JP2000303107A - 希土類系磁性材料のための水素粉砕装置および当該装置を用いた希土類系磁性材料粉末ならびに磁石の製造方法 - Google Patents

希土類系磁性材料のための水素粉砕装置および当該装置を用いた希土類系磁性材料粉末ならびに磁石の製造方法

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JP2000303107A JP2000028610A JP2000028610A JP2000303107A JP 2000303107 A JP2000303107 A JP 2000303107A JP 2000028610 A JP2000028610 A JP 2000028610A JP 2000028610 A JP2000028610 A JP 2000028610A JP 2000303107 A JP2000303107 A JP 2000303107A
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magnetic material
rare earth
earth magnetic
alloy
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Akiyasu Ota
晶康 太田
Akihito Tsujimoto
章仁 辻本
Katsumi Okayama
克己 岡山
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類系磁性材料の水素粉砕処理工程および
これに引き続いて行う冷却工程を効率的かつ安全に行い
つつ、材料の酸化を防ぎ、磁気特性を改善する。 【解決手段】 希土類系磁性材料の水素粉砕処理を行う
ための水素粉砕装置10において、炉本体14の取り出
し口16の前に取出し室12を設け、その室内に不活性
ガスを供給する。水素粉砕後の希土類系磁性材料を取り
出して、搬送装置26に移動させる際に磁性材料が大気
と接触しないようにする。水素粉砕後の搬送および冷却
も不活性ガス中で実行し、高温状態にある原料が大気と
接触して酸化することを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類系磁性材料
のための水素粉砕装置、および当該装置を用いて水素粉
砕を行う希土類系磁性材料粉末の製造方法ならびに磁石
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類焼結磁石は、磁性合金を粉砕して
形成した合金粉末をプレス成形した後、焼結工程および
時効工程を経て作製される。現在、希土類焼結磁石とし
ては、サマリウム・コバルト系磁石とネオジム・鉄・ボ
ロン系磁石の二種類が各分野で広く用いられている。な
かでもネオジム・鉄・ボロン系磁石(以下、「R−T−
(M)−B系磁石」と称する。RはYを含む希土類元
素、Tは鉄、または鉄および鉄の一部を置換した遷移金
属元素、Mは添加元素、Bはボロンである。)は、種々
の磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も
比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されてい
る。Tに含まれる遷移金属としては、例えばCoが用い
られる。
【0003】従来、R−T−(M)−B系磁石用合金を
水素粉砕するにあたっては、原料となる磁性材料粉をS
US304等のステンレス鋼から形成された容器内に充
填し、水素炉内において水素の吸蔵/放出を実行させる
ことによって、一次粉砕を行っていた。
【0004】この希土類合金の作製方法には大きく分け
て2種類ある。第1の方法は、原料合金の溶湯を鋳型に
入れ、比較的ゆっくりと冷却するインゴット鋳造法であ
る。第2の方法は、合金の溶湯を単ロール、双ロール、
回転ディスク、または回転円筒鋳型等に接触させて急速
に冷却し、合金溶湯から、インゴット合金よりも薄い凝
固合金を作製するストリップキャスト法や遠心鋳造法に
代表される急冷法である。
【0005】急冷法によって作製したR−T−(M)−
B系磁石用合金の厚さは、0.03mm以上10mm以
下の範囲にある。合金溶湯は冷却ロールの接触した面
(ロール接触面)から凝固し始め、ロール接触面から厚
さ方向に結晶が柱状に成長してゆく。その結果、ストリ
ップキャスト法等によって作製された急冷合金は、短軸
方向サイズが0.1μm以上100μm以下で長軸方向
サイズが5μm以上500μm以下のR214B結晶相
と、R214B結晶相の粒界に分散して存在するRリッ
チ相とを含有する組織を持つにいたる。Rリッチ相は希
土類元素Rの濃度が比較的に高い非磁性相であり、その
厚さ(粒界の幅に相当する)は10μm以下である。
【0006】急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金
型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)
に比較して、相対的に短時間で冷却されているため、組
織が微細化され、結晶粒径が小さい。また、粒界の面積
が広く、Rリッチ相は粒界内を薄く広がっているため、
Rリッチ相の分散性にも優れる。
【0007】また、急冷合金は、水素粉砕法によれば、
粒界で破断しやすいため、急冷合金を粉砕することによ
って得られた合金粉末の粒子表面にRリッチ相が表れや
すくなる。Rリッチ相のRは酸素と反応しやすいため、
急冷合金の粉末は極めて酸化しやすく、発熱・発火しや
すい状態にある。また、その分、磁気特性の劣化も激し
いと考えられる。
【0008】次に、従来のインゴット合金に対して行わ
れてきた水素粉砕処理の一例を説明する。
【0009】まず、水冷鋳型にて鋳造した磁性合金(一
辺3cm程度の鋳塊の集まり)を平型パック状の処理容
器内に充填した後、この処理容器をラック上に搭載す
る。このラックを水素炉内に挿入した後、水素炉内部を
真空引きによって減圧する。その後、水素ガスを水素炉
内に供給し、原料に水素を吸蔵させる。所定時間経過
後、水素炉内の真空引きを行いながら原料を加熱し、原
料から水素を放出させる。原料から水素を充分に放出さ
せ、冷却した後、水素炉の蓋を開放し、処理容器を搭載
したラックを水素炉の外部(大気中)に取り出す。水素
粉砕終了時点では、合金は1cm程度のサイズに崩壊し
ている。その後、処理容器内から原料を取り出し、水素
粉砕処理を受けた原料に対してディスクミルにて10〜
400μm程度のサイズに粉砕した後、ジェットミルな
どによって平均粒径2〜5μm程度に微粉砕される。
【0010】このようにして作成した原料の微粉末から
ブレスグリーン(プレス成形体)を作成した後、焼結処
理・時効処理工程などを行うことによって焼結磁石を製
造することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来法
によれば、水素炉内から原料を大気中に取り出した際
に、水素粉砕後の原料に含まれる希土類元素Rが大気に
触れて酸化し、磁気特性が最終的に劣化してしまうとい
う問題があった。
【0012】例えば、原料が希土類元素Rとしてネオジ
ウムを含む場合、原料に水素を吸蔵させることによって
NdH3が形成され、原料から水素を放出させることに
よってNdH3がNdH2に変化することになる。しか
し、工業的量産レベルでは、水素の完全放出が実現でき
ず、原料の一部にNdH3が残存してしまう。特に処理
容器の中心部では充分な加熱処理が達成されないため、
その部分にNdH3が多く残る可能性がある。原料中に
NdH3が残存していると、原料を処理容器から取り出
した際にNdH3と大気とが接触して発熱してしまう。
このため、原料取り出し後に冷却期間を設ける必要が生
じ、すぐには微粉砕等の後工程に着手できないという問
題があるだけでなく、発火の危険性があった。
【0013】上記の水素処理法をストリップキャスト法
等によって作製した急冷合金に適用とすると、酸化によ
る発熱・発火が特に顕著に生じやすく、従来の方法で
は、急冷合金の粉砕を工業的に行うことが極めて困難で
あることがわかった。以下、この点を詳細に説明する。
【0014】インゴット合金に比較して急冷合金の厚さ
は相対的に薄く、また、金属組織が微細であるため、水
素粉砕した時点で多くは既に小さく粉砕された状態(平
均サイズは1.0mm以下)にある。そのため、粉砕粉
の総表面積が大きくなる。また、Rリッチ相が微細化さ
れており、その分散性も高いため、水素粉砕粉の表面に
Rリッチ相が露出しやすい。以上のことから、水素粉砕
直後の急冷合金粉末では、未反応の活性な希土類元素R
が大量に露出しており、極めて酸化しやすい状況にあ
る。このため、水素粉砕後、粉末を室温(20℃程度)
まで冷却しない限り、発火のおそれがあるし、露出して
いる大量の希土類元素が酸化または窒化すると、最終磁
石製品の磁気特性が大きく劣化することにもなる。
【0015】このような酸化・窒化反応を抑えるため
に、低温の不活性ガスを用いて炉内で水素粉砕粉を冷却
すると、炉の蓋を開けたときに炉内で結露が発生してし
まい、次のロットで真空引きを行う際に炉内で水分が気
化し、真空状態になるまで長時間を要することになると
いう問題もあった。また、急冷合金の場合は、水素粉砕
粉が特に細かいため、その通風性が悪く、冷却用の不活
性ガスが粉砕粉の熱を充分に奪うことも困難であった。
そのため、冷却に要する時間が長くなり、冷却工程が生
産性を大きく低下させてしてしまう問題もあった。
【0016】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、全体の処理時間を短縮すると
ともに、水素粉砕処理工程およびこれに引き続いて行う
冷却工程を効率的かつ安全に行いながら、原料の酸化を
防ぎ、磁気特性を改善することができる水素粉砕装置を
提供することにある。
【0017】本発明の他の目的は、ストリップキャスト
合金に代表される組織の微細な急冷合金を用いても安全
かつ効率的に粉砕を実行できる希土類系磁性材料粉末の
製造方法および磁石の製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明による水素粉砕装
置は、希土類系磁性材料の水素粉砕処理を行うための水
素粉砕装置であって、開口部を有する炉本体および前記
開口部を閉じうる蓋部を備え、密閉可能な構造を有する
水素炉と、水素粉砕処理後の希土類系磁性材料を前記炉
本体の開口部から取り出す際に一時的に前記希土類系磁
性材料を囲む取出し室と、前記取出し室内に不活性ガス
を供給するための不活性ガス供給手段とを備えているこ
とを特徴とする。
【0019】好ましい実施形態において、前記水素炉の
前記蓋部は前記取り出し室内を移動することによって前
記炉本体の開口部の開閉を行うことができる。
【0020】好ましい実施形態において、前記取出し室
は取り出し室用ドアを有しており、前記取り出し室用ド
アが閉じているときに前記取出し室は実質的に密閉され
た状態を形成しうる。
【0021】好ましい実施形態において、常温の不活性
ガスおよび冷却した不活性ガスを前記水素炉内に順次供
給することができる冷却装置を備えている。
【0022】本発明によるロータリクーラは、回転可能
に支持された冷却筒と、前記冷却筒を冷却するための冷
却手段と、前記冷却筒の回転速度を制御する制御手段
と、前記冷却筒に設けられた温度検知手段とを備え、前
記温度検知手段の出力に基づいて前記回転制御手段が前
記冷却筒の回転速度を制御する。
【0023】本発明によるロータリクーラは、螺旋状フ
ィン部分が内壁に設けられ、回動可能に支持された冷却
筒と、前記冷却筒の外側を冷却するための散水装置とを
備えたロータリクーラであって、前記冷却筒は両端に原
料投入部および原料排出部を有し、前記原料投入部が前
記原料排出部より上方に位置するように水平方向に対し
て傾斜して支持され、前記冷却筒の回転に従って前記冷
却筒内の原料粉末を前記原料投入部から前記原料排出部
に向けて搬送することができることを特徴とする。
【0024】好ましい実施形態において、前記冷却筒
は、前記原料投入部から供給された前記原料粉末を溜め
るバッファゾーンと、複数本の筒部分を含み、前記散水
装置から放出された水によって冷却される冷却ゾーンと
を備えている。
【0025】好ましい実施形態においては、前記冷却筒
内に不活性ガスを供給する手段を更に備えている。
【0026】好ましい実施形態において、前記冷却筒の
原料投入部は、内部に不活性ガスが供給される部屋に連
結されており、前記部屋において、水素粉砕処理後の希
土類磁性合金粉末を前記原料粉末として前記原料投入部
を介して前記冷却筒内に供給することができる。
【0027】本発明による水素粉砕処理方法は、上記水
素粉砕装置の何れかを用いて希土類系磁性材料を粉砕す
ることを特徴とする。
【0028】本発明による希土類系磁性材料粉末の製造
方法は、上記水素粉砕装置の何れかを用いて希土類系磁
性材料を粉砕する水素粉砕処理工程と、前記希土類系磁
性材料を前記水素粉砕装置から取り出す工程とを包含す
ることを特徴とする。
【0029】好ましい実施形態においては、内部に不活
性ガスを供給する手段を備えた搬送装置を用い、前記水
素粉砕装置から取り出した前記希土類系磁性材料を搬送
する工程を更に包含する。
【0030】好ましい実施形態においては、前記水素粉
砕装置の水素炉内に不活性ガスを供給することによっ
て、水素粉砕処理後の希土類系磁性材料を冷却する工程
を包含する。
【0031】好ましい実施形態においては、前記水素粉
砕装置の水素炉内に不活性ガスを供給するに際して、前
記不活性ガスを循環使用する。
【0032】好ましい実施形態においては、前記水素粉
砕装置の水素炉内に不活性ガスを供給するに際して、前
記不活性ガスとして、まず冷却処理を施した不活性ガス
を使用して所定温度まで冷却し、次に室温近傍の温度を
有する不活性ガスを使用して冷却する。
【0033】好ましい実施形態においては、不活性ガス
で満たされた部屋内で前記搬送装置から前記希土類系磁
性材料を取り出す工程を更に包含する。
【0034】好ましい実施形態においては、不活性ガス
で満たされた冷却装置内で前記希土類系磁性材料を冷却
する工程を更に包含する。
【0035】本発明による磁石の製造方法は、上記水素
粉砕装置の何れかを用いて希土類系磁性材料を粉砕する
水素粉砕処理工程と、不活性ガスが供給された前記水素
粉砕装置の取り出し室内に、前記希土類系磁性材料を前
記水素粉砕装置から取り出す工程と、内部に不活性ガス
が充填された搬送装置を用い、前記水素粉砕装置から取
り出した前記希土類系磁性材料を搬送する工程と、不活
性ガスで満たされた部屋内で前記搬送装置から前記希土
類系磁性材料を取り出し、不活性ガスで満たされた冷却
装置内で前記希土類系磁性材料を冷却する工程と、前記
希土類系磁性材料を更に粉砕し、希土類系磁性材料微粉
末を作成する工程と、前記希土類系磁性材料微粉末を成
形し、焼結することによって磁石を作製する工程とを包
含する。
【0036】好ましい実施形態においては、前記水素粉
砕装置の水素炉内に不活性ガスを供給することによって
水素粉砕処理後の希土類系磁性材料を冷却する工程を包
含する。
【0037】好ましい実施形態においては、前記水素粉
砕装置の水素炉内に不活性ガスを供給するに際して、前
記不活性ガスを循環使用する。
【0038】好ましい実施形態においては、前記水素粉
砕装置の水素炉内に不活性ガスを供給するに際して、前
記不活性ガスとして、まず冷却処理を施した不活性ガス
を使用して所定温度まで冷却し、次に室温近傍の温度を
有する不活性ガスを使用して冷却する。
【0039】本発明の希土類系磁性材料粉末の製造方法
は、短軸方向サイズが0.1μm以上100μm以下で
長軸方向サイズが5μm以上500μm以下のR214
B結晶粒(Rは希土類元素、Tは鉄、または鉄および鉄
の一部を置換した遷移金属元素、Bはボロンである)
と、前記R214B結晶粒の粒界に分散して存在するR
リッチ相とを含有しており、厚さが0.03mm以上1
0mm以下の希土類系磁性合金を炉内において水素脆化
させる工程と、不活性雰囲気中で前記合金を前記炉内か
ら取り出す工程とを包含する。
【0040】本発明の希土類系磁性材料粉末の製造方法
は、合金溶湯を急冷することによって作製された厚さが
0.03mm以上10mm以下の希土類系磁性合金であ
って、R214B結晶粒(Rは希土類元素、Tは鉄、ま
たは鉄および鉄の一部を置換した遷移金属元素、Bはボ
ロンである)が厚さ方向に伸びている希土類系磁性合金
を炉内において水素脆化させる工程と、不活性雰囲気中
で前記合金を前記炉内から取り出す工程とを包含する。
【0041】前記合金を水素脆化させた後、前記合金を
前記炉内で冷却する工程と、前記合金を前記炉内から取
り出した後、前記合金を冷却装置内に移動させ、前記合
金を前記冷却装置内で冷却する工程とを更に包含してい
てもよい。
【0042】好ましい実施形態では、前記合金を水素脆
化させる前に、前記合金を処理容器内に収容し、前記処
理容器を前記炉内に挿入する工程を更に包含しており、
前記合金を前記炉内から取り出す工程においては、前記
不活性雰囲気中で前記処理容器を前記炉内から取り出
し、前記合金を前記処理容器から分離した後、前記合金
を前記冷却装置内で冷却する。
【0043】前記不活性雰囲気はアルゴンまたはヘリウ
ムであることが好ましい。
【0044】好ましい実施形態では、前記合金を前記炉
内から取り出した後、前記合金を不活性雰囲気中で冷却
する工程を更に包含する。
【0045】前記合金の冷却は、前記不活性雰囲気中で
前記合金を攪拌しながら実行することが好ましい。
【0046】本発明の希土類系磁性材料粉末の製造方法
は、合金溶湯を急冷することによって作製された厚さが
0.03mm以上10mm以下の希土類系磁性合金であ
って、R214B結晶粒(Rは希土類元素、Tは鉄、ま
たは鉄および鉄の一部を置換した遷移金属元素、Bはボ
ロンである)が厚さ方向に伸びている希土類系磁性合金
を炉内において水素脆化させる工程と、前記合金を前記
炉内から取り出した後、冷却装置内において不活性雰囲
気中で攪拌しながら冷却する工程とを包含する。
【0047】前記冷却装置は、回転駆動される円筒状部
材を有しており、前記合金の温度を検知する検知手段の
出力に基づいて前記円筒状部材の回転速度を制御するこ
とが好ましい。
【0048】本発明の磁石の製造方法は、以上の何れか
の希土類系磁性材料粉末の製造方法を用いて作製した希
土類系磁性合金粉末を成形する工程と、成形した希土類
系磁性合金粉末を燒結する工程とを包含する。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施形態を説明する。
【0050】[水素粉砕装置]図1は、本発明による水
素粉砕装置および原料搬送装置26の一実施形態の側面
を示し、図2は、その上面を示している。この水素粉砕
装置は、通常の構成を有する水素炉10と、この水素炉
10の取り出し口16の前に設けられた特別の取り出し
室12とを備えている。水素炉10自体は、炉本体14
および本体内部の空間に対して被処理物の出し入れを行
うために開閉する蓋体18などから構成されており、汎
用の水素炉とほぼ同様の構成を備えている。炉本体14
や蓋体18の材料は、耐水素脆性の観点から、例えばS
US304L、SUS316、SUS316L等のステ
ンレス鋼が好適であり、炉の内部容積は例えば3.0〜
5.2m3程度である。
【0051】炉本体14には水素ガス導入管およびアル
ゴンガス導入管や排気管等の複数のパイプが連結されて
いる。図では、水素ガス導入管およびアルゴンガス導入
管を参照符号「22」でまとめて表記している。
【0052】図2に示すように、ガス導入管22は冷却
装置20に接続されており、水素炉10の内部に導入す
るガスの温度を冷却装置20によって調整することがで
きる。排気管24は、ルーツポンプおよび油回転ポンプ
等の不図示の排気装置に接続されている。
【0053】炉本体14の内部には加熱装置として、水
素ガスに対して耐性を有するグラファイト製等のヒータ
(不図示)が配置され、炉外部の給電装置からヒータに
対して電力の供給がなされる。
【0054】水素炉10の内部における雰囲気ガスの種
類や圧力は、炉内部に供給するガスの流量や排気量を調
整することによって、あらかじめ設定したプログラム通
りに制御される。また、水素炉10の内部の雰囲気ガス
温度は、炉内部に設けた温度検知器の出力を参照しなが
ら、設定温度のプロファイルに従うように加熱装置や冷
却装置20を動作させて制御できる。このような温度の
制御は、不図示の制御装置によって統制される。
【0055】ガス導入管22を介して炉内に供給するア
ルゴンガスは、加熱処理直後の原料の冷却に使用される
が、アルゴンガスの循環使用が可能となるように配管2
3を用いて使用済みのアルゴンを回収利用し、経済的効
率性を向上させている。なお、アルゴンガスに代えてヘ
リウムなどの他の不活性ガスを用いても良い。
【0056】水素炉10の蓋体18は、少なくとも水素
粉砕処理の間閉じており、水素粉砕処理中の炉内空間は
外部から完全に密閉された状態に維持される。原料の出
し入れを行うとき、水素炉10の蓋体18は駆動機構に
よって上方向に動かされ、水素炉10の取り出し口16
が開放される。図1では、蓋体18が閉じた状態を実線
で示し、蓋体18が開いた状態を二点鎖線Aで示してい
る。
【0057】炉本体14および蓋体18は、炉内部が加
圧状態および減圧状態の何れの状態にも耐える強度を持
つように構成されているため、種々の水素粉砕処理を安
全に実行できる。
【0058】本発明による水素粉砕装置の特徴は、水素
炉10の取り出し口16に連結するように「取り出し室
12」が取り出し口16の前部に設置されており、取り
出し室12の内部にアルゴンやヘリウムなどの不活性ガ
スを充填し得る構成を有している点にある。取り出し室
12は、完全な密閉状態を実現し得る構造を備えている
必要はなく、水素粉砕後の原料が水素炉10の取り出し
口16から炉外部へ取り出される際に大気と接触して発
熱することが充分に抑制される程度に大気が部屋内に流
入しにくい構成を有しておれば良い。また、原料が大気
と接触しない構成であれば、原料のみを箱状部材で覆う
ようにしてもよい。
【0059】図8は、取り出し室12の構成を模式的に
示している。図8に示すように、取り出し室12は、例
えば薄い鋼板によって水素炉10の取り出し口16の前
方空間を取り囲むように構成されていれば良く、その具
体的構造は特に制限されない。本実施形態における取り
出し室12は、ほぼ上下にスライドするドア120を前
面に有しており、このドア120が開放された状態で原
料の出し入れが行われる。また、取り出し室12は、水
素炉10の蓋体18の開閉が取り出し室12内で実行さ
れ得る大きさおよび形状を持つように構成されており、
その内部容積は5.0〜6.0m3程度である。
【0060】このような取り出し室12を設けることに
よって、水素粉砕後の希土類系磁性材料を原料搬送装置
26内に移動させる際、水素粉砕処理によって反応性が
高まった状態にある希土類系磁性材料を大気にほとんど
接触させないようにすることができる。
【0061】取り出し室12に供給する不活性ガスの流
量は、取り出し室内容積の3倍程度の量を短時間で供給
するように、例えば1000〜2000NL/minに
設定すれば良い。このような流量で不活性ガスを供給す
ると、取り出し室12に存在した酸素や水蒸気は約3〜
10分のうちに酸化反応の生じにくい低濃度レベルに減
少する。なお、本願発明における「不活性雰囲気」は、
微量の活性ガス(酸素や窒素)を含んでいても良い。た
だし、「不活性雰囲気」中における酸素量は5mol%
を超えず、窒素量は20mol%を超えないことが好ま
しい。また、不活性雰囲気中の酸素量は1mol%以
下、窒素量は4mol%以下であることが更に好まし
い。
【0062】本実施形態では、図3に示すように複数の
原料パック(30mm×15mm×50mm)32をラ
ック30に搭載し、ラック30に搭載された状態で水素
粉砕処理を実行することができるように構成されてい
る。原料パック32は、例えば銅等の熱伝導率が高い材
料から形成された箱形容器であり、ラック30は、例え
ば炉本体と同様にSUS304L、SUS316、SU
S316L等のステンレス鋼から形成された架台であ
る。
【0063】水素炉10内には、このようなラック30
の底部を支持するための支持部材が配置されており、ラ
ック30は原料搬送装置26から支持部材上に載せられ
た後、奥へと挿入される。ひとつの原料搬送装置26が
複数のラック30を搬送することができる場合は、水素
炉10内に複数のラック30を挿入し、これらに対して
同時に水素処理を実行することが好ましい。
【0064】なお、各原料パック32には、表面からの
深さが10cm程度になるように原料が充填されること
が好ましい。これは、原料の全体が水素雰囲気と均一に
接触しやすくするためである。底の深い容器に大量の原
料を充填した場合、原料に対して均一な水素粉砕を行う
ことが困難になるおそれがある。
【0065】[原料搬送装置]図1および図2に示す原
料搬送装置26は、原料(希土類系磁性材料)を各種装
置へ自動搬送することができる装置であり、中央制御装
置の指示に従って工場内を移動することができる。原料
搬送装置26は、車輪と、車輪に支持された本体とから
構成されており、本体に搭載されたモータなどの駆動手
段(不図示)によって車輪を回動することによって指定
されたコース上を移動することができる。工場の床部分
に搬送装置を案内するための複数種類のラインをあらか
じめ描いておき、原料搬送装置26に設けたセンサで所
定のラインを検知させ、そのライン上をトラッキングし
ながら搬送させるようにすることが好ましい。もっと
も、他の制御方法を用いて搬送動作を実行させるように
しても良い。
【0066】本実施形態で使用する原料搬送装置26
は、原料をラック30ごと収納しうる大きさの内部空間
28を備えており、搬送時、その内部空間28を不活性
ガスで満たすことができる。原料を搭載したラック30
を原料搬送装置26に対して出し入れする際、原料搬送
装置26に設けたドア29が開放されるが、搬送中はそ
のドア29は開じている。ラック30の出し入れは、原
料搬送装置26に設けられた取り出し装置がラック30
の所定箇所を把持しながら水平方向に前後移動すること
によって実行される。
【0067】原料搬送装置26が所定の水素炉10の取
り出し室12前に到着し、原料搬送装置26のドア29
が取り出し室12のドアに対向するように、原料搬送装
置26自身の位置が調整された後、取り出し室12のド
アがほぼ上方向にスライドして開放される。このとき、
同様に原料搬送装置26のドア29もスライドして開放
される。その後、原料搬送装置26内から新しい原料を
搭載したラック30が水素炉10内へ挿入されたり、逆
に、水素炉10内から水素粉砕処理を終えた原料を搭載
したラック30が原料搬送装置26内へ取り出されたり
する。水素処理の間、原料搬送装置26は取り出し室1
2の前に停止している必要はなく、他の搬送作業を実行
するために移動することができる。
【0068】[ロータリクーラ]次に、図4〜図6を参
照しながら、本発明によるロータリクーラの実施形態を
説明する。図4は、ロータリクーラの外観を示し、図5
(a)は矢印Bの部分における断面構成を示し、(b)
は矢印Cの部分における断面構成を示している。また、
図6は、ロータリクーラ40の内部構造を模式的に示し
ている。
【0069】水素処理を終えた原料は、大気に直接接触
しないようにして原料搬送装置26内にラック30ごと
戻された後、ロータリクーラ40が設置されている場所
にまで搬送される。このとき、水素粉砕された原料の温
度は部分的に50〜60℃程度にあるため、この温度を
速やかに低下させる目的でロータリクーラ40による原
料の冷却処理を行う。特に、原料パックの露出表面部分
における原料の温度は水素炉内での冷却によって常温程
度に低下していたとしても、原料パックから原料を取り
出し、攪拌などすると、原料パックの内部に位置してい
た原料と大気が接触し、酸化反応が生じて発熱すること
がある。このような事態を避けるには、ロータリクーラ
40によって原料の全体を充分に冷却することが望まし
い。
【0070】本実施形態にかかるロータリクーラ40
は、図4〜図6に示すように、内部にスパイラル状の内
壁(フィン)44aおよび44bを有する冷却筒42
と、冷却筒42に対する散水を行って原料を冷却するこ
とのできる散水装置46とを備えている。冷却筒42
は、支持機構53および54等によって回動可能に支持
され、モータ50によって回転される。モータ50の駆
動力は、図5(a)に示すようなベルト51を介して冷
却筒42に伝達される。
【0071】冷却筒42は、両端が原料投入部48と原
料排出部49に連結され、原料投入部48が原料排出部
49より上方に位置するように水平方向(床面Dに平行
な方向)に対して傾斜している(傾斜角:2〜10
°)。このため、冷却筒42の回転に従って冷却筒42
内の原料粉末を原料投入部48から原料排出部49に向
けて搬送することができる。
【0072】本実施形態に係る冷却筒42の外径は約1
200mmであり、その長さは約6〜7mである。冷却
筒42は、錆び等が混入しないように、例えばSUS3
04等のステンレス鋼から作製されることが好ましい。
【0073】この冷却筒42は、原料投入部48から供
給された原料粉末を溜めるためのバッファゾーンと、原
料を効率良く冷却するための冷却ゾーンとに分かれてい
る。バッファゾーンは、ひとつの大きな筒体(内径:例
えば650mm)の内壁に螺旋状のフィンが取り付けら
れた構成を有している。これに対して、冷却ゾーンは、
図5(b)および図6に示すように、内部に多数の細筒
(内径:例えば150mm)420を含み、散水装置4
6から放出された水によって冷却されやすい構造を有し
ている。冷却ゾーン中の細筒420内にも螺旋状のフィ
ン44bが設けられている。このように筒体内部を細分
化している理由は、原料のできるだけ多くの部分を細筒
420の内周壁部分に接触させ、散水による冷却を効率
的に実行するためである。
【0074】ロータリクーラ40の内部では原料が攪拌
されるため、大気と接触すると、酸化・発熱が生じるお
それがある。このため、本実施形態では、冷却筒42内
に不活性ガスを供給した状態で冷却プロセスを実行す
る。なお、酸化・発熱防止の観点から、冷却筒42の原
料投入部48は、次に説明する自動取り出し装置に連結
されていることが好ましい。
【0075】原料排出部49は、冷却済みの原料をロー
タリクーラ40の外部(大気雰囲気中)へ取り出すため
の開口部であり、この開口部の近傍には温度センサが取
り付けられている。ロータリクーラ40によって充分に
冷却された原料は、原料排出部49から取り出された
後、微粉砕装置に運ばれ、そこで微粉砕処理を受けるこ
とになる。
【0076】上記構成のロータリクーラによれば、例え
ば500kgの原料を冷却処理するのに必要な時間は、
30〜50分程度になる。冷却筒42の回転速度は、図
6に示すように、排出部49の近傍に設けた温度センサ
60の出力に応じて、例えば2〜8r.p.mの範囲で
最適な値に制御される。温度センサー60の出力はコン
トロール回路62に伝えられ、原料の温度が高い場合に
は、モータコントローラ64によってモータ50の回転
速度を遅くし、それによって十分な冷却を達成するよう
にする。この結果、原料は一定レベルの温度以下に確実
に冷却されることになる。
【0077】[自動取り出し装置]自動取り出し装置
は、水素粉砕処理を受けた原料を原料搬送装置26から
取り出して、ロータリクーラ40の原料投入口48に供
給する装置である。このような取り出しの段階では、原
料パック32に充填された原料の内部は、比較的に高温
かつ活性な状態にある可能性があり、大気中で原料パッ
ク32から原料を取り出すと、酸化・発熱が生じるおそ
れがある。もっとも、水素炉10内部で原料を充分に冷
却した場合、取り出し時における発熱の可能性は低下す
るが、水素炉10の使用時間が増大するためスループッ
トが低下してしまう。そこで、本実施形態では、原料パ
ック32から原料を取り出す作業を不活性雰囲気中で実
行することとしている。
【0078】図9は、自動取り出し装置の実施例を示し
ている。この装置には、ラック30を載せて運ぶ第1の
ベルト91と、原料取り出しによって空になったパック
32を載せて装置外へ運ぶ第2のベルト92とが用いら
れている。
【0079】ラック30の図中後方にはパック32を前
方(図の手前方向)へ押し出すためのプッシャー(不図
示)が設けられており、ラック32に搭載された複数の
パック32はプッシャーによって順次前方(図の手前方
向)へ押し出される。押し出されたパック32は、支持
軸を中心に回動するロボットアーム90によって把持さ
れた後、支持軸の回転に伴って、ロータリクーラの投入
口48の上方に搬送され、そこで上下逆方向に回転され
る。こうして、パック32内の原料はロータリクーラ内
に投入され、冷却処理を受けることになる。なお、ロボ
ットアーム90の動作は、あらかじめ設定されたプログ
ラムに従って実行される。
【0080】本実施形態に係る自動取り出し装置は、ほ
ぼ密閉された空間を形成するように外部から仕切られた
ハウジングを備えており、このハウジングには、水素粉
砕された原料をラック30ごと受け取るための開口部
(不図示)が設けられており、この開口部はドアによっ
て開閉される。装置には、不活性ガスを供給するための
導管が接続され、原料の取り出し作業は、アルゴン(A
r)などの不活性雰囲気中で実行される。このため、原
料である希土類磁性材料の酸化が抑制される。
【0081】水素粉砕された原料を原料パック32内か
らロータリクーラ40に移動させる際、原料パック32
の内部または奥底に位置していた原料が雰囲気ガスと接
触することになるが、雰囲気ガスが不活性ガスであるた
め、酸化反応が生じることはない。
【0082】[磁石の製造方法]以下に、本発明による
磁石の製造方法の実施形態を説明する。
【0083】まず、公知のストリップキャスト法で所望
の組成を有するR−T−(M)−B系磁石用合金の原料
合金を用意し、所定の容器に保管しておく。ストリップ
キャスト法で作製されたとき、この原料合金の厚さは
0.03mm以上10mm以下の範囲にある。このスト
リップキャスト合金は、短軸方向サイズが0.1μm以
上100μm以下で長軸方向サイズが5μm以上500
μm以下のR214B結晶粒と、R214B結晶粒の粒界
に分散して存在するRリッチ相とを含有する。Rリッチ
相の厚さは10μm以下である。原料合金は、水素処理
の前において、平均粒径1〜10mmのフレーク状に粗
粉砕されていることが好ましい。ストリップキャスト法
による原料合金の製造方法は、例えば、米国特許第5,
383,978に開示されている。
【0084】次に、粗粉砕された原料合金を複数の原料
パック32に充填し、ラック30に搭載する。この後、
前述の原料搬送装置26を用いて、原料パック32が搭
載されたラック30を水素炉10の前まで搬送し、水素
炉10の内部へ挿入する。このときは、取り出し室12
および原料搬送装置26の内部に不活性ガスを充満させ
ておく必要はない。
【0085】次に、水素炉10の蓋体18を閉じ、水素
粉砕処理を開始する。水素粉砕処理は、例えば図7に示
するような温度プロファイルに従って実行する。図7の
例では、まず真空引き過程Iを0.5時間実行した後、
水素吸蔵過程IIを2.5時間実行する。水素吸蔵過程II
では、炉内に水素ガスを供給し、炉内を水素雰囲気にす
る。そのときの、水素圧力は、200〜400kPa程
度が好ましい。
【0086】続いて、0〜3Pa程度の減圧下で脱水素
過程IIIを5.0時間実行した後、アルゴンガスを炉内
に供給しつつ、原料の冷却過程IVを5.0時間実行す
る。
【0087】冷却過程IVにおいて炉内の雰囲気温度が比
較的に高い段階(例えば、100℃を超えるとき)で
は、常温の不活性ガスを水素炉10の内部に供給し、冷
却する。その後、原料温度が比較的低いレベルに低下し
た段階(例えば、100℃以下のとき)で、常温よりも
低い温度(例えば室温マイナス10℃程度)に冷却した
不活性ガスを水素炉10内部に供給することが冷却効率
の観点から好ましい。アルゴンガスの供給量は、10〜
100Nm3/min程度にすればよい。
【0088】原料の温度が20〜25℃程度にまで低下
したら、ほぼ常温(室温よりも低いが、室温との差が5
℃以下の範囲の温度)の不活性ガスを水素炉10内部に
送風し、原料の温度が常温レベルに達するのを待つこと
が好ましい。こうすることによって、水素炉10の蓋体
18を開放した際に、炉内部で結露が生じる事態を避け
ることができる。結露によって炉内部に水分が存在して
いると、真空引き工程でその水分が凍結・気化するた
め、真空度を上昇させにくくなり、真空引き過程Iに要
する時間が長くなってしまうので好ましくない。
【0089】取り出し工程は、以下の手順で行われる。
【0090】まず、原料搬送装置26を水素炉10の取
り出し室12に対して実質的に連結させる。そして、原
料搬送装置26および取り出し室12の双方の内部に不
活性ガスを充満させる。原料搬送装置26と取り出し室
12との間にどうしても大きな隙間が形成されてしまう
場合は、この隙間の空間を蛇腹状の囲いで覆うようにし
てもよい。そのような蛇腹状の囲いは、原料搬送装置2
6または取り出し室12の何れか一方に伸縮可能な状態
で取り付けておけばよい。
【0091】原料搬送装置26および取り出し室12の
内部に対して不活性ガスが充分に供給された段階で、水
素炉10の蓋体18を開ける。そして、原料搬送装置の
アームを水素炉10内へ伸張させ、原料が充填された状
態の原料パック32をラック30ごと外部へ取り出す。
このようにすることで、水素粉砕後の原料が大気と接触
しなくなるため、原料が酸化・発熱することが防止さ
れ、磁石の磁気特性を大きく向上させることが可能にな
る。
【0092】なお、水素炉10の蓋体18を開けると、
炉内からアルゴンガスが取り出し室12内へ放出され
る。このため、取り出し室12の容積に比較して水素炉
10の容積が充分に大きい場合、取り出し室12内に前
もって不活性ガスを供給しておかなくとも、水素炉10
の蓋体18を開けることによって、水素炉10内から取
り出し室12へ酸化防止に充分な量の不活性ガスを供給
することができる。このような場合、水素炉10自体が
不活性ガスの供給手段として機能していると言える。
【0093】次に、原料搬送装置26をロータリクーラ
用自動取り出し装置の前まで搬送する。自動取り出し装
置によって、原料をラック30上の原料パック32から
ロータリクーラ40の原料投入口に供給する。原料は、
ロータリクーラ40内を移動しながら、散水によって冷
却され、原料排出口から排出される。このとき、ロータ
リクーラによって攪拌されるため、脆化した原料がより
細かく粉砕される。このように、ストリップキャスト合
金の場合、排出口から排出された原料をそのままジェッ
トミルで粉砕することが可能になる。
【0094】ここでは、原料の温度が水素炉10内で常
温程度に低下してから原料の取り出しを行う例について
の説明を行っているが、高温状態(例えば40〜80
℃)のまま原料を取り出しても、原料が大気と接触しな
いため特に深刻な酸化は生じない。このように高温状態
のまま原料を取り出す場合は、ロータリクーラ40によ
る冷却処理の時間を相対的に長くすれば良い。上記構成
を備えたロータリクーラ40によれば、効率的な冷却処
理が実現するため、水素炉10内での冷却に時間をかけ
ず、比較的高温の原料を取り出して、主たる冷却プロセ
スはロータリクーラ40で実行することが生産効率向上
の観点から好ましいと言える。
【0095】室温程度にまで冷却された原料粉末に対し
て、ジェットミルなどの粉砕装置を用いて更なる粉砕処
理を行い、原料の微粉末を製造することになる。この微
粉末に潤滑剤を混ぜた後、プレス成形装置を用いて粉末
を所望形状に成形すれば、プレス成形体が作製される。
このプレス成形体は、脱潤滑剤処理、焼結処理、冷却処
理、時効処理などの一連の処理を受け、希土類系合金の
焼結磁石の製造工程が終了する。
【0096】上記実施形態によれば、生産効率が向上す
るだけではなく、原料の酸化が防止される結果、磁気特
性が改善される。下記表1に磁気特性の改善例を呈示す
る。
【0097】
【表1】
【0098】ここで、Brは残留磁束密度、Hcbおよび
cjは保磁力、(BH)maxは最大エネルギー積、O2
焼結後の磁石中酸素濃度である。また、Brの単位は
[T]、Hcb、およびHcjの単位は[kA/m]、(B
H)maxの単位は[kJ/m3]、O2の単位は[pp
m]である。この表から、本発明による磁石中の酸素量
が低減され、その保磁力が向上していることがわかる。
【0099】なお、本発明は、希土類系磁石材料の水素
粉砕に限定されるわけではなく、他の磁石材料の水素処
理に適用しても充分な効果(例えば結露防止の効果)を
発揮することができる。
【0100】以上、ストリップキャスト合金について本
願発明を説明してきたが、本願発明の適用範囲はこれに
限定されない。例えば、特開平9−31609号公報に
記載されているような遠心鋳造法によって急冷凝固させ
た合金の粉砕に対しても、本発明は好適に適用される。
【0101】また、上記実施形態では、バッチ方式の炉
について本願発明を説明してきたが、本発明は、水素処
理室、加熱室、および冷却室などが直列的に配列された
連続炉を用いて実施しても良い。
【0102】
【発明の効果】本発明によれば、水素粉砕直後に原料と
大気とが接触する事態を避けることができるため、酸化
による原料の劣化が防止でき、磁気特性に優れた磁性粉
末を量産化することが可能となる。また、水素炉内での
冷却時間を短縮することが可能となるため、スループッ
トが改善される。更に、水素炉内への大気の進入が抑制
されるため、水素炉内の結露を防止することができ、炉
内の減圧に要する時間が短縮され、生産効率が向上す
る。
【0103】本発明は、合金組織が微細化され、粉末粒
子の表面に希土類元素が多く露出しやすい急冷凝固合金
の粉砕に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水素粉砕装置および原料搬送装置
の一実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明による水素粉砕装置および原料搬送装置
の一実施形態を示す上面図である。
【図3】複数の原料パックを搭載した状態のラックを示
す図である。
【図4】本発明によるロータリクーラの実施形態の外観
を示す側面図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明によるロータリ
クーラの実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明によるロータリクーラの実施形態の内部
構造を模式的に示す図である。
【図7】水素粉砕処理の温度プロファイルの一例を示す
グラフである。
【図8】本発明の水素粉砕装置に設けた取り出し室の一
構成例を示す模式図である。
【図9】本発明の自動取りだし装置の一構成例を示す模
式図である。
【符号の説明】
10 水素炉 12 取り出し室 14 炉本体 16 水素炉の取り出し口 18 蓋体 20 冷却装置 24 排気管 26 原料搬送装置 29 原料搬送装置のドア 30 ラック 32 原料パック 40 ロータリクーラ 42 冷却筒 44a スパイラル状の内壁(フィン) 44b スパイラル状の内壁(フィン) 46 散水装置 48 原料投入部 49 原料排出部 50 モータ 51 ベルト 55 支持機構 54 支持機構 420 冷却ゾーン中の細筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡山 克己 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 4K017 AA04 BA03 BA06 BB12 DA02 EA03 EA08 EK07 5E040 AA03 AA04 CA01 HB11 HB17 HB19 NN01 NN06 NN17

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類系磁性材料の水素粉砕処理を行う
    ための水素粉砕装置であって、 開口部を有する炉本体および前記開口部を閉じうる蓋部
    を備え、密閉可能な構造を有する水素炉と、 水素粉砕処理後の希土類系磁性材料を前記炉本体の開口
    部から取り出す際に一時的に前記希土類系磁性材料を囲
    む取出し室と、 前記取り出し室内に不活性ガスを供給するための不活性
    ガス供給手段とを備えていることを特徴とする水素粉砕
    装置。
  2. 【請求項2】 前記水素炉の前記蓋部は前記取り出し室
    内を移動することによって前記炉本体の開口部の開閉を
    行うことを特徴とする請求項1に記載の水素粉砕装置。
  3. 【請求項3】 前記取出し室は取り出し室用ドアを有し
    ており、前記取り出し室用ドアが閉じているときに前記
    取出し室は実質的に密閉された状態を形成しうる請求項
    1または2に記載の水素粉砕装置。
  4. 【請求項4】 常温の不活性ガスおよび冷却した不活性
    ガスを前記水素炉内に順次供給することができる冷却装
    置を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れ
    かひとつに記載の水素粉砕装置。
  5. 【請求項5】 回転可能に支持された冷却筒と、 前記冷却筒を冷却するための冷却手段と、 前記冷却筒の回転速度を制御する制御手段と、 前記冷却筒に設けられた温度検知手段とを備え、 前記温度検知手段の出力に基づいて前記回転制御手段が
    前記冷却筒の回転速度を制御するロータリクーラ。
  6. 【請求項6】 請求項1から4の何れかひとつに記載の
    水素粉砕装置を用いて希土類系磁性材料を粉砕する水素
    粉砕処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から4の何れかひとつに記載の
    水素粉砕装置を用いて希土類系磁性材料を粉砕する水素
    粉砕処理工程と、 不活性ガスが供給された前記水素粉砕装置の取り出し室
    内に、前記水素粉砕装置から前記希土類系磁性材料を取
    り出す工程とを包含する希土類系磁性材料粉末の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 内部に不活性ガスを供給する手段を備え
    た搬送装置を用い、前記水素粉砕装置から取り出した前
    記希土類系磁性材料を受け取り、搬送する工程を更に包
    含する請求項7に記載の希土類系磁性材料粉末の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記水素粉砕装置の水素炉内に不活性ガ
    スを供給することによって、水素粉砕処理後の希土類系
    磁性材料を冷却する工程を包含することを特徴とする請
    求項7または8に記載の希土類系磁性材料粉末の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記水素粉砕装置の水素炉内に不活性
    ガスを供給するに際して、前記不活性ガスを循環使用す
    ることを特徴とする請求項9に記載の希土類系磁性材料
    粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記水素粉砕装置の水素炉内に不活性
    ガスを供給するに際して、前記不活性ガスとして、まず
    冷却処理を施した不活性ガスを使用して所定温度まで冷
    却し、次に室温近傍の温度を有する不活性ガスを使用し
    て冷却することを特徴とする請求項10に記載の希土類
    系磁性材料粉末の製造方法。
  12. 【請求項12】 不活性ガスで満たされた部屋内で前記
    搬送装置から前記希土類系磁性材料を取り出す工程を更
    に包含する請求項7から11の何れかひとつに記載の希
    土類系磁性材料粉末の製造方法。
  13. 【請求項13】 不活性ガスで満たされた冷却装置内で
    前記希土類系磁性材料を冷却する工程を更に包含する請
    求項7から11の何れかひとつに記載の希土類系磁性材
    料粉末の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1から4の何れかひとつに記載
    の水素粉砕装置を用いて希土類系磁性材料を粉砕する水
    素粉砕処理工程と、 不活性ガスが供給された前記水素粉砕装置の取り出し室
    内に、前記希土類系磁性材料を前記水素粉砕装置から取
    り出す工程と、 内部に不活性ガスが充填された搬送装置を用い、前記水
    素粉砕装置から取り出した前記希土類系磁性材料を搬送
    する工程と、 不活性ガスで満たされた部屋内で前記搬送装置から前記
    希土類系磁性材料を取り出し、不活性ガスで満たされた
    冷却装置内で前記希土類系磁性材料を冷却する工程と、 前記希土類系磁性材料を更に粉砕し、希土類系磁性材料
    の微粉末を作成する工程と、 前記希土類系磁性材料の微粉末を成形し、燒結すること
    によって磁石を作製する工程とを包含する磁石の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記水素粉砕装置の水素炉内に不活性
    ガスを供給することによって、水素粉砕処理後の希土類
    系磁性材料を冷却する工程を包含することを特徴とする
    請求項14に記載の磁石の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記水素粉砕装置の水素炉内に不活性
    ガスを供給するに際して、前記不活性ガスを循環使用す
    ることを特徴とする請求項15に記載の磁石の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 前記水素粉砕装置の水素炉内に不活性
    ガスを供給するに際して、前記不活性ガスとして、まず
    冷却処理を施した不活性ガスを使用して所定温度まで冷
    却し、次に室温近傍の温度を有する不活性ガスを使用し
    て冷却することを特徴とする請求項15または16に記
    載の磁石の製造方法。
  18. 【請求項18】 短軸方向サイズが0.1μm以上10
    0μm以下で長軸方向サイズが5μm以上500μm以
    下のR214B結晶粒(Rは希土類元素、Tは鉄、また
    は鉄および鉄の一部を置換した遷移金属元素、Bはボロ
    ンである)と、前記R214B結晶粒の粒界に分散して
    存在するRリッチ相とを含有しており、厚さが0.03
    mm以上10mm以下の希土類系磁性合金を炉内におい
    て水素脆化させる工程と、 不活性雰囲気中で前記合金を前記炉内から取り出す工程
    とを包含する希土類系磁性材料粉末の製造方法。
  19. 【請求項19】 合金溶湯を急冷することによって作製
    された厚さが0.03mm以上10mm以下の希土類系
    磁性合金であって、R214B結晶粒(Rは希土類元
    素、Tは鉄、または鉄および鉄の一部を置換した遷移金
    属元素、Bはボロンである)が厚さ方向に伸びている希
    土類系磁性合金を炉内において水素脆化させる工程と、 不活性雰囲気中で前記合金を前記炉内から取り出す工程
    とを包含する希土類系磁性材料粉末の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記合金を水素脆化させた後、前記合
    金を前記炉内で冷却する工程と、 前記合金を前記炉内から取り出した後、前記合金を冷却
    装置内に移動させ、前記合金を前記冷却装置内で冷却す
    る工程とを更に包含している請求項18または19に記
    載の希土類系磁性材料粉末の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記合金を水素脆化させる前に、前記
    合金を処理容器内に収容し、前記処理容器を前記炉内に
    挿入する工程を更に包含しており、 前記合金を前記炉内から取り出す工程においては、前記
    不活性雰囲気中で前記処理容器を前記炉内から取り出
    し、 前記合金を前記処理容器から分離した後、前記合金を前
    記冷却装置内で冷却する請求項20に記載の希土類系磁
    性材料粉末の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記不活性雰囲気はアルゴンまたはヘ
    リウムである請求項18または19に記載の希土類系磁
    性材料粉末の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記合金を前記炉内から取り出した
    後、前記合金を不活性雰囲気中で冷却する工程を更に包
    含する請求項18または19に記載の希土類系磁性材料
    粉末の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記合金の冷却は、前記不活性雰囲気
    中で前記合金を攪拌しながら実行する請求項23に記載
    の希土類系磁性材料粉末の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記合金の冷却は、前記不活性雰囲気
    中で前記合金を攪拌しながら実行する請求項20に記載
    の希土類系磁性材料粉末の製造方法。
  26. 【請求項26】 合金溶湯を急冷することによって作製
    された厚さが0.03mm以上10mm以下の希土類系
    磁性合金であって、R214B結晶粒(Rは希土類元
    素、Tは鉄、または鉄および鉄の一部を置換した遷移金
    属元素、Bはボロンである)が厚さ方向に伸びている希
    土類系磁性合金を炉内において水素脆化させる工程と、 前記合金を前記炉内から取り出した後、冷却装置内にお
    いて不活性雰囲気中で攪拌しながら冷却する工程とを包
    含する希土類系磁性材料粉末の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記冷却装置は、回転駆動される円筒
    状部材を有しており、前記合金の温度を検知する検知手
    段の出力に基づいて前記円筒状部材の回転速度を制御す
    る請求項26に記載の希土類系磁性材粉末の製造方法。
  28. 【請求項28】 請求項18から27の何れかひとつに
    記載の希土類系磁性材料粉末の製造方法によった得た希
    土類系磁性合金粉末を成形する工程と、 成形した前記希土類系磁性合金粉末を燒結する工程とを
    包含する磁石の製造方法。
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