JP2000276950A - 透明導電薄膜 - Google Patents
透明導電薄膜Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 透明導電薄膜の特性向上。
【解決手段】 透明導電薄膜を透明基板10上に、イン
ジウム錫酸化物の透明導電性層12、インジウム錫酸化
物と金属酸化物との混合層14、金属酸化物層をこの順
に形成した3層構造によって構成する。混合層14にお
いて、インジウム錫酸化物と金属酸化物との混合比は、
一定であっても、積層するにつれて変化するようにして
もよい。混合層14の存在により透明導電薄膜の電気抵
抗は低下し、最上層を金属酸化物層16にすること、及
び混合層14との相乗効果で薄膜表面の面粗度を低下さ
せることができ、透過率はITO単独層と同程度が実現
できる。インジウム錫酸化物の層と金属酸化物の層を交
互に積層した多数積層構造によって透明導電薄膜を構成
しても、低い抵抗、低い面粗度で十分な透過率を有する
透明導電薄膜が得られる。
ジウム錫酸化物の透明導電性層12、インジウム錫酸化
物と金属酸化物との混合層14、金属酸化物層をこの順
に形成した3層構造によって構成する。混合層14にお
いて、インジウム錫酸化物と金属酸化物との混合比は、
一定であっても、積層するにつれて変化するようにして
もよい。混合層14の存在により透明導電薄膜の電気抵
抗は低下し、最上層を金属酸化物層16にすること、及
び混合層14との相乗効果で薄膜表面の面粗度を低下さ
せることができ、透過率はITO単独層と同程度が実現
できる。インジウム錫酸化物の層と金属酸化物の層を交
互に積層した多数積層構造によって透明導電薄膜を構成
しても、低い抵抗、低い面粗度で十分な透過率を有する
透明導電薄膜が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、透明導電性薄
膜、例えば、エレクトロルミネッセンス素子(以下EL
素子という)等の電極として用いられる透明電極材料に
関する。
膜、例えば、エレクトロルミネッセンス素子(以下EL
素子という)等の電極として用いられる透明電極材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】透明導電薄膜は、透明かつ導電性である
ことから、液晶表示装置の表示電極や、有機EL素子や
無機EL素子の電極などとして多用されている。一般的
にこの透明導電薄膜には、透過率が高く導電性を示すイ
ンジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)が用い
られている。
ことから、液晶表示装置の表示電極や、有機EL素子や
無機EL素子の電極などとして多用されている。一般的
にこの透明導電薄膜には、透過率が高く導電性を示すイ
ンジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)が用い
られている。
【0003】しかし、導電性を備えると言いつつも、通
常、電極や配線等に用いられるアルミや銅などの金属材
料に比べて電気抵抗が高い。例えば液晶表示装置や、次
世代の表示装置等として注目されているEL素子の表示
装置などの透明電極にITOが用いられるが、表示装置
の大型化への対応や、ジュール熱の発生防止、素子の寿
命向上などの観点で、透明電極の電気抵抗の低下が望ま
れている。
常、電極や配線等に用いられるアルミや銅などの金属材
料に比べて電気抵抗が高い。例えば液晶表示装置や、次
世代の表示装置等として注目されているEL素子の表示
装置などの透明電極にITOが用いられるが、表示装置
の大型化への対応や、ジュール熱の発生防止、素子の寿
命向上などの観点で、透明電極の電気抵抗の低下が望ま
れている。
【0004】このような環境のなか、例えば、ITOに
バナジウム(V)を添加することで電気抵抗を低下させ
ることが可能であることが報告されている(第59回応
用物理学会学術講演会 講演予講集 526,1998,9)。I
TOにバナジウムを添加すれば、透明導電層としての電
気抵抗は低下する。
バナジウム(V)を添加することで電気抵抗を低下させ
ることが可能であることが報告されている(第59回応
用物理学会学術講演会 講演予講集 526,1998,9)。I
TOにバナジウムを添加すれば、透明導電層としての電
気抵抗は低下する。
【0005】ところが、バナジウム添加に起因してIT
Oの結晶粒径が大きくなり、表面粗度が大きくなってし
まうという問題がある。例えば、基板上に、陽極、発光
層を含む有機層及び陰極が順に形成されて構成される有
機EL素子などにおいて、このバナジウムの添加された
ITO層を通常透明な陽極として用いると、陽極の表面
粗度が大きいことにより、電界集中が発生し、薄膜の素
子の駆動耐久性を損ね、素子寿命が短くなってしまう。
Oの結晶粒径が大きくなり、表面粗度が大きくなってし
まうという問題がある。例えば、基板上に、陽極、発光
層を含む有機層及び陰極が順に形成されて構成される有
機EL素子などにおいて、このバナジウムの添加された
ITO層を通常透明な陽極として用いると、陽極の表面
粗度が大きいことにより、電界集中が発生し、薄膜の素
子の駆動耐久性を損ね、素子寿命が短くなってしまう。
【0006】一方、例えば特開平9−063771号公
報には、有機EL素子の陽極として用いられる透明電極
をITO単独層から、ITO層と該ITOより高い仕事
関数を有する金属酸化物層との2層構造を採用し、この
構成により有機層への正孔注入効率を高めることが提案
されている。そして、本出願人の研究の結果、このよう
に透明電極の最上層に金属酸化物層が存在することで、
透明電極の表面の平滑性が高まることがわかっている。
報には、有機EL素子の陽極として用いられる透明電極
をITO単独層から、ITO層と該ITOより高い仕事
関数を有する金属酸化物層との2層構造を採用し、この
構成により有機層への正孔注入効率を高めることが提案
されている。そして、本出願人の研究の結果、このよう
に透明電極の最上層に金属酸化物層が存在することで、
透明電極の表面の平滑性が高まることがわかっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、ITO
層と金属酸化物層の2層構造を有機EL素子の透明電極
として用いた場合、ITOにバナジウムを添加した場合
と異なり、金属酸化物層の存在によって陽極表面を平坦
なものとすることができる。
層と金属酸化物層の2層構造を有機EL素子の透明電極
として用いた場合、ITOにバナジウムを添加した場合
と異なり、金属酸化物層の存在によって陽極表面を平坦
なものとすることができる。
【0008】しかし、金属酸化物は、その抵抗がITO
より高いため、これの金属酸化物層が最上層に存在する
ことで透明電極の電気抵抗は、ITO単独層より高くな
ってしまう。また、金属酸化物層は、可視光全域におい
て透過率が低いため、透明導電薄膜としての透過率を損
ねないようにするには膜厚を薄くせざるを得ない。
より高いため、これの金属酸化物層が最上層に存在する
ことで透明電極の電気抵抗は、ITO単独層より高くな
ってしまう。また、金属酸化物層は、可視光全域におい
て透過率が低いため、透明導電薄膜としての透過率を損
ねないようにするには膜厚を薄くせざるを得ない。
【0009】このように、現在まで、透明電極材料とし
て、低抵抗かつ高透過率で、さらに表面粗度が低いとい
う全ての条件を満たすような材料は提案されていない。
て、低抵抗かつ高透過率で、さらに表面粗度が低いとい
う全ての条件を満たすような材料は提案されていない。
【0010】この発明では、低抵抗で、高透過率かつ面
粗度の低い透明導電薄膜を提供することを目的とする。
粗度の低い透明導電薄膜を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、インジウム錫酸化物を用いた透明導電性
層と、前記透明導電性層上に形成された金属酸化物層
と、を備える透明導電薄膜であって、さらに、該金属酸
化物層と前記透明導電性層との間に、インジウム錫酸化
物と金属酸化物とを含む混合層を備えることを特徴とす
る。
にこの発明は、インジウム錫酸化物を用いた透明導電性
層と、前記透明導電性層上に形成された金属酸化物層
と、を備える透明導電薄膜であって、さらに、該金属酸
化物層と前記透明導電性層との間に、インジウム錫酸化
物と金属酸化物とを含む混合層を備えることを特徴とす
る。
【0012】また、本発明において、上記混合層は、前
記インジウム錫酸化物と金属酸化物とが、一定混合比率
で混合された層とすることができる。または、この混合
層は、前記透明導電性層と前記金属酸化物層との間で混
合比率が変化するよう前記インジウム錫酸化物と前記金
属酸化物とが混合された層であってもよい。
記インジウム錫酸化物と金属酸化物とが、一定混合比率
で混合された層とすることができる。または、この混合
層は、前記透明導電性層と前記金属酸化物層との間で混
合比率が変化するよう前記インジウム錫酸化物と前記金
属酸化物とが混合された層であってもよい。
【0013】これらの透明導電薄膜は、インジウム錫酸
化物からなる透明導電性層が、間に混合層を挟んで表面
が金属酸化物層で覆われている。金属酸化物層は、表面
が滑らかであり、この層が薄膜の最上層として存在する
ことにより透明導電薄膜の表面粗度を非常に小さくする
ことが可能となる。
化物からなる透明導電性層が、間に混合層を挟んで表面
が金属酸化物層で覆われている。金属酸化物層は、表面
が滑らかであり、この層が薄膜の最上層として存在する
ことにより透明導電薄膜の表面粗度を非常に小さくする
ことが可能となる。
【0014】また、中間に混合層を備えるため、抵抗の
高い金属酸化物層が最上層に存在していても、透明導電
薄膜として十分低い電気抵抗を得ることができる。さら
に電気抵抗の問題がないので最上層の金属酸化物層を薄
くでき、インジウム錫酸化物の単独層と遜色ない程度の
透過率を実現できる。また、混合層の厚さや混合比を制
御することで透明導電薄膜の表面粗度を制御できるた
め、この点でも金属酸化物層を薄くすることが容易とな
る。
高い金属酸化物層が最上層に存在していても、透明導電
薄膜として十分低い電気抵抗を得ることができる。さら
に電気抵抗の問題がないので最上層の金属酸化物層を薄
くでき、インジウム錫酸化物の単独層と遜色ない程度の
透過率を実現できる。また、混合層の厚さや混合比を制
御することで透明導電薄膜の表面粗度を制御できるた
め、この点でも金属酸化物層を薄くすることが容易とな
る。
【0015】また、混合層は、透明導電性層と前記金属
酸化物層との間で、インジウム錫酸化物と金属酸化物と
の混合比率が変化する構造とすれば、金属酸化物層と透
明導電性層との間、つまり金属酸化物層と混合層、及び
混合層と透明導電性層との間に実質的に界面が存在しな
いこととなる。従って、界面における干渉による着色が
防止でき、透明電極としての用途に好適である。
酸化物層との間で、インジウム錫酸化物と金属酸化物と
の混合比率が変化する構造とすれば、金属酸化物層と透
明導電性層との間、つまり金属酸化物層と混合層、及び
混合層と透明導電性層との間に実質的に界面が存在しな
いこととなる。従って、界面における干渉による着色が
防止でき、透明電極としての用途に好適である。
【0016】さらに、本発明の他の特徴は、インジウム
錫酸化物と、金属酸化物とを含む透明導電薄膜であっ
て、前記インジウム錫酸化物の層と前記金属酸化物の層
とが交互に積層された多層構造を備えることである。
錫酸化物と、金属酸化物とを含む透明導電薄膜であっ
て、前記インジウム錫酸化物の層と前記金属酸化物の層
とが交互に積層された多層構造を備えることである。
【0017】このような積層構造とした場合、透明導電
性層と金属酸化物層との間、特にインジウム錫酸化物の
層と金属酸化物の層との界面からキャリアが放出される
ため、透明導電薄膜全体としての電気抵抗を小さくする
ことができる。なお、このキャリアの放出は、インジウ
ム錫酸化物の層と金属酸化物の層との界面における歪
や、微小な拡散などにより導入される酸素空孔や、界面
近傍のインジウム錫酸化物中に固溶した金属原子(例え
ばバナジウム原子)に起因するものと考えられる。本発
明では、さらに、各層が交互に積層されることで、互い
に層内での結晶成長が抑制されるため、表面粗度の低い
滑らかな薄膜表面が得られる。
性層と金属酸化物層との間、特にインジウム錫酸化物の
層と金属酸化物の層との界面からキャリアが放出される
ため、透明導電薄膜全体としての電気抵抗を小さくする
ことができる。なお、このキャリアの放出は、インジウ
ム錫酸化物の層と金属酸化物の層との界面における歪
や、微小な拡散などにより導入される酸素空孔や、界面
近傍のインジウム錫酸化物中に固溶した金属原子(例え
ばバナジウム原子)に起因するものと考えられる。本発
明では、さらに、各層が交互に積層されることで、互い
に層内での結晶成長が抑制されるため、表面粗度の低い
滑らかな薄膜表面が得られる。
【0018】また、本発明では、基板上に、透明電極
と、発光層と、金属電極とを備えるエレクトロルミネッ
センス素子であって、前記透明電極は、インジウム錫酸
化物を用いた透明導電性層と、インジウム錫酸化物及び
金属酸化物を含む混合層と、金属酸化物層がこの順に積
層されて構成された透明導電薄膜を用いることを特徴と
する。若しくは前記インジウム錫酸化物の層と前記金属
酸化物の層とが交互に積層された多層構造の透明導電薄
膜を用いることを特徴とする。
と、発光層と、金属電極とを備えるエレクトロルミネッ
センス素子であって、前記透明電極は、インジウム錫酸
化物を用いた透明導電性層と、インジウム錫酸化物及び
金属酸化物を含む混合層と、金属酸化物層がこの順に積
層されて構成された透明導電薄膜を用いることを特徴と
する。若しくは前記インジウム錫酸化物の層と前記金属
酸化物の層とが交互に積層された多層構造の透明導電薄
膜を用いることを特徴とする。
【0019】このような透明導電薄膜をエレクトロルミ
ネセンス素子の透明電極として用いれば、電気抵抗が低
く、かつ十分表面粗度が低く、かつ十分な透過率を備え
る透明電極を得ることができる。従って、この透明電極
上に素子の発光層や陰極を形成することで、信頼性の高
い素子を得ることが可能となる。
ネセンス素子の透明電極として用いれば、電気抵抗が低
く、かつ十分表面粗度が低く、かつ十分な透過率を備え
る透明電極を得ることができる。従って、この透明電極
上に素子の発光層や陰極を形成することで、信頼性の高
い素子を得ることが可能となる。
【0020】また、本発明において、前記金属酸化物と
しては、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、
モリブデン、ルテニウム、タンタル又はタングステンの
いずれの酸化物を用いることができる。このような金属
酸化物は、その厚さや混合比率等を制御することで、透
明導電薄膜の透過率をインジウム錫酸化物と同程度に維
持しつつ、電気抵抗を下げまた表面粗度を小さくするこ
とが可能である。
しては、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、
モリブデン、ルテニウム、タンタル又はタングステンの
いずれの酸化物を用いることができる。このような金属
酸化物は、その厚さや混合比率等を制御することで、透
明導電薄膜の透過率をインジウム錫酸化物と同程度に維
持しつつ、電気抵抗を下げまた表面粗度を小さくするこ
とが可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いてこの発明の好
適な実施の形態(以下実施形態という)について説明す
る。
適な実施の形態(以下実施形態という)について説明す
る。
【0022】[実施形態1]図1は、この発明の実施形
態1に係る透明導電薄膜の構成を示している。この薄膜
は、インジウム錫酸化物(以下ITO)の透明導電性層
12、ITOと金属酸化物の混合層14及び金属酸化物
層16の3層構造より構成される。
態1に係る透明導電薄膜の構成を示している。この薄膜
は、インジウム錫酸化物(以下ITO)の透明導電性層
12、ITOと金属酸化物の混合層14及び金属酸化物
層16の3層構造より構成される。
【0023】インジウム錫酸化物(以下ITO)からな
る透明導電性層12は、例えば、ガラスなどの透明基板
10上に、1〜200nmの厚さに形成され、該透明導
電性層12の上の混合層14は、ITOと金属酸化物と
が1〜99モル%の比率で混合され1〜200nmの厚
さに形成されている。さらに、金属酸化物層16は、混
合層14と同じ金属酸化物が1〜30nmの厚さに積層
形成されている。
る透明導電性層12は、例えば、ガラスなどの透明基板
10上に、1〜200nmの厚さに形成され、該透明導
電性層12の上の混合層14は、ITOと金属酸化物と
が1〜99モル%の比率で混合され1〜200nmの厚
さに形成されている。さらに、金属酸化物層16は、混
合層14と同じ金属酸化物が1〜30nmの厚さに積層
形成されている。
【0024】混合層14及び金属酸化物層16に使用可
能な金属酸化物としては、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリ
ブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(T
a)又はタングステン(W)の酸化物が挙げられる。
能な金属酸化物としては、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリ
ブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(T
a)又はタングステン(W)の酸化物が挙げられる。
【0025】ITOにこれらの金属酸化物を所定の比率
で添加して形成された混合層14は、その電気抵抗が低
いため、本実施形態の透明導電薄膜は、混合層14の存
在によりITO単独層より高い電気伝導度を備える。ま
た、混合層14におけるITOと金属酸化物の混合比を
制御することで、混合層14の表面粗度を制御でき、結
果としてさらに上層の金属酸化物層16の表面粗度を低
下させることができる。
で添加して形成された混合層14は、その電気抵抗が低
いため、本実施形態の透明導電薄膜は、混合層14の存
在によりITO単独層より高い電気伝導度を備える。ま
た、混合層14におけるITOと金属酸化物の混合比を
制御することで、混合層14の表面粗度を制御でき、結
果としてさらに上層の金属酸化物層16の表面粗度を低
下させることができる。
【0026】また、最上層の金属酸化物層16は、それ
自身が透明導電薄膜の表面を平坦化する機能を備えてお
り、上記混合層14との相乗効果によって非常に平滑な
薄膜表面を得ることができる。
自身が透明導電薄膜の表面を平坦化する機能を備えてお
り、上記混合層14との相乗効果によって非常に平滑な
薄膜表面を得ることができる。
【0027】また、混合層14の存在により薄膜が低抵
抗となるため、最上層の金属酸化物層16を薄くするこ
とができ、それにより透明導電薄膜としての透過率の低
下を防ぐことができる。
抗となるため、最上層の金属酸化物層16を薄くするこ
とができ、それにより透明導電薄膜としての透過率の低
下を防ぐことができる。
【0028】従って、透明導電薄膜を以上のようなIT
O層、混合層、金属酸化物層の3層構造とすることで、
低抵抗、低面粗度でかつ高透過率の3つの条件を満たす
薄膜が得られる。
O層、混合層、金属酸化物層の3層構造とすることで、
低抵抗、低面粗度でかつ高透過率の3つの条件を満たす
薄膜が得られる。
【0029】[実施形態2]図2は、本実施形態2に係
る透明導電薄膜の構造を示している。上記実施形態1で
は混合層としてITOと金属酸化物と一定の混合比で形
成しているが、本実施形態2の透明導電薄膜の混合層2
4は、ITOと金属酸化物との混合比が連続的に変化し
ている。
る透明導電薄膜の構造を示している。上記実施形態1で
は混合層としてITOと金属酸化物と一定の混合比で形
成しているが、本実施形態2の透明導電薄膜の混合層2
4は、ITOと金属酸化物との混合比が連続的に変化し
ている。
【0030】図2において、ITOを用いた透明導電性
層12は、例えば、ガラスなどの透明基板10上に、1
〜200nmの厚さに形成され、該透明導電性層12の
上には、ITOと金属酸化物とが混合された混合層24
を1〜200nmの厚さに形成する。この時、混合層2
4は、図2の右側に示すように、積層厚みが増すにつれ
て金属酸化物の金属元素添加濃度が増加するように連続
的に組成を変化させながら形成する。そして、この混合
層24の最上面位置では、金属元素の添加濃度が100
%となるように制御することで、混合層24と連続的に
0.1〜30nmの厚さの金属酸化物層26を形成して
いる。
層12は、例えば、ガラスなどの透明基板10上に、1
〜200nmの厚さに形成され、該透明導電性層12の
上には、ITOと金属酸化物とが混合された混合層24
を1〜200nmの厚さに形成する。この時、混合層2
4は、図2の右側に示すように、積層厚みが増すにつれ
て金属酸化物の金属元素添加濃度が増加するように連続
的に組成を変化させながら形成する。そして、この混合
層24の最上面位置では、金属元素の添加濃度が100
%となるように制御することで、混合層24と連続的に
0.1〜30nmの厚さの金属酸化物層26を形成して
いる。
【0031】また本実施形態2において、混合層14及
び金属酸化物層16に使用可能な金属酸化物としては、
上記実施形態1と同様に、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリ
ブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(T
a)又はタングステン(W)の酸化物が挙げられる。
び金属酸化物層16に使用可能な金属酸化物としては、
上記実施形態1と同様に、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリ
ブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(T
a)又はタングステン(W)の酸化物が挙げられる。
【0032】このように本実施形態2では、混合層24
におけるITOと金属酸化物との混合割合が連続的に変
化しているため、透明導電性層12と最上層の金属酸化
物層26との間、つまり透明導電性層12と混合層24
及び混合層と金属酸化物層26との間に、明確な界面が
存在しない。従って、界面における干渉による透過率の
低下、着色などがない。
におけるITOと金属酸化物との混合割合が連続的に変
化しているため、透明導電性層12と最上層の金属酸化
物層26との間、つまり透明導電性層12と混合層24
及び混合層と金属酸化物層26との間に、明確な界面が
存在しない。従って、界面における干渉による透過率の
低下、着色などがない。
【0033】また、上記実施形態1と同様に、低抵抗
で、平坦な薄膜表面を有し、十分な透過率を有する透明
導電薄膜を得ることが可能となる。
で、平坦な薄膜表面を有し、十分な透過率を有する透明
導電薄膜を得ることが可能となる。
【0034】[実施形態3]図3は、実施形態3に係る
透明導電薄膜の構造を示している。本実施形態3の薄膜
は、ITO層32と金属酸化物層34とが交互に積層さ
れた多層構造を備えている。例えば、5〜50nmの厚
さのITO層32と、0.5〜3nmの金属酸化物層3
4との2層積層構造を1組とし、これを透明基板10の
上に2組以上のn組、例えば30組積層する。また、こ
のとき、薄膜の最上層が金属酸化物層34となるように
積層する。
透明導電薄膜の構造を示している。本実施形態3の薄膜
は、ITO層32と金属酸化物層34とが交互に積層さ
れた多層構造を備えている。例えば、5〜50nmの厚
さのITO層32と、0.5〜3nmの金属酸化物層3
4との2層積層構造を1組とし、これを透明基板10の
上に2組以上のn組、例えば30組積層する。また、こ
のとき、薄膜の最上層が金属酸化物層34となるように
積層する。
【0035】このようなITO層と金属酸化物層の積層
構造によって透明導電薄膜を構成することで、金属酸化
物層34とITO層32との界面からキャリアが放出さ
れる。これは界面における歪や微少な拡散などにより導
入される酸素空孔や界面近傍のITO中に固溶した金属
原子(バナジウム原子)の存在によるものと考えられ
る。従って、透明導電薄膜の電気抵抗は金属酸化物層、
ITO層それぞれ単独の場合の電気抵抗よりも低くな
る。また、可視光領域における透過率を低下させる原因
となる金属酸化物層34は積層構造の採用によりそれぞ
れ非常に薄い層で十分機能を発揮することができ、本実
施形態3の薄膜は、ITO単独層と同程度の透過率を実
現することができる。また、ITO/金属酸化物/IT
O/・・/金属酸化物という積層構造とすることで、各
層が薄く、層内でのITO、金属酸化物の結晶成長がそ
れぞれ抑制される。従って面粗度の小さい滑らかな薄膜
表面を得ることが可能となる。
構造によって透明導電薄膜を構成することで、金属酸化
物層34とITO層32との界面からキャリアが放出さ
れる。これは界面における歪や微少な拡散などにより導
入される酸素空孔や界面近傍のITO中に固溶した金属
原子(バナジウム原子)の存在によるものと考えられ
る。従って、透明導電薄膜の電気抵抗は金属酸化物層、
ITO層それぞれ単独の場合の電気抵抗よりも低くな
る。また、可視光領域における透過率を低下させる原因
となる金属酸化物層34は積層構造の採用によりそれぞ
れ非常に薄い層で十分機能を発揮することができ、本実
施形態3の薄膜は、ITO単独層と同程度の透過率を実
現することができる。また、ITO/金属酸化物/IT
O/・・/金属酸化物という積層構造とすることで、各
層が薄く、層内でのITO、金属酸化物の結晶成長がそ
れぞれ抑制される。従って面粗度の小さい滑らかな薄膜
表面を得ることが可能となる。
【0036】なお、上記実施形態1及び2と同様に、金
属酸化物としては、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリ
ブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(T
a)又はタングステン(W)の酸化物を用いることがで
きる。
属酸化物としては、チタン(Ti)、バナジウム
(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリ
ブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(T
a)又はタングステン(W)の酸化物を用いることがで
きる。
【0037】[実施形態4]本実施形態4では、上記実
施形態1〜3に係る透明導電薄膜を有機EL素子の透明
電極として用いる。図4は、このような有機EL素子の
構成を示している。図示するように、ガラス等の透明基
板10上に、透明電極40、有機化合物層42及びMg
Ag等の金属材料を金属電極48がこの順に形成されて
いる。有機化合物層42は、有機発光層の単層構造、有
機正孔輸送層と有機発光層との2層構造、又は有機正孔
輸送層と有機発光層と有機電子輸送層との3層構造のい
ずれかによって構成することができ、図4に示す例では
有機正孔輸送層44と有機発光層46の2層構造を有し
ている。この構成において、透明電極40を陽極、金属
電極48を陰極として有機化合物層42に直流電流を流
し、陽極から正孔、陰極から電子を注入することで、発
光層において注入された正孔と電子が再結合し、有機発
光分子が励起され基底状態に戻る際に有機発光分子に応
じた蛍光を得る。
施形態1〜3に係る透明導電薄膜を有機EL素子の透明
電極として用いる。図4は、このような有機EL素子の
構成を示している。図示するように、ガラス等の透明基
板10上に、透明電極40、有機化合物層42及びMg
Ag等の金属材料を金属電極48がこの順に形成されて
いる。有機化合物層42は、有機発光層の単層構造、有
機正孔輸送層と有機発光層との2層構造、又は有機正孔
輸送層と有機発光層と有機電子輸送層との3層構造のい
ずれかによって構成することができ、図4に示す例では
有機正孔輸送層44と有機発光層46の2層構造を有し
ている。この構成において、透明電極40を陽極、金属
電極48を陰極として有機化合物層42に直流電流を流
し、陽極から正孔、陰極から電子を注入することで、発
光層において注入された正孔と電子が再結合し、有機発
光分子が励起され基底状態に戻る際に有機発光分子に応
じた蛍光を得る。
【0038】本実施形態4では、この有機EL素子の透
明電極40として、上述の実施形態1又は2に係るIT
O透明導電性層/ITO・金属酸化物の混合層/金属酸
化物層からなる3層構造の透明導電薄膜、又は、実施形
態3に係るITO層/金属酸化物層の多層積層構造の透
明導電薄膜を用いる。上述の実施形態1〜3に示すよう
な透明導電薄膜は、その表面の平滑性が高いため、これ
を透明電極40として用いることで、電極40と上層の
有機化合物層42との密着性を高めることができ、素子
の寿命を延ばすことが可能となる。また、実施形態1〜
3の透明導電薄膜は電気抵抗が低いため、これらの薄膜
を透明電極として用いれば、有機層にダメージを与えや
すいジュール熱の発生を抑制でき、この観点からも素子
の寿命向上に寄与する。また低抵抗であることから、有
機EL表示装置又は平面光源の大型化にも対応すること
が可能となる。もちろん、この透明電極40は、実用上
ITO単独層と同等の十分高い透過率を有する。
明電極40として、上述の実施形態1又は2に係るIT
O透明導電性層/ITO・金属酸化物の混合層/金属酸
化物層からなる3層構造の透明導電薄膜、又は、実施形
態3に係るITO層/金属酸化物層の多層積層構造の透
明導電薄膜を用いる。上述の実施形態1〜3に示すよう
な透明導電薄膜は、その表面の平滑性が高いため、これ
を透明電極40として用いることで、電極40と上層の
有機化合物層42との密着性を高めることができ、素子
の寿命を延ばすことが可能となる。また、実施形態1〜
3の透明導電薄膜は電気抵抗が低いため、これらの薄膜
を透明電極として用いれば、有機層にダメージを与えや
すいジュール熱の発生を抑制でき、この観点からも素子
の寿命向上に寄与する。また低抵抗であることから、有
機EL表示装置又は平面光源の大型化にも対応すること
が可能となる。もちろん、この透明電極40は、実用上
ITO単独層と同等の十分高い透過率を有する。
【0039】さらに金属酸化物材料の選択により陽極表
面を仕事関数の大きな金属酸化物で覆うことができ、正
孔輸送層44の仕事関数との差が小さくなり、陽極−正
孔輸送層間で仕事関数の差により生ずる障壁を低くでき
る。このため、透明電極40から正孔輸送層44への正
孔の注入が容易となり、素子駆動電圧を低下させること
も可能となる。
面を仕事関数の大きな金属酸化物で覆うことができ、正
孔輸送層44の仕事関数との差が小さくなり、陽極−正
孔輸送層間で仕事関数の差により生ずる障壁を低くでき
る。このため、透明電極40から正孔輸送層44への正
孔の注入が容易となり、素子駆動電圧を低下させること
も可能となる。
【0040】[実施形態5]本実施形態5では、上記実
施形態1〜3に係る透明導電薄膜を無機EL素子の透明
電極として用いる。図5は、この無機EL素子の構成を
示している。無機EL素子では、上述の有機EL素子と
異なり、無機発光材料を発光層52に用い、無機発光層
52と透明電極40との間に第1絶縁層50を形成し、
無機発光層52と金属電極56との間に第2絶縁層54
を形成する。そして、透明電極40と金属電極56との
間に交流電源を接続し、無機発光層52に電界を印加す
ることで無機発光材料を励起させ発光させる。
施形態1〜3に係る透明導電薄膜を無機EL素子の透明
電極として用いる。図5は、この無機EL素子の構成を
示している。無機EL素子では、上述の有機EL素子と
異なり、無機発光材料を発光層52に用い、無機発光層
52と透明電極40との間に第1絶縁層50を形成し、
無機発光層52と金属電極56との間に第2絶縁層54
を形成する。そして、透明電極40と金属電極56との
間に交流電源を接続し、無機発光層52に電界を印加す
ることで無機発光材料を励起させ発光させる。
【0041】このような無機EL素子の透明電極40と
して上記実施形態4と同様に実施形態1〜3のような透
明導電薄膜を用いれば、透明電極40の表面の平滑性を
高めることができ、上層の発光層52などとの密着性を
高めることができ、素子の寿命を延ばすことが可能とな
る。また、透明電極40の電気抵抗を低くすることがで
きるため、これらの薄膜を透明電極として用いてより大
型の素子、例えばより大型の無機EL表示装置又は平面
光源などを製造することが可能となる。
して上記実施形態4と同様に実施形態1〜3のような透
明導電薄膜を用いれば、透明電極40の表面の平滑性を
高めることができ、上層の発光層52などとの密着性を
高めることができ、素子の寿命を延ばすことが可能とな
る。また、透明電極40の電気抵抗を低くすることがで
きるため、これらの薄膜を透明電極として用いてより大
型の素子、例えばより大型の無機EL表示装置又は平面
光源などを製造することが可能となる。
【0042】[実施形態6]実施形態6では、上記実施
形態1〜3に係る透明導電薄膜をEC(electrochromi
c)素子の透明電極として用いる。図6は、このEC素
子の一例としてEC防眩ミラーの構成を示している。
形態1〜3に係る透明導電薄膜をEC(electrochromi
c)素子の透明電極として用いる。図6は、このEC素
子の一例としてEC防眩ミラーの構成を示している。
【0043】図示するようにこのEC防眩ミラーは、ガ
ラス等の透明基板10上に透明電極40、第1EC層
(WO3)60、絶縁層62、第2EC層(IrOx)6
4及び金属電極66を備える。陽極である透明電極40
と陰極である金属電極66との間に直流電源を接続す
る。これにより、各EC層60、64には、両電極及び
間に介在する絶縁層62の働きによって、電荷又はHイ
オンなどが注入され、EC層60、64の色が変化す
る。そして、この色の変化を利用して透明基板10側で
観察される不要な反射光を選択的にカットする。
ラス等の透明基板10上に透明電極40、第1EC層
(WO3)60、絶縁層62、第2EC層(IrOx)6
4及び金属電極66を備える。陽極である透明電極40
と陰極である金属電極66との間に直流電源を接続す
る。これにより、各EC層60、64には、両電極及び
間に介在する絶縁層62の働きによって、電荷又はHイ
オンなどが注入され、EC層60、64の色が変化す
る。そして、この色の変化を利用して透明基板10側で
観察される不要な反射光を選択的にカットする。
【0044】このEC防眩ミラーのようなEC素子の透
明電極として上記実施形態4及び5と同様に実施形態1
〜3のような透明導電薄膜を用いることで、透過率を低
下させることなく、透明電極40の表面の平滑性を高め
ることができ、上層のEC層60などとの密着性が高ま
るため、素子寿命を延ばすことが可能となる。また、透
明電極40の電気抵抗が低くなるため、これらの薄膜を
透明電極として用いてより大型のEC素子、例えば大型
EC防眩ミラーを製造することが可能となる。
明電極として上記実施形態4及び5と同様に実施形態1
〜3のような透明導電薄膜を用いることで、透過率を低
下させることなく、透明電極40の表面の平滑性を高め
ることができ、上層のEC層60などとの密着性が高ま
るため、素子寿命を延ばすことが可能となる。また、透
明電極40の電気抵抗が低くなるため、これらの薄膜を
透明電極として用いてより大型のEC素子、例えば大型
EC防眩ミラーを製造することが可能となる。
【0045】
【実施例】(実施例1)上記実施形態1に係る均一な混
合比の混合層を有する透明導電薄膜の実施例について以
下説明する。なお、構成は図1と同様である。透明基板
10としてガラス基板(コーニング社製のコーニング7
059)を用い、このガラス基板10上にITOを80
nm積層して透明導電性層12を形成した。次に、金属
酸化物としては酸化バナジウムを用い、透明導電性層1
2上に、混合層14として10体積%の酸化バナジウム
を含むITO混合層(均一組成)を20nm形成した。
さらに混合層14上には、金属酸化物層16として10
nmの厚さに酸化バナジウム層を形成した。これらの各
層12、14及び16は全て高周波マグネトロンスパッ
タ法を用い、下表1
合比の混合層を有する透明導電薄膜の実施例について以
下説明する。なお、構成は図1と同様である。透明基板
10としてガラス基板(コーニング社製のコーニング7
059)を用い、このガラス基板10上にITOを80
nm積層して透明導電性層12を形成した。次に、金属
酸化物としては酸化バナジウムを用い、透明導電性層1
2上に、混合層14として10体積%の酸化バナジウム
を含むITO混合層(均一組成)を20nm形成した。
さらに混合層14上には、金属酸化物層16として10
nmの厚さに酸化バナジウム層を形成した。これらの各
層12、14及び16は全て高周波マグネトロンスパッ
タ法を用い、下表1
【表1】 に示すような成膜条件で成膜した。
【0046】(実施例2)上記実施形態3に係るITO
層と金属酸化物層との多層積層構造からなる透明導電薄
膜の実施例について以下説明する。構成は図3と同様で
ある。透明基板10としてガラス基板(コーニング社製
のコーニング7059)を用い、このガラス基板10上
に、高周波マグネトロンスパッタリング法によりITO
層32、酸化バナジウム層34の多層積層膜を形成し
た。成膜条件は下表2
層と金属酸化物層との多層積層構造からなる透明導電薄
膜の実施例について以下説明する。構成は図3と同様で
ある。透明基板10としてガラス基板(コーニング社製
のコーニング7059)を用い、このガラス基板10上
に、高周波マグネトロンスパッタリング法によりITO
層32、酸化バナジウム層34の多層積層膜を形成し
た。成膜条件は下表2
【表2】 に示す通りである。透明導電薄膜の最上面が酸化バナジ
ウム層34となるように、10nmの厚さのITO層3
2と1nmの厚さの酸化バナジウム層34とを一組と
し、かつITO層32と酸化バナジウム層34が交互に
積層されるようガラス基板10上に計10組積層した。
ウム層34となるように、10nmの厚さのITO層3
2と1nmの厚さの酸化バナジウム層34とを一組と
し、かつITO層32と酸化バナジウム層34が交互に
積層されるようガラス基板10上に計10組積層した。
【0047】(比較例)比較例として、従来のITO単
独層構造の透明導電薄膜(a)、ITO/酸化バナジウ
ム2層構造の透明導電薄膜(b)、バナジウムが均一割
合で添加されたITO層からなる透明導電薄膜(c)を
作成した。成膜条件は下表3
独層構造の透明導電薄膜(a)、ITO/酸化バナジウ
ム2層構造の透明導電薄膜(b)、バナジウムが均一割
合で添加されたITO層からなる透明導電薄膜(c)を
作成した。成膜条件は下表3
【表3】 に示す通りである。
【0048】(評価結果)図7は、比較例の透明導電薄
膜[(a)ITO単独層、(b)ITO/酸化バナジウ
ム2層構造、(c)バナジウム添加ITO層]、本発明
の透明導電薄膜[(d)実施例1、(e)実施例2]に
ついて、それぞれ抵抗率を測定した結果を示している。
また、図8は、上記(a)〜(c)の従来の透明導電薄
膜のSEM像による表面状態、同様に図9は上記実施例
1(d)及び実施例2(e)の透明導電薄膜のSEM像
による表面状態を示している。
膜[(a)ITO単独層、(b)ITO/酸化バナジウ
ム2層構造、(c)バナジウム添加ITO層]、本発明
の透明導電薄膜[(d)実施例1、(e)実施例2]に
ついて、それぞれ抵抗率を測定した結果を示している。
また、図8は、上記(a)〜(c)の従来の透明導電薄
膜のSEM像による表面状態、同様に図9は上記実施例
1(d)及び実施例2(e)の透明導電薄膜のSEM像
による表面状態を示している。
【0049】まず、各薄膜の抵抗率を比較すると、IT
O単独層による透明導電薄膜(a)は、抵抗率が3.0
5×10-3Ω・cmと高く、ITO層/酸化バナジウム
層の2層構造からなる透明導電薄膜(b)は、3.74
×10-3Ω・cmとさらに抵抗率が高くなっている。一
方、バナジウム添加ITOからなる透明導電薄膜(c)
は、2.33×10-3Ω・cmと低抵抗率となってい
る。
O単独層による透明導電薄膜(a)は、抵抗率が3.0
5×10-3Ω・cmと高く、ITO層/酸化バナジウム
層の2層構造からなる透明導電薄膜(b)は、3.74
×10-3Ω・cmとさらに抵抗率が高くなっている。一
方、バナジウム添加ITOからなる透明導電薄膜(c)
は、2.33×10-3Ω・cmと低抵抗率となってい
る。
【0050】これらに対し、実施例1の3層構造の透明
導電薄膜(d)では、上記(c)と同程度の2.37×
10-3Ω・cmと低い抵抗率が達成できている。更に、
実施例2の多層積層構造の透明導電薄膜(e)は、1.
33×10-3Ω・cmと非常に低い抵抗率が得られてい
る。
導電薄膜(d)では、上記(c)と同程度の2.37×
10-3Ω・cmと低い抵抗率が達成できている。更に、
実施例2の多層積層構造の透明導電薄膜(e)は、1.
33×10-3Ω・cmと非常に低い抵抗率が得られてい
る。
【0051】各薄膜の表面の平滑性は、まず従来の
(a)〜(c)について見ると、最上層に酸化バナジウ
ム層を有する薄膜(b)の平滑性が最も高い。ITO単
独の薄膜(a)は、この薄膜(b)に比較すると平滑性
は劣っている。そして、最も低抵抗なバナジウム添加I
TOからなる薄膜(c)は、表面にかなりの凹凸が認め
られ平滑性が最も悪いことがわかる。
(a)〜(c)について見ると、最上層に酸化バナジウ
ム層を有する薄膜(b)の平滑性が最も高い。ITO単
独の薄膜(a)は、この薄膜(b)に比較すると平滑性
は劣っている。そして、最も低抵抗なバナジウム添加I
TOからなる薄膜(c)は、表面にかなりの凹凸が認め
られ平滑性が最も悪いことがわかる。
【0052】これらに対し、まず実施例1に係る薄膜
(d)は、ITO/酸化バナジウムの2層構造の薄膜
(b)よりは多少劣る。しかし、平滑性については薄膜
(c)よりも高く、ITO単独層の薄膜(a)と同程度
である。また、実施例2に係る多層積層構造の薄膜
(e)は、ITO単独の薄膜(a)と同等、又はこれよ
り滑らかで平滑性のよい表面が得られている。このよう
に薄膜(e)において、表面粗度の低い滑らかな表面が
得られているのは、上述のように、最上層に金属酸化物
層が存在することに加え、積層構造であることにより、
金属酸化物層とITO層での結晶成長を互いに抑制し、
特に酸化バナジウム層がITO層内での結晶粒の成長を
抑制しているためであると考えられる。
(d)は、ITO/酸化バナジウムの2層構造の薄膜
(b)よりは多少劣る。しかし、平滑性については薄膜
(c)よりも高く、ITO単独層の薄膜(a)と同程度
である。また、実施例2に係る多層積層構造の薄膜
(e)は、ITO単独の薄膜(a)と同等、又はこれよ
り滑らかで平滑性のよい表面が得られている。このよう
に薄膜(e)において、表面粗度の低い滑らかな表面が
得られているのは、上述のように、最上層に金属酸化物
層が存在することに加え、積層構造であることにより、
金属酸化物層とITO層での結晶成長を互いに抑制し、
特に酸化バナジウム層がITO層内での結晶粒の成長を
抑制しているためであると考えられる。
【0053】(実施例3)次に、実施例3として、金属
酸化物層の成膜時に導入酸素量をそれぞれ変えて作製し
た透明導電薄膜、及びこの透明導電薄膜を用いて作製し
た有機EL素子について説明する。
酸化物層の成膜時に導入酸素量をそれぞれ変えて作製し
た透明導電薄膜、及びこの透明導電薄膜を用いて作製し
た有機EL素子について説明する。
【0054】市販のITO付きガラス基板上に、高周波
マグネトロンスパッタ法を用いてITO中に10体積%
の酸化バナジウムを含んだ混合層を10nm成膜し、さ
らにその上に高周波マグネトロンスパッタ法により金属
酸化物層として、10nmの酸化バナジウムを成膜し
た。これら混合層及び金属酸化物層の成膜条件は、下表
4
マグネトロンスパッタ法を用いてITO中に10体積%
の酸化バナジウムを含んだ混合層を10nm成膜し、さ
らにその上に高周波マグネトロンスパッタ法により金属
酸化物層として、10nmの酸化バナジウムを成膜し
た。これら混合層及び金属酸化物層の成膜条件は、下表
4
【表4】 に示す。酸化バナジウム成膜の際には酸素/(アルゴン
+酸素)混合比を0、1、2、2.5、5体積%にした
スパッタリングガスを用いた。なお、混合層の作製には
純アルゴンガスを用いた。
+酸素)混合比を0、1、2、2.5、5体積%にした
スパッタリングガスを用いた。なお、混合層の作製には
純アルゴンガスを用いた。
【0055】上記方法にて作製した透明導電性薄膜、及
び基板上に予め作製されていたITOのシート抵抗、仕
事関数、およびX線回折法により求めた酸化バナジウム
層の結晶構造を下表5
び基板上に予め作製されていたITOのシート抵抗、仕
事関数、およびX線回折法により求めた酸化バナジウム
層の結晶構造を下表5
【表5】 に示す。すべての試料において、得られたシート抵抗は
基板のITOとほとんど変わらず、仕事関数はほぼ5.
4eVと基板のITOよりも大きな値を示した。またス
パッタリングガス中の酸素/(アルゴン+酸素)混合比
を増やしていくと酸化バナジウムの結晶構造が非晶質か
らV2O5結晶に変化しており、その変化は酸素/(アル
ゴン+酸素)混合比が2体積%から2.5体積%の間で
起こっていた。図10及び図11は、作製した上記透明
導電薄膜及び基板上に予め形成されたITOの表面SE
M像を示している。これらの図からもV2O5結晶化が起
こる条件である酸素/(アルゴン+酸素)混合比が2体
積%から2.5体積%の近傍で非常に平滑な表面が得ら
れていることが分かる。
基板のITOとほとんど変わらず、仕事関数はほぼ5.
4eVと基板のITOよりも大きな値を示した。またス
パッタリングガス中の酸素/(アルゴン+酸素)混合比
を増やしていくと酸化バナジウムの結晶構造が非晶質か
らV2O5結晶に変化しており、その変化は酸素/(アル
ゴン+酸素)混合比が2体積%から2.5体積%の間で
起こっていた。図10及び図11は、作製した上記透明
導電薄膜及び基板上に予め形成されたITOの表面SE
M像を示している。これらの図からもV2O5結晶化が起
こる条件である酸素/(アルゴン+酸素)混合比が2体
積%から2.5体積%の近傍で非常に平滑な表面が得ら
れていることが分かる。
【0056】上記透明導電薄膜をそれぞれ陽極として図
12に示すような構造の有機EL素子を作製した。正孔
輸送層として60nmのトリフェニルアミン5量体(T
PTE)、発光層として60nmのアルミキノリノール
錯体(Alq3)、電子注入層として0.5nmのフッ
化リチウム(LiF)、陰極として150nmのアルミ
ニウム(Al)を用い、これらの層は全て真空蒸着法に
より成膜した。
12に示すような構造の有機EL素子を作製した。正孔
輸送層として60nmのトリフェニルアミン5量体(T
PTE)、発光層として60nmのアルミキノリノール
錯体(Alq3)、電子注入層として0.5nmのフッ
化リチウム(LiF)、陰極として150nmのアルミ
ニウム(Al)を用い、これらの層は全て真空蒸着法に
より成膜した。
【0057】上記方法により作製した有機EL素子の1
mA駆動時の素子への印加電圧、輝度100cd/m2
の時の発光効率、及び初期輝度2400cd/m2で定
電流駆動した際の輝度半減寿命について測定した結果は
下表6に示した。
mA駆動時の素子への印加電圧、輝度100cd/m2
の時の発光効率、及び初期輝度2400cd/m2で定
電流駆動した際の輝度半減寿命について測定した結果は
下表6に示した。
【0058】
【表6】 この表に示されるように実施例3に係る全ての有機EL
素子において、比較例として形成したITOを陽極とし
た有機EL素子と比べ、低電圧駆動、高効率、長寿命を
達成している。しかし、V2O5の結晶化が起こる条件で
ある酸素/(アルゴン+酸素)混合比が2体積%から
2.5体積%の近傍で酸化バナジウムを成膜した素子で
は、特に上記特性に優れた有機EL素子が得られた。
素子において、比較例として形成したITOを陽極とし
た有機EL素子と比べ、低電圧駆動、高効率、長寿命を
達成している。しかし、V2O5の結晶化が起こる条件で
ある酸素/(アルゴン+酸素)混合比が2体積%から
2.5体積%の近傍で酸化バナジウムを成膜した素子で
は、特に上記特性に優れた有機EL素子が得られた。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る透
明導電薄膜は、インジウム錫酸化物の透明導電性層と、
インジウム錫酸化物と金属酸化物との混合層と、金属酸
化物層の3層構造から構成する。または、インジウム錫
酸化物の層と金属酸化物の層を交互に積層した多数積層
構造から構成する。これにより、透過率を低下させるこ
となく、電気抵抗を低下させ、かつ平滑な表面を有する
透明導電薄膜を実現することができる。
明導電薄膜は、インジウム錫酸化物の透明導電性層と、
インジウム錫酸化物と金属酸化物との混合層と、金属酸
化物層の3層構造から構成する。または、インジウム錫
酸化物の層と金属酸化物の層を交互に積層した多数積層
構造から構成する。これにより、透過率を低下させるこ
となく、電気抵抗を低下させ、かつ平滑な表面を有する
透明導電薄膜を実現することができる。
【図1】 本発明の実施形態1に係る透明導電薄膜の構
成を示す図である。
成を示す図である。
【図2】 本発明の実施形態2に係る透明導電薄膜の構
成を示す図である。
成を示す図である。
【図3】 本発明の実施形態3に係る透明導電薄膜の構
成を示す図である。
成を示す図である。
【図4】 本発明の実施形態4に係る有機EL素子の構
成を示す図である。
成を示す図である。
【図5】 本発明の実施形態5に係る無機EL素子の構
成を示す図である。
成を示す図である。
【図6】 本発明の実施形態6に係るエレクトロクロミ
ック防眩ミラーの構成を示す図である。
ック防眩ミラーの構成を示す図である。
【図7】 従来及び本発明の実施例に係る透明導電薄膜
の抵抗率を比較した図である。
の抵抗率を比較した図である。
【図8】 従来の透明導電薄膜の表面のSEM像を示す
図である。
図である。
【図9】 本発明の実施例に係る透明導電薄膜の表面の
SEM像を示す図である。
SEM像を示す図である。
【図10】 本発明の実施例に係る透明導電薄膜の表面
のSEM像を示す図である。
のSEM像を示す図である。
【図11】 本発明の実施例に係る透明導電薄膜の表面
のSEM像を示す図である。
のSEM像を示す図である。
【図12】 本発明の実施例に係る有機EL素子の構造
を示す図である。
を示す図である。
10 透明基板、12 透明導電性層(ITO層)、1
4,24 混合層、16,26,34 金属酸化物層、
32 ITO層、40 透明電極、42 有機化合物
層、44 有機正孔輸送層、46 有機発光層、48,
56,66 金属電極、50 第1絶縁層、52 無機
発光層、54 第2絶縁層、60 第1EC層、62
絶縁層、64 第2EC層。
4,24 混合層、16,26,34 金属酸化物層、
32 ITO層、40 透明電極、42 有機化合物
層、44 有機正孔輸送層、46 有機発光層、48,
56,66 金属電極、50 第1絶縁層、52 無機
発光層、54 第2絶縁層、60 第1EC層、62
絶縁層、64 第2EC層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多賀 康訓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4F100 AA17A AA17B AA17C AA28A AA28B BA03 BA07 BA08 BA10A BA10C GB41 JG01 JG01A JG04 JK14 JN01 JN01A 5G307 FA01 FB01 FC09 FC10
Claims (3)
- 【請求項1】 インジウム錫酸化物を用いた透明導電性
層と、 上層として形成された金属酸化物層と、を備え、 さらに、該金属酸化物層と前記透明導電性層との間に、
インジウム錫酸化物と金属酸化物とを含む混合層を備え
ることを特徴とする透明導電薄膜。 - 【請求項2】 請求項1に記載の透明導電薄膜におい
て、 前記混合層は、 前記インジウム錫酸化物と金属酸化物とが、一定混合比
率で混合され、又は前記透明導電性層と前記金属酸化物
層との間で混合比率が変化するよう前記インジウム錫酸
化物と前記金属酸化物とが混合されていることを特徴と
する透明導電薄膜。 - 【請求項3】 インジウム錫酸化物と、金属酸化物とを
含む透明導電薄膜であり、 前記インジウム錫酸化物の層と前記金属酸化物の層とが
交互に積層され、最上層に前記金属酸化物の層が形成さ
れた多層構造を備えることを特徴とする透明導電薄膜。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11076915A JP2000276950A (ja) | 1999-03-19 | 1999-03-19 | 透明導電薄膜 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11076915A JP2000276950A (ja) | 1999-03-19 | 1999-03-19 | 透明導電薄膜 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000276950A true JP2000276950A (ja) | 2000-10-06 |
Family
ID=13618995
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11076915A Pending JP2000276950A (ja) | 1999-03-19 | 1999-03-19 | 透明導電薄膜 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000276950A (ja) |
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-
1999
- 1999-03-19 JP JP11076915A patent/JP2000276950A/ja active Pending
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