JP2000262077A - 振動波駆動装置 - Google Patents

振動波駆動装置

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JP2000262077A
JP2000262077A JP11059656A JP5965699A JP2000262077A JP 2000262077 A JP2000262077 A JP 2000262077A JP 11059656 A JP11059656 A JP 11059656A JP 5965699 A JP5965699 A JP 5965699A JP 2000262077 A JP2000262077 A JP 2000262077A
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Hajime Kanazawa
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】モータの出力および出力トルクを増大させるこ
とができる振動波駆動装置を提供する。 【解決手段】圧電素子5への交番信号の印加で駆動振動
が形成される振動体1を、圧電素子5の駆動により中心
軸に対して曲げ振動を発生する振動体柱状部4と、振動
体柱状部4の中心軸に直交する円板のたわみ振動を発生
する振動体円板部3とで構成し、振動体円板部3のたわ
み振動モードと振動体柱状部4の中心軸の曲げ振動モー
ドの連成振動を生じさせることによって、振動体1の摩
擦接触部2に駆動のための振動を生じさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は振動波駆動装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来多用されている振動波駆動装置とし
ての振動波モータには、円環型および円板型のものや例
えば特開平5−207761号公報などの棒状タイプの
もの等があり、円環型のものと棒状タイプのものは光学
機器等に搭載されている。以下、棒状タイプの振動波モ
ータについて図7および図8を用いて説明する。
【0003】図7において、101は振動体であり、金
属等からなる弾性体109,110と、これら弾性体1
09,110の間に挟持された圧電素子群111とで構
成されている。弾性体109はモータの骨格部材となる
ボルト状の支持棒105の大径のネジ部105aに螺着
され、弾性体110は支持棒105の大径の頭部105
bにより押されて弾性体109との間に圧電素子群11
1を挟持している。弾性体109の上端には、図8に詳
しく示すように、摩擦リング109cが接合されてい
る。
【0004】102は弾性体109の上端面に対向配置
された接触体であるロータであり、このロータ102の
下端部には接触バネ部102aが形成され、この接触バ
ネ部102aの先端に設けられた摺動部102dの下端
摩擦面が摩擦リング109cの摩擦面に圧接されてい
る。接触バネ部102aは、図13に示すように、主に
モータ径方向にたわむ薄肉のバネ部102bと、モータ
軸と略直角に延びるバネ部102cとから構成されてい
る。
【0005】ロータ102には、出力ギヤ104が嵌着
固定されており、このギヤ104はベアリング103の
外輪に嵌着されている。ベアリング103の内輪はモー
タ取付け用フランジ106に嵌着固定され、フランジ1
06は支持棒105の先端部近傍部分105cに嵌着固
定されている。
【0006】また、ロータ102の内周部にはバネ受け
107が嵌着固定されており、バネ受け107の振動体
側端部と出力ギヤ104の端部との間にはロータ102
の摺動部102dを摩擦リング109cに圧接させるた
めの加圧バネ108が配置されている。
【0007】このように構成された振動波駆動装置とし
ての振動波モータにおいて、圧電素子群111に互いに
位相が90度ずれた交流電圧を印加すると、これら圧電
素子群の伸縮によって振動体101には図7に矢印で示
す方向への首振り運動と、これと位相が異なる紙面に垂
直な方向への首振り運動が生ずる。
【0008】接触面(振動体101の上面)からみる
と、この振動は1波の進行波に相当する。この振動体1
01に、接触バネ部102aを有するロータ102を加
圧接触させると、ロータ102は波頭付近の1カ所のみ
で弾性体109と接触し、逆方向に回転駆動される。こ
の出力はロータ102とベアリング103の外輪に嵌着
されたギヤ104とにより外部に取り出される。
【0009】なお、棒状振動波モータでは、支持棒10
5の先端に取り付けられたフランジ106も一体の系と
して振動体101の固有モードをフランジ106の振動
振幅が非常に小さくなるように設計している。ロータ1
02の本環は慣性質量が十分大きく、振動体101の加
振によって振動が励起されないように設計されている。
また、ロータ102の接触バネ部102aは固有振動数
が振動体の駆動周波数よりも十分高く、振動に追従する
ように設計されている。
【0010】また、振動体101の摩擦リング109c
には、アルミニウム製の基材(アルミ地)109c''の
表層をアルマイト処理することによって耐摩耗性を高め
た摩擦層109c’を形成したものが用いられている。
また、ロータ102は耐摩耗性の高いステンレス綱で形
成され、焼入れをしてさらに耐摩耗性を向上させてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た振動波駆動装置としての振動波モータでは、振動体の
中心軸の曲げ振動モードのみを用いているため、ロータ
102の振動部102dおよび振動体の摩擦接触部の直
径を大きくすることができず、そのために大きいトルク
を発生することができなかった。
【0012】これについて図9を用いて説明する。図9
(a)・(b)は、振動体の中心軸の曲げ振動モードの
みを用いた振動体の振動を、模式的な断面図として示す
ものである。実線は振動のない状態、点線は振動による
変形を示している。
【0013】(a)は円柱状の振動体であり、摩擦駆動
部である上端面の外周部は、振動の節である点Oを中心
とした円周方向に近い方向への変位のため、矢印で示す
ような変位となる。
【0014】これに対し(b)は、摩擦駆動部と中心軸
の距離を大きくすることによって大トルクを得るという
目的のため、上端部を(a)に示す振動体よりも径の大
きい円板状とした振動体であり、(a)の場合と同様
に、摩擦駆動部である上端面外周部は振動の節である点
O’を中心とした円周方向に近い方向への変位となる
が、上端面外周部の位置が、点O’に対して径方向に近
い場所に位置するため、摩擦接触部である上端面外周部
の振動変位は、図中の矢印に示されるように、r方向変
位が極めて小さいものとなっている。
【0015】振動体の中心軸の曲げ振動モードのみを用
いる振動波モータの回転速度は、摩擦接触部のr方向変
位に比例し、また、摩擦接触部の直径に反比例する。し
たがって図9(b)に示した振動体を用いた振動波モー
タは、十分な回転速度が得られない。
【0016】以上のように、振動体の中心軸の曲げ振動
モードのみを用いた振動波モータは、振動体の摩擦接触
部の径を大きくできないため、大トルクを得るのが困難
であった。
【0017】また、振動体と移動体の加圧力を大きくす
ることで大トルクを得ることも可能であるが、摩擦接触
部の摩耗が大きくなるため、モータの寿命が短くなると
いう問題があった。
【0018】本出願に係る発明の目的は、モータの出力
および出力トルクを増大させることができる振動波駆動
装置を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本出願に係る発明の目的
を実現する第1の構成は、駆動用の電気−機械エネルギ
ー変換素子に交番信号を印加することにより、駆動用の
振動が形成される振動体を有する振動波駆動装置におい
て、前記振動体は、前記電気−機械エネルギー変換素子
により起振用の進行波が形成される起振用振動体部と、
前記起振用振動体部の振動により励振されて駆動用進行
波が形成される駆動用振動体部とが一体に形成されるも
のである。
【0020】本出願に係る発明の目的を実現する第2の
構成は、駆動用の電気−機械エネルギー変換素子に交番
信号を印加することにより、駆動用の振動が形成される
振動体と、前記振動体と加圧接触する接触体とを有し、
前記振動体と前記接触体とが相対移動する振動波駆動装
置において、前記振動体は、前記電気−機械エネルギー
変換素子により起振用の進行波が形成される起振用振動
体部と、前記起振用振動体部の振動により励振されて駆
動用進行波が形成される駆動用振動体部とが一体に形成
されるものである。
【0021】本出願に係る発明の目的を実現する第3の
構成は、上記第1または第2の構成において、前記振動
体の起振用振動体部は柱状に形成され、前記駆動用振動
体部は円板状に形成され、前記起振用振動体部の軸中心
と前記駆動用振動体部の軸中心とを略一致させて一体に
形成したものである。
【0022】本出願に係る発明の目的を実現する第4の
構成は、上記第1、第2または第3の構成において、前
記振動体の起振用振動体部には前記電気−機械エネルギ
ー変換素子により曲げ振動の合成で起振用の進行波が形
成され、前記駆動用振動体部には、前記起振用の進行波
により、前記駆動用振動体部の平面方向における曲げ変
位による駆動用の進行波が形成されるものである。
【0023】本出願に係る発明の目的を実現する第5の
構成は、上記第1、第2、第3または第4の構成におい
て、前記振動体の前記起振用振動体部は、振動変位拡大
用の切欠き部を有するものである。
【0024】本出願に係る発明の目的を実現する第6の
構成は、上記いずれかの構成において、前記振動体は、
前記駆動用振動体部の駆動用進行波が形成される駆動面
を凸部としたものである。
【0025】本出願に係る発明の目的を実現する第7の
構成は、上記第2、第3、第4、第5または第6の構成
において、前記接触体を移動体とし、回転駆動される前
記接触体の回転力が伝達されて出力を取り出す回転出力
部材を有するものである。
【0026】本出願に係る発明の目的を実現する第8の
構成は、駆動用の電気−機械エネルギー変換素子に交番
信号を印加することにより、駆動面に駆動のための振動
を形成する振動体と、前記振動体の駆動面に加圧手段を
介して接触する接触体とを有し、前記振動体と前記接触
体とは摩擦駆動により相対移動する振動波駆動装置にお
いて、前記振動体は、前記電気−機械エネルギー変換素
子の駆動により中心軸に対して曲げ振動を発生する振動
体柱状部と、前記振動体柱状部の中心軸に直交する円板
のたわみ振動を発生する振動体円板部を有し、前記振動
体円板部のたわみ振動モードと前記振動体柱状部の中心
軸の曲げ振動モードの連成振動を生じさせることによっ
て、振動体の摩擦接触部に駆動のための振動を生じさせ
るものである。
【0027】本出願に係る発明の目的を実現する第9の
構成は、上記第8の構成において、中心軸の曲げ振動モ
ードを生じさせる振動体柱状部に、中心軸に垂直な平面
での断面積が他の部分よりも小さいくびれ部を有するも
のである。
【0028】本出願に係る発明の目的を実現する第10
の構成は、上記第8または第9の構成において、円板の
たわみ振動モードを生じさせる前記振動体円板部に、前
記接触体と加圧接触する径方向から見て凸形状の摩擦接
触部を有するものである。
【0029】本出願に係る発明の目的を実現する第11
の構成は、上記第8、第9または第10の構成におい
て、前記振動体は、前記振動体柱状部の軸方向に対して
対称の位置に前記振動体円板部を設け、前記各振動体円
板部の摩擦接触部に対応して前記接触体をそれぞれ配置
したものである。
【0030】本出願に係る発明の目的を実現する第12
の構成は、上記第8、第9、第10または第11の構成
において、前記接触体を移動体とし、回転駆動される前
記接触体の回転力が伝達されて出力を取り出す回転出力
部材を有するものである。
【0031】本出願に係る発明の目的を実現する第13
の構成は、上記第11の構成において、軸方向に沿って
前記振動体を複数組配置し、前記複数組の各振動体に対
応の前記各接触体の出力を取り出すようにしたものであ
る。
【0032】本出願に係る発明の目的を実現する第14
の構成は、上記第1、第3、第4または第5の構成にお
いて、前記振動体の駆動力を用いて被駆動体を駆動する
ようにしたものである。
【0033】本出願に係る発明の目的を実現する第15
の構成は、上記第2ないし第13のいずれかの構成にお
いて、前記接触体の駆動力を用いて被駆動体を駆動する
ものである。
【0034】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1、図
2、図3、図10、図11は本発明の第1の実施の形態
を示す。
【0035】図1は本発明の特徴を最もよく表わす振動
波モータの断面図であり、同図において、1は振動体
で、金属等で形成されたくびれ部4aを有する弾性体4
と押え体7との間に圧電素子5,圧電素子5に交流電圧
を印加するためのフレキシブル基板等で形成された給電
部材6が挟持され、さらに弾性体4と支持体8のフラン
ジ部8aとの間に金属等の弾性体で形成した円板3が軸
方向と直交する方向に沿って平面を有するように挟持さ
れ、押え体7の外側のナット9を支持体8のネジ部8b
に螺着することにより、ボルト状の支持体8のフランジ
部8aと支持体8のネジ部8bに螺着されているナット
9の間に挟持される。。したがって、本実施の形態の振
動体1は図11に示す縦断面が略T形状をなすことにな
る。
【0036】円板3の片面には、図2に示す形状の摩擦
接触部材2が接着等の接合方法で取り付けられており、
この摩擦接触部材2は、等ピッチで凸部が円周状に配置
されており、SUS等の材料をプレス成形等の手段で加
工して形成される。なお、この摩擦接触部材2を円板3
と一体に形成するようにしてもよい。
【0037】10は本環10aに接着等により耐摩耗用
の例えばアルミナで構成された摺動部材10bを接合し
た構成の接触体としての移動体であり、フランジ11に
回転可能に軸支されたギヤ12と、移動体10の間に設
けられた加圧バネ13によって、移動体10は振動体1
の摩擦接触部材2に加圧接触している。
【0038】なお、摩擦接触部材2は軸方向にバネ性を
有するため、移動体との接触が均一になっている。フラ
ンジ11は、支持体8の上部ネジ部8cに螺着されてい
る上部ナット14と支持体8の円周状突起8dに挟持さ
れることによって振動体1に固定されており、かつこの
振動波モータを駆動源とする装置内に装着の際は、この
フランジ11を固定する。
【0039】ギヤ12は、係合部12aで移動体10と
周方向に拘束しあうように係合しており、したがって移
動体10とギヤ12は、一体で回転可能である。
【0040】以上のように構成された振動波モータの動
作および圧電素子5の構成について以下に説明する。
【0041】(不図示)の駆動回路により給電部材6を
介して圧電素子5に周波数が後述の振動体の軸曲げ−円
板たわみ連成モードの固有振動数に近く、時間的位相差
が90°である2相の交流電圧を印加する。
【0042】圧電素子5は図10に示すように、厚さ方
向に分極されており、図中A+,およびB+の領域に対
して、A−,B−の領域は分極方向が反対になってい
る。また、圧電素子5の給電部材6と接する面には、A
+・A−・B+・B−の4つの領域別に蒸着、もしくは
印刷による領域別電極が施されていて、給電部材6を介
して交流電圧が印加される。
【0043】また、圧電素子5の給電部材6と接する面
と反対の面には、全領域共通の共通電極が施されてい
て、弾性体4,円板3,支持体8,フランジ11を介し
てグランド電位となっている。
【0044】給電部材6を介して圧電素子5に印加され
る2相の交流電圧のうち、1相はA+,A−に対応する
領域別電極に印加され、A+領域の軸方向の伸縮運動
と、それと逆相となるA−領域の軸方向の伸縮運動を生
じさせる。
【0045】また、時間的位相が90°異なる他の1相
はB+・B−に対応する領域別電極に印加され、B+領
域にはA+領域で生ずるのとは時間的位相が90°異な
る軸方向の伸縮運動が生じ、B−領域にはB+領域で生
ずるのと逆相の軸方向の伸縮運動が生じる。
【0046】これらの伸縮運動の周期は、印加した交流
電圧の周期に等しく、結局圧電素子5の軸方向に収縮し
ている部分と反対側が必ず伸張し、この変形が交流電圧
の周期で軸周りに回転することになる。
【0047】以上に述べた圧電素子5の伸縮変形運動に
より、振動体1には、模式的に図3および図11に示し
たように、軸部には曲げ振動であって、円板3にはたわ
みの振動(以下軸曲げ−円板たわみ連成モードと称す)
が励起される。
【0048】図11は、従来例を示す図9(b)に対応
した図で、中心軸を含む断面図であり、点線が振動によ
る変形を示す。
【0049】図3において、実線で示す部分は振動体1
の円板3の変形を中立面の変形のみで表わしたものであ
り、また一点鎖線で示す部分は振動体1の円板3以外の
部分(以下円柱部)の変形を中立軸の変形のみで表わし
たもので、中心の円柱部における曲げ振動は2節の振動
であり、円板3における振動は、節直径が1つ且つ節円
が2つの円板たわみ振動である。
【0050】本実施の形態において、円板3にこのよう
な振動モードを生じさせるための構成は、円板3の振動
の節直径を1つとすると共に(図3中の直線l)、振動
の節円を2つ(図3中の点線で示す円と実線の最外周の
円)とする円板たわみモードの共振周波数を円柱部の振
動の節を2つの軸曲げモードの共振周波数に略一致させ
るようにすることで達成している。すなわち、圧電素子
5の駆動により振動体1の円柱部が軸方向に対して曲げ
振動すると、振動体1の円板3には軸周りに2波(円柱
部の曲げ方向と同方向と、これに対向する方向の2方向
にそれぞれ進行波のピークが形成される)の進行波が形
成されることになる。
【0051】通常、円板たわみモードの共振周波数は、
節直径および節円が大きいほど高くなり、また板厚や材
料のヤング率が大きいほど高くなる傾向にある。
【0052】本実施の形態の振動体1の円板3の形状は
単純ではないため、解析的に円板たわみモードの共振周
波数を求めるのは困難であるが、上述の傾向と有限要素
法による計算により、前述円板たわみモードの共振周波
数と円柱部の軸曲げモードの共振周波数を一致させ、そ
の結果、振動体1はこの2つのモードが連成した軸曲げ
−円板たわみ連成モードを有することになる。
【0053】そして、圧電素子5の伸縮運動の変形が軸
周りに回転するので、図3に示した軸曲げ−円板たわみ
連成モードの振動による変形が印加した交流電圧の周期
で軸周りを回転する。
【0054】なお、振動の節直径の数は1が望ましい
が、それに限るものではなく、また節・腹・節円の数は
以上に限るものではない。
【0055】そして、その振動を円板たわみモードの振
動の腹である図3中の円Sの位置のみで観測すると、円
周方向に進行する1波のたわみ進行波となっている。こ
のたわみ振動の軸方向の振幅をa、角速度をω0 、円S
上の周方向座標をθとすると、円板たわみ振動の中立面
における円S上の軸方向変位Zは、以下の進行波の式で
表される。
【0056】Z=asin(θ−ω0 t) いま、円S上に位置する円板表面のある質点の位置をP
とし、たわまない状態の位置をP0 とすると、P0 から
Pへの軸方向の変位ZP は、たわみ角をψ、円板の板厚
をTとすると ZP =asin(θ−ω0 t)−(T/2)(1−co
sψ) であるが、ψはきわめて小さい値なので ZP ≒asin(θ−ω0 t) と近似できる。また、P0 からPへの周方向への変位x
P は、 xP =−(T/2)sinψ≒−(T/2)ψ となる。円Sの半径をrとすると、 x=θr であるので、たわみ角ψは次式で与えられる。
【0057】ψ=dZ/dx=(d/dx)asin
(x/r−ω0 t)=(a/r)cos(θ−ω0 t) したがって周方向の変位xP は、 xP ≒−(aT/2r)cos(θ−ω0 t) と近似でき、ロータを送る方向への変位が得られている
ことがわかる。軸方向の変位ZP と周方向の変位xP
の関係式は (ZP /a)2 +(xP /(aT/2r))2 =1 となり、円S上に位置する円板表面の質点は、楕円軌跡
を描く。
【0058】また、周方向の変位xP の速度vは、 v=dxP /dt =−(ω0 aT/2r)sin(θ−ω0 t) となる。図3中のたわみの頂点m上に位置する円板表面
では速度vが最大となり、次式で表わされる。
【0059】vmax =−ω0 aT/2r なお、進行波と反対方向の速度である。
【0060】一方、移動体10と接する摩擦接触部材2
の頂点は、図3中の円S上に一致するように設けてお
り、円板表面より中立面からの距離が摩擦接触部材2の
軸方向厚さ分だけ大きくなる。
【0061】したがって、摩擦接触部材2の頂点での楕
円運動は、摩擦接触部材2の軸方向厚さをT’とする
と、円板の板厚がT+2T’である場合の円S上の円板
表面と同様の楕円運動となる。したがって摩擦接触部材
2の頂点での最大速度V’maxは V’max =−(ω0 a(T+2T’))/2r ・・・・(1) となり、加圧接触される移動体10は、この速度を有す
る進行波頂上に接することにより、進行波の方向と逆に
回転する。
【0062】このように、径方向から見て凸形状の摩擦
接触部材を有することにより、移動体10の回転速度は
増大する。
【0063】また、振動体1のくびれ部4aは、図3に
おいてnで示す位置に相当するが、図に示されるよう
に、円柱部(中心軸)の曲げ振動は、くびれ部4aによ
り円板部との結合部側で拡大されている。したがって、
連成された円板モードの振幅も大きくなるため、式
(1)の値も増大し、移動体10の回転速度は増大す
る。
【0064】以上のようにして回転する移動体2の回転
力は、ギヤの係合部12aを介してギヤ12に伝達され
外部に出力される。以上に述べた本実施の形態の振動波
モータにおいて、従来例の振動波モータの約2倍の出力
および出力トルクを得ることが可能になった。
【0065】(第2の実施の形態)図4は第2の実施の
形態である振動波モータの断面図である。
【0066】本実施の形態では、同一の3組の振動体
と、同一の4個の移動体を交互に同一軸上に重ね、4個
の移動体が結合している出力シャフト29が回転し、出
力となる。
【0067】15は振動体であり、振動体1を構成する
符号2から6の部材は第1の実施の形態におけるものと
同一で、同じ機能を有するが、摩擦接触部材2、円板
3、弾性体4がそれぞれ2個ずつ、同一の振動体内で上
下対称に配置され、給電部材6、圧電素子5、支持部材
16とともに中空ボルト17および中空ボルト17に螺
着されるナット18に挟持された構造となっている。
【0068】このように、図4中、円柱部の上側と下側
の両側に円板部を設けた構造とし、第1の実施の形態と
同様に圧電素子5に交流電圧を印加することにより、第
1の実施の形態と同様の円柱部の曲げ振動、及び両方の
円板部のたわみ振動が生ずるが、これらの振動変位は方
向・大きさとも振動体内でほぼ上下対称である。
【0069】したがって、振動体15の上下両端に加圧
接触する移動体19は、振動体15の上下端の摩擦接触
部材2から同一回転方向の同じ大きさの力を受け、同じ
回転速度で回転する。
【0070】さらに、3組の振動体の圧電素子5には同
一の交流電圧が印加されるため、これらの振動体に加圧
接触する4個の移動体19は同一回転方向の同じ大きさ
の力を受け、同じ回転速度で回転する。
【0071】4個の移動体19は、出力シャフト29に
接合された移動体固定部材20と係合することによっ
て、出力シャフト29と周方向には固定、軸方向には自
由となるように拘束されているため、4個の移動体19
の回転力は出力シャフト29に伝達され、ケース21の
外の負荷へ出力される。
【0072】なおケース21に固定されたスラスト軸受
22と加圧バネ台座23の間に設けられた加圧バネ24
は、出力シャフト14に接合された加圧受け板25との
間で加圧バネ台座23、ゴムリング26、フェルト27
を介して3組の振動体と4個の移動体を加圧し、移動体
19と摩擦接触部材2の間に摩擦力を生じさせる。
【0073】また、支持部材16は、図5の平面図に示
すような例えばリン青銅板のような薄板であり、3カ所
の脚部16aがケース継ぎ部28によって挟持され、ま
た、中央部16bが振動体15内に挟持されることによ
り、振動体1の振動や、移動体と振動体の加圧力を阻害
することなく振動体1を支持・固定している。
【0074】以上に述べた第2の実施の形態の振動波モ
ータは、従来例の振動波モータの約10倍の出力および
出力トルクを得ることが可能になった。
【0075】なお、第2の実施の形態においては、3組
の振動体と4個の移動体を用いて1個のモータとした
が、必要な出力に応じて振動体や移動体の個数を他の数
としても良い。 (第3の実施の形態)図6は第3の実施の形態を示す。
【0076】図6は第2の実施の形態の振動波駆動装置
としての振動波モータを駆動源として用いたカメラのフ
ィルム給送装置を示している。この図において、Mは上
記振動波モータであり、巻き上げスプール55内に収容
される。51は不図示のカメラ本体に取り付けられる底
板であり、52は振動波モータMの出力軸に固定のギヤ
71の外周ギヤ部に噛合する太陽ギヤ、53はこの太陽
ギヤ52に噛合する遊星ギヤである。これらギヤ52,
53は遊星クラッチを構成し、振動波モータMの回転方
向に応じて二段ギヤ54(54a),56(56a)に
選択的に噛合する。
【0077】二段ギヤ54(54b)は巻き上げスプー
ル55に形成されたギヤ部55aに常時噛合しており、
二段ギヤ56(56b)はウォームギヤ57に常時噛合
している。ウォームギヤ57は、伝達軸58を介してウ
ォームギヤ59に連結されており、ウォームギヤ59は
フォーク62に一体形成されたフォークギヤ61に噛合
している。
【0078】70は底板51に固定された固定部材であ
り、モータM、ギヤ52,56,54を支持している。
【0079】このように構成されたフィルム給送装置で
は、モータMが巻き上げ方向(図中の矢印方向と反対方
向)に回転すると、遊星ギヤ53が図中鎖線53aで示
した位置に移動し、モータ回転力が二段ギヤ54を介し
て巻き上げスプール55に伝達される。これにより、フ
ォーク62にカートリッジ内スプールを係合させてカメ
ラに充填された不図示のフィルムカートリッジのフィル
ムを巻き上げスプール55によって巻き上げることがで
きる。
【0080】一方、モータMが巻き戻し方向(図中の矢
印方向)に回転すると、遊星ギヤ53が図中実線で示し
た位置に移動し、モータ回転力は二段ギヤ56、ウォー
ムギヤ57、伝達軸58、ウォームギヤ59およびフォ
ークギヤ61を介してフォーク62に伝達される。これ
によりフォーク62に係合したカートリッジ内スプール
を回転駆動してフィルムカートリッジにフィルムを巻き
戻すことができる。
【0081】以上のフィルム給送装置では、第2の実施
の形態の振動波モータを用いているが、第1の実施の形
態の振動波モータを用いるのでもよく、この場合ギヤ7
1は第1の実施の形態の振動体におけるギヤ12を用い
る。
【0082】このようなフィルム給送装置に第1または
第2の実施の形態にて説明した振動波モータを用いるこ
とにより、フィルムの巻き上げ力や巻き戻し力の強力な
フィルム給送装置を実現できる。
【0083】なお、上記した各実施形態においては、振
動体を固定し、移動体を移動させるようにしているが、
本発明の振動波駆動装置はこれに限定されるものではな
く、振動体を固定レールに加圧接触させ、該移動体を固
定レールに沿って移動させるようにしてもよく、また振
動体に対して紙やカード等を載置し、紙やカード等を搬
送するようにしたものでも良い。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本出願に係る発明
によれば、圧電素子などの電気−機械エネルギー変換素
子により振動体を構成する起振用振動体部または振動体
柱状部に曲げ振動の合成により形成した進行波で、駆動
面を有する駆動用振動体部または振動体円板部に曲げ変
位の進行波を形成するようにした、すなわち、円板のた
わみ振動を中心軸の曲げ振動に連成させ、駆動用振動体
部または振動体円板部に駆動振動を形成するようにした
ので、駆動用振動体部または振動体円板部の駆動部の径
を大きくすることができ、その結果大出力および大トル
クを得ることができるようになった。
【0085】また、本発明においては、駆動用振動体部
または振動体円板部の駆動部の径に比較して電気−機械
エネルギー変換素子の径を小さくすることができるの
で、経済性に優れた振動波駆動装置を得ることができ
る。
【0086】また、振動体の中心軸の曲げ振動を生じさ
せる起振用振動体部または振動体柱状部に、切欠き部を
設けることにより、振動体の中心軸の曲げ振動の振幅を
拡大し、その結果、より大きな移動体回転速度を得るこ
とができる。
【0087】さらに、振動体の駆動用振動体部または円
板部に、例えば接触体と加圧接触する凸部を設けたの
で、振動体の駆動用振動体部または円板部のたわみ振動
で生ずる周方向変位を拡大し、その結果、より大きな回
転速度を得ることができる。
【0088】また、振動体の軸方向両側部にそれぞれ例
えば円板部を結合し、振動体の形状および振動モード
が、柱状部を2分する面を中心に対称な形状であること
を利用して、各々の円板部に対応して接触体をそれぞれ
もうけたので、さらに大きい出力およびトルクを得るこ
とができる。さらには、この振動体を複数組用意し、こ
れに対応して接触体を用意することで、さらに大きい出
力およびトルクを得ることができる。
【0089】また、従来振動体と接触体(移動体)の加
圧力を増して大トルクを得る場合には、摩擦接触部材の
摩耗により寿命が短くなっていたが、このようなことも
ない。
【0090】また、このようなモータで被駆動体を駆動
することにより、高性能の振動波駆動装置を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の振動波モータの断
面図。
【図2】図1の摩擦接触部材の斜視図。
【図3】図1の振動波モータの軸曲げ−円板たわみ連成
モードを説明する図。
【図4】本発明の第2の実施の形態の振動波モータの断
面図。
【図5】図3の支持部材の平面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態であるカメラの給送
装置の斜視図。
【図7】従来の振動波モータの断面図。
【図8】図7の摩擦接触部の拡大断面図。
【図9】(a)、(b)は図7のモータの振動状態を示
す図。
【図10】図1の圧電素子の斜視図。
【図11】図1の振動波モータの振動体の振動状態を示
す図。
【符号の説明】
1,15 振動体 2 摩擦接触部材 3 円板 4 弾性体 5 圧電素子 6 給電部材 7 押え体 8 支持体 9,18 ナット 10,19 移動体 11 フランジ 12 ギヤ 13,24 加圧バネ 14 上部ナット 16 支持部材 17 中空ボルト 20 移動体固定部材 21 ケース 22 スラスト軸受
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H680 AA01 AA04 AA19 BB03 BB16 BB19 BB20 BC01 CC07 DD01 DD02 DD15 DD23 DD27 DD39 DD40 DD53 DD55 DD57 DD66 DD74 DD83 DD85 DD92 DD97 EE07 EE10 EE12 EE13 FF04 FF08 FF13 FF33 FF36 GG25 GG27

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動用の電気−機械エネルギー変換素子
    に交番信号を印加することにより、駆動用の振動が形成
    される振動体を有する振動波駆動装置において、 前記振動体は、前記電気−機械エネルギー変換素子によ
    り起振用の進行波が形成される起振用振動体部と、前記
    起振用振動体部の振動により励振されて駆動用進行波が
    形成される駆動用振動体部とが一体に形成されることを
    特徴とする振動波駆動装置。
  2. 【請求項2】 駆動用の電気−機械エネルギー変換素子
    に交番信号を印加することにより、駆動用の振動が形成
    される振動体と、前記振動体と加圧接触する接触体とを
    有し、前記振動体と前記接触体とが相対移動する振動波
    駆動装置において、 前記振動体は、前記電気−機械エネルギー変換素子によ
    り起振用の進行波が形成される起振用振動体部と、前記
    起振用振動体部の振動により励振されて駆動用進行波が
    形成される駆動用振動体部とが一体に形成されることを
    特徴とする振動波駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記振動体の起振用振動体部は柱状に形
    成され、前記駆動用振動体部は円板状に形成され、前記
    起振用振動体部の軸中心と前記駆動用振動体部の軸中心
    とを略一致させて一体に形成したことを特徴とする請求
    項1または2に記載の振動波駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記振動体の起振用振動体部には前記電
    気−機械エネルギー変換素子により曲げ振動の合成で起
    振用の進行波が形成され、前記駆動用振動体部には、前
    記起振用の進行波により、前記駆動用振動体部の平面方
    向における曲げ変位による駆動用の進行波が形成される
    ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の振動波
    駆動装置。
  5. 【請求項5】 前記振動体の前記起振用振動体部は、振
    動変位拡大用の切欠き部を有することを特徴とする請求
    項1、2、3または4に記載の振動波駆動装置。
  6. 【請求項6】 前記振動体は、前記駆動用振動体部の駆
    動用進行波が形成される駆動面を凸部としたことを特徴
    とする請求項1、2、3、4または5に記載の振動波駆
    動装置。
  7. 【請求項7】 前記接触体を移動体とし、回転駆動され
    る前記接触体の回転力が伝達されて出力を取り出す回転
    出力部材を有することを特徴とする請求項2、3、4、
    5または6に記載の振動波駆動装置。
  8. 【請求項8】 駆動用の電気−機械エネルギー変換素子
    に交番信号を印加することにより、駆動面に駆動のため
    の振動を形成する振動体と、前記振動体の駆動面に加圧
    手段を介して接触する接触体とを有し、前記振動体と前
    記接触体とは摩擦駆動により相対移動する振動波駆動装
    置において、 前記振動体は、前記電気−機械エネルギー変換素子の駆
    動により中心軸に対して曲げ振動を発生する振動体柱状
    部と、前記振動体柱状部の中心軸に直交する円板のたわ
    み振動を発生する振動体円板部を有し、前記振動体円板
    部のたわみ振動モードと前記振動体柱状部の中心軸の曲
    げ振動モードの連成振動を生じさせることによって、振
    動体の摩擦接触部に駆動のための振動を生じさせること
    を特徴とする振動波駆動装置。
  9. 【請求項9】 中心軸の曲げ振動モードを生じさせる振
    動体柱状部に、中心軸に垂直な平面での断面積が他の部
    分よりも小さいくびれ部を有することを特徴とする請求
    項8に記載の振動波駆動装置。
  10. 【請求項10】 円板のたわみ振動モードを生じさせる
    前記振動体円板部に、前記接触体と加圧接触する径方向
    から見て凸形状の摩擦接触部を有することを特徴とする
    請求項8または9に記載の振動波駆動装置。
  11. 【請求項11】 前記振動体は、前記振動体柱状部の軸
    方向に対して対称の位置に前記振動体円板部を設け、前
    記各振動体円板部の摩擦接触部に対応して前記接触体を
    それぞれ配置したことを特徴とする請求項8、9または
    10に記載の振動波駆動装置。
  12. 【請求項12】 前記接触体を移動体とし、回転駆動さ
    れる前記接触体の回転力が伝達されて出力を取り出す回
    転出力部材を有することを特徴とする請求項8、9、1
    0、または11に記載の振動波駆動装置。
  13. 【請求項13】 軸方向に沿って前記振動体を複数組配
    置し、前記複数組の各振動体に対応の前記各接触体の出
    力を取り出すようにしたことを特徴とする請求項11に
    記載の振動波駆動装置。
  14. 【請求項14】 前記振動体の駆動力を用いて被駆動体
    を駆動することを特徴とする請求項1、3、4、5また
    は6に振動波駆動装置。
  15. 【請求項15】 前記接触体の駆動力を用いて被駆動体
    を駆動することを特徴とする請求項2ないし13のいず
    れかに記載の振動波駆動装置。
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