JP2000254484A - 多管式熱交換器および該多管式熱交換器における重合抑制方法 - Google Patents

多管式熱交換器および該多管式熱交換器における重合抑制方法

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JP2000254484A JP11065403A JP6540399A JP2000254484A JP 2000254484 A JP2000254484 A JP 2000254484A JP 11065403 A JP11065403 A JP 11065403A JP 6540399 A JP6540399 A JP 6540399A JP 2000254484 A JP2000254484 A JP 2000254484A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多管式熱交換器および多管式熱交換器におけ
る重合抑制方法を提供する。 【解決手段】 管外流体入り口および管外流体出口と
を供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状胴体
と、該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に両端
部外周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板式熱
交換器において、該管板と伝熱管との連結部にプロセス
流体の滞留部がないことを特徴とする易重合性物質取り
扱い用多管式熱交換器である。また、易重合性物質に重
合防止剤を添加したものを本発明の多管式熱交換器を用
いて熱交換すると、多管式熱交換器内の重合を更に効果
的に防止することができる。これにより熱交換率の向
上、長期連続運転が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多管式熱交換器お
よび多管式熱交換器における重合抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】広く高温、低温の2流体間で熱の伝授を
行わせる多管式熱交換器は、化学工業で広く使用される
化学機械の一つである。多管式熱交換器は、過酷な使用
条件、長期連続運転などに信頼性が高く、最も多く使用
されているものである。多管式熱交換器の中でも管板式
熱交換器は、管状胴体の両端部にそれぞれ1枚以上の管
板を内蔵し、該管板間に両端部外周を固定された多数本
の伝熱管が連結されることを特徴とする。
【0003】例えば、図1に示すような従来の縦型の管
板式熱交換器では、管内流体入口近傍の上部管板を経て
プロセス流体が伝熱管内に導入され、次いでこの伝熱管
末端から下部管板を経て熱交換器外に排出される。ここ
に、各管板と伝熱管との連結部は、強固な接続を確保し
かつ多数の伝熱管を簡易に取り付けるために、図3aに
示すように管板面から伝熱管を突出して固定される。熱
交換器では、管内流体および管外流体双方の流体が常時
流入流出するために振動が生じ、ポンプ・圧縮機からの
振動や、回転機械からの直接の脈動流により伝熱管がこ
れらの振動を受ける。従って、この振動による伝熱管取
付部の緩みによる漏れを防止するため、管板面に伝熱管
を突出させ強度を確保するのである。また、伝熱効率を
向上させるためには冷却液との接触面を広く取る必要が
あり伝熱管の管径は細くなるが、この多数の細い伝熱管
を安定に固定するには、管板面に伝熱管を突出させて接
合させることが簡便だからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】その一方、多管式熱交
換器の伝熱面は使用時間の経過と共に異物が付着して汚
れ、伝熱効率が悪化する。この汚れにより熱交換率が低
下し、汚れによる補修が必要となり長期運転が困難とな
る。この汚れは流体に固形物、半固形物が含まれるとき
に生じるのであるが、プロセス流体自体が固形物等でな
い場合であっても、流体成分が易重合性物質等である場
合には熱交換中に重合が生じ、この重合体により汚染が
発生する。
【0005】例えば、蒸留塔の塔頂から導かれた多管式
熱交換器(コンデンサ)は、蒸留塔の塔頂に昇る低沸点
成分に富む蒸気を伝熱管内にて冷却・凝縮させるが、蒸
留対象物が、アクリル酸等の易重合性化合物である場合
では、コンデンサ内での重合が生じやすい。アクリル酸
は、プロピレンおよび/またはアクロレインを分子状酸
素含有ガス含有ガスにより接触気相酸化して製造され、
アクリル酸含有液を蒸留塔で蒸留するのであるが、この
アクリル酸含有液組成には、水、酢酸、アクロレイン等
の不純物が含まれ、アクリル酸の重合が極めて起こり易
くなっているからである。このため、フェノチアジンな
どの種々の重合防止剤がプロセス中に添加され、アクリ
ル酸等の重合が抑制されるのであるが、重合を抑制する
に十分でない。従って、管板式熱交換器であって多管式
の場合には、コンデンサの上部管板面上に前記した伝熱
管の突出部が存在するため重合物がこの突出部に付着す
る。このため、重合物の付着により分離効率を低下させ
ると共に、伝熱管内の重合物による目詰が原因となりプ
ロセスの長期連続運転を妨げる原因ともなる。
【0006】従って、従来は定期点検などにおいて多管
式熱交換器に付着した重合物を除去することが一般的と
なっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、多管式熱交
換器において、管板面上で生ずるプロセス流体の滞留を
防止することで重合を効果的に抑制できることを見いだ
し、本発明を完成させた。
【0008】すなわち本発明は、以下の(1)〜(1
1)を提供するものである。
【0009】(1) 管外流体入り口および管外流体出
口とを供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状胴
体と、該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に両
端部外周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板式
熱交換器において、該管板と伝熱管との連結部にプロセ
ス流体の滞留部がないことを特徴とする易重合性物質取
り扱い用多管式熱交換器。
【0010】(2) 管外流体入り口および管外流体出
口とを供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状胴
体と、該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に両
端部外周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板式
熱交換器において、プロセス流体が接触する管板面に伝
熱管の突出部が存在しないことを特徴とする易重合性物
質取り扱い用多管式熱交換器。
【0011】(3) 管外流体入り口および管外流体出
口とを供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状胴
体と、該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に両
端部外周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板式
熱交換器において、少なくとも上部管板面に伝熱管の突
出部が存在しないことを特徴とする易重合性物質取り扱
い用縦型多管式熱交換器。
【0012】(4) 管板への伝熱管の取付が溶接であ
ることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記
載の多管式熱交換器。
【0013】(5) プロセス流体が接触する管板面
が、JIS B 0601に記載のRmaxが12.5
S以下である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多
管式熱交換器。
【0014】(6) 熱交換器が蒸留塔塔頂部に連結す
るコンデンサであることを特徴とする上記(1)〜
(5)のいずれかに記載の多管式熱交換器。
【0015】(7) 熱交換器が蒸留塔塔底部に連結す
るリボイラであることを特徴とする上記(1)〜(5)
のいずれかに記載の多管式熱交換器。
【0016】(8) 易重合性物質が(メタ)アクリル
酸またはそのエステルであることを特徴とする上記
(1)〜(7)のいずれかに記載の多管式熱交換器。
【0017】(9) 上記(1)〜(8)のいずれかに
記載の多管式熱交換器にプロセス流体として易重合性物
質を通過させ熱交換させる際に、プロセス流体に重合防
止剤を含有させることを特徴とする多管式熱交換器にお
ける重合抑制方法。
【0018】(10) 重合防止剤が、分子状酸素含有
ガスであることを特徴とする上記(9)記載の方法。
【0019】(11) 分子状酸素含有ガス含有量が
(メタ)アクリル酸蒸気に対して0.01〜5容量%で
あることを特徴とする上記(10)記載の方法。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、プロセス流体の滞留部
のない多管式熱交換器であり、特には、プロセス流体の
接触する管板面上に伝熱管の突出部を無くしたことを特
徴とする。
【0021】従来の縦型管板式熱交換器をコンデンサと
して易重合性物質を冷却すると、上部管板面上に伝熱管
端部の突出部が存在するため重合物が付着した。しかし
この重合物の付着は、単に突出部が付着面として作用す
るだけではない。易重合性物質が気体状態の場合には、
たとえ重合防止剤が混入されても重合防止剤が高沸点で
ある場合には気体の凝縮液中には重合防止剤が混入され
ず、熱交換器内の高温条件下で重合が生じやすい。管板
面上の伝熱管による凸部の存在は、凸部以外の凹部の存
在を意味するのであり、この凹部で滞留したプロセス流
体の凝縮液が重合するのである。
【0022】本発明は、この突出部を除去することで管
板面状の凹凸を無くし、重合物の付着を抑制するのみな
らず、重合自体を効果的に抑制することができる。多管
式熱交換器におけるわずかな改良によりこの様な優れた
効果が得られることは、従前に全く予測できなかったこ
とである。これにより分離精製効率が向上し伝熱管流路
の閉塞を効果的に抑制し、長期連続運転を可能とするこ
とができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】本発明は、管外流体入り口および管外流体
出口とを供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状
胴体と、該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に
両端部外周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板
式熱交換器において、該管板と伝熱管との連結部にプロ
セス流体の滞留部がないことを特徴とする。2枚の管板
を有する多管式熱交換器を対象としたのは、これを縦型
にして伝熱管内にプロセス流体を流すと、上部に存在す
る管板面にプロセス流体が滞留する場合があり、これを
有効に防止することを目的とするからである。また、横
型であっても、前記管板面の突出により管板上に接触す
るプロセス流体が滞留し重合が生じる。従って、本発明
の多管式熱交換器は、縦型式、横型式を問わず、いわゆ
る固定管板式熱交換器や遊動頭式熱交換器に応用するこ
とができる。図2は、本発明の一態様である多管式交換
器を示す図であり、以下これを用いて説明する。
【0024】本発明の多管式熱交換器においては、伝熱
管に導入されたプロセス流体が管板に連結された伝熱管
に導入されるものであれば胴部形状は特に制限はない。
管外流体の貯溜形式等としては、1パス形に限られず、
2パス形、3パス形であってもよい。また、管状胴体の
仕切等は、長手邪魔板2パス形、分流形、二重分流形、
分割流形等のいずれも採用することができる。
【0025】多管式熱交換器の管状胴体は、その両端部
に管板を有しかつ管外流体入り口および管外流体出口と
を供えると共にその両端に蓋体を有する。本発明の多管
式熱交換器は、後述するごとくその名称に係らずリボイ
ラやコンデンサ等としても使用できるため、頭部蓋体の
形式としては、ふた板分離形、ふた板一体形、管板一体
形等のいずれでもよく、更に図4のcに示すように縦型
で使用する場合に上部に蛇腹状のプロセス流体の流路を
有していてもよい。更に、後部蓋体の形式も、固定管板
形、遊動頭グランド形、遊動頭割フランジ形、遊動頭引
き抜き形等のいずれでもよくい。尚、胴部のサイズは、
使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】管状胴体内に配される伝熱管の外径、長さ
等は使用する熱交換器のサイズや形状、使用目的等によ
り適宜選択できる。また、鋼管の素材には特に制限は無
く、溶接鋼管の作成のし易さから、オーステナイト系鋼
管、オーステナイト・フェライト系鋼管、フェライト系
鋼管であることが好ましい。これらによれば易重合体物
質と反応せず、易重合性物質に変性等を与えず、伝熱管
自体の腐食を生ずることがないからである。
【0027】本発明の多管式熱交換器においては、伝熱
管の両端部に配される管板が管板に設けた孔で伝熱管端
部外周を連結される。従来の固定状態を図3のaで示す
が、管板面に伝熱管の突出部が存在するため凹部がで
き、この凹部にプロセス流体の滞留が生じた。しかし本
発明では、管板のプロセス流体接触面を図3のbで示す
ごとく伝熱管の端部を突出部を除去しこの滞留部を無く
した。本発明では、管板面に伝熱管端部が突出しなけれ
ば、伝熱管が管板面に埋め込まれていてもよい。この場
合には、該管板と伝熱管との連結部にプロセス流体の滞
留部がないように、例えば図3のcに示すように、管板
と伝熱管との連結部に凹部ができないような溶接部とす
る。
【0028】本発明では、伝熱管は管板に設けられた孔
に嵌合して固定されるが、孔には、伝熱管外周と孔部と
の液密を保証するためにシール材を用いることができ
る。シール材としては、テープ状のものを伝熱管に巻き
付けたり、パッキンを孔に装着してもよい。この様なパ
ッキンの材質としては、耐熱、耐圧性に優れかつプロセ
ス流体と反応しない材質で有ればよく、例えば、フッ素
含有エラストマーやシリコンなどを使用することができ
る。この様なシール材を使用せずに管板へ伝熱管を取付
けるには、管板に数条の溝を設けて拡管してもよく(図
3のa参照)、溶接等によって固定してもよい。本発明
では溶接によることが好ましい。比較的簡易に多数の伝
熱管を取り付けることが可能であるとともに、液漏れが
ないからである。
【0029】本発明において、プロセス流体の接触側の
管板面において、伝熱管の突出部がない管板面を得るに
は種々の方法を採用することができる。例えば、伝熱管
の端部を管板面と水平に配置し溶接により固定する方
法、伝熱管端部を管板面よりへこませて配置したのち伝
熱管の端部と管板孔とを溶接により固定し、かつ溶接材
により前記へこみ部を管板と水平に成るように補填・研
磨する方法が例示できる。また、あらかじめ先端を突出
して取り付けた伝熱管の突出部を、伝熱管の取付後に切
断等により削除する方法であってもよい。
【0030】本発明では、管板面における伝熱管の突出
は、2枚の管板のプロセス流体接触面の全てにおいて突
出をなくすことが好ましい。突出部の存在により、何れ
においてもプロセス流体の滞留が生ずるからである。し
かしながら、滞留防止の効率を考慮すれば、特に縦型の
多管式熱交換器では設置した状態で上部管板面上の伝熱
管の突出部をなくすことが好ましい。本発明の多管式熱
交換器をコンデンサとして使用する場合には、気体であ
るプロセス流体の凝縮は上部管板側で生じやすく、かつ
下部管板部では自重により自然落下するからである。更
に、本発明の多管式熱交換器を縦型でリボイラとして使
用する場合に、プロセス流体は下部管板部を経て伝熱管
内に導入されるが、上部管板面上で生ずる凝縮は滞留す
るおそれがあり、これを有効に防止することができるか
らである。しかしながら、図5で示すような2パス形で
横型の多管式熱交換器等の場合には、2枚の管板のプロ
セス流体の接触面のいずれも上記突出部を除去すること
が好ましい。横型では、運転停止時に突出部に液が残留
し、運転再開時までに重合をおこす不都合を防止できる
からである。
【0031】更に、本発明では、管板面がJIS B
0601に記載のRmaxが12.5S以下であること
が好ましく、より好ましくは3.2S以下である。プロ
セス流体の滞留は伝熱管の突出部でも生ずるのである
が、管板面のわずかの凹凸によっても生ずるからであ
る。このような表面粗度の管板面は、管板面に伝熱管を
溶接して連結させることで調整できるが、これを更に表
面処理してもよい。
【0032】この様な表面処理としては、バフ研磨など
の機械研磨や電解研磨がある。バフ研磨は、主として平
滑面または光沢面を得る場合に用いられる研磨法である
が、固定研磨剤による粗研磨、半固体ないし遊離研磨剤
による中研磨および仕上げ研磨を採用できる。バフ研磨
剤は、革や布などの柔軟性材料で研磨する他、トリポリ
ケイ石、酸化クロム、炭化ケイ素、溶融アルミナ、焼成
アルミナ、酸化クロムを研磨剤として含有する油脂性、
非油脂性またはスプレー用剤等を使用することができ
る。
【0033】電解研磨は、金属表面を溶解させながら平
滑化する方法であり、伝熱管の材質が鉄鋼である場合の
電解研磨溶液としては、過塩素酸系、硫酸系、リン酸
系、硫酸−リン酸系等を使用することができる。鉄鋼は
その組成の相違のみならず、熱処理、加工の程度により
その組織の相違が大きいため、使用する伝熱管に応じて
適宜選択することができる。従って、過塩素酸系の電解
質に一般に添加される無水酢酸の量や電解温度、電流密
度、電圧、電解時間等は、伝熱管により適宜選択すれば
よい。なお、上記継目無鋼管、冷間仕上自動アーク溶接
鋼管、溶接部加工仕上自動アーク溶接鋼管に機械研磨を
行い、更に電解研磨処理を行ってもよい。
【0034】本発明は、重合を防止すべく管板面におけ
る伝熱管の突出部を削除することを特徴とするのである
が、易重合性物質の重合は、凹凸部のみならず単に管板
面に付着した凝縮液においても生じやすい。従って、凝
縮したプロセス流体を迅速に多管式熱交換器内に排出す
ることが重合防止には好ましく、管板面の表面粗度を上
記のごとく低下させることが好ましいのである。
【0035】本発明の熱交換器は、上記構成を有すれば
特に他の制限はなく、一般的な熱交換器が有する邪魔
板、長手邪魔板、緩衝板、仕切室胴フランジ、胴ふた側
フランジ、胴側ノズル、遊動頭ふた、固定棒およびスペ
ーサー、ガス抜き座、ドレン抜き座、計器座、支持脚、
つり金具、液面計座、伸縮継手熱膨張対策等を有してい
てもよい。
【0036】本発明においては、プロセス流体が易重合
性物質であれば、気体、液体の別を問わない。また、本
発明の熱交換器は、その名称を問わず冷却器、凝縮器、
加熱器、蒸発器の何れとして使用することもできる。例
えば、易重合体性物質の精製蒸留塔等に連結する多管式
熱交換器に使用できる。より具体的には、易重合性物質
を蒸留する蒸留塔塔頂部に連結する図2や図4のa、
b、c、d何れの蓋体形式の場合でも本発明の優れた効
果を得ることができる。
【0037】なお、本発明の熱交換器は、蒸留塔の塔頂
部および塔底部に使用することができ、設置方法として
は、縦型、横型の何れにも使用できるが、縦型であるこ
とが好ましい。縦型に設置することで凝縮液の自然落下
によって、滞留部内のプロセス流体の滞留を効果的に防
止することができるからである。
【0038】本発明の多管式熱交換器で取り扱う易重合
性物質としては、気体、液体の別を問わず、例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はこれらのエス
テル体、スチレン、アクリロニトリルが例示でき、これ
らに更に高沸点物質や溶媒、易重合性物質の生成時の副
生物との混合物を含んでもよい。易重合性物質として
は、特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸またはこ
れらのエステル体であり、これに溶媒その他の不純物を
含有したものが例示できる。例えば、アクリル酸および
アクリル酸エステルの場合には、アクリル酸を接触気相
酸化反応で得る際に副生する酢酸、プロピオン酸、アク
ロレイン、マレイン酸、水、ホルマリン混合物を挙げる
ことができる。また、例えば、メタクリル酸およびメタ
クリル酸エステルの場合には、メタクリル酸を接触気相
酸化反応で得る際に副生するメタクロレイン、アクリル
酸、酢酸混合物などを挙げることができる。
【0039】本発明の多管式熱交換器の使用方法には、
特に制限はないが易重合性物質の取り扱いに際し、プロ
セス流体に重合防止剤を添加することが好ましい。これ
により多管式熱交換器における重合を更に抑制すること
ができるからである。
【0040】重合防止剤としては、分子状酸素含有ガ
ス、ハイドロキノン、メトキノン、クレゾール、フェノ
ール、t−ブチルカテコール、ジフェニルアミン、フェ
ノチアジン、メチレンブルーから選ばれる1種以上、ジ
メチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミ
ン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅およびサリチル
酸銅などの銅塩化合物、酢酸マンガンなどのマンガン塩
化合物から選ばれる1種以上、p−フェニレンジアミン
などのp−フェニレンジアミン類,4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシルなど
のN−オキシル化合物、尿素などの尿素類、チオ尿素な
どのチオ尿素類などを好適に用いることができる。上記
の化合物は単独でも、あるいは2種類以上組み合わせて
使用することもできる。これらの中でも分子状酸素含有
ガスであることが好ましい。プロセス流体が気体である
場合に、特に重合抑制効果に優れるからである。
【0041】分子状酸素含有ガスの添加量は、易重合性
物質の蒸発蒸気量に対して0.01〜5容量%であるこ
とが好ましく、より好ましくは0.1〜1容量%であ
る。なお蒸発蒸気量とは、熱交換器に供給される易重合
性物質のモノマー蒸気の総量を意味する。また、分子状
酸素含有ガスの供給方法としては、バブリング等により
易重合性物質に直接混入させても、あるいは溶剤に溶解
させて間接的に混入させてもよい。分子状酸素含有ガス
を蒸留塔の塔底および/またはリボイラーからガス状で
供給すれば、簡単にバブリングさせることができる。
【0042】なお、他の重合防止剤をプロセス流体に添
加する方法についても特に制限はなく、蒸留塔に直接導
入してもよいし、供給液や還流液、または他の溶媒に溶
解して送液ラインより導入してもよい。
【0043】本発明の熱交換器は、プロセス流体が接触
する管板面にプロセス流体の滞留がないことを特徴とす
るが、この熱交換器の使用は従来の多管式熱交換器と同
様に使用することができる。易重合性物質が下記するア
クリル酸含有溶液である場合を例に、図面を用いて説明
する。
【0044】アクリル酸含有溶液として、プロピレンお
よび/またはアクロレインを気相接触酸化して得られる
アクリル酸含有ガスを水と接触させて、アクリル酸をア
クリル酸水溶液として捕集し、このアクリル酸水溶液を
共沸溶媒の存在下に蒸留して得られる粗アクリル酸を必
要に応じて他の蒸留塔で精製した後、高沸点不純物分離
塔に導入して精製して得られる缶液が使用できる。
【0045】図6は、縦型多管式熱交換器(コンデン
サ)を蒸留塔に連結して、縦型多管式熱交換器(リボイ
ラ)7を蒸留塔1の下部に設けられ支持させた構成を示
す説明図である。
【0046】蒸留塔は、易重合性物質含有物を蒸留でき
れば特に限定されないが、充填塔、棚段塔(トレイ
塔)、濡壁塔、スプレー塔などを挙げることができる。
なかでも、重合防止、塔効率の観点から、棚段塔(トレ
イ塔)が好ましい。
【0047】アクリル酸含有溶液について、本発明の多
管式熱交換器を使用する際に重合防止剤を添加する場合
には、一般にアクリル酸等の易重合性物質の重合防止剤
として知られている化合物であればいずれも使用するこ
とができる。これらのなかでも、ハイドロキノン、メト
キノン、クレゾール、フェノール、t−ブチルカテコー
ル、ジフェニルアミン、フェノチアジン、メチレンブル
ーから選ばれる1種以上、p−フェニレンジアミンなど
のp−フェニレンジアミン類,4−ヒドロキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシルなどのN
−オキシル化合物、分子状酸素含有ガスなどを好適に用
いることができる。上記の化合物は単独でも、あるいは
2種類以上組み合わせて使用することもできる。特に好
ましいのは、重合防止効果、蒸留装置の腐食性及び蒸留
装置からでる廃液の処理のし易さの観点から、フェノチ
アジンおよび/またはN−オキシル化合物、分子状酸素
含有ガスである。
【0048】使用される重合防止剤の量は特に限定はさ
れないが、重合防止剤の総量が、アクリル酸の蒸発蒸気
量に対して1〜1000ppm(重量基準)とすること
が好ましい。また、分子状酸素含有ガスの供給方法とし
ては、バブリング等によりアクリル酸含有液中に直接混
入させても、あるいは溶剤に溶解させて間接的に混入さ
せてもよい。分子状酸素含有ガスを蒸留塔の塔底および
/またはリボイラーからガス状で供給すれば、簡単にバ
ブリングさせることができる。分子状酸素含有ガスは、
通常、アクリル酸の蒸発蒸気量に対して0.1〜1容量
%の割合で供給するのがよい。
【0049】なお、メタクリル酸の場合には、上記のア
クリル酸の場合と重複する点が多いが、下記の点におい
て相違する。すなわち、メタクリル酸含有液を蒸留塔に
導く前に、抽出工程に導きメタクリル酸含有液よりメタ
クリル酸を溶剤により抽出する点などが挙げられる。こ
れらの場合でも、本願の示す条件を満たすことにより、
後に続く多管式熱交換器の重合を防止することができ
る。
【0050】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0051】(実施例1)内径1000mm、段数45
段のステンレス鋼製(SUS316)のシーブトレーを
内装した蒸留塔を用い、アクリル酸の精製を行った。蒸
留したアクリル酸含有液の組成は、アクリル酸95重量
%、酢酸3重量%でフィードし、重合防止剤フェノチア
ジンを200ppm添加した。塔頂圧力40Torr、
温度60℃、塔底95mmHg、温度85℃、還流比
8、分子状酸素含有ガスをリボイラ発生蒸気量に対し
0.3vol%投入しながら精留した。
【0052】この蒸留塔に塔頂にコンデンサを接続し
た。コンデンサは、各伝熱管は溶接により管板に取り付
けたものである。また蒸留塔に塔底には、リボイラを接
続した。各伝熱管は溶接により管板に取り付けたもので
ある。管板面には伝熱管の突出部は、存在せず、コンデ
ンサおよびリボイラの管板面の表面粗度はRmax=1
2.5Sであった。
【0053】4カ月間連続稼働後、コンデンサおよびリ
ボイラのプロセス流体の接触管板面およびノズルの点検
を実施したところ重合物の付着を有さなかった。
【0054】(比較例1)管板面に平均1mmの伝熱管
の突出を有するコンデンサとリボイラを使用した以外は
実施例1と同一条件で運転した。
【0055】4カ月間連続稼働後、コンデンサおよびリ
ボイラのプロセス流体の接触管板面およびノズルの点検
を実施したところ、コンデンサの滞留部内管板面に約2
00リットル、リボイラの管板面に約300リットルの
重合物が確認され、更にリボイラ伝熱管の約5%が重合
付着物で閉塞されていた。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、多管式熱交換器内のプ
ロセス流体接触面における管板面の伝熱管の突出をなく
すことで、プロセス流体の当該管板面での滞留を防止す
ることができる。これによりプロセス流体が易重合性物
質である場合には、この滞留の防止により効果的に重合
を抑制することができる。
【0057】本発明の多管式熱交換器においては、極め
て有効に易重合性物質の重合を防止でき、4カ月の連続
運転において重合物の付着を完全に抑制した。これによ
り、従来から重合の発生により長期連続運転が可能とな
った。易重合性物質に分子状酸素含有ガスを供給して熱
交換を行うと、易重合性物質の重合を効果的に抑制する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の多管式熱交換器を示す図である。
【図2】 本発明の多管式交換器の一態様を示す図であ
る。
【図3】 aは、従来の管板面と伝熱管との関係を示す
図であり、bおよびcは、本発明の管板面と伝熱管との
関係を示す図である。
【図4】 本発明の縦型多管式熱交換器の一例を示す図
である。
【図5】 本発明の横型多管式熱交換器の一例を示す図
である。
【図6】 蒸留塔に連結した熱交換器(コンデンサおよ
びリボイラ)を示す図である。
【符号の説明】
A 管板上の伝熱管突出部 B 溶接部 1…蒸留塔 3…塔頂部 5…多管式熱交換器(コンデンサ) 7…多管式熱交換器(リボイラ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G075 AA30 AA45 AA52 BB03 CA02 CA03 CA14 CA51 EA06 EB01 EB21 FB02 FB12 FC20 4H006 AA04 AA05 AC90 AD41

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管外流体入り口および管外流体出口とを
    供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状胴体と、
    該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に両端部外
    周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板式熱交換
    器において、該管板と伝熱管との連結部にプロセス流体
    の滞留部がないことを特徴とする易重合性物質取り扱い
    用多管式熱交換器。
  2. 【請求項2】 管外流体入り口および管外流体出口とを
    供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状胴体と、
    該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に両端部外
    周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板式熱交換
    器において、プロセス流体が接触する管板面に伝熱管の
    突出部が存在しないことを特徴とする易重合性物質取り
    扱い用多管式熱交換器。
  3. 【請求項3】 管外流体入り口および管外流体出口とを
    供えかつ2枚の管板を両端付近に内蔵した管状胴体と、
    該管状胴体の両端に設けた蓋体と、該管板間に両端部外
    周を固定された多数本の伝熱管とからなる管板式熱交換
    器において、少なくとも上部管板面に伝熱管の突出部が
    存在しないことを特徴とする易重合性物質取り扱い用縦
    型多管式熱交換器。
  4. 【請求項4】 管板への伝熱管の取付が溶接であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多管式熱
    交換器。
  5. 【請求項5】 プロセス流体が接触する管板面が、JI
    S B 0601に記載のRmaxが12.5S以下で
    ある請求項1〜4のいずれかに記載の多管式熱交換器。
  6. 【請求項6】 熱交換器が蒸留塔塔頂部に連結するコン
    デンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の多管式熱交換器。
  7. 【請求項7】 熱交換器が蒸留塔塔底部に連結するリボ
    イラであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の多管式熱交換器。
  8. 【請求項8】 易重合性物質が(メタ)アクリル酸また
    はそのエステルであることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の多管式熱交換器。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の多管式
    熱交換器にプロセス流体として易重合性物質を通過させ
    熱交換させる際に、プロセス流体に重合防止剤を含有さ
    せることを特徴とする多管式熱交換器における重合抑制
    方法。
  10. 【請求項10】 重合防止剤が、分子状酸素含有ガスで
    あることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 分子状酸素含有ガス含有量が(メタ)
    アクリル酸蒸気に対して0.01〜5容量%であること
    を特徴とする請求項10記載の方法。
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