JP2000272950A - コンクリート構造物におけるにじみ漏水の止水工法 - Google Patents

コンクリート構造物におけるにじみ漏水の止水工法

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JP2000272950A JP7907099A JP7907099A JP2000272950A JP 2000272950 A JP2000272950 A JP 2000272950A JP 7907099 A JP7907099 A JP 7907099A JP 7907099 A JP7907099 A JP 7907099A JP 2000272950 A JP2000272950 A JP 2000272950A
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Nobuo Kayama
信生 香山
Takashi Minato
俊 湊
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Yamax Corp
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Sanko Co Ltd
Yamax Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はコンクリート構造物におけるにじみ
漏水の止水工法に関し、例えばトンネル覆工部、地下鉄
道用のトンネル、マンホール、地下排水用の暗渠、地下
道、貯水槽、共同溝、下水処理槽に生ずるにじみ漏水の
止水を迅速に施工でき、長期に安定した止水層を得る。 【解決手段】 セメントと骨材としての砂とのセメント
−砂比(C/S)が1/1〜1/4(重量比)であり、
硬化時間が5〜15分の急結性能を有する急結セメント
に、ポリマーエマルジョンを10〜30重量%添加して
混練したポリマーセメントモルタルを、予め躯体の止水
個所に固着した網目構造を有する網布ネットに塗付けら
れて硬化させるという手段を採用した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンクリート構造物
におけるにじみ漏水の止水工法に関し、例えばトンネル
の覆工部、地下鉄道用トンネル、マンホール、下水排水
用の暗渠、地下道、貯水槽、共同溝、地下室等のコンク
リート地下構造物、さらには下水処理槽、配水池、浄水
池、プール等のコンクリート構造物に生ずるにじみ漏水
の止水を迅速に施工でき、長期にわたり安定した止水層
が得られるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばトンネルには図7に示すも
のがある。すなわち、コンクートブロックaを断面アー
チ状に積み重ね、このコンクリートブロックa相互をセ
メントモルタルの目地材bを詰めて接合する構造であ
る。そして、コンクリートブロックa相互を接合する目
地材bが、経時に劣化することにより各コンクリートブ
ロックaが脱落して落下するのを補強するためのトンネ
ルTの覆工部cの補強工法として躯体におけるコンクリ
ートブロックaの内側にエキスパンドメタルよりなる金
網dを張付けて補強し、さらに金網dの内側にポリマー
セメントモルタルeを塗付ける方法があった。ところ
で、トンネルは経時の変化により覆工部の表面に漏水を
生ずるが、この漏水の種類には漏水の原因になる水源部
がはっきりと特定できるものと、特定することができな
い、いわゆるにじみ漏水といわれるものがある。そし
て、図7に示すようにトンネルTの覆工部cの補強工法
では、漏水個所の水源部がはっきりと特定できる漏水個
所においては、トンネルT等の覆工部cを貫通させて覆
工部cの背面に達する導水孔を穿設することにより排水
を行いながらポリマーセメントモルタルeを塗付けて補
強を行っていた。また、従来、漏水の原因になる水源部
がはっきりと特定できないが、かなり広い面積にわたっ
て表面に少しづつ漏水がにじみ出る、いわゆるにじみ漏
水部をあらかじめ処理する方法として例えば図8および
図9に示すような急結セメントfを用いる工法があっ
た。この工法は、粉末状の急結セメントfをトンネル
T′等の躯体a′のにじみ漏水部分に、すり込むように
して押え込んで行くと、急結セメントfの粉体がにじみ
漏水を吸水することにより、水と反応して瞬時に硬化す
る。この時、水と接して急結に要する硬化時間は、30
秒〜60秒程度の短時間である。さらに、上層に急結セ
メントfの粉体を塗り付けると、先に急結セメントfが
硬化された層を通してにじみ出て来る水と急結セメント
fとが反応し、硬化する。このような、操作を何度とな
く繰り返すことにより止水層gを形成し、さらにこの止
水層gの内側(上層)にポリマーセメントモルタルhを
塗付けて補強層iを形成していた。このように、ポリマ
ーセメントモルタルhより補強層iを形成するには、あ
らかじめに止水層gを形成することにより止水を行って
からでないと、補強層iを形成することができないもの
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に
示すように、トンネルTの覆工部cの補強工法としてコ
ンクリートブロックaの内側にエキスパンドメタルより
なる金網dを張付けて補強をなし、さらに金網dの内側
にポリマーセメントモルタルeを塗付けるという上記従
来の補強工法は、漏水個所の水源部がはっきりと特定す
ることができないというにじみ漏水については、漏水の
原因になる水源部を特定するのに多くの時間と手間がか
かり、完全な止水を行うことも難しかった。しかも、こ
のようなにじみ漏水の止水処理しないで、ポリマーセメ
ントモルタルeを塗付けてしまうと、ポリマーセメント
モルタルeの背面から常時水が供給される状態になるの
で、ポリマーセメントモルタルeが硬化するまでに塗付
けられたモルタルの含水量が順次増し、折角塗付けたポ
リマーセメントモルタルeが硬化することなく高含水モ
ルタルになって覆工部cから落下し、補強の作業能率が
低下するという不都合があった。こうして、施工が完成
してから半年程度が経過すると、ポリマーセメントモル
タルeにより形成される補強層には多くの亀裂やひび割
れを生じ、この亀裂やひび割れを通じて再び漏水を生じ
たり、補強層が剥離する等、構造的に脆弱なものであっ
た。また図8および図9に示す急結セメントfを用いて
止水を行う上記従来の工法は、急結セメントfよりなる
止水層gの硬化時の体積収縮に起因して覆工部cの内側
(上層)に塗付けられるポリマーセメントモルタルhよ
りなる補強層iには亀裂j′やひび割れを生じ易い。こ
のように、補強層iに生ずる亀裂j′は、急結セメント
fよりなる止水層gの体積収縮により生ずる亀裂jの発
生に起因して生ずることが確認された。そして、この亀
裂j,j′やひび割れを通じて漏水される。しかも、止
水層gが覆工部cから剥離されるという構造的に脆弱な
ものであった。また、急結セメントモルタルよりなる止
水層gを形成するためには、何度となく繰り返し粉末状
の急結セメントfを塗付けなければならないので、止水
には多くの時間と手間がかかって作業能率が低く、しか
も止水層gの厚みt″も必然的に厚いものになってい
た。本発明は上記従来の工法の不都合を解決し、トンネ
ルの覆工部等のコンクリート構造物等の躯体に生ずるに
じみ漏水に対して水源部を特定することなく、迅速かつ
容易な取扱にて作業能率良く施工が行え、また止水層は
体積収縮が小さく亀裂やひび割れが生じにくく止水が確
実に行えるとともに止水層の厚みが薄く形成され、しか
も止水層の内側に形成されるポリマーセメントモルタル
により形成される補強層への影響も少なく、止水層と躯
体とが一体化して剥離することなく長期にわたり構造堅
牢であり安定した止水層が得られ施工が行えるというコ
ンクリート構造物におけるにじみ漏水の止水工法を提供
をはかるものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1は、セ
メントと骨材としての砂とのセメント−砂比(C/S)
が1/1〜1/4(重量比)であり、硬化時間が5〜1
5分の急結性能を有する急結セメントに、ポリマーエマ
ルジョンを10〜30重量%添加して混練したポリマー
セメントモルタルを、予め躯体の止水個所に固着した網
目構造を有する網布ネットに塗付けられて硬化させるこ
とを特徴とするという手段を採用した。
【0005】また本発明の請求項2は、請求項1におい
て前記ポリマーセメントモルタルは、急結セメントと、
砂と、ポリマーエマルジョンと、水とが1:2:1:1
の混合比により混練されることを特徴とするという手段
を採用した。
【0006】また本発明の請求項3は、請求項1または
請求項2の何れかにおいて急結セメントが、カルシウム
アルミネート化合物を含むことを特徴とするという手段
を採用した。
【0007】また本発明の請求項4は、請求項1におい
て前記砂が硅砂であることを特徴とするという手段を採
用した。
【0008】また本発明の請求項5は、請求項4におい
て硅砂の粒度が7〜8号であることを特徴とするという
手段を採用した。
【0009】また本発明の請求項6は、請求項1におい
てポリマーエマルジョンが、アクリル系の樹脂エマルジ
ョンであることを特徴とするという手段を採用した。
【0010】また本発明の請求項7は、請求項1におい
て前記網布ネットは、耐アルカリ性と親水性を有する繊
維にて形成され躯体に対向して固着されるネット基布部
と、該ネット基布部に耐アルカリ性と非親水性を有する
繊維を用いてネット基布部の前面または後面の何れかも
しくは前面および後面の両面に編成されポリマーセメン
トモルタルを固定可能な多数のループ群とにより成る網
目に編成されることを特徴とするという手段を採用し
た。
【0011】また本発明の請求項8は、請求項7におい
てネット基布部は、躯体に対する接触度が大きく安定に
接触する高緻密網目部と、該高緻密網目部相互間に編成
され躯体に対して接触度が小さい疎網目部とが所望配列
に編成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0012】また本発明の請求項9は、請求項7におい
てネット基布部の前面または後面の何れかもしくは前面
および後面に形成される多数のループ群の最長ループ径
は2.5〜5mmに形成されることを特徴とするという
手段を採用した。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の具体
例を図面を参照して説明する。図1ないし図6は本発明
の一実施例を示す。この実施例では、コンクリート構造
物としての躯体としてトンネルの覆工部の止水を行うの
に適用した場合について説明する。図1において1は躯
体としてのトンネル2の覆工部であり、この覆工部1は
図示ではコンクリートにより形成され、にじみ漏水を生
じている。
【0014】3はコンクリートにより形成される躯体と
しての覆工部1に固着される後記網布ネット4に塗付け
て硬化させることにより止水するための止水層であり、
この止水層3はセメントと骨材としての砂とのセメント
−砂比(C/S)が1/1〜1/4(重量比)であり、
その硬化時間が5〜15分、さらに好適な使用例として
5〜10分の急結性能を有する急結セメントに、ポリマ
ーエマルジョンを10〜30重量%添加して混練したポ
リマーセメントモルタルが使用される。
【0015】また、前記ポリマーセメントモルタルは、
急結セメントと、砂と、ポリマーエマルジョンと、水と
が、1:2:1:1の混合比により混練される。そして
本発明に使用される急結セメントは、カルシウムアルミ
ネート化合物を含むアルミナセメントが使用されるが、
急結のための硬化時間は従来の急結セメントとは異なり
5〜15分と比較的穏やかな急結性を発揮する。そし
て、このカルシウムアルミネート化合物には、モノカル
シウムアルミネート(CaO・Al 2 )のほか、C5
3 ,C6 4 FS等が含まれる点は従来と同様である。
【0016】ところが骨材としての前記砂には、硅砂が
使用され、その粒度は7〜8号のものが使用される。こ
のように、砂に硅砂を使用するのは、それ自体収縮がな
く止水層3の体積収縮を無くすためと、止水層3に占め
るセメントの使用比率を小さくするためである。この場
合、セメントと骨材としての砂との混合比率、すなわち
セメント−砂比(C/S)は、前記したように1/1〜
1/4(重量比)の範囲の組成比にて混合されるが、止
水層3の強度等も考慮して1/2〜1/3程度の配合が
さらに好適である。
【0017】また前記ポリマーエマルジョンは、アクリ
ル系の樹脂エマルジョンが使用される。このように、セ
メントと硅砂等の砂との混合物に対して前述したように
ポリマーエマルジョンを混入して混練するのは、ポリマ
ーセメントモルタルとしての止水層3の体積収縮を小さ
くするためである。またポリマーエマルジョンが、ポリ
マーセメントモルタルよりなる硬化体としての止水層3
の空隙部内にポリマー粒子が入り込むことにより透水性
を小さくすることができ、構造的に耐久性のある確実な
止水層3を形成することができる。
【0018】コンクリート製の躯体としての覆工部1の
止水個所に固着される網目構造の前記網布ネット4は、
耐アルカリ性と親水性を有する例えばポリアミド系繊維
にて形成され、躯体に対向して固着されるネット基布部
4aと、アルカリ性のポリマーセメントモルタルが塗付
けられるのを考慮して該ネット基布部4aに耐アルカリ
性と非親水性を有する例えばポリプロピレンよりなる繊
維を用いて図5に示すようにネット基布部4aの前面ま
たは後面の何れかもしくは図6に示すように前面および
後面の両面に編成されポリマーセメントモルタルを固定
可能な多数のループ群4bとよりなる網目に編成され
る。ネット基布部4aまたはループ群4bを編成するに
は、例えばトリコット機のような編機を用いて繊維を前
後左右に絡み合わせながら、縦編みする等して編成され
る。またネット基布部4aを編成するためのポリアミド
系繊維またはループ群4bを編成するためのポリプロピ
レンの繊維の太さは強度を考慮して少なくとも0.2m
mを必要とするが、使用する糸の太さは塗付けるべきポ
リマーセメントモルタルよりなる止水層3の塗付時の厚
みtや施工中に塗り付けられるポリマーセメントモルタ
ルの荷重に対して剛性を発揮して不用意にポリマーセメ
ントモルタルが流動することなく固定を確実になすため
に増減変更は自由に行える。
【0019】また編布ネット4のネット基布部4aは、
例えば図4に示すように躯体に対しての接触度が大きく
安定に接触するような高緻密網目部4a1 と、上下方向
または左右方向に該高緻密網目部4a1 相互間に編成さ
れ、躯体としての覆工部1に対して接触度が小さい疎網
目部4a2 とが所望の網目構造の配列にて編成されてい
る。この際、所望の配列とは、例えば図3,図4に示す
ような格子状、または千鳥格子状、枡状、亀甲状、八角
状、三鱗状等の幾何学的配列をいう。また図5に示すよ
うに網布ネット4のネット基布部4aに対してその前面
または後面の何れかもしくは図6に示すように前面およ
び後面の両面に形成される多数のループ群4bの最長の
ループ径φ、すなわちその高さhは、この実施例では
2.5〜5mmである。従って、また網布ネット4の見
かけの厚さt1 は、図6に示すようにネット基布部4a
の前面および後面に多数のループ群4bを編成した網布
ネット4においては5〜10mmに形成される。また、
ループ群4bのループ径φおよび網布ネット4の厚さt
1 はこれに限ることなく、敷設すべきポリマーセメント
モルタルよりなる止水層3の厚みtに応じて自由に増減
変更される。また網布ネット4を躯体としての覆工部1
に固定するには、図には示さないアンカーピンを用いて
網布ネット4を躯体に固着するほか、接着剤を用いて接
着したり、急結性セメントを固定個所に用いて硬化する
ことにより接着したり、釘を打着する等がある。
【0020】本発明のにじみ漏水の止水工法をコンクリ
ート構造物、例えばトンネル2の覆工部1となる躯体に
適用する場合の一実施例を工程的に説明する。先ず第1
工程としてコンクリート構造物、例えばトンネル2の躯
体としての覆工部1に生ずるにじみ漏水(漏水個所の水
源部がはっきりと特定することはできないが、漏水が表
面ににじみ出ている個所)の止水個所に編目構造を有す
る網布ネット4を止水する個所に対向して固着する。網
布ネット4を躯体に固定するには、アンカーピンを用い
て網布ネット4に固着するほか、接着剤を用いて接着し
たり、急結性セメントを固定個所に用いて硬化すること
により固着したり、釘を打着する等することにより網布
ネット4を固着する。
【0021】次いでセメントと砂とのセメント−砂比
(C/S)が1/1〜1/4(重量比)であり、硬化時
間が5〜15分の急結性能を有する急結セメントに、ポ
リマーエマルジョンを10〜30重量%添加して混練し
たポリマーセメントモルタルを、前工程にて予め躯体の
止水個所に固着した編目構造を有する網布ネット4に塗
布し、硬化させることにより止水層3を形成する。
【0022】上記の施工方法を実施して構築された止水
層3が、例えば前述のポリマーセメントモルタルを網布
ネット4に対して塗付けられると、このネット基布部4
aは耐アルカリ性と親水性を有する例えばポリアミド系
繊維にて形成され、躯体に対して広い接触面積S1 を有
し接触度が大きく安定して接触し、例えば図3、図4に
示すように格子状、千鳥格子状、枡状、亀甲状、八角
状、三鱗状等に編成された高緻密網目部4a1 と、該高
緻密網目部4a1 相互間に編成され接触度が小さい疎網
目部4a2 とにより形成されるので、網布ネット4にポ
リマーセメントモルタルを塗付けた場合に、高緻密網目
部4a1 は躯体に大きな接触面積S1 にて固着されるた
め、塗布時にずり動いたり躯体からの浮き上がりを生ず
ることなく安定に固着されてポリマーセメントモルタル
の塗付作業をこて等の器具を用いて迅速かつ安定に行う
ことができる。
【0023】そして、ポリマーセメントモルタルは、に
じみ漏水を生じている躯体の表面に対して親水性を有す
る例えばポリアミド系繊維によりそれ自体が形成される
高緻密網目部4a1 の高密度の網目の空隙K1 内に詰込
まれて高緻密網目部4a1 と一体化してなじむので、ポ
リマーセメントモルタルの塗付け作業中にポリマーセメ
ントモルタルが塗り付け個所から自重により剥離して崩
れ落ちるすることなく塗布作業が効率良く行える。また
上下方向および左右方向に編成した高緻密網目部4a1
相互間に編成され、高緻密網目部4a1 よりは躯体に対
して接触度が小さい疎網目部4a2 には塗付けられるポ
リマーセメントモルタルが高緻密網目部4a1 における
荒い編目の空隙K2 を通じて直接に躯体に塗付けられて
一体化される。こうして、本発明の急結性セメントは、
従来の急結性セメントに対し5〜15分の比較的ゆっく
りとした硬化時間をかけて急結し、硬化される。
【0024】また図5に示すようにネット基布部4aの
前面または後面の何れか、もしくは図6に示すようにネ
ット基布部4aの前面および後面の両面には例えばポリ
プロピレンのように疎水性を有する繊維により編成さ
れ、最長のループ径φ、すなわち高さhが2.5〜5m
mのループ群4bが多数形成されるので、このループ群
4b内にポリマーセメントモルタルは固定されるため、
自重により流動して不用意に塗り付け個所から落下した
り、剥離することなく、平均してむらのない所望厚みt
の止水層3を一度に迅速かつ確実に塗付けることができ
る。ネット基布部4aの前面および後面の両面に形成さ
れたループ群4bの高さhが2.5〜5mmである場合
には、ネット基布部4aの見かけの厚みt1 は5〜10
mm程度になり、このように見かけの厚みt1 に相当す
る厚みtのポリマーセメントモルタルを一度に塗付けて
止水層3を形成することができる。この止水層3は、少
なくとも6mm以上、例えば約8mm程度の厚みtの止
水層3を形成することにより背面からの漏水に影響され
ずに確実ににじみ漏水を防止することができるとともに
止水層3は引張や圧縮に対して長期にわたって構造堅牢
な仕上がりに形成される。
【0025】ところで、止水層3となるポリマーセメン
トモルタルは、カルシウムアルミネート化合物、例えば
モノカルシウムアルミネート(CaO・Al2 )のほ
か、C 5 3 ,C6 4 FS等を含み、5〜15分程度
の比較的ゆっくりとした硬化時間にて急結するアルミナ
セメントのような急結セメントを用い、しかもこの急結
セメントと、砂と、ポリマーエマルジョンと、水とが、
1:2:1:1の混合比の混合体に対してポリマーエマ
ルジョンを10〜30重量%添加して混練したポリマー
セメントモルタルが使用される。しかも、砂には硅砂が
使用されるので、それ自体収縮がなく止水層3の体積収
縮をなくすことができて止水層3に占めるセメントの使
用比率を小さくすることができるのと、ポリマーエマル
ジョンとして例えばアクリル系のポリマーエマルジョン
を使用するのとからポリマーセメントモルタルよりなる
止水層3は体積収縮することなく形成される。
【0026】この点、従来の急結セメントでは、にじみ
漏水の止水を施工するのに粉末状の急結セメントをにじ
み漏水部分の躯体にすり込むようにして押え込んで行く
と、急結セメントの粉体が水を吸水することにより水と
急結セメントとが反応し、30秒〜60秒の短時間にて
瞬時に硬化する。この上に、さらに急結セメントの粉体
を塗付け、先に硬化させた層を通してにじみ出てくる水
と反応させて硬化させる。そして、上層の急結セメント
を塗付けることにより硬化させるという工程を順次、繰
り返して厚みの厚い止水層gを形成するが、図9に示す
ようにこの急結セメントにより形成される止水層gは体
積収縮されることにより発生する亀裂jが要因になって
ポリマーセメントモルタルよりなる補強層iには亀裂
j′やひび割れが発生されるという不都合を生じてい
た。
【0027】このように、止水層gに亀裂jを生ずるメ
カニズムを分析すると、従来の急結セメントには、種々
の鉱物組成が含まれる。そして、例えばモノカルシウム
アルミネート(CaO・Al2 3 )について考察する
と、モノカルシウムアルミネート(CaO・Al
2 3 )が水和反応によって硬化して形成する結晶構造
CaO・Al2 3 ・10H2 OもしくはCaO・Al
2 3 ・8H2 Oは不安定な結晶構造であり、時間の経
過とともに安定な結晶構造であるCaO・Al2 3
6H2 Oに移行する傾向があった。この移行は転移(C
onversion)と呼ばれるものであり、下記する
ように式(1),(2)で示される。
【0028】 3CaO・Al2 3 ・H10→(CaO)3 ・Al2 3 ・H6 +2(Al2 3 )H3 +18H ……式(1)
【0029】 3(CaO・Al2 3 )・H8 →2(CaO)3 ・Al2 3 ・H6 +Al 2 3 ・H3 +9H ……式(2)
【0030】そして、上記式(1),式(2)中の生成
物の比重を比較すると、CaO・Al2 3 ・H10
1.72、(CaO)3 ・Al2 3 ・H8 が1.95
であるのに対して(CaO)3 ・Al2 3 ・H6
2.52、Al2 3 ・H3 が2.42である。そし
て、転移すれば比重の小さな結晶から比重の大きな結晶
となるので、体積は減少することになる。
【0031】従って、本発明では硬化時間が30〜60
秒の短時間をなす従来の急結セメントのようにセメント
粉単実で硬化させるのではなく、それ自体が収縮がない
硅砂を5〜15分と比較的硬化時間が長い急結セメント
に混合することにより止水層3に占めるセメントの使用
比率を例えばセメントと砂の比率、即ちC/S(重量
比)を強度を考慮して1/2〜1/3程度に小さくした
のと、このような比率のセメントと砂との混合体に対し
てポリマーエマルジョンを混入したこととにより硬化時
間が比較的緩やかな急結セメントを用いたセメントモル
タル硬化体の止水層3の体積収縮を小さくすることがで
きる。これは、止水層3のセメントモルタル硬化体の空
隙部にポリマー粒子が入り込むことにより体積収縮を小
さくすることができるものと考えられる。しかも、ポリ
マーエマルジョンは、にじみ漏水に対して透水性を小さ
くすることができるので、構造的に耐水性のある止水層
3を形成することができる。
【0032】上記説明においては止水層3を形成するた
めのコンクリート製の躯体として、トンネル2の覆工部
1を止水する場合について説明したが、コンクリート製
の躯体はこれに限ることなく例えば地下鉄道用のトンネ
ル、マンホール、下水排水用の暗渠、地下道、貯水槽、
共同溝、地下室等のコンクリート地下構造物、さらには
下水処理槽、配水池、プール等のコンクリート構造物に
生ずるにじみ漏水の止水を迅速に施工でき、構造的に長
期にわたり安定した強度を有する止水層を得ることがで
きる。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明は、セメントと骨材
としての砂とのセメント−砂比(C/S)が1/1〜1
/4(重量比)であり、硬化時間が5〜15分の急結性
能を有する急結セメントに、ポリマーエマルジョンを1
0〜30重量%添加して混練したポリマーセメントモル
タルを、予め躯体の止水個所に固着した網目構造を有す
る網布ネットに塗付けて硬化するようにしたので、例え
ばトンネルの覆工部等のコンクリート構造物等の躯体に
生ずるにじみ漏水に対して水源部を特定することなく、
迅速かつ容易な取扱にて作業能率良く施工が行える。ま
た止水層は体積収縮が小さく亀裂やひび割れが生じにく
く止水が確実に行えるとともに止水層の厚みが薄く形成
され、しかも止水層の内側に形成されるポリマーセメン
トモルタルにより形成される補強層への影響も少なく、
止水層と躯体とが一体化して剥離することなく長期にわ
たり構造堅牢であり安定した止水層が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】同じく拡大断面図である。
【図3】同じく本実施例を構成する網布ネットの一例を
示す斜視図である。
【図4】同じく拡大平面図である。
【図5】同じくネット基布部の下面にループ群を形成し
た網布ネットの一例を示す断面図である。
【図6】同じくネット基布部の上面および下面の両面に
ループ群を形成した網布ネットの他例を示す断面図であ
る。
【図7】トンネルの覆工部の従来の補強工法の一例を示
す断面図である。
【図8】同じくトンネルの覆工部に生ずるにじみ漏水に
対して急結セメントを用いて止水する従来の工法の一例
を示す断面図である。
【図9】同じく止水部に生ずる亀裂に起因して下層のポ
リマーセメントモルタルよりなる補強層に生ずる亀裂を
示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 覆工部 2 トンネル 3 止水層 4 網布ネット 4a ネット基布部 4a1 高緻密網目部 4a2 疎網目部 4b ループ群

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメントと骨材としての砂とのセメント
    −砂比(C/S)が1/1〜1/4(重量比)であり、
    硬化時間が5〜15分の急結性能を有する急結セメント
    に、ポリマーエマルジョンを10〜30重量%添加して
    混練したポリマーセメントモルタルを、予め躯体の止水
    個所に固着した網目構造を有する網布ネットに塗付けら
    れて硬化させることを特徴とするコンクリート構造物に
    おけるにじみ漏水の止水工法。
  2. 【請求項2】 前記ポリマーセメントモルタルは、急結
    セメントと、砂と、ポリマーエマルジョンと、水とが
    1:2:1:1の混合比により混練されることを特徴と
    する請求項1に記載のコンリート構造物におけるにじみ
    漏水の止水工法。
  3. 【請求項3】 急結セメントが、カルシウムアルミネー
    ト化合物を含むことを特徴とする請求項1または請求項
    2の何れかに記載のコンクリート構造物におけるにじみ
    漏水の止水工法。
  4. 【請求項4】 前記砂が硅砂であることを特徴とする請
    求項1に記載のコンクリート構造物におけるにじみ漏水
    の止水工法。
  5. 【請求項5】 硅砂の粒度が7〜8号であることを特徴
    とする請求項4に記載のコンクリート構造物におけるに
    じみ漏水の止水工法。
  6. 【請求項6】 ポリマーエマルジョンが、アクリル系の
    樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1に記
    載のコンクリート構造物におけるにじみ漏水の止水工
    法。
  7. 【請求項7】 前記網布ネットは、耐アルカリ性と親水
    性を有する繊維にて形成され躯体に対向して固着される
    ネット基布部と、該ネット基布部に耐アルカリ性と非親
    水性を有する繊維を用いてネット基布部の前面または後
    面に何れかもしくは前面および後面の両面に編成されポ
    リマーセメントモルタルを固定可能な多数のループ群と
    によりなる網目に編成されることを特徴とする請求項1
    に記載のコンクリート構造物におけるにじみ漏水の止水
    工法。
  8. 【請求項8】 ネット基布部は、躯体に対する接触度が
    大きく安定に接触する高緻密網目部と、該高緻密網目部
    相互間に編成され躯体に対して接触度が小さい疎網目部
    とが所望配列にて編成されることを特徴とする請求項7
    に記載のコンクリート構造物におけるにじみ漏水の止水
    工法。
  9. 【請求項9】 ネット基布部の前面または後面の何れか
    もしくは前面および後面の両面に形成される多数のルー
    プ群の最長ループ径は2.5〜5mmに形成されること
    を特徴とする請求項7に記載のコンクリート構造物にお
    けるにじみ漏水の止水工法。
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