JP2000277868A - 発光素子 - Google Patents

発光素子

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JP2000277868A
JP2000277868A JP8251099A JP8251099A JP2000277868A JP 2000277868 A JP2000277868 A JP 2000277868A JP 8251099 A JP8251099 A JP 8251099A JP 8251099 A JP8251099 A JP 8251099A JP 2000277868 A JP2000277868 A JP 2000277868A
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layer
light emitting
quantum well
type impurity
emitting device
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JP8251099A
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English (en)
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Masayuki Hata
雅幸 畑
Nobuhiko Hayashi
伸彦 林
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光効率が高く動作電流またはしきい値電流
が低い発光素子を提供することである。 【解決手段】 p型不純物を量子井戸層8b中の[00
0-1]方向側の界面近くに多くドーピングするかまたは
障壁層8a中で量子井戸層8bの[000-1]方向側の
界面近くに多くドーピングする。あるいは、n型不純物
を量子井戸層8b中の[0001]方向側の界面近くに
多くドーピングするかまたは障壁層8a中で量子井戸層
8bの[0001]方向側の界面近くに多くドーピング
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電効果を有する
材料により形成される発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】GaN、GaInN、AlGaN、Al
GaInN等のIII 族窒化物半導体(以下、窒化物系半
導体と呼ぶ。)を用いた半導体レーザ素子、発光ダイオ
ード等の半導体発光素子は、可視から視外にわたる領域
の光を発生する発光素子として応用が期待されている。
【0003】これらの応用の中で、GaInN量子井戸
層を発光層とする半導体発光素子の実用化に向けて開発
が盛んに行われている。このような半導体発光素子は、
サファイア、炭化ケイ素等の基板の(0001)面上
に、MOVPE法(有機金属気相成長法)やMBE法
(分子線エピタキシャル成長法)により作製されてい
る。
【0004】図37は従来のGaN系半導体発光素子の
構成を示す模式的断面図である。図37の半導体発光素
子は、特開平6−268257号公報に開示されてい
る。
【0005】図37において、サファイア基板61上
に、GaNからなるバッファ層62、n−GaNからな
るn−コンタクト層63、多重量子井戸構造を有する発
光層64、およびp−GaNからなるp−キャップ層6
5が順に形成されている。発光層64は、組成の異なる
GaInNからなる複数の障壁層64aおよび量子井戸
層64bが交互に積層されてなる。
【0006】このような従来の半導体発光素子の製造方
法では、通常、ほぼ(0001)面を主面とするサファ
イア基板61を用い、例えばMOVPE法により、サフ
ァイア基板上にバッファ層62からp−キャップ層65
までの各層を順次形成する。この際、n−コンタクト層
63からp−キャップ層65までの各層は、窒化物系半
導体の[0001]方向に結晶成長する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的に閃
亜鉛鉱構造、ウルツ鉱構造等の対称中心を持たない結晶
では、歪により圧電効果が発生することがある。例え
ば、閃亜鉛鉱構造では、[111]軸に関して圧縮また
は伸長する歪において圧電効果が最も大きくなる。ま
た、ウルツ鉱構造では、[0001]軸に関して圧縮ま
たは伸長する歪において圧電効果が最も大きくなる。
【0008】上記の従来の半導体発光素子において、G
aInNからなる発光層64は、(0001)面を主面
とする量子井戸構造を有する。GaInNからなる量子
井戸層64bの格子定数は、n−GaNからなるn−コ
ンタクト層63の格子定数よりも大きいので、量子井戸
層64bには量子井戸の面内方向(界面に平行な方向)
に圧縮歪が加わり、量子井戸の閉じ込め方向(界面に垂
直な方向)には引張り歪が加わる。その結果、圧電効果
に伴う電位勾配が量子井戸層64b中に発生し、[00
01]方向側の電位が低く、[000-1]方向側の電位
が高くなる。この場合の量子井戸構造の発光層64のエ
ネルギーバンドを図38に示す。なお、図38には、5
層の障壁層64aおよび4層の量子井戸層64bが示さ
れる。
【0009】図38に示すように、発光層64内の量子
井戸層64bに電位勾配が発生するため、図39に示す
ように、注入された電流による電子と正孔とが空間的に
分離する。その結果、半導体発光素子において、発光効
率が低下する。特に、半導体レーザ素子においては、し
きい値電流が高くなる。
【0010】発光層64の量子井戸層64bに不純物を
添加すると、キャリアの移動により電位勾配が減少する
効果が現れる。しかし、量子井戸層64bにp型不純物
およびn型不純物の両方が添加されると、キャリアが補
償され、キャリア濃度が低下する。それにより、キャリ
アの移動により電位勾配が減少する効果が小さくなる。
特に、量子井戸層64bに添加されたp型不純物の濃度
とn型不純物の濃度とがほぼ等しい場合には、キャリア
の移動により電位勾配が減少する効果がさらに小さくな
る。
【0011】このような現象は、閃亜鉛鉱構造やウルツ
鉱構造等の他のIII −V族化合物半導体(例えばGaI
nP系半導体、GaAs系半導体またはInP系半導
体)、II−VI族半導体、I−VII 族半導体においても発
生する。特に、窒化物系半導体では圧電効果が大きいた
め、圧電効果により発生する電位勾配が大きくなり、発
光効率の低下やしきい値電流および動作電流の上昇が顕
著に現れる。
【0012】本発明の目的は、発光効率が高く動作電流
またはしきい値電流が低い発光素子を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
に係る発光素子は、圧電効果の発生を伴う歪を有する1
つ以上の井戸層と、井戸層を挟むように配置された2つ
以上の障壁層とから構成される量子井戸構造の発光層を
備え、量子井戸構造の発光層中にp型不純物およびn型
不純物のうち少なくとも一方の不純物が量子井戸構造の
閉じ込め方向に圧電効果の結果として発生する電位勾配
を低減するように不均一に添加されたものである。
【0014】本発明に係る発光素子においては、量子井
戸構造の発光層中にp型不純物およびn型不純物のうち
少なくとも一方の不純物が不均一に添加されることによ
り、量子井戸構造の閉じ込め方向に圧電効果のために発
生する電位勾配が低減される。それにより、電流として
注入される電子と正孔との分離が抑制されるので、発光
効率の低下および動作電流またはしきい値電流の上昇が
抑制される。
【0015】発光層は、2つ以上の井戸層と、井戸層を
挟む3つ以上の障壁層とにより構成される多重量子井戸
構造を有してもよい。また、発光層は、1つの井戸層
と、井戸層を挟む2つの障壁層とにより構成される単一
量子井戸構造を有してもよい。
【0016】井戸層内において、圧電効果の結果として
発生する電位の高い側に電位の低い側に比べてp型不純
物が多く添加されてもよい。
【0017】この場合、量子井戸構造の閉じ込め方向に
正孔の移動が生じ、正孔とイオン化したp型不純物とが
空間的に分離する。それにより、圧電効果のために発生
した井戸層の電位勾配が減少する。
【0018】井戸層内において、圧電効果の結果として
発生する電位の低い側に電位の高い側に比べてn型不純
物が多く添加されてもよい。
【0019】この場合、量子井戸構造の閉じ込め方向に
電子の移動が生じ、電子とイオン化したn型不純物とが
空間的に分離する。それにより、圧電効果のために発生
した井戸層の電位勾配が減少する。
【0020】障壁層内において、圧電効果の結果として
発生する電位の高い側の井戸層の界面と接する部分に電
位の低い側の井戸層の界面と接する部分に比べてp型不
純物が多く添加されてもよい。
【0021】この場合、量子井戸構造の閉じ込め方向に
正孔の移動が生じ、正孔とイオン化したp型不純物とが
空間的に分離する。それにより、圧電効果のために発生
した井戸層の電位勾配が減少する。
【0022】障壁層内において、圧電効果の結果として
発生する電位の低い側の井戸層の界面と接する部分に電
位の高い側の井戸層の界面と接する部分に比べてn型不
純物が多く添加されてもよい。
【0023】この場合、量子井戸構造の閉じ込め方向に
電子の移動が生じ、電子とイオン化したn型不純物とが
空間的に分離する。それにより、圧電効果のために発生
した井戸層の電位勾配が減少する。
【0024】量子井戸層構造の発光層中にp型不純物お
よびn型不純物の両方が添加されてもよい。この場合、
電子と正孔とが補償され、ドーピングによるキャリアは
ほとんど発生しないが、イオン化したp型不純物とイオ
ン化したn型不純物とにより圧電効果のために発生した
電位勾配が減少する。
【0025】p型不純物の濃度とn型不純物の濃度とが
ほぼ等しくてもよい。この場合には、キャリアが補償さ
れやすいが、電位勾配が減少する効果は大きい。
【0026】量子井戸構造の発光層は量子細線構造を有
してもよい。量子細線構造を有する発光層においては、
電位勾配方向に関してp型不純物およびn型不純物のう
ち少なくとも一方の不純物が不均一に添加されることに
より、量子細線構造の発光層において発生した電位勾配
が減少する。
【0027】量子井戸構造の発光層は量子箱構造を有し
てもよい。量子箱構造を有する発光層においては、電位
勾配方向に関してp型不純物およびn型不純物のうち少
なくとも一方の不純物が不均一に添加されることによ
り、量子箱構造の発光層において発生した電位勾配が減
少する。
【0028】井戸層を構成する材料の結晶構造はウルツ
鉱構造であってもよい。ウルツ鉱構造の結晶において
は、歪により圧電効果が発生する。したがって、量子井
戸構造の発光層中にp型不純物およびn型不純物のうち
少なくとも一方の不純物が不均一に添加されることによ
り、圧電効果のために発生した井戸層の電位勾配が減少
する。
【0029】量子井戸構造の閉じ込め方向はほぼ〈00
01〉方向であってもよい。ウルツ鉱構造の結晶では、
〈0001〉軸に関して圧縮または伸張する歪による圧
電効果が最も大きくなるので、不純物を不均一に添加す
ることによる電位勾配の減少の効果が顕著に現れる。
【0030】井戸層を構成する材料の結晶構造は閃亜鉛
鉱構造であってもよい。閃亜鉛鉱構造の結晶において
は、歪により圧電効果が発生する。したがって、量子井
戸構造の発光層中にp型不純物およびn型不純物のうち
少なくとも一方の不純物が不均一に添加されることによ
り、圧電効果のために発生した井戸層の電位勾配が減少
する。
【0031】量子井戸構造の閉じ込め方向はほぼ〈11
1〉方向であってもよい。閃亜鉛鉱構造の結晶では、
〈111〉軸に関して圧縮または伸長する歪による圧電
効果が最も大きくなるので、不純物を不均一に添加する
ことによる電位勾配の減少の効果が顕著に現れる。
【0032】圧電効果の発生を伴う歪は、量子井戸構造
の閉じ込め方向に井戸層を伸長する歪を含んでもよい。
この場合には、量子井戸構造の閉じ込め方向に井戸層を
伸長する歪により圧電効果が発生する。したがって、量
子井戸構造の発光層中にp型不純物およびn型不純物の
うち少なくとも一方の不純物が不均一に添加されること
により、圧電効果のために発生する電位勾配が低減され
る。
【0033】圧電効果の発生を伴う歪は、量子井戸構造
の閉じ込め方向に井戸層を圧縮する歪を含んでもよい。
この場合には、量子井戸構造の閉じ込め方向に井戸層を
圧縮する歪により圧電効果が発生する。したがって、量
子井戸構造の発光層中にp型不純物およびn型不純物の
うち少なくとも一方の不純物が不均一に添加されること
により、圧電効果のために発生する電位勾配が低減され
る。
【0034】井戸層を構成する材料はIII −V族化合物
半導体であってもよい。また、III−V族化合物半導体
は、ホウ素、ガリウム、アルミニウムおよびインジウム
の少なくとも1つを含む窒化物系半導体であってもよ
い。特に、窒化物系半導体では圧電効果が大きいため、
圧電効果により発生する電位勾配が大きくなる。したが
って、不純物を不均一に添加することによる電位勾配の
減少の効果が顕著に現れる。
【0035】井戸層を構成する材料はII−VI族化合物半
導体またはI−VII族化合物半導体であってもよい。こ
の場合にも、不純物を不均一に添加することにより、圧
電効果のために電位勾配を低減することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】(A)第1の実施の形態 第1の実施の形態の発光素子は、GaInNからなる量
子井戸層およびGaNからなる障壁層から構成される
(0001)面を主面とするウルツ鉱構造のMQW発光
層(多重量子井戸構造の発光層)を有する。この量子井
戸層は、量子井戸の面内方向(界面に平行な方向)に圧
縮歪を有し、量子井戸の閉じ込め方向(界面に垂直な方
向)に伸長する歪を有する。このようなGaInNから
なる量子井戸層中には、圧電効果により電位勾配が形成
される。
【0037】III −V族化合物半導体の場合、この電位
勾配において[000-1] 方向側の電位が高く、[00
01]方向側の電位が低い。圧電効果のために発生した
電位勾配を減少させるためには、p型不純物を量子井戸
層中の[000-1] 方向側の部分に多くドープし、また
は障壁層中で量子井戸層の[000-1]方向側の界面と
接する部分に多くドープする。あるいは、n型不純物を
量子井戸層中の[0001]方向側の部分に多くドープ
し、または障壁層中で量子井戸層の[0001]方向側
の界面と接する部分に多くドープする。
【0038】図1は本発明の第1〜第7の実施例におけ
る半導体レーザ素子の構成を示す模式的斜視図である。
図1の半導体レーザ素子においては、GaInNからな
るMQW発光層が用いられる。
【0039】図1において、サファイア基板1の(00
01)面上に厚さ15nm程度のAlGaNからなるバ
ッファ層2が形成されている。このバッファ層2上に、
厚さ0.5μm程度のアンドープGaN層3、厚さ4μ
m程度のn−GaNからなるn−コンタクト層4、厚さ
0.1μm程度のn−GaInNからなるn−クラック
防止層5、厚さ0.45μm程度のn−AlGaNから
なるn−第1クラッド層6、厚さ50nm程度のn−G
aNからなるn−第2クラッド層7、およびGaInN
からなるMQW発光層8が順に形成されている。
【0040】MQW発光層8上に、厚さ40nm程度の
p−GaNからなるp−第1クラッド層9、厚さ0.4
5μm程度のp−AlGaNからなるp−第2クラッド
層10、厚さ50nm程度のp−GaNからなるp−キ
ャップ層11が順に形成されている。
【0041】p−キャップ層11上には、厚さ0.2μ
m程度のシリコン窒化物からなる電流狭窄層(電流ブロ
ック層)14が形成されている。電流狭窄層14は、幅
2μm程度のストライプ状開口部を有し、このストライ
プ状開口部が電流通路13となる。
【0042】電流狭窄層14のストライプ状開口部内お
よびp−キャップ層11上および電流狭窄層14上に
は、厚さ3〜5μmのp−GaNからなるp−コンタク
ト層12が形成されている。アンドープGaN層3から
p−コンタクト層12までの各層はウルツ鉱構造を有
し、これらの窒化物系半導体の[0001]方向に成長
している。
【0043】p−コンタクト層12からn−コンタクト
層4までの一部領域が除去され、n−コンタクト層4の
表面が露出している。それにより、幅約10μmのメサ
形状が形成されている。p−コンタクト層12上にp電
極15が形成され、n−コンタクト層4の露出した表面
上にn電極16が形成されている。
【0044】図2は図1の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0045】図2に示すようにMQW発光層8は、厚さ
4nm程度のGaNからなる障壁層8aと厚さ4nm程
度のGaInNからなる量子井戸層8bとが交互に積層
されてなる多重量子井戸構造を有する。例えば、GaN
からなる障壁層8aの数は5であり、GaInNからな
る量子井戸層8bの数は4である。
【0046】ここで、厚さ0.5μm程度のアンドープ
GaN層3および厚さ4μm程度のn−GaNからなる
n−コンタクト層4の格子定数に比べて、GaInNか
らなる量子井戸層8bの格子定数が大きいので、量子井
戸の面内方向(界面に平行な方向)に圧縮歪が発生し、
量子井戸の閉じ込め方向(界面に垂直な方向)に伸長す
る歪が発生する。その結果、MQW発光層8内の量子井
戸層8bに圧電効果に伴う電位勾配が形成され、MQW
発光層8内のエネルギーバンドは図2に示す構造とな
る。
【0047】以下の第1〜第7の実施例では、量子井戸
層8bに形成される電位勾配を低減するために、MQW
発光層8中にp型不純物およびn型不純物の少なくとも
一方が不均一に添加される。
【0048】(1)第1の実施例 図3および図4は第1の実施例の半導体レーザ素子にお
けるMQW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0049】図3に示すように、p型不純物として例え
ばMgが量子井戸層8b中の[000-1]方向側つまり
n−第2クラッド層7側に多くドープされている。具体
的には、量子井戸層8b中のn−第2クラッド層7側の
厚さ約2nmの部分にのみMgがドープされ、量子井戸
層8b中のp−第1クラッド層9側の厚さ約2nmの部
分にMgはドープされていない。
【0050】Mgのドープ量としては、1×1017〜1
×1021cm-3が好ましい。p型不純物の不均一なドー
ピングの方法としては、これ以外の方法を用いてもよ
い。例えば、量子井戸層8b中のn−第2クラッド層7
側の界面から深さ約1nmの部分に2×1010〜2×1
14cm-2程度の濃度にp型不純物をデルタドーピング
してもよい。p型不純物として、Mg以外にBe、C
a、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg等を用いてもよい。
【0051】本実施例では、図3に示すようにp型不純
物として例えばMgが量子井戸層8b中の[000-1]
方向側つまりn−第2クラッド層7側に多くドープされ
ているので、図4に示すように[0001]方向に正孔
の移動が生じ、正孔とイオン化したp型不純物とが空間
的に分離する。それにより、圧電効果のために発生した
量子井戸層8bの電位勾配が減少し、エネルギーバンド
の勾配も減少する。その結果、電流として注入された電
子と正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下お
よびしきい値電流の上昇が抑制される。
【0052】(2)第2の実施例 図5および図6は第2の実施例の半導体レーザ素子にお
けるMQW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0053】図5に示すように、n型不純物として例え
ばSiが量子井戸層8b中の[0001]方向側つまり
p−第1クラッド層9側に多くドープされている。具体
的には、量子井戸層8b中のp−第1クラッド層9側の
厚さ約2nmの部分にのみSiがドープされ、量子井戸
層8b中のn−第2クラッド層7側の厚さ約2nmの部
分にSiはドープされていない。
【0054】Siのドープ量としては、1×1017〜1
×1021cm-3が好ましい。n型不純物の不均一なドー
ピングの方法としては、これ以外の方法を用いてもよ
い。例えば、量子井戸層8b中のp−第1クラッド層9
側の界面から深さ約1nmの部分に2×1010〜2×1
14cm-2程度の濃度にn型不純物をデルタドーピング
してもよい。n型不純物として、Si以外にGe、P
b、S、Se、Te等を用いてもよい。
【0055】本実施例では、図5に示すようにn型不純
物として例えばSiが量子井戸層8b中の[0001]
方向側つまりp−第1クラッド層9側に多くドープされ
ているので、図6に示すように[000-1]方向に電子
の移動が生じ、電子とイオン化したn型不純物とが空間
的に分離する。それにより、圧電効果のために発生した
量子井戸層8bの電位勾配が減少する。その結果、電流
として注入された電子と正孔との分離が抑制されるの
で、発光効率の低下およびしきい値電流の上昇が抑制さ
れる。
【0056】(3)第3の実施例 図7および図8は第3の実施例の半導体レーザ素子にお
けるMQW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0057】図7に示すように、p型不純物として例え
ばMgが障壁層8a中で量子井戸層8bの[000-1]
方向側つまりn−第2クラッド層7側の界面と接する部
分に多くドープされている。具体的には、障壁層8a中
で量子井戸層8bのn−第2クラッド層7側の界面と接
する厚さ約2nmの部分にのみMgがドープされ、障壁
層8a中で量子井戸層8bのp−第1クラッド層9側の
界面と接する厚さ約2nmの部分にMgはドープされて
いない。
【0058】Mgのドープ量としては、1×1017〜1
×1021cm-3が好ましい。p型不純物の不均一なドー
ピングの方法としては、これ以外の方法を用いてもよ
い。例えば、障壁層8a中で量子井戸層8bのn−第2
クラッド層7側の界面から深さ約1nmの部分に2×1
10〜2×1014cm-2程度の濃度にp型不純物をデル
タドーピングしてもよい。p型不純物として、Mg以外
にBe、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg等を用い
てもよい。
【0059】本実施例では、図7に示すようにp型不純
物として例えばMgが障壁層8a中で量子井戸層8bの
[000-1]方向側つまりn−第2クラッド層7側の界
面と接する部分に多くドープされているので、図8に示
すように[0001]方向に正孔の移動が生じ、正孔と
イオン化したp型不純物とが空間的に分離する。それに
より、圧電効果のために発生した量子井戸層8bの電位
勾配が減少する。その結果、電流として注入された電子
と正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下およ
びしきい値電流の上昇が抑制される。
【0060】(4)第4の実施例 図9および図10は第4の実施例の半導体レーザ素子に
おけるMQW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0061】図9に示すように、n型不純物として例え
ばSiが障壁層8a中で量子井戸層8bの[0001]
方向側つまりp−第1クラッド層9側の界面と接する部
分に多くドープされている。具体的には、障壁層8a中
で量子井戸層8bのp−第1クラッド層9側の界面と接
する厚さ約2nmの部分にのみSiがドープされ、障壁
層8a中で量子井戸層8bのn−第2クラッド層7側の
界面と接する厚さ約2nmの部分にSiはドープされて
いない。
【0062】Siのドープ量としては、1×1017〜1
×1021cm-3が好ましい。n型不純物の不均一なドー
ピングの方法としては、これ以外の方法を用いてもよ
い。例えば、障壁層8a中で量子井戸層8bのp−第1
クラッド層9側の界面から深さ約1nmの部分に2×1
10〜2×1014cm-2程度の濃度にn型不純物をデル
タドーピングしてもよい。n型不純物として、Si以外
にGe、Pb、S、Se、Te等を用いてもよい。
【0063】本実施例では、図9に示すようにn型不純
物として例えばSiが障壁層8a中で量子井戸層8bの
[0001]方向側つまりp−第1クラッド層9側の界
面と接する部分に多くドープされているので、図10に
示すように[000-1]方向に電子の移動が生じ、電子
とイオン化したn型不純物とが空間的に分離する。それ
により、圧電効果のために発生した量子井戸層8bの電
位勾配が減少する。その結果、電流として注入された電
子と正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下お
よびしきい値電流の上昇が抑制される。
【0064】上記第1〜第4の実施例におけるドーピン
グ方法は、それぞれ単独で用いても効果が得られるが、
2つ以上の実施例のドーピング方法を組み合わせてもよ
い。例えば、第1および第3の実施例を組み合わせても
よく、第1、第2および第3の実施例を組み合わせても
よく、第1、第2、第3および第4の実施例を組み合わ
せてもよい。
【0065】(5)第5の実施例 図11および図12は第5の実施例の半導体レーザ素子
におけるMQW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0066】第5の実施例は、図11に示すように、第
1の実施例と第2の実施例とを組み合わせたものであ
る。本実施例では、p型不純物であるMgおよびn型不
純物であるSiのドーピング濃度がほぼ等しい場合につ
いて示している。
【0067】本実施例では、図12に示すように、電子
と正孔とが補償され、ドーピングによるキャリアはほと
んど発生しないが、イオン化したp型不純物とイオン化
したn型不純物とにより、圧電効果のために発生した電
位勾配が減少する。その結果、電流として注入された電
子と正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下お
よびしきい値電流の上昇が抑制される。
【0068】したがって、特に、MQW発光層8中にp
型不純物およびn型不純物の両方を添加する場合に、そ
れらのp型不純物およびn型不純物を不均一に添加する
ことにより、キャリアが補償されても、電位勾配が減少
する効果は大きい。また、MQW発光層8中に添加され
たp型不純物の濃度とn型不純物の濃度とがほぼ等しい
場合には、さらにキャリアが補償されやすいが、電位勾
配が減少する効果は大きい。
【0069】なお、例えば第1および第4の実施例を組
み合わせた場合、第2および第3の実施例を組み合わせ
た場合においても、第5の実施例と同等の効果が生じ
る。
【0070】(6)第6の実施例 図13および図14は第6の実施例の半導体レーザ素子
におけるMQW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0071】第6の実施例は、図13に示すように、第
3の実施例と第4の実施例とを組み合わせたものであ
る。本実施例では、p型不純物であるMgおよびn型不
純物であるSiのドーピング濃度がほぼ等しい場合につ
いて示している。
【0072】本実施例では、図14に示すように、電子
と正孔とが補償され、ドーピングによるキャリアはほと
んど発生しないが、イオン化したp型不純物とイオン化
したn型不純物とにより、圧電効果のために発生した電
位勾配が減少する。その結果、電流として注入された電
子と正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下お
よびしきい値電流の上昇が抑制される。
【0073】本実施例では、量子井戸層8b中にp型不
純物およびn型不純物がドープされていない。したがっ
て、第5の実施例の効果に加えて、量子井戸層8bへの
ドーピングによる不純物準位または発光センターによる
発光を低減できるという効果も得られる。それにより、
本実施例のMQW発光層8を発光ダイオードに適用した
場合には、発光スペクトル幅を狭くすることができる。
その結果、色純度を向上させることが可能となる。
【0074】(7)第7の実施例 図15および図16は第7の実施例の半導体レーザ素子
におけるMQW発光層8のエネルギーバンド図である。
【0075】第7の実施例では、図15に示すように、
p型不純物として例えばMgが不均一にドープされた第
1の実施例の量子井戸層8b中に、n型不純物として例
えばSiが均一にドープされている。Siのドーピング
濃度は、5×1016〜5×1020cm-3である。
【0076】本実施例では、図15に示すようにp型不
純物として例えばMgが量子井戸層8b中の[000-
1]方向側つまりn−第2クラッド層7側に多くドープ
され、n型不純物として例えばSiが量子井戸層8b中
に均一にドープされているので、図16に示すように電
子および正孔は補償され、ドーピングによるキャリアは
ほとんど発生しないが、イオン化したp型不純物および
n型不純物により圧電効果のために発生した電位勾配が
減少する。その結果、電流として注入された電子と正孔
との分離が抑制されるので、発光効率の低下およびしき
い値電流の上昇が抑制される。
【0077】なお、例えば第3の実施例の量子井戸層8
b中にn型不純物を均一にドープした場合、第2または
第4の実施例の量子井戸層8b中にp型不純物を均一に
ドープした場合においても、第7の実施例と同等の効果
が生じる。
【0078】○図1の半導体レーザ素子の製造方法 図17〜図21は図1の半導体レーザ素子の製造方法を
示す模式的工程断面図である。
【0079】図1の半導体レーザ素子の各窒化物系半導
体層は、MOVPE法によりサファイア基板1上に形成
される。原料ガスとしては、例えばトリメチルアルミニ
ウム(TMAl)、トリメチルガリウム(TMGa)、
トリメチルインジウム(TMIn)、NH3 、Si
4 、シクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2
g)を用いる。
【0080】まず、図17に示すように、基板温度を6
00℃に保ち、サファイア基板1上に厚さ15nm程度
のバッファ層2を形成する。次に、基板温度を1150
℃に保ち、厚さ0.5μm程度のアンドープGaN層
3、厚さ4μm程度のSiドープGaNからなるn−コ
ンタクト層4を形成する。さらに、基板温度を880℃
に保ち、厚さ0.1μm程度のSiドープGa0.95In
0.05Nからなるn−クラック防止層5を形成する。次
に、基板温度を1150℃に保ち、厚さ0.45μm程
度のSiドープAl0.15Ga0.85Nからなるn−第1ク
ラッド層6、および厚さ50nm程度のSiドープGa
Nからなるn−第2クラッド層7を形成する。
【0081】さらに、基板温度を880℃に保ち、厚さ
4nm程度のアンドープGaNからなる5層の障壁層8
aと厚さ4nm程度のアンドープのGa0.85In0.15
Nからなる4層の量子井戸層8bを交互に積層し、Ga
InNからなるMQW発光層8を形成する。この際、第
1〜第7の実施例に従って、MQW発光層8中にp型不
純物またはn型不純物をドープする。
【0082】最後に、基板温度を1150℃に保ち、厚
さ40nm程度のMgドープGaNからなるp−第1ク
ラッド層9、厚さ0.45μm程度のMgドープAlG
aNからなるp−第2クラッド層10、厚さ50nm程
度のMgドープGaNからなるp−キャップ層11を形
成する。上記のバッファ層2からp−キャップ層11ま
での各層は、大気圧のMOVPE法により形成する。
【0083】その後、図18に示すように、p−キャッ
プ層11上の全面に、例えばECR(電子サイクロトロ
ン共鳴)プラズマCVD法により、厚さ0.2μm程度
のSi3 4 等のシリコン窒化物からなる電流狭窄層1
4を形成する。次に、フォトリソグラフィおよびBHF
(緩衝フッ酸)によるウェットエッチングで、幅2μm
程度のストライプ状の領域のシリコン窒化物を除去し、
p−キャップ層11を露出させる。それにより、ストラ
イプ状の電流通路13が形成される。
【0084】次に、図19に示すように、例えば76T
orrの減圧MOVPE法により、n−電流狭窄層14
上およびストライプ状開口部内のp−キャップ層11上
に厚さ3〜5μmのMgドープGaNからなるp−コン
タクト層12を形成する。この際、p−キャップ層11
の露出した部分に選択的にp−GaNが成長するよう
に、成長条件を適切に調整する。例えば、基板温度を約
100℃上昇させ、NH 3 の流量を約3倍に増加させ
る。
【0085】このような条件下で成長を行うと、まずp
−キャップ層11の露出した部分にp−GaNが成長
し、電流通路13にあたる部分が形成される。一方、電
流狭窄層14上にはp−GaNは結晶成長しない。引き
続き結晶成長を継続すると、p−GaNが電流通路13
上に成長するとともに、電流通路13上に成長したp−
GaNの側面から横方向に結晶成長が開始し、電流狭窄
層14上にp−GaNからなるp−コンタクト層12が
形成される。例えば、電流通路13にあたる部分を中心
として幅約8μmでp−コンタクト層12が形成され
る。
【0086】この結果、p−キャップ層11とp−コン
タクト層12とは幅2μm程度のストライプ状の電流通
路13で接続され、p−キャップ層11とp−コンタク
ト層12との間には、電流通路13の部分を除いて、厚
さ0.2μm程度のSi3 4 からなる電流狭窄層14
が形成される。
【0087】次に、図20に示すように、メタルマスク
およびEB(電子ビーム)蒸着法を用いて、p−コンタ
クト層12を含む領域に、例えば幅10μm程度のスト
ライプ形状で厚さ3〜5μmNi膜を蒸着する。このN
i膜をマスクとして用い、例えばCF4 をエッチングガ
スとして用い、反応性イオンエッチング(RIE)法に
より、n−コンタクト層4が露出するまで、p−コンタ
クト層12からn−クラック防止層5までをメサ状にエ
ッチングする。その後、マスクとして用いたNi膜を塩
酸等を用いて除去する。
【0088】さらに、図21に示すように、Si3 4
等の絶縁膜17をECRプラズマCVD法、フォトリソ
グラフィおよびエッチングによりp−コンタクト層12
からn−クラック防止層5までの側面および電極形成領
域を除いたn−コンタクト層4の上面に形成する。そし
て、n−コンタクト層4の露出した表面上に、例えばA
u/Tiからなるn電極16を形成し、p−コンタクト
層12上に、Au/Pdからなるp電極15を形成す
る。
【0089】最後に、例えばへき開により、ストライプ
状の電流通路13に沿った方向に共振器長300μmの
共振器構造を形成する。それにより、図1の構造を有す
る半導体レーザ素子が作製される。
【0090】なお、半導体レーザ素子の共振器面にSi
3 4 、SiO2 、Al2 3 、TiO2 等を積層した
誘電体多層膜等の端面高反射膜や低反射膜を形成しても
よい。
【0091】(8)第8の実施例 第8の実施例の半導体レーザ素子は、図1の半導体レー
ザ素子と同じ構造を有し、以下に示すように窒化物系半
導体層の結晶成長方法が異なる。
【0092】図1の半導体レーザ素子の構造において、
サファイア基板1の(0001)面上に、MOVPE法
により、少なくともバッファ層2を低温でかつアンドー
プGaN層3を高温で結晶成長させた後、他の層4〜1
2,14を例えばMBE法(分子線エピタキシ法)やH
VPE法(ハライド気相成長法)等のMOVPE法以外
の結晶成長方法で結晶成長させる。MQW発光層8の構
造は、上記の第1〜第7の実施例と同様である。
【0093】本実施例において、アンドープGaN層3
からp−コンタクト層12までの各層はウルツ鉱構造で
あり、窒化物系半導体の[0001]方向に成長してい
る。したがって、第1〜第7の実施例と同じ効果が得ら
れる。
【0094】このように、サファイア基板1の(000
1)面上に、MOVPE法により低温でバッファ層2を
成長させた後に、引き続いて高温で窒化物系半導体層を
結晶成長させると、窒化物系半導体層は[0001]方
向に成長し、その後、結晶成長方法を変えても結晶成長
の方位は変化せず、[0001]方向に成長し続ける。
【0095】(9)第9の実施例 第9の実施例の半導体レーザ素子は、図1の半導体レー
ザ素子と同じ構造を有し、以下に示すように、窒化物系
半導体層の結晶成長方法が異なる。
【0096】図1の半導体レーザ素子の構造において、
サファイア基板1の(0001)面上に、MBE法によ
り、少なくともバッファ層2を低温でかつアンドープG
aN層3を高温で結晶成長させた後、他の層4〜12,
14を他の結晶成長方法(例えばHVPE法、MOVP
E法等)あるいは引き続きMBE法により結晶成長させ
る。
【0097】本実施例において、アンドープGaN層3
からp−コンタクト層12までの各層はウルツ鉱構造を
有し、窒化物系半導体の[000-1]方向に成長してい
る。このため、MQW発光層8の電位勾配の向きが第1
〜第8の実施例と反対になる。
【0098】図22および図23は第9の実施例の半導
体レーザ素子におけるMQW発光層8のエネルギーバン
ド図である。
【0099】図22に示すように、n型不純物として例
えばSiが障壁層8a中で量子井戸層8bの[000
1]方向側つまりn−第2クラッド層7側の界面と接す
る部分に多くドープされ、p型不純物とて例えばMgが
障壁層8a中で量子井戸層8bの[000-1]方向側つ
まりp−第1クラッド層9側の界面と接する部分に多く
ドープされ、変調ドーピング構造となっている。本実施
例では、n型不純物およびp型不純物のドーピング濃度
がほぼ等しい場合について示している。
【0100】本実施例では、図23に示すように、電子
および正孔が補償され、ドーピングによるキャリアはほ
とんど発生しないが、イオン化したp型不純物とイオン
化したn型不純物とにより、圧電効果のために発生した
電位勾配が減少する。その結果、電流として注入された
電子と正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下
およびしきい値電流の上昇が抑制される。
【0101】したがって、特に、MQW発光層8中にp
型不純物およびn型不純物の両方を添加する場合に、そ
れらのp型不純物およびn型不純物を不均一に添加する
ことにより、キャリアが補償されても、電位勾配が減少
する効果は大きい。また、MQW発光層8中に添加され
たp型不純物の濃度とn型不純物の濃度とがほぼ等しい
場合には、さらにキャリアが補償されやすいが、電位勾
配が減少する効果は大きい。
【0102】MQW発光層8の構造として、第1〜第7
の実施例の構造を用いる場合、第1〜第7の実施例と同
じ効果が得られる。
【0103】上記第1〜第9の実施例では、基板として
サファイア基板1を用いているが、窒化物系半導体層が
ウルツ鉱構造であれば、スピネル、SiC、Si、Ga
As、GaP、InP、GaN等の基板を用いてもよ
い。
【0104】また、上記第1〜第9の実施例では、量子
井戸の閉じ込め方向(界面に垂直な方向)に伸長する歪
を有するウルツ鉱構造のMQW発光層8について説明し
たが、例えば、GaN基板上にAlGaNからなる量子
井戸層およびAlGaInNからなる障壁層を含むMQ
W発光層を形成した場合には、量子井戸の閉じ込め方向
(界面に垂直な方向)に圧縮する歪が発生する。この場
合には、圧電効果による電位勾配において[0001]
方向側の電位が高くなり、[000-1]方向側の電位が
低くなる。したがって、p型不純物またはn型不純物の
ドーピングの分布位置を量子井戸層の中心における(0
001)面に関して第1〜第9の実施例と反対にすれば
よい。
【0105】さらに、ウルツ鉱型のZnSeを代表とす
るII−VI族化合物半導体を始めとするウルツ鉱構造また
は六方晶構造を有する半導体であれば同じ効果が得られ
る。ただし、II−VI族化合物半導体およびCuClを代
表とするI−VII 族化合物半導体の場合には、電位勾配
が逆になる。
【0106】加えて、量子井戸の閉じ込め方向として
は、歪により電位勾配の発生する方向であれば、量子井
戸層の面方位は(0001)面に限られるものではな
い。歪量子井戸の面方位が[0001]軸を面内に含む
面方位以外であれば、いかなる面方位でも、歪により電
位勾配が量子井戸の閉じ込め方向に発生する。すなわ
ち、歪量子井戸の面方位が一般式(HKL0)面で表さ
れる面方位以外であれば、いかなる面方位でも、圧電効
果が発生する。ここで、H、KおよびLは、H+K+L
=0を満足し、かつH=K=L=0を除く任意の数であ
る。上記の(HKL0)面は、例えば(1-100)面お
よび(11-20)面である。特に、(0001)面を主
面とする歪量子井戸において、量子井戸の閉じ込め方向
に電位勾配を発生させる圧電効果が最も大きい。なお、
歪により電位勾配の発生する量子井戸層の面方位につい
ては後述する。
【0107】(B)第2の実施の形態 第2の実施の形態の発光素子は、量子井戸層に歪を有す
る(111)面を主面とする閃亜鉛鉱構造のMQW発光
層を有する。量子井戸の閉じ込め方向(界面に垂直な方
向)に歪を有する場合、圧電効果により電位勾配が形成
される。
【0108】III −V族化合物半導体において、量子井
戸の面内方向(界面に平行な方向)に引張り歪を有し、
量子井戸の閉じ込め方向(界面に垂直な方向)に圧縮す
る歪を有する場合、圧電効果のために発生した電位勾配
において[111]方向側の電位が高く、[-1-1-1]方
向側の電位が低い。この電位勾配を減少させるために
は、p型不純物を量子井戸層中の[111]方向側の部
分に多くドープし、または障壁層中で量子井戸層の[1
11]方向側の界面と接する部分に多くドープする。あ
るいは、n型不純物を量子井戸層中の[-1-1-1]方向側
の部分に多くドープし、または障壁層中で量子井戸層の
[-1-1-1]方向側の界面と接する部分に多くドープす
る。
【0109】逆に、III −V族化合物半導体において、
量子井戸の面内方向(界面に平行な方向)に圧縮歪を有
し、量子井戸の閉じ込め方向(界面に垂直な方向)に伸
長する歪を有する場合、圧電効果のために発生した電位
勾配において[-1-1-1]方向側の電位が高く、[11
1]方向側の電位が低い。この電位勾配を減少させるた
めには、p型不純物を量子井戸層中の[-1-1-1]方向側
の部分に多くドープし、または障壁層中で量子井戸層の
[-1-1-1]方向側の界面と接する部分に多くドープす
る。あるいは、n型不純物を量子井戸層中の[111]
方向側の部分に多くドープし、または障壁層中で量子井
戸層の[111]方向側の界面と接する部分に多くドー
プする。
【0110】一方、II−VI族化合物半導体およびI−VI
I 族化合物半導体において、量子井戸の面内方向(界面
に平行な方向)に引張り歪を有し、量子井戸の閉じ込め
方向(界面に垂直な方向)に圧縮する歪を有する場合、
圧電効果のために発生した電位勾配において[-1-1-1]
方向側の電位が高く、[111]方向側の電位が低い。
この電位勾配を減少させるためには、p型不純物を量子
井戸層中の[-1-1-1]方向側の部分に多くドープし、ま
たは障壁層中で量子井戸層の[-1-1-1]方向側の界面と
接する部分に多くドープする。あるいは、n型不純物を
量子井戸層中の[111]方向側の部分に多くドープ
し、または障壁層中で量子井戸層の[111]方向側の
界面と接する部分に多くドープする。
【0111】逆に、II−VI族化合物半導体およびI−VI
I 族化合物半導体において、量子井戸の面内方向(界面
に平行な方向)に圧縮歪を有し、量子井戸の閉じ込め方
向(界面に垂直な方向)に伸長する歪を有する場合、圧
電効果のために発生した電位勾配において[111]方
向側の電位が高く、[-1-1-1]方向側の電位が低い。こ
の電位勾配を減少させるためには、p型不純物を量子井
戸層中の[111]方向側の部分に多くドープし、また
は障壁層中で量子井戸層の[111]方向側の界面と接
する部分に多くドープする。あるいは、n型不純物を量
子井戸層中の[-1-1-1]方向側の部分に多くドープし、
または障壁層中で量子井戸層の[-1-1-1]方向側の界面
と接する部分に多くドープする。
【0112】量子井戸の閉じ込め方向としては、歪によ
り電位勾配の発生する方向であれば、量子井戸層の面方
位は(111)面と等価な面方位に限られるものではな
い。歪量子井戸の面方位が[100]軸を面内に含む面
方位およびこれと等価な面方位以外であれば、いかなる
面方位でも、歪により電位勾配が量子井戸の閉じ込め方
向に発生する。すなわち、歪量子井戸の面方位が一般式
(0MN)面で表される面方位およびこれと等価な面方
位以外であれば、いかなる面方位でも、圧電効果が発生
する。ここで、MおよびNは、M=N=0を除く任意の
数である。上記の(0MN)面は、例えば(001)面
および(011)面である。特に、(111)面を主面
とする歪量子井戸において、量子井戸の閉じ込め方向に
電位勾配を発生させる圧電効果が最も大きい。なお、歪
により電位勾配の発生する量子井戸層の面方位について
は後述する。
【0113】(10)第10の実施例 図24は本発明の第10の実施例における埋め込みリッ
ジ構造のAlGaInP系半導体レーザ素子の構造を示
す断面図である。図25および図26は第10の実施例
の半導体レーザ素子におけるMQW発光層のエネルギー
バンド図である。
【0114】図24において、n−GaAs基板21
は、面方位が(111)Aの結晶成長面を有する。n−
GaAs基板21上にn−Ga0.51In0.49Pからなる
n−バッファ層22、n−(Al0.7 Ga0.3 0.51
0.49Pからなるn−クラッド層23、およびMQW発
光層24が順に形成されている。
【0115】MQW発光層24は、図25に示すよう
に、(Al0.5 Ga0.5 0.51In0. 49Pからなる光ガ
イド層24c上に(Al0.5 Ga0.5 0.45In0.55
からなる5層の圧縮歪障壁層24aおよびGa0.6 In
0.4 Pからなる4層の引張り歪井戸層24bが交互に積
層されてなる。
【0116】MQW発光層24上には、(Al0.57Ga
0.430.51In0.49Pからなる光ガイド層25および多
重量子障壁層26が順に形成されている。多重量子障壁
層26は、Ga0.51In0.49Pからなる10層の井戸層
および(Al0.7 Ga0.3 0.51In0.49Pからなる1
0層の障壁層が交互に積層されてなる。この多重量子障
壁層26は、温度特性の改善のために設けられている。
【0117】多重量子障壁層26上には、p−(Al
0.7 Ga0.3 0.51In0.49Pからなるp−クラッド層
27が形成されている。p−クラッド層27の上部領域
はメサエッチング等によりストライプ状のリッジ部に形
成されている。リッジ部の幅は5μmである。p−クラ
ッド層27のリッジ部上にはp−Ga0.51In0.49Pか
らなるp−コンタクト層28が形成されている。
【0118】p−クラッド層27の両側には、n−Ga
Asからなるn−電流ブロック層29が形成され、p−
コンタクト層28上およびn−電流ブロック層29上に
はp−GaAsからなるp−キャップ層30が形成され
ている。n−GaAs基板21の下面にn電極32が形
成され、p−キャップ層30の上面にp電極31が形成
されている。
【0119】表1に図24の半導体レーザ素子における
各層の材料および膜厚を示す。
【0120】
【表1】
【0121】この半導体レーザ素子において、n−Ga
As基板21上の各層22〜30はMOCVD法(有機
金属化学的気相成長法)等により形成される。
【0122】圧縮歪障壁層24aの格子定数はn−Ga
As基板21の格子定数よりも大きく設定されている。
それにより、圧縮歪障壁層24aはn−GaAs基板2
1に対して圧縮歪を有する。引張り歪井戸層24bの格
子定数はn−GaAs基板21の格子定数よりも小さく
設定されている。それにより、引張り歪井戸層24bは
n−GaAs基板21に対して引張り歪を有する。
【0123】図25に示すように、n型不純物として例
えばSeが圧縮歪障壁層24a中で引張り歪井戸層24
bの[-1-1-1]方向側つまり光ガイド層24c側の界面
と接する部分に多くドープされ、p型不純物として例え
ばZnが圧縮歪障壁層24a中で引張り歪井戸層24b
の[111]方向側つまり光ガイド層25側の界面と接
する部分に多くドープされ、変調ドーピング構造となっ
ている。本実施例では、n型不純物およびp型不純物の
ドーピング濃度がほぼ等しい場合について示している。
【0124】なお、本実施例では、MQW発光層24中
の量子井戸面内に関して井戸層24bが引張り歪を有
し、障壁層24aが圧縮歪を有するため、障壁層24a
には井戸層24bとは反対の電位勾配が発生する。
【0125】本実施例では、図26に示すように、電子
および正孔が補償され、ドーピングによるキャリアはほ
とんど発生しないが、イオン化したp型不純物とイオン
化したn型不純物とにより引張り歪井戸層24bの電位
勾配が減少する。その結果、電流として注入された電子
と正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下およ
びしきい値電流の上昇が抑制される。
【0126】(11)第11の実施例 図27は本発明の第11の実施例におけるZnSe系半
導体レーザ素子の構造を示す断面図である。図28およ
び図29は第11の実施例の半導体レーザ素子における
MQW発光層のエネルギーバンド図である。
【0127】図27において、n−GaAs基板41の
(111)B面上に、n−GaAsからなるn−第1バ
ッッファ層42、n−ZnSeからなるn−第2バッフ
ァ層43、n−Zn0.9 Mg0.1 0.15Se0.85からな
るn−クラッド層44、およびMQW発光層45が順に
形成されている。
【0128】MQW発光層45は、図28に示すよう
に、ZnS0.1 Se0.9 からなる5層の引張り歪障壁層
45aおよびZn0.7 Cd0.3 Seからなる4層の圧縮
歪井戸層45bが交互に積層されてなる。
【0129】MQW発光層45上には、p−Zn0.9
0.1 0.15Se0.85からなるp−クラッド層46が形
成されている。p−クラッド層46の上部領域はストラ
イプ状のリッジ部となっている。
【0130】p−クラッド層46のリッジ部上には、p
−ZnSeからなるp−コンタクト層48が形成され、
p−クラッド層46のリッジ部およびp−コンタクト層
48の両側にはSiO2 膜47が形成されている。n−
GaAs基板41の下面にn電極50が形成され、p−
コンタクト層48上およびSiO2 層47上にp電極4
9が形成されている。
【0131】表2に図27の半導体レーザ素子における
各層の材料および膜厚を示す。
【0132】
【表2】
【0133】図28に示すように、n型不純物として例
えばClが引張り歪障壁層45a中で圧縮歪井戸層45
bの[-1-1-1]方向側つまりp−クラッド層46側の界
面と接する部分に多くドープされ、p型不純物として例
えば窒素が引張り歪障壁層45a中で圧縮歪井戸層45
bの[111]方向側つまりn−クラッド層44側の界
面と接する部分に多くドープされ、変調ドーピング構造
となっている。本実施例では、n型不純物およびp型不
純物のドーピング濃度がほぼ等しい場合について示して
いる。
【0134】なお、本実施例では、MQW発光層45中
の量子井戸面内に関して井戸層45bが圧縮歪を有し、
障壁層45aが引張り歪を有するため、障壁層45aに
は井戸層45bとは反対の電位勾配が発生する。
【0135】本実施例では、図29に示すように、電子
および正孔が補償され、ドーピングによるキャリアがほ
とんど発生しないが、イオン化したp型不純物とイオン
化したn型不純物とにより圧縮歪井戸層45bの電位勾
配が減少する。その結果、電流として注入された電子と
正孔との分離が抑制されるので、発光効率の低下および
しきい値電流の上昇が抑制される。
【0136】(C)第3の実施の形態 第3の実施の形態の発光素子は、量子細線構造または量
子箱構造のMQW発光層を有する。
【0137】(12)第12の実施例 図30〜図33は第12の実施例における半導体レーザ
素子の製造方法を示し、図30は模式的工程断面図、図
31はMQW発光層の拡大断面図、図32(a),
(b)は量子細線が形成されたMQW発光層のそれぞれ
拡大断面図および模式的平面図、図33は量子細線構造
のMQW発光層の拡大断面図、図34は模式的工程断面
図である。
【0138】まず、図30に示すように、図17の工程
と同様にして、サファイア基板1の(0001)面上
に、MOVPE法により、バッファ層2、アンドープG
aN層3、n−コンタクト層4、n−クラック防止層
5、n−第1クラッド層6、n−第2クラッド層7およ
びMQW発光層8を成長させる。
【0139】図31に示すように、MQW発光層8は、
複数の障壁層8aと複数の量子井戸層8bとが交互に積
層されてなる。MQW発光層8への不純物のドーピング
方法は、第1〜第7の実施例と同様である。
【0140】次に、図32に示すように、集束イオンビ
ーム(FIB)等により、MQW発光層8の一部をn−
第2クラッド層7に達するまで線状に削り、MQW発光
層8を線状に加工する。MQW発光層8の残存する部分
の幅は例えば5nm程度であり、FIBにより削った部
分の幅は例えば20nm程度とする。
【0141】その後、図33に示すように、MQW発光
層8をアンドープGaN層8cで埋め込む。それによ
り、量子細線構造を有するMQW発光層80が形成され
る。
【0142】さらに、図34に示すように、MQW発光
層80上に、図17の工程と同様にして、MOVPE法
により、p−第1クラッド層9、p−第2クラッド層1
0およびp−キャップ層11を順に成長させる。以後の
工程は、図18〜図21に示した工程と同様である。
【0143】本実施例の半導体レーザ素子では、量子細
線構造を有するMQW発光層80において、基板上の結
晶成長方向に電位勾配が発生する。そこで、第1〜第7
の実施例と同様に、基板上の結晶成長方向に関して不純
物を不均一にドープする。それにより、量子細線構造の
MQW発光層80において発生した電位勾配が減少す
る。その結果、電流として注入された電子と正孔との分
離が抑制されるので、発光効率の低下およびしきい値電
流の上昇が抑制される。
【0144】(13)第13の実施例 図35は第13の実施例における半導体レーザ素子の量
子箱構造のMQW発光層の拡大断面図および拡大平面図
である。図30、図31、図33および図34を参照し
ながら第13の実施例における半導体レーザ素子の製造
方法を説明する。
【0145】まず、図30に示すように、図17の工程
と同様にして、サファイア基板1の(0001)面上
に、MOVPE法により、バッファ層2、アンドープの
GaN層3、n−コンタクト層4、n−クラック防止層
5、n−第1クラッド層6、n−第2クラッド層7およ
びMQW発光層8を成長させる。
【0146】図31に示すように、MQW発光層8は、
複数の障壁層8aと複数の量子井戸層8bとが交互に積
層されてなる。MQW発光層8への不純物のドーピング
方法は、第1〜第7の実施例と同様である。
【0147】次に、図35に示すように、集束イオンビ
ーム(FIB)等により、MQW発光層8の一部をn−
第1クラッド層7に達するまで格子状に削り、MQW発
光層8を箱状に加工する。MQW発光層8の残存する部
分の幅は例えば6nm程度であり、FIBにより削った
部分の幅は例えば20nm程度とする。
【0148】その後、図33に示すように、MQW発光
層8をアンドープGaN層8cで埋め込む。それによ
り、量子箱構造を有するMQW発光層80が形成され
る。
【0149】さらに、図34に示すように、MQW発光
層80上に、図17の工程と同様にして、MOVPE法
により、p−第1クラッド層9、p−第2クラッド層1
0およびp−キャップ層11を順に成長させる。以後の
工程は、図18〜図21に示した工程と同様である。
【0150】本実施例の半導体レーザ素子では、量子箱
構造を有するMQW発光層80において、基板上の結晶
成長方向に電位勾配が発生する。そこで、第1〜第7の
実施例と同様に、基板上の結晶成長方向に関して不純物
を不均一にドープする。それにより、量子箱構造のMQ
W発光層80において発生した電位勾配が減少する。そ
の結果、電流として注入された電子と正孔との分離が抑
制されるので、発光効率の低下およびしきい値電流の上
昇が抑制される。
【0151】なお、量子細線構造および量子箱構造の発
光層80において、電位勾配の発生する方向は、基板上
の結晶成長方向に限らない。基板の面方位、量子細線あ
るいは量子箱の方位、量子細線あるいは量子箱の形状等
により、基板の面内方向に電位勾配が発生する場合があ
る。このような場合には、イオン注入等の方法で、基板
の面内方向に関してドーピングを不均一にすればよい。
【0152】なお、上記第1〜第13の実施例では、本
発明を半導体レーザ素子に適用した場合について説明し
たが、本発明は、発光ダイオード等の他の発光素子にも
適用することができる。
【0153】○歪により電位勾配の発生する量子井戸層
の面方位 量子井戸の閉じ込め方向の分極は、PIEZOELECTRICITY V
ol. 1(New Revised Edition) by W.G.CADY Dover Publi
cations, Inc. New York 1964 等の文献にしたがって、
計算することができる。
【0154】図36において、z軸を量子井戸の閉じ込
め方向とする。XYZ座標系をZ軸を回転軸として角度
α回転させる。回転後の座標軸は、X軸がξ軸に移り、
Y軸がy軸に移る。
【0155】ξyZ座標系をy軸を回転軸として角度β
回転させる。回転後の座標軸は、ξ軸がx軸に移り、Z
軸がz軸に移る。
【0156】ウルツ鉱型結晶では、X軸を結晶の[2-1
-10]軸とし、Y軸を[01-10]軸とし、Z軸を[0
001]軸とする。また、閃亜鉛鉱型結晶では、X軸を
結晶の[100]軸とし、Y軸を[010]軸とし、Z
軸を[001]軸とする。
【0157】ここで、z軸方向の分極をPz とし、歪テ
ンソルをεxx、εyy、εyz、εxz、εxyとし、圧電係数
(piezoelectric stress coefficients )をe31
33、e 15、e14とする。
【0158】第1〜第11の実施例のような通常の量子
井戸構造では電位勾配はz軸方向の分極Pz に比例し、
εxx=εyy、εyz=εxz=εxy=0であり、εxxとεzz
の符号が異なる。
【0159】ウルツ鉱型結晶では、z軸方向の分極Pz
は次式で表される。 Pz =εxxcosβ(e31cos2 β+e33sin2 β−e15sin2 β)+ εyy31cosβ+εzzcosβ(e31sin2 β+e33cos2 β+e15si n2 β)+εxzsinβ(2e31cos2 β−2e33cos2 β+e15sin2 β)・・・(1) z軸方向の電極Pz はαに無関係である。上式(1)か
ら、ウルツ鉱型結晶では、例えば角度βが90°となる
場合に、z軸方向の分極Pz が0となる。すなわち、図
36のz軸がXY平面上にある場合に量子井戸の閉じ込
め方向に歪による電位勾配が発生しない。したがって、
前述したように、一般式(HKL0)面(H、Kおよび
Lは、H+K+L=0を満足し、、かつH=K=L=0
を除く任意の数)で表される面方位では、量子井戸の閉
じ込め方向に電位勾配が発生せず、それ以外の面方位で
は量子井戸の閉じ込め方向に電位勾配が発生する。
【0160】また、閃亜鉛鉱型結晶では、z軸方向の分
極Pz は次式で表される。 Pz =εxx14sinαcosαcosβ(cos2 β−sin2 β)−εyy14sinαcosαcosβ+3εzz14sinαcosαsin2 βcos β+2εyz14(cos2 α−sin2 α)sinβcosβ+2εxz14si nαcosαsinβ(2cos2 β−sin2 β)+2εxy14(cos2 α −sin2 α)(cos2 β−sin2 β)・・・(2) 上式(2)から、閃亜鉛鉱型結晶では、例えば角度αが
0°または90°となる場合または角度βが0°または
90°となる場合に、z方向の分極Pz が0となる。し
たがって、前述したように、一般式(0MN)面(Mお
よびNは、M=N=0を除く任意の数)で表される面方
位およびこれと等価な面方位では、量子井戸の閉じ込め
方向に電位勾配が発生せず、それ以外の面方位では、量
子井戸の閉じ込め方向に電位勾配が発生する。
【0161】圧電係数の値は、LANDOLT-BORNSTEIN Nume
rical Data and Functional Relationships in Science
and Technology New Series Group III; Crystal and
Solid State Physics Vol. 17a, Edited by O. Madelun
g, springer-Verlag Berlin-Heidelberg 1982 等に記載
されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1〜第7の実施例における半導体レ
ーザ素子の構成を示す模式的斜視図である。
【図2】図1の半導体レーザ素子におけるMQW発光層
のエネルギーバンド図である。
【図3】第1の実施例の半導体レーザ素子におけるMQ
W発光層のエネルギーバンド図である。
【図4】第1の実施例の半導体レーザ素子におけるMQ
W発光層のエネルギーバンド図である。
【図5】第2の実施例の半導体レーザ素子におけるMQ
W発光層のエネルギーバンド図である。
【図6】第2の実施例の半導体レーザ素子におけるMQ
W発光層のエネルギーバンド図である。
【図7】第3の実施例の半導体レーザ素子におけるMQ
W発光層のエネルギーバンド図である。
【図8】第3の実施例の半導体レーザ素子におけるMQ
W発光層のエネルギーバンド図である。
【図9】第4の実施例の半導体レーザ素子におけるMQ
W発光層のエネルギーバンド図である。
【図10】第4の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図11】第5の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図12】第5の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図13】第6の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図14】第6の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図15】第7の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図16】第7の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図17】図1の半導体レーザ素子の製造方法を示す模
式的工程断面図である。
【図18】図1の半導体レーザ素子の製造方法を示す模
式的工程断面図である。
【図19】図1の半導体レーザ素子の製造方法を示す模
式的工程断面図である。
【図20】図1の半導体レーザ素子の製造方法を示す模
式的工程断面図である。
【図21】図1の半導体レーザ素子の製造方法を示す模
式的工程断面図である。
【図22】第9の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図23】第9の実施例の半導体レーザ素子におけるM
QW発光層のエネルギーバンド図である。
【図24】本発明の第10の実施例における埋め込みリ
ッジ構造のAlGaInP系半導体レーザ素子の構造を
示す模式的断面図である。
【図25】第10の実施例の半導体レーザ素子における
MQW発光層のエネルギーバンド図である。
【図26】第10の実施例の半導体レーザ素子における
MQW発光層のエネルギーバンド図である。
【図27】本発明の第11の実施例におけるZnSe系
半導体レーザ素子の構造を示す模式的断面図である。
【図28】第11の実施例の半導体レーザ素子における
MQW発光層のエネルギーバンド図である。
【図29】第11の実施例の半導体レーザ素子における
MQW発光層のエネルギーバンド図である。
【図30】第12の実施例における半導体レーザ素子の
製造方法を示す模式的工程断面図である。
【図31】第12の実施例における半導体レーザ素子の
MQW発光層の拡大断面図である。
【図32】第12の実施例における半導体レーザ素子の
量子細線構造が形成されたMQW発光層の拡大断面図お
よび模式的平面図である。
【図33】第12の実施例における半導体レーザ素子の
量子細線構造のMQW発光層の拡大断面図である。
【図34】第12の実施例における半導体レーザ素子の
製造方法を示す模式的工程断面図である。
【図35】第13の実施例における半導体レーザ素子の
量子箱構造が形成されたMQW発光層の拡大断面図およ
び模式的平面図である。
【図36】歪により電位勾配が発生する量子井戸層の面
方位を説明するための図である。
【図37】従来のGaN系半導体発光素子の構成を示す
模式的断面図である。
【図38】従来の半導体発光素子におけるMQW発光層
のエネルギーバンド図である。
【図39】従来の半導体発光素子におけるMQW発光層
のエネルギーバンド図である。
【符号の説明】
1 サファイア基板 6 n−第1クラッド層 7 n−第2クラッド層 8,24,45,80 MQW発光層 9 p−第1クラッド層 10 p−第2クラッド層 8a,24a,45a 障壁層 8b 量子井戸層 23,45 n−クラッド層 27,46 p−クラッド層 24b,45b 井戸層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01S 5/347 H01S 3/18 678 Fターム(参考) 5F041 AA03 CA04 CA05 CA34 CA35 CA40 CA41 CA43 CA44 CA46 CA65 5F073 AA04 AA13 AA51 AA71 AA74 AA75 CA07 CA14 CA22 CB02 CB05 CB17 DA05 EA23 EA29

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電効果の発生を伴う歪を有する1つ以
    上の井戸層と、前記井戸層を挟むように配置された2つ
    以上の障壁層とから構成される量子井戸構造の発光層を
    備え、前記量子井戸構造の発光層中にp型不純物および
    n型不純物のうち少なくとも一方の不純物が前記量子井
    戸構造の閉じ込め方向に圧電効果の結果として発生する
    電位勾配を低減するように不均一に添加されたことを特
    徴とする発光素子。
  2. 【請求項2】 前記井戸層内において、圧電効果の結果
    として発生する電位の高い側に電位の低い側に比べてp
    型不純物が多く添加されたことを特徴とする請求項1記
    載の発光素子。
  3. 【請求項3】 前記井戸層内において、圧電効果の結果
    として発生する電位の低い側に電位の高い側に比べてn
    型不純物が多く添加されたことを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の発光素子。
  4. 【請求項4】 前記障壁層内において、圧電効果の結果
    として発生する電位の高い側の前記井戸層の界面と接す
    る部分に電位の低い側の前記井戸層の界面と接する部分
    に比べてp型不純物が多く添加されたことを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子。
  5. 【請求項5】 前記障壁層内において、圧電効果の結果
    として発生する電位の低い側の前記井戸層の界面と接す
    る部分に電位の高い側の前記井戸層の界面と接する部分
    に比べてn型不純物が多く添加されたことを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の発光素子。
  6. 【請求項6】 前記量子井戸構造の発光層中にp型不純
    物およびn型不純物の両方が添加されたことを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子。
  7. 【請求項7】 前記p型不純物の濃度と前記n型不純物
    の濃度とがほぼ等しいことを特徴とする請求項6記載の
    発光素子。
  8. 【請求項8】 前記量子井戸構造の発光層は量子細線構
    造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載の発光素子。
  9. 【請求項9】 前記量子井戸構造の発光層は量子箱構造
    を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記
    載の発光素子。
  10. 【請求項10】 前記井戸層を構成する材料の結晶構造
    はウルツ鉱構造であることを特徴とする請求項1〜9の
    いずれかに記載の発光素子。
  11. 【請求項11】 前記量子井戸構造の閉じ込め方向はほ
    ぼ〈0001〉方向であることを特徴とする請求項10
    記載の発光素子。
  12. 【請求項12】 前記井戸層を構成する材料の結晶構造
    は閃亜鉛鉱構造であることを特徴とする請求項1〜9の
    いずれかに記載の発光素子。
  13. 【請求項13】 前記量子井戸構造の閉じ込め方向はほ
    ぼ〈111〉方向であることを特徴とする請求項12記
    載の発光素子。
  14. 【請求項14】 前記圧電効果の発生を伴う歪は、前記
    量子井戸構造の閉じ込め方向に前記井戸層を伸長する歪
    を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記
    載の発光素子。
  15. 【請求項15】 前記圧電効果の発生を伴う歪は、前記
    量子井戸構造の閉じ込め方向に前記井戸層を圧縮する歪
    を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記
    載の発光素子。
  16. 【請求項16】 前記井戸層を構成する材料はIII −V
    族化合物半導体であることを特徴とする請求項1〜15
    のいずれかに記載の発光素子。
  17. 【請求項17】 前記III −V族化合物半導体は、ホウ
    素、ガリウム、アルミニウムおよびインジウムの少なく
    とも1つを含む窒化物系半導体であることを特徴とする
    請求項16記載の発光素子。
  18. 【請求項18】 前記井戸層を構成する材料はII−VI族
    化合物半導体またはI−VII族化合物半導体であること
    を特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の発光素
    子。
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