JP2000288728A - 高疲労強度溶接継手 - Google Patents

高疲労強度溶接継手

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JP2000288728A JP11100548A JP10054899A JP2000288728A JP 2000288728 A JP2000288728 A JP 2000288728A JP 11100548 A JP11100548 A JP 11100548A JP 10054899 A JP10054899 A JP 10054899A JP 2000288728 A JP2000288728 A JP 2000288728A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な溶接施工方法で作製できる高疲労強度
溶接継手の提供。 【解決手段】 疲労が問題となる溶接止端部において、
それを形成する溶接ビードに対し、オーステナイトから
マルテンサイトに変態を開始する温度が350℃以下1
50℃以上となる溶接金属が形成されていることを特徴
とする高疲労強度溶接継手。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接構造物の信頼
性向上のために、疲労強度が高い溶接継手に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】溶接部に発生する疲労亀裂は、構造物全
体の信頼性に重大な影響を与えるため、その疲労特性を
向上させる手法は以前より試みられてきた。疲労亀裂が
発生しやすい部分は溶接部であるが、その理由として
は、溶接部には応力集中部が存在している、引っ張りの
残留応力が生じている、などが挙げられる。これら原因
を解決することが高疲労強度を有する溶接継手の実現に
有効である。そのため、従来技術における高疲労強度溶
接継手として、機械的な方法あるいはTIG溶接により
化粧溶接を施して応力集中を減らした継手、またピーニ
ングを用いて疲労が発生する部位に圧縮残留応力を導入
し同時に応力集中を減らした継手、などがあった。これ
ら継手は、構造物作製コストを直接増大させるため、こ
のような継手以外で疲労強度が向上された溶接継手が望
まれていた。
【0003】最近になり、溶接金属の変態膨張を利用
し、残留応力を低減させ、これにより疲労強度を向上さ
せる手法が注目されている。例えば大田らは溶接学会全
国大会講演概要集第61集520−521ページで、溶
接金属の変態膨張を利用し、角回し溶接継手の疲労強度
向上に関する報告を行っている。この報告によれば、オ
ーステナイトからマルテンサイトに変態を開始する温度
(Ms温度)を低くすることにより、変態に伴う膨張が
変態後の熱収縮より大きくなり、結果として圧縮の残留
応力が導入され、高疲労強度溶接継手が得られることに
なる。大田らによると、角回し溶接継手の主板(平板)
を予熱し、付加物(縦板)を室温のままにして溶接し、
疲労強度向上を確かめている。大田らが報告している溶
接継手は、実施工の観点からすると、予熱を行わなけれ
ばならない、しかも縦板は室温のままにする、など施工
コストの点から問題が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】変態温度が低くなれば
残留応力が低減される傾向に有ることは既存知見であ
り、疲労強度が残留応力に影響を受けることも容易に推
察されることである。しかし、実施工に適用可能な簡便
な施工方法を用いて作製できる高疲労強度溶接継手はま
だ確立されていない。大田らの方法は、残留応力低減と
いう技術を用いているものの、採用された施工方法は実
用的ではなく、実施工に適した溶接継手とは言い難い。
一方で、ピーニングやTIG溶接による化粧溶接が行わ
れた従来継手は、それ自体溶接構造物の施工コストを増
加させる要因となる。簡便な施工で溶接部に圧縮残留応
力を導入しそれを用いて高疲労強度が達成された継手が
確立されれば、溶接構造物の信頼性向上の観点からその
効果は絶大なものとなる。
【0005】本発明は、低温変態膨張を利用し、かつ簡
便な溶接施工方法で作製できる高疲労強度溶接継手を提
供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のよ
うな事情を鑑み、溶接部の残留応力を低減させ疲労強度
を向上させる技術について種々検討し、これまで鋭意研
究を重ねてきた結果、本発明を完成させたもので、その
要旨は、次の通りである。 (1)疲労が問題となる溶接止端部において、それを形
成する溶接ビードに対し、オーステナイトからマルテン
サイトに変態を開始する温度が350℃以下150℃以
上となる溶接金属が形成されていることを特徴とする高
疲労強度溶接継手。 (2)オーステナイトからマルテンサイトに変態を開始
する温度において、降伏強度が40kg/mm2 以上、
120kg/mm2 以下となる溶接金属が形成されてい
ることを特徴とする前記(1)の高疲労強度溶接継手。 (3)疲労荷重を受ける構造部材に、面外ガセット、カ
バープレート、またはスタッドの1つまたは2つ以上が
溶接されていることを特徴とする前記(1)または
(2)記載の高疲労強度溶接継手。 (4)疲労荷重を受ける構造部材に面外ガセットが溶接
されている場合で、ガセット両端部において、端部より
5mm以上の範囲にわたり開先をもうけ、開先をもうけ
た範囲におけるガセットとガセットを取り付ける構造部
材の間に存在する未溶着部分の面積を、開先をもうけな
い場合における未溶着部分の面積に対して10%以上減
少させたことを特徴とする前記(3)記載の高疲労強度
溶接継手。 (5)スカラップを有する疲労荷重を受ける構造部材
を、回し溶接にて構造部材に溶接されていることを特徴
とする前記(1)または(2)記載の高疲労強度溶接継
手。 (6)スカラップを有する疲労荷重を受ける構造部材に
対し、スカラップ端部より5mm以上の範囲において開
先をもうけ、開先をもうけた範囲におけるスカラップを
有する構造部材とそれが取り付けられる構造部材の間に
存在する未溶着部分の面積を、開先をもうけない場合に
おける未溶着部分の面積に対して10%以上減少させた
ことを特徴とする前記(5)記載の高疲労強度溶接継
手。 (7)C、Ni、CrおよびMoを、それぞれの成分の
重量%とし、下記式で定義されるパラメーターPaの範
囲が、0.85以上1.30以下である溶接金属が形成
されていることを特徴とする前記(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)または(6)記載の高疲労強度
溶接継手。
【0007】 Pa=C+Ni/12+Cr/24+Mo/19 (8)重量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.
1〜0.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.0
3%以下、S:0.02%以下、Ni:8〜12%を含
有し、残部が鉄および不可避不純物からなる溶接金属が
形成されていることを特徴とする前記(1)、(2),
(3),(4)、(5)、(6)または(7)記載の高
疲労強度溶接継手。 (9)重量%で、Ti:0.01〜0.4%、Nb:
0.01〜0.4%、V:0.1〜1.0%の1種また
は2種以上をさらに含有する溶接金属が形成されてるこ
とを特徴とする前記(8)記載の高疲労強度溶接継手。 (10)重量%で、Cu:0.05〜0.4%、Cr:
0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、Co:
0.1〜2.0%の1種または2種以上をさらに含有す
る溶接金属が形成されていることを特徴とする前記
(8)または(9)記載の高疲労強度溶接継手。 (11)重量%で、C:0.001〜0.05%、S
i:0.1〜0.7%、Mn:0.4〜2.5%、P:
0.03%以下、S:0.02%以下、Ni:4〜8
%、Cr:8〜15%、N:0.001〜0.05%を
含有し、C+N:0.001〜0.06%であり、残部
が鉄及び不可避不純物からなる溶接金属が形成されてい
ることを特徴とする前記(1)、(2),(3),
(4)、(5)、(6)または(7)記載の高疲労強度
溶接継手。 (12)重量%で、Mo:0.1〜2.0%、Ti:
0.005〜0.3%、Nb:0.005〜0.3%、
V:0.05〜0.5%の1種または2種以上をさらに
含有する溶接金属が形成されていることを特徴とする前
記(11)記載の高疲労強度溶接継手。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。初めに、本発明の技術思想について述べる。本発明
における第1の技術思想は、疲労亀裂が発生するビード
止端部の残留応力を低減すれば高疲労強度溶接継手が得
られる思想である。
【0009】溶接金属が冷却過程でオーステナイトから
マルテンサイトに変態するとき、体積が増加、すなわち
膨張する。このとき、溶接金属には、まわりの部分から
拘束されているため圧縮の応力が発生する。しかし、変
態膨張にともなうこの圧縮応力導入も、その後の熱収縮
が大きければ、室温までに冷却されるうちに引っ張り応
力状態に戻る。ステンレス鋼材の一部を除き、通常の鋼
材に用いられる溶接材料は、必ずある温度で変態膨張が
発生するが、その温度が高いため、その後の熱収縮によ
り最終的には引っ張りの残留応力が発生する。熱収縮
は、温度変化に熱膨張係数をかけたものであるから、残
留応力をできるだけ小さく、場合によっては圧縮状態に
するためには、この温度変化を小さくすればよいことに
なる。
【0010】この温度変化を小さくする方法は2つ考え
られる。1つは、Ms温度が低くなるような材料を用い
る方法、もう1つは板を予熱する方法である。板を予熱
する方法は、最終的には外気温度まで冷却されてしまう
ため、一見温度変化を小さくしないように考えられる。
しかし、予熱を行えば、板の温度分布が室温より高い温
度領域で均一になり、その後の冷却過程では均一温度が
保たれるため熱応力を発生せず、従って、Ms温度と板
の温度分布が均一になったときの温度の差がこの場合の
温度変化となる。これは、板の温度分布が均一ならば、
加熱または冷却しても熱応力が発生しないという事実に
よる。通常の材料では、Ms温度が450℃近辺である
が、予熱をそれに近い値にすることは実用的ではない。
従って、温度変化を小さくする、すなわち変態後の熱収
縮を小さくする方法としては、Ms温度が低い材料を用
いるという選択は不可欠であることがわかる。しかし、
Ms温度の値が不適切であれば、あるいは材料選択が不
適切であれば、材料のみで残留応力を低減することはで
きず、予熱を併用するなどの追加対策が必要となる。実
際、太田らは、高疲労強度溶接継手を予熱を行うことに
より達成している。
【0011】実施工に対して、低Ms温度材料を適用さ
せようとすると、予熱なしで施工して残留応力を低減さ
せ高疲労強度溶接継手を達成できることが望ましい。そ
れは、単に施工コストのみならず、疲労試験片の場合と
異なり、実構造物の予熱は溶接部近傍のみ行う、いわゆ
る局部予熱にならざるを得ず、予熱施工そのものによる
残留応力や変形の導入が懸念されるからである。そのた
め、本発明では、予熱なしで高疲労強度が期待できる程
度に残留応力が低減された溶接継手を提供することを目
的としている。
【0012】本発明においては、以上述べてきたように
溶接金属の低Ms温度化による変態膨張を用いて疲労強
度を向上させることを目的としているが、これに加え、
より残留応力低減を確実にするため、本発明における第
2の技術思想として、Ms温度における溶接金属の降伏
強度を適切な値に設定するという思想がある。一般に、
低Ms温度である材料は、C、NiやCr等を添加する
必要があり、そのためある程度の強度は確保されている
と考えられる。しかし、高疲労強度溶接継手を確実に達
成するためには、強度も適切な範囲に設定することが望
ましい。この、強度を制御する技術思想は、たとえ変態
膨張が発生しても、それにより生じる圧縮弾性ひずみに
は限界があり、その値は降伏強度をヤング率で割った値
であるという事実からくるものである。
【0013】ここで、例えば、溶接金属の変態膨張量が
3%である場合について考察してみる。溶接金属が周囲
から完全に拘束されているとすれば、3%の変態膨張量
は、3%の圧縮ひずみの導入となり結果として全ひずみ
は0%となる。このとき、3%の圧縮ひずみは、塑性ひ
ずみと弾性ひずみに分類できるが、既に述べたように弾
性ひずみには限界があるため、残りは塑性ひずみになら
ざるを得ない。その後溶接金属には熱収縮が進むが、そ
れにより今度は溶接金属に引っ張りのひずみが導入され
る。この引っ張りひずみにより、変態膨張時に導入され
た弾性圧縮ひずみ量が減少し、熱収縮量によっては引っ
張りひずみになってしまう場合もあり得る。
【0014】この考察よりわかることは、熱収縮量を小
さくしても、すなわちMs温度を低くしても圧縮弾性ひ
ずみ限界(最大値)が小さければ残留応力を低減するこ
とができないということである。このことは、逆に圧縮
弾性ひずみ限界を大きくすることにより、確実に残留効
力を低減、ひいては圧縮状態にすることができ、本発明
の目的である高疲労強度溶接継手をより確実に達成する
ことができることを意味している。なお、このような議
論が常に成立する理由は、変態膨張ひずみが、つねに弾
性ひずみ限界より大きいという事実からくる。弾性ひず
み限界を大きくするには、降伏強度を増加させればよ
い。そのためには溶接金属の降伏強度を適切な値に設定
しなければならない。これが本発明における第2の技術
思想である。
【0015】本発明には、これまで述べてきた2つの技
術思想、すなわち低Ms温度を有する溶接金属の利用お
よび溶接金属の降伏強度を増加させることによる弾性ひ
ずみ限界の増大に加え、鋼材の溶接熱影響部(HAZ)
の残留応力を溶接金属の変態膨張を利用することにより
低減することができるという第3の技術思想が有る。疲
労亀裂は、疲労が発生するビード止端部から、必ずしも
溶接金属ではなく、むしろ鋼材HAZに進展していく
が、本発明では鋼材そのものは必ずしも低Ms温度材料
ではない。しかし、本発明では止端部を形成するビード
に低Ms温度溶接金属を形成することにより、その反力
として鋼材HAZに溶接金属と同等な残留応力を導入さ
せることができると考えている。残留応力は、外力が作
用しないという状況での応力分布であるため、全体とし
ては合力は0であるという特徴がある。したがって、圧
縮残留応力の導入は、溶接部のどこか別の領域に引っ張
りの残留応力を導入することをも意味する。しかし、疲
労発生は、主として表面の応力集中部(ビード止端部)
から発生し、そこの残留応力の値が重要であるため、疲
労発生部の残留応力を低減させ、高い残留応力は疲労発
生の危険がない部分に分布させれば高疲労強度溶接継手
が実現する。
【0016】図1は、疲労問題の観点から考えて最も厳
しいと考えられる角回し溶接継手を示している。図1の
ハッチングを施した溶接ビードが低温で変態膨張をする
と、図からわかるように、鋼材HAZ、例えば図1中の
AおよびBの領域にはその反力として圧縮応力が導入さ
れることが理解できる。ここで、鋼材HAZの圧縮応力
は、鋼材そのものが変態膨張したために導入されたもの
ではなく、溶接金属の変態膨張に対する反力である点に
注意すべきである。従って、図1中の領域Aの部分では
溶接ビード直角方向の残留応力が低減でき、領域Bの部
分では溶接ビード方向、ビード直角方向の両方向の残留
応力が低減できる。疲労亀裂は、ビード止端部より発生
するので、ここでの残留応力は低減されていることにな
る。一方、溶接ビードの下に位置する、すなわち鋼材内
部に存在するHAZは、逆にビードの膨張により引っ張
り応力が導入される。しかし、この部分は、疲労亀裂発
生部位ではないため、溶接継手全体としては疲労強度向
上が期待できる。
【0017】次に、本発明における第4の技術思想につ
いて述べる。本発明では、すでに述べた第1、第2及び
第3の技術思想により、ビード止端部の疲労強度を向上
させている。しかし、溶接継手全体としては、ビード止
端部の疲労強度が向上しても、他部位で疲労亀裂が発生
してしまえば、溶接継手全体としてはそこでの疲労強度
で決定されてしまう。通常、疲労亀裂はビード止端部か
ら発生するが、それは、そこの疲労強度がもっとも低い
からであり、それ故、本発明でにおいては、第1、第2
および第3の技術思想によりビード止端部の疲労強度向
上を目的とした。これだけで、溶接部の疲労強度向上は
十分期待できるが、ビード止端部の疲労強度が向上した
ことにより、他の部位の疲労強度が溶接継手全体として
の疲労強度を決定される可能性がある。溶接継手として
の疲労強度をより向上させるために、止端部位外で疲労
亀裂が発生する危険がある部位の疲労強度を向上させる
ことが望ましい。本発明で取り扱っている継手で、ビー
ド止端部以外でこの疲労亀裂が発生する危険がある部位
は、回し溶接部内部に存在する未溶着部分である。例え
ば、面外ガセットを回し溶接にて構造部材に取り付けた
ときのガセットと構造部材との間に存在する未溶着部
分、特に、角回し部近くの未溶着部分は、それ自身応力
集中部を形成しているため、そこから疲労亀裂が発生す
る危険がある。
【0018】そこで、本発明では、角回し部近傍の未溶
着部分を減少させ、そこでの疲労強度を向上させるとい
う第4の技術思想が存在する。この第4の技術思想は、
通常の溶接継手で疲労亀裂が発生するビード止端部の疲
労強度を必ずしも向上させるものではないため、本発明
における第1、第2および第3の技術思想と併用するこ
とにより効果が期待できる技術である。逆に、これらの
技術思想を併用することにより、高疲労強度溶接継手を
確実に実現することが可能となる。
【0019】本発明者らは、以上述べてきたような、疲
労亀裂発生部位の残留応力を低減するメカニズムを発見
するに至り、さらに溶接継手疲労強度との関係に関し鋭
意研究を重ね、ついに実用的な高疲労強度溶接継手発見
するに至った。次に、Ms温度範囲とMs温度における
溶接金属の降伏強度範囲を限定した理由を述べる。
【0020】Ms温度は、通常の鋼材および溶接金属に
おいても、500℃以下の値を示しており、多くの場合
は450℃以下である。この値は、成分に依存し、例え
ば日本鉄鋼協会が出している溶接構造用鋼の溶接CCT
図集からわかるように、Niを5%程度添加すればMs
温度を350℃程度まで下げることができる。しかし、
Ms温度が350℃より高い場合は、残留応力低減効果
が十分ではなく、疲労強度向上効果は期待できるもので
はない。一方、Ms温度を150〜350℃にするに
は、工業的価値のある材料で実現可能であり、かつ、残
留応力低減による疲労強度向上が期待できる範囲であ
る。Ms温度の下限150℃は、工業的価値のある材料
で実現可能である下限値として設定した。Ms温度の上
限350℃は、本発明における第2の技術思想によれ
ば、この値が350℃より高くとも降伏強度が充分高け
れば残留応力低減効果が期待でき、結果として疲労強度
の向上も期待できるが、高すぎる降伏強度もまた工業的
価値のある材料で実現可能かどうかという問題もあるた
め、その上限を350℃とした。なお、Ms温度はより
低い方が残留応力低減には好ましくことから、好ましく
は300℃以下になるように設定することが望ましい。
【0021】次に、溶接継手の形状を限定した理由につ
いて述べる。本発明では、面外ガセット、カバープレー
ト、スタッド、が疲労加重を受ける構造部材に溶接され
ている継手、スカラップの回し溶接継手が疲労加重を受
ける構造部材に存在する場合などを考えている。本発明
においては、既に述べているように、溶接金属における
低Ms温度化を図り、さらに強度範囲を制御することも
利用して残留応力を低減させ疲労強度向上をもたらすも
のであるが、鋼材HAZの残留応力低減には、この溶接
金属の変態膨張に対する反力を利用している。この反力
を利用する方法は、全ての溶接継手に適用できるもので
はないため、この方法が有効になる溶接継手に限定しな
ければならない。この技術は、図1に示すような継手形
状で有効になる。しかも、このような継手は、溶接構造
物でしばしば疲労が問題となる継手である。本発明にお
ける溶接継手、すなわち面外ガセット、カバープレー
ト、またはスタッドが疲労荷重を受ける構造部材に溶接
されている継手、あるいは、スカラップを有する構造部
材が回し溶接にて取り付けられている溶接継手は、図1
に示すような鋼材HAZの残留応力を溶接金属変態膨張
に対する反力の作用で低減できる溶接継手であり、か
つ、溶接構造物の疲労強度を決定する溶接継手であるた
め、本発明ではこれら溶接継手に限定した。
【0022】次に、面外ガセットおよびスカラップを有
する構造部材の端部からの開先の範囲を限定した理由に
ついて述べる。端部に存在する応力集中部は、ビード止
端部と回し溶接部内部に存在する未溶着部分の2個所が
ある。疲労という観点からは、通常はビード止端部の方
が厳しい部位であるが、本発明によりこの部位の疲労強
度向上は達成されている。そこでもう1つの応力集中部
である端部近傍の未溶着部分、すなわちルート部の疲労
強度を改善すればより高疲労強度が実現することが明白
である。ガセットおよびスカラップを有する構造部材の
端部より開先をもうけるのは、この未溶着部分を減らし
応力集中を低く押さえるためのものである。従って、こ
の開先は、継手の静的強度向上を目的とするものではな
いため、必ずしも溶接部全体に対して開先をもうける必
要はない。しかし、開先の範囲がせますぎれば、応力集
中を押さえることができず、開先をもうけない場合と同
様な疲労強度になる可能性がある。開先範囲を5mm以
上としたのは、開先をもうけることの効果が期待できる
最低の値として設定した。なお、応力集中を押さえると
いう観点からは、この開先範囲は好ましくは2cm以上
に設定することが望ましい。
【0023】次に、面外ガセットまたはスカラップを有
する構造部材の端部から開先をもうけた場合で、開先を
もうけた範囲における回し溶接部内側の未溶着部分の面
積の開先をもうけない場合に対する減少量を限定した理
由について述べる。面外ガセットまたはスカラップを有
する構造部材の端部から開先をもうけるのは、本発明に
おける第1、第2および第3の技術思想によりビード止
端部の高疲労強度が達成しているため、相対的に疲労強
度が低くなった回し溶接部内側の未溶着部分が形成する
応力集中部、すなわちルート部の疲労強度を向上させ
る、という理由による。そのため、疲労強度向上効果が
顕著になるまでに応力集中を抑えなければ、この目的を
達成し得ない。この理由により、本発明では開先範囲を
限定したことはすでに述べた。しかし、開先形状が不適
切なため、未溶着部分が開先をもうけない場合と同程度
残った場合は、たとえ開先範囲が適切であったとしても
応力集中を抑えることはできず、継手全体としての疲労
強度をさらに高めるまでには至らない。開先をもうけな
い場合に対する、未溶着部分の面積の減少量の下限を1
0%としたのは、開先をもうけた効果が認められる最低
の条件として設定した。なお、応力集中を抑えルート部
の疲労強度を向上させるという観点からは、この減少量
の下限は、好ましくは20%と設定することが望まし
い。
【0024】次に、降伏強度の範囲を限定した理由につ
いて述べる。下限の40kg/mm2 は、降伏強度がこ
れ未満であると、残留応力低減効果が確実に期待できる
ようになるためには、Ms温度が150℃より低くなら
なければならない。Ms温度がこれより低い場合は、工
業的価値の低い材料に限定されてしまい、このことは本
発明の本意に反するため、下限を40kg/mm2 とし
た。なお好ましくは、降伏強度の下限は50kg/mm
2 以上であることが望ましい。上限の120kg/mm
2 は、これ以上高い降伏強度を得るためには、多くの特
殊合金元素を添加しなければならず、やはり工業的価値
が低くなるため上限を120kg/mm2 とした。
【0025】次に、下記式に示されるパラメーターPを
導入し、その値の範囲を限定した理由について述べる。 Pa=C+Ni/12+Cr/24+Mo/19 (i) パラメーターPaは、C、Ni、CrおよびMoの成分
値で計算される。これら成分は、溶接金属に添加するこ
とにより強度を向上させ、かつMs温度を低下させる働
きを持つ。特に、Ms温度を低減させる元素という意味
では、これらC、Ni、CrおよびMoは、最も有効利
用すべき元素である。強度を向上させるという観点から
は、Ti、NbおよびVなどのような炭化物を形成する
元素の有効利用も考えられるが、Ti、NbおよびVな
どでMs温度が充分低くなるほど添加すると、継手特性
上大きな問題が生じ好ましくない。一方、C、Ni、C
rおよびMoのMs温度を低減し残留応力を下げる働き
は、必ずしも同一ではないため、それぞれの働きに応じ
た係数を定め、4つの元素全体としてその効果を表す指
標を作成することは、工業的価値が高いと判断し、式
(i)で示されるようなPaを作成したものである。
【0026】但し、Paの値にもその適正範囲がある。
例えば、Paが小さすぎるとMs温度を低減することが
難しく、たとえ他の元素を添加することにより可能にな
ったとしても、溶接継手特性の確保の点から好ましくな
い。逆に、Paが大きいことは、Ms温度がより低くな
ることを意味するが、大きすぎるPaは、それだけ合金
元素の添加を増加させなければならず不経済である。以
上のことにより、Paの範囲を0.85以上、1.30
以下とした。なお、より高疲労強度溶接継手を確実なも
のとするためには、Paの下限を0.95に設定するこ
とが望ましい。
【0027】また、本発明においては、溶接金属の降伏
強度を増加させ、残留応力をより確実に低減させるとい
う技術を併用しているため、Ms温度における溶接金属
の降伏強度が50kg/mm2 以上である場合は、溶接
金属に残留オーステナイトが存在する可能性や経済性の
観点から、Paの上限は好ましくは1.25に設定する
ことが望ましい。さらに、Ms温度における溶接金属の
降伏強度が60kg/mm2 以上である場合は、経済性
の観点から、Paの上限は好ましくは1.20に設定す
ることが望ましい。
【0028】次に溶接金属の成分を限定した利用を述べ
る。既に述べてきたMs温度や降伏強度を得るための成
分系は、実は必ずしも1つではない。本発明における溶
接金属は、前記(8)、(9)、(10)に記述されて
いるNiを主として用いる成分系と、前記(11)、
(12)に記述されているCrを主として用いる成分系
の2つに分けることができ、以降、前者をNi系溶接金
属、後者をCr系溶接金属と呼ぶことにする。
【0029】まず、Ni系溶接金属について、その成分
範囲限定理由について説明する。Cは、それを鉄に添加
することによりMs温度を下げる働きをする。しかし、
その一方で、過度の添加は、溶接金属の靱性劣化および
溶接金属割れの問題を引き起こすため、その上限を0.
2%とした。しかし、Cが無添加の場合は、マルテンサ
イトが得られにくく、また他の高価な元素のみで残留応
力低減を図らなければならず経済的とはいえない。Cが
0.01%以上添加する場合に限定したのは、安価な元
素であるCを利用し、その経済メリットが出る最低限の
値として設定した。なお、Cの上限は、溶接金属割れの
観点から、好ましくは0.15%に設定することが望ま
しい。
【0030】Siは、脱酸元素として知られる。Si
は、溶接金属の酸素レベルを下げる効果がある。特に溶
接施工中においては、溶接中に空気が混入する危険性が
あるため、Si量を適切な値にコントロールすることは
きわめて重要である。まず、Siの下限についてである
が、溶接金属に添加するSi量として0.1%に満たな
い場合、脱酸効果が薄れ溶接金属中の酸素レベルが高く
なりすぎ、機械的特性、特に靱性の劣化を引き起こす危
険性がある。そのため、溶接金属については、その下限
を0.1%とした。一方、過度のSi添加も靱性劣化を
発生せしめるため、その上限を0.5%とした。
【0031】Mnは、強度を上げる元素として知られ
る。そのため、本発明における残留応力低減メカニズム
である変態膨張時の降伏強度確保という観点から有効利
用すべき元素である。Mnの下限、0.01%は強度確
保という効果が得られる最低限の値として設定した。一
方、過度の添加は、母材および溶接金属の靱性劣化を引
き起こすためその上限を1.5%とした。
【0032】PおよびSは、本発明では不純物である。
しかし、これら元素は、溶接金属に多く存在すると、靱
性が劣化するため、その上限をそれぞれ0.03%、
0.02%とした。Niは、単体でオーステナイトすな
わち面心構造を持つ金属であり、溶接金属に添加するこ
とによりオーステナイトの状態をより安定な状態にする
元素である。鉄そのものは、高温域でオーステナイト構
造になり、低温域でフェライトすなわち体心構造にな
る。Niは、それを添加することにより、鉄の高温域に
おける面心構造をより安定な構造にするため、無添加の
場合に比べ、より低温度域においても面心構造となる。
このことは、体心構造に変態する温度が低くなることを
意味する。Niの下限、8%は、残留応力低減効果が現
れる最低限の添加量という意味で決定した。Niの上
限、12%は、残留応力低減の観点からはこれ以上添加
してもあまり効果が変わらない上、これ以上添加すると
Niが高価であるという経済的デメリットが生じてくる
ためである。
【0033】Cuは、溶接ワイヤにメッキすることによ
り通電性をよくする効果があるため、溶接作業性を改善
するために有効な元素である。また、Cuは焼入性元素
でもあるため、溶接金属に添加することによりマルテン
サイト変態を促進させるという効果も期待できる。Cu
の下限0.05%は作業性改善やマルテンサイト変態促
進のために必要な最低限の値として設定した。しかし、
過度の添加は、作業性改善の効果がないだけでなく、ワ
イヤ製造コストを上げるため産業上も好ましくはない。
Cuの上限、0.4%はこのような理由により設定し
た。
【0034】Nbは、溶接金属中においてCと結合し、
炭化物を形成する。Nb炭化物は、少量で溶接金属の強
度を上げる働きがあり、従って、有効利用することの経
済メリットは大きい。また、本発明における第2の技術
思想である、Ms温度における降伏強度を高める意味か
らもメリットは大きい。しかし、一方で過度の炭化物形
成は、靱性劣化が発生するため自ずと上限が設定され
る。Nbの下限は、炭化物を形成せしめ、強度増加効果
が期待できる最低の値として0.01%を設定した。上
限は、靱性劣化による溶接部の信頼性が損なわれない値
として0.4%とした。
【0035】VもNbと同様な働きをする元素である。
しかし、Nbと異なり、同じ析出効果を期待するために
は、Nbより添加量を多くする必要がある。V添加の下
限0.3%は、添加することにより析出硬化が期待でき
る最低値として設定した。Vの上限は、これより多く添
加すると析出硬化が顕著になりすぎ、靱性劣化を引き起
こすために1.0%とした。
【0036】Tiも、Nb、V同様、炭化物を形成し析
出硬化を生じせしめる。しかし、Vの析出硬化がNbの
それと違っていたようにTiの析出硬化もまたNb、V
と異なる。そのため、Tiの添加量の範囲もNb、Vと
異なった範囲が設定される。Ti添加量の下限0.01
%は、その効果が期待できる最低量として、上限の0.
4%は靱性劣化を考慮して決定した。
【0037】Crは、Nb、V、Ti同様析出硬化元素
である。また、CrはMs温度を低減する効果も合わせ
持つので有効活用すべき元素である。しかし、本発明に
おけるNi系溶接金属は、主としてNi添加によりMs
温度低減を達成しているため、Cr添加量はNiより少
なくすべきである。過度のCr添加は必ずしも残留応力
低減効果を向上させず、Crが高価であるため産業上好
ましくはない。Cr添加量の下限0.1%は、これを添
加し、残留応力低減効果が得られる最低限の値として設
定した。Cr添加量の上限3.0%は、Ni系溶接金属
については、Ms温度がNi添加によりすでに低減され
ていること、他の析出元素により強度も確保されている
ことから、これ以上添加しても残留応力低減効果があま
り変わらなくなる、靱性劣化が顕著になることにより設
定した。
【0038】MoもCr同様の効果を持つ元素である。
しかし、Moは、Cr以上に析出硬化が期待できる元素
である。そのため、添加範囲はCrより狭く設定した。
下限の0.1%は、Mo添加の効果が期待できる最低限
の値として設定した。上限の3.0%は、これ以上添加
すると、硬化しすぎるため靱性劣化が顕著になってくる
ため設定した。
【0039】Coは、Ti等と異なり、強い析出硬化を
生じせしめる元素ではない。しかし、Coは、それを添
加することにより強度増加をもたらし、かつ強度増加を
期待しながら靱性を確保するという観点からは、Niよ
り好ましい元素であることから有効利用すべき元素であ
る。しかし、Niは、残留応力低減効果を期待できる程
度の低Ms温度を確保するために溶接金属に添加してい
るため、Co添加量の下限0.1%は、Co添加の効果
が期待できる最低限の値として設定した。一方、過度の
添加は、強度増加が過大となり靱性劣化をもたらすため
その上限を2.0%とした。
【0040】次に、Cr系溶接金属について、その成分
範囲限定理由について説明する。Cは、それを鉄に添加
することによりMs温度を下げる働きをする。しかし、
その一方で、過度の添加は、溶接割れの問題や靱性劣化
の問題を引き起こすため、その上限を0.05%とし
た。しかし、Cが無添加の場合は、マルテンサイトが得
られにくく、また他の高価な元素のみで残留応力低減を
図らなければならず経済的とはいえない。Cが0.00
1%以上添加する場合に限定したのは、安価な元素であ
るCを利用し、その経済メリットが出る最低限の値とし
て設定した。
【0041】Siは、脱酸元素として知られる。Si
は、溶接金属の酸素レベルを下げる効果がある。特に溶
接施工において、溶接中に空気が混入する危険性がある
ため、Si量を適切な値にコントロールすることはきわ
めて重要である。まず、Siの下限についてであるが、
溶接金属に添加するSi量として0.1%に満たない場
合、脱酸効果が薄れ溶接金属中の酸素レベルが高くなり
すぎ、機械的特性、特に靱性の劣化を引き起こす危険性
がある。そのため、溶接金属については、その下限を
0.1%とした。一方、過度のSi添加も靱性劣化を発
生せしめるため、その上限を0.7%とした。
【0042】Mnは、強度を上げる元素として知られ
る。そのため、本発明における第2の技術思想である変
態膨張時の降伏強度確保という観点から有効利用すべき
元素である。Mnの下限、0.4%は強度確保という効
果が得られる最低限の値として設定した。一方、過度の
添加は、溶接金属の靱性劣化を引き起こすためその上限
を2.5%とした。
【0043】PおよびSは、本発明では不純物であしか
し、これら元素は、溶接金属に多く存在すると、靱性が
劣化するため、その上限をそれぞれ0.03%、0.0
2%とした。Niは、単体でオーステナイトすなわち面
心構造を持つ金属である。鉄そのものは、高温域でオー
ステナイト構造になり、低温域でフェライトすなわち体
心構造になる。Niは、それを添加することにより、鉄
の高温域における面心構造をより安定な構造にするた
め、無添加の場合に比べ、より低温度域においても面心
構造となる。このことは、体心構造に変態する温度が低
くなることを意味する。また、Niはそれを添加するこ
とにより溶接金属の靱性を改善するという効果を持つ。
Cr系溶接金属におけるNi添加量の下限4%は、残留
応力低減効果が現れる最低限の添加量および靱性確保の
観点から決定した。Ni添加量の上限8%は、Cr系溶
接金属においては、次に述べるCr添加によりある程度
Ms温度が低減されていること、および残留応力低減の
観点からはこれ以上添加してもあまり効果が変わらない
上、これ以上添加するとNiが高価であるという経済的
デメリットが生じてくるためこの値を設定した。
【0044】Crは、Niと異なり、フェライトフォー
マーである。しかし、Crは、それを鉄に添加すると、
高温度域ではフェライトであるものの、中温度域ではオ
ーステナイトを形成し、さらに温度が低くなると再びフ
ェライトを形成する。溶接部の場合、溶接入熱量により
熱履歴で、低い温度側のフェライトは一般的に得られ
ず、マルテンサイトが得られることになる。これは、C
rを添加することの利点は、焼入性の増加が原因であ
る。すなわち、Crを添加することによるマルテンサイ
ト変態は、焼入性が増加することによるフェライト変態
が生じない点と、Ms温度そのものが低くなるという2
つの点が存在する。これら両方の効果を満たしながら残
留応力を低減するための変態膨張を有効利用するCr添
加範囲として、下限8%を設定した。上限15%は、こ
れを上回る量を添加してもその効果が大きくならない
上、経済的にもデメリットが大きくなるため、この値を
設定した。
【0045】Cuは、溶接ワイヤにメッキすることによ
り通電性をよくする効果があるため、溶接作業性を改善
するために有効な元素である。また、Cuは焼入性元素
でもあるため、溶接金属に添加することによりマルテン
サイト変態を促進させるという効果も期待できる。Cu
の下限0.05%は作業性改善やマルテンサイト変態促
進のために必要な最低限の値として設定した。しかし、
過度の添加は、作業性改善の効果がないだけでなく、ワ
イヤ製造コストを上げるため産業上も好ましくはない。
Cuの上限、0.4%はこのような理由により設定し
た。
【0046】Nbは、溶接金属中においてCと結合し、
炭化物を形成する。Nb炭化物は、少量で溶接金属の強
度を上げる働きがあり、従って、有効利用することの経
済メリットは大きい。また、本発明における残留応力低
減技術である、Ms温度における降伏強度を高める意味
からもメリットは大きい。しかし、一方で過度の炭化物
形成は、靱性劣化が発生するため自ずと上限が設定され
る。Nbの下限は、炭化物を形成せしめ、強度増加効果
が期待できる最低の値として0.005%を設定した。
上限は、靱性劣化による溶接部の信頼性が損なわれない
値として0.3%とした。
【0047】VもNbと同様な働きをする元素である。
しかし、Nbと異なり、同じ析出効果を期待するために
は、Nbより添加量を多くする必要がある。V添加の下
限0.05%は、添加することにより析出硬化が期待で
きる最低値として設定した。Vの上限は、これより多く
添加すると析出硬化が顕著になりすぎ、靱性劣化を引き
起こすために0.5%とした。
【0048】Tiも、Nb、V同様、炭化物を形成し析
出硬化を生じせしめる。しかし、Vの析出硬化がNbの
それと違っていたようにTiの析出硬化もまたNb、V
と異なる。そのため、Tiの添加量の範囲もNb、Vと
異なった範囲が設定される。Ti添加量の下限0.00
5%は、その効果が期待できる最低量として、上限の
0.3%は靱性劣化を考慮して決定した。
【0049】Moも、Nb、V、Ti同様析出硬化が期
待できる元素である。しかし、Moは、Nb、V、Ti
と同等な効果を得るためには、Nb、V、Ti以上に添
加する必要がある。Mo添加量の下限0.1%は、析出
硬化による降伏強度増加が期待できる最低値として設定
した。また、上限の2.0%は、Nb、V、Ti同様、
靱性劣化を考慮して決定した。
【0050】Nは、オーステナイトフォーマーとして知
られている元素である。Nも添加することによりマルテ
ンサイトが得られやすくなるため、最低限の添加は必要
である。Nの下限、0.001%は、C同様、低Ms温
度が得られるための最低値として定めた。しかし、過大
な添加は窒化物を形成し、靱性劣化や延性劣化の問題が
発生するためその上限を0.05%とした。
【0051】CとNは、それぞれ炭化物、窒化物を形成
する、オーステナイトフォーマーであるなど、その働き
が似ており、それら合計、すなわちC+Nの量も上限、
下限を設定する必要がある。C+Nの下限、0.001
%は、マルテンサイトを得やすくし、かつMs温度を低
くするための最低限の値として、また上限の0.06%
は、炭化物、窒化物による靱性劣化および延性劣化の問
題が発生しない限界値として定めた。
【0052】以上、溶接金属の成分についてその範囲限
定理由について述べてきたが、これれの範囲に溶接金属
成分を制御する方法として、溶接ワイヤの成分を制御す
る方法や、溶接ワイヤおよびフラックスの成分を制御す
る方法、あるいは溶接心線および被覆フラックスの成分
を制御する方法などがあるが、本発明においては、これ
ら方法によらず、溶接金属の成分が前述の範囲内に設定
されれば高疲労強度溶接継手が実現できる。さらに、本
発明における成分範囲となる溶接金属を形成するような
溶接ワイヤ、溶接ワイヤとフラックスの組み合わせ、ま
たは溶接心線と被覆フラックスの組み合わせ等は、当該
技術者ならば容易に成し得るものである。
【0053】溶接止端部を形成する溶接ビードに本発明
における溶接金属を形成せしめれば高疲労強度溶接継手
が実現するが、止端部溶接ビードが形成された後、さら
に他のビードが形成されると残留応力の分布が変化する
可能性がある。このビードが新たに溶接止端部を形成す
るビードになる場合は、このビードに対し本発明が提示
する溶接金属になるような材料選択を行った溶接継手を
作製すればよい。しかし、そうではない場合は、残留応
力分布が変化する可能性があるため、溶接止端部を形成
する溶接ビードが、近傍の他の溶接ビードと比べ最終凝
固する、すなわち最終ビードになるような溶接順序が選
択された溶接継手にすることが望ましい。
【0054】
【実施例】表1に、残留応力および疲労強度を調べるた
めに用いたNi系およびCr系溶接金属の成分値を示
す。表1に、Ms温度(℃)およびMs温度における降
伏強度を示しているが、これは各溶接金属より直接フォ
ーマスター試験片と引っ張り試験片を採取し、初めにM
s温度を測定し、次にその温度で引っ張り試験を行った
結果である。
【0055】図2は、ビード止端部の残留応力を測定す
るために作製した角回し溶接継手の図を示している。図
2の角回し溶接継手は、面外ガセットの両端部より5c
mの範囲内において図3に示す開先をもうけて回し溶接
を行っている。溶接部本ビードは通常の溶接材料を用い
ているが、本溶接終了後、付加ビードとして表1にあ
る、WF、WA、WB、WHの溶接金属を形成せしめた
継手である。残留応力は、図中に示すような溶接止端部
にゲージ長さ2mmのひずみゲージを貼り付け、機械加
工で応力を緩和させる、いわゆる切断法で測定した。
【0056】図4に残留応力測定結果を示したが、図4
より明らかなように、本発明例ではWA、WB、WHは
圧縮残留応力になっているのに対し、WFはNi添加不
足のため残留応力は引っ張りである。図5は、図2に示
す面外ガセットを角回し溶接で取り付けた溶接継手の疲
労強度を示している。疲労荷重付加方向は、図2にある
矢印方向、すなわち、面外ガセット長手方向である。疲
労強度を調査する場合は、開先をもうけた場合とそうで
ない場合の比較も行えるようにするため、ガセット端部
より5cmの範囲内に図3に示す開先をもうけた場合と
そうでない場合の2種類の継手を作製し、図2に示す付
加ビードとしてWAの溶接金属を形成せしめた。表1の
WF、WB、WHについては、開先をもうけた継手に対
して付加ビードとして形成させた。疲労は、開先をもう
けた継手では、付加ビードが形成している溶接止端部よ
り発生し鋼材HAZに亀裂が伝播し、開先をもうけない
場合は、角回し溶接部内側の未溶着部分の応力集中部が
存在する端部より伝播した。図5には、点線および実線
で疲労寿命を示した。図5より、本発明例であるWA、
WB、WHは明らかに比較例であるWFより疲労寿命お
よび疲労限が向上しており、かつ、同じ本発明例の溶接
金属でも、WAの実施例からわかるように、開先をもう
けた場合の方が寿命は長い。
【0057】図6は、図2と同様な形状を示している面
外ガセットを角回し溶接にて取り付けた溶接継手を示し
ている。しかし、図6の溶接継手には、疲労荷重とし
て、面外ガセット直角方向(図5中矢印の方向)に荷重
を付加して疲労試験を行った。なお、図6では、面外が
セットについては特に開先をもうけていない。この場
合、疲労が問題となる溶接止端部を形成する溶接ビード
は溶接部の本ビードそのものである。そこで、図6の継
手では、表1に示すWF、WA、WB、WHの溶接金属
を本ビードに形成せしめ、継手を作製した。図7は、そ
の疲労強度を示しているが、明らかに本発明例のほうが
疲労強度が高い。
【0058】次に、角回し溶接部同様疲労がよく問題と
なる、カバープレートが疲労加重を受ける部材に溶接さ
れている継手における疲労強度を調べた。図8は、疲労
強度をを調べた試験片形状を示している。図中の付加ビ
ードは、カバープレートを溶接で接合した後に形成され
たビード、すなわち最終ビードである。この付加ビード
に対し、表1に示す、WC、WD、WE、WGの溶接金
属を形成せしめ継手を作製した。図9には、図8の溶接
継手の疲労強度を示している。図5同様、点線および実
線で疲労寿命を示した。カバープレートを取り付けた溶
接継手においても、本発明例の継手は比較例と比べ疲労
寿命、疲労限共に高いことが実証された。
【0059】次に、前記角回し溶接継手およびカバープ
レート取り付け継手同様、疲労が問題となるスタッドが
取り付けられた溶接継手が疲労加重を受ける部材に溶接
されている継手における疲労強度を調べた。図10は、
疲労強度をを調べた試験片形状を示している。図中のハ
ッチングを施した部分が溶接ビードであり、この部分に
表1に示しているWF、WC、WB、WHの溶接金属を
形成せしめ継手を作製した。図11には、図10の溶接
継手の疲労強度を示している。図5同様、疲労寿命を点
線および実線にて示した。図11で明らかなように、ス
タッドを取り付けた継手においても本発明例の溶接継手
は比較例と比べ疲労寿命、疲労限共に高い。
【0060】図12は、スカラップを有する溶接継手形
状を示している。図12中の付加ビード部分に、表1に
示すWC、WF、WB、WE、WHの溶接金属を形成せ
しめ継手を作製した。また、面外ガセット(図2)の場
合と同様に、回し溶接部内側の未溶着部分を小さくする
ために、スカラップの端部より5cmの範囲で図3に示
すような開先をもうけた継手と開先をもうけない継手を
作製した。表1のWC、WF、WB、WHの溶接金属
は、開先をもうけた継手に対して図12に示す付加ビー
ドとして形成せしめ、WEは、開先をもうけない継手に
対して付加ビードとして形成せしめた。図13は、その
疲労強度を示している。図5同様、点線および実線で疲
労寿命を示した。図13より、本発明例の継手は、比較
例より、疲労限、疲労寿命ともに高く、特に、開先をも
うけた場合の疲労強度向上効果はより顕著である。
【0061】次に、面外ガセットを回し溶接にて疲労加
重を受ける構造部材の取り付けた継手に対し、表1に示
す溶接金属、WJ、WK、WL、WM、WNを付加ビー
ドとして形成せしめた溶接継手の疲労強度を調べた。こ
のとき、面外ガセットには図3に示す開先をもうけたも
のともうけないものがあるが、開先をもうけた範囲を種
々変化させ、その効果も比較できるようにした。疲労加
重として、公称応力範囲を200MPaとし、そのとき
の疲労寿命を表2に示した。表2の結果から、付加ビー
ドの効果や開先の効果が理解できる。
【0062】表2の、No.1〜4は、表1の溶接金属
WIを付加ビードとして形成せしめた場合の疲労寿命を
示している。No.1〜4を比較すると、開先がないN
o.1の疲労寿命と開先範囲を5cm、3cmとしたN
o.2、3の疲労寿命は、明らかにNo.2、3の方が
長く、開先を面外ガセットにもうけた場合の方が疲労強
度が向上していることがわかる。これは、No.1で
は、疲労亀裂が回し溶接内側の未溶着部分端の応力集中
部、すなわちルート部より発生していることによる。し
かし、No.4のように開先範囲が4mmと狭い場合
は、開先をもうけないNo.1と大差ない結果であっ
た。なお、No.1〜4は、比較例であるNo.10〜
16のいずれの場合より疲労寿命が長かった。
【0063】No.5、6、7は付加ビードとして表1
のWJの溶接金属を形成せしめた場合の疲労寿命を調べ
た結果である。No.1〜4同様、開先をもうけなかっ
たNo.5の寿命は、No.6の場合より短い。しか
し、それでもNo.5の寿命は、比較例であるNo.1
0〜16のいずれの場合より疲労寿命が長かった。N
o.7は、開先を3cmの範囲でもうけた場合である
が、未溶着部分の幅が5%しか減少しておらず、この場
合、No.5と同様な疲労寿命であった。
【0064】表2のNo.8、9は、付加ビードとして
表1の溶接金属WKを形成せしめた場合の継手における
疲労寿命を示しているが、いずれも比較例であるNo.
10〜16より寿命が長い。No.10〜16は、表1
の溶接金属WL、WM、WNを付加ビードとして形成せ
しめた場合の疲労寿命を示している。表2よりわかるよ
うに、本発明例であるNo.1〜9の疲労寿命より短
い。
【0065】さらに、比較例では、面外ガセットに開先
をもうけた場合とそうでない場合とでほぼ同じ疲労寿命
であることがわかる。これは、疲労亀裂発生箇所が溶接
ビード止端部であるため、回し溶接内側のルート部の応
力集中を抑えても継手の疲労強度はビード止端部で決定
されているためである。一方、本発明例No.1〜9で
は、開先をもうけない場合でも疲労寿命が向上でき、さ
らに開先をもうけることにより継手全体としての疲労寿
命がより向上することがわかった。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、溶接止
端部の疲労強度向上が実現でき、実用的な施工方法のみ
で作製可能な高疲労強度溶接継手を提供することが可能
である。したがって、本発明は工業的価値の極めて高い
発明であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、溶接金属の変態膨張方向およびその
反力により残留応力が低減される鋼材HAZ領域を説明
した斜視図である。
【図2】 図2(1)および(2)は、面外ガセットを
疲労荷重を受ける構造部材に角回し溶接で取り付け、さ
らに付加ビードを形成させた溶接継手を示す(1)斜視
図、およびその溶接継手における残留応力測定位置を説
明した(2)平面図である。
【図3】 図3は、面外ガセットまたはスカラップを有
する構造部材にもうけた開先形状を示した断面図であ
る。
【図4】 図4(1)〜(4)は、図2の溶接継手にお
いて、付加ビードとして、それぞれ表1に示す(1)W
F、(2)WA、(3)WB、(4)WHの溶接金属を
形成せしめたときの残留応力測定結果を示した断面図で
ある。
【図5】 図5は、図2の溶接継手において、付加ビー
ドとして、表1に示すWF、WA、WB、WHの溶接金
属を形成せしめたときの溶接継手における疲労強度を示
したグラフである。
【図6】 図6は、面外ガセットを角回し溶接にて疲労
荷重を受ける構造部材に取り付け時の継手を示した斜視
図である。
【図7】 図7は、図6の溶接継手において、溶接部に
表1に示すWF、WA、WB、WHの溶接金属を形成せ
しめたときの溶接継手における疲労強度を示したグラフ
である。
【図8】 図8は、疲労荷重を受ける構造部材にカバー
プレートを溶接にて取り付け、さらに付加ビードを形成
させた溶接継手を説明した斜視図である。
【図9】 図9は、図8の溶接継手において、付加ビー
ドとして、表1に示すWD、WC、WE、WGの溶接金
属を形成せしめたときの溶接継手における疲労強度を示
したグラフである。
【図10】 図10は、疲労荷重を植える構造部材にス
タッドをまわし溶接して取り付けた溶接継手を説明した
斜視図である。
【図11】 図11は、図10の溶接継手において、溶
接部として、表1に示すWF、WC、WB、WHの溶接
金属を形成せしめたときの溶接継手における疲労強度を
示したグラフである。
【図12】 図12は、スカラップを有する構造部材を
まわし溶接にて取り付け、さらに角回し部に付加ビード
を形成させた継手を説明した図である。
【図13】 図13は、図12の溶接継手において、付
加ビードとして、表1に示すWC、WF、WB、WE、
WHの溶接金属を形成せしめたときの溶接継手における
疲労強度を示した斜視図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疲労が問題となる溶接止端部において、
    それを形成する溶接ビードに対し、オーステナイトから
    マルテンサイトに変態を開始する温度が350℃以下1
    50℃以上となる溶接金属が形成されていることを特徴
    とする高疲労強度溶接継手。
  2. 【請求項2】 オーステナイトからマルテンサイトに変
    態を開始する温度において、降伏強度が40kg/mm
    2 以上、120kg/mm2 以下となる溶接金属が形成
    されていることを特徴とする請求項1載の高疲労強度溶
    接継手。
  3. 【請求項3】 疲労荷重を受ける構造部材に、面外ガセ
    ット、カバープレート、またはスタッドの1つまたは2
    つ以上が溶接されていることを特徴とする請求項1また
    は2記載の高疲労強度溶接継手。
  4. 【請求項4】 疲労荷重を受ける構造部材に面外ガセッ
    トが溶接されている場合で、ガセット両端部において、
    端部より5mm以上の範囲にわたり開先をもうけ、開先
    をもうけた範囲におけるガセットとガセットを取り付け
    る構造部材の間に存在する未溶着部分の面積を、開先を
    もうけない場合における未溶着部分の面積に対して10
    %以上減少させたことを特徴とする請求項3記載の高疲
    労強度溶接継手。
  5. 【請求項5】 スカラップを有する疲労荷重を受ける構
    造部材を、回し溶接にて構造部材に溶接されていること
    を特徴とする請求項1または2記載の高疲労強度溶接継
    手。
  6. 【請求項6】 スカラップを有する疲労荷重を受ける構
    造部材に対し、スカラップ端部より5mm以上の範囲に
    おいて開先をもうけ、開先をもうけた範囲におけるスカ
    ラップを有する構造部材とそれが取り付けられる構造部
    材の間に存在する未溶着部分の面積を、開先をもうけな
    い場合における未溶着部分の面積に対して10%以上減
    少させたことを特徴とする請求項5記載の高疲労強度溶
    接継手。
  7. 【請求項7】 C、Ni、CrおよびMoを、それぞれ
    の成分の重量%とし、下記式で定義されるパラメーター
    Paの範囲が、0.85以上1.30以下である溶接金
    属が形成されていることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5または6記載の高疲労強度溶接継手。 Pa=C+Ni/12+Cr/24+Mo/19
  8. 【請求項8】 重量%で、C:0.01〜0.2%、S
    i:0.1〜0.5%、Mn:0.01〜1.5%、
    P:0.03%以下、S:0.02%以下、Ni:8〜
    12%を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる
    溶接金属が形成されていることを特徴とする請求項1、
    2,3,4、5、6または7記載の高疲労強度溶接継
    手。
  9. 【請求項9】 重量%で、Ti:0.01〜0.4%、
    Nb:0.01〜0.4%、V:0.1〜1.0%の1
    種または2種以上をさらに含有する溶接金属が形成され
    てることを特徴とする請求項8記載の高疲労強度溶接継
    手。
  10. 【請求項10】 重量%で、Cu:0.05〜0.4
    %、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0
    %、Co:0.1〜2.0%の1種または2種以上をさ
    らに含有する溶接金属が形成されていることを特徴とす
    る請求項8または9記載の高疲労強度溶接継手。
  11. 【請求項11】 重量%で、C:0.001〜0.05
    %、Si:0.1〜0.7%、Mn:0.4〜2.5
    %、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Ni:
    4〜8%、Cr:8〜15%、N:0.001〜0.0
    5%を含有し、C+N:0.001〜0.06%であ
    り、残部が鉄及び不可避不純物からなる溶接金属が形成
    されていることを特徴とする請求項1、2,3,4、
    5、6または7記載の高疲労強度溶接継手。
  12. 【請求項12】 重量%で、Mo:0.1〜2.0%、
    Ti:0.005〜0.3%、Nb:0.005〜0.
    3%、V:0.05〜0.5%の1種または2種以上を
    さらに含有する溶接金属が形成されていることを特徴と
    する請求項11記載の高疲労強度溶接継手。
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