電子源であれば、冷陰極素子12の材料や形
状、或は製法に制限はない。従って、例えば表面伝導型
放出素子やFE型、或はMIM型などの冷陰極素子を用
いることができる。
【0053】以下に、冷陰極素子12として表面伝導型
放出素子(後述)を基板上に配列して単純マトリクス配
線したマルチ電子源の構造について述べる。
【0054】図2に示すのは、図1の表示パネルに用い
たマルチ電子源の平面図である。基板11上には、冷陰
極素子12として、後述する図16で示すものと同様な
表面伝導型放出素子が配列され、これらの素子は行方向
配線13と列方向配線14により単純マトリクス状に配
線されている。少なくとも行方向配線13と列方向配線
14の交差する部分の配線間には絶縁層(不図示)が形
成されており、これにより両配線間の絶縁が保たれてい
る。
【0055】図2のB−B’線に沿った断面を図3に示
す。なお、このような構造のマルチ電子源は、予め基板
11上に行方向配線13、列方向配線14、配線間絶縁
層(不図示)、及び表面伝導型放出素子の素子電極2,
3と導電性薄膜4を形成した後、行方向配線13及び列
方向配線14を介して各素子電極2,3に給電して通電
フォーミング処理(後述)と通電活性化処理(後述)を
行うことにより製造した。なお、通電フォーミング処理
及び通電活性化処理により、導電性薄膜4には電子放出
部5及び炭素もしくは炭素化合物からなる薄膜6が形成
されている。これら電子放出部5及び薄膜6については
後で詳述する。
【0056】尚、本実施形態においては、気密容器のリ
アプレート15にマルチ電子源の基板11を固定する構
成としたが、このマルチ電子源の基板11が十分な強度
を有するものである場合には、気密容器のリアプレート
としてマルチ電子源の基板11自体を用いてもよい。
【0057】次に、フェースプレート17について説明
する。
【0058】フェースプレート17は、気密容器の基板
11と対向する壁面を構成するもので、フェースプレー
ト17の下面には、蛍光膜18が形成されている。本実
施形態はカラー表示装置であるため、蛍光膜18の部分
にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の
蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えば
図4に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体
のストライプの間には黒色導電体10が設けてある。こ
の黒色導電体10を設ける目的は、電子の照射位置に多
少のずれがあっても表示色にずれが生じないようにする
ためや、外光の反射を防止して表示コントラストの低下
を防ぐため、電子による蛍光膜のチャージアップを防止
するためなどである。黒色導電体10には、黒鉛を主成
分として用いたが、上記の目的に適するものであればこ
れ以外の材料を用いても良い。
【0059】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図4
に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、
例えば図5に示すようなデルタ状配列や、図6に示すよ
うなマトリクス状配列であってもよい。なお、モノクロ
ームの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材
料を蛍光膜18に用いればよく、また黒色導電材10は
必ずしも用いなくともよい。
【0060】また、蛍光膜18のリアプレート側の面に
は、CRTの分野では公知のメタルバック19を設けて
ある。このメタルバック19を設けた目的は、蛍光膜1
8が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させ
るためや、負イオンの衝突から蛍光膜18を保護するた
め、電子加速電圧を印加するための電極として作用させ
るためや、蛍光膜18を励起した電子の導電路として作
用させるためなどである。このメタルバック19は、蛍
光膜18をフェースプレート17上に形成した後、蛍光
膜表面を平滑化処理し、その上にアルミニウム(Al)
を真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍光膜18
に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、メタルバッ
ク19は用いない。
【0061】また、本実施形態では用いなかったが、加
速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フ
ェースプレート基板17と蛍光膜18との間に、例えば
ITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0062】また、行配線端子Dx1〜DxM及び列配線端
子Dy1〜DyN及び高圧端子Hvは、この表示パネルと前
述の各回路等とを電気的に接続するために設けた気密構
造の電気接続用端子である。そして、これら行配線端子
Dx1〜DxMはマルチ電子源の行方向配線13と、列配線
端子Dy1〜DyNはマルチ電子源の列方向配線14と、ま
た高圧端子Hvはフェースプレート17のメタルバック
19と電気的に接続している。
【0063】また、この気密容器内部を真空に排気する
には、この気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と
真空ポンプとを接続し、気密容器内を10-7[Tor
r]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を封止
するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止の
直前或は封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜
(不図示)を形成する。このゲッター膜とは、例えばB
aを主成分とするゲッター材料をヒータもしくは高周波
加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、このゲッ
ター膜の吸着作用により気密容器内は1×10-5〜1×
10-7[Torr]の真空度に維持される。
【0064】次に、図7を参照しつつスペーサ20につ
いて説明する。
【0065】図7は図1のA−A’線での模式断面図で
あり、各部の符号は図1に対応している。
【0066】スペーサ20は絶縁牲基体21の表面に帯
電防止を目的とした高抵抗膜22を成膜し、かつフェー
スプレート17の内側(メタルバック19等)及び基板
11の表面(行方向配線13または列方向配線14)に
面した当接面23及び当接面23に隣接する側面部24
に低抵抗膜25を成膜したもので、上記目的を達成する
のに必要な数だけ、かつ必要な間隔をおいて配置され、
フェースプレート17の内側及び基板11の表面に接合
材26により固定される。低抵抗膜25は、スペーサ2
0の基体となる絶縁性基体21のシート抵抗値よりも低
いシート抵抗値を有し、高抵抗膜22は、低抵抗膜25
のシート抵抗値よりも高いシート抵抗値を有する。また
高抵抗膜22は、絶縁性基体21の表面のうち、少なく
とも気密容器内の真空中に露出している面に成膜されて
おり、スペーサ20上の低抵抗膜25および接合材26
を介して、フェースプレート17の内側(メタルバック
19等)及び基板11の表面(行方向配線13または列
方向配線14)に電気的に接続される。
【0067】ここで説明される態様においては、スペー
サ20の形状は薄板状とし、行方向配線13上に行方向
配線13と平行に配置され、行方向配線13に電気的に
接続されている。スペーサ20としては、基板11上の
行方向配線13および列方向配線14とフェースプレー
ト17内面のメタルバック19との間に印加される高電
圧に耐えるだけの絶縁性を有し、かつスペーサ20の表
面への帯電を防止する程度の導電性を有する必要があ
る。
【0068】スペーサ20の絶縁性基体21としては、
例えば石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガ
ラス、ソーダライムガラス、アルミナ等のセラミックス
部材等が挙げられる。なお、絶縁性基体21はその熱膨
張率が気密容器および基板11を成す部材と近いものが
好ましい。
【0069】スペーサ20の高抵抗膜22には、高電位
側のフェースプレート17(メタルバック19等)に印
加される加速電圧Vaを帯電防止膜である高抵抗膜22
の抵抗値Rsで除した電流が流される。そこで、スペー
サ20の抵抗値Rsは帯電防止及び消費電力から、その
望ましい範囲に設定される。帯電防止の観点から表面抵
抗は1014[Ω/□]以下であることが好ましい。更に
は、十分な帯電防止効果を得るためには1013[Ω/
□]以下が好ましい。尚、この表面抵抗の下限はスペー
サ20の形状とスペーサ20間に印加される電圧により
左右されるが、107[Ω/□]以上であることが好ま
しい。
【0070】絶縁性基体21上に形成された帯電防止膜
の膜厚tは、10nm〜1μmの範囲が望ましい。この
絶縁性基体21の材料の表面エネルギーおよび基板11
との密着性や基板11の温度によっても異なるが、一般
的に10nm未満の薄膜は島状に形成され、抵抗が不安
定で再現性に乏しい。一方、膜厚tが1μmを超えると
膜応力が大きくなって膜はがれが生じるおそれが高くな
り、かつ成膜時間が長くなるため生産性が悪い。
【0071】従って、帯電防止膜の膜厚は50〜500
nmであることが望ましい。表面抵抗は、ρ/tであ
り、以上に述べた表面抵抗と膜厚tとの好ましい範囲か
ら、帯電防止膜の比抵抗ρは10[Ω・cm]〜1010
[Ω・cm]が好ましい。更に表面抵抗と膜厚tのより
好ましい範囲を実現するためには、ρは104〜10
8[Ω・cm]とするのが良い。
【0072】スペーサ20は上述したように、その上に
形成した帯電防止膜を電流が流れることにより、或は表
示パネル全体が動作中に発熱することにより、その温度
が上昇する。この帯電防止膜の抵抗温度係数が大きな負
の値であると温度が上昇した時に抵抗値が減少し、スペ
ーサ20に流れる電流が増加し、更に温度上昇をもたら
す。そして電流は電源の限界を越えるまで増加し続け
る。このような電流の暴走が発生する抵抗温度係数の値
は経験的に負の値で絶対値が1%以上である。即ち、帯
電防止膜の抵抗温度係数は−1%未満であることが望ま
しい。
【0073】このような帯電防止特性を有する高抵抗膜
22の材料としては、例えば金属酸化物を用いることが
できる。金属酸化物の中でも、クロム、ニッケル、銅の
酸化物が好ましい材料である。その理由はこれらの酸化
物は二次電子放出効率が比較的小さく、冷陰極素子12
(図1参照)から放出された電子がスペーサ20に当た
った場合においても帯電しにくいためと考えられる。金
属酸化物以外にも炭素は二次電子放出効率が小さく好ま
しい材料である。特に、非晶質カーボンは高抵抗である
ため、スペーサ20の抵抗を所望の値に制御しやすい。
【0074】帯電防止特性を有する高抵抗膜22の他の
材料として、アルミニウムと遷移金属合金の窒化物及び
ゲルマニウムと遷移金属合金の窒化物は遷移金属の組成
を調整することにより、良伝導体から絶縁体まで広い範
囲に抵抗値を制御できるので好適な材料である。更には
後述する表示装置の作製工程において抵抗値の変化が少
なく安定な材料である。かつ、その抵抗温度係数が−1
%未満であり、実用的に使いやすい材料である。遷移金
属元素としてはTi,Cr,Ta,W等があげられる。
【0075】合金窒化膜はスパッタ、窒素ガス雰囲気中
での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレーテ
ィング、イオンアシスト蒸着法等の薄膜形成手段により
絶縁性部材上に形成される。金属酸化膜も同様の薄膜形
成法で作製することができるが、この場合窒素ガスに代
えて酸素ガスを使用する。その他、CVD法、アルコキ
シド塗布法でも金属酸化膜を形成できる。カーボン膜は
蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法で作
製され、特に非晶質カーボンを作製する場合には、成膜
中の雰囲気に水素が含まれるようにするか、成膜ガスに
炭化水素ガスを使用する。
【0076】スペーサ20を構成する低抵抗膜25は、
高抵抗膜22を高電位側のフェースプレート17(メタ
ルバック19等)及び低電位側の基板11(行方向配線
13、列方向配線14等)と電気的に接続するために設
けられたものであり、以下では、中間電極層(低抵抗
膜)という名称も用いる。
【0077】中間電極層(低抵抗膜)は以下に列挙する
複数の機能を有するものである。
【0078】高抵抗膜22をフェースプレート17及
び基板11と電気的に接続 既に述べたように、高抵抗膜22はスペーサ20表面で
の帯電を防止する目的で設けられたものであるが、高抵
抗膜22をフェースプレート17(メタルバック19
等)及び基板11(行方向配線13、列方向配線14
等)と直接或いは接合材25を介して接続した場合、接
続部界面に大きな接触抵抗が発生し、スペーサ20の表
面に発生した電荷を速やかに除去できなくなる可能性が
ある。そこで、フェースプレート17、基板11及び接
合材26と接触するスペーサ20の当接面23或いは側
面部24に低抵抗の低抵抗膜25を設けることにより、
スペーサ20の表面に発生した電荷を速やかに除去する
ことができるようになる。
【0079】高抵抗膜22の電位分布の均一化 冷陰極素子12より放出された電子は、フェースプレー
ト17と基板11の間に形成された電位分布に従って電
子軌道を成す。スペーサ20の近傍で電子軌道に乱れが
生じないようにするためには、高抵抗膜22の電位分布
を全域に亙って制御する必要がある。高抵抗膜22をフ
ェースプレート17(メタルバック19等)及び基板1
1(行方向配線13、列方向配線14等)と直接或いは
接合材26を介して接続した場合、接続部界面の接触抵
抗のために接続状態のむらが発生し、高抵抗膜22の電
位分布が所望の値からずれてしまう可能性がある。そこ
で、スペーサ20がフェースプレート17及び基板11
と当接するスペーサ端部(当接面23或いは側面部2
4)の全長域に低抵抗の低抵抗膜25を設け、この低抵
抗膜25に所望の電位を印加することによって、高抵抗
膜22全体の電位を制御可能となる。
【0080】放出電子の軌道の制御 冷陰極素子12より放出された電子は、フェースプレー
ト17と基板11の間に形成された電位分布に従って電
子軌道を成す。スペーサ20近傍の冷陰極素子12から
放出された電子に関しては、スペーサ20を設置するこ
とに伴う制約(配線、素子位置の変更等)が生じる場合
がある。このような場合、歪みやむらの無い画像を形成
するためには、放出された電子の軌道を制御してフェー
スプレート17上の所望の位置に電子を照射する必要が
ある。フェースプレート17及び基板11と当接する面
の側面部24に低抵抗の低抵抗膜25を設けることによ
り、スペーサ20近傍の電位分布に所望の特性を持た
せ、放出された電子の軌道を制御することが出来る。
【0081】低抵抗膜25は、高抵抗膜22に比べ十分
に低い抵抗値を有する材料を選択すればよく、Ni,C
r,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等
の金属、あるいは合金、及びPd,Ag,Au,RuO
2,Ag−PbO等の金属や金属酸化物とガラス等から
構成される印刷導体、或は、SnO2微粒子をSb等で
ドーピングした導電性微粒子をシリカまたは酸化珪素の
末端をアルキル、アルコキシ、フッ素等で置換したバイ
ンダーに分散させた導電性微粒子分散膜、あるいはIn
23−SnO2等の透明導体及びポリシリコン等の半導
体材料等より適宜選択される。
【0082】接合材26は、スペーサ20が行方向配線
13およびメタルバック19と電気的に接続するよう
に、導電性をもたせる必要がある。即ち、導電性接着材
や金属粒子や導電性フィラーを添加したフリットガラス
が好適である。
【0083】以上、高抵抗膜22及び低抵抗膜25を設
けたスペーサ20について説明したが、スペーサ20の
基体自身が高抵抗膜22と同等のシート抵抗値を有する
場合には、必ずしも高抵抗膜22は設けなくてもよい。
また、本実施形態では、図7に示したように、低抵抗膜
25をフェースプレート17側の端部及びリアプレート
15側の端部に設けた例を示したが、上述した低抵抗膜
25の3つの機能(高抵抗膜22の電気的接続、高
抵抗膜22の電位分布均一化、放出電子軌道の制御)
を満たすものであれば、必ずしも両端部に設けなくても
よく、いずれか一方の端部のみに設けてもよい。
【0084】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、行配線端子Dx1〜DxM、列配線端子Dy1〜DyN
を通じて各冷陰極素子12に電圧を印加すると、冷陰極
素子12から電子が放出される。それと同時にメタルバ
ック19に高圧端子Hvを通じて数百[V]ないし数
[kV]の高圧を印加して、それら放出された電子をフ
ェースプレート17方向に加速し、フェースプレート1
7の内面に衝突させる。これにより蛍光膜18の各色の
蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。通常、
冷陰極素子12として表面伝導型放出素子を用いた場
合、冷陰極素子12への印加電圧は12〜16[V]程
度、メタルバック19と冷陰極素子12との距離dは
0.1[mm]から8[mm]程度、メタルバック19
と冷陰極素子12間の電圧は0.1[kV]から10
[kV]程度である。
【0085】以上、本実施形態の表示パネルの基本構成
と製法、及び画像表示装置の概要を説明した。
【0086】次に、本実施形態の表示パネルに用いたス
ペーサ20の製造方法、特に低抵抗膜25の形成方法に
ついて説明する。
【0087】上述したように、スペーサ20は、リアプ
レート15及びフェースプレート17の変形あるいは破
損を防止する耐大気圧構造としての機能の他に、冷陰極
素子12から放出された電子の軌道を制御する機能、ス
ペーサ表面での沿面放電を防止する機能(帯電防止機
能)が要求される。これらの機能を満足させるために、
絶縁性基体21の材料や表面の電気的特性を含めたスペ
ーサ20の構造、及びその製造方法として、種々の例が
考えられる。特に、低抵抗膜25は、放出された電子の
軌道を制御する機能を有するので、スペーサ20の端部
に高精度に形成する必要がある。
【0088】そこで本発明では、この低抵抗膜25の形
成を、印刷法によって低抵抗膜25の材料を塗布し、そ
れを加熱して定着させることによって行っている。
【0089】印刷法としてはスクリーン印刷やオフセッ
ト印刷を用いることができ、これにより、表示パネル内
の電場を所望の条件に制御する際に必要となる低抵抗膜
25の加工精度を良好にするとともに、量産性を確保す
ることが可能となる。ここで用いられる印刷装置として
は、所望の低抵抗膜25を形成できるものであれば特に
限定されず、数μm〜数百μm程度の範囲で印刷領域の
制御が可能でかつ大面積にわたって均一に印刷面を形成
することができるものであればよい。また、印刷に用い
られる印刷版は、印刷面が焼成工程までに乾燥しないよ
うにNMP(ノルマル−メチル−2ピロリドン)などの
高沸点溶剤に対して化学的耐性を有し、溶剤の選択的な
侵食が起きないものを用いることが好ましい。具体的に
は、スクリーン印刷では、ステンレス等の金属製メッシ
ュ版を用いることができ、オフセット印刷では、凸型オ
フセット印刷版として感光性のスチレン系ゴム版などを
用いることができるが、これらに限らず、使用溶剤、基
板11の表面エネルギー、プロセス雰囲気等により適
宜、選択される。
【0090】また、低抵抗膜25を形成するために用い
る印刷溶液としては、特定の材料に限定されないが、所
望の抵抗値を得る為の材料を水,溶剤等に分散または溶
解した液として有機金属化合物溶液および有機金属錯体
を含有する溶液等があり、選択されうる材料種として
は、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、C
u、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金
属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23
の酸化物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB
4、GdB4等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、Ta
C、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN
等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等が挙げ
られる。
【0091】また、形成された低抵抗膜25の膜構造
は、結晶質、非晶質、多結晶等の構造のいずれでもよ
く、低抵抗性や基板11との密着性を向上する為に微粒
子が分散された微粒子膜を用いる事もできる。 なお、
ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜
であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置
した状態のみならず、微粒子が互いに隣接あるいは重な
り合った状態(島状も含む)の膜をも指しており、微粒
子の一次粒径は、数Å〜数千Å、好ましくは50Å〜8
00Åである。
【0092】なお、印刷による低抵抗膜25の形成を良
好に行うために、印刷を行う前に絶縁性基体21を洗浄
することが好ましい。
【0093】さらには、スペーサ20の絶縁性基体21
として、その材料が、石英ガラス、Na等の不純物含有
量を減少させたガラス、青板ガラス、SiO2を表面に
形成したガラス基板およびアルミナ等のセラミックス基
板等から選択する事が可能であるが、パネル組み立て中
の熱的ストレスによるスペーサ20の転倒を避けるた
め、リアプレート15及びフェースプレート17との熱
膨張率に大きな差が無い材料を選ぶ事が好ましい。 ま
た、特にスペーサ20は、板状、柱状、円柱状などの形
状が印刷法において選択することが考えられ、これらの
必要な形状を得る為に、シート整形、ファイバー整形な
ど種々の方法が選択できる。
【0094】また、スペーサ20を所望の大きさとする
には、シート状あるいはファイバー状の基体を、基板1
1とメタルバック19との間隔や基板11の面積に応じ
た所定の大きさに切断した絶縁性基体21を用いる。こ
の際、低抵抗膜25の形成は、基体を切断した後に行っ
てもよいし、切断する前に行ってもよい。すなわち、図
8に示すように、基体を洗浄し(ステップ101)、洗
浄された基体の所定の部位に印刷によって低抵抗膜25
を形成した後(ステップ102)、加熱により低抵抗膜
25を定着し(ステップ103)、その後、基体を所望
の大きさに切断する(ステップ104)方法と、図9に
示すように、始めに基体を所望の大きさに切断しておき
(ステップ111)、これを洗浄した後(ステップ11
2)、切断された基体の所定の部位に印刷によって低抵
抗膜25を形成し(ステップ113)、この低抵抗膜2
5を加熱により定着させる(ステップ114)方法とが
ある。
【0095】量産効率を向上させる点からは、図8に示
したように、表示パネルの耐大気圧構造上の理由等から
規定されるスペーサ形状に加工される以前の段階におい
て、シート状の基体に印刷処理を行い、焼成乾燥処理を
経て、低抵抗膜形成後に、所望の大きさに分割したほう
が、数100μm以下のサイズの印刷パターンを一括し
て高精度に形状規定することが可能となり、好ましい。
【0096】さらには、スペーサ20のベースとなる上
記の基体の印刷領域に楔状、テーパー状等の切れ込み処
理(溝加工)を行うことで、印刷面の側面から底面への
回り込み効果を期待することができ、底面と側面の両方
の領域を同時に被覆することが可能となり、底面と側面
の膜の連続性が良好となる点において、低抵抗膜25の
本来の機能であるスペーサ上の導電膜と上下基板との電
気的コンタクトをより良好にすることが可能となる。
【0097】基体への溝の加工は、基体の切断工程及び
印刷工程の前に行われることはもちろんであるが、特に
洗浄工程がある場合には、溝加工による切り屑を除去す
るために洗浄工程の前に行うのが好ましい。すなわち、
図10に示すように、低抵抗膜25を印刷し(ステップ
123)、定着した後(ステップ124)、基体を切断
する(ステップ125)場合には、基体の低抵抗膜25
の印刷領域に予め溝を形成しておき(ステップ12
1)、この基体を洗浄した後(ステップ122)、低抵
抗膜25を印刷する(ステップ123)。また、図11
に示すように、基体を切断した後に(ステップ13
2)、切断した基体を洗浄し(ステップ133)、低抵
抗膜25を印刷し(ステップ134)、定着する(ステ
ップ135)場合には、基体の切断前に溝を形成する
(ステップ131)。
【0098】さらに、低抵抗膜25を印刷した後、基体
を切断してスペーサ20を作製する場合、切断面は絶縁
性基体21が露出することになる。そこで、図12に示
すように、基体を切断した後(ステップ144)、当接
面23に相当する切断面に、低抵抗膜25と等しい電気
特性を有する第2の低抵抗膜を形成する低抵抗膜被覆処
理を行う(ステップ145)ことにより、より良好な電
気的接合を得るための低抵抗膜の被覆が得られる。
【0099】切断面に対して低抵抗膜を被覆する方法は
特に限定されないが、真空減圧工程を必要としない液相
形成法が生産効率の点からは好適である。具体的には、 (工程A):低抵抗膜材料を含む印刷溶液を展開板上に
展開し塗工する工程 (工程B):展開した印刷溶液に基体の切断面を接触さ
せ浸漬させる工程 (工程C):印刷溶液から基体を引き離し、切断面に転
写させる工程とを有する浸漬転写法や、 (工程a):低抵抗膜材料を含む印刷溶液を回転可能な
転写部材に付与する工程 (工程b):基体の切断面に転写部材を接触させ、回転
させることにより基体の端面に印刷溶液を転写させる工
程 (工程c):転写部材を基体から引き離す工程 とを有する回転転写法が挙げられる。
【0100】この回転転写法は、具体的には、例えば図
26に示す装置を用い、以下のようにして行うことがで
きる。まず、図26(a)に示すように、展開板701
上に印刷溶液705をスピンコート法などにより展開し
ておき、印刷版703が巻き付けられたドラム702を
この印刷溶液705上で回転させながら移動させること
により、印刷版703に印刷溶液705を付与する。
【0101】次いで、図26(b)に示すように、支持
台706上に、所望の形状に加工された絶縁性基体70
7を、当接面を上に向けて支持し、印刷溶液705が付
与された印刷版703を絶縁性基体707の当接面に接
触させながらドラム702を回転させることにより、絶
縁性基体707に印刷溶液705を転写する。
【0102】そして、絶縁性基体707の長手方向全域
にわたってドラム707を移動させたら、図26(c)
に示すように、ドラム702を絶縁性基体707から離
間させる。これにより、絶縁性基体707の当接面のみ
に低抵抗膜が印刷される。なお、その後、絶縁性基体7
07をひっくり返して同様の手順を繰り返すことで、絶
縁性基体707の両端の当接面に低抵抗膜を印刷するこ
とができる。
【0103】ここで、スペーサ20の当接面23とは、
表示パネルの上下基板すなわちフェースプレート17及
びリアプレート15に直接もしくは間接的に固定される
面を意味し、側面とは、その法線上に電子線放出素子も
しくは放出電子線の軌道が存在する面であり、多くの場
合、帯電の緩和を考慮すると高抵抗膜が形成されている
ことが好ましく、その面の法線はフェースプレート17
及びリアプレート15にほぼ平行に配置される。
【0104】また、低抵抗膜25の印刷の前に基体の形
状加工を行った場合には、切断面における絶縁面露出に
対する被覆処理をあらためて行う必要が低い点で有利と
なるなどの特徴を有する。
【0105】この場合、低抵抗膜25を形成する場合の
印刷面について、側面と当接面間を跨ぐような印刷領域
を同時に形成する事ができれば、側面と当接面の両方を
印刷する場合に比較して印刷工程数を減らしてのプロセ
スコストを抑制する事ができる。そのためには、絶縁性
基体21の当接面23とそれに隣接する側面との境界領
域(エッジ部)における断面形状に実質的に鋭角な断面
が存在しないこと、すなわちエッジ部が鈍角または曲面
に加工されていることが好ましい。さらには、その低抵
抗膜形成部付近の基体面の表面積が垂直加工したものの
面積に対して小であることが好ましく、さらに組み立て
精度を確保する目的から底面を確保する必要があり基体
の断面積の下限が規定される。すなわち、図13に示す
ように、低抵抗膜25が形成される領域での絶縁性基体
21の最大厚さをt、低抵抗膜25の高さをh、低抵抗
膜25の断面内周長(断面のうち絶縁性基体21と接触
している長さ)をsとしたとき、以下の (t2+4h2)〈s2〈(t+2h)2 式(1) を満足することが好ましい。
【0106】上記の形状を得るための具体的な手法とし
ては、膜の連続性、及び当接面と側面との間の電気的接
合が良好であれば、如何なる手段を用いてもよいが、絶
縁性基体21としてガラスを用いる場合には、簡便なる
手段として、加熱延伸成形を用いることができる。
【0107】加熱延伸成形による絶縁性基体21の加工
は、例えば、図14に示す加熱延伸装置を用いて行うこ
とができる。
【0108】まず、作製すべき絶縁性基体21の断面と
相似形状を有する長尺の母材501を用意する。このと
き、絶縁性基体21の断面積をs1、母材の断面積をs
2とすると、s1とs2とは(s1/s2)<1の関係
を有する。
【0109】次いで、母材501の長手方向の中間部を
ヒータ502により軟化点以上の温度まで加熱するとと
もに、加熱前の一方の端部を延伸ローラ504によりヒ
ータ502側に速度v2で送り出し、他方の端部を延伸
ローラ503により速度v2と同一方向に速度v1で引
き出す。このとき、速度v1、v2は、s1×v1=s
2×v2を満たすように設定される。すなわち、母材5
01が延伸ローラ503により引き出されることで、母
材501の断面積がs1となる。また、このときの加熱
温度は、ガラスの種類や加工形状にもよるが、通常は5
00〜700℃とする。
【0110】このようにして加熱延伸された母材501
を、冷却後、カッタ505により所望の長さに切断し、
絶縁性基体21を作製する。絶縁性基体21を加熱延伸
成形法を用いて作製する場合、加熱延伸された母材50
1は、その四隅に、微小ではあるが、切断によって絶縁
性基体21を作製した場合に比べて曲率半径が大きなR
処理を施したのと同様の形状のものが得られる。
【0111】また、切り出し、または削り出した絶縁性
基体21のエッジに対して、低抵抗膜25の連続性を確
保する目的で、後処理としてR加工またはテーパ処理を
施してもよい。このときの具体的手段としては、サンド
ブラスト、レーザースクライブ、ウォーターブラスト、
スクライブカット、研磨、弗酸等によるケミカルエッチ
ング処理等を用いることができる。
【0112】絶縁性基体21のエッジのR加工の曲率半
径の加工範囲は、絶縁性基体21の厚みtに対して、t
/2以下の良好な連続面を形成することができるが、経
験的により好ましくは、t×1/100以上の曲率半径
を持つことにより、膜の連続性と組み立て精度を満足す
ることが可能となる。なお、図15(a)は、本発明の
実施形態に適用可能なスペーサの端部の断面形状の一例
を示す図で、図15(a)の(1)、(2)は、コーナ
部を1方向のC面取りした形状を示している。また
(3)は2方向に面取りした形状を示し、(4)はR形
状にした場合を示している。更に、図15(b)の
(1)〜(4)のそれぞれは、図15(a)の(1)〜
(4)のそれぞれに対応して形成された低抵抗膜の一例
を示している。
【0113】また、配線との短絡や絶縁性基体のエッジ
付近における低抵抗膜の突起形状が放電要因になる場合
など、必要に応じて、部分的に低抵抗膜が形成されてい
ない部分を作る事も有効である。この具体的手法として
は、特に下記に限定されないが、低抵抗膜に対応したエ
ッチングプロセス、レーザーリペアによる除去、又はフ
ォトリソグラフィ、又はリフトオフプロセスによるパタ
ーニング形成、マスクによる塗工液部分展開等を適用す
ることができる。
【0114】また、前記印刷法による低抵抗膜を設けた
スペーサが高抵抗膜を有することにより、スペーサ表面
の帯電を抑え、結果として、発光点のずれの無い良好な
画像が得られる。より好ましくは、前述したように、高
抵抗膜が107[Ω/□]〜101 4[Ω/□]のシート抵抗値を
有することで、帯電と上下基板間の電流消費および発熱
を抑えることが可能となる。 また、低抵抗膜の抵抗値
は、上下基板との電気的接合を良好にする目的から、そ
のシート抵抗として前記高抵抗膜の抵抗値の1/10以
下であり、かつ107[Ω/□]以下である事が望ましい。
さらには、電子放出素子は、冷陰極素子であり、さらに
は、電極間に電子放出部を含む導電性膜を有する電子放
出素子であり、さらに、表面伝導型電子放出素子である
ことを特徴とすることが素子の構造が簡単でかつ高輝度
がえられることからより好ましい。
【0115】次に、本実施の形態の表示パネルに用いた
マルチ電子源の製造方法について説明する。本実施形態
の画像表示装置に用いるマルチ電子源は、冷陰極素子を
単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の
材料や形状あるいは製法に制限はない。従って、例えば
表面伝導型放出素子やFE型、あるいはMIM型などの
冷陰極素子を用いることができる。但し、表示画面が大
きくてしかも安価な表示装置が求められる状況のもとで
は、これらの冷陰極素子の中でも表面伝導型放出素子が
特に好ましい。即ち、FE型ではエミッタコーンとゲー
ト電極の相対位置や形状が電子放出特性を大きく左右す
るため、極めて高精度の製造技術を必要とするが、これ
は大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要
因となる。また、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚
を薄くてしかも均一にする必要があるが、これも大面積
化や製造コストの低減を達成するには不利な要因とな
る。その点、表面伝導型放出素子は比較的製造方法が単
純なため、大面積化や製造コストの低減が容易である。
【0116】また本願発明者らは、表面伝導型放出素子
の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜か
ら形成したものがとりわけ電子放出特性に優れ、しかも
製造が容易に行えることを見い出している。従って、高
輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子源に用いるに
は最も好適であると言える。そこで、本実施形態の表示
パネルにおいては、電子放出部もしくはその周辺部を微
粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用いた。そこ
で、まず好適な表面伝導型放出素子について基本的な構
成と製法および特性を説明し、その後で多数の素子を単
純マトリクス配線したマルチ電子源の構造について述べ
る。
【0117】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0118】(平面型の表面伝導型放出素子)まず最初
に、本実施の形態の平面型の表面伝導型放出素子の素子
構成と製法について説明する。
【0119】図16に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図(a)及び断面図
(b)である。図中、1101は基板、1102,11
03は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通
電フォーミング処理により形成した電子放出部、111
3は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0120】基板1101としては、例えば、石英ガラ
スや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アル
ミナをはじめとする各種セラミクス基板、或は上述の各
種基板上に例えばSiO2を材料とする絶縁層を積層し
た基板、などを用いることができる。
【0121】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102,1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。例えば、N
i,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,
Ag等をはじめとする金属、或はこれらの金属の合金、
或はIn23−SnO2をはじめとする金属酸化物、ポ
リシリコンなどの半導体、などの中から適宜材料を選択
して用いればよい。素子電極1102,1103を形成
するには、例えば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソ
グラフィー、エッチングなどのパターニング技術を組み
合わせて用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法
(例えば印刷技術)を用いて形成してもさしつかえな
い。
【0122】素子電極1102,1103の形状は、こ
の電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百Åから数百μmの
範囲から適当な数値を選んで設計されるが、中でも表示
装置に応用するために好ましいのは数μmより数十μm
の範囲である。また、素子電極1102,1103の厚
さdについては、通常は数百Åから数μmの範囲から適
当な数値が選ばれる。また、導電性薄膜1104の部分
には、微粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、
構成要素として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体
も含む)のことをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、
通常は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、或
は微粒子が互いに隣接した構造か、或は微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0123】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数Åか
ら数千Åの範囲に含まれるものであるが、中でも好まし
いのは10Åから200Åの範囲のものである。また、
微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考慮し
て適宜設定される。即ち、素子電極1102,1103
と電気的に良好に接続するのに必要な条件、後述する通
電フォーミングを良好に行うのに必要な条件、微粒子膜
自身の電気抵抗を後述する適宜の値にするために必要な
条件、などである。具体的には、数Åから数千Åの範囲
のなかで設定するが、中でも好ましいのは10Åから5
00Åの間である。
【0124】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,A
u,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,S
nO2,In23,PbO,Sb23,などをはじめと
する酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6
YB4,GdB4,などをはじめとする硼化物や、Ti
C,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,などをは
じめとする炭化物や、TiN,ZrN,HfN,などを
はじめとする窒化物や、Si,Ge,などをはじめとす
る半導体や、カーボン、などがあげられ、これらの中か
ら適宜選択される。
【0125】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
103〜107[Ω/□]の範囲に含まれるよう設定し
た。
【0126】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02,1103とは、電気的に良好に接続されるのが望
ましいため、互いの一部が重なり合うような構造をとっ
ている。その重なり方は、図16の例においては、下か
ら、基板1101、素子電極1102,1103、導電
性薄膜1104の順序で積層したが、場合によっては下
から基板1101、導電性薄膜1104、素子電極11
02,1103、の順序で積層しても差し支えない。
【0127】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜1104よりも高抵抗な性質を
有している。この亀裂は、導電性薄膜1104に対し
て、後述する通電フォーミングの処理を行うことにより
形成される。亀裂内には、数Åから数百Åの粒径の微粒
子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部11
05の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難な
ため、図16においては模式的に示した。
【0128】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105及びその近
傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミング
処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことにより
形成する。薄膜1113は、単結晶グラファイト、多結
晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もし
くはその混合物であり、膜厚は500Å以下とするが、
300Å以下とするのが更に好ましい。なお、実際の薄
膜1113の位置や形状を精密に図示するのは困難なた
め、図16においては模式的に示した。また、平面図
(a)においては、薄膜1113の一部を除去した素子
を図示した。
【0129】以上、好ましい冷陰極素子の基本構成を述
べたが、本実施形態においては以下のような素子を用い
た。
【0130】即ち、基板1101には青板ガラスを用
い、素子電極1102,1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極1102,1103の厚さdは1000
Å、電極間隔Lは2μmとした。
【0131】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100Å、幅Wは10
0μmとした。
【0132】次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子
の製造方法について説明する。
【0133】図17(a)〜(e)は、表面伝導型放出
素子の製造工程を説明するための断面図で、各部分の表
記は図16と同一である。
【0134】(1)まず、図17(a)に示すように、
基板1101上に素子電極1102,1103を形成す
る。これらを形成するにあたっては、予め基板1101
を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、素子電
極1102,1103の材料を堆積させる。(堆積する
方法としては、例えば、蒸着法やスパッタ法などの真空
成膜技術を用ればよい)。その後、堆積した電極材料
を、フォトリソグラフィー・エッチング技術を用いてパ
ターニングし、一対の素子電極1102,1103を形
成する。
【0135】(2)次に、図17(b)に示すように、
導電性薄膜1104を形成する。この導電性薄膜110
4を形成するにあたっては、まず、素子電極1102,
1103を形成した基板1101に有機金属溶液を塗布
して乾燥し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、
フォトリソグラフィー・エッチングにより所定の形状に
パターニングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性
薄膜1104に用いる微粒子の材料を主要元素とする有
機金属化合物の溶液である。(具体的には、本実施形態
では主要元素としてPdを用いた。また、塗布方法とし
て、本実施形態ではディッピング法を用いたが、それ以
外の例えばスピンナー法やスプレー法を用いてもよ
い)。
【0136】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜11
04の成膜方法としては、本実施形態で用いた有機金属
溶液の塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパ
ッタ法、或は化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0137】(3)次に、図17(c)に示すように、
フォーミング用電源1110から素子電極1102,1
103の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処
理を行って、導電性薄膜1104に電子放出部1105
を形成する。
【0138】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を
適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行
うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒
子膜で作られた導電性薄膜1104のうち電子放出を行
うのに好適な構造に変化した部分(即ち電子放出部11
05)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されてい
る。なお、電子放出部1105が形成される前と比較す
ると、形成された後は素子電極1102,1103の間
で計測される電気抵抗は大幅に増加する。
【0139】通電方法をより詳しく説明するために、図
18に、フォーミング用電源1110から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄
膜1104をフォーミングする場合にはパルス状の電圧
が好ましく、本実施形態の場合には同図に示したように
パルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的
に印加した。その際には、三角波パルスの波高値Vpf
を、順次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状
況をモニタするためのモニタパルスPmを適宜の間隔で
三角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流
計1111で計測した。
【0140】本実施形態においては、例えば10-5[to
rr]程度の真空雰囲気下において、例えばパルス幅T1
を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]と
し、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇
圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回
の割りで、モニタパルスPmを挿入した。フォーミング
処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニタパルス
の電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、素子
電極1102,1103の間の電気抵抗が1×10
6[Ω]になった段階、即ちモニタパルス印加時に電流
計1111で計測される電流が1×10-7[A]以下に
なった段階で、フォーミング処理に係る通電を終了し
た。
【0141】なお、上記の方法は、本実施形態の表面伝
導型放出素子に関する好ましい方法であり、例えば微粒
子膜の材料や膜厚、或は素子電極間隔Lなど表面伝導型
放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて通電
の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0142】(4)次に、図17(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102,1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う。この通電活性化処理とは、
通電フォーミング処理により形成された電子放出部11
05に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もし
くは炭素化合物を堆積せしめる処理のことである。(図
においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を
薄膜1113として模式的に示した。)なお、通電活性
化処理を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加
電圧における放出電流を典型的には100倍以上に増加
させることができる。
【0143】具体的には、10-4〜10-5[torr]の範
囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加する
ことにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起源
とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。薄膜11
13は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非
晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合物であ
り、膜厚は500[Å]以下、より好ましくは300
[Å]以下である。
【0144】この通電方法をより詳しく説明するため
に、図19(a)に、活性化用電源1112から印加す
る適宜の電圧波形の一例を示す。本実施形態において
は、一定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処
理を行ったが、具体的には,矩形波の電圧Vacは14
[V],パルス幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4
は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本
実施形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件で
あり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、
それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0145】図17(d)に示す符号1114は、この
表面伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極で、直流高電圧電源1115及
び電流計1116が接続されている。なお、基板110
1を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行
う場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極111
4として用いる。活性化用電源1112から電圧を印加
する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電
活性化処理の進行状況をモニタし、活性化用電源111
2の動作を制御する。
【0146】電流計1116で計測された放出電流Ie
の一例を図19(b)に示すが、活性化電源1112か
らパルス電圧を印加し始めると、時間の経過とともに放
出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとんど増加
しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した
時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停止し、
通電活性化処理を終了する。
【0147】なお、上述の通電条件は、本実施形態の表
面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝
導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて
条件を適宜変更するのが望ましい。
【0148】以上のようにして、図17(e)に示す平
面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0149】(垂直型の表面伝導型放出素子)次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、即ち垂直
型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
【0150】図20は、垂直型の表面伝導型電子放出素
子の基本構成を説明するための模式的な断面図であり、
図中の1201は基板、1202,1203は素子電
極、1206は段差形成部材、1204は微粒子膜を用
いた導電性薄膜、1205は通電フォーミング処理によ
り形成した電子放出部、1213は通電活性化処理によ
り形成した薄膜である。
【0151】この垂直型が先に説明した平面型と異なる
点は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部
材1206上に設けられており、導電性薄膜1204が
段差形成部材1206の側面を被覆している点にある。
従って、図16の平面型における素子電極間隔Lは、垂
直型においては段差形成部材1206の段差高Lsとし
て設定される。なお、基板1201、素子電極120
2,1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、
については、平面型の説明中に列挙した材料を同様に用
いることが可能である。また、段差形成部材1206に
は、例えばSiO 2 のような電気的に絶縁性の材料を用
いる。
【0152】次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法
について説明する。図21(a)〜(f)は、垂直型の
表面伝導型電子放出素子の製造工程の一例を説明するた
めの断面図であり、各部分の表記は図20と同一であ
る。
【0153】(1)まず、図21(a)に示すように、
基板1201上に一方の素子電極1203を形成する。
【0154】(2)次に、図21(b)に示すように、
段差形成部材1206を形成するための絶縁層120
6’を積層する。絶縁層1206’は、例えばSiO2
をスパッタ法で積層すればよいが、例えば真空蒸着法や
印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。
【0155】(3)次に、図21(c)に示すように、
絶縁層1206’の上に他方の素子電極1202を形成
する。
【0156】(4)次に、絶縁層1206’の一部を、
例えばエッチング法を用いて除去し、図21(d)に示
すように、素子電極1203を露出させて段差形成部材
1206を形成する。
【0157】(5)次に、図21(e)に示すように、
微粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。導電
性薄膜1204を形成するには、平面型の場合と同様
に、例えば塗布法などの成膜技術を用いればよい。
【0158】(6)次に、平面型の場合と同様に通電フ
ォーミング処理を行い、電子放出部1205を形成す
る。(図17(c)を用いて説明した平面型の通電フォ
ーミング処理と同様の処理を行えばよい。) (7)次に、平面型の場合と同様に通電活性化処理を行
い、電子放出部1205の近傍に炭素もしくは炭素化合
物を堆積させて薄膜1213を形成する。(図17
(d)を用いて説明した平面型の通電活性化処理と同様
の処理を行えばよい。) 以上のようにして、図21(f)に示す垂直型の表面伝
導型放出素子を製造した。
【0159】(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用い
た素子の特性について述べる。
【0160】図22は、本実施形態の表示装置に用いた
表面伝導型放出素子の、放出電流Ieと素子印加電圧Vf
との関係、及び素子電流Ifと素子印加電圧Vfとの関係
の典型的な例を示す図である。なお、放出電流Ieは素
子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示する
のが困難であるうえ、これらの特性は素子の大きさや形
状等の設計パラメータを変更することにより変化するも
のであるため、2本のグラフは各々任意単位で図示し
た。
【0161】この表示装置に用いた表面伝導型放出素子
は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性を有
している。
【0162】第1に、ある電圧(閾値電圧Vth)以上の
大きさの電圧を素子に印加すると急激に放出電流Ieが
増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電
流Ieはほとんど検出されない。即ち、放出電流Ieに関
して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0163】第2に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ie
の大きさを制御できる。
【0164】第3に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0165】以上のような特性を有するため、この実施
形態の表面伝導型放出素子を表示装置に好適に用いるこ
とができた。例えば多数の素子を表示画面の画素に対応
して設けた表示装置において、上述の第1の特性を利用
すれば、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能
である。即ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じ
て閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の
素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。こうして
駆動する素子を順次切り替えてゆくことにより、表示画
面を順次走査して表示を行うことが可能である。
【0166】また、第2の特性かまたは第3の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0167】これら表面伝導型放出素子を基板上に配列
して単純マトリクス配線したマルチ電子源の構造は、前
述の図2及び図3に示す通りである。
【0168】次に図23を参照して、表面伝導型放出素
子を配列した表示パネルを含む画像表示装置の構成につ
いて説明する。
【0169】図23において、表示パネル201は、表
示パネル201内の行配線と接続された行配線端子Dx1
〜DxM、同じく表示パネル201の列配線と接続された
列配線端子Dy1〜DyNを介して外部の駆動回路に接続さ
れている。このうち行配線端子Dx1〜DxMには、この表
示パネル201に設けられているマルチ電子源、即ちM
行N列のマトリクス状に配線された表面伝導型放出素子
を、1行ずつ順次選択して駆動するための走査信号が、
走査回路202から入力される。一方、列配線端子Dy1
〜DyNには、走査回路202から行配線に印加された走
査信号により選択された一行の表面伝導型放出素子の各
素子から放出される電子を、入力された映像信号信号に
応じて制御するための変調信号が印加される。
【0170】制御回路203は、外部より入力される映
像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動
作タイミングを整合させる働きを持つものである。ここ
で外部より入力される映像信号220には、例えばNT
SC信号のように画像データと同期信号が複合されてい
る場合と、予め両者が分離されている場合とがあるが、
ここでは後者の場合で説明する。尚、前者の映像信号に
対しては、良く知られる同期分離回路を設けて画像デー
タと同期信号Tsyncとを分離し、画像データをシフトレ
ジスタ204に、同期信号を制御回路203に入力すれ
ば本実施形態と同様に扱うことが可能である。
【0171】ここで制御回路203は、外部より入力さ
れる同期信号Tsyncに基づいて各部に対して水平同期信
号Tscan、及びラッチ信号Tmry、シフト信号Tsft等の
各制御信号を発生する。
【0172】外部より入力される映像信号に含まれる画
像データ(輝度データ)はシフトレジスタ204に入力
される。このシフトレジスタ204は、時系列的にシリ
アルに入力される画像データを画像の1ラインを単位と
してシリアル/パラレル変換するためのもので、制御回
路203より入力される制御信号(シフト信号)Tsft
に同期して画像データをシリアルに入力して保持する。
こうしてシフトレジスタ204でパラレル信号に変換さ
れた1ライン分の画像データ(電子放出素子N素子分の
駆動データに相当)は、並列信号Id1〜IdNとしてラッ
チ回路205に出力される。
【0173】ラッチ回路205は、1ライン分の画像デ
ータを必要時間の間だけ記憶して保持するための記憶回
路であり、制御回路203より送られる制御信号Tmry
に従って並列信号Id1〜IdNを記憶する。こうしてラッ
チ回路205に記憶された画像データは、並列信号I'd
1〜I'dNとしてパルス幅変調回路206に出力される。
パルス幅変調回路206は、これら並列信号I'd1〜I'
dNに応じて一定の振幅(電圧値)で、画像データ(I'd
1〜I'dN)に応じてパルス幅を変調した電圧信号をI"d
1〜I"dNとして出力する。
【0174】より具体的には、このパルス幅変調回路2
06は、画像データの輝度レベルが大きい程、パルス幅
の広い電圧パルスを出力するもので、例えば最大輝度に
対して30μ秒、最低輝度に対して0.12μ秒とな
り、かつその振幅が7.5[V]の電圧パルスを出力す
る。この出力信号I"d1〜I"dNは表示パネル201の列
配線端子Dy1〜DyNに印加される。
【0175】また表示パネル201の高圧端子Hvに
は、加速電圧源209から、例えば5KVの直流電圧V
aが供給される。
【0176】次に、走査回路202について説明する。
この回路202は、内部にM個のスイッチング素子を備
えるもので、各スイッチング素子は、直流電圧源Vxの
出力電圧もしくは0[V](グランドレべル)のいずれ
か一方を選択し、表示パネル201の端子Dx1〜DxMと
電気的に接続するものである。これらスイッチング素子
の切り換えは、制御回路203が出力する制御信号Tsc
anに基づいて行われるが、実際には例えばFETのよう
なスイッチング素子を組合わせる事により容易に構成す
ることが可能である。なお、直流電圧源Vxは、図22
に例示した電子放出素子の特性に基づき走査されていな
い素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧V
th電圧以下となるよう、一定電圧を出力するよう設定さ
れている。また、制御回路203は、外部より入力する
画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部
の動作を整合させる働きをもつものである。
【0177】尚、シフトレジスタ204やラインメモリ
205は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式の
ものでも採用できる。即ち、画像信号のシリアル/パラ
レル変換や記憶が所定の速度で行われればよいからであ
る。
【0178】このような構成をとりうる本実施形態の画
像表示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子
Dx1〜DxM、Dy1〜DyNを介して電圧を印加することに
より、電子放出が生じる。また高圧端子Hvを介してメ
タルバック19あるいは透明電極(不図示)に高圧を印
加し、電子ビームを加速する。加速された電子は、蛍光
膜18に衝突し、発光が生じて画像が形成される。
【0179】ここで述べた画像表示装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の思
想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号につい
てはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限るも
のではなく、PAL、SECAM方式などの他、これら
より多数の走査線からなるTV信号(MUSE方式をは
じめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0180】(はしご型電子源の場合)次に、前述のは
しご型配置電子源基板およびそれを用いた画像表示装置
について図24および図25を用いて説明する。
【0181】図24において、1110は電子源基板、
1111は電子放出素子、1112のDx1〜Dx10は前
記電子放出素子1112に接続する共通配線である。電
子放出素子1111は、基板1110上に、X方向に並
列に複数個配置される(これを素子行と呼ぶ)。この素
子行を複数個基板1110上に配置し、はしご型電子源
基板となる。各素子行の共通配線間に適宜駆動電圧を印
加することで、各素子行を独立に駆動することが可能に
なる。すなわち、電子ビームを放出させる素子行には、
電子放出閾値以上の電圧の電子ビームを、放出させない
素子行には電子放出閾値以下の電圧を印加すればよい。
また、各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9を、例えばDx
2、Dx3を同一配線とするようにしてもよい。
【0182】図25は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置の表示パネルの構造を示す図である。同図
において、1120はグリッド電極、1121は電子が
通過するための空孔、1122はDox1、Dox2、・・
・、DoxMよりなる容器外端子、1123はグリッド電
極1120と接続されたG1、G2、・・・、GNからな
る容器外端子、1110は前述のように各素子行間の共
通配線を同一配線として電子放出素子1111が配列さ
れた電子源基板である。
【0183】電子源基板1110には、グリッド電極1
120を間においてフェースプレート1086が対向配
置されている。電子源基板1124とフェースプレート
1086との間の空間は側壁で取り囲まれ、真空雰囲気
が保たれている。フェースプレート1086の電子源基
板1110側の面には、蛍光膜1084が設けられてい
る。また、図示していないが、電子源基板1110とフ
ェースプレート1086との間には、耐大気圧構造体と
してスペーサが設置されている。このはしご型配置と前
述の単純マトリクス配置の画像形成装置との違いは、電
子源基板1110とフェースプレート1086の間にグ
リッド電極1120を備えていることである。
【0184】上述のように、グリッド電極1120は、
基板1110とフェースプレート1086の中間に位置
する。グリッド電極1120は、電子放出素子1111
から放出された電子ビームを変調することができるもの
で、はしご型配置の素子行と直交して設けられたストラ
イプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に
対応して1個ずつ円形の空孔1121が設けられてい
る。グリッドの形状や設置位置は必ずしも図25のよう
なものでなくともよく、空孔としてメッシュ状に多数の
通過口を設けることもあり、また例えば電子放出素子1
111の周囲や近傍に設けてもよい。
【0185】容器外端子1122およびグリッド容器外
端子1123は、不図示の制御回路と電気的に接続され
ている。
【0186】本画像形成装置では、素子行を1列ずつ順
次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に
画像1ライン分の変調信号を同時に印加することによ
り、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1
ラインずつ表示することができる。
【0187】また、本発明によればテレビジョン放送の
表示装置のみならずテレビ会議システム、コンピュータ
等の表示装置に適した画像形成装置を提供することがで
きる。
【0188】また、本発明の思想によれば、表示用とし
て好適な画像形成装置に限るものでなく、感光性ドラム
と発光ダイオード等で構成された光プリンタの発光ダイ
オード等の代替の発光源として、上述の画像形成装置を
用いることもできる。またこの際、上述のm本の行方向
配線とn本の列方向配線を、適宜選択することで、ライ
ン状発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応用
できる。この場合、画像形成部材としては、以下の実施
例で用いる蛍光体のような直接発光する物質に限るもの
ではなく、電子の帯電による潜像画像が形成されるよう
な部材を用いることもできる。 また、本発明の思想に
よれば、例えば電子顕微鏡のように、電子源からの放出
電子の被照射部材が、蛍光体等の画像形成部材以外のも
のである場合についても、本発明は適用できる。従っ
て、本発明は被照射部材を特定しない一般的電子線装置
としての形態もとりうる。
【0189】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳述
する。
【0190】以下に述べる各実施例においては、マルチ
電子ビーム源として、前述した、電極間の導電性微粒子
膜に電子放出部を有するタイプのN×M個(N=307
2、M=1024)の表面伝導型放出素子を、図1及び
図2に示すようにM本の行方向配線とN本の列方向配線と
によりマトリクス配線したマルチ電子ビーム源を用い
た。
【0191】(実施例1)本実施例では、図10に示す
工程に従って、シート状のガラス基体に溝を形成し、溝
の部分に白金ペーストからなる低抵抗膜をスクリーン印
刷により形成した後、溝に沿って切断することによって
スペーサを作製した。
【0192】まず、リアプレートと同質のソーダライム
ガラスを原形にして、ガラスの射出成形と平面研磨処理
により、図27(a)、(b)に示すように、厚さが
0.2mm、幅及び奥行きが50mmのシート状ガラス
板601に、長さが40mm、開口幅が2.4mm、深
さが0.02mm、底部幅が2.0mmの溝602を、
5.0mmピッチで1列×90本、表裏同じ位置に形成
した。
【0193】そして、このシート状ガラス板601を、
印刷工程に先立って、純水、IPA(イソプロピルアル
コール)、アセトン中で3分間超音波洗浄した後、80
℃で30分間乾燥処理を施した後、UVオゾン洗浄を施
し、表面の有機物残基を取り除く処理を施した。
【0194】次に、図28(a)に示すように、このシ
ート状ガラス板601の一方の面の溝602が形成され
た部分に低抵抗膜603をスクリーン印刷により形成し
た。このとき、パターニング用マスクとして、シート状
ガラス板601の溝602の形状および配置に一致する
ような、開口形状を備えた325meschのスクリーン印
刷版(不図示)を用いた。このとき、マスクの開口部の
幅は、2.5mmとした。
【0195】使用したスキージは、ステンレス製の角ス
キージであり、スキージ移動速度は5cm/secと
し、このとき低抵抗膜603の底面よりの幅は250μ
m、低抵抗膜溶液形成部の液厚が10μmとなるように
スキージのシート状ガラス板601と印刷版のクリアラ
ンスを設定した。使用した印刷溶剤としては、N.E.Chem
cat製の有機金属塩溶解タイプ白金ペーストを用いた。
なお、印刷塗工溶液付着前のスクリーン版、スキージな
どの部材は、IPAで事前にワイプした後、乾燥窒素に
よりブローして残留溶剤を飛ばした。
【0196】スクリーン印刷したシート状ガラス板60
1は、クリーンオーブンにて80℃で10分間加熱処理
した後、450℃で10分間の加熱処理を行い、1時間
以上かけて室内温度まで降下させた。
【0197】以上の印刷・加熱・降温工程を、シート状
ガラス板601の他方の面に対しても行い、図28
(b)に示すように、シート状ガラス板601の両面に
低抵抗膜603を形成した。低抵抗膜603が形成され
たシート状ガラス板601の印刷面は、低抵抗膜603
が溝形状まで回り込み、その低抵抗膜形成箇所は、肉眼
観察により光沢反射が認められた。
【0198】次に、基板形状加工工程として、低抵抗膜
603が形成されたシート状ガラス板601を、溝60
2に沿ってダイヤモンドチップ付きスクライブカット装
置により切断し、バリ等の突起は研磨処理により平滑化
した。これにより、図28(c)に示すように、両側端
部に低抵抗膜603が形成された低抵抗膜付きスペーサ
604が得られた。低抵抗膜603の高さは250μm
であった。また、低抵抗膜603の膜厚は2000Åで
ありシート抵抗値は10Ω/□であった。
【0199】この後、図28(d)に示すように、低抵
抗膜付きスペーサ604の表面に帯電防止のための高抵
抗膜605を形成し、低抵抗膜603及び高抵抗膜60
5が設けられたスペーサ606作製した。本実施例で
は、高抵抗膜605として、CrおよびAlのターゲッ
トを高周波電源で同時スパッタすることにより、Cr−
Al合金窒化膜を200nmの膜厚で形成した。スパッ
タガスはAr:N2が1:2の混合ガスで、全圧力は1
mm[Torr]である。上記条件で同時成膜したスペーサ
606のシート抵抗値はR□=2×109[Ω/□]で
あった。
【0200】得られたスペーサ606の低抵抗膜部分
は、光沢反射が認められた上、当接面と側面の境界領域
すなわちエッジ部には部分的な剥がれなども無く、膜の
被覆性は良好であった。
【0201】以上のようにして作製したスペーサ606
を用い、本実施例では、前述した図1に示す表示パネル
を作製した。以下、図1および図2を用いて本実施例の
表示パネルの作製手順について詳述する。
【0202】まず、予め行方向配線電極13、列方向配
線電極14、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導
型電子放出素子である冷陰極素子12の素子電極と導電
性薄膜を形成した基板11を、リアプレート15に固定
した。次に、スペーサ20として上述の工程によって作
製したスペーサ606を用い、これを基板11の行方向
配線13上に等間隔で、行方向配線13と平行に固定し
た。その後、基板11の5mm上方に、内面に蛍光膜18
とメタルバック19が付設されたフェースプレート17
を側壁16を介し配置し、リアプレ一卜15、フェース
プレート17、側壁16およびスペーサ606の各接合
部を固定した。基板11とリアプレート15の接合部、
リアプレート15と側壁16の接合部、およびフェース
プレート17と側壁16の接合部は、フリットガラス
(不図示)を塗布し、大気中で400℃〜500℃で1
0分以上焼成することで封着した。また、スペーサ60
6は、基板11側では行方向配線13(線幅300μ
m)上に、フェースプレート17側ではメタルバック1
9面上に、導電性のフィラーあるいは金属等の導電材を
混合した導電性フリットガラス(不図示)を介して配置
し、上記気密容器の封着と同時に、大気中で400℃〜
500℃で10分以上焼成することで、接着しかつ電気
的な接続も行った。
【0203】なお、本実施例においては、蛍光膜18
は、図4に示すように、各色蛍光体(rR,G,B)が
列方向(Y方向)に延びるストライプ形状を採用し、黒
色導電体10は各色蛍光体間だけでなく、Y方向の各画
素間をも分離するように配置された蛍光膜が用いられ、
スペーサ606は、行方向(X方向)に平行な黒色導電
体10領域(線幅300μm)内にメタルバック19を
介して配置した。なお、前述の封着を行う際には、各色
蛍光体と基板11上に配置された各素子とを対応させな
くてはいけないため、リアプレート15、フェースプレ
ート17およびスペーサ606は十分な位置合わせを行
った。
【0204】以上のようにして完成した気密容器内を排
気管(不図示)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真
空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxMとDy1〜DyNnを通
じ、行方向配線電極13および列方向配線電極14を介
して各素子に給電して前述の通電フォ−ミング処理と通
電活性化処理を行うことによりマルチ電子ビーム源を製
造した。
【0205】次に、10-6[Torr]程度の真空度で、不図
示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器
(気密容器)の封止を行った。
【0206】最後に、封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。
【0207】以上のように完成した、図1に示されるよ
うな表示パネルを用いた画像表示装置において、各冷陰
極素子(表面伝導型放出素子)12には、容器外端子Dx
1〜DxM、Dy1〜DyNを通じ、走査信号及び変調信号を不図
示の信号発生手段よりそれぞれ印加することにより電子
を放出させ、メタルバック19には、高圧端子Hvを通
じて高圧を印加することにより放出電子ビームを加速
し、蛍光膜18に電子を衝突させ、各色蛍光体を励起・
発光させることで画像を表示した。なお、高圧端子Hv
への印加電圧Vaは3[kV]〜12[kV]の範囲で
徐々に放電が発生する限界電圧まで印加し、各配線1
3、14間への印加電圧Vfは14[V]とした。高圧
端子Hvへ8kV以上の電圧を印加して連続駆動が一時
間以上可能な場合に、耐電圧は良好と判断した。
【0208】このとき、スペーサ606近傍では、耐電
圧は良好であった。さらに、スペーサ606に近い位置
にある冷陰極素子12からの放出電子による発光スポッ
トも含め、2次元状に等間隔の発光スポット列が形成さ
れ、鮮明で色再現性のよいカラー画像表示ができた。こ
のことは、スペーサ606を設置しても電子軌道に影響
を及ぼすような電界の乱れは発生しなかったことを示し
ている。そればかりか、印刷溶液を付与し、基板の接合
部位付近のみに別途のパターン形成を行わずに、パター
ン形成する領域のみに低抵抗膜を形成する事ができる
為、原料となる溶液の無駄を省く事ができ、コスト的に
有利である。
【0209】(実施例2)本実施例は、スペーサの絶縁
性基体の材料としてアルミナを用いたもので、それ以外
は実施例1と同様にしてスペーサを作製した。作製され
たスペーサは、低抵抗膜部分に光沢反射が認められた
上、当接面と側面との境界領域すなわちエッジ部には部
分的な膜の剥がれなども無く、膜の被覆性は良好であっ
た。
【0210】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作製し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0211】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している。
【0212】(実施例3)本実施例は、スペーサに低抵
抗膜を形成する際の印刷溶液として厚膜銀ペーストを用
いたもので、それ以外は実施例1と同様にしてスペーサ
を作製した。作製されたスペーサは、低抵抗膜部分に光
沢反射が認められた上、当接面と側面の境界領域すなわ
ちエッジ部には部分的な膜の剥がれなども無く、膜の被
覆性は良好であった。
【0213】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作成し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0214】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している。
【0215】(実施例4)本実施例は、スペーサの低抵
抗膜をオフセット印刷方式を用いて形成したもので、そ
れ以外は実施例1と同様にしてスペーサを作製した。オ
フセット印刷により低抵抗膜を形成した際の印刷版材料
としては、感光性スチレン系の樹脂に、実施例1で使用
した同一面内配置の凸状形状をパターニングしたものを
使用した。
【0216】印刷に際し、印刷液の展開は、深さ2μm
ピッチ2μmで溝を形成したステンレス製展色版と、厚
さ0.3mmのステンレス性ドクターブレードとを用
い、均一に溶液を展開した。印刷塗工溶液付着前の印刷
版、ドクターブレード、展色版などのすべての部材は、
IPAで事前にワイプした後、乾燥窒素によりブローし
て残留溶剤を飛ばした。
【0217】また、印刷版の裏面にシート状マグネット
を張り合わせたもの用いて印刷ドラム(不図示)に着磁
固定し、シート状ガラス板を載せたステージを固定し、
ドクターブレード(不図示)により展色板上に展開した
印刷溶液に印刷ドラムを回転させながら接触させた後、
ドラムをシート状ガラス板に接触させ、低抵抗膜パター
ンを転写した。
【0218】さらに実施例1と同様にして、シート状ガ
ラス板を切断して低抵抗膜付きスペーサを作製した後、
この低抵抗膜付きスペーサに対してスパッタによる高抵
抗膜を形成し、スペーサを作製した。作製されたスペー
サの低抵抗膜部分は、光沢反射が認められた上、当接面
と側面の境界領域すなわちエッジ部には部分的な膜の剥
がれなども無く、膜の被覆性は良好であった。
【0219】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作製し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0220】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している。
【0221】(実施例5)本実施例は、図8に示す工程
に従って、シート状ガラス板に溝を形成しないこと以外
は実施例1と同様にしてスペーサを作製した。すなわ
ち、図29(a)に示すように、平滑なシート状ガラス
板611の両面の所定の位置に、スクリーン印刷により
白金ペーストを用いて低抵抗膜613を形成し、これを
低抵抗膜613が形成された方向に沿って切断すること
により、図29(b)に示すように、両端部の両側面に
低抵抗膜613が形成された低抵抗膜付きスペーサ61
4を作製した。次いで、実施例1と同様にしてスパッタ
により高抵抗膜を形成し、スペーサを作製した。作製さ
れたスペーサの低抵抗膜部分は、光沢反射が認められた
上、当接面と側面の境界領域すなわちエッジ部には部分
的な膜の剥がれなども無く、膜の被覆性は良好であっ
た。
【0222】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作成し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0223】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している。
【0224】(実施例6)本実施例では、図12に示す
工程に従ってスペーサを作製した。具体定期には、実施
例5と同様にして低抵抗膜付きスペーサを作製した後、
その切断面(当接面)を更に低抵抗膜で被覆して、図3
0に示すように、両端部の両側面及び接断面にそれぞれ
低抵抗膜623a,623bが設けられた当接面低抵抗
膜付きスペーサ625を作製した。低抵抗膜付きスペー
サの切断面への低抵抗膜の被覆は、側面の低抵抗膜と同
じ白金ペーストを用い、浸漬転写法により行った。さら
に、実施例1と同様にして当接面低抵抗膜付きスペーサ
に対してスパッタにより高抵抗膜を形成してスペーサを
作製した。作製されたスペーサの側面及び当接面の低抵
抗膜部分は、光沢反射が認められた上、当接面と側面の
境界領域すなわちエッジ部には部分的な膜の剥がれなど
も無く、膜の被覆性は良好であった。
【0225】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作成し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0226】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している (実施例7)本実施例では、図11に示す工程に従っ
て、シート状ガラス板の切断工程と低抵抗膜印刷工程の
順序を入れ替えた以外は実施例1と同様にしてスペーサ
を作製した。なお、印刷工程では、所望の形状に切断さ
れたスペーサの基体を、その厚さの1/2の厚さのステ
ンレス製ホルダ(不図示)上に並べた後、ホルダを真空
吸引して固定し、スクリーン版を重ねて基体に低抵抗膜
を印刷した。ホルダの吸引は、印刷溶液を塗工する直前
までに行い、スクリーン版をホルダから離脱する工程ま
で継続した。これにより、図31に示すように、側面だ
けでなく当接面にも低抵抗膜633が設けられた当接面
低抵抗膜付きスペーサ635が得られた。
【0227】さらに、実施例1と同様にして当接面低抵
抗膜付きスペーサに対してスパッタにより高抵抗膜を形
成し、スペーサを作製した。作製されたスペーサの低抵
抗膜部分は、光沢反射が認められた上、当接面と側面の
境界領域すなわちエッジ部には部分的な膜の剥がれなど
も無く、膜の被覆性は良好であった。
【0228】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作成し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0229】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している (実施例8)本実施例では、基本的には図11に示す工
程に従ってスペーサを作製したものであるが、スペーサ
の基体の加工を加熱延伸成形によって行った。すなわ
ち、加熱延伸法により延伸した基体を用いたこと、及
び、基体の両端部が母材の加熱延伸によりなされ、溝加
工の代りにR処理されていること以外は、実施例7と同
様にして低抵抗膜付きスペーサを作製した。
【0230】なお、加熱延伸には図14に示す装置を用
い、リアプレートと同質のソーダライムガラスを原形
に、幅が3mm、厚みが0.2mmで、四隅の曲率半径
が0.02mmのRを有する帯状ガラスを作製し、これ
を40mmの長さに切り出してスペーサ用の基体を得
た。
【0231】さらに、実施例1と同様にして低抵抗膜付
きスペーサに対してスパッタにより高抵抗膜を形成して
スペーサを作製した。作製されたスペーサの低抵抗膜部
分は、光沢反射が認められた上、当接面と側面の境界領
域すなわちエッジ部には部分的な膜の剥がれなども無
く、膜の被覆性は良好であった。
【0232】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作成し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0233】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している (実施例9)本実施例では、スペーサの絶縁性基体とし
て、ガラスではなくアルミナを用いた点を除いて、実施
例7と同様にして低抵抗膜付きスペーサを作製した。そ
して、この低抵抗膜付きスペーサに対して、実施例1と
同様にしてスパッタによる高抵抗膜を形成し、スペーサ
を作製した。作製されたスペーサの低抵抗膜部分は、光
沢反射が認められた上、当接面と側面の境界領域すなわ
ちエッジ部には部分的な膜の剥がれなども無く、膜の被
覆性は良好であった。
【0234】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作成し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0235】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している (実施例10)スペーサの低抵抗膜の形成を回転転写法
により行ったこと以外は、実施例7と同様にしてスペー
サを作製した。すなわち、溝が形成されたシート状ガラ
ス板を切断した後、図26に示すような装置を用い、切
断したシート状ガラス板の両端面に低抵抗膜を印刷し
た。ここで、印刷溶液としては白金ペーストを用い、印
刷版としてはスチレン系のものを用いた。これにより、
図32に示すように、両当接面のみに低抵抗膜643が
設けられた当接面低抵抗膜付きスペーサ645が作製さ
れた。
【0236】さらに、実施例1と同様にして当接面低抵
抗膜付きスペーサに対してスパッタによる高抵抗膜を形
成し、スペーサを作製した。作製されたスペーサの低抵
抗膜部分は、光沢反射が認められた上、当接面の周辺境
界領域まで部分的な膜の剥がれなども無く、膜の被覆性
は良好であった。
【0237】さらに、実施例1と同様にして、電子線放
出素子を組み込んだリアプレート等とともに表示パネル
を作成し、実施例1と同条件で、高圧印加および素子駆
動を行った。
【0238】このとき、スペーサ付近の耐電圧は良好で
あり、さらに、スペーサに近い位置にある冷陰極素子か
らの放出電子による発光スポットも含め、2次元状に等
間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性のよ
いカラー画像表示ができた。このことは、スペーサを設
置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発
生しなかったことを示している。
【0239】以上、実施例1〜10により作製したスペ
ーサを用いた表示パネルは、パネル特性としての電気的
コンタクト、発光点変位、耐電圧が良好であった。つま
り、スペーサについていえば、電子放出パネルの耐真空
スペーサとして適当な低抵抗膜を形成できたといえる。
【0240】しかも、実施例1〜10で作製したスペー
サは、気相成膜により低抵抗膜を形成した場合と比較し
て、高価な真空減圧装置が不要であり、材料の利用効率
が高いなどの、生産時生産プロセス上のコスト面でより
有利である。さらには、気相成膜では、ガラス基体との
密着性の問題から、基体との間に下地層を設けるための
プロセスが必要な場合があるが、印刷により形成すれ
ば、これらのプロセス(工程)を省略できるなどの優位
性を有している。
【0241】また、気相成膜で低抵抗膜を形成すると、
電子源基板に電子線装置として破壊されるに至らない程
度の微少放電が発生する場合がある。これは、印刷形成
した膜の膜厚分布が、周辺になるに従い薄くなるテーパ
状断面であるのに対して、気相成膜ではパターニングし
た末端での膜エッジが直角な断面であったり、マスクか
ら剥がす段階でバリなどの突起がスペーサ外空間に向か
って発生するため、電子線装置中でそれらの突起部に電
界が集中しやすい為であると思われる。
【0242】なお、上述した実施例1〜10のうち、実
施例6については、低抵抗膜を形成したスペーサ用の基
体のエッジ部に低抵抗膜の被覆率が低い状態が確認され
た。従って、大量生産の際の歩留まり等を考えると、基
体のエッジ部のR処理を行うことが良品率を向上させる
ためにより好ましい。
【0243】本発明によるスペーサの低抵抗膜はいずれ
も形成工程が簡便、かつ容易であり、また得られた膜の
電気的コンタクトも良好であり、かつ、放電耐圧も良好
であるので、電子線ディスプレイの表示品位を向上し、
かつ量産性と低コスト性等を求められる作製工程および
これを使用する電子線装置に対して特に有効なものであ
る。これによってさらには、スペーサおよび電子線装置
の製造コストを低下させ、帯電による発光部の変位が抑
えられた表示品位の高い画像表示装置を安価に提供する
ものである。
【0244】以上説明したように、印刷法により低抵抗
膜を形成することの効果として、真空減圧工程を必要と
しないことにより次の3つの効果が期待できる。 装置コストを抑制できる タクトタイムを抑制できる 気相成膜による形成では、排気、減圧、成膜、大気リー
ク後、膜が準安定状態にあり、不安定な過渡状態で他の
部材を成膜することで膜剥がれ等の問題が生じることが
あり、安定状態に緩和させる必要があった。これは膜の
構造や表面活性に関係していると思われるが、とりわけ
水の脱吸着の安定化に関係すると考えられる。しかしな
がら、真空工程を経由しない加熱焼成を採用することに
より、これらの不安定状態の経由を抑えることができ
る。 原料の利用効率が高い 印刷法によれば、膜の不要な部分には印刷しない事が可
能で材料の利用効率が高い。また印刷版と被印刷試料の
移動速度およびその印刷量を制御する事により、簡便に
製膜面積の制御すなわちパターニングを製膜工程中と同
時に行えるので、フォトリソグラフィーなどのパターニ
ング工程を省く事も可能である。
【0245】また、スペーサ用の基体の当接面と側面間
の境界領域の断面形状をR加工を施すなどの滑らかな連
続面とすることによる効果としては、次の効果が期待で
きる。
【0246】基体のエッジ部、即ち、当接面と側面の境
界領域における膜の被覆率を向上させることができる。
このため、低抵抗膜が当接面と側面で分断されることが
無く、両面の良好な電気的コンタクトを得ることがで
き、電子源としてスペーサを組み込んだ時に、スペーサ
表面の帯電をフェースプレート及びリアプレートの基板
面に効率的に逃すことができる。
【0247】これによって更には、スペーサおよび電子
源の製造コストを低下させ、帯電による発光部の変位が
抑えられた表示品位の高い画像表示装置を安価に提供す
るものである。
【0248】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ス
ペーサの基体である絶縁性部材の電子源側の端部及び電
極側の端部の少なくとも一方に、この絶縁性部材よりも
シート抵抗値の低い低抵抗膜を印刷法によって形成する
ことで、真空減圧工程を必要とせずに、簡易かつ安定的
に低抵抗膜を形成することができ、その結果、電子線装
置に組み込んだときに電子放出軌道に悪影響を及ぼさな
いスペーサを安価に提供することができる。また、上記
のような本発明のスペーサを備えることで、スペーサ付
近の耐電圧も良好で、かつ、電子放出軌道も安定した電
子線装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像表示装置の表示パネルの
一実施形態の外観斜視図である。
【図2】図1に示す表示パネルのマルチ電子源の平面図
である。
【図3】図2に示すマルチ電子源のB−B’線での模式
的断面図である。
【図4】図1に示す表示パネルのフェースプレートの蛍
光体配列の一例(ストライプ配列)を示す平面図であ
る。
【図5】図1に示す表示パネルのフェースプレートの蛍
光体配列の一例(デルタ配列)を示す平面図である。
【図6】図1に示す表示パネルのフェースプレートの蛍
光体配列の一例(マトリクス配列)を示す平面図であ
る。
【図7】図1に示す表示パネルのA−A’線での模式的
断面図である。
【図8】スペーサの作製工程の一例(印刷→切断)を示
すフローチャートである。
【図9】スペーサの作製工程の一例(切断→印刷)を示
すフローチャートである。
【図10】スペーサの作製工程の一例(溝加工→印刷→
切断)を示すフローチャートである。
【図11】スペーサの作製工程の一例(溝加工→切断→
印刷)を示すフローチャートである。
【図12】スペーサの作製工程の一例(印刷→切断→当
接面被覆)を示すフローチャートである。
【図13】スペーサのエッジ部における低抵抗膜の被覆
性を説明するための図である。
【図14】スペーサの作製に用いられる加熱延伸装置の
概略構成図である。
【図15】スペーサの絶縁性基体の端部の種々の形状を
示す断面図である。
【図16】平面型の表面伝導型電子放出素子の平面図
(a)及び断面図(b)である。
【図17】図16に示す表面伝導型電子放出素子の製造
工程を説明する断面図である。
【図18】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を
示す図である。
【図19】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)及
び放出電流の変化(b)を示す図である。
【図20】垂直型の表面伝導型電子放出素子の断面図で
ある。
【図21】図20に示す表面伝導型電子放出素子の製造
工程を説明する断面図である。
【図22】表面伝導型電子放出素子の典型的な特性を示
すグラフである。
【図23】画像表示装置の駆動回路の概略構成を示すブ
ロック図である。
【図24】はしご型配列の電子源の模式的平面図であ
る。
【図25】図24に示すはしご型配列の電子源を有する
表示パネルの一例の斜視図である。
【図26】回転転写法による低抵抗膜の印刷工程を説明
する図である。
【図27】本発明の実施例1によりスペーサを作製する
際に用いられるシート状ガラス板の斜視図(a)及びそ
のC−C’線断面図(b)である。
【図28】本発明の実施例1によるスペーサの作製工程
を説明する断面図である。
【図29】本発明の実施例5による低抵抗膜付きスペー
サの作製工程を説明する断面図である。
【図30】本発明の実施例6による低抵抗膜付きスペー
サの断面図である。
【図31】本発明の実施例7による当接面低抵抗膜付き
スペーサの断面図である。
【図32】本発明の実施例10による当接面低抵抗膜付
きスペーサの断面図である。
【図33】従来の典型的な表面伝導型電子放出素子の平
面図である。
【図34】従来の電界放出型素子の断面図である。
【図35】従来のMIM型素子の断面図である。
【図36】表面伝導型電子放出素子を用いた従来の画像
表示装置の表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図
である。
【符号の説明】
2,3,1102,1103,1202,1203
素子電極 4,1104,1204 導電性薄膜 5,1105、205 電子放出部 6,1113,1213 薄膜 10 黒色導電材 11,1101,1201 基板 12 冷陰極素子 13 行方向配線 14 列方向配線 15 リアプレート 16 側壁 17,1086 フェースプレート 18,1084 蛍光膜 19 メタルバック 20,606 スペーサ 21,707 絶縁性基体 22,605 高抵抗膜 23 当接面 24 側面部 25,03 低抵抗膜 26 接合材 201 表示パネル 202 走査回路 203 制御回路 204 シフトレジスタ 205 ラッチ回路 206 パルス幅変調回路 209 加速電圧源 501 母材 502 ヒータ 503,504 延伸ローラ 505 カッタ 601 シート状ガラス板 602 溝 604,614 低抵抗膜付きスペーサ 625,635,645 当接面低抵抗膜付きスペー
サ 701 展開板 702 ドラム 703 印刷版 705 印刷溶液 706 支持台 1110 電子源基板 1111 電子放出素子 1112 共通配線 1120 グリッド電極

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内に設けられた、電子放出素子
    を備えた電子源と、該電子源から放出された電子を制御
    する電極を備えた電子被照射部材と、を有する電子線装
    置の耐大気圧構造として、前記電子源と前記電極との間
    に設置されるスペーサの製造方法であって、 前記スペーサの基体である絶縁性部材の、前記電子源側
    の端部及び前記電極側の端部の少なくとも一方に、前記
    絶縁性部材よりもシート抵抗値が低い低抵抗膜を印刷法
    により形成する印刷工程を有する、スペーサの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記絶縁性部材を前記電子源と前記電極
    との間隔に応じた所望の形状に加工する加工工程を有す
    る、請求項1に記載のスペーサの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記印刷工程の後に前記加工工程を行
    う、請求項2に記載のスペーサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加工工程は、前記絶縁性部材として
    シート状の部材を用い、該シート状の部材を切断するこ
    とで前記所望の大きさに加工する切断工程を有する、請
    求項3に記載のスペーサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記切断工程は、前記絶縁性部材の前記
    電子源または前記電極と固定される当接面を切断により
    形成する工程を有する、請求項4に記載のスペーサの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記切断工程の後に、前記当接面に更に
    前記低抵抗膜を形成する当接面低抵抗膜形成工程を有す
    る、請求項5に記載のスペーサの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記当接面低抵抗膜形成工程は、 前記低抵抗膜を構成する材料を含む溶液を板上に展開す
    る工程と、 前記絶縁性部材の当接面を前記板上に展開された溶液に
    接触させ浸漬させる工程と、 前記溶液に浸漬された前記絶縁性部材の当接面を前記溶
    液から離間させる工程とを有する、請求項6に記載のス
    ペーサの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記当接面低抵抗膜形成工程は、 前記低抵抗膜を構成する材料を含む溶液を、回転可能な
    転写部材に付与する工程と、 前記溶液が付与された前記転写部材を前記絶縁性部材の
    当接面に接触させながら回転移動させる工程と、 前記転写部材の回転移動後、前記転写部材を前記当接面
    から離間させる工程とを有する、請求項6に記載のスペ
    ーサの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記加工工程の後に前記印刷工程を行
    う、請求項2に記載のスペーサの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記加工工程は、 前記絶縁性部材として、前記所望の形状と相似形状を有
    し、かつ、断面積が前記所望の形状の断面積よりも大き
    い長尺のガラス母材を用意する工程と、 前記ガラス母材の長手方向の一部を前記ガラス母材の軟
    化点以上の温度に加熱する工程と、 加熱により軟化した前記ガラス母材を断面積が前記所望
    の形状の断面積になるように引き伸ばす工程と、 引き伸ばされた前記ガラス母材を、冷却後、所望の長さ
    に切断する工程とを有する、請求項9に記載のスペーサ
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記印刷法はスクリーン印刷法であ
    る、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のスペー
    サの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記印刷法はオフセット印刷法であ
    る、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のスペー
    サの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記印刷工程で用いる印刷溶液は少な
    くとも金属元素を含む、請求項1ないし12のいずれか
    1項に記載のスペーサの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記印刷工程の前に、前記絶縁性部材
    の前記電子源または前記電極と固定される当接面と該当
    接面と隣接する側面との間を鈍角または曲面に加工する
    エッジ処理工程を有する、請求項1ないし13のいずれ
    か1項に記載のスペーサの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記エッジ処理工程は研磨処理工程を
    有する、請求項14に記載のスペーサの製造方法。
  16. 【請求項16】 真空容器内に設けられた、電子放出素
    子を備えた電子源と、該電子源から放出された電子を制
    御する電極を備えた電子被照射部材と、を有する電子線
    装置の耐大気圧構造として、前記電子源と前記電極との
    間に設置されるスペーサであって、 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の製造方法に
    よって製造されたスペーサ。
  17. 【請求項17】 前記絶縁性部材はガラスである請求項
    16に記載のスペーサ。
  18. 【請求項18】 前記絶縁性部材はセラミックである請
    求項16に記載のスペーサ。
  19. 【請求項19】 少なくとも表面のシート抵抗値が10
    7Ω/□〜1014Ω/□の範囲にある、請求項16ない
    し18のいずれか1項に記載のスペーサ。
  20. 【請求項20】 少なくとも前記真空容器内に露出して
    いる面に、前記低抵抗膜よりもシート抵抗値が高い高抵
    抗膜が形成されている、請求項16ないし19のいずれ
    か1項に記載のスペーサ。
  21. 【請求項21】 前記低抵抗膜のシート抵抗値が前記高
    抵抗膜のシート抵抗値の1/10以下で、かつ、107
    Ω/□以上である、請求項20に記載のスペーサ。
  22. 【請求項22】 真空容器内に設けられた、電子放出素
    子を備えた電子源と、該電子源から放出された電子を制
    御する電極を備えた電子被照射部材と、を有する電子線
    装置において、 前記真空容器の耐大気圧構造として、請求項16ないし
    21のいずれか1項に記載のスペーサが前記電子源と前
    記電極との間に設置されていることを特徴とする電子線
    装置。
  23. 【請求項23】 前記電子放出素子は冷陰極素子であ
    る、請求項22に記載の電子線装置。
  24. 【請求項24】 前記冷陰極素子は表面伝導型電子放出
    素子である、請求項23に記載の電子線装置。
  25. 【請求項25】 前記表面伝導型電子放出素子は、前記
    電子源に対向配置された対の素子電極と、前記素子電極
    と電気的に接続され前記素子電極の間に電子放出部が形
    成された導電性膜とを有する、請求項24に記載の電子
    線装置。
  26. 【請求項26】 前記電子被照射部材は、前記電子放出
    素子から放出された電子が照射されることで画像を形成
    する画像形成部材である、請求項22ないし25のいず
    れか1項に記載の電子線装置。
  27. 【請求項27】 前記画像形成部材は、前記電子放出素
    子から放出された電子が衝突することにより発光する蛍
    光体を含む蛍光膜である、請求項26に記載の電子線装
    置。
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