JP2000282366A - セルロース系糸およびその形状記憶加工方法 - Google Patents

セルロース系糸およびその形状記憶加工方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】綿糸等のセルロース系糸に対して、形状記憶を
行なう。 【解決手段】綿糸等のセルロース系糸を編地等の所定の
構造体とした状態でセルロース分子間を樹脂によって架
橋した後に上記構造体を解除することによって、構造体
の状態の形状を糸に記憶させるようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロース系糸およ
びその形状加工方法に係り、とくに予め意図的に与えら
れた形態を回復し得る能力を内在したセルロース系糸お
よびその形状記憶加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば特開平5−33259号公報に
は、ビスコースレーヨン長繊維糸条をメリヤス編機によ
って編地に編成し、このような編地を高圧釜に供給し、
3kg/cm2 〜40kg/cm2 程度の高圧水蒸気で
30秒〜15分間程度処理し、この後に編地を解編する
ことによってデニット糸を得るようにしている。このよ
うなデニット糸は熱処理を受けてもその捲縮状態が記憶
されたままの状態になされ、水に浸漬することによって
元の捲縮状態を再現するようにしたものである。従って
このような方法によれば、予め意図的に加えられた編成
時の形態を常に回復する能力を繊維構造的に内在させた
形状記憶セルロース繊維が提供される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−33259
号公報に記載されている方法は、水蒸気を用いて形状の
熱固定を行ない、形状記憶を行なうものである。このよ
うな糸条は試験の結果、必ずしも形状記憶を長期間にわ
たって安定的に保持することができない。またこのよう
な方法は、ビスコースレーヨンの長繊維においては比較
的良好な結果を得ることができるものの、他のセルロー
ス系の再生繊維においては、必ずしも良好な形状記憶性
能が付与されない。さらには天然のセルロース繊維であ
る綿に適用した場合に、良好な形状記憶の効果を発揮す
ることができないという問題がある。
【0004】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであって、天然および再生セルロース糸に対して
より安定的にかつ長期間にわたって形状記憶の性能を付
与することができるようにしたセルロース系糸およびそ
の形状記憶加工方法に関するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願の一発明は、所定の
構造体とした状態でセルロース分子間を樹脂によって架
橋した後に構造体を解除して構造体の状態の形状を記憶
したセルロース系糸に関するものである。
【0006】また製造方法に関する別の発明は、セルロ
ース系糸によって所定の構造体を形成する工程と、前記
構造体の状態で樹脂によってセルロース分子間を架橋す
る工程と、構造体を解除して糸にする工程と、を具備す
るセルロース系糸の形状加工方法に関するものである。
【0007】ここでセルロース分子間を架橋する樹脂と
して尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムア
ルデヒド樹脂、繊維素反応型樹脂、縮合型樹脂の内の1
種または2種以上が用いられてよい。また架橋のための
樹脂とともに、繊維をコーティングする樹脂が併用され
てよい。また架橋のための樹脂および/またはコーティ
ングのための樹脂がキュア工程で反応するようにしてよ
い。また構造体が編成による編地であってよい。
【0008】
【作用】製造方法に関する発明によれば、構造体をなす
セルロース系糸に対して樹脂によってセルロース分子間
の架橋が行なわれ、この後に構造体を解除して糸にする
と、この糸に構造体の状態の形状が記憶されるようにな
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる糸は各
種のセルロース系糸であってよく、天然の綿糸、レーヨ
ン、アセテート等の再生セルロース繊維から成る糸、あ
るいはまたアミンオキサイド系溶剤によって溶解して紡
糸した精製セルロース糸(テンセル、商品名)等が適用
可能である。そしてこのようなセルロース系の繊維は所
定の構造体に形成される。構造体としては編地、織布等
が用いられるが、後の解除の工程の効率を考えると、編
成による編地であることが好ましい。
【0010】そしてこのような構造体に対して、必要で
あれば染色が行なわれ、染色が行なわれた後にまたは染
色しないで直接樹脂加工を行なうことにより、セルロー
ス分子間の架橋を行なう。なおこのときに好ましくは、
繊維の表面をコーティング樹脂によってコーティングす
る。そしてこの後にキュアリング工程で上記の樹脂を硬
化させる。そしてこの後に解除することによって、構造
体の状態の形状を記憶させたセルロース系糸が得られ
る。このようなセルロース系糸は、その記憶された形態
によってバルキー性を有しており、このためにこのよう
な糸によって編成を行なうと、極めてバルキー性に富
み、あるいはまた特殊な風合の編地が得られるようにな
る。
【0011】編地等の構造体とした後にセルロース分子
間を架橋して形状記憶を行なうための樹脂として、尿素
・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド
樹脂、繊維素反応型樹脂、縮合型樹脂等が用いられてよ
い。
【0012】とくに繊維素反応型樹脂がより効果的に用
いられる。このような繊維素反応型樹脂としては、グリ
オキザール樹脂(ジメチロールジヒドロキシエチレンウ
リア系樹脂)、エチレン尿素系樹脂、プロピレン尿素系
樹脂、ウロン系樹脂、トリアゾン系樹脂、ジメチルジヒ
ドロキシエチレンウリア系樹脂、エポキシ樹脂、スルホ
ン系樹脂、カルボン酸系樹脂、メラミン系樹脂等が好適
である。また縮合型樹脂としては、N−メチロール系樹
脂が好適に用いられてよい。
【0013】このような樹脂は、セルロースの繊維素、
とくにその水酸基に反応し、セルロース分子間を架橋す
ることによって構造体の形状をこの糸に対して記憶させ
る機能を有する。
【0014】またこのような形状記憶の際に、同時に糸
を構成する繊維の表面をコーティングし、形状安定効果
を付与させるコーティング樹脂を用いることが好まし
い。コーティング樹脂は繊維の表面に平滑性を付与し、
構造体を解除し易くするとともに、表面のコーティング
効果によって繊維の強力を補強する機能がある。このよ
うな目的に用いられるコーティング樹脂としては、ポリ
ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ
エチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂等が用いられてよ
い。
【0015】本発明のより好ましい態様において用いら
れる樹脂の組合わせは、形状記憶のためにグリオキザー
ル樹脂が用いられるとともに、コーティング樹脂として
シリコン樹脂またはウレタン樹脂が用いられる。グリオ
キザール樹脂を反応させる触媒として金属塩系触媒が用
いられ、繊維の表面をコーティングしてデニット解除時
の平滑性、すなわち繊維表面の毛羽立ちを抑えるととも
に、樹脂の持つ平滑性をも付与させる効果を付与し、コ
ーティングによる繊維強力の補強を目的とするために、
コーティング用のシリコン樹脂あるいはウレタン樹脂が
用いられる。
【0016】好ましい実施の形態の加工手順を以下に述
べる。
【0017】(1)綿糸またはレーヨン糸によって丸編
機で筒編みの編地を作成する。
【0018】(2)編成された筒編みの編地を必要であ
れば染色する。
【0019】(3)グリオキザール樹脂、グリオキザー
ル触媒、シリコン系樹脂またはウレタン樹脂等のコーテ
ィング樹脂を混合した樹脂の水溶液を筒編みの編地に付
着させる。
【0020】(4)マングルまたは遠心脱水により一定
の水分率にし、乾燥後に所定の樹脂付着量になるように
調整を行なう。
【0021】(5)80℃程度の温度で予備乾燥を行な
い、その後に130℃程度の温度でキュアして、グリオ
キザール樹脂によってセルロース分子間の架橋を行なわ
せ、同時にコーティング樹脂の熱反応によって繊維の表
面に付着させる。
【0022】(6)加工された筒編みの編地を解除す
る。この時にコーティング樹脂がないと糸の毛羽立ちや
摩擦等によって、解除がやや困難になる。コーティング
樹脂が付着された場合には、解除がより円滑に行なわれ
る。
【0023】(7)解除後の糸(デニット糸)は、筒編
みの編地の波形の形状が記憶されており、再度編地を作
成したときには、表面変化があって独特の風合の編地が
得られる。
【0024】
【実施例】実施例1〜6および比較例 20番手の綿単糸グランマーフィル20/−(商品名)
および30番手の綿単糸ベスコット30/−(商品名)
をそれぞれ原料とし、このような綿糸によって、靴下編
機を用いて筒編みを行ない、円筒状をなす編地を編成し
た。このような編地を精練して下晒しを行なって形状記
憶加工のための試料とした。
【0025】このような試料について、次のような加工
剤によって表1に示すように実施例の1〜6のそれぞれ
の加工を行なった。
【0026】
【表1】
【0027】加工剤 Sumitex Resin NS−200 (住友化
学製、グリオキザール系樹脂) Sumitex Accelerator X−110
(住友化学製、グリオキザール系触媒) エラストロンMF−25(第一工業製薬製、熱反応型水
溶性ウレタン樹脂) エラストロンCat.64(第一工業製薬製、エラスト
ロン用触媒) ソフトシリコン150(第一工業製薬製、アミノシリコ
ン柔軟剤) ラストルDP(M−221)(第一工業製薬製、反応型
ポリエチレンエマルジョン) 樹脂加工の条件は次の通りである。
【0028】(1)樹脂浴に対する浸漬は1回とし、浸
漬後1度ニップする。
【0029】(2)乾燥 80℃で30分 (3)キュア 160℃で3分、ただしベスコット20
番手の編地の場合には130℃で10分とした。
【0030】このような加工を行なった編地を100m
の綛取器で解除しながら40mの綛に取り、綛の長さお
よび波形の程度を比較した。なお綛長の測定は、荷重な
しで自然に垂らした状態で行なった。また比較はそのま
まの状態での比較と、40℃×10分の横振り染色機に
よる温水処理後に、遠心脱水処理および吊り干し乾燥を
含む温水処理の場合についてそれぞれ行なった。結果は
表2に示されている。
【0031】
【表2】
【0032】さらに解除した糸をワインダでコーンに巻
上げ、このようなコーンを靴下編機に供給して丸編地を
編成し、この丸編地によって比較を行なった。この比較
もそのままの状態と、JIS L 0217 103法
であって、洗剤として家庭用合成洗剤トップを使用し、
吊り干し後の洗濯処理後の比較とを行なった。結果は表
3に示されている。
【0033】
【表3】
【0034】グリオキザール系樹脂(Sumitex
Resin NS−200)が約6%よりも低い場合に
は若干の効果の低下が見られる。従ってより好ましく
は、グリオキザール系樹脂を6%以上の濃度とすること
が好ましい。
【0035】形状記憶樹脂による形状記憶加工のみでは
糸が硬くなって切れ易くなる傾向が見られている。そこ
で柔軟剤を添加してテストを行なった。しかし結果は同
様であって、ウレタン樹脂等のコーティング樹脂を併用
することがより好ましい。ウレタン樹脂等のコーティン
グ樹脂を併用することによって、風合が柔らかくなると
ともに、洗濯耐久性が向上し、長期間にわたって安定的
に形状記憶の性能を維持する。
【0036】ベスコット30/−は、グランマーフィル
20/−に比べて編地の凹凸が分り難い。しかし糸の場
合にははっきりと波形がついている。従ってこのような
差異は、糸の太さに依存することが原因であると考察さ
れる。温水処理後においても十分な形状が残存している
ことが確認された
【0037】
【発明の効果】以上のように本願の一発明は、所定の構
造体とした状態でセルロース分子間を樹脂によって架橋
した後に構造体を解除して構造体の状態の形状を記憶さ
せたものである。
【0038】従ってこのようなセルロース糸は、構造体
の状態を樹脂によるセルロース分子間の架橋によって保
持しており、長期間にわたる安定的な形状記憶が可能に
なる。
【0039】加工方法に関する発明は、セルロース系糸
によって所定の構造体を形成する工程と、構造体の状態
で樹脂によってセルロース分子間を架橋する工程と、構
造体を解除して糸にする工程と、を具備するセルロース
系糸の形状加工方法に関するものである。
【0040】従ってこのような加工方法によって、構造
体の形状を記憶したセルロース系糸を安定的に製造する
ことが可能になる。
【0041】セルロース分子間を架橋する樹脂として、
尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデ
ヒド樹脂、繊維素反応型樹脂、縮合型樹脂の内の1種ま
たは2種以上を用いるようにした構成によれば、このよ
うな樹脂によって形状記憶性能の付与が行なわれる。
【0042】架橋のための樹脂とともに、繊維をコーテ
ィングする樹脂が併用されるようにした構成によれば、
解除時の糸切れが少なくなり、しかも糸の強度を改善す
ることが可能になる。
【0043】架橋のための樹脂および/またはコーティ
ングのための樹脂がキュア工程で反応するようにした構
成によれば、このようなキュア工程によって架橋のため
の樹脂および/またはコーティングのための樹脂が反応
硬化される。
【0044】構造体が編成による編地である構成によれ
ば、編地から成る構造体の形状がセルロース系糸に付与
される。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の構造体とした状態でセルロース分子
    間を樹脂によって架橋した後に構造体を解除して構造体
    の状態の形状を記憶したセルロース系糸。
  2. 【請求項2】セルロース系糸によって所定の構造体を形
    成する工程と、 前記構造体の状態で樹脂によってセルロース分子間を架
    橋する工程と、 構造体を解除して糸にする工程と、 を具備するセルロース系糸の形状加工方法。
  3. 【請求項3】セルロース分子間を架橋する樹脂として尿
    素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒ
    ド樹脂、繊維素反応型樹脂、縮合型樹脂の内の1種また
    は2種以上を用いることを特徴とする請求項2に記載の
    セルロース系糸の形状加工方法。
  4. 【請求項4】架橋のための樹脂とともに、繊維をコーテ
    ィングする樹脂が併用されることを特徴とする請求項2
    または請求項3に記載のセルロース系糸の形状加工方
    法。
  5. 【請求項5】架橋のための樹脂および/またはコーティ
    ングのための樹脂がキュア工程で反応することを特徴と
    する請求項2〜請求項4の何れかに記載のセルロース系
    糸の形状加工方法。
  6. 【請求項6】構造体が編成による編地であることを特徴
    とする請求項2に記載のセルロース系糸の形状加工方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104313881A (zh) * 2014-10-20 2015-01-28 江苏金牛华尔车服饰有限公司 织物防皱整理剂
CN104313882A (zh) * 2014-10-20 2015-01-28 江苏金牛华尔车服饰有限公司 棉织物防皱整理剂

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CN104313881A (zh) * 2014-10-20 2015-01-28 江苏金牛华尔车服饰有限公司 织物防皱整理剂
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