JP2000293165A - 木管楽器用パッド及び感触調節法 - Google Patents

木管楽器用パッド及び感触調節法

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JP2000293165A JP11137573A JP13757399A JP2000293165A JP 2000293165 A JP2000293165 A JP 2000293165A JP 11137573 A JP11137573 A JP 11137573A JP 13757399 A JP13757399 A JP 13757399A JP 2000293165 A JP2000293165 A JP 2000293165A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カップの内面に装着してトーンホールを開閉
し、正確な音色が出せ、微調整作業が不要である木管楽
器用パッド及び感触調節法を提供する。 【構成】 表面の外周部分に立ち上がり壁部5が形成さ
れその内際の外径とトーンホール2よりも小さい内径の
適当な幅と深さを有する輪状凹部6が形成され裏面の内
周部分には輪状凸部7が形成された円盤型の金属ベース
8と、中央には穴4が形成され裏面は金属ベース8の表
面を覆って密着し輪状凹部6に空間部9を形成するよう
金属ベース8の内側に挿入された樹脂板10と、裏面は
樹脂板10の表面に密着して金属ベース8の内側に挿入
された円盤型のフェルト状繊維体11と、表面は穴4を
輪状凸部7に固定した状態で金属ベース8の裏面に密着
された台紙12と、前記3部材を表面から包み込み台紙
12に糊付けされたパッ下スキン13とから構成された
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カップの内面に装着し
てトーンホールを開閉するための木管楽器用パッド及び
感触調節法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】かつての木管楽器は側面に形成された幾
つかあるトーンホールの直径がきわめて小さく、両端の
トーンホールの距離は指が届くほど短かった(1800
年頃まで)。吹奏者は、トーンホールを直接指で開閉す
ることにより管の長さを変更して音を変えていた。指の
腹がトーンホールの形に合わせて変形するので軽いタッ
チ(圧力)で完璧に密閉することができた。
【0003】しかし、その後正確な半音階を奏するため
や、より大きな音を求めて、多くの改良を加えられた木
管楽器は、やがて徐々に長尺化し、トーンホールの直径
は大きく、両端のトーンホールの距離は長くなる傾向を
たどって、ようやく現在ある形になった。もはや指で直
接にトーンホールを開閉することはできないため、指で
レバーを押しテコで力を伝達しカップの内面に装着され
たパッドでトーンホールの上面をおさえて開閉する構造
がとられている。
【0004】多くの試行錯誤の結果、現在標準的に見ら
れるパッド(厚さ約3mm)は、フェルト21(厚さ約
2mm)を台紙22の上に載せ、この上からパッドスキ
ン23(薄い皮)で包み込み台紙(厚さ約1mm)に糊
づけした構造をしており、中央に穴を有している(図1
4参照)。パッドの台紙22側がカップ24に装着さ
れ、パッドのフェルト21側がトーンホールを開閉す
る。
【0005】パッドの基本的な装着方法は、カップ24
の内面にパッドを挿入し、パッドの中央の装着用の穴2
5にパッドナット26を入れ、この上からトーンホール
より外径が小さいパッドワッシャー27を装着し、最後
にこの上からパッド止めネジ28でカップ24に止め
る。パッドとカップ24の間には、調整紙29が詰めら
れている(図15参照)。
【0006】吹奏者の好みに応じて指に伝わるタッチの
感触を調節するには、フェルト21を薄くしたり固いフ
ェルト21を用いることでタッチの感触を固くし、フェ
ルト21を厚くしたり柔らかいフェルト21を用いるこ
とでタッチの感触を柔らかくするという方法がとられて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の木管楽
器用パッド及び感触調節法には次に述べるような問題点
があった。
【0008】1つは、トーンホールの歪みに対応しきれ
ず隙間ができてしまうことである。木管楽器のトーンホ
ールは本管の側面に一体形成された円筒状の穴であるた
めに、本管が金属製の場合は、トーンホールの上面を完
全にフラットに加工することは不可能に近く、どうして
も多少の歪みが生じてしまい、本管が木製の場合は木目
があり、歪みや木目によってトーンホールの上面には山
になる部分と谷になる部分ができてしまい、谷になる部
分でパッドが密着せずに隙間が生じる。
【0009】1つは、パッドを支えるカップをトーンホ
ールに完全に平行に取付けることは不可能であり、カッ
プはテコの支点を中心とした円運動をするために、パッ
ドの厚さによって、厚いパッドの場合は支点に近い部分
が先にトーンホールに接触し、支点より遠い部分に隙間
が生じ、薄いパッドの場合は支点から遠い部分が先にト
ーンホールに接触してしまい、支点に近い部分に隙間が
生じてしまう。
【0010】1つは、パッドの大部分を占めているフェ
ルトが形を一定に維持できず変形し、パッド自体も変形
して復元できなくなるため、トーンホールとの密着性が
損なわれることである。フェルトは厚さが約2mmもあ
るため、その変形は密着性に大きく影響する。フェルト
は湿度の影響を受けやすく、湿度が高くなるとフェルト
は水分を含み厚くなり、湿度が下がるとフェルトは乾燥
して縮む。また、フェルトは吹奏時の圧力により物理的
に押し潰されて変形する。変形したフェルトの表面には
へこんだ谷部分と浮き上がった山部分が形成される。パ
ッドが変形し劣化すると、トーンホールの上面を正しく
塞げなくなり隙間が生じる。
【0011】1つは、パッドとトーンホールの密着性を
高めるために、フェルトの弾力性のみによって吹奏者は
指のタッチ(圧力)を強めざるを得ないことである。前
記したトーンホールの歪みとパッドの変形に対抗して少
しでもよい音を出すためには、パッドをトーンホールの
上面に強く押さえ付けて塞ぐ必要があった。しかし、速
いパッセイジ(音譜群)を演奏する場合には指のタッチ
を強めることは困難である。しかも、激しく強力なタッ
チはパッドの変形劣化を早める。木管楽器の吹奏者に本
来必要とされる以外の体力やテクニックを強要してきた
ことも確かである。また、強力なタッチによるパッドと
トーンホールの衝突音がノイズ(雑音)になっていた。
また、吹奏者にとって指で直接トーンホールを密閉して
いる感覚がパッドから得られるのが理想的であるが、強
くカップを押す必要があるため指で直接密閉する感覚が
ない。
【0012】1つは、微量の空気が、パッド表面とパッ
ドワッシャー裏面の隙間から入って、パッドの穴とパッ
ドナットの隙間を抜け、パッド裏面から外周側面とカッ
プ(調整台紙も含む)の隙間を通って外に漏出すること
である。これも音色悪化の要因になっている。
【0013】1つは、フェルトと台紙が固定されていな
いため台紙がセンターからずれることである。パッドス
キンの張力に偏りが生じ、パッドの形を正しく保つこと
ができなくなり、変形して隙間が生じる。
【0014】1つは、パッド装着の圧力が均一でないこ
とである。パッドワッシャーの圧力でパッドの中央付近
たけがカップに強く圧迫されて装着されている。パッド
の材質であるフェルトと台紙は硬くないので、パッドワ
ッシャーの圧力はパッドの中央付近に集中し、パッドの
周辺付近で弱くなる。圧力の偏りでパッドがたわみ周辺
付近が歪むため、トーンホールと隙間があいて密閉でき
なくなる。
【0015】1つは、空気漏出し正確な音色が出せなく
なることである。パットでトーンホールを完璧に密閉し
なければ正確な音色を出すことはできない。従来のパッ
ドでは隙間を完璧に密閉できず、正確な音色を吹奏する
ことは困難であった。
【0016】1つは、カップの内面に調整紙を入れて凹
凸をつけ、その上にパッドを装着することにより、パッ
ドの表面に出る凹凸を微調整する作業が定期的に必要な
ことである。作業は、トーンホールの引っ込んだ部分に
当るカップの内面に厚さが約100分の数mmの調整紙
片を入れてパッド表面に凹凸部をつける。熟練と時間を
要する作業である。この微調整によりトーンホールを密
閉できるようになるが、前記した各理由によりパッドの
変形劣化がして隙間ができるようになる。ひどい場合
は、微調整作業をして1度吹奏しただけ正確な音色がで
なくなることすらある。
【0017】1つは、タッチの感触を調節する作業には
熟練を必要とし、しかも、厚く柔らかいフェルトは変形
の度合が大きくなり、薄く固いフェルトは密閉性が低く
なる傾向があるということである。また、固い、柔らか
い、以外の、浅いタッチ、深いタッチ、という感触の調
節はできないことである。
【0018】本発明は、上記した問題点を解決した木管
楽器用パッド及び感触調節法を提供することを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、裏面を木
管楽器のカップの内面に装着し表面でトーンホールを開
閉するためのパッドにおいて、中央には穴が形成されフ
ラットな表面の外周部分にはトーンホールよりも大きな
内径を有する立ち上がり壁部が形成され表面の立ち上が
り壁部の内側には立ち上がり壁部内際の外径とトーンホ
ールよりも小さい内径の適当な幅と深さを有する輪状凹
部が形成されフラットな裏面の内周部分には輪状凸部が
形成された円盤型の金属ベースと、中央には金属ベース
と同内径の穴が形成され外径は立ち上がり壁部の内径と
ほぼ等しく裏面は金属ベースの表面を覆って密着し輪状
凹部に空間部を形成するよう金属ベースの内側に挿入さ
れた弾性を有するフラットな円盤型の樹脂板と、中央に
は樹脂板と同内径の穴が形成され外径は立ち上がり壁部
の内径とほぼ等しく裏面は樹脂板の表面に密着して金属
ベースの内側に挿入された円盤型のフェルト状繊維体
と、中央には輪状凸部の外径と同じ内径の穴が形成され
外径は金属ベースの外径とほぼ等しく表面は穴を輪状凸
部に固定した状態で金属ベースの裏面に密着された円盤
型の台紙と、中央には繊維体とほぼ同内径の穴が形成さ
れ繊維体と樹脂板と金属ベースと台紙とが一体となった
ものを表面から包み込んで張力を平均に保って台紙の裏
面に糊付けされたパッドスキンとから構成され、前記立
ち上がり壁部は樹脂板と繊維体の形状を安定させ、前記
金属ベースが基礎となってパッドの形状を保持し、前記
樹脂板はトーンホール密閉時の衝撃を吸収してトーンホ
ール上面の形に合わせて変形し、前記輪状凹部の空間部
は逃げ空間として樹脂板の変形を許容し、前記繊維体は
樹脂板の弾性によってトーンホール上面に押し付けられ
たパッドスキンとの密閉を完全なものとし、前記輪状凸
部は台紙のセンターを正位置で維持し、前記パッドスキ
ンは包み込んでいる繊維体表面と立ち上がり壁部外周側
面と貼り付けられている台紙裏面によって一定の形を保
持して張力を平均に保つことを特徴とする木管楽器用パ
ッドに関するものである。
【0020】第2の発明は、裏面を木管楽器のカップの
内面に装着し表面でトーンホールを開閉するためのパッ
ドにおいて、中央には穴が形成されフラットな表面の外
周部分にはトーンホールよりも大きな内径を有し下部の
内径よりも上部の内径が小さくなるよう内側に傾斜角度
が付いた立ち上がり壁部が形成され表面の立ち上がり壁
部の内側には立ち上がり壁部内際の外径とトーンホール
よりも小さい内径の適当な幅と深さを有する輪状凹部が
形成されフラットな裏面の内周部分には輪状凸部が形成
された円盤型の金属ベースと、中央には金属ベースと同
内径の穴が形成され外径は立ち上がり壁部の内径とほぼ
等しく裏面は金属ベースの表面を覆って密着し輪状凹部
に空間部を形成するよう金属ベースの内側に挿入された
弾性を有するフラットな円盤型の樹脂板と、中央には樹
脂板と同内径の穴が形成され外径は立ち上がり壁部の内
径とほぼ等しく裏面は樹脂板の表面に密着して金属ベー
スの内側に挿入された円盤型のフェルト状繊維体と、中
央には輪状凸部の外径と同じ内径の穴が形成され外径は
金属ベースの外径とほぼ等しく表面は穴を輪状凸部に固
定した状態で金属ベースの裏面に密着された円盤型の台
紙と、中央には繊維体とほぼ同内径の穴が形成され繊維
体と樹脂板と金属ベースと台紙とが一体となったものを
表面から包み込んで張力を平均に保って台紙の裏面に糊
付けされたパッドスキンとから構成され、前記立ち上が
り壁部は傾斜角度が付いた内側によりホールドする形で
樹脂板と繊維体の形状を安定させると共に樹脂板と繊維
体の浮き上がりを防止し、前記金属ベースが基礎となっ
てパッドの形状を保持し、前記樹脂板はトーンホール密
閉時の衝撃を吸収してトーンホール上面の形に合わせて
変形し、前記輪状凹部の空間部は逃げ空間として樹脂板
の変形を許容し、前記繊維体は樹脂板の弾性によってト
ーンホール上面に押し付けられたパッドスキンとの密閉
を完全なものとし、前記輪状凸部は台紙のセンターを正
位置で維持し、前記パッドスキンは包み込んでいる繊維
体表面と立ち上がり壁部外周側面と貼り付けられている
台紙裏面によって一定の形を保持して張力を平均に保つ
ことを特徴とする木管楽器用パッドに関するものであ
る。
【0021】第3の発明は、金属ベースのフラットな表
面の内周部分に輪状小突起を有して、パッドのカップ装
着時に前記輪状小突起でパッドワッシャー裏面にパッド
の表面の内周部分を強力に圧迫して空気の漏出をカット
できることを特徴とする請求項1及び2の発明記載の木
管楽器用パッドに関するものである。
【0022】第4の発明は、上記第1、第2及び第3の
発明記載の木管楽器用パッドにおいて、指に伝わるタッ
チの感触を固くするには輪状凹部の幅を狭く形成するこ
とにより樹脂板のたわむ幅を短くして弾力をハードに
し、指に伝わるタッチの感触を柔らかくするには輪状凹
部の幅を広く形成することにより樹脂板のたわむ幅を長
くして弾力をソフトにし、指に伝わるタッチの感触を浅
くするには輪状凹部の深さを浅く形成することにより樹
脂板の空間部への逃げ込みを浅くし、指に伝わるタッチ
の感触を深くするには輪状凹部の深さを深く形成するこ
とにより樹脂板の空間部への逃げ込みを深くし、以上の
ことを特徴とする感触調節法に関するものである。
【0023】上記した木管楽器用パッドのカップへの基
本的な装着方法は従来のパッドと同じである(図1、図
2参照)。
【0024】トーンホールに歪みがあっても、パッドの
表面が弾力的に変形して隙間をつくらず、完璧に密閉で
きる(図2参照)。
【0025】カップがテコの支点を中心として円運動を
し、トーンホールの上面とパッドの表面が平行でない状
態で接触しても、パッドの表面が弾力的に変形してトー
ンホールの上面に密着して隙間をつくらず、完璧に密閉
できる。また、フェルトが薄い構造なので、円運動によ
る密着性に支障がでるほどパッドの厚みに変化はない。
【0026】パッドの厚さは従来と変らないが、繊維体
はパッド内部を構成する3層構造の一部分である上層だ
けを占める程度の薄さの構造体となるため、湿気の影響
で密閉性に影響がでることはない。また、薄いので、物
理的圧力に対する繊維体の変形は小さく、密閉性に影響
がでることはない。繊維体は樹脂板と一体となって衝撃
を吸収し変形するのでダメージが少ない。内側に傾く傾
斜を有する立ち上がり壁部は、ホールドする形で繊維体
と樹脂板の外周端部の浮き上がり及び変形を防止する。
【0027】繊維体と樹脂板で密着性と弾力性を分担し
ているので、激しく強いタッチを必要とせず、軽いタッ
チでトーンホールを確実に密閉できる。吹奏に用いる指
の力が小さくて済む。軽いタッチで済むことと、樹脂板
がトーンホールとの衝撃を吸収するため、衝突ノイズが
ない。また、軽いタッチでトーンホールを密閉できるた
め、指で直接密閉している感覚を得ることができる(図
2参照)。
【0028】金属ベースに形成した輪状小突起が樹脂板
を圧迫し、樹脂板がパッドスキンを圧迫し、パッドのカ
ップ装着時に前記輪状小突起でパッドワッシャー裏面に
パッドの表面の内周部分を強力に圧迫して空気の漏出を
カットする(図1、図2参照)。
【0029】輪状凸部は台紙のセンターを正位置で維持
し、前記パッドスキンは包み込んでいる繊維体表面と立
ち上がり壁部外周側面と貼り付けられている台紙裏面に
よって一定の形を保持して張力を平均に保ち、パッドの
形を保つことができる。
【0030】金属ベースが硬いので、パッドワッシャー
の圧力はパッド全体に加わりカップ内面全面を均一に圧
迫した状態でカップに装着される(図1参照)。装着の
圧力によるパッドの変形はないので、隙間なしにトーン
ホールを密閉することができる。
【0031】パッドでトーンホールを完璧に密閉し、空
気の漏出がないので、正確な音色で吹奏することができ
る。
【0032】樹脂板がトーンホールの形に応じて変形す
るので、調整紙による熟練の微調整作業が不要である。
どんな歪み方をしたトーンホールでも密閉することがで
きる。誰でもパッドをカップにネジ止めするだけの作業
で装着ができる。微調整作業なしに常時正確な音色がだ
せる。長期使用により消耗を来した場合は新しいパッド
に交換するだけで簡単に済む。
【0033】吹奏者の好みに応じて、輪状凹部の幅を狭
く形成して樹脂板のたわむ幅を短くし固いタッチにした
り、輪状凹部の幅を広く形成して樹脂板のたわむ幅を長
くし柔らかいタッチにしたり、輪状凹部の深さを浅くし
て浅いタッチにしたり、輪状凹部の深さを深くして深い
タッチにしたり、タッチの感触を調節できる。
【0034】
【実施例】添付図面に基づいて本発明の実施例を説明す
るが、下記実施例にのみ限定されるべきものでないこと
は云うまでもない。
【0035】図中8は、中央には装着用の穴4が形成さ
れ、フラットな表面の外周部分にはトーンホール2より
も大きな内径を有し下部の内径よりも上部の内径が小さ
くなるよう内側に傾斜角度が付いた立ち上がり壁部5が
形成され、表面の立ち上がり壁部5の内側には立ち上が
り壁部5内際の外径とトーンホール2よりも小さい内径
の適当な幅と深さを有する輪状凹部6が形成され、フラ
ットな裏面の内周部分には輪状凸部7が形成されている
円盤型の金属ベースである。金属ベース8は硬質で変形
しない。金属ベース8の表面の内側には樹脂板10と繊
維体11が挿入される。立ち上がり壁部5の内側の傾斜
により、樹脂板10と繊維体11の浮き上がりは防止さ
れる。本実施例の輪状凹部6は、内側が浅く外側が深い
傾斜を有するが、これは樹脂板10がたわみやすいため
である。
【0036】図中10は、中央には金属ベース8のと同
内径の装着用の穴4が形成され、外径は立ち上がり壁部
5の内径とほぼ等しく、裏面は金属ベース8の表面を覆
って密着し輪状凹部6に空間部9を形成するよう金属ベ
ース8の内側に挿入された、弾性を有するフラットな円
盤型の樹脂板である。樹脂板10は、トーンホール2の
形に応じて変形し、空間部9側にたわみ、衝撃を吸収
し、圧力がなくなれば復元する。たとえば、右側が引っ
込み左側が出っ張る形に歪んだ図2に示すトーンホール
2の場合も、対応して完全に密閉している。本実施例で
はシリコン樹脂を用いている。
【0037】図中11は、中央には樹脂板10と同内径
の装着用の穴4が形成され、外径は立ち上がり壁部5の
内径とほぼ等しく、裏面は樹脂板10の表面に密着して
金属ベース8の内側に挿入された、円盤型のフェルト状
繊維体である。繊維体11は、薄いためトーンホール2
の圧力に対して僅かに変形し、さらに圧力が加わると樹
脂板10と一体となってしなり、圧力がなくなれば復元
する。繊維体11は樹胆板10の弾力によってトーンホ
ール2に強く密着するため密閉性が高まる。
【0038】図中12は、中央には金属ベース8裏面の
輪状凸部7の外径と同じ内径の穴4が形成され、外径は
金属ベース8の外径とほぼ等しく、表面は穴4を輪状凸
部7に固定した状態で金属ベース8の裏面に密着する、
円盤型の台紙である。台紙12の働きは、パッドスキン
13を貼り付けた状態でセンターを保ち、張力を平均化
させ、パッド3の密閉性を平均に保たせることである。
【0039】図中13は、中央には繊維体11とほぼ同
内径の穴4が形成され、繊維体11と樹脂板10と金属
ベース8と台紙12を重ねたものを表面から包み込み、
張力を平均に保って台紙12の裏面に糊付けされる、パ
ッドスキンである。パッドスキン13は、直接トーンホ
ール2に密着する部分である。繊維体11表面と金属ベ
ース8外周側面と台紙12裏面により基本的形状が固定
されているので、パッドスキン13は形崩れしない。
【0040】パッド3の基本的な装着は、図1及び図2
に示すように、パッド3の穴4にパッドナット16を挿
入し、パッド3の表面にパッドワッシャー15を被せ、
最後にパッド止めネジ17で固定する。カップ1内面の
凹凸は紙や樹脂等で平行にならしてあるが、調整紙によ
る微調整は不要である。
【0041】図中14は、金属ベース8のフラットな表
面の内周部分に形成された輪状小突起である。輪状小突
起14は、樹脂板10と繊維体11の内周部分をパッド
スキン13側へ圧迫する。パッド3をカップ1に装着す
ると、パッドワッシャー15裏面にパッド3の表面の内
周部分が強力に圧迫されて、空気の漏出がカットされ
る。
【0042】図7に示した、金属ベース8の輪状凹部の
形状は、吹奏者の指に伝わるタッチの感触を微妙に変え
る。吹奏者の好みに応じて、感触を固くするには輪状凹
部6の幅を狭く形成することにより樹脂板10のたわむ
幅を短くして弾力をハードにし、柔らかくするには輪状
凹部6の幅を広く形成することにより樹脂板10のたわ
む幅を長くして弾力をソフトにし、感触を浅くするには
輪状凹部6の深さを浅く形成することにより樹脂板10
の空間部9へ逃げ込める範囲を浅くし、タッチの感触を
深くするには輪状凹部6の深さを深く形成することによ
り樹脂板10の空間部9へ逃げ込める範囲を深くする。
【0043】
【発明の効果】以上説明した本発明に係る木管楽器用パ
ッド及び感触調節法によれば、次のような効果を奏す
る。
【0044】上記した木管楽器用パッドは、トーンホー
ルに歪みがあっても、弾力的に変形して隙間をつくら
ず、完璧に密閉できる。
【0045】カップがテコの支点を中心として円運動を
し、トーンホールの上面とパッドの表面が平行でない状
態で接触しても、パッドの表面が弾力的に変形してトー
ンホールの上面に密着して隙間をつくらず、完璧に密閉
できる。また、フェルトが薄い構造なので、円運動によ
る密着性に支障がでるほどパッドの厚みに変化はない。
【0046】パッドの厚さは従来と変らないが、繊維体
はパッド内部を構成する3層構造の一部分である上層だ
けを占める程度の薄さの構造体であるため、湿気の影響
で密閉性に影響がでることはない。また、薄いので、物
理的圧力に対する繊維体の変形は小さく、密閉性に影響
がでることはない。繊維体は樹脂板と一体となって衝撃
を吸収し変形するのでダメージが少ない。内側に傾く傾
斜を有する立ち上がり壁部の場合、ホールドする形で繊
維体と樹脂板の外周端部の浮き上がりを防止する。
【0047】繊維体と樹脂板で密着性と弾力性を分担し
ているので、激しく強いタッチを必要とせず、軽いタッ
チでトーンホールを確実に密閉できる。吹奏に用いる指
の力が小さくて済む。軽いタッチで済むことと、樹脂板
がトーンホールとの衝撃を吸収するため、衝突ノイズが
ない。また、軽いタッチでトーンホールを密閉できるた
め、指で直接密閉している感覚を得ることができる。
【0048】金属ベースに形成した輪状小突起が樹脂板
を圧迫し、樹脂板がパッドスキンを圧迫し、パッドのカ
ップ装着時に前記輪状小突起でパッドワッシャー裏面に
パッドの表面の内周部分を強力に圧迫して空気の漏出を
カットする。
【0049】輪状凸部は台紙のセンターを正位置で維持
し、前記パッドスキンは包み込んでいる繊維体表面と立
ち上がり壁部外周側面と貼り付けられている台紙表面に
よって一定の形を保持して張力を平均に保ち、パッドの
形を保つことができる。
【0050】金属ベースが硬く、パッドワッシャーの圧
力による変形がなく、パッドの形が維持されるため、ト
ーンホールを隙間なく密閉することができる。
【0051】パッドでトーンホールを完璧に密閉し、空
気が漏出しないので、正確な音色で吹奏することができ
る。
【0052】樹脂板がトーンホールの形に応して変形す
るので、熟練の微調整作業が不要である。どんな歪み方
をしたトーンホールでも密閉することができる。誰でも
パッドをカップにネジ止めするたけの作業で装着ができ
る。微調整作業なしに常時正確な音色がだせる。長期使
用により消耗を来した場合は新しいパッドに交換するだ
けで済む。
【0053】吹奏者の好みに応じて、輪状凹部の幅を狭
く形成して樹脂板のたわむ幅を短くし固いタッチにした
り、輪状凹部の幅を広く形成して樹脂板のたわむ幅を長
くし柔らかいタッチにしたり、輪状凹部の深さを浅くし
て浅いタッチにしたり、輪状凹部の深さを深くして深い
タッチにしたり、タッチの感触を調節できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カップに装着された本発明に係るパッドとトー
ンホールの断面図。
【図2】カップに装着された本発明に係るパッドで歪ん
たトーンホールを密閉した状態をあらわす断面図。
【図3】本発明に係るパッドの正面図。
【図4】本発明に係るパッドの断面図。
【図5】本発明に係るパッドの平面図。
【図6】本発明に係るパッドの底面図。
【図7】金屈ベースの断面図。
【図8】金属ベースの平面図。
【図9】金属ベースの底面図。
【図10】樹脂板の断面図。
【図11】繊維体の断面図。
【図12】台紙の断面図。
【図13】パッドスキンの正面図。
【図14】従来のパッドの断面図。
【図15】カップに装着された従来のパッドの断面図。
【符号の説明】
1 カップ 2 トーンホール 3 パッド 4 穴 5 立ち上がり壁部 6 輪状凹部 7 輪状凸部 8 金属ベース 9 空間部 10 樹脂板 11 繊維体 12 台紙 13 パッドスキン 14 輪状小突起 15 パッドワッシャー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 裏面を木管楽器のカップ(1)の内側に
    装着し表面でトーンホール(2)を開閉するためのパッ
    ド(3)において、中央には穴(4)が形成されフラッ
    トな表面の外周部分にはトーンホール(2)よりも大き
    な内径を有する立ち上がり壁部(5)が形成され表面の
    立ち上がり壁部(5)の内側には立ち上がり壁部(5)
    内際の外径とトーンホール(2)よりも小さい内径の適
    当な幅(a)と深さ(b)を有する輪状凹部(6)が形
    成されフラットな裏面の内周部分には輪状凸部(7)が
    形成された円盤型の金属ベース(8)と、中央には金属
    ベース(8)と同内径の穴(4)が形成され外径は立ち
    上がり壁部(5)の内径とほぼ等しく裏面は金属ベース
    (8)の表面を覆って密着し輪状凹部(6)に空間部
    (9)を形成するよう金属ベース(8)の内側に挿入さ
    れた弾性を有するフラットな円盤型の樹脂板(10)
    と、中央には樹脂板(10)と同内径の穴(4)が形成
    され外径は立ち上がり壁部(5)の内径とほぼ等しく裏
    面は樹脂板(10)の表面に密着して金属ベース(8)
    の内側に挿入された円盤型のフェルト状繊維体(11)
    と、中央には輪状凸部(7)の外径と同じ内径の穴
    (4)が形成され外径は金属ベース(8)の外径とほぼ
    等しく表面は穴(4)を輪状凸部(7)に固定した状態
    で金属ベース(8)の裏面に密着された円盤型の台紙
    (12)と、中央には繊維体(11)とほぼ同内径の穴
    (4)が形成され繊維体(11)と樹脂板(10)と金
    属ベース(8)と台紙(12)とが一体となったものを
    表面から包み込んで張力を平均に保って台紙(12)の
    裏面に糊付けされたパッドスキン(13)とから構成さ
    れ、前記立ち上がり壁部(5)は樹脂板(10)と繊維
    体(11)の形状を安定させ、前記金屈ベース(8)が
    基礎となってパッド(3)の形状を保持し、前記樹脂板
    (10)はトーンホール(2)密閉時の衝撃を吸収して
    トーンホール(2)上面の形に合わせて変形し、前記輪
    状凹部(6)の空間部(9)は逃げ空間として樹脂板
    (10)の変形を許容し、前記繊維体(11)は樹脂板
    (10)の弾性によってトーンホール(2)上面に押し
    付けられたパッドスキン(13)との密閉を完全なもの
    とし、前記輪状凸部(7)は台紙(12)のセンターを
    正位置で維持し、前記パッドスキン(13)は包み込ん
    でいる繊維体(11)表面と立ち上がり壁部(5)外周
    側面と貼り付けられている台紙(12)裏面によって一
    定の形を保持して張力を平均に保つことを特徴とする木
    管楽器用パッド。
  2. 【請求項2】 裏面を木管楽器のカップ(1)の内側に
    装着し表面でトーンホール(2)を開閉するためのパッ
    ド(3)において、中央には穴(4)が形成されフラッ
    トな表面の外周部分にはトーンホール(2)よりも大き
    な内径を有し下部の内径よりも上部の内径が小さくなる
    よう内側に傾斜角度が付いた立ち上がり壁部(5)が形
    成され表面の立ち上がり壁部(5)の内側には立ち上が
    り壁部(5)内際の外径とトーンホール(2)よりも小
    さい内径の適当な幅(a)と深さ(b)を有する輪状凹
    部(6)が形成されフラットな裏面の内周部分には輪状
    凸部(7)が形成された円盤型の金属ベース(8)と、
    中央には金属ベース(8)と同内径の穴(4)が形成さ
    れ外径は立ち上がり壁部(5)の内径とほぼ等しく裏面
    は金属ベース(8)の表面を覆って密着し輪状凹部
    (6)に空間部(9)を形成するよう金属ベース(8)
    の内側に挿入された弾性を有するフラットな円盤型の樹
    脂板(10)と、中央には樹脂板(10)と同内径の穴
    (4)が形成され外径は立ち上がり壁部(5)の内径と
    ほぼ等しく裏面は樹脂板(10)の表面に密着して金属
    ベース(8)の内側に挿入された円盤型のフェルト状繊
    維体(11)と、中央には輪状凸部(7)の外径と同じ
    内径の穴(4)が形成され外径は金属ベース(8)の外
    径とほぼ等しく表面は穴(4)を輪状凸部(7)に固定
    した状態で金属ベース(8)の裏面に密着された円盤型
    の台紙(12)と、中央には繊維体(11)とほぼ同内
    径の穴(4)が形成され繊維体(11)と樹脂板(1
    0)と金属ベース(8)と台紙(12)とが一体となっ
    たものを表面から包み込んで張力を平均に保って台紙
    (12)の裏面に糊付けされたパッドスキン(13)と
    から構成され、前記立ち上がり壁部(5)は傾斜角度が
    付いた内側によりホールドする形で樹脂板(10)と繊
    維体(11)の形状を安定させると共に樹脂板(10)
    と繊維体(11)の浮き上がりを防止し、前記金属ベー
    ス(8)が基礎となってパッド(3)の形状を保持し、
    前記樹脂板(10)はトーンホール(2)密閉時の衝撃
    を吸収してトーンホール(2)上面の形に合わせて変形
    し、前記輪状凹部(6)の空間部(9)は逃げ空間とし
    て樹脂板(10)の変形を許容し、前記繊維体(11)
    は樹脂板(10)の弾性によってトーンホール(2)上
    面に押し付けられたパッドスキン(13)との密閉を完
    全なものとし、前記輪状凸部(7)は台紙(12)のセ
    ンターを正位置で維持し、前記パッドスキン(13)は
    包み込んでいる繊維体(11)表面と立ち上がり壁部
    (5)外周側面と貼り付けられている台紙(12)裏面
    によって一定の形を保持して張力を平均に保つことを特
    徴とする木管楽器用パッド。
  3. 【請求項3】 金属ベース(8)のフラットな表面の内
    周部分に輪状小突起(14)を有して、パッド(3)の
    カップ(1)装着時に前記輪状小突起(14)でパッド
    ワッシャー(15)裏面にパッド(3)の表面の内周部
    分を強力に圧迫して空気の漏出をカットできることを特
    徴とする請求項1及び2記載の木管楽器用パッド。
  4. 【請求項4】 請求項1、2及び3記載の木管楽器用パ
    ッドにおいて、指に伝わるタッチの感触を固くするには
    輪状凹部(6)の幅(a)を狭く形成することにより樹
    脂板(10)のたわむ幅を短くして弾力をハードにし、
    指に伝わるタッチの感触を柔らかくするには輪状凹部
    (6)の幅(a)を広く形成することにより樹脂板(1
    0)のたわむ幅を長くして弾力をソフトにし、指に伝わ
    るタッチの感触を浅くするには輪状凹部(6)の深さ
    (b)を浅く形成することにより樹脂板(10)の空間
    部(9)への逃げ込みを浅くし、指に伝わるタッチの感
    触を深くするには輪状凹部(6)の深さ(b)を深く形
    成することにより樹脂板(10)の空間部(9)への逃
    げ込みを深くし、以上のことを特徴とする感触調節法。
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