JP2000254975A - 積層造形物 - Google Patents

積層造形物

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JP2000254975A
JP2000254975A JP11058617A JP5861799A JP2000254975A JP 2000254975 A JP2000254975 A JP 2000254975A JP 11058617 A JP11058617 A JP 11058617A JP 5861799 A JP5861799 A JP 5861799A JP 2000254975 A JP2000254975 A JP 2000254975A
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sheet
resin
coagulant
laminate
fibers
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Noboru Kawaguchi
昇 川口
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K NET SYSTEMS KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層造形装置のコストアップを招くことな
く、強固で、かつ積層方向の寸法の経時変化が少ない積
層造形物を提供すること。 【解決手段】 積層用のシート42として、少なくと
もその表面が、前記シート42に塗布する凝固剤46
厚より小さい径を有する繊維43を含む繊維質からなる
ものを用い、このシート42に凝固剤46を選択的に
塗布する。次いで、シート42間を選択的に接着する
ことにより積層体44とし、さらに積層体44から不要
部分を除去することにより積層造形物を得る。また、シ
ート42として、凝固剤46厚より小さい径を有する
繊維43と大きい径を有する繊維43’の双方を含むも
のや、セラミック繊維からなるものを用いてもよい。あ
るいは、繊維中に樹脂又はその中間体を保持している樹
脂含有シート52を積層用シートとして用いて、選択的
に離型剤を塗布して積層してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、選択的に凝固剤を
塗布し、あるいは離型層を形成したシートを積層するこ
とによって得られる積層造形物に関し、さらに詳しく
は、新製品開発用のスケールダウンした3次元モデル、
モックアップ、鋳造用の鋳型やプラスチック成形用の金
型を作製する際に用いられる原型(マスターモデル)等
に好適な積層造形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、新製品の開発に当たって試作
品を製作することが広く行われている。例えば、自動車
業界においては、新型車を設計するに当たりスケールダ
ウンした3次元モデルを試作し、デザインを検討した
後、再び3次元モデルを試作して徐々に細部のデザイン
を決定していくことが行われている。
【0003】また、鋳造あるいはプラスチック成形は、
製品の形状寸法に相当する空隙を有する型に溶融した金
属や樹脂を流し込み、凝固した固体を型から取り出して
製品を得る方法である。これらに用いられる型は、通
常、製品と同一形状を有する原型を作製し、この原型を
適当な材料に転写して型としたり、あるいはこの型から
得られる試作品の形状データに基づき、NC加工等によ
り製作されている。
【0004】このような製品をスケールダウンした3次
元モデルや鋳型の原型等(以下、単に「3次元モデル」
という)は、従来、加工が容易な材料(例えば、木材)
を用い、NC加工等の機械的切削手段により造形するの
が一般的であったが、3次元モデルの形状が複雑になる
と造形に時間を要すると共に、細部を造形するのが困難
であるという問題があった。
【0005】そこで、この問題を解決するために、コン
ピュータに3次元モデルの形状をインプットしてこれを
所定の厚さ間隔で輪切りにし、この輪切りにされた各断
面形状データを薄いシートに一枚一枚転写して積層し、
各シートを断面形状データの部分で接着・一体化するこ
とにより積層造形物とし、これを3次元モデルとして用
いる積層造形法が提案されている。
【0006】例えば、特開平7−186277号公報に
は、樹脂シートが積層されている積層体の表面に、輪切
りされた断面形状パターンに沿ってレーザ光照射機等に
より切り込みを入れ、3次元モデルを構成する必要部分
と3次元モデルを構成しない不要部分の境目に離型剤を
塗布し、この上に樹脂シートをさらに貼着けるという一
連の操作を、積層体が所定の厚さになるまで順次繰り返
し、積層終了後に離型剤を塗布した部分から不要部分を
分離することにより積層造形物を得る積層造形方法及び
積層造形装置が本願発明者によって開示される。
【0007】また、特願平9−309415号には、紙
等の繊維質シートに、輪切りにされた断面形状パターン
に相当する領域に亘って樹脂等からなる凝固剤を印刷
し、これを積層して加圧しながら加熱し、凝固剤を溶融
させることによりシート同士を貼り合わせ、所定の厚さ
まで積層したところで加圧しながら徐冷し、接着してい
ない部分の繊維質シートをはぎ取ることにより積層造形
物を得る積層造形プロセス及び積層造形装置が、同じく
本願発明者によって提案されている。
【0008】特に、紙を用いた積層造形法は、オフィス
で一般に使用されている普通紙を積層用シートとして使
用でき、樹脂の印刷には、汎用のプリンタ、トナー等を
使用できることから、ランニングコストが安く、しか
も、設計から積層工程までをCADルームあるいはオフ
ィス内で行うことができるという利点がある。また、樹
脂シートを用いる場合と異なり、前処理、後処理が不要
で、操作が簡単であるという利点がある。さらに、得ら
れた積層造形物は、ドリル加工、NC加工等が可能であ
り、従来の木型と同様の加工性を有するという利点があ
るものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、紙を用
いた積層造形法では、積層用シートとして用いる紙の質
と、樹脂等からなる凝固剤を印刷するプリンタ等との組
み合わせによっては、積層した紙が全く接着しない場合
があった。また、積層用シートが接着する場合であって
も、接着力が弱いために、積層造形物を構成しない部分
の紙をはぎ取る際に、積層造形物を構成する部分の紙も
同時に剥がれてしまう場合があり、接着強度と紙質、凝
固剤、プリンタ等との因果関係が不明であった。
【0010】また、積層用のシートとして使用する紙の
強度自体が弱いと、作製された積層造形物が脆弱にな
り、後工程に耐えられない場合があった。さらに、紙を
用いて積層造形後、しばらく放置すると、紙が吸湿して
積層方向に膨らみ、積層方向の寸法精度が低下するとい
う問題があった。
【0011】本発明が解決しようとする課題は、積層造
形装置のコストアップを招くことなくシート間の接着力
を高めると共に、作製された積層造形物が脆弱化するこ
とを防止し、しかも、積層後に放置しても積層方向の寸
法精度が低下することのない積層造形物を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、表面に凝固剤が選択的に塗布されたシー
トを積層し、該凝固剤により前記シート間を選択的に接
着することにより得られる積層造形物であって、前記シ
ートには、少なくともその表面に、前記凝固剤の厚さよ
り小さい径を有する繊維が含まれていることを要旨とす
るものである。
【0013】ここで、前記シートには、その表面に塗布
される凝固剤の厚さより小さい径を有する繊維が含まれ
ていることが必要である。繊維の径がシート表面に塗布
される凝固剤の厚さより大きくなると、接着力が低下す
るので好ましくない。
【0014】なお、前記シートは、シート全体に上述の
条件を満たす繊維が含まれるものであってもよいが、凝
固剤を塗布するのはシート表面であり、その表面に塗布
された凝固剤によってシート同士が接着されるので、少
なくともその表面に上述の条件を満たす繊維が含まれて
いれば足りる。
【0015】また、前記シートには、前記シートに塗布
する凝固剤厚より小さい径を有する繊維に加えて、前記
凝固剤厚より大きい径を有する繊維が含まれていても良
い。また、前記シートに含まれる繊維は、セラミックを
主成分とする繊維であっても良い。
【0016】さらに、積層された前記シートを接着させ
るに際し、加熱しながら5kg/cm以上200kg
/cm以下の圧力で加圧することが望ましい。加圧力
が5kg/cm未満では積層方向の寸法の経時変化が
大きくなり、また、加圧力が200kg/cmを超え
ると積層体が座屈するので、いずれも好ましくない。
【0017】上記構成を有する本発明に係る積層造形物
によれば、シート表面に含まれる繊維の径が、シート表
面に塗布された凝固剤厚より小さくなっているので、繊
維と凝固剤間の接着面積が増加する。そのため、繊維と
凝固剤との間の接着力が増加し、シート間が強固に接着
される。
【0018】また、シート表面に塗布される凝固剤厚よ
り大きい径を有する繊維は、シート間の接着力の増加に
はあまり寄与しないが、シート自体の強度の増加には寄
与する。そのため、このようなシートを用いて積層造形
物を作製すれば、シート間の接着力を低下させることな
く、積層造形物の強度を高めることができる。また、積
層造形物の強度が高くなるので、後加工に十分耐えられ
るものとなる。
【0019】また、セラミックを主成分とする繊維が含
まれるシートを用いて積層造形物を作製した場合には、
紙等、有機物を主成分とする繊維が含まれているシート
を用いた場合と異なり、吸湿に起因する積層方向の膨張
が生じない。そのため、積層後に長期間放置しても、積
層方向の寸法精度が低下することがない。
【0020】さらに、前記シートと前記積層体とを貼り
着ける際、上述のような高圧下で加圧すると、シートに
含まれる繊維が圧縮されて、シートと積層体との密着力
が向上する。これにより、紙等の有機物を主成分とする
繊維が含まれるシートを用いた場合であっても、積層方
向の寸法の経時変化が少ない積層造形物を得ることがで
きる。
【0021】また、本発明の2番目は、表面に離型層が
選択的に形成されたシートを積層し、前記離型層が形成
される離型領域の排反領域において、前記シート間を選
択的に接着することにより得られる積層造形物であっ
て、前記シートは、繊維中に熱硬化性樹脂もしくは熱可
塑性樹脂、又はこれらの中間体が保持されている樹脂含
浸シートからなり、該樹脂含浸シートを積層し、加熱し
ながら5kg/cm以上200kg/cm以下の圧
力で加圧することにより得られるものである。
【0022】この場合、前記離型層は、前記樹脂含浸シ
ートの表面に離型剤を選択的に塗布することにより形成
しても良い。あるいは、離型剤を塗布する代わりに、加
熱された前記樹脂含浸シートの表面層を選択的に削り取
り、表面除去層を形成してこれを離型層としても良い。
【0023】また、前記樹脂含浸シートに代えて、その
表面に粉末状又は溶融した液体状の熱硬化性樹脂もしく
は熱可塑性樹脂、又はこれらの中間体が塗布された樹脂
塗布シートを用いてもよい。さらに、前記離型領域の排
反領域には、凝固剤が塗布されていてもよい。
【0024】上記構成を有する本発明に係る積層造形物
によれば、表面に離型層が選択的に形成された樹脂含浸
シートを積層し、加熱しながら高圧力で加圧されるの
で、離型領域の排反領域において、繊維中に保持されて
いる樹脂又はその中間体を介して、シート間が選択的に
接着され、積層造形物を得ることができる。
【0025】また、離型領域の排反領域において、樹脂
含浸シートを選択的に接着する際、高圧力が付与される
ので、樹脂含浸シート中の繊維が圧縮され、樹脂又は中
間体の充填率が向上する。さらに、樹脂含浸シートとし
て、熱硬化性樹脂が保持されているものを用いた場合に
は、加圧の際に樹脂の硬化反応も同時に進行する。
【0026】そのため、樹脂含浸シート間の密着力が向
上し、紙等の有機物を主成分とする繊維を含むシートを
用いた場合に比して強度が高く、しかも積層方向の寸法
の経時変化が少ない積層造形物を得ることができる。
【0027】また、積層造形物は、樹脂含浸シートを1
枚積層する毎に加熱・加圧する作業を繰り返すことによ
り作製されるが、樹脂含浸シートが加熱下で加圧される
と、樹脂含浸シートに含まれる樹脂が反応する。この
時、熱は、樹脂含有シートの表面から内部に向かって伝
わるので、樹脂含浸シートの表面と内部における樹脂の
反応量に差が生じる。その結果、樹脂含有シートに含ま
れる樹脂の接着力は、表面よりも内部の方が小さくな
る。
【0028】そのため、加熱された樹脂含浸シートの表
面を選択的に削り取り、表面除去層を形成すれば、表面
除去層の接着力が低下するので、離型剤を塗布しなくて
も、積層体から容易に樹脂含浸シートの不要部分を剥ぎ
取ることができる。樹脂含浸シートに代えて、樹脂塗布
シートを用いた場合も同様である。
【0029】さらに、樹脂含浸シートあるいは樹脂塗布
シートの表面に、離型層を選択的に形成すると共に、離
型領域の排反領域に凝固剤を塗布すれば、樹脂含有量の
少ない樹脂含浸シートあるいは樹脂塗布シートを用いた
場合であっても、シート間の接着力を高めることができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の第1の実施の形
態に係る積層造形物の製造方法について詳細に説明す
る。図1は、積層造形装置の一例を示したものである。
積層造形装置10は、グラフィックワークステーション
20と造形装置30からなっている。グラフィックワー
クステーション20は、作製しようとする3次元モデル
の形状データに基づいて、3次元モデルの断面形状を表
す断面ベクトルデータを作製し、作製した断面ベクトル
データを造形装置30に供給するするものである。
【0031】ここで、CADデータから3次元モデルの
断面形状を表す断面ベクトルデータを作成する方法は、
CAD(計算援用設計)の分野において周知な方法であ
り、特開昭63−72526号公報、及び特開平2−7
8531号公報等に詳述されているので、ここではその
説明を省略する。
【0032】造形装置30は、制御装置32と、印刷装
置34と、反転・同期装置36と、加圧装置38と、切
断装置40とを備えている。制御装置32は、グラフィ
ックワークステーション20で作成された断面ベクトル
データに基づき、3次元モデルを所定の位置で輪切りに
したときの断面形状データを作成するものであり、通常
は、汎用のパソコンが用いられる。また、制御装置32
は、印刷装置34、反転・同期装置36、加圧装置38
及び切断装置40にも接続され、これらの動作を制御す
るようになっている。
【0033】印刷装置34は、制御装置32で得られた
断面形状データに基づき、シート42表面の断面形状デ
ータに相当する領域に、選択的に凝固剤を印刷するため
のものである。本実施例では、印刷装置34として、静
電転写式プリンタを用いている。静電転写式プリンタに
用いられるトナーは、カーボンブラック等の染料で着色
した、軟化点100〜150℃、粒径10〜50μmの
樹脂微粉末からなるものである。そのため、静電転写式
プリンタ及びトナーを、それぞれ、印刷装置34及びシ
ート42を接着するための凝固剤として用いた場合に
は、汎用品をそのまま利用することができ、積層造形装
置10のコストを削減できるという利点がある。
【0034】なお、印刷装置34は、静電転写式プリン
タに限定されるものではなく、インクジェットプリンタ
等の各種のプリンタ、及び各種アプリケーションを用い
ることができる。また、凝固剤は、シート42間を接着
できるものであれば良く、特に限定されるものではな
い。例えば、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、フェ
ノール系接着剤などの熱硬化性樹脂、ホットメルト接着
剤や嫌気性接着剤等、各種の接着剤、さらには、樹脂以
外の低融点金属等を用いることができる。
【0035】反転・同期装置36は、印刷装置34によ
りその上面に凝固剤が印刷されたシート42を裏返すと
共に、加圧装置38と同期をとるためにシート42を待
機させるものである。なお、凝固剤を印刷したシート4
2の反転工程は、必ずしも必要ではないが、シート42
を反転させて凝固剤を印刷した面を下向きにすると、加
熱時に溶融した凝固剤が下に流れ、シート42同士が接
着しやすくなるという利点がある。
【0036】加圧装置38は、反転・同期装置36から
供給されるシート42を積層体44の上に載せて、加熱
又は冷却しながら積層体44を加圧するためのものであ
る。加圧装置38に備えられたテーブル38eは、制御
装置32により駆動されるモータ38fにより、上下動
可能となっており、テーブル38eに載置された積層体
44を、加圧装置38上部に固定されたヒータパネル3
8aに押しつけることにより、積層体44を加圧できる
ようになっている。
【0037】また、加圧装置38は、積層体44の下面
を加熱するヒータパネル38c、側面を加熱するヒータ
パネル38b及び38dを備えている。なお、側面を加
熱するためのヒータパネル38b及び38dは、積層体
44から一定の距離をおいた位置に固定され、輻射熱に
より積層体44の側面を加熱するようになっている。さ
らに、加圧装置38は、テーブル38eの絶対位置を検
出するための位置検出器(図示せず)を備え、検出され
た位置データを制御装置32に送信するようになってい
る。
【0038】切断装置40は、制御装置32で得られた
断面形状データに基づき、3次元モデルの輪郭に沿って
切り込みを入れるためのものである。また、形状が複雑
である場合には、シートの不要部分を取り除きやすくす
るための分割線も同時に入れると良い。切断装置40の
動作は、制御装置32により制御され、積層体44の高
さ、及び断面形状データに応じて、X、Y、Zの3軸方
向に可動となっている。切断装置40としては、具体的
には、レーザカッタ、カッタプロッタ等の汎用品が用い
られる。
【0039】次に、図1に示す積層造形装置を用いて積
層造形物を作成する方法を、図2に示す工程図を参照し
ながら詳細に説明する。なお、図2は、既に一定の厚さ
の積層体44が形成され、その上に、さらにシート42
を積層する工程を示したものである。
【0040】まず、テーブル38eを上昇させ、テーブ
ル38e上に載置した積層体44の上面をヒータパネル
38aに押しつけて加圧する。また、ヒータパネル38
a、38b、38c及び38dに通電し、積層体44を
一定の温度に加熱する(図2(a)積層体保温工程)。
【0041】なお、この積層体保温工程は、シート42
の収縮による反りや積層した側面の段差を軽減するため
に行われるものである。また、この時、図示しない位置
検出器により、積層体44の高さが計測され、得られた
高さデータが制御装置32に送られる。
【0042】一方、これと並行して、印刷装置34を用
いてシート42表面に凝固剤が選択的に塗布される(図
2(b)塗布工程)。この凝固剤を塗布した部分が、積
層造形物を構成する部分となるものである。
【0043】なお、シート42には、紙等の有機物繊維
を含むシートや、セラミック繊維を含むセラミックシー
トを用いることができ、特に限定されるものではない
が、少なくともシート42の表面には、シート42表面
に塗布される凝固剤の厚さより小さい径を有する繊維が
含まれている必要がある。
【0044】また、シート42表面に凝固剤を塗布する
領域は、制御装置32により演算され、印刷装置34に
出力される。具体的には、グラフィックワークステーシ
ョン20で作成された断面ベクトルデータを、上記の積
層体保温工程で測定された積層体44の高さデータの位
置で切断することにより、凝固剤を塗布すべき領域が決
定される。
【0045】次いで、凝固剤が塗布されたシート42を
反転すると共に、加圧装置38と同期をとるためにシー
ト42を待機させる(図2(c)反転・同期工程)。そ
して、積層体保温工程が終了し、テーブル38eを下降
させたところで、反転・同期工程において反転・待機さ
せていたシート42を、積層体44の上に積み重ね、密
着させる(図2(d)シート貼着工程)。
【0046】次に、加圧装置38のテーブル38eを上
昇させて、加圧装置38上部に固定されたヒータパネル
38aにシート42を密着させた積層体44を押しつけ
て加圧しながら、ヒータパネル38aにより加熱する
(図2(e)積層体上面調温工程)。これにより、積層
用シート42に塗布した凝固剤が溶融して積層体44側
に拡散し、積層体44とシート42とが一体化する。
【0047】この時、シート42に塗布した凝固剤の粘
度が10000cps以下となるようにシート42を加
熱すると良い。凝固剤の粘度が10000cpsを越え
ると、短時間で凝固剤をシート表面の繊維間に拡散させ
ることができず、接着力が低下するためである。また、
これを回避するために、積層体を長時間加熱すると、加
熱によりシートが変質する場合があるので、好ましくな
い。
【0048】一方、凝固剤の粘度が10000cps以
下となるようにシート42を加熱すると、繊維間への凝
固剤の拡散が容易になり、短時間で高い接着力が得られ
るので、シートの変質を抑制することができるという利
点がある。
【0049】また、この時の加圧力を5kg/cm
200kg/cmの範囲とすると、シート間が強固に
接着し、積層方向の寸法の経時変化が少ない積層造形物
が得られるという利点がある。
【0050】一定時間が経過し、シート42に塗布した
凝固剤が積層体44に十分拡散したところでテーブル3
8eを下降させ、切断装置40を用いて、積層体44に
新たに貼着けられたシート42に切り込みを入れる(図
2(f)積層体上面シート切断工程)。切り込みは、制
御装置32により作成された断面形状データの輪郭部分
と、必要に応じて、不要なシートを剥がしやすくするた
めの分割線に沿って行われる。
【0051】図2(a)の積層体保温工程から図2
(f)の積層体上面シート切断工程までの各工程は、積
層体44の厚さが所定の高さになるまで繰り返される。
次いで、積層体44の高さが所定の高さとなったところ
で、再度、テーブル38eを上昇させて積層体44をヒ
ータパネル38aに押し付ける。そして、積層体44を
加圧した状態で、ヒータパネル38a、38b、38c
及び38dの出力を調整しながら徐冷し、凝固剤をゆっ
くりと硬化させる(図2(g)積層体冷却工程)。これ
により、積層体44のゆがみが防止され、高さ方向の精
度が確保される。
【0052】得られた積層体44を造形装置30から取
り出し、手作業により積層体44から接着していない部
分のシートを一枚一枚剥ぎ取り、ワニス等で塗装すれ
ば、所望の形状を有する積層造形物が完成する。そし
て、作製された積層造形物は、用途に応じて次工程に送
られることになる。
【0053】例えば、射出成形用の金型を製作する場合
には、まず、得られた積層造形物から、石膏、シリコー
ンゴム等で反転型を作製する。次いで、反転型に金属粉
を混入した熱硬化性樹脂液、溶融金属等を等を流し込ん
で試作品を作り、これを加工して修正した後、試作品の
立体形状を3次元測定器により測定し、そのデータを元
にNC加工等により金型が製作される。
【0054】なお、積層造形装置10に用いられるシー
ト42は、一定の大きさを有する矩形状のシートを用い
てもよく、あるいは、ロールに巻き取られた連続紙を、
積層体調温工程から切断工程に至るまでのいずれかの工
程において切断しながら用いてもよく、特に限定される
ものではない。
【0055】次に、本発明に係る積層造形方法により、
接着力が強く、積層方向の寸法変化が少ない積層造形物
が得られる原理について説明する。図3は、積層体の断
面図を模式的に表したものであり、積層体44の最上面
を形成していた下からN層目のシート42に、(N+
1)層目のシート42N+1を積層した状態を示す。
【0056】ここで、図3に示すように、シート42
に含まれる繊維43、43…の径が、シート42に塗
布される凝固剤46、46…の厚さより小さい場合に
は、繊維43、43…の表面積の内、半分以上が凝固剤
46、46…で覆われた状態となる。その結果、シート
42を構成する繊維43、43…と凝固剤46、46
…との総接着面積が増加し、繊維43、43…と凝固剤
46、46…との接着面においてより大きな荷重を支え
ることが可能となり、シート42同士が強固に接着さ
れる。
【0057】一方、図4に示すように、シート42
含まれる繊維43’、43’…の径が、相対的にシート
42表面に塗布される凝固剤46、46…の厚さより
大きい場合には、繊維43’、43’…と凝固剤46、
46…との総接着面積が小さくなる。そのため、繊維4
3、43…と凝固剤46、46…との接着面で支えるこ
とが可能な総荷重は小さくなり、積層体44の最上面に
積層された(N+1)層目のシート42N+1に僅かな
力が作用しただけでも、積層体44からシート42
N+1が容易に剥離するようになる。
【0058】従って、積層用のシートとして、表面に塗
布される凝固剤46の厚さより径の小さい繊維43を含
むシート42を用いた方が、シート42間の接着強度は
高くなる。しかも、印刷装置34により塗布される凝固
剤厚に応じて、所望の径を有する繊維を含むシート42
を積層に用いるようにすれば、トナーの微粒子化が進
み、トナーの厚さが薄くなる傾向にある市販の汎用OA
機器を改造することなくそのまま印刷装置34として造
形装置30に組み込むことができ、積層造形装置10の
コストを低減することができるという利点がある。
【0059】また、紙等の有機物繊維を含むシートを積
層用のシート42として用い、シート42を積層して加
熱する際、低圧力を付与した場合には、積層後、長時間
が経過すると、吸湿により積層方向に約3%程度膨張す
る。
【0060】しかしながら、シート42を積層して加熱
する際に、5kg/cm以上200kg/cm以下
の高圧を付与すると、繊維が圧縮されてシート間の接着
力が増大する。そのため、紙等の有機物繊維を含むシー
トを積層用のシートとして用いた場合であっても、積層
方向の寸法の経時変化を0.2%程度に抑えることが可
能となる。
【0061】なお、シート42表面に印刷される凝固剤
の厚さより大きい径を有する繊維43’のみを含むシー
ト42では、高い接着力は期待できないが、繊維径が大
きいために、シート42自体の強度は高くなる。そのた
め、凝固剤厚より大きい繊維43’と、小さい繊維43
の双方を含むものを積層用のシート42として用いる
と、シート42間の接着力を高く維持したまま、シート
42自体の強度を高めることができるので、強固な積層
造形物を得ることが可能となる。
【0062】また、積層用のシート42の材質には特に
限定はなく、上述の凝固剤厚と繊維径の関係は、あらゆ
る材質に対して当てはまる。従って、積層用のシート4
2として、固有の特性を有する材質からなるシートを用
いると、単に接着強度が高い積層造形物が得られるだけ
でなく、使用するシート42が有する固有の特性を積層
造形物に付与することができる。
【0063】例えば、積層用のシート42として、セラ
ミック繊維を含むセラミックシートを用いると、OA機
器に使用される普通紙を積層用のシート42とした使用
した場合と異なり、吸湿に起因する積層方向の膨張が抑
制されるので、形状の経時変化が少ない積層造形物を得
ることができる。
【0064】次に、本発明の第2の実施の形態に係る積
層造形物の製造方法について説明する。本実施の形態で
用いられるシートは、繊維中に樹脂又はその中間体が保
持されている樹脂含有シートを用いる。
【0065】このような樹脂含有シートは、樹脂やその
中間体を溶解させたアセトンやアルコール溶液中に、布
や紙をくぐらせて布や紙中に樹脂を含浸させ、乾燥させ
ることにより容易に得ることができる。また、樹脂又は
その中間体を溶解させた液体中に所定の径を有する繊維
を分散させ、この溶液を用いてシートを漉き、乾燥させ
ることによっても得ることができる。
【0066】樹脂含有シート間の接着力は、シート材料
と樹脂又はその中間体との比率を調整することにより、
任意に調整することができる。すなわち、樹脂又は中間
体の比率が大きくなるほど、樹脂含有シート間の接着力
を大きくすることができる。従って、樹脂含有シートに
保持させる樹脂又はその中間体の量と、樹脂含有シート
表面に塗布するトナー等の凝固剤の量とを調節すること
により、樹脂含有シート間の接着力を用途に応じて細か
く調節することができる。
【0067】特に、樹脂含有シートに保持させる樹脂又
はその中間体の量が十分多い場合には、シート表面にト
ナー等の凝固剤を塗布しない場合であっても、強い接着
力が得られるという利点がある。
【0068】なお、樹脂含有シートを用いた積層造形に
は、樹脂含有シートの離型領域に離型剤を塗布するため
の離型剤塗布装置が必要となる点以外は、図1に示す積
層造形装置10をそのまま用いることができる。
【0069】また、上述したように、繊維中に保持され
る樹脂又はその中間体の量が十分である場合には、凝固
剤の塗布工程は不要となるので、その場合には、凝固剤
を塗布する装置に代えて、離型剤を塗布するための離型
剤塗布装置のみを備えた積層造形装置を用いればよい。
【0070】さらに、樹脂含有シートを積層する際、加
熱条件や加圧条件を調節すると、シート表面に位置する
樹脂と、シート内部に位置する樹脂の性状を変えること
ができる。その場合には、シートの表面の一部を削り取
るだけで、シートを選択的に接着することが可能となる
ので、離型剤塗布装置に代えて、シートの表面層を選択
的に削り取るための切削装置を備えた積層造形装置を用
いればよい。
【0071】なお、樹脂含有シートの代わりに、布又は
紙等の繊維質シートの表面に、樹脂やその中間体を塗布
した樹脂塗布シートを用いてもよい。樹脂塗布シートを
用いた場合であっても、その表面に離型剤を選択的に塗
布するか、あるいは、選択的に表面除去層を形成すれ
ば、シート間を選択的に接着することができる。
【0072】次に、このような樹脂含有シートを用いて
積層造形物を作製する方法を、図5を参照しながら説明
する。なお、図5は、既に一定の厚さの積層体54が形
成され、その上に、さらに樹脂含有シート52を積層す
る工程を示したものである。また、積層体54は、後述
する離型材塗布工程により、その最上面の離型領域に予
め離型剤が選択的に塗布されているものである。
【0073】まず、テーブル38eを上昇させ、テーブ
ル38e上に載置した積層体54の上面をヒータパネル
38aに押しつけて加圧すると共に、ヒータパネル38
a、38b、38c及び38dに通電することにより、
積層体54を一定の温度に加熱する(図5(a)積層体
保温工程)。
【0074】なお、この積層体保温工程は、樹脂含有シ
ート52の収縮による反りや積層した側面の段差を軽減
するために行われるものである。また、この時、図示し
ない位置検出器により、積層体54の高さが計測され、
得られた高さデータが制御装置32に送られる。
【0075】一方、これと並行して、印刷装置34を用
いて樹脂含有シート52表面に凝固剤が選択的に塗布さ
れる(図5(b)凝固剤塗布工程)。凝固剤は、離型剤
を塗布する離型領域の排反領域に塗布され、この凝固剤
を塗布した部分が、積層造形物を構成する部分となるも
のである。
【0076】なお、樹脂含有シート52表面に凝固剤を
塗布する領域は、制御装置32により演算され、印刷装
置34に出力される。具体的には、グラフィックワーク
ステーション20で作成された断面ベクトルデータを、
上記の積層体保温工程で測定された積層体54の高さデ
ータの位置で切断することにより、凝固剤を塗布すべき
領域が決定される。また、樹脂含有シート52に保持さ
れる樹脂又は中間体の量が十分である場合には、凝固剤
塗布工程を省略してもよい。
【0077】次いで、凝固剤が塗布された樹脂含有シー
ト52を反転すると共に、加圧装置38と同期をとるた
めに樹脂含有シート52を待機させる(図5(c)反転
・同期工程)。そして、積層体保温工程が終了し、テー
ブル38eを下降させたところで、反転・同期工程にお
いて反転・待機させていた樹脂含有シート52を、積層
体54の上に積み重ねる(図5(d)積層工程)。
【0078】次に、加圧装置38のテーブル38eを上
昇させて、加圧装置38上部に固定されたヒータパネル
38aに樹脂含有シート52を積層させた積層体54を
押しつけて加圧しながら、ヒータパネル38aにより加
熱する(図5(e)加圧工程)。
【0079】これにより、樹脂含有シート52に塗布し
た凝固剤が溶融して積層体54側に拡散すると共に、樹
脂含有シート52に保持されている樹脂又はその中間体
が溶融又は硬化し、積層体54と樹脂含有シート52と
が一体化する。また、積層体54の上面には、予め離型
剤が選択的に塗布されているので、樹脂含有シート52
の内、積層造形物を構成する部分のみが選択的に接着す
る。
【0080】なお、この時、加圧力は、5kg/cm
〜200kg/cmの範囲とすることが好ましい。加
圧工程においてこのような高圧力を付与すると、シート
間が強固に接着し、積層方向の寸法の経時変化が少ない
積層造形物が得られるという利点がある。
【0081】また、図5においては、平板状のヒータパ
ネル38aを積層体54に押し付けることにより積層体
54を加圧しているが、ヒータパネル38aの代わり
に、加熱したローラを用いて加圧してもよい。さらに、
加圧機構は、液圧プレスが一般的であるが、設置や保守
の容易な、サーボモータに電機的な変速機や機械的なト
ルクリミッター付ワンウエークラッチを組み合わせたも
のを用いてもよい。
【0082】一定時間が経過し、樹脂含有シート52に
塗布した凝固剤が積層体54に十分拡散し、かつ、樹脂
含有シート52に保持されている樹脂又はその中間体の
溶融又は硬化が十分進行したところでテーブル38eを
下降させ、切断装置40を用いて、積層体54に新たに
貼着けられた樹脂含有シート52に切り込みを入れる
(図5(f)切り込み工程)。切り込みは、制御装置3
2により作成された断面形状データの輪郭部分と、必要
に応じて、不要なシートを剥がしやすくするための分割
線に沿って行われる。
【0083】さらに、新たに積層体54上に接着された
樹脂含有シート52の表面に、離型剤塗布装置50を用
いて、選択的に離型剤が塗布される(図5(g)離型剤
塗布工程)。
【0084】ここで、離型剤を塗布する離型領域は、制
御装置32により演算され、凝固剤塗布装置50に出力
される点は、凝固剤を塗布する領域と同様である。ま
た、具体的には、グラフィックワークステーション20
で作成された断面ベクトルデータを、上記の積層体保温
工程で測定された積層体54の高さデータの位置で切断
することにより、離型材を塗布すべき離型領域が決定さ
れる点も、凝固剤を塗布すべき領域と同様である。
【0085】なお、樹脂含有シート52に保持させる樹
脂として、熱硬化性樹脂もしくは熱可塑性樹脂、又はそ
の中間体を用いる場合には、離型剤塗布工程において積
層体54の表面に離型剤を選択的に塗布する代わりに、
樹脂含有シート52の表面の内、離型領域を削ってもよ
い。
【0086】これは、熱硬化性樹脂又はその中間体を保
持した樹脂含有シート52を積層して加圧した場合、樹
脂の縮合重合は、樹脂含有シート52の内部ほど進んで
いるためである。すなわち、樹脂含有シート52の表面
には、積層後も未重合の中間体が多数存在しているが、
内部は、縮合重合が進んでいるため、未重合の中間体が
少なくなっている。
【0087】そのため、表面を削って内部を露出させれ
ば、新たに樹脂含有シート52を積層して加圧しても、
縮合重合が進みにくくなる。その結果、削った部分の接
着力が弱くなり、削っていない表面のみを強く結合させ
ることができる。
【0088】また、熱可塑性樹脂又はその中間体を保持
した樹脂含有シート52を積層して加圧した場合、樹脂
含有シート52は表面ほど熱く加熱される。従って、加
熱温度と加熱時間を調節すれば、樹脂含有シート52の
表面と内部に温度差を設けることができる。
【0089】これは、熱可塑性樹脂又はその中間体は、
加熱温度が異なると接着力に差が生じ、低温に加熱され
るほど接着力が低下する性質があるためである。従っ
て、表面と内部に温度差を生じさせた樹脂含有シート5
2の表面の一部を削り取れば、削っていない表面のみを
強く結合させることができる。
【0090】そして、図5(a)の積層体保温工程から
図5(g)の離型剤塗布工程までの各工程を、積層体5
4の厚さが所定の高さになるまで繰り返し、最後に、得
られた積層体54を造形装置30から取り出し、手作業
により積層体54から接着していない部分の樹脂含有シ
ート52を一枚一枚剥ぎ取り、ワニス等で塗装すれば、
所望の形状を有する積層造形物が完成する。
【0091】なお、積層体44の高さが所定の高さとな
ったところで、再度、テーブル38eを上昇させて積層
体54をヒータパネル38aに押し付け、加圧した状態
で、ヒータパネル38a、38b、38c及び38dの
出力を調整しながら徐冷し、凝固剤をゆっくりと硬化さ
せる(積層体冷却工程)と、積層体54のゆがみが防止
され、高さ方向の精度が確保される点は、第1の実施の
形態に係る積層造形方法と同様である。
【0092】このようにして得られた積層体54は、加
圧する際に、樹脂含有シート52内に含まれる繊維が圧
縮されると共に、樹脂の充填率が向上するので、得られ
た積層造形物は、普通紙を積層用シートとして用いた場
合に比して、強度が高くなり、後加工に十分耐えるもの
となる。
【0093】また、紙を積層用シートとして用いて、低
圧で積層した場合、積層後に長期間放置すると、積層方
向の寸法は、吸湿のために約3%膨張する。しかしなが
ら、樹脂含有シートを積層用のシートとして用いた場合
には、樹脂により繊維が強固に接着されるので、積層方
向の膨張を0.2%以下に抑えることができる。
【0094】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の
改変が可能である。
【0095】例えば、上記実施の形態では、印刷装置3
4として静電転写式プリンタを用いてトナーをシートに
印刷しているが、インクジェットプリンタを用いて樹脂
をシートに塗布たり、あるいは複数のノズルを有するイ
ンクジェットプリンタから複数の材料が反応して凝固す
る凝固剤を塗布するようにしても良い。
【0096】また、上記実施の形態では、シート表面に
選択的に凝固剤を塗布しているが、シート全面に均一に
凝固剤を塗布し、レーザーやサーマルヘッドを用いて、
断面形状に相当する領域を選択的に溶融、凝固させるこ
とにより、シート間を選択的に接着しても良い。
【0097】また、上記実施の形態では、シート表面に
選択的に凝固剤を塗布し、これを積層体の上に重ねて接
着しているが、積層体の最上面に選択的に凝固剤を塗布
し、この上に凝固剤が塗布されていないシートを重ね、
加熱しながら加圧することにより、シートと積層体とを
接着させるようにしても良い。
【0098】また、上記第1の実施の形態では、積層体
保温工程において、積層体の高さが測定される毎に、測
定された高さデータに基づき、断面形状データを算出す
るように構成されているが、高さの測定は、積層体上面
調温工程において行っても良く、また、事前に輪切りデ
ータを多数準備しておき、測定された高さデータに基づ
き、事前に準備された輪切りデータを選択して、シート
への印刷を行うようにしても良い。
【0099】また、上記第1の実施の形態では、印刷装
置によって塗布される凝固剤厚より径の小さい繊維を含
むシートを用いて積層を行っているが、1回当たりに塗
布される凝固剤厚が繊維径より小さい場合には、凝固剤
厚が繊維径より大きくなるように、同一箇所に2回以上
の塗布工程を繰り返し、凝固剤を重ね塗りしてもよく、
あるいは、印刷装置の構造上、簡単に凝固剤の塗布量を
変更できる場合には、シート中の繊維径に合わせて凝固
剤の塗布量を制御すれば良い。
【00100】また、上記第2の実施の形態では、加圧
工程において樹脂含有シートを積層体に接着し、切り込
み工程において切断装置を用いて切り込みを入れた後、
さらに離型剤塗布工程において積層体の上面に離型剤を
塗布しているが、積層体の上面に離型剤を塗布した後、
切断装置を用いて切り込みを入れるようにしてもよい。
【00101】さらに、上記第2の実施の形態では、加
圧工程において樹脂含有シートを積層体に接着した後、
切断装置を用いて積層体の上面に接着された樹脂含有シ
ートに切り込みを入れるようにしているが、加圧工程を
2段階に分け、1段階目の加圧工程で樹脂含有シートが
動かない程度に加熱し、切断装置を用いて切り込みを入
れた後、さらに2段階目の加圧工程で十分に加圧するよ
うにしてもよく、これにより上記実施の形態と同様の効
果が得られるものである。
【0102】
【発明の効果】本発明に係る積層造形物は、シート表面
に塗布される凝固剤の厚さよりも小さい径を有する繊維
を含むシートを積層用のシートとして用いているので、
市販されている汎用の印刷装置をそのまま組み込んだ積
層造形装置を用いて、シート間の接着強度の高い積層造
形物を得ることができるという効果がある。
【0103】また、積層用のシートとして、シート表面
に塗布される凝固剤の厚さよりも小さい径を有する繊維
と、大きい径を有する繊維の双方が含まれるシートを用
いた場合には、シート間の接着強度を低下させることな
く、得られる積層造形物の強度を高めることができると
いう効果がある。
【0104】また、積層用のシートとして、セラミック
を主成分とする繊維を含むセラミックシートを用いた場
合には、積層後に積層造形物を長期間放置しても、吸湿
に起因する積層方向の膨張が抑制され、寸法精度の高い
積層造形物が得られるという効果がある。
【0105】また、シート間に選択的に凝固剤を塗布し
てシート同士を接着させる際、所定の高圧力を付与する
と、繊維が圧縮されて接着力が増大する。そのため、積
層用のシートとして紙等の有機物繊維を含むシートを用
い、積層後に積層造形物を長期間放置した場合であって
も、吸湿に起因する積層方向の膨張が抑制され、寸法精
度の高い積層造形物が得られるという効果がある。
【0106】また、積層用シートとして樹脂含有シート
を用い、樹脂含有シートを加熱下で加圧した場合には、
繊維が圧縮されると共に、樹脂の充填率が向上するの
で、積層用シートとして紙を用いた場合に比較して、積
層造形物の強度が向上するという効果がある。しかも、
吸湿に起因する積層方向の膨張が抑制されるので、寸法
精度の高い積層造形物が得られるという効果がある。
【0107】さらに、樹脂含有シートを積層する場合に
おいて、加熱温度と加熱時間を調節すれば、樹脂含有シ
ートの表面の接着力を強く、かつ樹脂含有シートの内部
の接着力を弱くすることができる。そのため、離型領域
に離型剤を塗布する代わりに、樹脂含有シートの表面の
内、離型領域のみを削り取れば、離型領域の排反領域の
接着力のみを強くすることができ、離型剤塗布工程が不
要になるという効果がある。
【0108】以上のように、本発明に係る積層造形物に
よれば、汎用のOA機器をそのまま用いて積層すること
ができるので、積層造形装置のコストを下げることがで
き、しかも、強度及び寸法精度に優れた積層造形物を得
ることができる。そのため、これを例えば、精密鋳造用
の鋳型や射出成型用の金型を作製する際に使用される原
型に応用すれば、金型の設計・製作費用を大幅に削減で
きるものであり、産業上その効果の極めて大きい発明で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層造形装置の概略を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る積層造形物の
製造方法を説明する工程図である。
【図3】細い繊維を含むシートからなる積層体の断面図
である。
【図4】太い繊維を含むシートからなる積層体の断面図
である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る積層造形物の
製造方法を説明する工程図である。
【符号の説明】
10 積層造形装置 20 ワークステーション 30 造形装置 32 制御装置 34 印刷装置 38 加圧装置 40 切断装置 42 シート 43、43’ 繊維 44 積層体 46 凝固剤 50 離型剤塗布装置 52 シート(樹脂含有シート) 54 積層体

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凝固剤が選択的に塗布されたシー
    トを積層し、該凝固剤により前記シート間を選択的に接
    着することにより得られる積層造形物であって、 前記シートには、少なくともその表面に、前記凝固剤の
    厚さより小さい径を有する繊維が含まれていることを特
    徴とする積層造形物。
  2. 【請求項2】 前記シートには、さらに前記凝固剤の厚
    さより大きい径を有する繊維が含まれていることを特徴
    とする請求項1に記載の積層造形物。
  3. 【請求項3】 前記繊維が、セラミックを主成分とする
    繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積
    層造形物。
  4. 【請求項4】 積層された前記シートを、加熱しながら
    5kg/cm以上200kg/cm以下の圧力で加
    圧することにより得られる請求項1、2又は3に記載の
    積層造形物。
  5. 【請求項5】 表面に離型層が選択的に形成されたシー
    トを積層し、前記離型層が形成される離型領域の排反領
    域において、前記シート間を選択的に接着することによ
    り得られる積層造形物であって、 前記シートは、繊維中に熱硬化性樹脂もしくは熱可塑性
    樹脂、又はこれらの中間体が保持されている樹脂含浸シ
    ートからなり、 該樹脂含浸シートを積層し、加熱しながら5kg/cm
    以上200kg/cm以下の圧力で加圧することに
    より得られる積層造形物。
  6. 【請求項6】 前記離型層が、前記樹脂含浸シートの表
    面に選択的に塗布された離型剤からなることを特徴とす
    る請求項5に記載の積層造形物。
  7. 【請求項7】 前記離型層が、加熱された前記樹脂含浸
    シートの表面層を選択的に削り取ることにより形成され
    る表面除去層からなることを特徴とする請求項5に記載
    の積層造形物。
  8. 【請求項8】 前記樹脂含浸シートに代えて、その表面
    に粉末状又は溶融した液体状の熱硬化性樹脂もしくは熱
    可塑性樹脂、又はこれらの中間体が塗布された樹脂塗布
    シートを用いることを特徴とする請求項5、6又は7に
    記載の積層造形物。
  9. 【請求項9】 前記離型領域の排反領域には、さらに凝
    固剤が塗布されていることを特徴とする請求項5、6、
    7又は8に記載の積層造形物。
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