JP2000287645A - 改質鶏卵液 - Google Patents

改質鶏卵液

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JP2000287645A
JP2000287645A JP11102238A JP10223899A JP2000287645A JP 2000287645 A JP2000287645 A JP 2000287645A JP 11102238 A JP11102238 A JP 11102238A JP 10223899 A JP10223899 A JP 10223899A JP 2000287645 A JP2000287645 A JP 2000287645A
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egg
enzyme
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chicken egg
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JP11102238A
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English (en)
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Kazuhiko Hirano
和彦 平野
Motonori Koide
元紀 小出
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Taiyo Kagaku Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Kagaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鶏卵液の機能の研究が進み、鶏卵液の乳化特
性、加熱ゲル化特性、起泡特性等が見出されており、こ
れら特性の増強が検討されているが、これら特性の増強
を目的とする鶏卵液の改質で酵素を使用した場合、酵素
の失活は不可欠である。この様な酵素の失活は鶏卵液の
特性を低減もしくは消失させるものであり、これらの機
能特性を低下させずに、酵素の残存の無い改質鶏卵液が
得られれば食品分野等の素材として注目されるものとな
り、食品産業等に非常に有益なものとなる。 【解決手段】 鶏卵液を固定化した1種または2種以上
の酵素により処理することで酵素の残存が無く、酵素失
活の工程が無いために改質鶏卵液の加熱ゲル化性等の機
能特性が残り、更に機能特性が突出した改質鶏卵液を大
量に得るための鶏卵液の改質方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鶏卵を原料に、固
定化酵素で効率よく酵素処理して得られる改質鶏卵液で
あり、鶏卵の加熱ゲル化性等の機能特性を有すると共に
酵素失活不要な改質鶏卵液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鶏卵液の酵素による加水分解は、
微生物由来、植物由来、動物由来の様々な酵素を直接鶏
卵液に添加して分解している。この為、添加した様々な
酵素は鶏卵液中に残存しており、加熱処理や酸、アルカ
リ、有機溶剤等の蛋白質変性剤によりにより酵素を失活
させている。しかし、加熱処理や蛋白質変性剤による酵
素失活を行うことで鶏卵液の蛋白質の変性や脂質の酸化
を受けてしまう。
【0003】また、酵素失活処理を行わない場合は、鶏
卵液中に酵素が残存してしまうために、分解度のコント
ロールが出来なくなる。更に、酵素が残存する鶏卵液を
食品に添加した場合、鶏卵液中の残存酵素により食品中
の成分が分解されてしまう問題がある。
【0004】また、近年鶏卵液の機能の研究が進み、鶏
卵液の乳化特性、加熱ゲル化特性、起泡特性等の機能特
性が様々な食品に利用される様になり、機能特性の増強
に対する要求も高まっている。これら機能特性増強の手
段として、酵素を利用した場合においても酵素の失活は
不可欠であるが、前述のごとく従来の酵素の失活処理で
は鶏卵液の機能特性の低減もしくは消失が避けられず、
この問題の解決が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は鶏卵液本来の
機能特性を有する改質鶏卵液を提供することを課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決に鋭意工夫を重ねた結果、鶏卵液を固定化した1
種または2種以上の酵素で効率よく分解でき、しかも酵
素失活のための後処理が不要となることを見いだし、本
発明を完成した。さらに詳しくは、鶏卵の機能特性を失
うことなく、突出した機能特性を付与または維持した改
質鶏卵液が得られることが可能となった。本発明におけ
る改質鶏卵液とは、蛋白質分解酵素や、脂質分解酵素等
の酵素で分解した鶏卵液であり、起泡特性、加熱ゲル化
特性、乳化特性等に優れたものをいう。
【0007】すなわち、本発明の鶏卵液の分解方法は、
鶏卵液を固定化した1種または2種以上の酵素で酵素処
理して得られるものであり、従来、鶏卵液に直接酵素を
添加する方法と分解度が変わらない、もしくは分解度が
向上した改質鶏卵を得ることが出来、また、固定化した
1種または2種以上の酵素を濾過等の工程により取り除
くことで酵素の残存が無く、酵素の失活処理が不要なた
め、鶏卵特性の乳化特性、加熱ゲル化特性、起泡特性が
消失することなく、酵素による改質で突出した機能特性
を付与維持した改質鶏卵液を得ることができるものであ
る。以下本発明を詳述する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において使用される鶏卵と
は、殻付き卵を割卵処理した鶏卵液、さらに微生物の増
殖を抑える目的で低温殺菌した鶏卵液。割卵分離後の卵
黄液やこの卵黄液に卵白液を任意の割合で加えたものな
どであり、さらに鶏卵粉末である全卵粉末、卵黄粉末、
卵白粉末を単独あるいは複数を配合して水戻ししたもの
が挙げられる。また、上述の鶏卵液、鶏卵粉末の水戻し
品又は鶏卵液、鶏卵粉末の水戻し品に有機溶剤抽出法も
しくは超臨界抽出法にて抽出されたリン脂質を加えたも
のに水を加えて固形分含量を調整した鶏卵液であっても
良く、その固形分は特に限定するものでない。本発明の
酵素処理に適した任意の固形分に調整して使用可能であ
る。尚、本発明の固形分の調整は、固定化酵素で鶏卵液
を分解するときに低粘度化することで、流動性が向上し
て固定化酵素との接触が増大して効率的な分解が可能と
なるが、固形分を調整することにより卵が本来有する機
能特性も薄れてしまうが、本発明では濃縮工程を加える
ことにより、卵が本来有する機能特性が保持されうるも
のであり問題はない。酵素処理に適した固形分量は上述
のごとく特に限定されるものではないが通常5〜60
%、好ましくは10〜50%、更に好ましくは30〜5
0%に調整される。
【0009】本発明の酵素とは、加水分解にて基質を分
解する酵素であり、蛋白質を加水分解するプロテアー
ゼ、ペプチダーゼ等の蛋白質分解酵素や脂質を分解する
リパーゼ、ホスホリパーゼのごとき脂質分解酵素を指す
もので、Rhizopus属、Aspergillus
属、Mucor属、Bacillus属、Pseudo
monas属、Streptococcus属、Esc
herichia属等の微生物由来、レンニン、パンク
レアチン等の動物由来、パパイン、ブロメライン、フィ
シン等の植物に由来する酵素が例示されるが、好ましく
はRhizopus属、Aspergillus属、B
acillus属、動物由来の酵素が望ましく、その精
製品や粗製品が単独あるいは2種以上を併用して利用で
きる。
【0010】蛋白分解酵素は至適pHによってアルカ
リ、中性、酸性に大きく分けられ、更に基質を分解する
部位によりエンド型とエキソ型に分けられるが、本発明
ではこれら蛋白分解酵素の活性が最も発揮される条件で
使用すれば良い。これら蛋白分解酵素の使用量は、用い
る蛋白分解酵素の種類や組み合わせによって適宜決めら
れるものであり、特に限定されるものではないが、通常
基質である蛋白質1g当たりに対する蛋白分解酵素の活
性単位で表され通常100〜5000単位、好ましくは
100〜3000単位、更に好ましくは250〜200
0単位の範囲から任意に選ばれるものである。
【0011】尚、上記活性単位の測定法として一例を挙
げれば、カゼインに蛋白分解酵素が作用するときにペプ
チド結合の切断に伴って増加する酸可溶性分解物(TC
A可溶性分解物)の量を測定する方法があり、蛋白分解
酵素がカゼインに30℃で作用するとき、反応初期の1
分間に1マイクログラム(μg)のチロシンに相当する
非蛋白性のフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素
量を1単位とするものである。
【0012】脂質分解酵素は、鶏卵中の脂質を加水分解
するものであり、通常、リパーゼやホスホリパーゼが使
用される。リパーゼの活性測定は、オリーブ油乳化液に
酵素を作用させて、1分間に1マイクロモル当量の脂肪
酸を遊離する活性を1単位とし、酵素の希釈倍数を乗じ
て表示するものである。一例として、本発明において
は、脂質1gに対して10〜5000単位、好ましくは
50〜2000単位のリパーゼまたはホスホリパーゼを
加えることにより脂質を分解するものである。
【0013】本発明の固定化酵素とは上述の酵素をイオ
ン交換樹脂や修飾試薬による固体への接合等により固定
化したものであり、公知の定法により固定化される。一
例を挙げれば、酵素溶液を撹拌しつつ5N−塩酸にてp
Hを6.5とし、この酵素溶液に陽イオン交換樹脂を加
えて酵素を吸着させるのであるが、事前に陽イオン交換
樹脂のアンバーライトIRC−50(ロームアンドハー
スト社製)を酵素溶液にに添加する前にカセイソーダそ
の他のアルカリ剤で処理して約1.2〜1.4mg当量
/ml(樹脂)の陽イオン(Hを除いたNa、K、NH
4等の陽イオン)置換型として、pHを6.5付近に調
整後使用するもである。このようにpH6.5に調整し
たアンバーライトIRC−50を前述のpH調整した酵
素溶液に加え、撹拌しつつ酵素を吸着固定化させる。
【0014】更に、撹拌終了後静置状態とすると酵素を
吸着固定化した陽イオン交換樹脂は沈降する。上清液を
捨て、精製水にて陽イオン交換樹脂を水洗し、水洗液が
清澄するまで繰り返す。充分に水洗液を除去して固定化
酵素を得るものである。
【0015】まず、本発明は、鶏卵液を調製することか
ら始まる。前述の鶏卵液、鶏卵粉末を単独あるいは複数
を用いて、本発明に適した固形分に調整する。固形分の
調整は水で行い、通常、前述の鶏卵液、鶏卵粉末のリン
脂質を含んだもの、及び鶏卵液、鶏卵粉末に有機溶剤抽
出法もしくは超臨界抽出法にて抽出されたリン脂質を加
えたものに水を加えて固形分含量を調整する。固形分含
量としては、5〜60%が好ましく、更に好ましくは1
0〜50%、更に好ましくは30〜50%が、鶏卵液の
粘度が低下し流動性が向上して、固定化した酵素との接
触が増えて、効率よく分解可能となる。
【0016】次に、鶏卵液に、固定化した酵素を加え
て、加水分解するものである。蛋白分解酵素の添加量と
しては前述の、通常基質である蛋白質1g当たりに対す
る蛋白分解酵素の活性単位で表され、通常100〜50
00単位、好ましくは100〜3000単位、更に好ま
しくは250〜2000単位の範囲から任意に選ばれる
ものである。また、脂質を分解する場合においては、脂
質分解酵素を脂質1gに対して10〜5000単位の範
囲内で固定化した酵素を加える。
【0017】その他加水分解の条件として、温度は蛋白
分解酵素と脂質分解酵素が働く温度域で有れば如何なる
温度帯でも加水分解可能であるが、本特許の好ましい温
度帯は、通常−5〜50℃の範囲で良く、好ましくは0
〜40℃、さらに好ましくは0〜30℃が良い。−5℃
以下では希釈鶏卵液が完全に凍結してしまうために加水
分解が出来なくなり、また、50℃以上では蛋白分解酵
素と脂質分解酵素の酵素活性が低下してしまい蛋白質や
脂質の効率的な分解が出来なくなるためである。次に、
加水分解の時間は、基質の蛋白質や脂質の量、固定化酵
素の量、加水分解の温度によって適宜決定されるが、通
常、加水分解の温度が−5〜10℃であれば1時間〜8
時間、10〜20℃であれば1時間〜6時間、20〜5
0℃であれば1時間〜4時間を目安とすることで十分で
ある。
【0018】本発明における加水分解では、必要に応じ
て鶏卵液の固形分を調整することで鶏卵液の粘度が低下
して、固定化酵素と基質の接触が格段に向上して、効率
よく分解することが可能となり。鶏卵液を撹拌しながら
分解したり、循環しながら分解することにより更に効率
よく分解が可能となる。
【0019】次に固定化酵素により分解された鶏卵液か
ら固定化酵素を取り除く。イオン交換樹脂の固定化酵素
で有れば、濾過等の分離により固定化酵素と分解された
改質鶏卵液を分けることが出来。或いは、分解された改
質鶏卵液のみを取り出して別の容器に移すだけで可能と
なる。この様に分離された改質鶏卵液には酵素の残存が
無いことは明白であり、酵素の失活は不要である。
【0020】この様な工程で得られた分解鶏卵液はその
ままでも、食品等の原料として使用可能であるが、本発
明では、産業上使用範囲がさらに広くなるように濃縮工
程を行うことで、より使用範囲を高めることができる。
濃縮工程の方法としては、RO膜(逆浸透膜)を使用す
ることで水を取り除くことができる。濃縮の度合いとし
ては固形分が20〜70%、好ましくは25〜50%に
濃縮することが好ましく、RO膜を使用することで任意
の濃度に濃縮可能となり、有益な改質鶏卵液が得られる
ものである。
【0021】以上の工程で得られる改質鶏卵液は工程中
に酵素失活が不要であり、この為、改質鶏卵液の加熱や
変性による、蛋白質や脂質の変性や酸化が生じないこと
により酵素で改質された機能適性と鶏卵が本来持つ機能
特性が保持されており、食品等への産業利用上、有益で
あることは明白である。
【0022】又、上述の方法により得られた改質鶏卵液
は、微生物による汚染が心配されるため、微生物の殺菌
を目的として、鶏卵蛋白質が加熱変性しない程度の殺菌
を行うことは何ら問題はなく、通常、割卵された鶏卵液
が殺菌される温度である57〜68℃で適宜時間殺菌さ
れるものである。一例を挙げれば、改質鶏卵液の固形分
が25%の場合で有れば、60℃3分30秒程度の殺菌
で良く、固形分が50%の場合は62℃3分30秒程度
の殺菌で鶏卵蛋白質は変性することなく微生物は殺菌可
能である。さらに、本発明の改質鶏卵液の保存性を向上
させる目的で加糖、加塩することは何ら問題なく、保存
方法も冷凍冷蔵等限定されるものではない。
【0023】かくして得られる本発明の改質鶏卵液は、
そのままで食品分野等の産業全般に改質鶏卵液として利
用可能であるが、必要に応じて、他の乳化剤、増粘多糖
類、ペプチド、核酸系調味料、化学調味料、旨味調味
料、味噌、醤油、塩、食塩、油脂等あらゆる食品素材と
混合することは何ら問題はなく、あらゆる食品に利用可
能な改質鶏卵液であり、また、化粧品、医薬品等にも利
用可能である。
【0024】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれによって特に限定されるものでは
ない。
【0025】
【実施例】実施例1 卵黄粉末(蛋白質含有量30%、脂質含有量60%)5
kgに水を5kg加えて鶏卵液を調整した。鶏卵液の固
形分は約50%となった。次にこの鶏卵液に固定化した
プロテアーゼ(細菌アルカリプロテアーゼ、Bacil
lus subtilis起源:活性単位220,00
0単位/g)を加えるのであるが、固定化したプロテア
ーゼを事前に調整する。調整としては、5%プロテアー
ゼ溶液を撹拌しつつ5N−塩酸にてpHを6.5とし
た。この液に陽イオン交換樹脂を加えてプロテアーゼを
吸着させるのであるが、事前に陽イオン交換樹脂のアン
バーライトIRC−50(ロームアンドハースト社製)
をプロテアーゼ溶液に添加する前にカセイソーダその他
のアルカリ剤で処理して約1.2〜1.4mg当量/m
l(樹脂)の陽イオン(Hを除いたNa、K、NH4等
の陽イオン)置換型として、pHを6.5付近に調整後
使用した。このようにpH6.5に調整したアンバーラ
イトIRC−50の200mlを前述のpH調整したプ
ロテアーゼ溶液に加え、1.5時間撹拌しつつプロテア
ーゼを吸着固定化させる。
【0026】撹拌終了後静置状態とすると10〜20分
でプロテアーゼを吸着固定化した陽イオン交換樹脂は沈
降する。上清液を捨て、精製水5Lにてプロテアーゼを
吸着固定化した陽イオン交換樹脂を水洗し、水洗液が清
澄するまで繰り返す。充分に水洗液を除去してから希釈
鶏卵液にプロテアーゼを吸着固定化した陽イオン交換樹
脂を対蛋白質1g当たり1,000単位加えるものであ
る。酵素分解は鶏卵液を撹拌若しくは循環させながら、
25℃の温度に保持しながら4時間、鶏卵液を分解し
た。
【0027】酵素処理後、プロテアーゼを吸着固定化し
た陽イオン交換樹脂を60メッシュのラインフィルター
で改質鶏卵液と分離した。プロテアーゼで分解された改
質鶏卵液は、、TCA法にて蛋白含有率0.5%水溶液
に調整して、この液4mlに5%トリクロル酢酸水溶液
6mlを加えて、37℃にて30分放置後、濾過(AD
VANTEC No.2)し、3%トリクロル酢酸水溶
液を対照にに275nmで濾液の吸光度を測定して、分
解度(=6.7×濾液の吸光度)を測定したところ11
%であった。
【0028】比較例1 一方、卵黄粉末(蛋白質含有量30%、脂質含有量60
%)5kgに水を5kg加えて鶏卵液を調整した。鶏卵
液の固形分は実施例1の改質鶏卵液と同じく約50%と
なった。この鶏卵液にプロテアーゼ(細菌アルカリプロ
テアーゼ、Bacillus subtilis起源:
活性単位220,000単位/g)を対蛋白質1g当た
り1,000単位加えるものである。酵素分解は鶏卵液
を実施例1と同じく撹拌若しくは循環させながら、25
℃の温度に保持しながら4時間鶏卵液を分解した。
【0029】酵素処理後、プロテアーゼの失活を目的に
85℃30分加熱したところ、酵素は失活できた。尚、
鶏卵液は加熱により加熱凝固してしまい鶏卵が本来有す
る加熱凝固性が消失してしまい、鶏卵蛋白が加熱により
熱変性していた。得られた酵素処理鶏卵液は、実施例1
と同じくTCA法にて蛋白含有率0.5%水溶液に調整
して、この液4mlに5%トリクロル酢酸水溶液6ml
を加えて、37℃にて30分放置後、濾過(ADVAN
TEC No.2)し、3%トリクロル酢酸水溶液を対
照にに275nmで濾液の吸光度を測定して、分解度
(=6.7×濾液の吸光度)を測定したところ7%であ
った。
【0030】実施例1と比較例1の結果より、実施例1
は加熱による酵素失活がないために、鶏卵の加熱凝固性
を有することは明らかであり、また、同じ酵素力価によ
る分解で比較例1と比較して分解度が高い結果となっ
た。尚、実施例1で得られた改質鶏卵液を85℃30分
加熱したところ凝固が確認でき、加熱凝固性を消失して
いないことが確認された。また、実施例1と比較例1の
味や風味に大きな差は見られなかったが、比較例1は酵
素失活処理時の加熱により食感はゴム様であり、このま
ま食品に添加できない状態であった。
【0031】実施例2 卵黄液(蛋白質含有量15%、脂質含有量31%)5k
gに水を5kg加えて鶏卵液を調整した。希釈卵液の固
形分は約25%となった。次にこの鶏卵液に固定化した
脂質分解酵素(豚膵臓ホスホリパーゼA2:活性単位4
0,000単位/g)を対脂質1g当たり300単位を
加えるのであるが、固定化したホスホリパーゼを事前に
調整する。調整としては、5%ホスホリパーゼ溶液を撹
拌しつつ5N−塩酸にてpHを6.5とした。この液に
陽イオン交換樹脂を加えてホスホリパーゼを吸着させる
のであるが、事前に陽イオン交換樹脂のアンバーライト
IRC−50(ロームアンドハースト社製)をホスホリ
パーゼ溶液に添加する前にカセイソーダその他のアルカ
リ剤で処理して約1.2〜1.4mg当量/ml(樹
脂)の陽イオン(Hを除いたNa、K、NH4等の陽イ
オン)置換型として、pHを6.5付近に調整後使用し
た。このようにpH6.5に調整したアンバーライトI
RC−50の200mlを前述のpH調整したプロテア
ーゼ溶液に加え、1.5時間撹拌しつつホスホリパーゼ
を吸着固定化させる。
【0032】撹拌終了後静置状態とすると10〜20分
でホスホリパーゼを吸着固定化した陽イオン交換樹脂は
沈降する。上清液を捨て、精製水5Lにてホスホリパー
ゼを吸着固定化した陽イオン交換樹脂を水洗し、水洗液
が清澄するまで繰り返す。充分に水洗液を除去してから
希釈鶏卵液にホスホリパーゼを吸着固定化した陽イオン
交換樹脂を対脂質1g当たり1,000単位を加えるも
のである。酵素処理は鶏卵液を撹拌若しくは循環させな
がら、40℃の温度に保持しながら3時間鶏卵液を分解
した。
【0033】酵素処理後、ホスホリパーゼを吸着固定化
した陽イオン交換樹脂を60メッシュのラインフィルタ
ーで改質鶏卵液と分離した。ホスホリパーゼで分解され
た改質鶏卵液は、RO膜により水を除いて固形分25%
から50%に濃縮して改質鶏卵液を得た。得られた改質
鶏卵液のホスホリパーゼによるレシチンのリゾ化率を、
薄層クロマトグラフィーを用い、その後、イヤトロスキ
ャンで定量する方法によりリゾ化率の測定をおこなっ
た。まず、薄層クロマトグラフィーの展開溶媒として、
クロロホルム:メタノール:25%アンモニア水=6
5:25:4を用い、実施例2の試料を約50分展開
後、充分乾燥させた後に、イヤトロスキャンで定量を行
ない、改質前のフォスフアチジルコリン+フォスフアエ
タノールアミンの総量に基づくホスホリパーゼによる改
質後の変換フォスフアチジルコリン+変換フォスフアエ
タノールアミンの%をリゾ化率とし、測定したところ、
70%がリゾレシチンに改質された改質鶏卵液となって
いた。
【0034】比較例2 一方、卵黄液(蛋白質含有量15%、脂質含有量31
%)の固形分は実施例2の改質鶏卵液と同じく約50%
であり、そのまま10kgを使用した。この卵黄液に脂
質分解酵素(豚膵臓ホスホリパーゼA2:活性単位4
0,000単位/g)を対脂質1g当たり1,000単
位を加える。酵素処理は鶏卵液を実施例2と同じく撹拌
若しくは循環させながら、40℃の温度に保持しながら
3時間分解した。
【0035】酵素処理後、ホスホリパーゼの失活を目的
に85℃30分加熱したところ、酵素は失活できた。
尚、鶏卵液は加熱により加熱凝固してしまい鶏卵が本来
有する加熱凝固性が消失してしまい、鶏卵蛋白が加熱に
より熱変性していた。得られた酵素処理鶏卵液は、実施
例2と同じくホスホリパーゼによるレシチンのリゾ化率
を、薄層クロマトグラフィーを用い、その後、イヤトロ
スキャンで定量する方法によりリゾ化率の測定をおこな
った。まず、薄層クロマトグラフィーの展開溶媒とし
て、クロロホルム:メタノール:25%アンモニア水=
65:25:4を用い、実施例2の試料を約50分展開
後、充分乾燥させた後に、イヤトロスキャンで定量を行
ない、改質前のフォスフアチジルコリン+フォスフアエ
タノールアミンの総量に基づくホスホリパーゼによる改
質後の変換フォスフアチジルコリン+変換フォスフアエ
タノールアミンの%をリゾ化率とし、測定したところ、
35%がリゾレシチンに改質されていた。
【0036】実施例2と比較例2の結果より、実施例2
は加熱による酵素失活がないために、鶏卵の加熱凝固性
を有することは明らかであり、また、同じ酵素力価によ
る分解で比較例2と比較して分解度が高い結果となっ
た。尚、実施例2で得られた改質鶏卵液を85℃30分
加熱したところ凝固が確認でき、加熱凝固性を消失して
いないことが確認された。また、実施例2と比較例2の
味や風味に大きな差は見られなかったが、比較例2は酵
素失活処理時の加熱により食感はゴム様であり、このま
ま食品に添加できない状態であった。
【0037】以上のように、実施例1.2により得られ
る改質鶏卵液は、固定化酵素による分解の度合いも従来
法と比較して高く、また、酵素の失活が必要ないため、
従来の酵素処理法のような加熱失活を行う方法と異な
り、鶏卵が有する加熱凝固性を有したまま改質鶏卵液が
得られるという特徴を有している。この様に、本特許で
は、酵素分解を行って改質する場合において、鶏卵が本
来有する機能特性を酵素の失活処理で失わうことはな
い。
【0038】以下、本発明の実施態様を挙げる。 (1) 鶏卵液を、固定化した1種または2種以上の酵
素により処理することを特徴とする改質鶏卵液。 (2) 鶏卵液の機能特性を残した(1)記載の改質鶏
卵液。 (3)前記(1)〜(2)記載により得られた改質鶏卵
液を含む食品、化粧品、医薬品。 (4)鶏卵液が、殻付き卵を割卵処理した鶏卵液、さら
に微生物の増殖を抑える目的で低温殺菌した鶏卵液。割
卵分離後の卵黄液やこの卵黄液に卵白液を任意の割合で
加えたものなどであり、さらに鶏卵粉末である全卵粉
末、卵黄粉末、卵白粉末を単独あるいは複数を配合して
水戻ししたものが挙げられる。また、上述の鶏卵液、鶏
卵粉末の見ず戻し品に有機溶剤抽出法もしくは超臨界抽
出法にて抽出されたリン脂質を加えたものに水を加えて
固形分含量を調整した鶏卵液である前記(1)〜(2)
記載により得られた改質鶏卵液。
【0039】(5)固形分含量として、5〜60%が好
ましく、更に好ましくは10〜50%、更に好ましくは
30〜50%の鶏卵液から得られる前記(1)〜(2)
記載の改質鶏卵液。 (6)蛋白分解酵素がプロテアーゼ、ペプチダーゼの酵
素で、脂質分解酵素がリパーゼ、ホスホリパーゼであ
る。通常Rhizopus属、Aspergillus
属、Mucor属、Bacillus属、Pseudo
monas属、Streptococcus属、Esc
herichia属等の微生物由来、レンニン、パンク
レアチン等の動物由来、パパイン、ブロメライン、フィ
シン等の植物に由来する酵素であり、好ましくはRhi
zopus属、Aspergillus属、Bacil
lus属、動物由来の酵素で、その精製品や粗製品が単
独あるいは2種以上を併用して利用する前記(1)〜
(2)記載の改質鶏卵液。 (7)(6)の酵素をイオン交換樹脂や修飾試薬による
固体への接合等により固定化したものであり、公知の定
法により固定化した前記(1)〜(2)記載の改質鶏卵
液。 (8)固定化酵素で分解後、RO膜(逆浸透膜)を使用
する濃縮工程を行う濃縮工程の方法としては、RO膜
(逆浸透膜)を使用することで固形分を調整する前記
(1)〜(2)記載の改質鶏卵液。 (9)濃縮の度合いが、固形分20〜70%、好ましく
は25〜50%に濃縮する前記(1)〜(2)記載の改
質鶏卵液。
【0040】(10)蛋白分解酵素の添加量が、通常基
質である蛋白質1g当たりに対する蛋白分解酵素の活性
単位で、通常100〜5000単位、好ましくは100
〜3000単位、更に好ましくは250〜2000単位
の範囲から任意に選ばれる前記(1)〜(2)記載の改
質鶏卵液。 (11)脂質分解酵素の添加量が、通常基質である脂質
1g当たりに対する脂質分解酵素の活性単位で、通常1
0〜5000単位、好ましくは50〜2000単位の範
囲から任意に選ばれる前記(1)〜(2)記載の改質鶏
卵液。 (12)固定化酵素による加水分解の温度が、通常−5
〜50℃の範囲で良く、好ましくは0〜40℃、さらに
好ましくは0〜40℃である前記(1)〜(2)記載の
改質鶏卵液。 (13)固定化酵素による加水分解時間が、加水分解の
温度が−5〜10℃であれば1時間〜8時間、10〜2
0℃であれば1時間〜6時間、20〜50℃であれば1
時間〜4時間を目安とするである前記(1)〜(2)記
載の改質鶏卵液。 (14)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とする蒲マヨネーズ。 (15)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とするドレッシング。
【0041】(16)上記(1)〜(13)で得られる
改質鶏卵液を配合することを特徴とするカスタードクリ
ーム。 (17)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とするフラワーペースト。 (18)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とするバタークリーム。 (19)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とするマーガリン。 (20)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とする乳化食品。
【0042】(21)上記(1)〜(13)で得られる
改質鶏卵液を配合することを特徴とする惣菜。 (22)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とする畜肉加工品。 (23)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とする鶏卵加工品。 (24)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とするリンス。 (25)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とするシャンプー。
【0043】(26)上記(1)〜(13)で得られる
改質鶏卵液を配合することを特徴とする歯磨き剤。 (27)上記(1)〜(13)で得られる改質鶏卵液を
配合することを特徴とする医薬品。
【0044】
【発明の効果】鶏卵液を原料に、固定化酵素で効率よく
酵素分解して得られる改質鶏卵液であり、酵素の失活を
ともなわず、鶏卵の加熱ゲル化性等の機能特性を有する
と共に酵素が残存しない改質鶏卵液を提供するものであ
り。得られる改質鶏卵液が食品等あらゆる分野に広く利
用可能なものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鶏卵液を、固定化した1種または2種以
    上の酵素により処理することを特徴とする改質鶏卵液。
  2. 【請求項2】 鶏卵液の機能特性を残した請求項1記載
    の改質鶏卵液。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2記載の改質鶏卵液を含む食
    品、化粧品、医薬品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110463925A (zh) * 2019-08-22 2019-11-19 华中农业大学 一种固定化蛋白酶制备高起泡性蛋清液的方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110463925A (zh) * 2019-08-22 2019-11-19 华中农业大学 一种固定化蛋白酶制备高起泡性蛋清液的方法
CN110463925B (zh) * 2019-08-22 2022-11-04 华中农业大学 一种固定化蛋白酶制备高起泡性蛋清液的方法

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