JP2000297315A - ステンレス溶鋼の脱炭精錬方法 - Google Patents

ステンレス溶鋼の脱炭精錬方法

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JP2000297315A JP2000025604A JP2000025604A JP2000297315A JP 2000297315 A JP2000297315 A JP 2000297315A JP 2000025604 A JP2000025604 A JP 2000025604A JP 2000025604 A JP2000025604 A JP 2000025604A JP 2000297315 A JP2000297315 A JP 2000297315A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレス溶鋼の脱炭精錬の際に、スプラッ
シュにより地金が飛散し、その地金が二次バーストを生
じて細粒になるのを抑制し、細粒地金が排気系に付着、
堆積するのを防止し、安定した脱炭精錬を行うことがで
きるステンレス溶鋼の脱炭精錬方法を提供する。 【解決手段】 取鍋11内のステンレス溶鋼12に浸漬
管13を浸漬し、浸漬管13の内部を減圧すると共に、
取鍋11の底部から0.6〜15.0Nリットル/(分
・溶鋼トン)の不活性ガスを供給しつつ、浸漬管13内
の湯面の上方より酸素含有ガスを吹き付けて脱炭精錬を
行うステンレス溶鋼の脱炭精錬方法において、浸漬管1
3内の排ガス流速を5〜20m/秒にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス溶鋼の
脱炭精錬を行う際に、スプラッシュにより発生した地金
の細粒化を抑制し、細粒地金が排気系に付着や堆積する
のを防止するステンレス溶鋼の脱炭精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス溶鋼の脱炭精錬においては、
容器内を減圧して吹酸することによりクロムの酸化を抑
制した脱炭が行われており、この代表的な方法としてR
H−OB法が広く知られている。このRH−OB法は、
取鍋内の溶鋼に上昇管と下降管の両方を浸漬し、上昇管
から供給するガスのガスリフト作用により溶鋼を吸い上
げ、下降管から吐出して取鍋内の溶鋼を循環させなが
ら、上昇管に設けたノズルから酸素含有ガスの吹き込み
を行って脱炭する。また、特開平8−109410号公
報には、取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬して、浸漬管の内
部を排気して減圧し、取鍋の底部から0.6〜15.0
Nリットル/(分・溶鋼トン)の不活性ガスを供給しな
がら、浸漬管の上方より酸素含有ガスを吹き付けて脱炭
を行うステンレス溶鋼の脱炭精錬方法が提案されてい
る。この方法は、Cr23 (以下、クロム酸化物とい
う)の生成とクロムのロスを少なくして迅速に脱炭を行
うことができることから実用化が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
RH−OB法では、浸漬管が上昇管と下降管に分離され
ており上昇管から吸い上げたステンレス溶鋼が下降管を
経て取鍋に戻るまでの時間が短いので、ステンレス溶鋼
の吹酸脱炭精錬を行う場合には、真空槽内で一旦生成し
たクロム酸化物が、瞬時に真空槽内から流出して、攪拌
の影響が及ばない取鍋の上部に浮上する。取鍋の上部に
浮上したクロム酸化物は、ステンレス溶鋼中の炭素と殆
ど反応しないので、脱炭の効率が悪く、クロム酸化物の
増大を招き、このクロム酸化物を還元する還元剤の増加
やクロムのロスが生じる等の問題がある。更に、上昇管
に供給する不活性ガスのガスリフトの作用により溶鋼を
循環するため、上昇管から吹き込まれる気体の絶対量が
増加し、吹き込まれた酸素含有ガスの脱炭酸素効率が低
下するので、スプラッシュの発生と二次バースト(スプ
ラッシュにより生じた地金が再酸化して細粒化する)が
激しくなる。また、特開平8−109410号公報で
は、取鍋の底部から不活性ガスを吹き込んで取鍋内の溶
鋼を強く攪拌しながら、上方から酸素を溶鋼に吹き付け
て脱炭するので、酸素を吹き付ける溶鋼表面にクロム酸
化物が多量に生成する。このクロム酸化物は、炭素と急
激に反応し、その際に生成するCOガスの溶鋼表面での
破泡によりスプラッシュが発生して地金が飛散する。こ
の地金が二次バーストを生じて細粒化し、排ガスに随伴
して飛散して浸漬管内あるいは排気系に付着、堆積す
る。また、酸素を溶鋼表面に吹き付けて脱炭するので、
脱炭に有効に働く酸素効率が40〜55%と低くなり、
脱炭に作用しない酸素が浸漬管内で二次燃焼し、飛散し
た地金の二次バーストを助長するので、排気系等に付
着、堆積する細粒地金が増大する。特に、クロムを5重
量%以上含有するステンレス溶鋼では、排気系に生じた
細粒地金の付着や堆積により、エゼクターの排気抵抗が
増加して高真空度が得られない。その結果、ステンレス
溶鋼中のクロムの酸化が進行して、クロム酸化物の増加
に起因するクロムのロスあるいはクロム酸化物を還元す
るためのAl等の還元剤が増加する等の問題がある。
【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、ステンレス溶鋼の脱炭精錬の際に、スプラッシュに
より地金が飛散し、その地金が二次バーストを生じて細
粒になるのを抑制し、細粒地金が排気系に付着、堆積す
るのを防止し、安定した脱炭精錬を行うことができるス
テンレス溶鋼の脱炭精錬方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う第1の発
明に係るステンレス溶鋼の脱炭精錬方法は、取鍋内のス
テンレス溶鋼に浸漬管を浸漬し、該浸漬管の内部を減圧
すると共に、前記取鍋の底部から0.6〜15.0Nリ
ットル/(分・溶鋼トン)の不活性ガスを供給しつつ、
前記浸漬管内の湯面の上方より酸素含有ガスを吹き付け
て脱炭精錬を行うステンレス溶鋼の脱炭精錬方法におい
て、前記浸漬管内の排ガス流速を5〜20m/秒にす
る。この方法により、スプラッシュにより飛散する地金
が排ガスに随伴して飛散するのを抑制して、細粒地金が
排気系に付着や堆積するのを防止し、排気抵抗をなくし
て高真空度による安定した脱炭精錬を行うことができ
る。浸漬管内の排ガス流速が5m/秒未満では、酸素含
有ガスの吹き付け量を減少したり、真空度を極端な低真
空にするので、脱炭精錬により生成する排ガス量の低減
と共に十分な脱炭反応を行うことができず、精錬時間の
延長やクロムロスを招く。一方、浸漬管内の排ガス流速
が20m/秒を超えると、スプラッシュにより飛散する
地金が排ガスに随伴して、雰囲気中に残存する酸素によ
り二次燃焼して二次バーストを生じて、細粒化した地金
が排気系に付着、堆積する。この理由から、浸漬管内の
排ガス流速は、5〜15m/秒にすると、脱炭精錬時間
の延長、排気系への細粒地金の付着や堆積の防止等によ
り好ましい結果が得られる。また、取鍋の底部から供給
する不活性ガスの量が0.6Nリットル/(分・溶鋼ト
ン)未満では、浸漬管内の湯面に形成する気泡活性面が
小さくなり、ステンレス溶鋼の全体の攪拌が弱くなって
脱炭精錬の時間が延長する。不活性ガスの量が15.0
Nリットル/(分・溶鋼トン)を超えると、ステンレス
溶鋼の全体の攪拌が強くなり過ぎて、浸漬管内の湯面で
不活性ガスの気泡の破泡及び吹酸により地金の飛散が増
加する。
【0006】ここで、前記排ガス流速を前記浸漬管内の
湯面の上方より吹き付ける酸素含有ガス量により調整す
ることができる。これにより、溶鋼の湯面に吹き付ける
酸素含有ガス中の酸素の脱炭酸素効率を高めて、クロム
酸化物の生成を抑制し、浸漬管内の二次燃焼を少なくし
て飛散する地金の二次バーストを抑制することで地金の
細粒化を防止できる。
【0007】更に、前記排ガス流速を前記浸漬管内の真
空度により調整することができる。これにより、浸漬管
内の排ガス流速を迅速に低減できるので、二次バースト
により生成した細粒地金が排気系に飛散するのを的確に
防止できる。
【0008】また、前記浸漬管の溶鋼浸漬部の内表面積
を前記取鍋内の全溶鋼表面積の0.1〜0.7にするこ
とができる。これにより、脱炭に有効な気泡活性面(不
活性ガスの気泡が膨張し、破泡して湯面が波立つ状態)
を大きくし、脱炭に寄与する酸素効率を高くし、二次バ
ーストを抑制しながら短時間で低い炭素濃度にできる。
浸漬管の溶鋼浸漬部の内表面積が取鍋内の全溶鋼表面積
の0.1より小さいと、ステンレス溶鋼の攪拌力が不足
して気泡活性面が狭くなり、脱炭反応が遅くなって到達
炭素濃度を低くできない。一方、0.7より大きくなる
と、取鍋の内側と浸漬管の外周面との隙間が狭くなり、
サンプリングの支障や浸漬管外に流出したクロム酸化物
等の付着により、取鍋への浸漬管の浸漬が困難になる。
【0009】前記目的に沿う第2の発明に係るステンレ
ス溶鋼の脱炭精錬方法は、取鍋内のステンレス溶鋼に浸
漬管を浸漬し、該浸漬管の内部を減圧すると共に、前記
取鍋の底部から0.6〜15.0Nリットル/(分・溶
鋼トン)の不活性ガスを供給しつつ、前記浸漬管内の湯
面の上方に配置したランスから該湯面に向けて酸素含有
ガスを吹き付けて脱炭精錬を行うステンレス溶鋼の脱炭
精錬方法において、前記酸素含有ガスは、下記(1)、
(2)式により求まるキャビティー深さLが210〜5
00mmとなるようにして吹き付ける。 L=Lh×10(-780H/Lh) ・・・・・・(1) Lh=0.894×(Q2 /S×n)1/3 ・・・・・・(2) ここで、Lはキャビティー深さ(mm)、Hはランスの
先端位置から静止湯面までの距離(m)、LhはH=0
の時のキャビティー深さ(mm)、Qは酸素含有ガスの
流量(Nm3 )、Sはランス吐出口の最狭部の断面積
(m2 )、nはランス吐出口数である。溶鋼の湯面に吹
き付ける酸素含有ガスによるキャビティー深さLが21
0〜500mmとなるように、吹酸をハードブローにす
るので、吹酸の火点及びその近傍における脱炭反応と、
生成したCr23 の溶鋼中の炭素との反応を促進し、
脱炭及び生成したCOガスの湯面上方での燃焼(二次燃
焼)に消費される酸素を含めた脱炭酸素効率を向上で
き、吹酸によって飛散する地金の粒を大きくし、しか
も、この地金が酸素の噴流に暴露されるのを抑制して二
次バーストを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る
ステンレス溶鋼の脱炭精錬方法に適用される脱炭精錬装
置の概念図、図2は同脱炭精錬装置を用いた吹酸脱炭精
錬中の排ガス流速、送酸量、排ガス流量及び真空度の変
化を示すグラフ、図3はランスの種類と排気ダクトへの
地金付着速度の関係を示すグラフ、図4は吹酸時の火点
近傍の部分拡大図である。図1に示すように、本発明の
一実施の形態に係るステンレス溶鋼の脱炭精錬方法に適
用される脱炭精錬装置10は、取鍋11及び取鍋11に
受湯されたステンレス溶鋼12内に図示しない昇降装置
により浸漬する直胴型の浸漬管13を有し、ステンレス
溶鋼12に不活性ガスを吹き込んで攪拌するためのポー
ラスプラグ14を取鍋11の底部に、浸漬管13内のス
テンレス溶鋼12の湯面12aに吹酸する酸素含有ガス
の流量を設定する流量調整弁15を設けたランス16を
浸漬管13の上部に備えている。また、浸漬管13に
は、内部を減圧する図示しないエゼクターに連通した排
気ダクト17を設けている。この排気ダクト17には、
浸漬管13内部の真空度を測定する真空度計18と排ガ
ス流量計19を設けている。更に、浸漬管13の溶鋼浸
漬部の内表面積は、取鍋11内のステンレス溶鋼12の
全溶鋼表面積に対して0.1〜0.7となるようにして
いる。なお、図中、符号20は浸漬管13内に合金鉄や
生石灰等の副原料を添加するシュートであり、21は合
金鉄や生石灰等の副原料の貯蔵ホッパーである。
【0011】次に、この脱炭精錬装置10を用いた本実
施の形態に係るステンレス溶鋼の脱炭精錬方法について
説明する。まず、取鍋11にクロムを5重量%以上含有
した150トンのステンレス溶鋼12を受湯し、この取
鍋11内に浸漬管13をその先端が取鍋11内ステンレ
ス溶鋼12の表面から深さ600mmの位置に来るよう
に浸漬し、浸漬管13の内部を図示しないエゼクターに
より排気ダクト17から排気して減圧した。浸漬管13
内の湯面12aには、取鍋11のポーラスプラグ14か
ら不活性ガスの一例であるアルゴンガスを0.6〜1
5.0Nリットル/(分・溶鋼トン)供給することによ
り気泡活性面を形成し、浸漬管13内の真空度が200
torrに到達してから、この湯面12aにランス16
を介して2800mmの高さから3000Nm3 /hr
の酸素含有ガスの一例である酸素を吹き付けて(吹酸)
脱炭精錬を行った。脱炭精錬の初期、すなわち吹酸を開
始した直後は、浸漬管13内に昇熱用の金属Alを添加
しているので、酸素が金属Alの燃焼に消費され、発生
する排ガス量が少ない。金属Alの燃焼が終わると、積
極的に酸素とステンレス溶鋼12中のクロムが(3)式
の反応によりCr23 を生成し、このCr23 がス
テンレス溶鋼12中の炭素と(4)式のように反応して
脱炭が行われる。 2Cr+3/2O2 →Cr23 ・・・・・ (3) Cr23 +3C→2Cr+3CO↑ ・・・・・ (4) この際に真空度が低いと、ステンレス溶鋼12中のクロ
ムの酸化が急激に起こり、過剰のCr23 が生成し、
突沸等の異常反応やクロムの酸化ロスを招くことにな
る。
【0012】従って、図2に示すように、Cr23
過剰生成を抑制するために、吹酸初期には真空度計18
の値が100torr程度の高真空度になるように図示
しないエゼクターの排気量を調整して操業する。そし
て、生成したCOガスや二次燃焼したCO2 ガス等を含
む排ガスの流量(図中二点斜線で示す)は、排気ダクト
17に設けた排ガス流量計19で測定され、この排ガス
流量は、脱炭反応の開始と共に急激に増加し、排ガス流
速(図中太実線で示す)も排ガス流量の増加に追随して
上昇する。そこで、真空度(図中破線で示す)を100
torrの高真空から図示しないエゼクターの排気量を
調整して150torrの低真空に調整し、排ガス流速
を8〜12m/秒の範囲になるようにする。この排ガス
流速(m/秒)をVとすると、Vは(5)式により求め
ることができる。 V=Q÷S×(P0 /P)×(T/T0 ) ・・・・・(5) ここで、Qは排ガス流量(Nm3 /hr)、Sは浸漬管
の直径方向の面積(m2)、P0 は標準大気圧(101
325Pa)、Pは浸漬管の内圧(Pa)、Tは排ガス
温度(K)、T0 は標準温度(K)である。
【0013】更に、ステンレス溶鋼12の脱炭反応が進
む中期では、排ガス流量がさらに増加し、排ガス流量計
19の指示が約3500Nm3 /hrになり、排ガス流
速が12m/秒を超える状態になったので、真空度を1
50torrに維持した状態で、流量調整弁15の開度
を調整して、吹酸の酸素量すなわち送酸量(図中実線で
示す)を2500Nm3 /hrに減少し、排ガス流速を
8〜12m/秒の範囲にした。脱炭精錬の末期では、ス
テンレス溶鋼12中の炭素濃度の低下により排ガス流量
が減少するので、排ガス流量の減少に合わせて、浸漬管
13内を150torrの低真空から5〜2torrの
高真空にして脱炭精錬を行う。このように、送酸量と真
空度を調整して浸漬管13内を上昇する排ガスの流速を
低くしているので、スプラッシュにより発生した地金の
二次バーストにより生成する細粒な地金が排ガスの流れ
に随伴して飛散し、排気ダクト17に付着したり、堆積
するのを防止でき、排気抵抗の増加や堆積した地金の処
理等の手間を解消することができる。
【0014】また、図3に示すように、吹酸に用いるラ
ンス16は、吐出口の形状が一般に用いられてるストレ
ートノズルの場合では、ガスの噴流が広がってソフトブ
ローになり、脱炭の酸素効率が低下してスプラッシュに
より発生した地金が雰囲気中に存在する酸素と二次燃焼
を生じて二次バーストが発生する。しかし、吐出口から
音速以上の速さで吹き出すラバールノズルを用いてハー
ドブローする場合では、脱炭の酸素効率が高くなり、ス
プラッシュにより発生した地金の二次バーストを抑制で
きる。この傾向は3孔ラバールよりも単孔ラバールを用
いると、よりハードブローにすることができるので、二
次バーストの抑制に有効である。即ち、図4に示すよう
に、単孔ラバールを用いたハードブローの条件を一般的
に用いられている前述した(1)、(2)式から求めた
湯面12aのキャビティー深さ(へこみ深さ)L値を2
10〜500mmにすることにより、火点Aの近傍で
は、酸素と溶鋼12中の炭素の反応により脱炭が行われ
ると共に、酸素とクロム(Cr)が反応してCr23
を生成する。しかも、キャビティー深さLを所定の範囲
にしているので、生成したCr23が浮上する際に、
浸漬管13内のステンレス溶鋼12の上層部で炭素によ
り還元され、脱炭に寄与する酸素効率を向上することが
できる。また、キャビティー深さLを前記の範囲のよう
に深くするために、吹酸を行う際の吹き付け力を大きく
すると、湯面12aから飛散する地金の量が増加し、そ
の地金の粒が比較的大きくなる。しかし、吹酸をハード
ブローにすることにより、酸素噴流の広がりは小さくな
り、酸素の噴流に暴露される地金を少なくできるので、
二次バースト(図中に点線で示す細粒)による微細化を
抑制することができる。そして、火点近傍のCr23
の還元を含めた脱炭酸素効率の向上、地金の粗大化、酸
素の噴流の広がりの抑制等の相乗した働きにより、微細
地金が排気系ダクト等に堆積するのを防止して、安定し
た操業を行うことができる。吹酸をソフトブローにし
て、キャビティー深さLが210mmより小さくなる
と、地金の二次バーストが発生し、排気系ダクト等への
地金付着が発生する。吹酸時の吹き付け力が強過ぎて、
キャビティー深さLが500mmより大きくなると、地
金の飛散が極端に増加したり、火点近傍の耐火物が損耗
する。従って、キャビティー深さL値は、300〜45
0mmにすると、より好ましい結果が得られる。
【0015】
【実施例】次に、本発明に係るステンレス溶鋼の脱炭精
錬方法を適用した実施例について説明する。転炉により
クロムを13重量%含有するステンレス溶鋼を150ト
ン溶製して取鍋に受湯してから、溶鋼浸漬部が取鍋内の
全溶鋼表面積の0.3の内表面積を有する浸漬管の先端
を取鍋のステンレス溶鋼の表面から深さ600mmに浸
漬し、浸漬管内部を減圧して浸漬管内の真空度が100
torrに到達した後、浸漬管上方からランスを介して
吹酸して脱炭精錬を行い、排ガス流速、排気ダクト地金
堆積の有無、操業時真空度の変動の有無等を調査した。
表1に示すように、実施例1は、吹酸時のキャビティー
深さを300mmにし、吹酸脱炭精錬の初期に単孔ラバ
ールを用いて3000Nm3 /hrの酸素を湯面に吹き
付け、中期には、真空度を150torrの低真空にし
て酸素を2500Nm3 /hrに減少し、吹酸脱炭精錬
の末期では、中期と同じ酸素量にして真空度のみを15
0torrから順次50torrの高真空にした場合で
あり、排ガス流速を平均で8m/秒にでき、排気ダクト
地金堆積が無く、操業時の真空度の変動が全く生じず安
定した脱炭精錬を行うことができ、総合評価として良好
(◎)であった。更に、実施例2は、吹酸時のキャビテ
ィー深さを450mmにし、吹酸脱炭精錬の初期に単孔
ラバールを用いて3000Nm3 /hrの酸素を湯面に
吹き付けを行い、中期では、真空度を120torrの
低真空にして酸素を2500Nm3/hrに減少し、吹
酸脱炭精錬の末期で、吹酸量を変えずに真空度を120
torrから順次50torrの高真空にした場合であ
り、排ガス流速を平均で10m/秒にでき、排気ダクト
地金堆積が無く、操業時の真空度の変動が全く生じず安
定した脱炭精錬をすることができ、総合評価として良好
(◎)であった。実施例3は、吹酸時のキャビティー深
さを210mmにし、吹酸脱炭精錬の初期に単孔ラバー
ルを用いて3000Nm3 /hrの酸素を湯面に吹き付
け、中期には、真空度を150torrの低真空にして
酸素を2500Nm3 /hrに減少し、吹酸脱炭精錬の
末期では、中期と同じ酸素量にして真空度のみを150
torrから順次50torrの高真空にした場合であ
り、排ガス流速を平均で8m/秒にでき、排気ダクト地
金堆積が極微量であり、操業時の真空度の変動が全く生
じず安定した脱炭精錬を行うことができ、総合評価とし
て良い(○)結果が得られた。
【0016】
【表1】
【0017】これに対し比較例は、吹酸時のキャビティ
ー深さを150mmにし、吹酸脱炭精錬の全期間中3孔
ラバールのランスを用いて3000Nm3 /hrの酸素
を湯面に吹き付け、真空度を初期の100torrから
中期に60torr、末期に50torrの高真空度に
した場合であり、排ガス流速が27m/秒と速くなり、
排気ダクトに地金堆積が発生し、操業時の真空度が変動
して不安定な脱炭精錬になり、総合評価としては悪い結
果(×)となった。
【0018】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨
を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲であ
る。例えば、前記実施の形態では、ステンレス溶鋼の脱
炭精錬について説明したが、炭素を含有した一般の溶鋼
の脱炭精錬に適用することもできる。更に、浸漬管の形
状は、直胴型の他に酸素含有ガスが吹き付けられる湯面
の上部に相当する中間部の直径を大きくしたものを用い
ることができる。また、酸素含有ガスも酸素にアルゴン
ガスあるいは炭酸ガス等を混合したガスを用いて脱炭精
錬を行うことができる。
【0019】
【発明の効果】請求項1〜4記載のステンレス溶鋼の脱
炭精錬方法は、取鍋内のステンレス溶鋼に浸漬管を浸漬
し、浸漬管の内部を減圧すると共に、取鍋の底部から
0.6〜15.0Nリットル/(分・溶鋼トン)の不活
性ガスを供給しつつ、浸漬管の上方より酸素含有ガスを
吹き付けて脱炭精錬を行うステンレス溶鋼の脱炭精錬方
法において、排ガス流速を5〜20m/秒にするので、
スプラッシュや突沸等により発生した地金の二次バース
トによって生成する細粒地金の飛散を抑制し、排気系ダ
クト等への付着や堆積を防止でき、安定した操業を行う
ことができる。
【0020】特に、請求項2記載のステンレス溶鋼の脱
炭精錬方法は、排ガス流速を浸漬管の上方より吹き付け
る酸素含有ガス量により調整するので、脱炭反応により
生成したCOガスの二次燃焼を抑制し、スプラッシュや
突沸等により発生した地金の二次バーストを効率良く抑
制できる。
【0021】請求項3記載のステンレス溶鋼の脱炭精錬
方法は、排ガス流速を浸漬管内の真空度により調整する
ので、排ガス流速を迅速に低下することができ、細粒地
金が排ガスの流れに随伴して飛散するのを防止できる。
【0022】請求項4記載のステンレス溶鋼の脱炭精錬
方法は、浸漬管の溶鋼浸漬部の内表面積を取鍋内の全溶
鋼表面積の0.1〜0.7にしているので、排ガス流速
を低減でき、脱炭に寄与する酸素効率を高くして二次バ
ーストを抑制し、短時間で炭素濃度を低減できる。
【0023】請求項5記載のステンレス溶鋼の脱炭精錬
方法は、 取鍋内のステンレス溶鋼に浸漬管を浸漬し、
浸漬管の内部を減圧すると共に、取鍋の底部から0.6
〜15.0Nリットル/(分・溶鋼トン)の不活性ガス
を供給しつつ、浸漬管内の湯面の上方より酸素含有ガス
を吹き付けて脱炭精錬を行うステンレス溶鋼の脱炭精錬
方法において、酸素含有ガスを、キャビティー深さLが
所定の範囲になるようにして吹き付けるので、吹酸の火
点近傍の脱炭反応とCr23 と炭素との反応が促進さ
れて酸素効率を向上することができ、吹酸によって飛散
する地金が二次バーストして微細化するのを抑制し、排
気系ダクトへの地金堆積を防止して安定した操業が可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るステンレス溶鋼の
脱炭精錬方法を適用した脱炭精錬装置の概念図である。
【図2】同脱炭精錬装置を用いた吹酸脱炭精錬中の排ガ
ス流速、送酸量、排ガス流量及び真空度の変化を示すグ
ラフである。
【図3】ランスの種類と排気ダクトへの地金の付着速度
の関係を示すグラフである。
【図4】吹酸時の火点近傍の部分拡大図である。
【符号の説明】
10:脱炭精錬装置、11:取鍋、12:ステンレス溶
鋼、12a:湯面、13:浸漬管、14:ポーラスプラ
グ、15:流量調整弁、16:ランス、17:排気ダク
ト、18:真空度計、19:排ガス流量計、20:シュ
ート、21:貯蔵ホッパー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋内のステンレス溶鋼に浸漬管を浸漬
    し、該浸漬管の内部を減圧すると共に、前記取鍋の底部
    から0.6〜15.0Nリットル/(分・溶鋼トン)の
    不活性ガスを供給しつつ、前記浸漬管内の湯面の上方よ
    り酸素含有ガスを吹き付けて脱炭精錬を行うステンレス
    溶鋼の脱炭精錬方法において、前記浸漬管内の排ガス流
    速を5〜20m/秒にすることを特徴するステンレス溶
    鋼の脱炭精錬方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のステンレス溶鋼の脱炭精
    錬方法において、前記排ガス流速を前記浸漬管内の湯面
    の上方より吹き付ける酸素含有ガス量により調整するス
    テンレス溶鋼の脱炭精錬方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のステンレス
    溶鋼の脱炭精錬方法において、前記排ガス流速を前記浸
    漬管内の真空度により調整するステンレス溶鋼の脱炭精
    錬方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のス
    テンレス溶鋼の脱炭精錬方法において、前記浸漬管の溶
    鋼浸漬部の内表面積が前記取鍋内の全溶鋼表面積の0.
    1〜0.7であるステンレス溶鋼の脱炭精錬方法。
  5. 【請求項5】 取鍋内のステンレス溶鋼に浸漬管を浸漬
    し、該浸漬管の内部を減圧すると共に、前記取鍋の底部
    から0.6〜15.0Nリットル/(分・溶鋼トン)の
    不活性ガスを供給しつつ、前記浸漬管内の湯面の上方に
    配置したランスから該湯面に向けて酸素含有ガスを吹き
    付けて脱炭精錬を行うステンレス溶鋼の脱炭精錬方法に
    おいて、前記酸素含有ガスは、下記式により求まるキャ
    ビティー深さLが210〜500mmとなるようにして
    吹き付けることを特徴とするステンレス溶鋼の脱炭精錬
    方法。 L=Lh×10(-780H/Lh) Lh=0.894×(Q2 /S×n)1/3 ここで、Lはキャビティー深さ(mm)、Hはランスの
    先端位置から静止湯面までの距離(m)、LhはH=0
    の時のキャビティー深さ(mm)、Qは酸素含有ガスの
    流量(Nm3 )、Sはランス吐出口の最狭部の断面積
    (m2 )、nはランス吐出口数である。
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