JP2000282339A - 吸水マット - Google Patents

吸水マット

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 踏み付けによる外力が繰り返し加わっても、
吸水性能や除塵性能が低下することはなく、また、外観
が損なわれることもない、吸水マットを提供すること。 【解決手段】 基布にパイル糸がタフトされてなり、全
部又は一部のパイル形状がカットパイルである、マット
において、吸水繊維からなるパイル原糸1と1本のナイ
ロンモノフィラメント糸2とが下撚りされ、2本の該下
撚り糸3とその間に配置した1本の融着糸4とが上撚り
され、融着糸4が溶融されて下撚り糸3同士が接着して
なる、糸を、上記パイル糸として用いたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として吸水目的
で用いるマットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、マットにおいて、高い吸水性を有
する機構としては、次のような構造が考えられる。 繊維1本1本を構成する物質の表面が、親水性であっ
て水との接触により容易に濡れる構造であること。 繊維1本1本の内部構造が水を吸収しやすい構造であ
ること。 繊維1本1本が可能な限り細く、繊維間の表面張力が
強く働く構造であること。 糸として内部に多くの空間を有する構造であること。
【0003】上記〜の構造を比較的満足させるもの
として、(i) コットンやレーヨンを撚り合わせた糸、(i
i) ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの、単糸が
1.0〜3.0デニールと細いものに、表面親水化処理
を施してなる糸、などがよく用いられている。また、単
繊維形状としては、糸内部の空間を大きくするために、
スパンタイプが最も多く用いられ、他に、合成繊維に予
め捲縮性を付与してなるフィラメント糸が用いられるこ
ともある。また、原材料コストや性能の面からは、コッ
トンが最良であり、主成分として用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の構造を有するパ
イル糸を用いたマットは、多数の人が歩行することによ
って踏み付けによる外力が繰り返し加えられる状況にお
いて、次の(1)及び(2)のような不具合が発生していたた
め、長期間使用する用途には不適当であった。 (1) 水や土砂などを取り除いたり水を保有したりする能
力が低下する傾向にあった。これは、次の理由によると
考えられる。即ち、(i) パイル糸が細いデニールの糸で
構成されているために弾力回復性が低いため、踏み付け
による外力によってマット全体の立体構造の高さ部分が
減少する。(ii) パイル糸同士の間の空間容積やパイル
糸内部の空間容積が踏み付けによる外力によって減少す
る。 (2) パイル糸同士の間の空間容積やパイル糸内部の空間
容積が踏み付けによる外力によって減少するため、土砂
が、パイル糸間やパイル糸内部に浸入するのが困難とな
り、その結果としてパイル糸表面に付着する確率が高く
なり、マット外観が損なわれる。
【0005】ところで、実用新案登録公報第25764
33号には、プラスチックモノフィラメントと吸水性マ
ルチフィラメントとを接着してなるパイル糸が示されて
いる。しかし、このパイル糸では、モノフィラメントが
吸水性マルチフィラメントに対して長手方向に連続的に
接着されているので、パイル糸全体が、モノフィラメン
トに比して弾性回復力の小さい融着糸及び吸水性マルチ
フィラメントの物理的特性の影響を著しく受けることと
なり、モノフィラメントの物理的特性を失っていた。従
って、このパイル糸を用いたマットでは、弾性回復力及
び吸水性能が不充分であった。
【0006】本発明は、踏み付けによる外力が繰り返し
加わっても、吸水性能やダスト除去性能が低下すること
はなく、また、外観が損なわれることもない、吸水マッ
トを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
基布にパイル糸がタフトされてなり、全部又は一部のパ
イル形状がカットパイルである、マットにおいて、吸水
繊維からなる少なくとも1本のパイル原糸と少なくとも
1本のモノフィラメント糸とが下撚りされ、該下撚り糸
複数本と少なくとも1本の融着糸とが上撚りされ、融着
糸が溶融されて下撚り糸同士が接着してなる、糸を、上
記パイル糸として用いたことを特徴とする吸水マットで
ある。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記糸が、少なくとも1本のパイル原糸と
1本のモノフィラメント糸とが下撚りされ、2本の該下
撚り糸とその間に配置した1本の融着糸とが上撚りさ
れ、融着糸が溶融されて下撚り糸同士が接着してなるも
のである。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、モノフィラメント糸がポリアミド系のもの
である。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において、融着糸の融点が90℃以上であるものであ
る。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明において、パイル原糸が、コットン及びレーヨンを2
0重量%以上の割合で含有しているものである。
【0012】パイル原糸を構成する吸水繊維としては、
コットン、レーヨン、ビニロン、ポリエステル、ポリプ
ロピレン、ポリアミド、アクリルなどが用いられる。そ
の太さは、0.1〜10デニールが好ましい。吸水繊維
は、パイル糸として必要な太さを得るのに必要な本数だ
け用いる。より高い吸水性を求める場合には、コットン
及びレーヨンが好ましく、パイル原糸中のコットン及び
レーヨンの含有割合が20重量%より少ないと高い吸水
性が得られにくくなる。
【0013】吸水繊維は、公知の方法で色付けしてもよ
い。その場合、洗浄耐久性、耐摩耗性、耐候性などの観
点から、顔料を分散させた繊維溶液を紡糸する公知の原
液着色法によるのが好ましい。なお、この原液着色糸
は、単独で使用してもよく、又は、他種の白糸と混合し
て任意の色を呈するよう使用してもよい。
【0014】パイル原糸は、スパンタイプ及びフィラメ
ントタイプのいずれでもよい。スパンタイプを用いる場
合は、通常、紡績時に下撚りする。
【0015】モノフィラメント糸の素材としては、ポリ
プロピレン系、ポリアミド系、ポリエステル系などが用
いられる。その単糸太さは40〜500デニールが好ま
しく、特に、ブラッシング機能やタフト性の観点から1
00〜400デニールが好ましい。弾性回復力の観点か
らはポリアミド系が好ましい。
【0016】融着糸としては、公知の、ポリプロピレン
系、ポリアミド系、ポリエステル系などが用いられる。
融着糸は、後工程において、マット基材を構成するゴム
の熱接着及び加硫を行うための加熱加圧条件下に晒され
るので、該条件下にてパイル糸に悪影響を及ぼさない程
度の融点に設定されるのが好ましい。具体的には、ゴム
の熱接着及び加硫は通常は140℃以上で実施されるの
で、融着糸の融点は90℃以上が好ましい。
【0017】好ましいパイル糸は、次のようにして得ら
れる。なお、図1はその一工程を示す。即ち、まず、多
数本の吸水繊維からなるパイル原糸1を作製する。な
お、スパンタイプとする場合には、紡績時に一方向へ撚
る。次に、1本のパイル原糸1と1本のモノフィラメン
ト糸2とを合わせて下撚りして下撚り糸3を作製する。
なお、この下撚り方向は、スパンタイプの場合の撚り方
向とは逆とする。次に、2本の下撚り糸3とその間に配
置した1本融着糸4とを合わせて上撚りして上撚り糸を
作製する。そして、上撚り糸を熱セットして、融着糸を
溶融させる。
【0018】熱セットは、融着糸が溶融する温度以上で
あれば、乾熱及び湿熱のいずれで行ってもよい。より安
定した加工を行うためには湿熱が好ましく、その条件は
90〜150℃で1〜30分が好ましい。
【0019】本発明のマットにおいては、用いるパイル
糸において、吸水繊維からなるパイル原糸の外周面にモ
ノフィラメント糸が位置することになるため、パイル原
糸の内部空間がモノフィラメント糸によって維持される
こととなり、それ故、踏み付けによる外力が繰り返し加
わっても、パイル原糸の内部空間が長期間持続すること
となり、吸水性能やダスト除去性能は低下しない。
【0020】しかも、モノフィラメント糸は、螺旋状と
なるため、スプリング作用を発揮する。それ故、踏み付
けによる外力が繰り返し加わってパイル糸が圧縮されて
も、モノフィラメント糸が、パイル糸の弾性回復力を助
長し、更にはパイル原糸の内部空間を広げるよう、働
く。従って、パイル糸における水及びダストの保持能力
が増大する。
【0021】また、モノフィラメント糸は、パイル原糸
に対して、撚り回数に応じた部分接着となる。そのた
め、モノフィラメント糸の物理的特性は、融着糸やパイ
ル原糸によって殆ど阻害されない。従って、上述したモ
ノフィラメント糸の作用は有効に発揮される。
【0022】また、パイル糸においては、モノフィラメ
ント糸とモノフィラメント糸との接着、モノフィラメン
ト糸とパイル原糸との接着、及びパイル原糸とパイル原
糸との接着が、全て均等に行われることとなるため、パ
イル糸全体の接着力が安定して強いものとなる。
【0023】更に、パイル原糸が外周にてモノフィラメ
ント糸により囲まれていること、及びパイル糸全体が均
一な接着構造を有していることから、パイル原糸として
は、スパンタイプ及びフィラメントタイプのいずれも使
用可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】(実施形態1)まず、表1に示す
素材及び混率で、320回/mで一方向に撚って、太さ
1100デニールのパイル原糸を作製した。
【0025】
【表1】
【0026】次に、2本のパイル原糸と太さ300デニ
ールの1本のポリアミドモノフィラメントとを合わせ
て、パイル原糸の紡績時の撚り方向とは逆方向に、20
0回/m下撚りして、下撚り糸を作製した。
【0027】次に、2本の下撚り糸と融点130℃の1
本のポリアミド系融着糸とを合わせて、100回/m上
撚りして、上撚り糸を作製した。なお、この際、融着糸
は2本の下撚り糸の間に配置させた状態で上撚りに供し
た。
【0028】そして、上撚り糸を、加湿加熱機により、
130℃で1分間、熱セットした。こうして、パイル糸
を得た。
【0029】次に、このパイル糸を、下記の条件にてタ
フティングして、マット原反を作製した。 基布…ポリエステル不織布:120g/m2 タフト密度…・ゲージ方向:8コ/インチ ・ステッチ方向:7コ/インチ ・パイル長…・ハイカット:11mm(50%) ・ローループ:5mm(50%) ・パイル目付量:950g/m2
【0030】そして、マット原反を90cm×75cm
の大きさに切断し、それに、下記のゴムシートを下記の
条件で接合して、マット原反にマット基材が接合してな
るマットを作製した。 ゴムシート:未加硫NBRラバー(加硫薬剤配合)、
1.5mm厚 加圧条件:3kg/cm2 加熱条件:170℃×12分
【0031】(比較形態1)ポリアミドモノフィラメン
ト及びポリアミド系融着糸を用いない点以外は全て実施
形態1と同様にして、マットを作製した。
【0032】(性能テスト)実施形態1のマットを20
サイクル繰り返し使用した。なお、1サイクルは、通行
人数2000人/日の場所に5日間敷設した後に回収し
て洗浄処理及び乾燥処理を施す工程とした。比較形態1
のマットも同様に使用した。洗浄処理及び乾燥処理は、
下記の通りとした。
【0033】そして、実施形態1及び比較形態1のマッ
トについて、使用後の外観を確認後、保水性能、ダスト
除去性能、及び水除去性能を調べた。なお、性能評価に
供したマット面積は260cm2とした。
【0034】実施形態1のマットについて、外観の変化
は認められなかった。即ち、パイル糸の変形や開き、モ
ノフィラメントの脱落や剥離などは、認められず、パイ
ル糸は中心部のモノフィラメントに支えられて立毛感を
維持していた。しかし、比較形態1のマットについて
は、繰り返しの洗浄・乾燥によってパイル原糸が収縮
し、また、パイル原糸の単繊維同士が絡み合ってパイル
原糸の厚み方向の減少が認められた。
【0035】保水性能については、マットに水を塗布
し、塗布した水が一歩当たり靴にどの程度付着するかを
調べて評価した。表2及び図2に示すように、実施形態
1及び比較形態1のマットでは共に、マットへの水の塗
布量が多くなるに従って靴への付着量が多くなるが、実
施形態1のマットは比較形態1のマットに比して、靴へ
の付着量がかなり少なかった。即ち、実施形態1のマッ
トは、パイル糸自身が有する弾性回復力によって、多く
の水分を保有する空間をパイル糸間に維持することがで
き、比較形態1のマットに比して、保水性能が良好であ
った。
【0036】
【表2】
【0037】ダスト除去性能については、歩数に応じて
靴からどの程度のダストが除去されるかを調べて評価し
た。表3及び図3に示すように、実施形態1及び比較形
態1のマットでは共に、歩数が多くなるに従ってダスト
除去量が多くなるが、実施形態1のマットは比較形態1
のマットに比して、ダスト除去量がかなり多かった。即
ち、実施形態1のマットは、踏み付けによる外力が繰り
返し加わってパイル糸が圧縮されても、パイル糸の空間
が減少せず、比較形態1のマットに比して、ダスト除去
性能が良好であった。
【0038】
【表3】
【0039】水除去性能については、歩数に応じて靴か
らどの程度の水が除去されるかを調べて評価した。表4
及び図4に示すように、実施形態1及び比較形態1のマ
ットでは共に、歩数が多くなるに従って水除去量が多く
なるが、実施形態1のマットは比較形態1のマットに比
して、水除去量がかなり多かった。即ち、実施形態1の
マットは、多くの水分を保有する空間をパイル糸間に維
持することができ、踏み付けによる外力が繰り返し加わ
ってパイル糸が圧縮されても、パイル糸の空間が減少せ
ず、比較形態1のマットに比して、水除去性能が良好で
あった。
【0040】
【表4】
【0041】なお、実施形態1では、2本のパイル原糸
と1本のナイロンモノフィラメント糸とを用いたが、パ
イル原糸は1本又は3本以上を用いてもよく、また、ナ
イロンモノフィラメント糸も2本以上を用いてもよい。
【0042】
【発明の効果】請求項1又は2に記載の吸水マットによ
れば、踏み付けによる外力が繰り返し加わっても、吸水
性能やダスト除去性能が低下するのを防止でき、また、
外観が損なわれるのも防止できる。
【0043】請求項3記載の吸水マットによれば、パイ
ル糸の弾性回復力を特に助長できる。
【0044】請求項4記載の吸水マットによれば、マッ
ト基材を構成するゴムの熱接着及び加硫を行うための加
熱加圧条件下にあっても、パイル糸に悪影響が及ぶこと
はない。
【0045】請求項5記載の吸水マットによれば、より
高い吸水性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマットに用いるパイル糸の一製造工
程を示す部分図である。
【図2】 実施形態1及び比較形態1のマットの保水性
能を示す図である。
【図3】 実施形態1及び比較形態1のマットのダスト
除去性能を示す図である。
【図4】 実施形態1及び比較形態1のマットの水除去
性能を示す図である。
【符号の説明】
1 パイル原糸 2 ナイロンモノフィラメント糸 3 下撚り糸 4 融着糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D03D 27/00 D03D 27/00 A (72)発明者 藤原 佳久 大阪府吹田市豊津町1番33号 株式会社ダ スキン内 (72)発明者 越智 清治 大阪府吹田市豊津町1番33号 株式会社ダ スキン内 Fターム(参考) 3B120 AA05 AA09 AA15 AA34 AA36 BA30 CA13 EB03 4L036 MA06 MA08 MA09 MA34 PA19 PA21 PA47 RA10 UA06 UA25 4L048 AA08 AA13 AA20 AA24 AA34 AB10 AB12 AB20 AC12 AC15 BA30 CA07 DA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基布にパイル糸がタフトされてなり、全
    部又は一部のパイル形状がカットパイルである、マット
    において、 吸水繊維からなる少なくとも1本のパイル原糸と少なく
    とも1本のモノフィラメント糸とが下撚りされ、該下撚
    り糸複数本と少なくとも1本の融着糸とが上撚りされ、
    融着糸が溶融されて下撚り糸同士が接着してなる、糸
    を、上記パイル糸として用いたことを特徴とする吸水マ
    ット。
  2. 【請求項2】 上記糸が、少なくとも1本のパイル原糸
    と1本のモノフィラメント糸とが下撚りされ、2本の該
    下撚り糸とその間に配置した1本の融着糸とが上撚りさ
    れ、融着糸が溶融されて下撚り糸同士が接着してなるも
    のである請求項1記載の吸水マット。
  3. 【請求項3】 モノフィラメント糸がポリアミド系のも
    のである請求項1記載の吸水マット。
  4. 【請求項4】 融着糸の融点が90℃以上である請求項
    1記載の吸水マット。
  5. 【請求項5】 パイル原糸が、コットン及びレーヨンを
    20重量%以上の割合で含有している請求項1記載の吸
    水マット。
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