JP2000251902A - 燃料電池用ガスセパレータおよびその製造方法並びに燃料電池 - Google Patents

燃料電池用ガスセパレータおよびその製造方法並びに燃料電池

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JP2000251902A
JP2000251902A JP11048442A JP4844299A JP2000251902A JP 2000251902 A JP2000251902 A JP 2000251902A JP 11048442 A JP11048442 A JP 11048442A JP 4844299 A JP4844299 A JP 4844299A JP 2000251902 A JP2000251902 A JP 2000251902A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料電池用ガスセパレータの反りを抑える 【解決手段】 セパレータ30は、集電部16と外縁部
17からなり、集電部16では、その一方の面上に2つ
の凹部50,51が形成されている。凹部50,51に
は、複数の凸部55が設けられている。セパレータ30
を用いて燃料電池を組み立てたときには、凹部50,5
1およびこれらが備える凸部55は、隣接する部材との
間でガスの流路を形成する。集電部16は、略四角形状
を成すが、その四隅に相当する部分は、角部を有しない
滑らかな曲線状に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池用ガスセ
パレータおよびその製造方法並びに燃料電池に関し、詳
しくは、単セルを複数積層して構成する燃料電池におい
て、隣接する単セル間に設けられ、隣接する部材との間
で燃料ガス流路および酸化ガス流路を形成すると共に、
燃料ガスと酸化ガスとを隔てる燃料電池用ガスセパレー
タおよびその製造方法並びに燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池用ガスセパレータは、複数の単
セルが積層された燃料電池スタックを構成する部材であ
って、充分なガス不透過性を備えることによって、隣り
合う単セルのそれぞれに供給される燃料ガスおよび酸化
ガスが混じり合うのを防いでいる。従来、このような燃
料電池用ガスセパレータは、充分な導電性を有する炭素
材料あるいは金属材料を用いて製造されてきた。一般
に、金属材料は強度に優れているため、炭素材料を用い
る場合に比べてより薄いガスセパレータを製造すること
が可能であり、ガスセパレータを薄くすることによっ
て、燃料電池全体を小型化することが可能となる。
【0003】また、燃料電池用ガスセパレータは、通常
はその表面に所定の形状の凹凸構造を有し、この凹凸構
造によって、燃料電池内で隣接する部材との間で、上記
した燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する。このよ
うな凹凸構造を有するガスセパレータを、金属材料によ
って製造する方法として、金属板をプレス成形する方法
が提案されている(例えば、特開平10−241709
号公報等)。このような製造方法によれば、プレス成形
という簡便な方法によって燃料電池用ガスセパレータを
製造することができるため、製造工程を簡素化・短期化
して生産性を向上させ、製造コストの上昇を抑えること
ができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属板
をプレス成形することによって、所定の形状の凹凸構造
を有するガスセパレータを製造する場合には、凹凸構造
が形成される領域において、金属板の「曲げ」や「延ば
し」が行なわれるため、金属板の内部においてプレス成
形に起因する応力が生じ、出来上がったガスセパレータ
に反りを生じるという問題があった。ガスセパレータに
反りが生じると、このようなガスセパレータを積層して
燃料電池を組み付ける操作が非常に困難になってしまう
という弊害が起こる。さらに、反ったガスセパレータを
無理に積層して燃料電池を組み付けた場合には、個々の
ガスセパレータ内に応力が生じていることによって、燃
料電池の耐久性が損なわれてしまうおそれもあった。し
たがって、より反りの少ないガスセパレータが望まれて
いたが、金属板をプレス成形してガスセパレータを製造
することによる利点を損なうことなく、ガスセパレータ
の反りを充分に抑える方法は、従来知られていなかっ
た。
【0005】本発明の燃料電池用ガスセパレータおよび
その製造方法並びに燃料電池は、こうした問題を解決
し、燃料電池用ガスセパレータの反りを充分に抑えて、
ガスセパレータの反りに起因する弊害を防ぐことを目的
としてなされ、次の構成を採った。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の第1の燃料電池用ガスセパレータは、複数の単セ
ルを積層してなり電気化学反応により起電力を得る燃料
電池に用いられ、電解質層および電極を形成する部材と
共に前記単セルを構成する燃料電池用ガスセパレータで
あって、その表面に、複数の凹凸構造を設けた集電領域
を備え、前記集電領域は、前記燃料電池用ガスセパレー
タを前記燃料電池に組み込んだときには、前記凹凸構造
によって、隣接する部材との間で、前記電気化学反応に
供するためのガスの流路を形成すると共に、前記集電領
域に前記凹凸構造を設けることによって前記集電領域内
に生じる応力の分布が偏るのを抑えるように、前記集電
領域の外周線が、角部を有しない滑らかな線状に形成さ
れていることを要旨とする。
【0007】また、本発明の第2の燃料電池用ガスセパ
レータは、複数の単セルを積層してなり電気化学反応に
より起電力を得る燃料電池に用いられ、電解質層および
電極を形成する部材と共に前記単セルを構成する燃料電
池用ガスセパレータであって、その表面に、複数の凹凸
構造を設けた集電領域を備え、前記集電領域は、前記燃
料電池用ガスセパレータを前記燃料電池に組み込んだと
きには、前記凹凸構造によって、隣接する部材との間
で、前記電気化学反応に供するためのガスの流路を形成
すると共に、前記集電領域の形状が略多角形状を成し、
前記集電領域の略多角形状の角部のうち、少なくとも一
つの角部は、前記集電領域に前記凹凸構造を設けること
によって生じる応力の分布が偏るのを抑えるように、前
記角部に代えて、滑らかな曲線状に形成されていること
を要旨とする。
【0008】以上のように構成された本発明の第1の燃
料電池用ガスセパレータによれば、燃料電池内でガスの
流路を形成する凹凸構造を備える集電領域は、この凹凸
構造を設けることによって集電領域内に生じる応力の分
布が偏るのを抑えるように、集電領域の外周線が、角部
を有しない滑らかな線状に形成されている。また、本発
明の第2の燃料電池用ガスセパレータによれば、燃料電
池内でガスの流路を形成する凹凸構造を備える集電部
は、略多角形状を成しており、前記集電領域に前記凹凸
構造を設けることによって生じる応力の分布が偏るのを
抑えるように、略多角形状の角部のうち少なくとも一つ
の角部は、この角部に代えて滑らかな曲線状に形成され
ている。このように、集電領域内で応力の分布が偏るの
が抑えられるため、本発明の第1および第2の燃料電池
用ガスセパレータでは、反りが充分に抑えられるという
効果が得られる。また、本発明の第1および第2の燃料
電池用ガスセパレータによれば、この燃料電池用ガスセ
パレータの反りが充分に抑えられることにより、このセ
パレータ30を用いて燃料電池を組み立てる際の組み付
けが容易となる。
【0009】本発明の第2の燃料電池用ガスセパレータ
において、前記略多角形状は、略四角形状であることと
してもよい。
【0010】また、本発明の第1および第2の燃料電池
用ガスセパレータにおいて、前記集電領域は、金属板に
よって形成され、前記凹凸構造は、金属板のプレス成形
によって形成されたこととしてもよい。
【0011】凹凸構造を形成することで応力の分布が偏
ることに起因するガスセパレータの反りは、金属板をプ
レス成形してセパレータを製造する際に特に問題とな
る。金属板をプレス成形して集電領域を形成する際に、
集電領域の形状を既述した形状とすることで応力の分布
の偏りを抑えることができるため、金属板をプレス成形
してガスセパレータを製造する利点(製造が容易で低コ
ストであること)を損なうことなく、充分に反りの少な
い金属製のセパレータを得ることができる。また、金属
製のガスセパレータの反りを抑えることが可能となるこ
とで、より薄い金属板を用いてガスセパレータを製造す
ることができ、このようにより薄い金属板を用いること
で、このガスセパレータを備える燃料電池全体をさらに
小型化することができる。
【0012】また、このような燃料電池用ガスセパレー
タにおいて、金属板をプレス成形することによって前記
凹凸構造を形成した前記集電領域は、前記燃料電池用ガ
スセパレータを構成する他の領域とは別体で形成された
こととしてもよい。
【0013】このような構成とすれば、集電領域を既述
した形状とすることで、金属板をプレス成形する利点
(簡便で低コストであること)を生かしつつ、金属製の
集電領域の反りを抑えることができる。さらに、集電領
域以外の領域を集電領域とは別体とすることで、反りの
抑えられた集電領域と反りのない他の部材とを組み合わ
せることができ、セパレータ全体の反りをさらに抑える
ことができる。また、集電領域とは別体の他の部材を、
導電性を有しない材料で形成すれば、このガスセパレー
タを用いて組み立てた燃料電池において、燃料電池の周
囲に設ける絶縁のための構造を簡素化することができ
る。
【0014】本発明の燃料電池用ガスセパレータの製造
方法は、複数の単セルを積層してなり電気化学反応によ
り起電力を得る燃料電池に用いられ、電解質層および電
極を形成する部材と共に前記単セルを構成する燃料電池
用ガスセパレータであって、その表面に、前記電気化学
反応に供するガスの流路を前記燃料電池内で形成可能と
なる複数の凹凸構造を有する燃料電池用ガスセパレータ
の製造方法であって、(a)前記燃料電池用ガスセパレ
ータの基材を用意する工程と、(b)前記基材に対して
所定の外力を加えて、前記基材の表面に、前記複数の凹
凸構造を備える集電領域を形成する工程とを備え、前記
(b)工程は、前記集電領域を形成する際に、前記外力
によって前記集電領域内に生じる応力の分布が偏るのを
抑えるように、前記集電領域の外周線の形状を滑らかな
曲線状に形成することを要旨とする。
【0015】以上のように構成された本発明の燃料電池
用ガスセパレータの製造方法によれば、前記集電領域内
に生じる応力の分布が偏るのが抑えられるため、充分に
反りが少ない燃料電池用ガスセパレータを製造すること
ができる。このように、製造されたガスセパレータの反
りが充分に少なくなるので、製造したガスセパレータの
うち、反りに起因して不良品とされてしまうものの割合
を充分に抑えることができ、ガスセパレータの生産性を
充分に確保することができる。
【0016】このような本発明の燃料電池用ガスセパレ
ータの製造方法において、前記(a)工程では、前記基
材として金属板を用意すると共に、前記(b)工程で
は、前記金属板に前記外力を加えて、前記金属板をプレ
ス成形することにより、前記集電領域を形成することと
してもよい。
【0017】このような製造方法によれば、既述したプ
レス成形の利点を損なうことなく、充分に反りの少ない
金属製の燃料電池用ガスセパレータを製造することがで
きる。
【0018】本発明の燃料電池は、ガスの供給を受け、
電気化学反応によって起電力を得る燃料電池であって、
請求項1ないし5いずれか記載の燃料電池用ガスセパレ
ータを備えることを要旨とする。
【0019】このような燃料電池によれば、用いるガス
セパレータの反りが充分に抑えられているため、燃料電
池を組み付ける操作が容易となると共に、内部に大きな
応力が発生しているセパレータを用いて燃料電池を組み
付けることによって、燃料電池の耐久性が損なわれてし
まうおそれがない。
【0020】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を
実施例に基づき説明する。本発明の第1実施例である燃
料電池は、固体高分子型燃料電池であり、単セルを複数
積層したスタック構造によって形成されている。図1お
よび図2は、第1実施例の燃料電池が備えるセパレータ
30の構成を表わす平面図であり、図1はセパレータ3
0の一方の面の様子を表わし、図2はセパレータ30の
他方の面の様子を表わす。最初に、この図1および図2
に基づいて、セパレータ30の構成を説明する。
【0021】セパレータ30は、その外枠をなす外縁部
17と、外縁部17の内側に配設された集電部16とか
らなり、全体として、燃料電池に組み込んだときの積層
面が四角形である板状構造をしている。外縁部17は、
導電性を有しない樹脂によって形成されている。また、
集電部16は、金属板をプレス成形することによって形
成されており、その表面には所定の形状の凹凸構造が設
けられている。金属板をプレス成形してなる集電部16
に対して、所定の樹脂をインサート成型することによっ
て、集電部16と外縁部17とが接合されたセパレータ
30が製造される。
【0022】セパレータ30には、その周辺近く、すな
わち、外縁部17において、10個の孔が設けられてい
る。セパレータ30の1辺の近傍には、この辺に沿って
隣接する4つの孔である孔部40〜43が設けられてお
り、この辺に対向する辺の近傍には、同じく隣接する孔
部44〜47が設けられている。さらに、上記孔部44
に隣接して、セパレータ30の四隅に備えられた角部の
一つの近傍には、孔部48が設けられており、また、孔
部47に隣接して、上記した角部に隣接する角部の近傍
には、孔部49が設けられている。なお、これらの孔部
は、セパレータ30を用いて燃料電池を構成したときに
は、後述するように、流体の流路となるマニホールドを
形成するが、図1および図2では、各孔部の部材番号と
共に、それぞれの孔部が構成するマニホールドの部材番
号も括弧を付して合わせて示した。
【0023】また、セパレータ30の一方の面上(図1
に表わした側の面上)、すなわち集電部16の一方の面
上には、2つの凹部50,51が設けられている。これ
らの凹部は、それぞれ、互いに平行な横向きのU字形に
形成されている。既述したように、集電部16と外縁部
17とは接合されているため、集電部16に形成された
凹部50は、その両端部において、外縁部17に設けら
れた孔部44および孔部45とそれぞれ連通している。
また、凹部51は、その両端部において、孔部46およ
び孔部47とそれぞれ連通している。同様に、セパレー
タ30の他方の面上(図2に表わした側の面上)、すな
わち集電部16の他方の面上には、2つの凹部52,5
3が、互いに平行な横向きのU字形(凹部50,51と
は逆向きのU字形)に形成されている。凹部52は、そ
の両端部において、孔部40および孔部41とそれぞれ
連通しており、凹部53は、その両端部において、孔部
42および孔部43とそれぞれ連通している。これらの
凹部50〜53は、セパレータ30を用いて燃料電池を
構成したときには、セパレータ30に隣接する部材(後
述するガス拡散電極)との間で所定の空間を形成し、電
気化学反応に供するガスを導く流路を形成する。
【0024】後述するように、セパレータ30を用いて
形成する燃料電池は、セパレータ30を含む複数の部材
を順次積層して形成するが、集電部16の表面に形成さ
れた凹部は、燃料電池内においてセパレータ30に隣接
する部材との間で、上記したように、電気化学反応に供
するガスの流路を形成する。したがって、燃料電池内に
おけるセパレータ30の積層面では、セパレータ30の
それぞれの面上で2つの凹部が形成されている領域、す
なわち集電部16からなる領域が、燃料電池内で電気化
学反応が進行する領域に対応する。
【0025】本実施例のセパレータ30では、この集電
部16からなる領域は、略四角形に形成されているが、
その四隅に相当する部分を形成する辺は、角部を形成し
ない滑らかな曲線となっていることを特徴としている。
図1に基づいて説明すると、凹部50では、セパレータ
30の角部の近くに設けられた孔部44に接する部分
と、セパレータ30の角部の近くに設けられた孔部40
に隣接する部分とにおいて、凹部50を形成する辺およ
び集電部16の外周が滑らかな曲線となっている。ま
た、凹部51では、セパレータ30の角部の近くに設け
られた孔部47に接する部分と、セパレータ30の角部
近くに設けられた孔部43に隣接する部分とにおいて、
凹部51を形成する辺および集電部16の外周が滑らか
な曲線となっている(図1中の点線の円で囲んだ領域参
照)。集電部16は、その裏面において凹部52,53
を形成しているため、図2に示した面側においても同様
に、集電部16の四隅に相当する部分を形成する辺、お
よび、凹部52,53において対応する場所に位置する
辺は、角部を形成しない滑らかな曲線となっている。
【0026】また、図1および図2に示したセパレータ
30では、凹部50〜53は、底面が平坦な凹構造のよ
うに表わしたが、これらの凹部50〜53には、実際に
は、その底面から突出する所定の形状の複数の凸構造が
設けられている。凹部50〜53に設けられたこのよう
な凸構造の一例を図3に示す。図3(A)は、孔部44
および凹部50の一部を拡大した様子を表わす平面図で
あり、図3(B)は、図3(A)におけるA−A断面の
様子を表わす断面図である。図3に示すように、凹部5
0には、その底面から突出する複数の凸部55が設けら
れている。これらそれぞれの凸部55は、断面が略四角
形であり、それぞれの高さが略同一となるように形成さ
れている。
【0027】図3には、凹部50に設けられた凸部55
のみを示したが、凹部51および、セパレータ30の他
面に形成された凹部52,53にも、その底面から突出
する複数の凸部が設けられている。セパレータ30を用
いて燃料電池を構成したときには、これらの凸部は、セ
パレータ30に隣接する部材と接触することによって充
分な導電性を確保すると共に、凹部50〜53が形成す
る上記したガスの流路を通過するガスを拡散させて、上
記したガスの流路を通過するガスを効率よく電気化学反
応に供するために働く。したがって、凸部55の形状
は、図3に示した形状とは異なる形状としてもよく、隣
接する部材との間で充分な導電性を実現可能であって、
凹部50〜53が形成するガス流路を通過するガスを充
分に拡散させることができればよい。
【0028】次に、以上のように構成されたセパレータ
30を用いて組み立てた本実施例の燃料電池について説
明する。本実施例の燃料電池は、固体高分子型燃料電池
であり、単セルを複数積層したスタック構造として形成
されている。図4は、本実施例の燃料電池を構成するス
タック構造15の基本単位である単セル20の構成を表
わす分解斜視図、図5は、スタック構造15の外観を表
わす斜視図である。単セル20は、電解質膜31を、カ
ソード32およびアノード33(図示せず)で挟持し、
このサンドイッチ構造をさらに両側からセパレータ30
で挟持することによって構成されている。このような単
セル20を所定数積層することによって、スタック構造
15が構成される。以下、図4および図5に基づいて、
単セル20およびスタック構造15について説明する。
【0029】電解質膜31は、固体高分子材料、例えば
フッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン
交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本
実施例では、ナフィオン膜(デュポン社製)を使用し
た。電解質膜31の表面には、触媒としての白金または
白金と他の金属からなる合金が担持されている。カソー
ド32およびアノード33は、ガス拡散電極である。こ
れらは、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロス
や、カーボンペーパ、あるいはカーボンフエルトなど、
充分なガス拡散性および導電性を有する部材によって構
成される。
【0030】セパレータ30が、電解質膜31,カソー
ド32およびアノード33と共に積層されて単セル20
を形成し、さらにスタック構造15を構成するときに
は、セパレータ30上に設けられた各凹部は、隣接する
ガス拡散電極との間で、ガスの流路を形成する。すなわ
ち、孔部40と41、および孔部42と43を連通させ
る凹部52および53は、隣接するカソード32の表面
との間に単セル内酸化ガス流路を形成し、孔部44と4
5、および孔部46と47を連通させる凹部50および
51は、隣接するアノード33の表面との間に単セル内
燃料ガス流路を形成する。
【0031】単セル20を積層してスタック構造15を
組み立てるときには、各セパレータ30が備える孔部4
0,42は、それぞれ、スタック構造15内部をその積
層方向に貫通する酸化ガス供給マニホールド60,62
を形成する。また、孔部41,43は、同じく、スタッ
ク構造15内部をその積層方向に貫通する酸化ガス排出
マニホールド61,63を形成する。さらに、孔部4
4,46は、同じくスタック構造をその積層方向に貫通
する燃料ガス供給マニホールド64,66をそれぞれ形
成し、孔部45,47は、燃料ガス排出マニホールド6
5,67をそれぞれ形成する(図1参照)。スタック構
造15内に形成されたこれらガス流路内でのガスの流れ
については、後に詳しく説明する(後述する図6および
図7を参照)。また、スタック構造15では、各セパレ
ータ30が備える孔部48,49は、それぞれ、スタッ
ク構造15内部をその積層方向に貫通する冷却水マニホ
ールド68,69を形成する(図1参照)。この冷却水
マニホールドは、燃料電池の内部に冷却水を循環させる
ための構造である。燃料電池の内部では発電に伴って熱
が発生するため、燃料電池の内部を所定の温度範囲に保
つため、このような構造が設けられている。
【0032】以上説明した各部材を備えるスタック構造
15を組み立てるときには、セパレータ30、カソード
32、電解質膜31、アノード33、セパレータ30の
順序で順次重ね合わせ、所定の数の単セル20を積層し
た一方の端部にリターンプレート70を配置する。さら
に、その両端に集電板36,37、絶縁板38,39、
エンドプレート80,88を順次配置して図5に示すス
タック構造15を完成する。
【0033】リターンプレート70は、充分な導電性を
備えるガス不透過な部材(例えば、緻密質カーボンな
ど)によって形成されている。このリターンプレート7
0は、単セル20が積層された構造と接する側の面に、
所定の形状の複数の凹部が形成されている。この凹部
は、セパレータ30が備える孔部によって形成される既
述したガスマニホールドの端部に対応する位置に設けら
れている。このような凹部によって、スタック構造15
の端部で、所定のガス排出マニホールドとガス供給マニ
ホールドとが連通され、スタック構造15の内部におい
て後述するようなガスの流れが可能となる。なお、リタ
ーンプレート70の構成は、本発明の要部とは直接関わ
らないため、リターンプレート70の構造に関するこれ
以上の説明は省略する。
【0034】集電板36,37は緻密質カーボンや銅板
などガス不透過な導電性部材によって形成され、絶縁板
38,39はゴムや樹脂等の絶縁性部材によって形成さ
れ、エンドプレート80,88は剛性を備えた鋼等の金
属によって形成されている。また、集電板36,37に
はそれぞれ出力端子36A,37Aが設けられており、
スタック構造15によって構成される燃料電池で生じた
起電力を出力可能となっている。なお、エンドプレート
80、絶縁板38、集電板36およびリターンプレート
70には、対応する同じ位置に、6つの孔部が設けられ
ている。例えば、エンドプレート80には、孔部81〜
86が設けられている(図5参照)。
【0035】孔部81、および、絶縁板38と集電板3
6とリターンプレート70においてこれに対応する同じ
位置に設けられた孔部は、スタック構造15を構成した
ときには、既述した燃料ガス供給マニホールド64(各
セパレータ30が備える孔部44によって形成される)
に連通するガス流路を形成する。また、孔部82、およ
び、絶縁板38と集電板36とリターンプレート70に
おいてこれに対応する同じ位置に設けられた孔部は、ス
タック構造15を構成したときには、既述した燃料ガス
排出マニホールド67(各セパレータ30が備える孔部
47によって形成される)に連通するガス流路を形成す
る。同じく、孔部83、および、絶縁板38と集電板3
6とリターンプレート70においてこれに対応して設け
られた孔部は、酸化ガス供給マニホールド60(各セパ
レータ30が備える孔部40によって形成される)に連
通するガス流路を形成し、孔部84、および、絶縁板3
8と集電板36とリターンプレート70においてこれに
対応して設けられた孔部は、酸化ガス排出マニホールド
63(各セパレータ30が備える孔部43によって形成
される)に連通するガス流路を形成する。また、孔部8
5、および、絶縁板38と集電板36とリターンプレー
ト70においてこれに対応する同じ位置に設けられた孔
部は、スタック構造15を構成したときには、既述した
冷却水マニホールド68(各セパレータ30が備える孔
部48によって形成される)に連通する冷却水流路を形
成する。さらに、孔部86、および、絶縁板38と集電
板36とリターンプレート70においてこれに対応する
同じ位置に設けられた孔部は、スタック構造15を構成
したときには、既述した冷却水マニホールド69(各セ
パレータ30が備える孔部49によって形成される)に
連通する冷却水流路を形成する。
【0036】スタック構造15からなる燃料電池を動作
させるときには、エンドプレート80が備える孔部81
と図示しない燃料ガス供給装置とが接続され、水素リッ
チな燃料ガスが燃料電池内部に供給される。同様に、燃
料電池を動作させるときには、孔部83と図示しない酸
化ガス供給装置とが接続され、酸素を含有する酸化ガス
(空気)が燃料電池内部に供給される。ここで、燃料ガ
ス供給装置と酸化ガス供給装置は、それぞれのガスに対
して所定量の加湿および加圧を行なって燃料電池に供給
する装置である。また、燃料電池を動作させるときに
は、孔部82と図示しない燃料ガス排出装置とが接続さ
れ、孔部84と図示しない酸化ガス排出装置とが接続さ
れる。なお、燃料ガスとしては、炭化水素を改質して得
た水素リッチガスの他、純度の高い水素ガスを用いるこ
ととしても良い。さらに、燃料電池を動作させるときに
は、孔部85と図示しない冷却水供給装置とが接続さ
れ、孔部86と図示しない冷却水排出装置とが接続され
る。これによって、燃料電池内で発生した熱が、冷却水
によって燃料電池外部に排出される。
【0037】スタック構造15を構成するときの各部材
の積層順序は既述した通りであるが、電解質膜31の周
辺部には、セパレータ30と接する領域において所定の
シール部材が設けられる。このシール部材は、各単セル
内部から燃料ガスおよび酸化ガスが漏れ出すのを防ぐと
共に、スタック構造15内において燃料ガスと酸化ガス
とが混合してしまうのを防止する役割を果たす。
【0038】以上説明した各部材からなるスタック構造
15は、その積層方向に所定の押圧力がかかった状態で
保持され、燃料電池が完成する。スタック構造15を押
圧する構成については、本発明の要部とは関わらないた
め図示は省略した。スタック構造15を押圧しながら保
持するには、スタック構造15をボルトとナットを用い
て締め付ける構成としても良いし、あるいは所定の形状
のスタック収納部材を用意して、このスタック収納部材
の内部にスタック構造15を収納した上でスタック収納
部材の両端部を折り曲げて、スタック構造15に押圧力
を作用させる構成としても良い。
【0039】次に、以上のような構成を備えた燃料電池
における燃料ガスおよび酸化ガスの流れについて説明す
る。最初に、燃料ガスについて説明する。図6は、スタ
ック構造15内での燃料ガスの流れを立体的に表わす説
明図、図7は、同じく燃料ガスの流れを平面的に表わし
た説明図である。既述したように、燃料電池外部に設け
られた燃料ガス供給装置は、エンドプレート80に設け
られた孔部81に接続され、燃料ガス供給装置から供給
される燃料ガスは、絶縁板38、集電板36およびリタ
ーンプレート70の対応する位置に設けられた孔部を介
して、燃料ガス供給マニホールド64内に導入される。
燃料ガス供給マニホールド64内を通過する燃料ガス
は、各単セル20において、各セパレータ30にが備え
る凹部50と隣接するアノード33との間で形成される
ガス流路(単セル内燃料ガス流路)内に導かれる。これ
ら単セル内燃料ガス流路に導かれた燃料ガスは、各単セ
ルにおいて電気化学反応に供されるが、反応に関与しな
かった残りの燃料ガスは、セパレータ30に設けられた
孔部45によって形成される燃料ガス排出マニホールド
65に排出される。なお、図6では、凹部50が形成す
る単セル内燃料ガス流路、および、後述する凹部51が
形成する単セル内燃料ガス流路における燃料ガスの流れ
(積層面上におけるU字形の流れ)は、スタック構造1
5の中で3カ所のみ示したが、実際にはすべての単セル
20において、内部に形成される単セル内燃料ガス流路
でこのようにガスが流れる。燃料ガス排出マニホールド
65では、燃料ガス供給マニホールド64とは逆向きに
燃料ガスが通過しながら、各単セル内に形成された単セ
ル内燃料ガス流路から排出される燃料ガスが合流する。
【0040】このような燃料ガスは、スタック構造15
端部のリターンプレート70に達すると、リターンプレ
ート70の表面に設けられた既述した凹部によって、さ
らに燃料ガス供給マニホールド66内に導かれる。燃料
ガス供給マニホールド66内に導かれた燃料ガスは、こ
の燃料ガス供給マニホールド66内を通過しながら、各
セパレータ30が備える凹部51と隣接するアノード3
3との間で形成される各単セル内燃料ガス流路に分配さ
れ、この単セル内燃料ガス流路を通過しつつ電気化学反
応に供される。このようにして単セル内燃料ガス流路を
通過した燃料ガスは、燃料ガス排出マニホールド67に
排出され、燃料ガス供給マニホールド66とは逆向きに
流れながら合流し、再びリターンプレート70に達す
る。リターンプレート70に達した燃料ガスは、エンド
プレート80に設けられた孔部82と、集電板36、絶
縁板38およびリターンプレート70の対応する位置に
設けられた孔部とを介して、孔部82に接続する燃料ガ
ス排出装置に排出される。
【0041】以上、スタック構造15内における燃料ガ
スの流れについて説明したが、スタック構造15内にお
ける酸化ガスの流れについても同様である。すなわち、
酸化ガスの流れは、図6および図7に基づいた上記説明
において、燃料ガス供給マニホールド64,66を、そ
れぞれ酸化ガス供給マニホールド60,62に、燃料ガ
ス排出マニホールド65,67を、酸化ガス排出マニホ
ールド61,63に、凹部50,51が形成する単セル
内燃料ガス流路を、凹部52,53が形成する単セル内
酸化ガス流路に読み替えればよい。酸化ガス供給装置か
ら燃料電池に供給された酸化ガスは、まず、酸化ガス供
給マニホールド60内を通過しつつ、各セパレータ30
が備える凹部52とカソード32との間に形成される単
セル内酸化ガス流路に分配されて電気化学反応に供され
る。反応に関与しなかった残りの酸化ガスは、酸化ガス
排出マニホールド61に集合して、酸化ガス供給マニホ
ールド60とは逆向きに流れてリターンプレート70に
到る。
【0042】このような酸化ガスは、リターンプレート
70が備える所定の凹部によって、酸化ガス供給マニホ
ールド62内に導かれる。酸化ガス供給マニホールド6
2内に導かれた酸化ガスは、各セパレータ30が備える
凹部53とカソード32との間に形成される単セル内酸
化ガス流路に分配されて電気化学反応に供される。この
ようにして単セル内酸化ガス流路を通過した酸化ガス
は、酸化ガス排出マニホールド63に排出され、酸化ガ
ス供給マニホールド62とは逆向きに流れながら合流
し、再びリターンプレート70に達する。リターンプレ
ート70に達した酸化ガスは、エンドプレート80に設
けられた孔部84と、絶縁板38,集電板36およびリ
ターンプレート70の対応する位置に設けられた孔部と
を介して、孔部84に接続する酸化ガス排出装置に排出
される。
【0043】以上説明した実施例によれば、それぞれの
セパレータ30において、略四角形をしている集電部1
6の四隅を、角部のない滑らかな曲線となるように形成
することで、集電部16の反りが抑えられる。したがっ
て、金属板をプレス成形してセパレータを製造するとい
う簡便で低コストなセパレータの製造方法の利点を損な
うことなく、金属セパレータが反ってしまうという問題
を解決することができる。
【0044】既述したように、金属板をプレス成形して
複数の細かい凹凸構造を形成すると、金属板の曲げや延
ばしによって金属板内部に生じる応力のために金属板が
反ってしまい、充分に反りの少ない金属セパレータを製
造することは困難であった。しかしながら上記実施例の
ように、凹凸構造を備える集電領域を、その外周線が角
部を有しない滑らかな線状となるように形成すると、応
力が生じる原因となる凹凸構造の分布状態がより均一と
なる。すなわち、セパレータ30の外形と同様に、集電
領域を、角部を有する四角形状とすると、集電領域の中
心から集電領域の外周線上の各点までの距離の中では、
これら角部までの距離が最も長くなるため、角部を結ぶ
対角線上には、応力を生じさせる凸構造が他の領域より
も多く設けられることになって強い応力が働くが、上記
構成とすることによってこのような応力分布の偏りを抑
えることができ、セパレータ30の反りを効果的に少な
くすることができる。
【0045】このように、セパレータ30の反りが抑え
られることによって、このセパレータ30を用いて燃料
電池を組み立てる際の組み付けが容易となる。また、セ
パレータの反りが充分に抑えられるので、製造したセパ
レータのうち、反りに起因して不良品とされてしまうも
のの割合を充分に抑えることができ、セパレータの生産
性を充分に確保することができる。さらに、内部に大き
な応力が発生しているセパレータを用いて燃料電池を組
み付けることによって、燃料電池の耐久性が損なわれて
しまうおそれがない。
【0046】なお、このような金属板のプレス形成によ
ってセパレータに生じる反りは、セパレータを製造する
ためにプレス成形に供する金属板が薄いほど、より顕著
に現われる。したがって、上記実施例のように、外周線
が角部のない滑らかな曲線状となるように集電部を形成
することによって、セパレータの反りを充分に抑えるな
らば、より薄い金属板を用いてプレス形成に供しても、
反りが充分に少ないセパレータを製造することが可能と
なる。また、このように、より薄い金属セパレータを製
造できることによって、燃料電池のさらなる小型化が可
能となる。
【0047】なお、セパレータ30は、その表面におい
て各凹部をU字形に形成されているため、各単セル内ガ
ス流路を通過するガスは、このU字形の底部に相当する
ガス流路の屈曲部を通過することで、流れの方向が逆向
きに変更される。このように、屈曲部を設けて単セル内
ガス流路を途中で折り曲げることで、単セル内ガス流路
の流路断面積を小さくし、流路内を通過するガスの流量
および流速を増大させ、ガスの利用率の向上を図ること
ができるが、上記屈曲部では、流路をガスが通過する際
の圧損が増大してしまう。上記実施例のように屈曲部の
形状を滑らかな曲線状にすることによって、屈曲部にお
いてガスをスムーズに導き、上記屈曲部をガスが通過す
る際の圧損を抑えることができる。また、このような屈
曲部において、屈曲部に角部を設けた場合(略四角形の
集電領域の四隅として角部が設けられている場合)に
は、この角部は、ガスの流れが不十分になりやすく、電
気化学反応の進行状態が不十分になりやすい領域とな
る。したがって、上記実施例のように、集電部の四隅を
滑らかな曲線にして角部に相当する集電部の面積を減ら
しても、電池性能にさほど影響はない。
【0048】さらに、上記実施例によれば、集電部16
の四隅において角部をなくして滑らかな曲線状とするこ
とで、燃料電池内でマニホールドを効率的に配置するこ
とが可能となる。すなわち、セパレータ30では、集電
部16およびセパレータ30の一辺に沿って、酸化ガス
マニホールドを形成する孔部40〜43が設けられ、こ
れらの辺に対向する辺に沿って、燃料ガスマニホールド
を形成する孔部44〜47が設けられている。ここで、
集電部16は、その四隅が角部のない滑らかな曲線状に
形成されているため、集電部16の四隅に隣接する孔部
40,43,44,47と、セパレータ30のそれぞれ
の四隅との間には、所定のスペースが生じる。したがっ
て、このスペースに、冷却水マニホールドを形成するた
めの孔部(孔部48,49)を設けることができ、冷却
水マニホールドを設けるためにセパレータの横幅を大き
くする必要がなく、燃料電池内でマニホールドを効率的
に配置して、燃料電池の積層面における集電部の面積の
割合を充分に高くすることができる。
【0049】なお、セパレータ30の集電部16を構成
する金属としては、充分な導電性、強度、および耐食性
を備えていればよく、例えば、ステンレスなどを用いる
ことができる。また、セパレータ30の耐食性をさらに
向上させるために、特に耐食性に優れた導電性物質、例
えば、チタンやニッケルなどの金属や、カーボンからな
る被覆層を、集電部16の表面に設ける構成も望まし
い。
【0050】また、上記実施例のセパレータ30では、
集電部16と外縁部17とは異なる部材からなるが、両
者を一体で形成することとしてもよい。すなわち、金属
板をプレス成形して集電部を形成すると共に、この金属
板の所定の位置を打ち抜いて孔部を設け、一枚の金属板
から、集電部と外縁部とが一体となった金属製のセパレ
ータを製造することとしてもよい。このような場合に
も、プレス成形により形成する集電部の外縁の形状を、
その四隅において角部のない滑らかな曲線状とすること
で、集電部が備える凹凸形状を形成することでセパレー
タ内に生じる応力の分布の偏りを抑え、セパレータの反
りを少なくする効果を得ることができる。なお、上記し
た実施例のセパレータ30では、集電部16を既述した
形状とすることで金属製の集電部16の反りを抑えると
共に、この集電部16を、反りを生じない樹脂製の外縁
部17と一体とすることで、セパレータ30全体の反り
をさらに抑えることができる。
【0051】また、上記実施例のセパレータ30では、
集電部16は、それぞれの面上において、平行な2つの
U字形の凹部からなることとしたが、集電部内に形成さ
れる凹部の形状は、他のいかなる形状であってもよい。
すなわち、集電部の外周を、角部のない滑らかな曲線状
となるように形成すれば、集電部内に形成される凹部の
形状が他の形状であっても、プレス成形によって集電部
内に生じる応力の分布の偏りを抑えることができ、セパ
レータの反りを少なくすることができる。セパレータ3
0が備える凹部とは異なる形状の凹部を備えるセパレー
タの例を図8に示す。
【0052】図8に示すセパレータ130は、金属板を
プレス成形することにより形成されており、その一方の
面上に凹部150を備えると共に、四隅のそれぞれの近
傍に孔部140,143,144,147が形成されて
おり、さらに、孔部143,144の近傍には、孔部1
49,148が設けられている。ここで、凹部150
は、略円形に形成されており、その内部において図3に
示した凸部55と同様に複数の凸構造が形成され、孔部
144,147と連通している。また、セパレータ13
0の他方の面(図示せず)には、凹部150と同様の凹
部が設けられており、この凹部は、孔部140,143
と連通している。このようなセパレータ130を用いて
燃料電池を構成する場合には、凹部150は単セル内燃
料ガス流路を形成し、孔部144,147は燃料ガスマ
ニホールドを、孔部140,143は酸化ガスマニホー
ルドを、孔部148,149は冷却水マニホールドを形
成する。また、セパレータ130を用いて構成した燃料
電池内では、凹部150が形成する単セル内燃料ガス流
路において、孔部144,147のうちの一方が形成す
るガスマニホールドから他方が形成するガスマニホール
ドに向かってガスが流れる。
【0053】このようなセパレータ130では、凹部1
50が形成される領域が既述した集電部に相当するが、
この集電部を、略円形、すなわちその外周を角部のない
滑らかな曲線状とすることで、既述した実施例と同様
に、セパレータ130の反りを抑える効果を得ることが
できる。また、凹部150を上記した形状として、ガス
マニホールドを形成するための孔部をこの凹部150に
沿って設けることによって、セパレータ130の四隅の
近傍には所定のスペースが生じる。したがって、ここ
に、冷却水マニホールドを形成する孔部148,149
を設けることができ、既述した実施例と同様に、マニホ
ールドを効率的に配置できるという効果も得られる。
【0054】なお、既述した実施例では、集電部の四隅
すべてを、角部を有しない曲線状となるよう形成した
が、四隅のうちの少なくとも一つにおいて、このような
構成としてもよい。このような場合にも、四隅のうちの
少なくとも一つを、角部を有しない曲線状とすること
で、プレス成形によって凹凸形状を形成する際に生じる
応力の分布の偏りを抑える所定の効果を得ることができ
る。また、集電部の形状は、略四角形以外の多角形状で
あっても、その角部に相当する形状を滑らかな曲線とす
ることで、セパレータの反りを抑える同様の効果を得る
ことができる。
【0055】既述した実施例では、1枚の金属板をプレ
ス成形することによって、その両面に所定の凹凸形状を
有する集電部16を形成したが、プレス成形した金属板
を2枚貼り合わせて集電部を形成することもできる。す
なわち、プレス成形といった塑性加工だけでは、所望の
凹凸形状を両面に有する集電部を形成するのが困難であ
る場合には、集電部のいずれか一方の面に対応する凸構
造を形成するように金属板を加工し、集電部の他方の面
に対応する凸構造を形成するように加工した金属板と共
に、上記凸構造が向かい合わない方向で両者を貼り合わ
せて、一つの集電部を形成することとしてもよい。この
ような場合にも、集電領域の外周の形状を、角部を有し
ない滑らかな線状とすることで、セパレータの反りを抑
える効果を得ることができる。
【0056】このように、金属製の薄板をプレス成形す
る際には、応力分布の不均一による成形体の反りが特に
大きな問題となり、集電領域を既述した形状とすること
による効果が特に顕著に得られるが、他の方法でセパレ
ータの凹凸構造を形成する場合であっても、集電領域の
外周の形状を角部のない滑らかな曲線状にすることによ
って、セパレータの反りを抑える所定の効果を得ること
ができる。例えば、平坦な金属板上に、熱で溶融させた
金属を盛りつけることによって、セパレータ表面に凹凸
構造を形成する場合にも、集電領域の外周の形状を角部
のない滑らかな曲線状にすることで、セパレータの反り
を抑えることができる。既述した実施例では、セパレー
タ内に分布する応力は、金属板を曲げたり伸ばしたりす
る外力によって生じるが、溶融金属を盛りつける場合に
は、セパレータに分布する応力は、熱という外力によっ
て発生する。その他、カーボン材料をプレス成形してセ
パレータを製造する場合など、他の材料、他の製造方法
による場合であっても、集電領域の形状を既述した形状
とすることで、単セル内流路を形成するための凹凸構造
を設けることでセパレータ内に生じる応力の分布が偏る
のを抑え、セパレータの反りをより小さくする効果を得
ることができる。
【0057】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる
様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例であるセパレータ30
を一方の面から見た様子を表わす説明図である。
【図2】セパレータ30を他方の面から見た様子を表わ
す説明図である。
【図3】凹部50に設けられた凸部55の様子を表わす
説明図である。
【図4】単セル20の構成を表わす分解斜視図である。
【図5】スタック構造15の外観を表わす斜視図であ
る。
【図6】スタック構造15内での燃料ガスの流れを立体
的に表わす説明図である。
【図7】スタック構造15内での燃料ガスの流れを平面
的に表わした説明図である。
【図8】セパレータ130の構成を表わす説明図であ
る。
【符号の説明】
15…スタック構造 16…集電部 17…外縁部 20…単セル 30…セパレータ 31…電解質膜 32…カソード 33…アノード 36,37…集電板 36A,37A…出力端子 38,39…絶縁板 40〜43…孔部 44〜47…孔部 48,49…孔部 50〜53…凹部 55…凸部 60,62…酸化ガス供給マニホールド 61,63…酸化ガス排出マニホールド 64,66…燃料ガス供給マニホールド 65,67…燃料ガス排出マニホールド 68,69…冷却水マニホールド 70…リターンプレート 80,88…エンドプレート 81〜86…孔部 130…セパレータ 140,143,144,147,148,149…孔
部 150…凹部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の単セルを積層してなり電気化学反
    応により起電力を得る燃料電池に用いられ、電解質層お
    よび電極を形成する部材と共に前記単セルを構成する燃
    料電池用ガスセパレータであって、 その表面に、複数の凹凸構造を設けた集電領域を備え、 前記集電領域は、 前記燃料電池用ガスセパレータを前記燃料電池に組み込
    んだときには、前記凹凸構造によって、隣接する部材と
    の間で、前記電気化学反応に供するためのガスの流路を
    形成すると共に、 前記集電領域に前記凹凸構造を設けることによって前記
    集電領域内に生じる応力の分布が偏るのを抑えるよう
    に、前記集電領域の外周線が、角部を有しない滑らかな
    線状に形成されていることを特徴とする燃料電池用ガス
    セパレータ。
  2. 【請求項2】 複数の単セルを積層してなり電気化学反
    応により起電力を得る燃料電池に用いられ、電解質層お
    よび電極を形成する部材と共に前記単セルを構成する燃
    料電池用ガスセパレータであって、 その表面に、複数の凹凸構造を設けた集電領域を備え、 前記集電領域は、 前記燃料電池用ガスセパレータを前記燃料電池に組み込
    んだときには、前記凹凸構造によって、隣接する部材と
    の間で、前記電気化学反応に供するためのガスの流路を
    形成すると共に、 前記集電領域の形状が略多角形状を成し、 前記集電領域の略多角形状の角部のうち、少なくとも一
    つの角部は、前記集電領域に前記凹凸構造を設けること
    によって生じる応力の分布が偏るのを抑えるように、前
    記角部に代えて、滑らかな曲線状に形成されていること
    を特徴とする燃料電池用ガスセパレータ。
  3. 【請求項3】 前記略多角形状は、略四角形状である請
    求項2記載の燃料電池用ガスセパレータ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3記載の燃料電池用ガス
    セパレータであって、 前記集電領域は、金属板によって形成され、 前記凹凸構造は、金属板のプレス成形によって形成され
    た燃料電池用ガスセパレータ。
  5. 【請求項5】 金属板をプレス成形することによって前
    記凹凸構造を形成した前記集電領域は、前記燃料電池用
    ガスセパレータを構成する他の領域とは別体で形成され
    た請求項4記載の燃料電池用ガスセパレータ。
  6. 【請求項6】 複数の単セルを積層してなり電気化学反
    応により起電力を得る燃料電池に用いられ、電解質層お
    よび電極を形成する部材と共に前記単セルを構成する燃
    料電池用ガスセパレータであって、その表面に、前記電
    気化学反応に供するガスの流路を前記燃料電池内で形成
    可能となる複数の凹凸構造を有する燃料電池用ガスセパ
    レータの製造方法であって、 (a)前記燃料電池用ガスセパレータの基材を用意する
    工程と、 (b)前記基材に対して所定の外力を加えて、前記基材
    の表面に、前記複数の凹凸構造を備える集電領域を形成
    する工程とを備え、 前記(b)工程は、前記集電領域を形成する際に、前記
    外力によって前記集電領域内に生じる応力の分布が偏る
    のを抑えるように、前記集電領域の外周線の形状を滑ら
    かな曲線状に形成することを特徴とする燃料電池用ガス
    セパレータの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の燃料電池用ガスセパレー
    タの製造方法であって、 前記(a)工程では、前記基材として金属板を用意する
    と共に、 前記(b)工程では、前記金属板に前記外力を加えて、
    前記金属板をプレス成形することにより、前記集電領域
    を形成することを特徴とする燃料電池用ガスセパレータ
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 ガスの供給を受け、電気化学反応によっ
    て起電力を得る燃料電池であって、 請求項1ないし5いずれか記載の燃料電池用ガスセパレ
    ータを備える燃料電池。
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