JP2000281301A - 水素貯蔵装置の製造方法 - Google Patents

水素貯蔵装置の製造方法

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JP2000281301A JP11090058A JP9005899A JP2000281301A JP 2000281301 A JP2000281301 A JP 2000281301A JP 11090058 A JP11090058 A JP 11090058A JP 9005899 A JP9005899 A JP 9005899A JP 2000281301 A JP2000281301 A JP 2000281301A
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alloy
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誠 塚原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有効水素吸蔵量が大きく、かつ低温で活性
化し、安価にする。 【解決手段】 水素吸蔵合金3により水素を貯蔵する
水素貯蔵装置において、水素化前の水素吸蔵合金3の少
なくとも一部がBCC相である水素吸蔵合金3を前記水
素貯蔵装置に充填する前に、前記水素吸蔵合金3に水素
を含有させて予め活性化する第1次活性化工程S103
と、この水素吸蔵合金3を酸化性ガスで死活する死活工
程S104と、この水素吸蔵合金3を前記水素貯蔵装置
に充填する充填工程S106と、この水素貯蔵装置に水
素を導入して前記水素吸蔵合金3を再び活性化する第2
次活性化工程S107からなることを特徴とする水素貯
蔵装置の製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水素貯蔵装置の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水素吸蔵合金は、貯蔵タンクなど
に充填し、真空引きしたのち、水素を導入することによ
って活性化される。水素吸蔵合金を活性化する方法とし
て、加熱したり、導入する水素の圧力を高くする、水素
導入と真空引きを繰り返すなどの方法、またはその組み
合わせの方法が取られている。(「水素吸蔵合金データ
ブック」、大角泰章編集、与野書房発行、1987年、
269ページ)水素吸蔵合金には、LaNiなどAB
型合金、ラーベス相によるAB型合金、TiFeな
どのAB型合金、バナジウムなどの固溶体型合金が知ら
れている。前記AB型合金、 AB型合金、 AB型
合金は、金属間化合物を主体としているが、化学量論比
からずれたものを含め、さらに単相でない合金で該当の
型を主相としたものを含めてそれぞれの型の水素吸蔵合
金として分類されることが多い。前記固溶体型合金で
は、固溶体単相に限らず、その他の相が析出する場合も
含めて分類されることが多い。
【0003】活性化しやすいPd、 AB型合金は、
通常の条件で水素を吸蔵放出できるが、有効水素吸蔵量
が1質量%以下である。これは、バナジウム基合金の有
効水素吸蔵量が2質量%程度であるのに比べて著しく小
さい。また、AB型合金の中には、常温・常圧付近で
水素に対して活性化するものがあるが、その有効水素吸
蔵量は1.4質量%以下で小さい。かつこのAB型合
金は比較的に酸化しやすく、酸化度合いが高い場合には
再び活性化することが困難となる問題がある。
【0004】一方、水素吸蔵合金の中で水素吸蔵量の大
きな固溶体型のバナジウム基合金やAB型のTiFe合
金は、活性化が困難であるといわれている。たとえば、
バナジウム金属単体を活性化するためには、673Kで
3.0MPa以上の水素圧が必要であった。
【0005】したがって、バナジウム金属単体を水素吸
蔵合金として用いた場合、673Kの高温、3.3MP
aの高圧に耐える水素貯蔵タンクやこれに装備される弁
やパッキンなどの部品およびこれらの材料が制約を受け
ていた。すなわち、耐圧が高いタンク・弁・継ぎ手など
を用い、また樹脂製のパッキンではなく、金属シールを
用いることが必要であった。このため水素貯蔵装置が高
コストになる問題点があった。
【0006】この問題点を解決するために、従来技術1
として、 Journal ofAlloys and
Compounds VOL.253−254、19
97年、238−240ページに、Pdなどの活性化し
やすい金属と合金化したり複合化して、合金の活性化を
容易にする方法が開示されている。
【0007】従来技術2として、特開平10−2456
53号公報には、水素吸蔵量の多い水素吸蔵相と水素に
対する活性の高い相を複合化させる方法が開示されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術1は、Pdが希少であり非常に高価であるほか、副相
を析出させたり付加した場合、その比率により、有効水
素吸蔵量が減る問題がある。
【0009】また従来技術2は、 BCCの固溶体相の
粒界にC14型ラーベス相を析出させている。固溶体相
に対してラーベス相は水素吸蔵量が小さく、したがっ
て、ラーベス相が析出する体積比が大きいほど、合金全
体の水素吸蔵量が小さくなる問題がある。また、このよ
うな鋳造組織を持つため、水素吸蔵特性が合金の鋳造条
件や熱処理条件によって変化するという問題がある。
【0010】本発明は上記課題を解決したもので、有効
水素吸蔵量が大きく、かつ低温で活性化できる安価な水
素貯蔵装置の製造方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、本発明の請求項1において講じた技術的手段
(以下、第1の技術的手段と称する。)は、水素吸蔵合
金により水素を貯蔵する水素貯蔵装置において、水素化
前の水素吸蔵合金の少なくとも一部がBCC相である水
素吸蔵合金を前記水素貯蔵装置に充填する前に、前記水
素吸蔵合金に水素を含有させて予め活性化する第1次活
性化工程と、この水素吸蔵合金を酸化性ガスで死活する
死活工程と、この水素吸蔵合金を前記水素貯蔵装置に充
填する充填工程と、この水素貯蔵装置に水素を導入して
前記水素吸蔵合金を再び活性化する第2次活性化工程か
らなることを特徴とする水素貯蔵装置の製造方法であ
る。
【0012】上記第1の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0013】すなわち、死活工程で酸化された表面部
を、内部に吸蔵された水素が放出されて還元するので、
第2次活性化工程では低い温度で活性化することができ
る。このため水素貯蔵装置およびその付属備品に耐熱性
の低い安価なものを使用できる。
【0014】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技
術的手段と称する。)は、前記BCC相がバナジウムを
主体とした水素吸蔵合金であることを特徴とする請求項
1記載の水素貯蔵装置の製造方法である。
【0015】上記第2の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0016】すなわち、バナジウムを主体とした水素吸
蔵合金は、他の水素吸蔵合金に比べて第2次活性化温度
を著しく低くできる。また、バナジウムを主体とした水
素吸蔵合金は、1水素化物と2水素化物があり、1水素
化物は常温で安定であるので、空気中で容易かつ安全に
保存することができる。
【0017】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項3において講じた技術的手段(以下、第3の技
術的手段と称する。)は、前記BCC相がチタン、ジル
コニウム、クロム、マンガンの少なくとも一つを含む水
素吸蔵合金であることを特徴とする請求項2記載の水素
貯蔵装置の製造方法である。
【0018】上記第3の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0019】すなわち、これらの元素が加わると前記B
CC相の格子定数を変えて活性化温度を低くすることが
できる。
【0020】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項4において講じた技術的手段(以下、第4の技
術的手段と称する。)は、前記水素吸蔵合金がラーベス
相を含んでいることを特徴とする請求項2記載の水素貯
蔵装置の製造方法である。
【0021】上記第4の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0022】すなわち、ラーベス相が加わることによ
り、第2次活性化温度を低くすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】活性化とは、水素吸蔵合金を水素
と反応可能な状態にすることである。この活性化された
水素吸蔵合金が酸化性ガス(たとえば、空気、一酸化炭
素、酸素、水蒸気)に触れると、表面が酸化され、水素
を吸蔵または放出しない死活された状態になる。このた
め水素に対する合金の平衡解離圧が大気圧以上の場合で
も、水素吸蔵合金を大気中に取り出しても水素は合金内
から急激に放出されることは希である。
【0024】水素を吸蔵した状態の水素吸蔵合金を純度
の高い水素中に入れることにより、再び活性化すること
ができる。この場合に必要な温度は、始めに未水素化合
金を活性化する温度に比べて著しく低くなることが明ら
かになった。この現象を利用する方法を鋭意研究した結
果、本発明を発案した。
【0025】すなわち、水素吸蔵合金の製造プロセスま
たは製造後において、水素と反応させた水素化物とした
のち酸化性ガスである大気中に取り出す。この水素吸蔵
合金を水素貯蔵装置内に充填し、該水素貯蔵装置内を純
度の高い水素で満たし昇温する。これにより表面が酸化
した水素吸蔵合金が再び活性化する。この再び活性化さ
せることを第2次活性化と呼ぶ。
【0026】この第2次活性化させるときには、大気中
に取り出したときに酸化された表面部を、内部に吸蔵さ
れた水素が放出されて還元するので、低い温度で活性化
することができる。このため水素貯蔵装置およびその付
属備品に耐熱性の低い安価なものを使用できる。
【0027】特に、バナジウム系合金のようなBCC
(体心立方格子)相合金では、第2次活性化温度をはじ
めの活性化(第1次活性化と呼ぶ。)の温度より著しく
低くすることができる。すなわち、 BCC(体心立方
格子)相合金では1水素化物と2水素化物が存在する。
1水素化物からの水素の解離圧は常温で、大気圧よりも
数桁低圧な雰囲気で初めて解離する安定な相である。し
たがって、実用的には2水素化物と1水素化物の間の反
応により、水素の放出および吸蔵を行っている。バナジ
ウム系の1水素化物は水素化していない合金に対して、
活性化条件が著しく緩和されている。
【0028】また、1水素化物はきわめて安定であるの
で、1水素化物として保管しても水素吸蔵合金から水素
が放出されることがない。このため、保管などの管理が
著しく容易になるという副次的な効果もある。
【0029】本発明の実施例について説明する。図1
は、本発明の実施例に用いた水素貯蔵装置のシステム図
である。本水素貯蔵装置は、水素貯蔵タンク1、温度制
御装置6、ポンプP1、三方弁10と各種管路から構成
されている。水素貯蔵タンク1の内部には、内部の温度
を制御するための熱交換器2と水素を出し入れするため
の多孔管4が設けられている。この水素貯蔵タンク1に
は内部の圧力を検知する圧力計5が設けられている。
【0030】水素吸蔵合金3は、粉末として水素貯蔵タ
ンク1に充填される。この水素貯蔵タンク1において、
水素は主に水素吸蔵合金3の中に貯蔵される。温度制御
装置6の内部には水が貯蔵されており、その水の温度が
制御されている。この水は、ポンプP1により温度制御
装置6、熱交換器2を循環する。
【0031】前記多孔管4は水素管路7を介して水素貯
蔵タンク1の外部の三方弁10と連結している。三方弁
10は、水素管路9を介して水素を使用する水素使用機
器14と連結し、水素管路8を介して水素を製造する水
素供給機器15と連結している。
【0032】水素を取り出す場合には、温度制御装置に
より水が温水され、この温水が熱交換器2を介して水素
貯蔵タンク1の中に設けられた水素吸蔵合金3を加熱す
る。これにより水素吸蔵合金3から水素が解離する水素
圧が上昇し、その結果、水素が水素吸蔵合金3より解離
される。このとき三方弁10は、水素管路7、9の間の
み連通された状態にしておく。水素吸蔵合金3から解離
された水素は、水素吸蔵合金3の中に設けられた多孔管
4から水素管路7、9を介して水素使用機器14に供給
される。この水素使用機器14として燃料電池、水素エ
ンジンなどがある。
【0033】一方、水素を水素吸蔵合金3内に貯蔵する
場合には、温度制御装置により水が冷水にされ、この冷
水が熱交換器2を介して水素貯蔵タンク1の中に設けら
れた水素吸蔵合金3を冷却する。これにより水素吸蔵合
金3の水素化反応が進行し、水素吸蔵合金3内に水素が
貯蔵される。このとき三方弁10は、水素管路7、8の
間のみ連通された状態にしておく。貯蔵される水素は、
水素供給機器15から水素管路8、7および多孔管4を
介して供給される。水素供給機器としては、水電気分解
装置、メタノールや天然ガスを改質して水素を製造する
改質装置などがある。
【0034】上記のように、水素の吸蔵・放出を定常的
に行うには、水素吸蔵合金3が活性化されている必要が
ある。本発明は、水素貯蔵タンク1の中に充填された水
素吸蔵合金3を従来より低い温度で活性化するものであ
る。図2は、本発明の実施形態を説明するフローチャー
ト図である。
【0035】はじめにステップS101で、目的の組成
になるように水素吸蔵合金をアーク溶解により製造す
る。次に、ステップS102で水素吸蔵合金をアーク溶
解炉から空気中に取り出して酸化された表面を研削し除
去する。
【0036】ステップS103では、前記水素吸蔵合金
を水素雰囲気炉に入れ、623K、1MPaの水素雰囲
気にさらし、温度を室温に下げてから水素雰囲気炉に水
素をさらに導入することにより圧力を1MPaにして1
h放置し第1次活性化を行う。これが第1次活性化工程
である。
【0037】次に、ステップS104で水素吸蔵合金を
水素雰囲気炉から空気中に取り出して死活し、ステップ
S105で前記水素吸蔵合金を粉砕する。これが死活工
程である。
【0038】この粉砕された水素吸蔵合金をステップS
106で水素貯蔵タンク1に充填する。これが充填工程
である。次に、ステップS107で水素貯蔵タンク1の
中を水素に置換し、さらに必要な所定温度で1MPaの
水素圧力をかけ、第2次活性化する。これが第2次活性
化工程である。
【0039】以上により、水素吸蔵合金は活性化し通常
の使用ができる。本発明は、一度活性化した水素吸蔵合
金を死活してから水素貯蔵タンク1に充填して第2次活
性化させるので、ステップS107の所定温度を低くで
きる。これにより、水素貯蔵タンクやその付属部品に安
価なものが使用できる。
【0040】以下、本発明の方法の効果を証明する実施
例を示す。実施例で使用した活性化温度の測定方法には
いわゆるジーベルツ装置を使用し、図に基づいて詳しく
説明する。
【0041】図3は、活性化温度を測定するジーベルツ
装置のシステム図である。試料容器22が恒温槽23の
内部に設けられている。試料容器22は、管路29を介
して試料弁12と連結している。この試料弁12は、管
路28を介して水素弁11と連結している。また試料弁
12は、管路28から分岐した管路30を介して真空弁
13と連結している。この真空弁13は、管路31を介
して真空ポンプ25と連結している。前記管路30に
は、圧力検知器26が設けられている。前記水素弁11
は、管路27を介して水素ボンベ21と連結している。
【0042】試料弁12の弁部から管路29側の容積、
管路29と試料容器22の容積を合わせた容積が内容積
V1である。水素弁11、試料弁12、真空弁13で囲
まれた管路28、30を合わせた容積が内容積V2であ
る。この内容積V2には、水素弁11、試料弁12の弁
部の管路28側の容積、真空弁13の弁部の管路30側
の容積、圧力検知器26の管路30に通じる容積も含ま
れている。
【0043】前記の内容積V1およびV2は、あらかじ
め調べられている。また、内容積V1およびV2の部分
の温度は、それぞれの近傍において温度を測定すること
により、代用することができる。また、管路29に生じ
る温度勾配の影響を無視できるように、この管路29に
細管を使用している。
【0044】測定の手順は次のようなものである。水素
吸蔵合金1gを試料容器22にいれ、試料弁12、真空
弁13を開き、真空ポンプ25を起動して真空引きす
る。試料容器22内部が100Pa程度になったら、真
空弁13を閉じ、真空ポンプ25を停止する。
【0045】次に水素弁11を開いて水素ボンベ21か
ら試料容器22に1MPaの水素を導入し、水素弁11
を閉じる。その後、恒温槽23の温度を制御して試料容
器22の温度を徐々に高め、圧力検知器26で圧力を測
定する。この圧力は、試料容器22の温度上昇により徐
々に高くなるが、水素吸蔵合金が活性化すると試料と水
素と反応し、圧力が変化するので、この温度を活性化温
度とした。
【0046】(実施例1)水素吸蔵合金として、 Ti
を10at%、Crを20at%含有するV合金を用い
た。これに水素を十分吸蔵させた状態で、常温の293
Kで1MPaから0.1MPaまで圧力を下げることに
より1.9質量%の水素を常温で取り出すことができ
る。
【0047】この様子を図4で説明する。図4は本実施
例の水素吸蔵合金の圧力−組成−等温線図である。横軸
は、水素貯蔵量で、水素吸蔵合金に対する水素の質量百
分率である。縦軸は、水素吸蔵合金の周囲の水素圧であ
る。曲線101は、水素放出時の293Kにおける圧力
−組成−等温線である。曲線102は、水素吸蔵時の2
93Kにおける圧力−組成−等温線である。
【0048】293Kでの水素の放出は、曲線101で
示されている。この曲線101の点Aの横軸値が、29
3K、1MPaのときの水素吸蔵合金の水素濃度であ
る。また、曲線101の点Bの横軸値が、293K、
0.1MPaのときの水素吸蔵合金の水素濃度である。
点Aと点Bの水素濃度から計算した水素貯蔵量の差が、
293Kで1MPaから0.1MPaに圧力を下げたと
きに放出される水素貯蔵量である。この水素貯蔵量は、
本実施例の場合1.9質量%である。
【0049】上記の水素吸蔵合金試料をアーク溶解によ
り作製した。この合金を空気中に取り出し、作製過程で
生じた表面の酸化物を研削した後、図3の試料容器に入
れ、上述の活性化手順で623K、1.0MPaの水素
圧雰囲気で第1次活性化したのち、温度を徐々に下げ
た。試料を293Kに保ち、水素を1.0MPaで平衡
にした水素吸蔵合金(水素濃度:3.2%)と、10
−2MPaで平衡にした水素吸蔵合金(水素濃度:1.
6%)、673 Kで100Paで水素吸蔵合金内部の
水素を放出させた脱水素化した水素吸蔵合金(水素濃
度:0.0%)を作製した。
【0050】これらを空気中に取り出し、メノウ乳鉢で
粉砕し、標準ふるいで100メッシュから200メッシ
ュの間の粉末をそれぞれ1g準備し、空気中で48時間
放置したものを試料とし、再度、図3の装置により、
1.0MPaの水素圧で各試料の第2次活性化温度を測
定した結果、表1に示すようになった。
【0051】(表1) 実施例1の試料の第2次活性
化温度
【0052】水素濃度が0.0質量%の水素吸蔵合金の
第2次活性化温度は、第1次活性化温度の623Kに近
い値であった。ところが、内部に水素が3.2質量%ま
たは1.6質量%含む試料に関しては、第1次活性化温
度と比べて、著しく第2次活性化温度が低いことがわか
る。この圧力および温度で活性化できることにより、図
1の水素貯蔵装置において、高圧に耐えられる構造にす
る必要はなく、また、水素貯蔵装置を220℃まで加熱
することで活性化できるので、配管や弁などのパッキン
として、フッ化樹脂、フッ化ゴムを使用することが可能
になった。
【0053】なお、本実施例1では、バナジウム合金に
チタンとクロムを含有しているが、これらの元素は前記
バナジウム合金の格子定数を変化させて活性化を容易に
する作用がある。チタン、クロム以外にジルコニウム、
マンガンにも活性化を容易にする効果がある。
【0054】(実施例2)水素吸蔵合金としてTiFe
を用いた場合、鋳造後の水素吸蔵合金では、3.0MP
aの水素雰囲気で673Kで第1次活性化した。これを
室温に下げると、約1.2質量%の水素を含有する水素
化物を得た。これを取り出して、実施例1と同様の条件
で第2次活性化を試みたところ、第2次活性化する温度
は、653Kの温度が必要であった。この水素吸蔵合金
においても、第1次活性化時よりも低い第2次活性化温
度が示したことから、本発明は水素吸蔵合金に共通して
有効であると考えられる。ところが、実施例1に示した
ように、バナジウムを主体にした合金で、より顕著な効
果が見られることがわかる。
【0055】(表2) 実施例2の試料の第2次活性化
温度
【0056】(実施例3)実施例1で第1次活性化をし
た水素吸蔵合金を空気中で1ヶ月間放置した。この時、
3.2質量%の水素を吸蔵させた水素吸蔵合金では、表
面に水滴が付着し、さらに水素吸蔵合金表面が著しく酸
化していた。この現象は水素量が、1.6質量%および
水素を含まない合金では、見られなかった。これは、
3.2質量%の水素を含む水素吸蔵合金では、高い平衡
解離圧の水素が存在するため、水素吸蔵合金内から水素
が押し出され、同時に、水素吸蔵合金表面で、空気中の
酸素と反応して、水が生成したものと考えられる。
【0057】この試料を第2次活性化した場合、水素圧
が1MPaの場合には表3のような第2次活性化温度に
なった。表面に水滴が見られた合金では、第2次活性化
温度が高くなったが、1.6質量%含んでいる合金で
は、ほとんど実施例1の場合と比べて変化がなかった。
【0058】バナジウムのようなBCC金属の圧力−組
成−等温線では、解離圧の高い2水素化物の解離に相当
する部分(図4に現れるプラトー領域)と、常温では大
気圧よりも著しく低い解離圧を持つ1水素化物(図4で
1.3質量%以下の領域)がある。この1水素化物の場
合は、常温で水素が金属中から放出がなく、その結果、
表面で水分が生成されることがないことがわかった。
【0059】従って、長期に水素吸蔵合金材料を在庫と
して持つ場合も、1水素化物として保存しておけば、活
性化も容易であり、かつ、空気中での保存状態で発火性
もなく、水素の放出も非常に少ないので、容易かつ安全
に保存が可能である。
【0060】(表3) 実施例3の試料の第2次活性化
温度
【0061】(実施例4)水素吸蔵合金として、V−2
1at%Ti−12at %Ni−5at %Zrを用い
た。この合金は、主相がBCC構造を持つバナジウム固
溶体、その粒界に析出した副相がC14型ラーベス相を
なすものである。この水素吸蔵合金を用い、実施例1と
同様の評価をしたところ、表4のような第2次活性化温
度が得られた。この場合、従来技術2で指摘するよう
に、ラーベス相が存在することにより、第2次活性化が
容易になったと考えられる。特に、水素化した状態で
は、低い温度で第2次活性化することが明らかになっ
た。
【0062】(表4) 実施例4の試料の第2次活性
化温度
【0063】実施例4で得られた活性化条件が緩和され
た水素吸蔵合金の利用形態を具体的に示す。この水素吸
蔵合金は、真空誘導炉などで溶解後、水冷銅定板上で急
冷凝固したものを用いた。この鋳造塊は板状のもので、
これをジョークラッシャーなどで粗粉砕した。この一部
をさらに微細に粉砕したものをX線回折で解析すると、
バナジウム固溶体のBCCの相によると判断されるピー
クが優勢に観察され、ラーベス相と判断される微弱な相
が観察された。
【0064】第1次活性化は、図3の装置を用いて次の
手順で実施した。粗粉砕試料を試料容器に入れ試料容器
の内部を純水素で十分置換した。この後、水素圧を2.
0MPaとして水素弁と真空弁を閉じた状態で723K
まで昇温した。この場合、温度上昇によると思われる水
素の圧力上昇があった。もし、圧力容器内の気体が密閉
状態であり、この気体が293Kから723Kに温度が
上昇するとすれば、圧力は、約5.0 MPaになる。
【0065】この場合は、昇温される部分以外に室温に
保たれる配管部分があるため、温度上昇によって、水素
圧はおおよそ3.0 MPaになるように設計されてい
る。試料容器を723Kで1時間保持した後、温度を室
温まで下げた結果、圧力が0.1MPa以下に低下して
おり、この粗粉砕試料が水素化していることがわかっ
た。
【0066】この合金を大気中で取り出した後、粗粉砕
した合金片は、さらに層状に微粉化していた。また、こ
れをさらに乳鉢で粉砕後、X線回折で解析すると、優勢
なFCC(面心立方格子)構造とBCT(体心正方格
子)構造またはそれに近いと判断されるピークと、水素
化前の試料よりも低角度側にシフトした微弱なラーベス
相と判断されるピークが観察された。この結果から、バ
ナジウム固溶体は水素化してFCCに変化し、ラーベス
相も水素化によって格子膨張したものと判断された。
【0067】水素化された粗粉砕試料には、著しく亀裂
が発生しており、容易に粉砕することができた。粉砕後
の試料を図1に示した水素貯蔵装置の容器本体内に充填
した。充填後、一度真空引きし、純水素を1.0MPa
まで入れたが、この場合には、活性化しなかった。そこ
で、水素を放出し0.75MPaの水素圧とした後、容
器本体を高温油槽に入れ、373Kに昇温した場合、3
0分後に圧力上昇が見られたので、第2次活性化がなさ
れたと判断された。
【0068】容器本体を高温油槽より取り出し、室温に
なった状態で、288Kの水を循環させながら、水素を
1.0MPaで充填させた。この容器本体に353Kの
湯を循環させた場合に、容器本体から水素を取り出すこ
とができ、また、再び、288Kの水を循環させなが
ら、水素を充填させることができることを確認し、この
水素吸蔵合金が十分活性化し、機能することがわかっ
た。
【0069】
【発明の効果】以上のように、本発明は、水素吸蔵合金
により水素を貯蔵する水素貯蔵装置において、水素化前
の水素吸蔵合金の少なくとも一部がBCC相である水素
吸蔵合金を前記水素貯蔵装置に充填する前に、前記水素
吸蔵合金に水素を含有させて予め活性化する第1次活性
化工程と、この水素吸蔵合金を酸化性ガスで死活する死
活工程と、この水素吸蔵合金を前記水素貯蔵装置に充填
する充填工程と、この水素貯蔵装置に水素を導入して前
記水素吸蔵合金を再び活性化する第2次活性化工程から
なることを特徴とする水素貯蔵装置の製造方法であるの
で、有効水素吸蔵量が大きく、かつ低温で活性化でき、
安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた水素貯蔵装置のシステ
ム図
【図2】本発明の実施形態を説明するフローチャート図
【図3】活性化温度を測定するジーベルツ装置のシステ
ム図
【図4】実施例1の水素吸蔵合金の圧力−組成−等温線
【符号の説明】
3…水素吸蔵合金 S103…第1次活性化(第1次活性化工程) S104…死活(死活工程) S106…充填(充填工程) S107…第2次活性化(第2次活性化工程)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素吸蔵合金により水素を貯蔵する水素
    貯蔵装置において、水素化前の水素吸蔵合金の少なくと
    も一部がBCC相である水素吸蔵合金を前記水素貯蔵装
    置に充填する前に、前記水素吸蔵合金に水素を含有させ
    て予め活性化する第1次活性化工程と、この水素吸蔵合
    金を酸化性ガスで死活する死活工程と、この水素吸蔵合
    金を前記水素貯蔵装置に充填する充填工程と、この水素
    貯蔵装置に水素を導入して前記水素吸蔵合金を再び活性
    化する第2次活性化工程からなることを特徴とする水素
    貯蔵装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記BCC相がバナジウムを主体とした
    水素吸蔵合金であることを特徴とする請求項1記載の水
    素貯蔵装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記BCC相がチタン、ジルコニウム、
    クロム、マンガンの少なくとも一つを含む水素吸蔵合金
    であることを特徴とする請求項2記載の水素貯蔵装置の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水素吸蔵合金がラーベス相を含んで
    いることを特徴とする請求項2記載の水素貯蔵装置の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009035772A (ja) * 2007-08-01 2009-02-19 Honda Motor Co Ltd 水素吸蔵材
US7776258B2 (en) 2006-09-29 2010-08-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Hydrogen storage alloy, hydrogen separation membrane, hydrogen storage tank, and hydrogen absorption and desorption method
JP2010236084A (ja) * 2009-03-13 2010-10-21 Toyota Central R&D Labs Inc 水素吸蔵合金及びその製造方法、並びに、水素貯蔵装置
CN121274056A (zh) * 2025-09-29 2026-01-06 上海铂陆洁安新能源科技有限责任公司 一种易活化的TiFe系固态储氢罐及其制备方法

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