JP2000287298A - アコースティックエミションの検出方法および検出素子 - Google Patents

アコースティックエミションの検出方法および検出素子

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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のアコースティックエミションの検出方
法、検出素子では検出が困難であった広帯域の周波数あ
るいは高周波数を有するアコースティックエミションの
検出を可能にした、更に、従来のアコースティックエミ
ションの検出方法、検出素子では検出が困難であった表
面が平坦面でない被検出体からのアコースティックエミ
ションの検出方法、検出素子を提供する。 【解決手段】アコースティックエミションを受けるセン
サを高分子圧電体で形成し、この圧電体から得られる電
気信号にて、アコースティックエミションを検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アコースティック
エミションの検出方法および検出素子に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】アコースティックエミション(AE)
は、固体の変形(破壊を含む)に伴って解放されるエネ
ルギーが音響パルスとなって伝搬する現象として知られ
ている。この音響パルスは、10MHz以上の高周波数
を有する場合もある。
【0003】例えば、「センサ技術」1987年10月
号(Vol.7.No.11)「圧電型AEセンサの原
理と超小型センサの適用例」、あるいは、「計測技
術」’96増刊号107−111頁第3章「設備診断技
術と適用事例」の「AEによる最近の設備診断例」に
は、この現象を検知することにより対象の固体の状況を
把握する手法が開発され、一部は実用化され、その効果
も、品質管理に貢献しているとされ、評価されているこ
とが記載されている。
【0004】一方、用途が広がるにつれて、検出すべき
アコースティックエミションによっては、広帯域および
/または20MHz以上の高周波のセンサが必要とな
り、このようなアコースティックエミションの検出手法
の開発が要望され始めた。
【0005】他方、従来の開発され、あるいは、実用化
されている圧電型AEセンサは、その検出素子がセラミ
ックス(アルミナ、PZTなど)圧電体からなるもので
あり、その検出可能な周波数の上限が1MHz乃至2M
Hzであり、それがため、前記要望を満足するには不十
分であった。
【0006】また、用途が広がるにつれて、アコーステ
ィックエミションを検出する被検出体の表面形状が、平
坦面ではなく、二種以上の平面の組合せあるいは曲面で
ある場合も増えてきており、非平坦面を有する、例え
ば、円柱状あるいは円錐状の棒状体、あるいは、椀状凸
面あるいは凹面を有する、被検出体に容易に対応できる
センサが必要となり、このようなアコースティックエミ
ションの検出素子の開発が要望され始めた。
【0007】上述の通り、従来の圧電型AEセンサは、
その検出素子がセラミックス(アルミナ、PZTなど)
圧電体からなるものであるため、センサのアコースティ
ックエミションの感知面を被検出体の曲面に適合させる
ことが困難であり、それがため、前記要望を満足するに
は不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点を解消し、上記要望を満足させるアコース
ティックエミションの検出方法および検出素子を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係るアコースティックエミションの検出方法
の構成は、次の通りである。
【0010】高分子圧電膜と、該高分子圧電体の両面に
設けられた電極、これら電極のそれぞれに結合されたリ
ード線と、前記2つの電極のそれぞれの外面を覆って設
けられた保護膜とからなる検出素子を用い、前記保護膜
の一方をアコースティックエミションの被検出体に対向
せしめて、前記高分子圧電体にてアコースティックエミ
ションを検出してなるアコースティックエミションの検
出方法。
【0011】この本発明によれば、広帯域のアコーステ
ィックエミションの検出が可能となり、また、従来の技
術に比べより高周波数のアコースティックエミションの
検出が可能となる。
【0012】被検出体の表面の形状が平坦面でない場合
は、この本発明において、検出素子を全体として可撓性
を有する構造とし、この可撓性を利用して、検出素子を
被検出体の表面形状に沿わせて用いるのが、アコーステ
ィックエミションの検出精度を高める上で、好ましい。
【0013】また、この発明において、高分子圧電体
は、フッ化ビニリデン65乃至95モル%と三フッ化エ
チレン35乃至5モル%との共重合体からなる圧電体で
あることが、アコースティックエミションの検出精度を
高める上で、好ましい。
【0014】上記目的を達成するための本発明に係るア
コースティックエミションの検出素子の構成は、次の通
りである。
【0015】高分子圧電膜と、該高分子圧電膜の両面に
設けられた薄層電極と、これら電極の一端にそれぞれに
結合されたリード線と、前記2つの電極のそれぞれの外
面を覆って設けられた薄層保護膜と、これら保護膜の一
方の外面を覆って設けられた導電性材料からなる可撓性
を有する薄層シールド部材とからなり、前記保護膜の他
方をアコースティックエミションの受信面とする可撓性
を有するアコースティックエミションの検出素子。
【0016】この本発明によれば、広帯域のアコーステ
ィックエミションの検出が可能となり、また、従来の技
術に比べより高周波数のアコースティックエミションの
検出が可能となり、更に、被検出体の表面が平坦面でな
い場合においても、アコースティックエミションの精度
良い検出が可能となる。
【0017】また、この発明において、高分子圧電体
は、フッ化ビニリデン65乃至95モル%と三フッ化エ
チレン35乃至5モル%との共重合体からなる圧電体で
あることが、アコースティックエミションの検出精度を
高める上で、好ましい。
【0018】なお、この共重合体からなる圧電体自体
は、特公昭63−18869号公報に開示されている。
また、この共重合体の単結晶膜からなる圧電体自体は、
特開平8−36917号公報に開示されている。
【0019】
【発明の実施の形態】図面を参照しながら、本発明に係
るアコースティックエミションの検出方法および検出素
子の実施の形態を説明する。
【0020】図1は、本発明を実施するために用いられ
るセンサの一例の縦断面図であり、図2は、図1に示さ
れたセンサの下面図である。
【0021】図1および2において、センサ1は、上面
が閉塞され下面に開口を有する円筒状のシールドケース
2、円筒状のシールドリング3、上下両面に金箔からな
る電極4、5がそれぞれ貼着された実質的に円形の高分
子圧電膜6、電極4、5の外面にそれぞれ貼着された保
護膜7、8、第1のリード線9、第2のリード線10、
送信ケーブル11とで形成されている。
【0022】高分子圧電膜6は、上下2枚の保護膜7、
8で封止され、保護膜7、8は、その外方において接合
され、その接合の外周端部は、シールドリング3の下端
面に貼着されている。このようにして、シールドケース
2の下面の開口は、高分子圧電膜6により塞がれてい
る。
【0023】シールドケース2およびシールドリング3
の一部には、ケース2の外周面とリング3の内周面間に
おいて、送信ケーブル11が連絡する連絡部(ケーブル
挿入孔あるいはコネクタ装着孔)12が設けられてい
る。
【0024】また、シールドケース2およびシールドリ
ング3の一部には、ケース2の外周面とリング3の内周
面間を貫通する空気流通孔13が設けられている。
【0025】更に、シールドケース2の一部には、腔1
4が穿設され、この腔14の下方は、シールドケース2
の下面にて、外方に解放されており、その上方は、空気
流通孔13に解放されている。腔14は、シールドケー
ス2の内壁とシールドリング3の外壁とに囲まれた横断
面が半円形の空間である。
【0026】第1のリード線9は、その一端が電極5に
接合され、保護膜7、8の接合部を通り、その端部から
シールドケース2の腔14中に延び、更に空気流通孔1
3からシールドケース2の内腔15に入り、その他端に
て、シールドケース2の内面に接合されている。
【0027】第2のリード線10は、その一端が電極4
に接合され、第1のリード線9と同様にして、シールド
ケース2の内腔15に入り、その他端にて、シールドケ
ース2の連絡部12に至り、直接あるいはコネクタを介
して、同軸ケーブルからなる送信ケーブル11のシグナ
ル線に連結されている。また、シールドケース2と送信
ケーブル11のグランド線とは、連結線16にて連結さ
れている。
【0028】この送信ケーブル11は、公知のAEシグ
ナルプロセッサ(図示せず)に結合され、これにより、
センサ1が感知するアコースティックエミションに応じ
て得られる電気信号が処理され、アコースティックエミ
ションが検出される。
【0029】図1に示した態様は、高分子圧電膜6は、
これをλ/2モードで駆動するものである。図示はしな
いが、高分子圧電膜6の背面に適切な吸収材あるいは反
射板を位置せしめることにより、高分子圧電膜6をλ/
4モードで駆動することも可能である。
【0030】図3は、本発明を実施するために用いられ
るセンサの一例の縦断面図であり、図4は、図3に示さ
れたセンサの上面図である。
【0031】図3および4において、センサ21は、実
質的に円形の高分子圧電膜22の下面に、金箔からなる
下方薄層電極23が貼着され、該電極23の下面に、下
方薄層保護膜24が貼着され、前記高分子圧電膜22の
上面に、金箔からなる上方薄層電極25が貼着され、該
電極25の上面に、上方薄層保護膜26が貼着され、更
に、該上方薄層保護膜26の上面を覆って導電性材料か
らなる可撓性を有する薄層シールド部材27が設けら
れ、前記下方電極23の一端に第1のリード線28が結
合され、前記上方電極25の一端に第2のリード線29
が結合されることにより、形成されている。
【0032】これら第1のリード線28と第2のリード
線29とは、公知のAEシグナルプロセッサ(図示せ
ず)に結合され、これにより、センサ21が感知するア
コースティックエミションに応じて得られる電気信号が
処理され、アコースティックエミションが検出される。
【0033】この構造のセンサ21においては、高分子
圧電膜22、下方および上方電極23、25、ならび
に、下方および上方保護膜24、26の合計の厚みを、
0.5mm以下に設計することが可能である。
【0034】導電性材料からなる可撓性を有する薄層シ
ールド部材27としては、金属の細線、例えば、線径が
約0.05mm乃至0.5mmのスズメッキされた銅の
細線、にて形成された編物、織物、あるいは、不織布か
らなるしなやかなメッシュタイプのシートが好ましく用
いられる。
【0035】この構造によれば、センサ21は、全体と
して可撓性を有するため、被検出体の表面が平坦面でな
い場合であっても、この可撓性を利用して、センサ21
を被検出体の当該表面に沿わせて位置せしめることが可
能となる。
【0036】従来のセラミックス圧電体を用いたアコー
スティックエミションの検出においては、事前にセラミ
ックス圧電体を被検出体の表面形状に合わせて成形した
場合は別にして、このようなことは困難であった。
【0037】
【実施例】次に、本発明に係るアコースティックエミシ
ョンの検出方法の実施例および比較実施例示す。
【0038】[実施例]図1に示されたセンサ1と同様
の構造からなり、次の要件に基づくセンサ1が作成され
た。
【0039】シールドケース2:真鍮製であり、外径が
22mm、下面から上面までの高さが10mm、内径が
16mm、内腔15の高さが8mmとされ、連結部1
2、空気流通孔13および腔14が設けられている。
【0040】シールドリング3:真鍮製であり、外径が
16mm、内径が15mm、高さが8mmとされ、連結
部12および空気流通孔13が設けられている。
【0041】高分子圧電膜6:ポリフッ化ビニリデン8
0モル%と三フッ化エチレン20モル%とからなる共重
合体で形成された厚さ60μmの高分子圧電膜が、接着
剤(エポキシ樹脂)を介して8枚積層され、その上面お
よび下面に、それぞれ厚さ1000オングストロームの
金からなる電極4、5が貼着されてなる。この高分子圧
電膜6の直径は、12.4mmとされた。なお、高分子
圧電膜の積層枚数を減らすことにより、20MHz以上
の高周波が検出可能なAEセンサを作成することができ
る。
【0042】保護膜7、8:厚さ12.50μmのポリ
イミドフィルムからなる。この保護膜7、8は、電極
4、5のそれぞれの外面に貼着された。これら保護膜
7、8の外径は、シールドリング3の外径16mmと実
質的に同じとされた。この保護膜7、8が接合され一体
化された外周部は、シールドリング3の下端面に、接着
剤(エポキシ樹脂)を介して接合された。
【0043】送信ケーブル11:長さ1mの直径2.2
mm、50Ω系の同軸ケーブルが用いられ、一端は、第
1のリード線9および第2のリード線10に電気的に接
続され、他端には、コネクタ(図示せず)が取り付けら
れた。
【0044】振動数応答分析器(Frequency Response A
nalyzer)(5090FRA)が用いられ、分析器の基
準器の上に、センサ1が、センサ1の高分子圧電膜6側
が基準器の上面に接する形で載置され、基準器が駆動さ
れ、このセンサ1が出力する信号が収録された。
【0045】この収録された結果が、図5のチャートに
示される。
【0046】ここで、従来のセラミックス圧電体を用い
たAEセンサの場合、センサを基準器の上面に載置し、
マグネットあるいは強力な接着剤を使用して強固に取り
付けないと正確な振動伝達がなされない欠点を有してい
た。しかるに、本発明に係る高分子圧電体を用いたAE
センサの場合、センサを基準器の上面に載置し、単に粘
着性のテープ(ガムテープ)で保持するのみで、適切に
駆動するAEセンサとして用いることができ、これは、
従来のセラミックス圧電体を用いたAEセンサには見ら
れない利点である。また、本発明に係る高分子圧電体を
用いたAEセンサの場合、それ自体が、従来のセラミッ
クス圧電体に比べ遥かにフレキシブルであるため、音響
伝達面との間に、高分子からなるゲル状の音響カプラン
トを介在させることにより、音響伝達面への接触圧を小
さくすることが可能である。
【0047】[比較例]広帯域型として一般に市販され
ている圧電体がセラミックスからなるAEセンサ(AE
−900F2)が用いられ、実施例の場合と同様にし
て、このセンサが出力する信号が収録された。
【0048】この収録された結果が、図6のチャートに
示される。
【0049】これら図5と図6のチャートにおけるそれ
ぞれの波形の比較から、本発明に係るアコースティック
エミションの検出方法によれば、従来技術では達成でき
なかった極めて広帯域で波形が平坦なアコースティック
エミションを検出することが可能であることが分かる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では達成でき
なかった極めて広帯域で波形が平坦なアコースティック
エミションを検出することが可能となる。また、高分子
圧電体の厚みを、膜の積層枚数を選択することにより、
調製し、20MHz以上の高周波域のアコースティック
エミションを検出する可能となる。また、検出素子は、
全体として可撓性を有するため、被検出体の表面が平坦
面でない場合でも、当該表面に沿って検出素子を載置で
きるため、アコースティックエミションの検出精度が保
証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るアコースティックエミションの
検出方法に好ましく用いられる高分子圧電体からなるセ
ンサの一例の縦断面図。
【図2】 図1に示されたセンサの下面図。
【図3】 本発明に係る可撓性を有するアコースティッ
クエミションの検出素子の一例の縦断面図。
【図4】 図3に示されたセンサの上面図。
【図5】 実施例におけるセンサの特性を示すチャー
ト。
【図6】 実施例におけるセンサの特性を示すチャー
ト。
【符号の説明】
1:センサ 2:シールドケース 3:シールドリング 4:電極 5:電極 6:高分子圧電膜 7:保護膜 8:保護膜 9:第1のリード線 10:第2のリード線 11:送信ケーブル 12:連絡部 13:空気流通孔 14:腔 15:内腔 16:連結線 21:センサ 22:高分子圧電膜 23:下方薄層電極 24:下方薄層保護膜 25:上方薄層電極 26:上方薄層保護膜 27:薄層シールド部材 28:第1のリード線 29:第2のリード線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子圧電膜と、該高分子圧電体の両面
    に設けられた電極、これら電極のそれぞれに結合された
    リード線と、前記2つの電極のそれぞれの外面を覆って
    設けられた保護膜とからなる検出素子を用い、前記保護
    膜の一方をアコースティックエミションの被検出体に対
    向せしめて、前記高分子圧電体にてアコースティックエ
    ミションを検出してなるアコースティックエミションの
    検出方法。
  2. 【請求項2】 前記検出素子が全体として可撓性を有
    し、該可撓性を利用して該検出素子を前記被検出体の表
    面形状に沿わせて用いてなる請求項1に記載のアコース
    ティックエミションの検出方法。
  3. 【請求項3】 前記高分子圧電体が、フッ化ビニリデン
    65乃至95モル%と三フッ化エチレン35乃至5モル
    %との共重合体からなる圧電体である請求項1あるいは
    2に記載のアコースティックエミションの検出方法。
  4. 【請求項4】 高分子圧電膜と、該高分子圧電膜の両面
    に設けられた薄層電極と、これら電極の一端にそれぞれ
    に結合されたリード線と、前記2つの電極のそれぞれの
    外面を覆って設けられた薄層保護膜と、これら保護膜の
    一方の外面を覆って設けられた導電性材料からなる可撓
    性を有する薄層シールド部材とからなり、前記保護膜の
    他方をアコースティックエミションの受信面とする可撓
    性を有するアコースティックエミションの検出素子。
  5. 【請求項5】 前記高分子圧電膜が、フッ化ビニリデン
    65乃至95モル%と三フッ化エチレン35乃至5モル
    %との共重合体からなる圧電膜である請求項4に記載の
    アコースティックエミションの検出素子。
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