JP2000290285A - 新規リンカーおよびそれを用いる糖ペプチドの固相合成法 - Google Patents

新規リンカーおよびそれを用いる糖ペプチドの固相合成法

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JP2000290285A
JP2000290285A JP11103231A JP10323199A JP2000290285A JP 2000290285 A JP2000290285 A JP 2000290285A JP 11103231 A JP11103231 A JP 11103231A JP 10323199 A JP10323199 A JP 10323199A JP 2000290285 A JP2000290285 A JP 2000290285A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固相上でペプチドC末端側伸長も行うことが
でき、切断時には全て樹脂上に残り、生成物の混入がな
く、その結合効率の定量化も可能な、調整容易なリンカ
ーを形成し、これによる固相合成を行う。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、置換基を有していて
もよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、
シクロアルケニル基、またはフェニル基、Xはハロゲン
原子)で表わされるシリルハライド化合物を提供し、こ
れによりシリルリンカーを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、新規なリ
ンカーとこれを用いる糖ペプチドの固相合成法に関する
ものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、立体
障害の大きい、かさ高い置換基を有する新規なリンカー
を形成するp−ニトロフェニルカルビニルシリルハライ
ド化合物と、その製造法およびそれを糖ペプチドあるい
はペプチドの固相合成のリンカーとして用いる方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】現在一般的なペプチドの固相
合成法では、ペプチドC末端となるアミノ酸のカルボキ
シル基を、予め固相に固定したリンカーとエステル結合
で結び、引き続きN末端方向へ必要数のアミノ酸ユニッ
トを順次結合させてペプチド鎖を伸長し、最後にアミノ
酸側鎖の保護基の除去とともに固相よりオリゴペプチド
を切り出すという手法が用いられている。この切り出し
の操作は一般的には、トリフルオロ酢酸やフッ化水素と
いうような強い酸性条件でおこなわれる。
【0003】だが、この従来一般的な方法における酸性
における切り出し操作には強酸を使用することからその
取扱いに注意が必要であって、あまり実際的ではないと
いう問題がある。そこで、より弱い酸性条件で切断でき
るリンカーも開発されている。この場合には、側鎖の保
護基を保持したままでオリゴペプチドを取りだすことが
可能となる。ただしこの弱酸条件の設定は慎重に検討す
ることが肝要となる。すでにこれらの技術のために各種
アミノ酸について残基リンカーを介して固相に結合させ
た樹脂も市販されているが、その操作は必ずしも容易で
ないという問題が解消されないでいた。
【0004】このような状況において、固相と合成ペプ
チドとを切断する際に酸条件を必要としないリンカー類
も開発されており、その一つとしてフッ素アニオンとケ
イ素との親和性を利用して切断反応を導く含ケイ素型の
リンカーが数種知られている(D.G.Mullen, G.Barany,
J.Org.Chem. 1988, 53, 5240)。しかしながら、ペプチ
ド合成用に開発されたのはアミノ酸のカルボキシル基を
エステル型で結ぶリンカー内の置換基の一部としてケイ
素脱離基が採用されているものばかりである。
【0005】さらにまた、近年では、糖鎖の合成にも固
相合成法を用いて効率化、あるいはコンビナトリアルケ
ミストリーを展開しようとする試みが盛んに行われるよ
うになって、シリル基を導入した樹脂上に糖残基の水酸
基との間でケイ素−酸素結合によって糖残基を固定し、
糖鎖伸長の後にフッ素アニオンで切り出しを行うという
例が知られている(J.T.Randolph, K.F.McClure, S.J.Da
nishefsky, J.Am.Chem.Soc, 1995, 117, 5712)。ただ、
この場合には、樹脂上へ固定された糖残基のモル数を直
接的に検出し推定することは困難である。複合糖質研究
が盛んとなって蛋白質と糖鎖からなる糖蛋白質の構造と
機能の解明そして糖蛋白質分子の医薬、農薬などへの応
用が期待される今日、高分子の糖蛋白質を有機化学的に
精密合成する技術の確立も必要とされている。このため
には糖蛋白質分子構築の部品となるべき小断片である糖
ペプチドを、糖鎖水酸基をはじめとするその側鎖上の官
能基を保護したものとして効率良く合成し、後にブロッ
ク縮合などの技術によって大分子に組み立てる方法が実
際的であると考えられている。
【0006】しかしながら、以上のような従来のペプチ
ド合成用に開発されたシリルリンカーは酸性条件に依存
することなく切り出し操作ができるという長所を有する
ものの、その調製が煩雑であり、また切り出しに際して
リンカーの一部が副生成物として目的物に混入してくる
欠点をもつものもある。しかも、これらリンカーの利用
に当たっては通常前もって固相合成担体に必要中間体を
結合した後に固定する必要があるが、この固定化を検証
する決定的な方法がなかった。
【0007】そこで、この出願の発明は、固相合成反応
においてこれら従来の問題点を克服することのできる優
れたリンカーを提供し、糖ペプチドあるいはペプチドの
固相合成のリンカーとして用いることを課題としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1には、一般式(I)
【0009】
【化5】
【0010】(式中R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、同
一または相異なり、それぞれ置換基を有していてもよい
アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロ
アルケニル基またはアリール基を示し、Xはハロゲン原
子を示す)で表わされるp−ニトロフェニルカルビニル
シリルハライド化合物を提供する。また、この出願の発
明は、上記化合物について、第2には、R1 およびR2
の少くとも一方がメチル基である化合物を、第3には、
3 およびR4 の少くとも一方がフェニル基である化合
物を、第4には、Xが塩素原子である化合物を、第5に
は、R1 ,R2 ,R3 およびR4 がメチル基を、Xが塩
素原子である化合物を提供する。
【0011】この出願の発明は、第6には、一般式(I
I)
【0012】
【化6】
【0013】(式中R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、同
一または相異なり、それぞれ置換基を有していてもよい
アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロ
アルケニル基またはアリール基を示し、Xはハロゲ原子
を示す)で表わされるフェニルカルビニルシリルハライ
ド化合物を加水分解後、ニトロ化し、次いでハロゲン化
することを特徴とする前記第1の発明のp−ニトロフェ
ニルカルビニルシリルハライド化合物の製造方法を提供
する。
【0014】そして、この出願の発明は、第7には、固
相合成担体にシリルリンカーを介して糖鎖またはアミノ
酸を固定させ、糖ペプチドまたはペプチド合成した後
に、ケイ素−酸素結合を切断して糖またはアミノ酸を取
り出す方法において、糖またはアミノ酸のアルコール性
水酸基を前記第1の発明のp−ニトロフェニルカルビニ
ルシリルハライド化合物で反応保護し、ニトロ基を還元
した後にジカルボン酸無水物と縮合させてジカルボン酸
モノアミド体としたものをシリルリンカーとして使用す
ることを特徴とする糖ペプチドまたはオリゴペプチドの
合成方法を提供する。
【0015】さらにまた、この出願の発明は、上記合成
方法について、第8には、ジカルボン酸無水物として無
水コハク酸または無水グルタル酸を用いる方法を、第9
には、ケイ素−酸素結合をフッ素アニオンによって切断
する方法を、第10には、フッ化セシウムとともに、1
8−クラウン−6または酢酸とを用いてケイ素−酸素結
合を切断する方法をも提供する。
【0016】すなわち、以上のとおりのこの出願の発明
は、発明者らによる糖鎖を介して固相合成担体に固定で
きるような合成素子についての検討から導かれたもので
あって、シリルエーテルを含む糖ペプチドユニットを合
成し、そのシリル化合物の置換基を介して固相と連結さ
せるべくリンカーとなる構造部分の検討と、糖ペプチド
等の固相合成方法の検討の結果、立体障害の大きい、か
さ高い置換基を有する新規なp−ニトロフェニルカルビ
ニルシリルハライド化合物が、上記問題点を解決し、糖
ペプチドあるいはペプチドの固相合成のリンカーとして
有用であることを見いだしたことに基づいて完成された
ものである。
【0017】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴を有するものであるが、以下に、その実施の形態に
ついて説明する。まず、この発明において提供される前
記の一般式(I)で表わされるp−ニトロフェニルカル
ビルシリルハライド化合物については、R1 ,R2 ,R
3 およびR4 は、炭化水素基としてのアルキル基、アル
ケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ま
たはアリール基、もしくは置換されたこれらの炭化水素
の各種のものであってよいが、一般的には、炭素数が1
〜8程度のものが適当であり、なかでも、メチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、ペンチル基等の低級アルキル基、または
フェニル基、トリル基等のアリール基から選択されたも
のが適当なものとして例示される。
【0018】またXはハロゲン原子であるが、反応性、
合成および取扱い性等の面からは塩素原子とすることが
適当である。たとえば、具体的に、一般式(I)の化合
物を例示すると、(p−ニトロフェニルジメチルカルビ
ニル)ジメチルシリルクロリド、(p−ニトロフェニル
ジメチルカルビニル)メチルエチルシリルクロリド、
(p−ニトロフェニルジメチルカルビニル)ジビニルシ
リルクロリド、(p−ニトロフェニルジメチルカルビニ
ル)ジフェニルシリルクロリド、(p−ニトロフェニル
ジメチルカルビニル)メチルフェニルシリルクロリド、
(p−ニトロフェニルジメチルカルビニル)メチルトリ
ルシリルクロリド、(p−ニトロフェニルジエチルカル
ビニル)ジメチルシリルクロリド、(p−ニトロフェニ
ルフェニルメチルカルビニル)ジメチルシリルクロリ
ド、(p−ニトロフェニルメチルプロピルカルビニル)
ジメチルシリルクロリド等が挙げられる。
【0019】なかでも、(p−ニトロフェニルジメチル
カルビニル)ジメチルシリルクロリド、(p−ニトロフ
ェニルジメチルカルビニル)メチルエチルシリルクロリ
ド、(p−ニトロフェニルジメチルカルビニル)ジエチ
ルシリルクロリドが適当なものとして例示される。たと
えば以上のとおりのこの発明の前記一般式(I)で表わ
されるp−ニトロフェニルカルビルシリルハライド化合
物は、シリルエーテル型リンカーを形成するものとして
有用な新規な化合物である。
【0020】このp−ニトロフェニルカルビルシリルハ
ライド化合物は、この発明においては、前記の一般式
(II)のフェニルカルビルシリルハライド化合物を原料
とし、このものを加水分解し、ニトロ化およびハロゲン
化反応させることによって製造する。この方法を反応式
として示すと次の一般式(III) のとおりとなる。
【0021】
【化7】
【0022】原料となるフェニルカルビニルシリルハラ
イド化合物としては、(フェニルジメチルカルビニル)
ジメチルシリルクロリド、(フェニルジメチルカルビニ
ル)メチルエチルシリルクロリド、(フェニルジメチル
カルビニル)ジビニルシリルクロリド、(フェニルジメ
チルカルビニル)ジフェニルシリルクロリド、(フェニ
ルジメチルカルビニル)メチルフェニルシリルクロリ
ド、(フェニルジメチルカルビニル)メチルトリルシリ
ルクロリド、(フェニルジエチルカルビニル)ジメチル
シリルクロリド、(ジフェニルメチルカルビニル)ジメ
チルシリルクロリド、(フェニルメチルプロピルカルビ
ニル)ジメチルシリルクロリドが例示される。好ましく
は(フェニルジメチルカルビニル)ジメチルシリルクロ
リド、(フェニルジメチルカルビニル)メチルエチルシ
リルクロリド、(フェニルジメチルカルビニル)ジエチ
ルシリルクロリドが使用される。
【0023】原料としてのフェニルカルビニルシリルハ
ライド化合物の加水分解、ニトロ化、ハロゲン化には化
学反応の常法が適宜に採用されるが、たとえば加水分解
ではアルカリ水溶液による加水分解方法が、ニトロ化で
は硝酸アンモニウムとトリフルオロ酢酸無水物を用いた
ニトロ化方法が、ハロゲン化ではハロゲン化オキザリル
を用いたハロゲン化方法が例示される。
【0024】また、この発明においては、前記一般式
(I)で表わされるp−ニトロフェニルカルビニルシリ
ルハライド化合物によって糖ペプチドあるいはオリゴペ
プチドの固相合成のためのシリルリンカーが提供される
が、このシリルリンカーは、たとえば次式
【0025】
【化8】
【0026】(R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、前記と
同一のものを示し、Aは、糖またはアミノ酸のアルコー
ル性水酸基部位の残基を、Bはジカルボン酸の残基を示
す)で表わすことができる。たとえば上記のとおりのこ
の発明のシリルリンカーは、前記の一般式(I)で表わ
されるp−ニトロフェニルカルビルシリルハライド化合
物を糖もしくはアミノ酸のアルコール性水酸基と反応さ
せてシリル−エーテル結合による保護構造を形成し、次
いでニトロ基を還元してアミノ基とし、ジカルボン酸無
水物と縮合反応させてジカルボン酸モノアミド体とする
ことにより形成される。
【0027】より具体的には、たとえば、固相合成に用
いる出発物質ないし中間体として、有機化合水酸基を有
する糖鎖またはアミノ酸を出発物質または中間体として
用い、前記一般式(I)のp−ニトロフェニルカルビニ
ルハライドを溶液中で脱酸剤の存在下に反応させると対
応するシリルエーテルを容易に得ることができる。この
反応は通常のシリル化反応の条件で実施できるが、ヨウ
化ナトリウム等の反応促進剤の存在下で反応を実施する
ことが望ましい。得られたシリルエーテルは化学的に安
定で、クロマトグラフィー等の方法で容易に精製が可能
であり、NMR等で生成物の構造確認も容易にできる。
【0028】次いで得られたシリルエーテルのニトロ基
は極めて穏和な条件、たとえば、亜鉛末の存在下で還元
でき、対応するアニリン誘導体を得ることができる。こ
の還元反応は基質の構造に影響されずに進行し、目的と
するアニリン誘導体を得ることができる。そして、得ら
れたアニリン誘導体を環状の酸無水物、たとえば、コハ
ク酸無水物やグルタル酸無水物と反応させると容易にア
ミド結合を有するモノカルボン酸(ジカルボン酸モノア
ミド)を得ることができる。もちろん、酸無水物は各種
のものであってよい。このようにして前記のシリルエー
テルは製造することができる。
【0029】このシリルエーテルは、適当な固相合成担
体に固定されたアミノ酸のアミノ基と縮合剤を用いて反
応させることによってアミド結合を形成し結合できる。
この発明で得られるシリルエーテル型縮合をもつリンカ
ーは、従来のペプチド固相合成では行われなかったセリ
ンやスレオニンの水酸基を利用して固相に結合し、縮合
を繰り返してペプチド鎖の伸長を行った後に、N末端ア
ミノ基、C末端カルボキシル基および側鎖の官能基に配
した保護基を損なうことなく特異的に合成ペプチドを取
りだすことを可能とする。さらにセリンやスレオニンば
かりでなく糖鎖に多数存在する水酸基の一個所を固相へ
の結合点とすることができる。この発明のシリルリンカ
ーを用いる固相合成法によれば、ペプチド主鎖の両端が
それぞれの保護基を選択的に除去することによってペプ
チド合成の反応点として使用可能となることから、従来
ほとんど試みられなかった固相上でのペプチドC末端側
伸長も行うことができる。
【0030】この発明によるシリルリンカーはその調製
が容易であること、切断時には全て樹脂上に残るという
特性を持ち、目的生成物との分離は濾過操作のみという
利点がある。また、力価が既知の市販のアミノ型樹脂
(またはアミノ酸結合型樹脂)と結合することにより、
ニンヒドリン法やFmoc定量法などによってその結合
効率の数値を容易に知ることができる。
【0031】この発明において、固定化反応の定量につ
いては特に特別な方法は必要なく、例えば、ニンヒドリ
ンを用いた残存アミノ基の検出試験によって極めて容易
に感度よく検出できる。そして、この発明においては、
特別な反応条件は必要なく固相合成反応を行うことがで
き、前記のとおり、N−末端、C−側酸末端の一方また
は双方にペプチド鎖を伸長させることができる。
【0032】固相合成を完成した後で特異的にケイ素−
酸素結合を切断することで保護された糖ペプチドやオリ
ゴペプチドが取り出せるが、通常のシリル系保護基の脱
保護条件で固相上から遊離させることができる。フッ素
イオンを発生する化合物、たとえば、フッ化セシウムに
より、たとえば酢酸やクラウンエーテルの存在下または
非存在下に反応を実施すると、極めて容易に定量的に切
断することができる。
【0033】
【実施例】次にこの発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、この発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1)<(p−ニトロフェニルジメチルカルビニ
ル)ジメチルシリルクロリドの製造>(フェニルジメチ
ルカルビニル)ジメチルシリルクロリド26.57gを
ジエチルエーテル75mlに溶解し、水酸化カリウム
8.4gを溶解した水−メタノールの1:4(v/v)
混合溶媒100mlを徐々に添加、攪拌した。混合溶液
を室温で20時間攪拌し、分液したのちジエチルエーテ
ルで2度抽出し、エーテル溶液を洗浄、乾燥後、溶媒を
減圧留去し無色油状物質として、22.89gの(フェ
ニルジメチルカルビニル)ジメチルシラノールを得た。
【0034】このシラノール5.00gをアセトニトリ
ル35mlに溶解し、硝酸アンモニウム2.60gを加
え、懸濁液を調整し、攪拌しながらそれにトリフルオロ
酢酸無水物5.8mlを少量ずつ加えた。添加終了後、
さらに50分後と60分後にトリフルオロ酢酸無水物各
2.0mlずつ添加し、室温で一晩攪拌した。得られた
反応液に水を加え酢酸エチルで2回抽出した後、有機相
を洗浄、乾燥し、溶媒を減圧で留去し、シリカゲルクロ
マトグラフィーで精製して無色結晶性化合物として3.
99gの(p−ニトロフェニルジメチルカルビニル)ジ
メチルシラノールを得た。
【0035】次いで、この(p−ニトロフェニルジメチ
ルカルビニル)ジメチルシラノール3.58gを塩化メ
チレン50mlに溶解し、塩化オキサリル1.50ml
を加えた後、ジメチルフォルムアミド1滴加え、室温で
1日攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた結晶性残
渣をヘキサンより再結晶し、無色結晶として、3.56
gの(p−ニトロフェニルジメチルカルビニル)ジメチ
ルシリルクロリド(mp.114.5−117℃(ヘキ
サン))を得た。 (実施例2)実施例1の(フェニルジメチルカルビニ
ル)ジメチルシリルクロリドを(フェニルジメチルカル
ビニル)メチルエチルシリルクロリドに変えて同様の反
応を行うことにより、同等の収率で(p−ニトロフェニ
ルジメチルカルビニル)メチルエチルシリルクロリドが
得られた。
【0036】また、同様の方法を実施することにより、
以下の化合物が得られた。(p−ニトロフェニルジメチ
ルカルビニル)ジビニルシリルクロリド、(p−ニトロ
フェニルジメチルカルビニル)ジフェニルシリルクロリ
ド、(p−ニトロフェニルジメチルカルビニル)メチル
フェニルシリルクロリド、(p−ニトロフェニルジメチ
ルカルビニル)メチルトリルシリルクロリド、(p−ニ
トロフェニルジエチルカルビニル)ジメチルシリルクロ
リド、(p−ニトロフェニル−フェニルメチルカルビニ
ル)ジメチルシリルクロリド、(p−ニトロフェニルメ
チルプロピルカルビニル)ジメチルシリルクロリド (実施例3) <シリルリンカーの合成>次の反応式に従ってシリルリ
ンカーの合成を行った。
【0037】
【化9】
【0038】第1工程:シリルエーテルの製造 <N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O−
(4−ニトロフェニルジメチルカルビニル)ジメチルシ
リル〕−L−セリン アリルエステル>N−(9−フル
オレニルメトキシカルボニル)−L−セリン アリルエ
ステル(500mg,1.36mmol)と(p−ニト
ロフェニルジメチルカルビニル)ジメチルシリルクロリ
ド(420mg,1.63mmol)およびヨウ化ナト
リウム(610mg,4.06mmol)にジメチルホ
ルムアミド(20ml)を加え、室温で15分反応させ
た。さらにN−メチルモルホリン(179μl,1.6
2mmol)を加えた後、20分間反応させた。反応液
をエーテル−飽和重曹水で分配し、有機層を飽和食塩水
で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃
縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(SiO2 60g,hexane−EtOAc2:1)で
精製し標記化合物を無色油状物として775mg(97
%)得た。
【0039】第2工程:アニリン誘導体の製造 <N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O−
(4−アミノフェニルジメチルカルビニル)ジメチルシ
リル〕−L−セリン アリルエステル>N−(9−フル
オレニルメトキシカルボニル)〔O−(4−ニトロフェ
ニルジメチルカルビニル)ジメチルシリル〕−L−セリ
ン アリルエステル(780mg,1.32mmol)
をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解し、亜鉛末
(5.00g,excess)および酢酸(1ml)を加えて
45分間反応させた。反応液を酢酸エチルで希釈し、セ
ライトの層を通して濾過した後、飽和重曹水、飽和食塩
水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧
濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(SiO2 60g,hexane−EtOAc1:1)
で精製し標記化合物を無色油状物として650mg(8
8%)得た。
【0040】第3工程:アミドカルボン酸の製造 <N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル){O−
〔(4−スクシン酸モノアミドフェニル)ジメチルカル
ビニル〕ジメチルシリル}−L−セリン アリルエステ
ル> 9−フルオレニルメトキシカルボニル〔O−(4−アミ
ノフェニルジメチルカルビニル)ジメチルシリル〕−L
−セリン アリルエステル(650mg,1.16mm
ol)にコハク酸無水物(120mg,1.20mmo
l)とN−メチルモルホリン(111μl,0.89m
mol)を加え、4時間反応させた。反応液を濃縮しBi
obeads SX−3(100g)のカラムに展着し、トル
エン−酢酸エチル(1:1)の混合溶媒で溶出して精製
し、標記化合物を760mg(99%)得た。 (実施例4) <樹脂への導入>実施例3により得られたシリルリンカ
ーを樹脂に導入して次式のとおり固定化した。
【0041】
【化10】
【0042】すなわち、N−(9−フルオレニルメトキ
シカルボニル){O−〔(4−スクシン酸モノアミドフ
ェニル)ジメチルカルビニル〕ジメチルシリル}−L−
セリン アリルエステル(250mg,0.38mmo
l)のN−メチルモルホリン(3.0ml)溶液に、O
−ベンゾトリアゾ−1−リル−1−N,N,N′,N′
−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
(HBTU:288mg,0.76mmol)と0.5
M 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt:ジ
メチルホルムアミド溶液,0.76ml,0.38mm
ol)および2Mジイソプロピルエチルアミン(ジメチ
ルホルムアミド溶液,0.19ml,0.38mmo
l)を加え、室温で1時間20分反応させた。ついでグ
リシンHMP樹脂(ABI製,0.95mmol/g,
271mg,0.253mmol)を加え、一晩攪拌混
和した。得られた樹脂を濾別し、N−メチルモルホリ
ン,2−プロパノール、塩化メチレン、ジエチルエーテ
ルで順次洗浄し、439mg(102%:重量よりの計
算)の樹脂を得た。 (実施例5) <ペプチド固相合成>次の反応式に従って、実施例4に
続いてペプチドの固相合成を行った。
【0043】
【化11】
【0044】9−フルオレニルメトキシカルボニル基
(Fmoc)の除去(1) N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)セリン
(O−リンカー−グリシンHMP樹脂)アリルエステル
(0.59mmol/g,151mg,0.089mm
ol)をN−メチルモルホリン−ピペリジン(1:1v
/v,3.0ml)に懸濁し、1時間40分攪拌混和し
た。得られた樹脂を濾別し、N−メチルモルホリン,2
−プロパノール、塩化メチレン、ジエチルエーテルで順
次洗浄し、134mgの樹脂を得た。
【0045】N−(9−フルオレニルメトキシカルボニ
ル)〔O−(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O−
アセチル−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシ
ル〕トレオニンの導入(2) N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O−
(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−
2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル〕−L−ト
レオニン(33mg,0.0492mmol)のN−メ
チルモルホリン(1.0ml)溶液に、O−ベンゾトリ
アゾ−1−リル−1−N,N,N′,N′−テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(37.3m
g,0.098mmol),1−ヒドロキシベンゾトリ
アゾール(66mg,0.49mmol)および2Mジ
イソプロピルエチルアミン(ジメチルホルムアミド溶
液,0.49μl,0.098mmol)を加え35分
間反応させた。ついでセリン(O−リンカー−グリシン
HMP樹脂)アリルエステル(0.68mmol/g,
66mg,0.0447mmol)を加え一晩攪拌混和
した。得られた樹脂を濾別し、N−メチルモルホリン,
2−プロパノール、塩化メチレン、ジエチルエーテルで
順次洗浄し、88.5mg(96%:重量よりの計算)
の樹脂を得た。
【0046】9−フルオレニルメトキシカルボニル基
(Fmoc)の除去(3) N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O−
(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−
2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル〕−L−ト
レオニル−L−セリン(O−リンカー−グリシンHMP
樹脂)アリルエステル(0.47mmol/g,84.
3mg,0.0425mmol)をN−メチルモルホリ
ン−ピペリジン(1:1v/v,2.0ml)に懸濁、
1時間20分攪拌混和した。得られた樹脂を濾別し、N
−メチルモルホリン,2−プロパノール、塩化メチレ
ン、ジエチルエーテルで順次洗浄し、80.4mgの樹
脂を得た。
【0047】N−(9−フルオレニルメトキシカルボニ
ル)〔O−(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O−
アセチル−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシ
ル〕トレオニンの導入(4) N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O−
(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−
2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル〕−L−ト
レオニン(33mg,0.0492mmol)のN−メ
チルモルホリン(1.0ml)溶液に、O−ベンゾトリ
アゾ−1−リル−1−N,N,N′,N′−テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(37.3m
g,0.098mmol),1−ヒドロキシベンゾトリ
アゾール(66mg,0.49mmol)および2Mジ
イソプロピルエチルアミン(ジメチルホルムアミド溶
液,0.49μl,0.098mmol)を加え35分
間反応させた。ついで〔O−(2−アセタミド−3,
4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−α−D−
ガラクトピラノシル〕−L−トレオニル−L−セリン
(O−リンカー−グリシンHMP樹脂)アリルエステル
(0.53mmol/g,80.4mg,0.0425
mmol)を加え一晩攪拌した。上記(2)と同様の処
理により112mg(102%:重量よりの計算)の樹
脂を得た。
【0048】糖ペプチドの樹脂からの切り出し(5) N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O−
(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−
2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル〕−L−ト
レオニル−L−N−(9−フルオレニルメトキシカルボ
ニル)〔O−(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O
−アセチル−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシ
ル〕−L−トレオニル−L−セリン(O−リンカー−グ
リシンHMP樹脂)アリルエステル(0.39mmol
/g,77.4mg,0.0302mmol)を0.2
mol/lフッ化セシウム−1.0mol/l酢酸DM
F溶液に懸濁し、一晩攪拌混和した。得られた樹脂を濾
別し、N−メチルモルホリンで洗浄した後、2−プロパ
ノール、塩化メチレン、ジエチルエーテルで順次洗浄し
た。2−プロパノール、塩化メチレン、ジエチルエーテ
ルの洗液を濃縮しN−メチルモルホリンの洗液とあわせ
て酢酸エチルで希釈し、水と分配した。水層をさらに酢
酸エチルで3回抽出したのち、有機層をあわせて飽和食
塩水で洗浄、ついで無水硫酸ナトリウムで乾燥してから
濃縮した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(1mm
layer,CHCl3 /MeOH9:1)で精製し、N−
(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O−(2−
アセタミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デ
オキシ−α−D−ガラクトピラノシル〕−L−トレオニ
ル−N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)〔O
−(2−アセタミド−3,4,6−トリ−O−アセチル
−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル〕−L−
トレオニル−L−セリン アリルエステルを27.2m
g(73%)得た。
【0049】
【発明の効果】この発明の(p−ニトロフェニルカルビ
ニル)シリルハライド化合物は固相合成のリンカーの形
成に有用な化合物であり、糖またはアミノ酸のアルコー
ル性水溶液と定量的に結合してシリルエーテル結合を形
成し、さらに数段階を経て固相上に必要な化合物を固定
することができる。このリンカーを使用した固相有機合
成は機械的に進められ、コンビナトリアルケミストリー
として反応を展開後に穏和な条件で固相から離脱させる
ことによって、酵素阻害剤となるオリゴペプチドやリセ
プターとなるペプチドホルモン等の生理活性糖ペプチド
あるいはペプチドを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 和彦 神奈川県横浜市青葉区美しが丘1−4−6 −903 (72)発明者 伊藤 幸成 東京都文京区千石2−23−1 Fターム(参考) 4H045 AA20 BA11 BA53 DA50 DA55 FA42 4H049 VN01 VP01 VP10 VQ16 VQ35 VQ37 VQ45 VQ57 VQ77 VR23 VR31 VR41 VS09 VS16 VS35 VS37 VS45 VS57 VS77 VT03 VT06 VT32 VT33 VT36 VT40 VT41 VT42 VT43 VT44 VT46 VT48 VU34 VU36 VW02 VW33 VW35

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、同一または相異
    なり、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、
    アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル
    基、またはアリール基を示し、Xはハロゲン原子を示
    す)で表わされるp−ニトロフェニルカルビニルシリル
    ハライド化合物。
  2. 【請求項2】 R1 およびR2 の少くとも一方がメチル
    基である請求項1のp−ニトロフェニルカルビニルシリ
    ルハライド化合物。
  3. 【請求項3】 R3 およびR4 の少くとも一方がフェニ
    ル基である請求項1または2のp−ニトロフェニルカル
    ビニルシリルハライド化合物。
  4. 【請求項4】 Xが塩素原子である請求項1ないし3の
    いずれかのp−ニトロフェニルカルビニルシリルハライ
    ド化合物。
  5. 【請求項5】 R1 ,R2 ,R3 およびR4 がメチル
    基、Xが塩素原子である請求項1のp−ニトロフェニル
    カルビニルシリルハライド化合物。
  6. 【請求項6】 一般式(II) 【化2】 (式中R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、同一または相異
    なり、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、
    アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル
    基、またはアリール基を示し、Xはハロゲン原子を示
    す)で表わされるフェニルカルビニルシリルハライド化
    合物を加水分解後、ニトロ化し、次いでハロゲン化する
    ことを特徴とする一般式(I) 【化3】 (式中のR1 ,R2 ,R3 ,R4 およびXは前記と同一
    のものを示す)で表わされるp−ニトロフェニルカルビ
    ニルシリルハライド化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 固相合成担体にシリルリンカーを介して
    糖鎖またはアミノ酸を固定させ、糖ペプチドまたはペプ
    チド合成した後に、ケイ素−酸素結合を切断して糖また
    はアミノ酸を取り出す方法において、糖またはアミノ酸
    のアルコール性水酸基を一般式(I) 【化4】 (式中のR1 ,R2 ,R3 およびR4 は、同一または相
    異なり、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル
    基、低級アルケニル基、またはアリール基を示し、Xは
    ハロゲ原子を示す)で表わされるp−ニトロフェニルカ
    ルビニルシリルハライド化合物で反応保護し、ニトロ基
    を還元した後にジカルボン酸無水物と縮合させてジカル
    ボン酸モノアミド体としたものをシリルリンカーとして
    使用することを特徴とする糖ペプチドまたはオリゴペプ
    チドの合成方法。
  8. 【請求項8】 ジカルボン酸無水物として無水コハク酸
    または無水グルタル酸を用いる請求項7の糖ペプチドま
    たはオリゴペプチドの合成方法。
  9. 【請求項9】 ケイ素−酸素結合をフッ素アニオンによ
    って切断する請求項7または8の糖ペプチドまたはオリ
    ゴペプチドの合成方法。
  10. 【請求項10】 フッ化セシウムとともに、18−クラ
    ウン−6または酢酸とを用いてケイ素−酸素結合を切断
    する請求項9の糖ペプチドまたはオリゴペプチドの合成
    方法。
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