JP2000297219A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2000297219A
JP2000297219A JP18865199A JP18865199A JP2000297219A JP 2000297219 A JP2000297219 A JP 2000297219A JP 18865199 A JP18865199 A JP 18865199A JP 18865199 A JP18865199 A JP 18865199A JP 2000297219 A JP2000297219 A JP 2000297219A
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temperature
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Toshio Ohama
俊生 大浜
Kenichi Suzuki
謙一 鈴木
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂を成形加工する際に、良好な加
工特性を実現する上で必要となる融体の溶融張力が著し
く増大した熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂[A]99.999〜90
重量%および下記(a),(b)の要件を満足する結晶
性樹脂[B]0.001〜10重量%からなり、下記
(c)の要件を満足する熱可塑性樹脂組成物を用いる。
(a)[B]の融点は、[A]が結晶性樹脂の場合は
[A]の融点よりも高く、[A]が非結晶性樹脂の場合
は[A]のガラス転移温度よりも高い。(b)特定条件
で測定した[A]と[B]の定常流剪断粘度の比ηA/
ηBが0.05〜150。(c)特定条件で測定した
[A]と[B]からなる組成物と[A]の伸長粘度の非
線形パラメーターの比λBlend/λAが1.2以
上。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関するものである。さらに詳しくは、各種の熱可塑
性樹脂を成形加工する際に、良好な加工特性を実現する
上で必要となる融体の溶融張力が著しく増大した熱可塑
性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、熱可塑性樹脂は、その製品形態で
あるペレットや粉体に種々の成形加工を施して製品とな
り、使用される。そして、この成形加工は、特別な場合
を除いて、熱可塑性樹脂を融体、すなわち流動できる状
態にして行われる。この際、この融体がある程度の大き
さの溶融張力を有するものでないと、成形法によって
は、成形が行いにくかったり、成形できる条件幅が狭く
なったり、場合によっては成形できないこともある。そ
して、熱可塑性樹脂の成形加工は、このような溶融張力
を必要とする成形法が主流である。例えば、通常のフィ
ルム成形、すなわち、インフレーションフィルム成形、
Tダイキャストフィルム成形、あるいはダイレクトブロ
ー成形、インジェクションブロー成形、または各種の形
状に押し出される押出成形、さらにはカレンダー成形、
ロール成形、真空・圧空成形、発泡成形、紡糸などがこ
れに相当し、いずれの成形法も熱可塑性樹脂の融体に少
なからずある程度の大きさの溶融張力が必要となる。融
体の溶融張力が不足した状態で、上記の成形加工を行う
と、成形することができなかったり、成形できたとして
も種々の問題が生じ、それが製品に反映されて不良品と
なる。例えば、バブルが不安定であったり、加工時の融
体の垂れ(ドローダウン)が顕著な場合は、得られた成
形体に厚みむらや幅むらが現れ、製品が不均一となる。
また、発泡成形では破泡を起こしたり、大きな発泡倍率
が得られなかったり、発泡セルの大きさが不均一になっ
たりする。
【0003】一般に、これらの成形加工性を改良するに
は、成形機の改良を含めた成形加工手法に基づく方法と
樹脂の特性を改質する方法に大別される。その中で、前
者については、非常にしばしば適用されるのが融体の温
度を低くして成形加工を行う方法である。しかし、この
方法では、加工できる条件幅が制限され、さらに、融体
の剪断粘度も増加し、生産性の低下や加工機への負荷の
増大などの問題が生じる。また、成形機を改良すること
で、加工性を改良する方法もしばしば採用される。しか
し、これは使用できる樹脂が制限されたり、場合によっ
ては特定の樹脂専用になる。さらに、特別な設備が必要
になるなどの問題もあり、一般性に欠ける。
【0004】これらに対し、熱可塑性樹脂を改質する工
夫も種々なされている。例えば、その一つに分子量を増
大させる方法がある。しかし、この方法では、融体の剪
断粘度も増大してしまい、融体の温度を下げて成形する
場合と同様の問題が生じる。また、分子量分布を広げる
ことによる改質方法もある。これによって、ある程度溶
融張力は増大でき、目的が達成できる場合もあるが、分
子量分布の拡大には限界があり、さらに拡大できる範囲
内では溶融張力の増大効果はさほど大きなものではな
い。これと類似の発想で、非常に大きな分子量(超高分
子量)を有する成分を少量配合するという方法も報告さ
れている。しかし、この方法は超高分子量成分を製造す
ること自体が困難な場合も多く、さらにこれらを均一に
分散させることが難しく、十分に効果が発揮できなかっ
たり、異物となって製品の外観に悪影響を及ぼす場合も
ある。また、溶融張力の大きな樹脂を配合する方法もよ
く採用されている。例えば、ポリオレフィン系樹脂の分
野では、溶融張力の小さい高密度ポリエチレン(HDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリ
プロピレン(PP)に高圧ラジカル重合法で得られる低
密度ポリエレン(LDPE)やエチレン/酢酸ビニル共
重合体(EVA)を配合する方法がよく知られている。
ただし、この方法では、溶融張力の大きな樹脂をある程
度多量に配合しなければならず、改質される樹脂のその
他の特性が損なわれる場合がある。例えば、上記のHD
PE、LLDPE、PPにLDPEやEVAを配合する
場合は、HDPEやPPの特徴である剛性が低下した
り、LLDPEの特徴である衝撃強度や引裂強度が低下
してしまう。一方、樹脂によっては、過酸化物の配合や
電子線の照射によって樹脂に架橋構造を持たせる方法も
採用されている。ただし、この方法にも問題はあり、過
酸化物の配合では過酸化物の残存が原因で用途が限られ
たり、電子線照射の場合には特別な設備が必要となり、
一般性に欠ける。さらに、いずれの方法もその制御が難
しく、架橋構造が不均一となって異物が発生する場合が
多い。また、この方法では融体の剪断粘度も高くなり、
融体の温度を下げる場合や分子量を増大させる場合と同
様の問題が生じる。さらに、ポリプロピレン系樹脂のよ
うに、過酸化物の配合による手法が適用できない樹脂も
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱可塑性樹
脂を取り巻く前記のような概況に鑑みたもので、熱可塑
性樹脂を成形加工する際に良好な加工特性を実現するた
めに必要となる融体の溶融張力が著しく増大した熱可塑
性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、熱可塑性樹脂
に特別な要件を満足する少量の結晶性樹脂を配合し、そ
の熱可塑性樹脂組成物が特別な要件を満足することによ
って、熱可塑性樹脂組成物の融体の溶融張力が著しく増
大することがわかり、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂[A]
99.999〜90重量%および下記(a),(b)の
要件を満足する結晶性樹脂[B]0.001〜10重量
%からなり、下記(c)の要件を満足する熱可塑性樹脂
組成物に関するものである。
【0008】(a)[B]の融点は、[A]が結晶性樹
脂の場合は[A]の融点よりも高く、[A]が非結晶性
樹脂の場合は[A]のガラス転移温度よりも高い。
【0009】(b)剪断速度6.77×10-1se
-1、[B]の融点より高い温度で測定した[B]の定
常流剪断粘度(ηs(B))と、ηs(B)と同じ条件
で測定した[A]の定常流剪断粘度(ηs(A))との
比、ηs(A)/ηs(B)が0.05〜150の範囲
にある。
【0010】(c)[A]と[B]からなる熱可塑性樹
脂組成物を歪み速度0.1sec-1で測定した伸長粘度
の非線形パラメーター(λBlend)と、λBlen
dと同じ条件で測定した[A]の伸長粘度の非線形パラ
メーター(λA)との比、λBlend/λAが1.2
以上である。
【0011】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に用いる[A]の熱可塑性樹脂は、
その種類は特に限定されない。熱可塑性樹脂であれば、
結晶性樹脂でも非結晶性樹脂でも、あるいは各種のエラ
ストマー類でも構わない。例えば、ポリエチレン(高密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ
リエチレン、α−オレフィン含有量の多いエラストマー
類)、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4
−メチル−1−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ペ
ンテン)、エチレン/酢酸ビニル共重合体に代表される
ポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリε−カプロラクタムに代
表されるポリエステル類、ポリオキシメチレンに代表さ
れるポリアセタール類、各種ナイロン類に代表されるポ
リアミド類、ポリフェニレンオキシドやポリフェニレン
サルファイドに代表されるポリフェニレン類、ポリエー
テルケトン、ポリアリルエーテルケトンおよび各種フッ
素樹脂などの結晶性樹脂、ならびにポリスチレン、ポリ
カーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスルホ
ン、非晶ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリ
エーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの
非結晶性樹脂などの熱可塑性樹脂ならばいずれでもよ
い。さらに、上記熱可塑性樹脂を適当にブレンドしたも
のでも構わない。しかし、特に好ましくは、ポリエチレ
ン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、α−オレフィン含有量の多いエラ
ストマー類)、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、
ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(3−メチル
−1−ペンテン)、エチレン/酢酸ビニル共重合体に代
表されるポリオレフィン系樹脂である。
【0013】一方、[B]の結晶性樹脂についてもその
種類は特に限定されず、結晶性の熱可塑性樹脂ならばい
ずれでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート
(以下、PETと記す)、ポリブチレンテレフタレート
(以下、PBTと記す)、ポリε−カプロラクタムに代
表されるポリエステル類、ポリオキシメチレンに代表さ
れるポリアセタール類、各種ナイロン類に代表されるポ
リアミド類、ポリフェニレンオキシドやポリフェニレン
サルファイドに代表されるポリフェニレン類、ポリエー
テルケトン、ポリアリルエーテルケトンおよび各種フッ
素樹脂などの結晶性樹脂が挙げられる。さらに、上記結
晶性樹脂を適当にブレンドしたものでも構わない。好ま
しくは、PET、PBT、ポリε−カプロラクタムに代
表されるポリエステル系樹脂である。また、後記のよう
に、より大きな溶融張力増大効果を広い温度範囲にわた
って発現させるには、[B]の融点が[A]の融点また
はガラス転移温度よりかなり高温である必要がある。そ
の意味では、結晶性ポリエステル系樹脂の中でも融点が
高いPETやPBTが特に好ましいことになる。さら
に、PETやPBTは入手が容易であるという点でも好
ましい。また、PETについては、未使用の樹脂(例え
ば、製品として入手できるペレットなど)だけでなく、
近年多量に流通しているPETボトルの粉砕物のような
再生品でも構わない。この再生PETは、価格が未使用
のPET樹脂に比べて安価であり、再生PETを[B]
として使用する場合は、PETボトルのリサイクル、な
らびに本発明の熱可塑性樹脂組成物が安価になるなどの
面で好ましいものである。
【0014】ここで、[B]の融点は[A]が結晶性樹
脂の場合は[A]の融点よりも高く、[A]が非結晶性
樹脂の場合は[A]のガラス転移温度よりも高くなけれ
ばならない。これは、[A]がその融点またはガラス転
移温度よりも高温になって流動できる状態において、
[B]の結晶性樹脂は結晶を残した状態にあることが、
[A]と[B]からなる熱可塑性樹脂組成物の融体の溶
融張力を格段に大きくすることにつながるからである。
[B]がその融点を超えて融体になったとしても溶融張
力の増大効果は得られるが、その効果は[B]が結晶を
残している状態に比べてかなり小さくなる。したがっ
て、この大きな溶融張力を発現するための条件を満足さ
せるには、[B]の融点が[A]の融点またはガラス転
移温度よりも高くなっている必要がある。したがって、
この大きな溶融張力増大効果を広い温度範囲で達成する
には、[A]の融点またはガラス転移温度と[B]の融
点との間の温度差が大きければ大きいほど好ましいこと
になる。ここで、[A]が非結晶性樹脂の場合には、ガ
ラス転移温度を請求範囲のしきりにしたが、これは
[A]のガラス転移流動より高い温度になれば、原理的
には流動が可能なためである。ただし、非結晶性樹脂の
場合、一般的な成形加工法で加わる応力の範囲で、かつ
通常の時間範囲で流動が観察できるのは、ガラス転移温
度よりも50℃以上は高温であるので、[A]が非結晶
性樹脂の場合は、[B]の融点は実質的には[A]のガ
ラス転移温度より50℃以上高い温度であることが好ま
しくなる。
【0015】また、[B]については、より大きな溶融
張力増大効果を発現させるためには、その剪断粘度に制
限が加わる。ただし、これは数値そのものが限定される
のではなく、同一条件で測定した時の[A]と[B]の
定常流剪断粘度の比が規定されることになる。具体的に
は、剪断速度6.77×10-1sec-1、[B]の融点
よりも高い温度で測定した[B]の定常流剪断粘度(以
下、ηs(B)と記す)と、ηs(B)と同一条件で測
定した[A]の定常流剪断粘度(以下、ηs(A)と記
す)との比、ηs(A)/ηs(B)が規定され、ηs
(A)/ηs(B)が0.05〜150の範囲である。
この剪断粘度の比は、[A]と[B]からなる熱可塑性
樹脂組成物を溶融混練などで作製する際に、[A]中に
分散した[B]の分散粒子の形状に影響を及ぼす。ここ
で、[B]からなる分散粒子の形状が球形に近い状態で
分散している融体は溶融張力の増大が小さく、分散粒子
の形状が球形から外れる融体ほど溶融張力が大きくな
る。例えば、[A]と[B]からなる組成物を一般的な
1軸あるいは2軸の押出機で押し出した後に、一定速度
で引き取りながら水冷カットしたペレットとする場合
は、[B]のドメイン形状は棒状が対象となるが、この
場合の棒状粒子の長軸と短軸の長さの比(以下、アスペ
クト比と記す)が大きなものほど溶融張力の増大効果は
大きくなる。具体的には、100個のドメインに関する
数平均のアスペクト比が1.2以上となるものが好まし
い。このアスペクト比は、例えば、上記ペレットを
[B]が溶融しない温度で[A]を溶融させて圧縮成形
を行い、得られた圧縮成形シートの内部を透過型電子顕
微鏡で観察し、その観察結果を撮影した写真などから実
際に見積もることができる。ただし、ドメインの形状は
一定ではないので、アスペクト比はあくまでも平均値で
ある。このアスペクト比が1.2より小さなドメインで
も溶融張力増大効果は得られる。ただし、その場合は
[B]を多量に配合しなければならず、[B]の割合を
10重量%以下と規定した本特許の請求範囲から外れ
る。一方、このアスペクト比の上限に関しては、現時点
では特に限定されない。これは、現時点で得られている
最も大きなアスペクト比のドメインでも、大きな溶融張
力増大効果が得られており、さらにドメインのアスペク
ト比を大きくしすぎることの弊害が現時点では観察され
ていないためである。棒状粒子の他には、扁平粒子や円
盤状粒子が分散している融体でも溶融張力の増大効果が
観察される。ここで、ηs(A)/ηs(B)が0.0
5より小さい場合は、ηs(A)が小さく、ηs(B)
が大きい場合に対応し、[A]と[B]からなる熱可塑
性樹脂組成物を溶融混練およびその融体を引き取り後に
カットしてペレットにするなどの一般的な方法で作製す
る場合、[B]の分散粒子はあまり変形を受けずに球形
に近くなり、アスペクト比が1.2より小さくなる場合
が多い。一方、ηs(A)/ηs(B)が150より大
きい場合は、ηs(A)が大きく、ηs(B)が小さい
場合に対応するが、一般的な溶融混練および引き取りで
[A]と[B]からなる組成物を作製する場合、[B]
の分散粒子は球形に近くなり、アスペクト比が1.2よ
り小さくなる場合が多い。したがって、溶融張力の大き
な増大効果は得られない。
【0016】ここで、本発明における[A]と[B]か
らなる熱可塑性樹脂組成物は、歪み速度0.1sec-1
で測定した伸長粘度の非線形パラメーター(λBlen
d)と、それと同じ条件で測定した[A]の伸長粘度の
非線形パラメーター(λA)との比、λBlend/λ
Aが1.2以上となる。ここで、λBlend/λAが
1より少しでも大きくなると、熱可塑性樹脂組成物の溶
融張力は[A]単体の溶融張力より大きくなるので、λ
Blend/λAが1より大きいものならば、全て溶融
張力の増大効果を示すことになる。ここで、λBlen
d/λAを1.2以上としたのは、これが実用的に意味
のある程度まで溶融張力が増大する範囲に対応するから
である。[A]と[B]からなる熱可塑性樹脂組成物で
は、この比が1より大きく1.2より小さい場合も存在
し、例えば、それは、前記のように[B]の分散粒子が
球形に近く、かつその量が少ない場合に現れる。また、
[B]の融点が[A]の融点あるいはガラス転移温度よ
り低い場合もこの数値になる場合が多い。一方、λBl
end/λAの上限については特に限定されないが、大
きな溶融張力を発現しながら、溶融延伸性も良好となる
ことから、λBlend/λAは15以下であることが
好ましい。
【0017】ここで、本発明における熱可塑性樹脂組成
物は、[A]の熱可塑性樹脂に[B]の結晶性樹脂を重
量分率で[A]:[B]=99.999:0.001〜
90:10、好ましくは99.9:0.1〜95:5と
なるように配合することによって得ることができる。
[A]、[B]に関する要件(a),(b)を満足し、
かつ[A]と[B]からなる熱可塑性樹脂組成物が要件
(c)を満足していれば、[B]がほんのわずかでも配
合されていれば溶融張力の増大効果が得られる。したが
って、ここでの[B]の割合の下限は実用上意味のある
効果を示す範囲を規定していることになる。一方、
[B]が10重量%を超えても目的とする溶融張力の増
大効果は得られる。しかし、この場合は剪断粘度も大き
くなり、生産性の低下や成形機への負荷の増大など成形
加工面で好ましくない問題が生じる。さらに、前記のよ
うに、大きな溶融張力を発現させる場合には、[A]が
流動できる状態において、[B]は結晶を残した状態で
あることが好ましく、その意味では[B]が10重量%
を超えると、結晶を残した硬い分散粒子が多いことにな
り、得られた成形体の表面平滑性が悪化するなどの問題
が生じ、好ましくない。[B]の割合としては、上記の
問題が顕著になることのないよう5重量%以下となるよ
うに配合することが好ましい。ただし、[B]の結晶性
樹脂を[A]に高充填配合したもの、すなわち、当分野
において、一般にマスターバッチと呼ばれているものを
前もって調整する場合は、最終的にこのマスターバッチ
をさらに[A]の熱可塑性樹脂に配合することになるの
で、その最終組成物中の[B]の割合が10重量%を超
えない限り、マスターバッチ中の[B]の割合は10重
量%を超えても構わない。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じて、副資材として、例えば炭酸カルシウム、マイ
カ、タルク、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、
カオリン、クレー、パイロフェライト、ベントナイト、
セサリナイト、ゼオライト、ネフェリンシナイト、アタ
パルジャイト、ウオラストナイト、フェライト、ケイ酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化ア
ンチモン、酸化チタン、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒
鉛、石こう、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスパ
ウダー、ガラスバルーン、ガラスファイバー、石英、石
英ガラス、カーボンブラック、ガラス繊維、チタン酸カ
リウム繊維などの無機充填剤、有機顔料、無機顔料を配
合することもできる。また、結晶核剤、透明化剤、アン
チブロッキング剤、離形剤、帯電防止剤、スリップ剤、
防曇剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤
などを必要に応じて添加してもよい。
【0019】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、同種あるいは
異種の樹脂を2種類以上ブレンドしたものでも構わな
い。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法と
しては、従来公知の方法が用いられるが、[A]に
[B]をある程度均一に、かつ微細に分散させることが
必要であり、そのために適当な混練機を用いて溶融混練
することが好ましい。取扱いの容易さや分散性の向上の
ために、ロール、プラストミル、1軸または2軸押出
機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの適当な混練機
を用いて、[A]および[B]を[B]の融点以上の温
度で溶融混練する方法が好ましい。さらに、前記のよう
に、[B]の分散粒子が球形の形状から外れるほど
[A]と[B]からなる熱可塑性樹脂組成物の溶融張力
増大効果が大きくなることから、この熱可塑性樹脂組成
物の製造方法としては、このような形状を有効に付与で
きる好ましい方法が存在する。例えば、その一つが、一
般的な1軸または2軸の押出機で溶融混練した後に、押
し出された融体を引き取り機などでなるべく高速で引き
取りながら水冷などで冷却する方法である。ペレットの
中には、このような方法で製造されているものもある
が、ここでの例示は、カットする前の棒状試料をなるべ
く高速で引き取ることである。押出機から押し出された
融体を高速で引き取ることにより、融体中の[B]の分
散粒子はその形状が球形から外れ出し、それは引き取り
速度が大きくなるほど顕著になる。[A]と[B]の単
体成分の定常流剪断粘度の比は、[B]にその形状を付
与する上で重要な因子となり、ηs(A)/ηs(B)
が0.05〜150の範囲である[A]と[B]の組合
せならば、より高速で引き取ることによって、得られた
熱可塑性樹脂組成物のペレットは溶融張力が大きなもの
となる。
【0021】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
[B]の結晶性樹脂を高充填に配合したもの、すなわ
ち、当分野では一般にマスターバッチと呼ばれるものを
前もって調整し、これらを成形加工時や再混練時に配合
する方法でも目的とする溶融張力増大効果を得ることが
できる。
【0022】このようにして得られた熱可塑性樹脂組成
物は、周知の成形加工法、例えば、インフレーションフ
ィルム成形、Tダイキャストフィルム成形、ダイレクト
ブロー成形、インジェクションブロー成形、押出成形、
カレンダー成形、ロール成形、真空・圧空成形、発泡成
形、紡糸などの各種成形法に適用される樹脂成形用素材
またはマスターバッチとして使用される。ただし、この
組成物またはマスターバッチを各種の成形用素材として
給する場合には、前記のように[B]の分散粒子の形状
が球形から外れた状態が好ましく、[B]の分散粒子が
組成物の段階で既に球形から外れた形状にある場合は、
その形状を維持する目的で、成形加工時には加工温度を
[B]の融点以上にしないことが有効である。また、加
工温度を[B]の融点以上に設定する場合は、なるべく
高速で加工することが、成形加工の過程で[B]の分散
粒子の形状を球形から外せることになり、好ましい。
【0023】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例および比較例で用いた熱可塑
性樹脂[A]、結晶性樹脂[B]および[A]と[B]
からなる組成物の融点、ガラス転移温度、定常流剪断粘
度、伸長粘度の非線形パラメーターは、以下の方法で測
定または見積もったものである。
【0024】融点(Tm):[A]が結晶性樹脂の場合
ならびに[B]のTmは、示差走査型熱量計(DSC−
7、パーキンエルマー(株)製)を用いて測定した。樹
脂を溶融圧縮成形した厚さ約0.2mmのシート状試料
から重量約5mgの正方形状の小片を切り出し、それを
アルミニウム製のDSC測定用のパンに詰めて測定用試
料とした。結晶性樹脂がポリオレフィン系樹脂の場合
は、測定は30℃の開始温度から30〜80℃/分で1
80℃にもたらし、180℃で5分間保持した後に10
℃/分で30℃まで冷却し、さらに30℃で5分間保持
した後、10℃/分で180℃まで昇温した。ここで
は、最後の昇温過程で得られる最も高温に位置する吸熱
ピークのピーク温度を融点(Tm)とした。一方、結晶
性樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、180℃を28
0℃とした以外は上記融点の測定方法と同じ条件で測定
した。
【0025】ガラス転移温度(Tg):[A]が非結晶
性樹脂の場合、そのTgをTmと同様にDSCを用いて
測定した。なお、Tg測定の場合は、測定試料はTmの
場合と同様に作成し、それを30℃の開始温度から10
℃/分で昇温し、Tgを測定した。なお、Tgの決定は
常法に従った。
【0026】定常流剪断粘度(ηs):[A]、[B]
単体のηsは、コーン角2.217°、コーン径19.
98mmのコーンプレート型粘度計(レオロジ社製、商
品名MR−500)を用いて、角周波数0.677ra
d/sec-1で測定した。なお、[A]、[B]のηs
は同一の温度で測定した。その温度は、[B]の融点以
上の温度であり、さらに実施例、比較例では、このηs
の測定温度と[A]と[B]の溶融混練物を作製する際
の溶融温度を同じにした。したがって、[A]と[B]
の組み合わせによって溶融混練温度は変更したので、そ
れに伴い[A]、[B]のηsの測定温度も変更した。
なお、測定試料は[A]、[B]の樹脂を溶融圧縮成形
した厚さ約0.2mmのシート状の試料から切り出し
た。
【0027】伸長粘度(ηe)の非線形パラメーター
(λ):λは実測で得られたηeの最大値を線形領域の
伸長粘度(計算値)で除した値である。ここでは、東洋
精機製作所(株)製のMELTEN Rheomete
rを用いて、伸長歪み速度0.1sec-1でηeの経時
変化を測定した。ηeの測定試料は、東洋精機製作所
(株)製のキャピラリレオメーター(商品名キャピログ
ラフ)を用い、それにキャピラリ径が3mm、キャピラ
リ長が30mmのダイスを取り付けて、ピストン降下速
度(押出速度)を10mm/分とした条件で押し出した
棒状の融体を直ちに23℃のイソプロピルアルコール中
に沈めて作製した。なお、この際に、[A]と[B]か
らなる組成物の棒状試料を作製する場合は、キャピラリ
レオメーターのシリンダー温度を[B]の融点より低い
温度に設定した。一方、線形領域の伸長粘度は、別途測
定した動的剪断弾性率(G’,G”)より、尾崎の式
(尾崎ら、日本レオロジー学会誌、16、p.53(1
988)を用いて計算した。ここで、G’,G”はコー
ン角2.217°、コーン径19.98mmのコーンプ
レート型粘度計(レオロジ社製、商品名MR−500)
を用いて測定した。測定試料は、樹脂を溶融圧縮成形し
た厚さ約0.2mmのシート状試料から切り出した。な
お、[A]と[B]からなる組成物のシート状試料を作
製する場合は、圧縮成形機の温度を伸長粘度測定用の棒
状試料を作製する際のシリンダー温度と同じ温度に設定
した。
【0028】実施例1 [A]の熱可塑性樹脂としてエチレン・1−ブテン共重
合体[A1]を用いた。[A1]は結晶性の樹脂であ
る。ただし、[A1]は1−ブテンの含量が多いために
結晶化度が小さく、融点(Tm)も62℃で、一般的な
ポリエチレンに比べて低温である。[A1]は三井化学
(株)製の商品名タフマー、グレードA4085であ
る。これは180℃で測定した定常流剪断粘度(ηs
(A1))が2600Pa・sである。また、[A1]
は100℃で、前記方法に従って測定したηeとG’,
G”から見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λ
A1)が1.0である。なお、ηe測定用の棒状試料お
よびG’,G”測定用のシート状試料を作製する際のシ
リンダー温度および圧縮成形機の温度は120℃とし
た。一方、[B]の結晶性樹脂としては、エチレンと少
量の1−ブテンとの共重合で得られた高密度ポリエチレ
ン[B1]を用いた。[B1]は東ソー(株)製の高密
度ポリエチレン、商品名ニポロンハード、グレード40
10で、これは融点(Tm)が136℃である。また、
[B1]は180℃で測定した定常流剪断粘度(ηs
(B1))が2700Pa・sである。したがって、同
一温度180℃でのηs(A1)とηs(B1)の比、
ηs(A1)/ηs(B1)が0.96である。ここで
は、[A1]と[B1]のペレットを重量分率で[A
1]:[B1]=99:1となるように混ぜ合わせ、こ
れを東洋精機製作所製のスクリュー直径20mmの単軸
押出機を用いて、シリンダー温度を180℃に設定し、
回転数50rpmで溶融混練した。この180℃はηs
(A1),ηs(B1)の測定温度と同じで、両成分の
融点以上の温度である。ここで、押し出された棒状の融
体を一定速度で引き取りながら水冷カットしてペレット
とした。このペレットについて、[A1]単体と同じ条
件、すなわち、120℃で測定したηeとG’,G”よ
り見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBle
nd)は5.6であった。ここで、ηeとG’,G”の
測定温度120℃は[B1]の融点以下の温度である。
ここで、λBlend/λA1は5.6である。表1に
は、前記ペレットについて測定した溶融張力(MS)の
値を示す。なお、MSの測定は下記の方法に準拠した。
【0029】溶融張力(MS)の測定 MSは東洋精機製作所製のキャピラリレオメーター(商
品名キャピログラフ)を用いて、それにキャピラリ径が
2.095mm、キャピラリ長が8mmのダイスを取り
付けて測定した。測定は、ピストンの降下速度を10m
m/分、押し出された融体の引き取り速度を10m/分
として行った。ここで、MSの測定温度は、λA1,λ
Blendを見積もる際に測定するηeとG’,G”の
測定温度と同じである。したがって、この実施例1の場
合は120℃となる。
【0030】比較例1 実施例1の比較例で、実施例1で用いた[A1]単体で
ある。[B1]を配合しなかった以外は実施例1と同じ
である。表1には比較例1のMSを示すが、実施例1と
の比較により、[A1]に[B1]を1重量%配合する
ことにより、MSが大きくなっていることがわかる。
【0031】実施例2 [A]の熱可塑性樹脂として、高圧ラジカル重合法で得
られる低密度ポリエチレン[A2]を用いた。[A2]
は結晶性の樹脂である。[A2]は東ソー(株)製の低
密度ポリエチレン、商品名ペトロセン、グレード212
である。これの融点(Tm)は107℃である。また、
[A2]は260℃で測定した定常流剪断粘度(ηs
(A2))が520Pa・sである。さらに、135℃
で測定したηeとG’,G”から見積もった伸長粘度の
非線形パラメーター(λA2)が2.0である。なお、
ηe測定用の棒状試料およびG’,G”測定用のシート
状試料を作製する際のシリンダー温度および圧縮成形機
の温度は150℃とした。一方、[B]の結晶性樹脂と
してPBT[B2]を用いた。[B2]は三菱エンジニ
アリングプラスチック(株)製のPBT、グレード50
20Sである。これの融点(Tm)は240℃である。
また、[B2]は260℃で測定した定常流剪断粘度
(ηs(B2))が180Pa・sである。したがっ
て、同一の260℃で測定したηs(A2)とηs(B
2)の比、ηs(A2)/ηs(B2)が2.89であ
る。ここでは、[A2]と[B2]のペレットを重量分
率で[A2]:[B2]=99:1となるように混ぜ合
わせ、実施例1と同じ単軸押出機を用いて、シリンダー
温度260℃、スクリュー回転数50rpmで溶融混練
した。シリンダー温度260℃は[A1]、[B1]の
融点より高温である。ここで、押し出された棒状の融体
を一定速度で引き取りながら水冷カットして、ペレット
とした。このペレットについて、[A2]単体と同じ方
法、すなわち、135℃で測定したηeとG’,G”よ
り見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBle
nd)は8.6であった。ηeとG’,G”の測定温度
135℃は[B2]の融点より低温である。ここで、組
成物と[A2]単体の伸長粘度の非線形パラメーターの
比、すなわち、λBlend/λA2は4.3である。
表1には、前記方法に従って測定したMSの値を示す
が、測定温度は、ηeとG’,G”の測定温度と同じ1
35℃である。
【0032】比較例2 実施例2の比較例で、実施例2で用いた[A2]単体で
ある。[B2]を配合しなかった以外は実施例2と同じ
である。表1には比較例2のMSを示すが、実施例2と
の比較により、[A2]に[B2]を1重量%配合した
場合も溶融張力が大きくなっていることがわかる。
【0033】比較例3 実施例2の比較例で、実施例2と同じ[A2]と[B
2]からなる組成物である。ただし、単軸押出機で押し
出された融体を引き取らずに、融体が押出機のダイスを
出た直後にそのまま冷却したものである。この試料を用
いて、実施例2と同じ方法で見積もった伸長粘度の非線
形パラメーター(λBlend)は2.1である。これ
は、[A]単体の非線形パラメーターの1.05倍であ
り、この値は非線形パラメーターに関する要件から外れ
ている。表1には、比較例3のMSを示すが、実施例2
と同じ組成物であるにもかかわらず、MSは実施例2よ
りかなり小さく、比較例2の[A2]単体とほぼ同じで
ある。
【0034】実施例3 実施例2と同じ組成物だが、[A]:[B]の混合組成
を重量分率で99.5:0.5とした。さらに、単軸押
出機で押し出された融体を引き取らずに、融体がダイス
を出た直後にそのまま冷却した比較例3に対し、ダイス
から出た融体をわずかに引き取って水冷カットして作製
したペレットを用いた。しかし、このペレットは実施例
2で用いたペレットよりも約1/4のかなり遅い引き取
り速度で引き取られたものである。したがって、ダイス
から出た後の融体は実施例2のペレットほど大きな引き
取り変形は受けていない。このペレットについて、[A
2]と同じ方法、すなわち、135℃で測定したηeと
G’,G”から見積もった伸長粘度の非線形パラメータ
ーは2.8であった。したがって、λBlend/λA
は1.4である。表1には、MSの値を示すが、比較例
3のMSよりは大きいものの、実施例2のMSよりはか
なり小さい値になっている。なお、測定温度は、ηeと
G’,G”の測定温度と同じ135℃である。
【0035】実施例4 実施例2と同じ組成物で、MSを測定する際の温度を2
50℃とした以外は実施例1と同じである。この250
℃は[B2]の融点よりも高い。表1には実施例4のM
Sを示す。
【0036】比較例4 実施例4に対する比較例で、比較例2と同じ[A2]単
体である。MSを測定する際の温度を135℃から25
0℃とした以外は比較例1と同じである。表1には比較
例4のMSを示す。実施例2と比較例2の差と実施例4
と比較例4の差を比べると、[B2]の融点以上の温度
でMSを測定した場合は、[B2]の配合よるMSの増
大効果が小さくなる。
【0037】実施例5 [A]の熱可塑性樹脂としてポリプロピレン[A3]を
用いた。[A3]は結晶性の樹脂である。[A3]はチ
ッソ石油化学(株)製の商品名チッソポリプロ、グレー
ドK1800である。これは、融点(Tm)が162℃
である。また、[A3]は260℃で測定した定常流剪
断粘度(ηs(A3))が490Pa・sである。さら
に、[A3]は180℃で測定したηeとG’,G”よ
り見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λA3)
が1.0である。なお、ηe測定用の棒状試料および
G’,G”測定用のシート状試料を作製する際のシリン
ダー温度および圧縮成形機の温度は180℃とした。一
方、[B]の結晶性樹脂としてPET[B3]を用い
た。これは、三菱エンジニアリングプラスチック(株)
製のPET、グレードGS400である。これは、融点
(Tm)が256℃である。また、260℃で、定常流
剪断粘度(ηs(B3))が200Pa・sである。し
たがって、同一の260℃で測定したηs(A3)とη
s(B3)の比、ηs(A3)/ηs(B3)が2.4
5である。ここで、[A3]と[B3]のペレットを重
量分率で[A3]:[B3]=99.5:0.5となる
ように混ぜ合わせ、それを実施例1と同じ単軸押出機を
用いて、シリンダー温度260℃、回転数50rpmで
溶融混練し、押し出された融体を一定速度で引き取りな
がら水冷カットしてペレットを作製した。このペレット
について、[A3]単体と同じ方法、すなわち、180
℃で測定したηeとG’,G”より見積もった伸長粘度
の非線形パラメーター(λBlend)は7.7であっ
た。したがって、組成物と[A3]単体の伸長粘度の非
線形パラメーターの比、λBlend/λA3は7.7
である。表1には、実施例4のMSを示すが、測定温度
はηeとG’,G”の測定温度と同じ180℃である。
【0038】比較例5 実施例5の比較例で、実施例で用いた[A3]単体であ
る。[B3]を配合しなかった以外は実施例5と同じで
ある。表1には比較例5のMSを示すが、実施例5との
比較により、[A3]に[B3]を0.5重量%配合し
た場合もMSが増大していることがわかる。
【0039】実施例6 [A]の熱可塑性樹脂としてエチレン・1−ブテン共重
合体[A4]を用いた。[A4]は東ソー(株)製の商
品名ニポロンハード、グレード5110である。これ
は、融点(Tm)が132℃である。また、[A4]は
280℃で測定した定常流剪断粘度(ηs(A4))が
4400Pa・sである。さらに、[A4]は160℃
で測定したηeとG’,G”より見積もった伸長粘度の
非線形パラメーター(λA4)が1.3である。一方、
[B]の結晶性樹脂としてはナイロン66[B4]を用
いた。[B4]は宇部興産(株)製のナイロン66、グ
レード2015Bである。これは、融点(Tm)が26
0℃である。また、[B4]は280℃で測定した定常
流剪断粘度(ηs(B4))が800Pa・sである。
したがって、同一の280℃で測定したηs(A4)と
ηs(B4)の比、ηs(A4)/ηs(B4)が5.
50である。ここでは、[A4]と[B4]のペレット
を重量分率で[A4]:[B4]=97:3となるよう
に混ぜ合わせたものを実施例1と同じ方法で溶融混練
し、押し出された融体を一定速度で引き取りながら冷却
カットしてペレットとした。なお、このペレットについ
て、[A4]単体と同じ方法、すなわち、160℃で測
定したηeとG’,G”より見積もった伸長粘度の非線
形パラメーター(λBlend)は3.4であった。し
たがって、λBlend/λA4は4.4である。表1
には実施例5のMSを示すが、測定温度はηeとG’,
G”の測定温度と同じ160℃である。
【0040】比較例6 実施例6の比較例で、実施例で用いた成分[A4]単体
である。[B4]を添加しなかった以外は実施例6と同
じである。表1には、比較例6のMSを示すが、[A
4]に対しても[B4]の添加によってMSが増大して
いることがわかる。
【0041】比較例7 [A]の熱可塑性樹脂として[A4]を用いた。[A
4]は260℃で測定した定常流剪断粘度(ηs(A
4))が4400Pa・sである。また、[A4]は1
60℃で測定したηeとG’,G”から見積もった伸長
粘度の非線形パラメーター(λA4)が1.3である。
なお、ηe測定用の棒状試料を作製する際のシリンダー
温度は160℃、G’,G”測定用のシート状試料を作
製する際の圧縮成形機の温度は150℃とした。一方、
[B]の結晶性樹脂としてPBT[B10]を用いた。
[B10]は三菱エンジニアリングプラスチック(株)
製のPBT樹脂、グレード5007Aである。これは、
融点(Tm)が224℃である。また、[B10]は2
60℃で測定した定常流剪断粘度(ηs(B10))が
17Pa・sである。したがって、同一の260℃で測
定したηs(A4)とηs(B10)の比、ηs(A
4)/ηs(B10)は259であり、これは大きな溶
融張力増大効果を発現する上で必要となる(b)の請求
範囲から外れる。ここでは、[A4]のペレットと[B
10]のペレットを重量分率で[A4]:[B10]=
98:2となるように混ぜ合わせ、それを実施例1と同
じ単軸押出機を用いて、シリンダー温度260℃、回転
数25rpmで溶融混練し、押し出された融体を一定速
度で引き取りながら水冷カットしてペレットとした。こ
のペレットについて、[A4]単体と同じ方法、すなわ
ち、160℃で測定したηeとG’,G”より見積もっ
た伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は
1.4であった。したがって、組成物と[A4]単体の
伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlend/λ
A4は1.08で、この値は大きな溶融張力増大効果を
発現する上で必要となる非線形パラメーターに関する要
件から外れている。表1には比較例7のMSを示すが、
MSの測定温度はηeとG’,G”の測定温度と同じ1
60℃である。
【0042】実施例7 [A]の熱可塑性樹脂としてポリスチレン[A5]を用
いた。これは、非結晶性の樹脂であり、ガラス転移温度
(Tg)が89℃である。[A5]は、大日本インキ
(株)製のポリスチレン樹脂、グレードUX560であ
る。また、[A5]は260℃で測定した定常流剪断粘
度(ηs(A5))が5500Pa・sである。さら
に、[A5]は200℃で測定したηeとG’,G”か
ら見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λA5)
が1.1である。一方、[B]の結晶性樹脂としてはポ
リ(4−メチル−1−ペンテン)[B5]を用いた。
[B5]は三井化学(株)製のポリメチルペンテン、T
PX、グレードRT18である。これは、融点(Tm)
が240℃である。また、[B5]は260℃で測定し
た定常流剪断粘度(ηs(B5))が2200Pa・s
である。したがって、同一の260℃で測定したηs
(A5)とηs(B5)の比、ηs(A5)/ηs(B
5)が2.50である。ここでは、[A5]と[B5]
のペレットを重量分率で[A5]:[B5]=99:1
となるように混ぜ合わせ、それを実施例1と同じ単軸押
出機を用いて、シリンダー温度260℃、回転数50r
pmで溶融混練し、押し出された融体を一定速度で引き
取りながら水冷カットしてペレットとした。このペレッ
トについて、[A5]単体と同じ方法、すなわち、20
0℃で測定したηeとG’,G”より見積もった伸長粘
度の非線形パラメーター(λBlend)は6.9であ
った。したがって、組成物と[A5]単体の伸長粘度の
非線形パラメーターのλBlend/λA5比は6.3
である。表1には実施例7のMSを示すが、MSの測定
温度はηeとG’,G”の測定温度と同じ200℃であ
る。
【0043】比較例8 実施例7の比較例で、実施例7で用いた[A5]単体で
ある。[B5]を配合しなかった以外は実施例7と同じ
である。表1には比較例8のMSを示すが、実施例7と
の比較により、[A5]に[B5]を1重量%配合した
場合もMSが増大していることがわかる。
【0044】実施例8 [A]の熱可塑性樹としてポリカーボネート[A6]を
用いた。これは、非結晶性の樹脂であり、ガラス転移温
度(Tg)が123℃である。[A6]は帝人(株)製
のポリカーボネート樹脂、商品名パンライトK1300
である。また、[A6]は260℃で測定した定常流粘
度(ηs(A6))が4500Pa・sである。さら
に、[A6]は200℃で測定したηeとG’,G”か
ら見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λA6)
が1.2である。一方、[B]の結晶性樹脂としては実
施例6と同様にポリ(4−メチル−1−ペンテン)[B
6]を用いた。[B6]は三井化学(株)製のポリメチ
ルペンテン、TPX、グレードDX845である。これ
は、融点(Tm)が240℃である。また、[B6]は
260℃で測定した定常流剪断粘度(ηs(B6))が
7400Pa・sである。したがって、同一の260℃
で測定したηs(A5)とηs(B6)の比、ηs(A
5)/ηs(B6)が0.61である。ここでは、[A
6]と[B6]のペレットを重量分率で[A6]:[B
6]=99:1となるように混ぜ合わせ、それを実施例
1と同じ単軸押出機を用いて、シリンダー温度260
℃、回転数50rpmで溶融混練し、押し出された融体
を一定速度で引き取りながら水冷カットしてペレットと
した。このペレットについて、[A6]単体と同じ方
法、すなわち、200℃で測定したηeとG’,G”よ
り見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBle
nd)は7.4であった。したがって、組成物と[A
6]単体の伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBl
end/λA6は6.2である。表1には実施例8のM
Sを示すが、MSの測定温度はηeとG’,G”の測定
温度と同じ200℃である。
【0045】比較例9 実施例8の比較例で、実施例8で用いた[A6]単体で
ある。[B6]を配合しなかった以外は実施例8と同じ
である。表1には比較例9のMSを示すが、実施例8と
の比較により、[A6]に[B6]を1重量%配合した
場合もMSが増大していることがわかる。
【0046】比較例10 実施例8の比較例で、[A]は実施例8と同じ[A6]
である。ここでは、[B]の結晶性樹脂として実施例8
と同様にポリ(4−メチル−1−ペンテン)[B7]を
用いた。[B7]は三井化学(株)製のポリメチルペン
テン、TPX、グレード820である。これは、融点
(Tm)が240℃である。また、[B7]は260℃
で測定した定常流剪断粘度(ηs(B7))が270P
a・sである。したがって、同一の260℃で測定した
ηs(A6)とηs(B7)の比、ηs(A6)/ηs
(B7)が16.7である。ここでは、[A6]と[B
7]のペレットを重量分率で[A6]:[B7]=9
9:1となるように混ぜ合わせ、それを実施例1と同じ
単軸押出機を用いて、シリンダー温度260℃、回転数
50rpmで溶融混練し、押し出された融体を一定速度
で引き取りながら水冷カットしてペレットとした。この
ペレットについて[A6]単体と同じ方法、すなわち、
200℃で測定したηeとG’,G”より見積もった伸
長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は1.3
であった。したがって、組成物と[A6]単体の伸長粘
度の非線形パラメーターの比、λBlend/λA6は
1.1である。表1には比較例10のMSを示すが、こ
の場合は実施例8に比べてMSはかなり小さく、比較例
9の[A6]単体とほぼ同じであることがわかり、この
組成物ではMSの増大効果がほとんど得られていない。
【0047】比較例11 実施例8の比較例で、[A]は実施例8と同じ[A6]
である。ここでは、[B]の結晶性樹脂としてエチレン
・1−ブテン共重合体[B8]を用いた。[B8]は実
施例6で用いた[A4]と同じものである。[B8]は
260℃で測定した定常流剪断粘度(ηs(B8))が
4900Pa・sである。したがって、同一の260℃
で測定したηs(A6)とηs(B8)の比、ηs(A
6)/ηs(B8)が0.92である。ここでは、[A
6]と[B8]のペレットを重量分率で[A6]:[B
8]=99:1となるように混ぜ合わせ、それを実施例
1と同じ単軸押出機を用いて、シリンダー温度260
℃、回転数50rpmで溶融混練し、押し出されたペレ
ットを一定速度で引き取りながら水冷カットしてペレッ
トとした。このペレットについて[A6]単体と同じ方
法、すなわち、200℃で測定したηeとG’,G”よ
り見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBle
nd)は1.2である。したがって、組成物と[A6]
単体の伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlen
d/λAは1.0である。表1には比較例11のMSを
示すが、[A]のガラス転移温度よりも[B]の融点の
方が高い実施例8と比較して、[A]のガラス転移温度
より[B]の融点の方が低い本比較例のような組成物の
場合は、MSの増大効果が得られていないことがわか
る。
【0048】実施例9 [A]の熱可塑性樹脂としてエチレン・1−ヘキセン共
重合体[A7]を用いた。[A7]は結晶性の樹脂であ
る。ただし、[A7]は1−ヘキセン含量が多いため
に、密度は0.9014g/cm3と低く、融点(T
m)も95℃と一般的なポリエチレン系樹脂に比べてや
や低い。[A7]はメタロセン触媒を用いて重合したも
のである。[A7]を重合するための触媒の調整および
重合の条件は下記の通りである。[A7]は260℃
で、前記方法で測定した定常流剪断粘度(ηs(A
7))が2140Pa・sである。また、[A7]は1
35℃で、前記方法にしたがって測定したηeとG’,
G”から見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λ
A7)が1.0である。なお、ηe測定用の棒状試料を
作製する際のシリンダー温度は135℃、G’,G”測
定用のシート状試料を作製する際の圧縮成形機の温度は
150℃とした。一方、[B]の結晶性樹脂としてPB
T[B9]を用いた。[B9]は三菱エンジニアリング
プラスチック(株)製のPBT樹脂、グレード5040
ZSである。これは、融点(Tm)が223℃である。
また、[B9]は260℃で測定した定常流剪断粘度
(ηs(B9))が780Pa・sである。したがっ
て、同一の260℃で測定したηs(A7)とηs(B
9)の比、ηs(A7)/ηs(B9)は2.74であ
る。ここでは、[A7]と[B9]のペレットを重量分
率で[A7]:[B9]=99.8:0.2となるよう
に混ぜ合わせ、これを実施例1と同じ単軸押出機を用い
て、シリンダー温度を260℃に設定し、回転数25r
pmで溶融混練した。この260℃はηs(A7),η
s(B9)の測定温度と同じで、[A]、[B]の融点
以上の温度である。ここでは、押し出された棒状の溶融
体を一定速度で引き取りながら水冷カットしてペレット
とした。ここでは、このペレットを上記と同じ装置を用
いて、同じ条件で再度溶融混練し、同じ条件で引き取り
ながら水冷カットしてペレットとした。この2度の混練
は、[B9]を[A7]中に均一に分散させるためであ
る。このペレットについて、[A7]単体と同じ条件、
すなわち、135℃で測定したηeとG’,G”より見
積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBlen
d)は4.0である。なお、ηeとG’,G”の測定温
度である135℃は[B9]の融点以下の温度である。
したがって、λBlend/λA7は4.0である。表
2には、上記ペレットについて測定した溶融張力(M
S)の値を示す。なお、MSの測定温度はηeとG’,
G”の測定温度と同じ135℃である。
【0049】[A7]の重合方法 まず、重合操作、反応および溶媒精製は、すべて不活性
ガス雰囲気下で行った。また、反応に用いた溶媒など
は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥および/または
脱酸素を行ったものを用い、反応に用いた化合物は、公
知の方法により合成、同定したものを用いた。重合は高
温高圧用に装備された反応器を用いて行った。エチレ
ン、1−ヘキセンを連続的に反応器内に圧入し、全圧が
950kg/cm2、1−ヘキセン濃度が所定量になる
ように設定した。そして、反応器を1500rpmで攪
拌した。一方、別の容器で、ジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジク
ロライド溶液に、トリイソブチルアルミニウムのトルエ
ン溶液をアルミニウムがジルコニウム当たり250倍モ
ルになるように加えた。さらに、そこにN,N−ジメチ
ルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレートのトルエン溶液をホウ素がジルコニウム当たり
2倍モルになるように加えて、触媒溶液を得た。その
後、得られた触媒溶液を反応器に供給し、所定の反応温
度になるようにして連続的に重合を行って得られたもの
が[A7]である。
【0050】実施例10 [A7]と[B9]の混合比率を重量分率で[A7]:
[B9]=99.5:0.5とした以外は実施例9と同
じである。ここで、[A7]と[B9]からなる組成物
について、135℃で測定したηeとG’,G”より見
積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBlen
d)は5.8であった。したがって、組成物と[A7]
単体の伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlen
d/λA7は5.8である。表2には実施例10のMS
を示すが、実施例9との比較より、[B9]の割合が増
大するほどMSは大きくなっていることがわかる。
【0051】実施例11 [A7]と[B9]の混合比率を重量分率で[A7]:
[B9]=98:2とした以外は実施例9と同じであ
る。ここで、[A7]と[B9]からなる組成物につい
て、135℃で測定したηeとG’,G”より見積もっ
た伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は
9.5であった。したがって、組成物と[A7]単体の
伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlend/λ
A7は9.5である。表2には実施例11のMSを示す
が、[B9]の割合がさらに増大するとMSも増大する
ことがわかる。
【0052】実施例12 [A7]と[B9]の混合比率を重量分率で[A7]:
[B9]=95:5とした以外は実施例9と同じであ
る。ここで、[A7]と[B9]からなる組成物につい
て、135℃で測定したηeとG’,G”より見積もっ
た伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は1
4.0であった。したがって、組成物と[A7]単体の
伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlend/λ
A7は14.0である。表2には実施例12のMSを示
すが、[B9]の割合の増大とともにMSが増大するこ
とがわかる。ただし、この実施例では、[B9]の配合
量が多いために剪断粘度の増大も大きくなり、本材料を
各種成形機で成形加工した場合は、融体の溶融張力の増
大による加工面の利点は得られるものの、加工機への負
荷の増大や吐出量の低下に伴う生産性の低下が見られ、
その面でやや問題がある組成物となる。
【0053】実施例13 [A7]と[B9]の混合比率を重量分率で[A7]:
[B9]=99.99:0.01とした以外は実施例9
と同じである。ここで、[A7]と[B9]からなる組
成物について、135℃で測定したηeとG’,G”よ
り見積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBle
nd)は1.4であった。したがって、組成物と[A
7]単体の伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBl
end/λA7は1.4である。表2には実施例13の
MSを示すが、[B9]の配合によってMSが増大して
いることがわかる。ただし、この実施例では、[B9]
の配合量がその請求範囲の下限に近いために、実施例9
〜12に比べてMSは小さくなっていることがわかる。
【0054】実施例14 [A]には[A7]を用いた。一方、[B]の結晶性樹
脂としては、比較例7と同じ[B10]を用いた。した
がって、同一の260℃で測定したηs(A7)とηs
(B10)の比、ηs(A7)/ηs(B10)は12
6である。ここでは、[A7]と[B10]のペレット
を重量分率で[A7]:[B10]=99.8:0.2
となるように混ぜ合わせ、これを実施例1と同じ単軸押
出機を用いて、シリンダー温度260℃、回転数25r
pmで溶融混練した。この260℃はηs(A7),η
s(B10)の測定温度と同じで、[A]、[B]の融
点以上の温度である。ここでは、押し出された棒状の融
体を一定速度で引き取りながら水冷カットしてペレット
とした。ここでも、このペレットを1回目と同じ条件で
再度溶融混練し、ペレットとした。このペレットについ
て、[A7]単体と同じ条件、すなわち、135℃で測
定したηeとG’,G”より見積もった伸長粘度の非線
形パラメーター(λBlend)は1.8である。した
がって、組成物と[A7]単体の伸長粘度の非線形パラ
メーターの比、λBlend/λA7は1.8である。
表2には実施例14のMSを示すが、実施例9との比較
より、ηs(A)/ηs(B)が大きくなると、MS増
大効果は小さくなることがわかる。なお、MSの測定温
度はηeとG’,G”の測定温度と同じ135℃であ
る。
【0055】実施例15 [A]には[A7]を用いた。[A7]は280℃で測
定した定常流剪断粘度(ηs(A7))が1800Pa
・sである。一方、[B]の結晶性樹脂としてPET
[B11]を用いた。[B11]は帝人(株)製のPE
T樹脂、グレードTR−8580HPである。これは、
融点(Tm)が250℃である。また、[B11]は2
80℃で測定した定常流剪断粘度(ηs(B11))が
59Pa・sである。したがって、同一の280℃で測
定したηs(A7)とηs(B11)の比、ηs(A
7)/ηs(B11)は30.5である。ここでは、
[A7]と[B11]のペレットを重量分率で[A
7]:[B11]=99.5:0.5となるように混ぜ
合わせ、それを実施例1と同じ単軸押出機を用いて、シ
リンダー温度280℃、回転数25rpmで溶融混練
し、押し出された融体を一定速度で引き取りながら水冷
カットしてペレットとした。ここでも、このペレットを
1回目と同じ条件で再度溶融混練し、ペレットとした。
このペレットについて、[A7]単体と同じ方法、すな
わち、135℃で測定したηeとG’,G”より見積も
った伸長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は
4.6であった。したがって、組成物と[A7]単体の
伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBlend/λ
A7は4.6である。表2には実施例15のMSを示す
が、MSの測定温度はηeとG’,G”の測定温度と同
じ135℃である。
【0056】実施例16 [A]には[A7]を用いた。一方、[B]の結晶性樹
脂としてPETボトルの粉砕品(再生PET)[B1
2]を用いた。これは、融点(Tm)が254℃であ
る。また、[B12]は280℃で測定した定常流剪断
粘度(ηs(B12))が95Pa・sである。したが
って、同一の280℃で測定したηs(A7)とηs
(B12)の比、ηs(A7)/ηs(B12)は1
8.9である。ここでは、[A7]のペレットと[B1
2]のPETボトルの粉砕物を重量分率で[A7]:
[B12]=99.5:0.5となるように混ぜ合わ
せ、それを実施例1と同じ単軸押出機を用いて、シリン
ダー温度280℃、回転数25rpmで溶融混練し、押
し出された融体を一定速度で引き取りながら水冷カット
してペレットとした。ここでも、このペレットを1回目
と同じ条件で再度溶融混練し、ペレットとした。このペ
レットについて、[A7]単体と同じ方法、すなわち、
135℃で測定したηeとG’,G”より見積もった伸
長粘度の非線形パラメーター(λBlend)は4.3
であった。したがって、組成物と[A7]単体の伸長粘
度の非線形パラメーターの比、λBlend/λA7は
4.3である。表2には実施例16のMSを示すが、M
Sの測定温度はηeとG’,G”の測定温度と同じ13
5℃である。
【0057】実施例17 [A]に[B]を高充填に配合したものを作製し、これ
を再混練や成形加工の際に配合する、いわゆるマスター
バッチ(以下、MBと記す)に関する実施例である。こ
こでは、[A]には[A7]を用い、[B]には[B
2]を用いた。したがって、同一の260℃で測定した
ηs(A7)とηs(B2)の比、ηs(A7)/ηs
(B2)は11.9である。本実施例では[A7]と
[B2]からマスターバッチを調整した。具体的には、
[A7]のペレットと[B2]のペレットを重量分率で
[A7]:[B2]=99:1となるように混ぜ合わ
せ、それを実施例1と同じ単軸押出機を用いて、シリン
ダー温度を260℃、回転数25rpmで溶融混練し、
押し出された融体を一定速度で引き取りながら水冷カッ
トしてペレットとした。ここで、このMBを[A7]に
配合して組成物を作製した。具体的には、[A7]のペ
レットとMBのペレットを重量分率で[A7]:MB=
80:20となるように混ぜ合わせ、それを実施例1と
同じ単軸押出機を用いて、シリンダー温度を150℃、
回転数25rpmで溶融混練し、押し出された融体を一
定速度で引き取りながら水冷カットしてペレットとし
た。[A7]:MB=80:20とすることで、最終的
には[A7]と[B2]の混合比率は重量分率で[A
7]:[B2]=99.8:0.2となる。このペレッ
トについて、[A7]単体と同じ方法、すなわち、13
5℃で測定したηeとG’,G”より見積もった伸長粘
度の非線形パラメーター(λBlend)は5.7であ
った。したがって、組成物と[A7]単体の伸長粘度の
非線形パラメーターの比、λBlend/λA7は5.
7である。表2には実施例17のMSを示すが、溶融張
力増大効果はMBの配合によっても発現することがわか
る。なお、MSの測定温度はηeとG’,G”の測定温
度と同じ135℃である。
【0058】比較例12 実施例9〜17の比較例で、実施例9〜17で用いた
[A7]単体である。[B9]を配合しなかった以外は
実施例9と同じである。表2には比較例12のMSを示
すが、実施例9〜17に比べて、比較例12はMSが小
さいことがわかる。
【0059】比較例13 実施例9〜17の実施例で、[A7]と[B9]の混合
比率を重量分率で[A7]:[B9]=88:12とし
た以外は実施例9と同じである。ここでの[A7]と
[B9]の混合比率は、本特許の請求範囲から外れるも
のである。ここで、[A7]と[B9]からなる組成物
について、135℃で測定したηeとG’,G”より見
積もった伸長粘度の非線形パラメーター(λBlen
d)は21.0であった。したがって、組成物と[A
7]単体の伸長粘度の非線形パラメーターの比、λBl
end/λA7は21.0である。表2には比較例13
のMSを示すが、本比較例はMSが非常に大きくなって
いることがわかる。ただし、この比較例では、[B9]
の配合量が多すぎるために剪断粘度の増大も非常に大き
くなり、本材料を各種成形機で成形加工をした場合は、
加工機への負荷の増大が著しく大きくなり、吐出量の低
下に伴う生産性の低下が顕著となる。さらに、当分野で
一般にメルトフラクチャーと呼ばれる、押出融体の表面
外観の悪化が観察され、その影響が成形体にも反映され
て、良好な成形体が得られない。本例はMSの増大効果
は得られるものの、その他の成形加工面での問題が顕著
となる。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】以上示したように、本発明における熱可
塑性樹脂組成物は、各種成形加工に適用する際に、良好
な成形加工特性を発現する上で重要となる溶融張力が著
しく増大したものである。さらに、これは成分[A]、
[B]の種類によらず、種々の組み合わせで達成され
る。したがって、本発明の熱可塑性樹脂組成物を各種の
成形加工法に適用することによって、成形加工の条件幅
を格段に広げることが可能となり、さらに適用できる成
形加工法の種類が増大するなど、熱可塑性樹脂を製品化
する上で必須の工程である成形加工上の多くの利点が得
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C08L 101/16 67:02) Fターム(参考) 4J002 BB031 BB061 BB121 BB171 BC031 BD121 BD122 BG061 CB001 CB002 CF061 CF062 CF071 CF072 CF161 CG001 CH071 CH072 CH091 CH092 CL001 CL002 CL011 CL012 CM041 CN011 CN012 CN031 FD010

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂(以下、[A]と記す)9
    9.999〜90重量%および下記(a),(b)の要
    件を満足する結晶性樹脂(以下、[B]と記す)0.0
    01〜10重量%からなり、下記(c)の要件を満足す
    る熱可塑性樹脂組成物。 (a)[B]の融点は、[A]が結晶性樹脂の場合は
    [A]の融点よりも高く、[A]が非結晶性樹脂の場合
    は[A]のガラス転移温度よりも高い。 (b)剪断速度6.77×10-1sec-1、[B]の融
    点より高い温度で測定した[B]の定常流剪断粘度(以
    下、ηs(B)と記す)と、ηs(B)と同じ条件で測
    定した[A]の定常流剪断粘度(以下、ηs(A)と記
    す)との比、ηs(A)/ηs(B)が0.05〜15
    0の範囲にある。 (c)[A]と[B]からなる熱可塑性樹脂組成物を歪
    み速度0.1sec-1で測定した伸長粘度の非線形パラ
    メーター(以下、λBlendと記す)と、λBlen
    dと同じ条件で測定した[A]の伸長粘度の非線形パラ
    メーター(以下、λAと記す)との比、λBlend/
    λAが1.2以上である。
  2. 【請求項2】結晶性樹脂[B]が、ポリエステル系樹脂
    であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂[A]99.999〜95重
    量%および(a),(b)の要件を満足する結晶性樹脂
    [B]0.001〜5重量%からなり、(c)の要件を
    満足することを特徴とする請求項1〜2に記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂[A]が、ポリオレフィン系
    樹脂であることを特徴とする請求項1〜3に記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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