JP2000306228A - 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法

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JP2000306228A
JP2000306228A JP11110363A JP11036399A JP2000306228A JP 2000306228 A JP2000306228 A JP 2000306228A JP 11110363 A JP11110363 A JP 11110363A JP 11036399 A JP11036399 A JP 11036399A JP 2000306228 A JP2000306228 A JP 2000306228A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非磁性マトリックス中に磁性微粒子が析出し
て磁気的に分離されてなる、いわゆるグラニュラー型の
磁気記録媒体における記録状態の熱擾乱を抑制し、高密
度記録が可能なグラニュラー型の磁気記録媒体を提供す
る。 【解決手段】 希土類酸化物、希土類窒化物、及び希土
類炭化物から選ばれる少なくとも1種の非磁性物質から
なるマトリックス中に、鉄(Fe)、コバルト(C
o)、及びニッケル(Ni)から選ばれる少なくとも1
種の元素と、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の
元素とからなる磁性微粒子が析出してなる、グラニュラ
ー型の磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
磁気記録媒体の製造方法に関し、さらに詳しくはハード
ディスクなどの高記録密度媒体などに好適に使用するこ
とのできる、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】情報社会の発展に伴い、高密度記録技術
の開発が切望されている。特に、ビット単価が安く、不
揮発かつ大容量記録の可能な磁気記録においては、高密
度記録の可能な磁気記録媒体の開発が強く要求され、種
々の研究開発によりここ数年で著しい高密度化が実現さ
れた。しかし、将来的に更なる進化が期待される情報化
社会において、例えば十年, 二十年先の市場要求に対応
できる技術的見通しは殆ど得られていない。この技術的
行き詰まりの最も大きな原因の一つに、現行磁気記録媒
体が抱える以下のような原理的問題がある。
【0003】現行の磁気記録媒体用薄膜は、CoCrを
主体とする合金薄膜であるが、この薄膜においては磁性
を担う微小領域の磁気的分離が不十分なため、磁気的に
結合した比較的に大きな磁気集団(クラスター) が形成
される。そのサイズはサブミクロンからミクロンオーダ
ーにも達する。現行の磁気記録技術における最小ビット
サイズがサブミクロンオーダーであり、上記磁気クラス
ターサイズと同程度であることを考えると、記録分解能
という点では既に限界に近づいているということができ
る。現行技術のこのような限界を打破するには, 記録媒
体内の磁性粒子を効率よく磁気絶縁し、磁気クラスター
の極小化を図る必要がある。
【0004】この間題に対する一つのブレークスルーと
して、グラニュラー型の磁気記録媒体が提案された。グ
ラニュラー媒体は、酸化物等の非磁性マトリクス中に磁
性微粒子を析出させた構造を有し、磁性粒子間が非磁性
物質の介在によりほぼ完全に磁気的に絶縁されている。
したがって、個々の粒子(10〜30nm程度) が最小の磁
化単位となり、少なくともこの程度のサイズまで微小な
高密度記録が可能となる。実際、最近の研究によれば、
SiO2 非磁性マトリクス中に磁性粒子を分散析出させ
たグラニュラー媒体において、高密度記録が可能なこ
と、そして粗大クラスター形成の回避によるノイズの顕
著な低減効果が確認されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、グラニ
ュラー型の磁気記録媒体は次世代高密度記録媒体として
大変有望な候補であるが、その反面、記録状態の熱擾乱
という一層深刻な問題を抱えている。一般に磁性体は、
結晶格子の空間的対称性を反映した結晶磁気異方性を示
す。例えば、六方最密構造を有するコバルトでは, 結晶
主軸(c軸)方向にスピンが向いた場合がもっとも磁気
的エネルギーが低く、その方向からずれるとエネルギー
が高くなり、直交方向では最大となる。つまり、外場に
よる強制がなければ、常にスピンはc軸方向の二方向の
いずれかを向くことになる。このスピンの向きの二値情
報を活用したものが、磁気記録の基本である。
【0006】一個の磁性粒子に着目した場合、その磁気
異方性エネルギーは、物質そのものにより決まる磁気異
方性定数に粒子体積を乗じたものが、全エネルギーとな
る。このエネルギーが安定方向へのスピン拘束度を支配
し、記録状態の保存につながるわけである。もし、磁性
粒子の体積が極端に小さくなり、磁気異方性エネルギー
が熱エネルギーと同程度になった場合を考えると、熱擾
乱によりスピンの向き(つまり記録状態) は常に揺らい
だものとなり、もはや記録状態を安定に維持できなくな
る。上記グラニュラー媒体は、極微小な粒子が非磁性物
によりほぼ完全に孤立化されてるため、この熱擾乱が極
めて深刻な問題となる。このために、グラニュラー媒体
では、記録情報の長期保存が困難となり、その実用化は
困難視されていた。
【0007】本発明は、非磁性マトリックス中に磁性微
粒子が析出して磁気的に分離されてなる、いわゆるグラ
ニュラー型の磁気記録媒体における記録状態の熱擾乱を
抑制し、高密度記録が可能なグラニュラー型の磁気記録
媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性の物質
からなるマトリックス中に、磁性微粒子が析出してなる
グラニュラー型の磁気記録媒体であって、前記磁性微粒
子は鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(N
i)から選ばれる少なくとも1種の元素と、4d遷移元
素、5d遷移元素、及び希土類元素から選ばれる少なく
とも1種の元素とからなることを特徴とする、磁気記録
媒体である。
【0009】本発明者らは、グラニュラー型の磁気記録
媒体の熱擾乱を抑制して、この媒体が潜在的に有してい
る高密度記録を達成すべく鋭意検討した。そして、広範
な材料探索の過程において、磁性微粒子の主成分である
Fe、Co、Niに対し、4d遷移元素、5d遷移元
素、又は希土類元素を所定量添加することによって、驚
くべきことに磁性微粒子の熱擾乱が著しく低減されるこ
とを見いだした。本発明は広範な研究過程において発見
された上記事実に基づいてなされたものである。
【0010】本発明によれば、非磁性物質からなるマト
リックス中における磁性微粒子の粒子サイズを、例えば
前記したような10〜30nm程度以下に微細化した場
合においても、以下の実施例において示すように十分大
きな磁気異方性を有するため、磁性微粒子の熱擾乱によ
る影響は極めて少ない。したがって、安定した高密度記
録が可能となり、信頼性に富むいわゆるグラニュラー型
の磁気記録媒体の提供が可能となる。
【0011】すなわち、本発明の磁性微粒子を構成する
4d遷移元素、5d遷移元素、及び希土類元素から選ば
れる少なくとも1種の元素は、3d遷移元素に比べ非常
に大きいスピンと軌道の相互作用を有し、同時にこれら
の元素の電子状態は主たる3d遷移元素のそれと強く混
成する。即ち、磁気モーメントを主として発現する3d
元素のスピンは、上記元素との強い混成、そしてスピン
−軌道相互作用を介して結晶格子状態(原子配列)を強
く感じることになる。特に磁性体表面に於ては、電子配
列の空間的対称性が破れるために、その効果は著るし
い。その結果、粒子表面には強い表面磁気異方性が現れ
る。以上述べたように、本発明の微粒子では3d系が磁
気モーメントを主に担い、4d,5d、希土類系がその
強いスピン−軌道相互作用により、全体の表面磁気異方
性を強調しているものと思われる。このような磁性微粒
子全体の表面磁気異方性の増加により保磁力が増大し、
更に、熱擾乱を生じさせることなく高密度記録が可能と
なったものと考えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を発明の実施の形態
に則して詳細に説明する。本発明のグラニュラー型の磁
気記録媒体における磁性微粒子は、Fe、Co、及びN
iから選ばれる少なくとも1種の元素と、4d遷移元
素、5d遷移元素、及び希土類元素から選ばれる少なく
とも1種の元素とからなることが必要である。
【0013】特に、前記磁性微粒子は、Fe、Co、及
びNiから選ばれる少なくとも1種の元素と、希土類元
素から選ばれる少なくとも1種の元素とからなることが
好ましい。これによって、本発明の磁気記録媒体におけ
る磁性微粒子の大きさをnmオーダにまで小さくしたよ
うな場合においても、磁性微粒子の熱擾乱を効果的に抑
制することができる。希土類元素は、その強いスピン−
軌道相互作用により、前記磁性微粒子の表面磁気異方性
を極めて大きくするためと考えられる。
【0014】上記のように、磁性微粒子をFeなどと希
土類元素とから構成する場合、以下に示すように、非磁
性物質は希土類金属の酸化物(以下、希土類酸化物とい
う)、希土類金属の窒化物(以下、希土類窒化物とい
う)、及び希土類の炭化物(以下、希土類炭化物とい
う)から選ばれる少なくとも1種から構成することが好
ましい。希土類元素は極めて反応性に富むため、非磁性
物質を他の材料、例えば二酸化珪素(SiO2 )や、ア
ルミナ(Al2 3 )などから構成すると、この酸素が
解離して磁性微粒子中の希土類元素と結合して酸化して
しまう。この結果、上記のような希土類元素を添加した
効果を十分に得ることができなくなってしまうからであ
る。
【0015】4d遷移元素としては、イットリウム
(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリ
ブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム
(Ru)、及びロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)
などを例示することができる。本発明の磁性微粒子の表
面磁気異方性をより向上させ、熱擾乱を防止してより高
密度な記録を可能とするためには、特にMo、Ru、R
h、又はPdを用いることが好ましい。
【0016】また、5d遷移元素としては、ルテチウム
(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タ
ングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(O
s)、イリジウム(Ir)、及び白金(Pt)などを例
示することができる。これらの中でも、前記同様に磁性
微粒子の熱擾乱を防止してより高密度な記録を可能とす
るためには、特に、W、Os、Ir、又はPtを用いる
ことが好ましい。
【0017】さらに、希土類元素としては、ランタノイ
ド系列であるランタン(La)、セリウム(Ce)、プ
ラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム
(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(E
u)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジ
スプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Y
b)及びルテチウム(Lu)の他、周期律表第3A族で
あるスカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)など
を例示することができる。前記同様に磁性微粒子の表面
磁気異方性を向上させて、熱擾乱を抑制し、さらなる高
密度記録を達成するためには、Ce、Pr、Nd、P
m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及び
Tmを使用することが好ましい。
【0018】本発明の磁気記録媒体における、上記4d
遷移元素などの含有量は、本発明の目的を達成すること
ができれば特に限定されるものではない。しかしなが
ら、前記磁性微粒子中における前記4d遷移元素、前記
5d遷移元素、及び前記希土類元素の含有量の下限は5
原子%であることが好ましく、さらには10原子%であ
ることが好ましい。前記4d遷移元素などの含有量の下
限を上記のように設定することによって、本発明の磁気
記録媒体を構成する磁気微粒子の表面磁気異方性をより
効果的に向上させ、常温、すなわち室温における保磁力
を十分に大きくすることができる。この結果、磁性微粒
子の熱擾乱の影響をほとんど無視することができるた
め、磁性微粒子の大きさをnmオーダの大きさにまで小
さくした場合においても、安定した記録が可能となる。
【0019】また、磁性微粒子中における、前記4d遷
移元素、前記5d遷移元素、及び前記希土類元素の含有
量の上限は75原子%であることが好ましく、さらには
55原子%であることが好ましい。4d遷移元素などの
含有量が上記値を超えてしまうと、磁性微粒子中に占め
るFe、Co、及びNiの含有量が相対的に減少してし
まう結果、磁性微粒子自体の磁化が減少してしまう。こ
の結果、磁気記録媒体に実際に書き込みを行った場合に
おいて、信号強度が減少してしまう場合がある。
【0020】本発明の磁気記録媒体中における非磁性物
質の含有量ついても、本発明の目的を達成することがで
きれば特に限定されるものではない。しかしながら、非
磁性の物質の磁気記録媒体中における含有量の下限は、
5体積%であることが好ましく、さらには40体積%で
あることが好ましく、特には50体積%であることが好
ましい。これによって、磁性微粒子の磁気的分離を極め
て完全に行うことができ、本発明の磁気記録媒体をグラ
ニュラー型のものとすることができる。また、非磁性物
質の磁気記録媒体中における含有量の上限は、80体積
%であることが好ましく、さらには70体積%であるこ
とが好ましい。非磁性物質の含有量が上記値を超える
と、磁気記録媒体中に占める磁性微粒子の含有量が減少
していまうため、グラニュラー型磁気記録媒体に特有の
高密度記録を行うことができなくなってしまう。
【0021】本発明の磁気記録媒体において、非磁性物
質として使用することのできる材料は特に限定されな
い。しかしながら、各種金属の酸化物、窒化物、及び炭
化物を用いることが好ましい。これによって、磁性微粒
子の磁気的分離を効率良く行なうことができる。また、
前記したように磁性微粒子をFeなどと希土類元素とか
ら構成する場合、非磁性物質は希土類酸化物、希土類窒
化物、及び希土類炭化物から選ばれる少なくとも1種で
あることが好ましい。これによって、磁性微粒子中にお
ける希土類元素の効果を十分に得ることができる。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、上述したように
室温において十分大きな保磁力を有し、これによって熱
擾乱を抑制することができる。熱擾乱を防止することが
できれば、前記保磁力の大きさは特に限定されない。し
かしながら、前記保持力の大きさが、800エルステッ
ド(Oe)以上であることが好ましく、さらには150
0エルステッド以上であることが好ましい。これによっ
て、磁性微粒子の大きさをnmオーダにまで小さくした
場合においても、熱擾乱を効果的に抑制することがで
き、安定した記録再生が可能となる。前記保磁力の値
は、磁気記録媒体における磁性微粒子の粒子サイズ、及
び磁性微粒子中における4d遷移元素などの含有量、さ
らには磁気記録媒体を作製する際の諸条件を適宜に設定
することによって達成することができる。例えば、以下
の実施例において示すように、Coと10原子%のW、
あるいはPtとから磁性微粒子を構成し、この磁性微粒
子の大きさを10〜20nmに形成することによって、
室温における保磁力を800エルステッド以上にするこ
とができる。
【0023】本発明によれば、グラニュラー型の磁気記
録媒体における熱擾乱を効果的に抑制することができる
ので、磁性微粒子を20nm以下、さらには15nm以
下、特には10nm以下にまで微細化して書き込むこと
ができる。したがって、従来は困難とされていた高密度
記録が可能となる。磁性微粒子の大きさの制御は、磁気
記録媒体を作製する際における基板温度や、成膜速度、
あるいは熱処理温度及びその時間を、適宜に設定するこ
とによって行うことができる。また、磁性微粒子を構成
するFeなどの含有量を非磁性物質に対して適宜に設定
したりすることによっても行うことができる。一般に、
磁性微粒子の大きさを小さくするためには、磁性金属元
素の含有率を低くしたり、基板温度あるいは熱処理温度
を低くしたりする。
【0024】本発明の磁気記録媒体の製造方法は特に限
定されるものではなく、あらゆる手法を用いて形成する
ことができる。しかしながら、膜厚制御の容易性や組成
の均一性、さらには作製時間を短くすることができると
いう観点から、真空蒸着法、イオンプレーティング法、
及びスパッタリング法などの物理蒸着法によって、基板
上に厚さ2〜100nmの薄膜状に形成することが好ま
しい。この場合においては、非磁性物質と、Fe、C
o、及びNiから選ばれる少なくとも1種の元素と、4
d遷移元素、5d遷移元素、及び希土類元素から選ばれ
る少なくとも1種とを含有してなる蒸発源を用いる。
【0025】スパッタリング法は組成制御性や膜全体に
おける特性が均一となるという観点から、本発明の磁気
記録媒体を作製するに当たって、特に好ましく用いるこ
とができる。したがって、この場合、蒸発源としてター
ゲットを用いる。ターゲットとしては、Fe又はCoな
どの金属ターゲット上に、非磁性物質からなるチップ、
並びに4d遷移元素などからなるチップを所定量載置し
た複合ターゲットや、あらかじめFeや4d遷移元素な
どが所定量に配合された合金ターゲット上に、非磁性物
質からなるチップを載置してなる複合ターゲットを用い
ることができる。特に、磁性微粒子をFeなどと希土類
元素とから構成し、非磁性物質を希土類酸化物、希土類
窒化物、又は希土類炭化物から構成する場合は、Feな
どと希土類元素などとが所定量に配合された合金ターゲ
ット上に、希土類酸化物などのチップを載置し、複合タ
ーゲットとして使用する。
【0026】そして、上記物理蒸着法によって前記元素
をランダムに含有してなる薄膜を形成した後、この薄膜
を好ましくは10-2torr、さらに好ましくは10-4
torr以上の真空度において、好ましくは400℃以
上、さらに好ましくは500℃以上で熱処理を行う。こ
れによって、前記非磁性物質からなるマトリックス中に
Feなどと4d遷移元素などとからなる磁性微粒子が析
出した、グラニュラー型の磁気記録媒体を作製すること
ができる。熱処理時間は、熱処理温度及び得ようとする
磁性微粒子の大きさに依存するが、一般には5〜60分
行う。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。 実施例1〜5 (磁気記録媒体の作製)直径100mmのCoターゲット
上にSiO2 チップ(直径10mm) を40個載置した。
さらに5d遷移元素であるW,Re,Os,Ir、及び
Ptのチップ(5mm角)を前記Coターゲット上に所定
量配置して、磁性微粒子中のWなどの含有量がX線光電
子分光法による分析の結果、10±2原子%となるよう
にした。また、基板には熱酸化Si(100) ウェハを用い
た。このような複合ターゲットに対して高周波マグネト
ロンスバッタリングを行ない、前記基板上に厚さ20±
3nmの薄膜を形成した。スバッタはアルゴンガスを用
いて行い、圧力は4mTorrに設定した。次いで、こ
のようにして得た薄膜に対して、1×10-6torr以下
の圧力の真空中において熱処理を実施し、磁気記録媒体
を作製した。なお、熱処理温度は600℃とし、処理時
間は30分とした。
【0028】(磁気記録媒体の特性評価)得られた磁気
記録媒体をX線光電子分光法によって分析したところ、
SiO2からなるマトリックス中に、Coと前記W、R
e,Os,Ir,又はPtとからなる磁性微粒子が析出
し、グラニュラー型の磁気記録媒体が作製されているこ
とが判明した。同じく、磁気記録媒体における二酸化珪
素の含有量をX線光電子分光法によって調べたところ、
65体積%であった。さらに、各磁気記録媒体の室温に
おける保磁力を試料振動型磁力計(VSM)によって調
べたところ、それぞれ表1に示すような値を示した。ま
た、各磁気記録媒体における磁性微粒子の大きさを透過
型電子顕微鏡によって実測したところ、それぞれ表1に
示すような値を示した。
【0029】得られた磁気記録媒体に記録密度200k
FCI(1インチ当たりの書込みビット数),トラック
幅2μmの条件で書き込みを行った。その後、この磁気
記録媒体を大気中、60℃で1週間放置した後、再生出
力の劣化を調べた。結果を表1に示す。
【0030】実施例6及び7 (磁気記録媒体の作製)Fe−9原子%Tb及びFe−
33原子%Tbの合金ターゲット上に、七酸化四テルビ
ウム(Tb4 7 )(直径10ミリ)を42個載置し
た。基板としては、実施例1〜6と同じ熱酸化Siウエ
ハ(100)を使用した。この基板に60Wの高周波バ
イアスを印加しながら、高周波マグネトロンスパッタリ
ングを実施し、前記基板上に厚さ50nmの薄膜を形成
した。スパッタは、実施例1〜5と同条件で実施した。
このようにして得られた薄膜に対して、実施例1〜5と
同じ条件で熱処理実施し、磁気記録媒体を作製した。
【0031】(磁気記録媒体の特性評価)得られた磁気
記録媒体をEPMA(電子線ブローブマイクロアナリシ
ス)法によって分析したところ、Tb酸化物を主体とす
るマトリックス中に、FeとTbとからなる磁性微粒子
が析出し、グラニュラー型の磁気記録媒体が作製されて
いることが判明した。同じく、磁気記録媒体における非
磁性Tb酸化物の含有量を飽和磁気モーメントから評価
したところ、50体積%であった。また、磁性微粒子中
におけるTbの含有量はそれぞれ表1に示すような値を
示した。さらに、各磁気記録媒体の室温に保磁力を(V
SM)によって調べたところ、それぞれ表1に示すよう
な値を示した。また、各磁気記録媒体における磁性微粒
子の大きさを透過型電子顕微鏡によって実測したとこ
ろ、それぞれ表1に示すような値を示した。
【0032】得られた磁気記録媒体に実施例1〜5と同
じ条件で書き込みを行った。その後、この磁気記録媒体
に実施例1〜5と同様の恒温試験を実施して再生出力特
性の劣化から、熱擾乱性の程度を評価した。結果を表1
に示す。
【0033】実施例8〜11 直径100mmのCoターゲット上にSiO2 チップ(直
径10mm) を40個載置した。さらに4d遷移元素であ
るMo,Ru,Rh,及びPdのチップ(5mm角)を前
記Coターゲット上に所定量配置して、磁性微粒子中の
Pdなどの含有量がX線光電子分光法による分析の結
果、10±2原子%となるようにした。また、基板には
熱酸化Si(100) ウェハを用いた。このような複合ター
ゲットに対して高周波マグネトロンスバッタリングを行
ない、前記基板上に厚さ20±3nmの薄膜を形成し
た。スバッタは、実施例1〜5と同じ条件で実施した。
次いで、実施例1〜5と同じ条件で前記薄膜に対して熱
処理を実施し、磁気記録媒体を作製した。
【0034】(磁気記録媒体の特性評価)得られた磁気
記録媒体をX線光電子分光法によって分析したところ、
SiO2からなるマトリックス中に、Coと前記Mo,
Ru,Rh,又はPdとからなる磁性微粒子が析出し、
グラニュラー型の磁気記録媒体が作製されていることが
判明した。同じく、磁気記録媒体におけるSiO2 の含
有量を飽和磁気モーメントから評価したところ、65体
積%であった。さらに、各磁気記録媒体の室温に保磁力
を(VSM)によって調べたところ、それぞれ表1に示
すような値を示した。また、各磁気記録媒体における磁
性微粒子の大きさを透過型電子顕微鏡によって実測した
ところ、それぞれ表1に示すような値を示した。
【0035】得られた磁気記録媒体に実施例1〜5と同
じ条件で書き込みを行った。その後、この磁気記録媒体
に実施例1〜5と同様の恒温試験を実施して再生出力特
性の劣化から、熱擾乱性の程度を評価した。結果を表1
に示す。
【0036】比較例 直径100mmのCoターゲット上にWなどのチップ(5
mm角)を載置することなく、Coのみからなる磁性微粒
子を二酸化珪素マトリックス中に析出させて、グラニュ
ラー型の磁気記録媒体を作製した。磁気記録媒体の作製
条件は前記実施例と同条件にて実施した。磁気記録媒体
の特性評価及び磁気記録媒体の熱擾乱性についても実施
例同様に評価した。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】以上、実施例1〜11及び比較例から明ら
かなように、本発明にしたがって磁性微粒子を、Coと
Pdなどの4d遷移元素、Wなどの5d遷移元素、又は
Tbなどの希土類元素とから構成することによって、磁
気記録媒体の保磁力が向上し、熱擾乱の影響を極めて小
さくできることが分かる。したがって、表1に示すよう
な大きさの磁性微粒子に対して書き込むことができ、高
密度記録が可能なことが分かる。
【0039】以上、具体例を示しながら発明の実施の形
態に則して本発明を説明してきたが、本発明は上記内容
に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない
範囲において、あらゆる変形や変更が可能である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体では、非磁性物質中にFe,Co,Niから選ばれ
る少なくとも1種の元素と、4d遷移元素、5d遷移元
素、及び希土類元素とから選ばれる少なくとも1種の元
素とからなる磁性微粒子を析出させた、グラニュラー型
を呈する。したがって、本発明の磁気記録媒体は磁性微
粒子を小さくした場合においても、室温において十分高
い保磁力を有する。このため、熱擾乱の影響が少なく、
安定な高密度記録が可能となる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月7日(1999.12.
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製
造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
磁気記録媒体の製造方法に関し、さらに詳しくはハード
ディスクなどの高記録密度媒体などに好適に使用するこ
とのできる、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】情報社会の発展に伴い、高密度記録技術
の開発が切望されている。特に、ビット単価が安く、不
揮発かつ大容量記録の可能な磁気記録においては、高密
度記録の可能な磁気記録媒体の開発が強く要求され、種
々の研究開発によりここ数年で著しい高密度化が実現さ
れた。しかし、将来的に更なる進化が期待される情報化
社会において、例えば十年, 二十年先の市場要求に対応
できる技術的見通しは殆ど得られていない。この技術的
行き詰まりの最も大きな原因の一つに、現行磁気記録媒
体が抱える以下のような原理的問題がある。
【0003】現行の磁気記録媒体用薄膜は、CoCrを
主体とする合金薄膜であるが、この薄膜においては磁性
を担う微小領域の磁気的分離が不十分なため、磁気的に
結合した比較的に大きな磁気集団(クラスター) が形成
される。そのサイズはサブミクロンからミクロンオーダ
ーにも達する。現行の磁気記録技術における最小ビット
サイズがサブミクロンオーダーであり、上記磁気クラス
ターサイズと同程度であることを考えると、記録分解能
という点では既に限界に近づいているということができ
る。現行技術のこのような限界を打破するには, 記録媒
体内の磁性粒子を効率よく磁気絶縁し、磁気クラスター
の極小化を図る必要がある。
【0004】この間題に対する一つのブレークスルーと
して、グラニュラー型の磁気記録媒体が提案された。グ
ラニュラー媒体は、酸化物等の非磁性マトリクス中に磁
性微粒子を析出させた構造を有し、磁性粒子間が非磁性
物質の介在によりほぼ完全に磁気的に絶縁されている。
したがって、個々の粒子(10〜30nm程度) が最小の磁
化単位となり、少なくともこの程度のサイズまで微小な
高密度記録が可能となる。実際、最近の研究によれば、
SiO2 非磁性マトリクス中に磁性粒子を分散析出させ
たグラニュラー媒体において、高密度記録が可能なこ
と、そして粗大クラスター形成の回避によるノイズの顕
著な低減効果が確認されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、グラニ
ュラー型の磁気記録媒体は次世代高密度記録媒体として
大変有望な候補であるが、その反面、記録状態の熱擾乱
という一層深刻な問題を抱えている。一般に磁性体は、
結晶格子の空間的対称性を反映した結晶磁気異方性を示
す。例えば、六方最密構造を有するコバルトでは, 結晶
主軸(c軸)方向にスピンが向いた場合がもっとも磁気
的エネルギーが低く、その方向からずれるとエネルギー
が高くなり、直交方向では最大となる。つまり、外場に
よる強制がなければ、常にスピンはc軸方向の二方向の
いずれかを向くことになる。このスピンの向きの二値情
報を活用したものが、磁気記録の基本である。
【0006】一個の磁性粒子に着目した場合、その磁気
異方性エネルギーは、物質そのものにより決まる磁気異
方性定数に粒子体積を乗じたものが、全エネルギーとな
る。このエネルギーが安定方向へのスピン拘束度を支配
し、記録状態の保存につながるわけである。もし、磁性
粒子の体積が極端に小さくなり、磁気異方性エネルギー
が熱エネルギーと同程度になった場合を考えると、熱擾
乱によりスピンの向き(つまり記録状態) は常に揺らい
だものとなり、もはや記録状態を安定に維持できなくな
る。上記グラニュラー媒体は、極微小な粒子が非磁性物
によりほぼ完全に孤立化されてるため、この熱擾乱が極
めて深刻な問題となる。このために、グラニュラー媒体
では、記録情報の長期保存が困難となり、その実用化は
困難視されていた。
【0007】本発明は、非磁性マトリックス中に磁性微
粒子が析出して磁気的に分離されてなる、いわゆるグラ
ニュラー型の磁気記録媒体における記録状態の熱擾乱を
抑制し、高密度記録が可能なグラニュラー型の磁気記録
媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性物質か
らなるマトリックス中に、磁性微粒子が析出してなるグ
ラニュラー型の磁気記録媒体であって、前記非磁性物質
は、希土類酸化物、希土類窒化物、及び希土類炭化物か
ら選ばれる少なくとも1種であって、前記磁性微粒子は
鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)
から選ばれる少なくとも1種の元素と、希土類元素から
選ばれる少なくとも1種の元素とからなることを特徴と
する、磁気記録媒体である。
【0009】本発明者らは、グラニュラー型の磁気記録
媒体の熱擾乱を抑制して、この媒体が潜在的に有してい
る高密度記録を達成すべく鋭意検討した。そして、広範
な材料探索の過程において、以下の事実を発見した。す
なわち、磁性微粒子の主成分であるFe、Co、Niに
対し、希土類元素を所定量添加する。そして、グラニュ
ラー型の磁気記録媒体を構成する非磁性物質マトリック
スを希土類酸化物、希土類窒化物、及び希土類炭化物か
ら選ばれる少なくとも1種から構成する。すると、驚く
べきことに磁性微粒子の熱擾乱が著しく低減されること
を見いだした。本発明は広範な研究過程において発見さ
れた上記事実に基づいてなされたものである。
【0010】本発明によれば、非磁性物質からなるマト
リックス中における磁性微粒子の粒子サイズを、例えば
前記したような10〜30nm程度以下に微細化した場
合においても、以下の実施例において示すように十分大
きな磁気異方性を有するため、磁性微粒子の熱擾乱によ
る影響は極めて少ない。したがって、安定した高密度記
録が可能となり、信頼性に富むいわゆるグラニュラー型
の磁気記録媒体の提供が可能となる。
【0011】このように安定した高密度記録のグラニュ
ラー型磁気記録媒体が得られる理由については明確では
ないが、以下のように考えられる。すなわち、本発明の
磁性微粒子を構成する希土類元素から選ばれる少なくと
も1種の元素は、3d遷移元素に比べ非常に大きいスピ
ンと軌道との相互作用を有し、同時にこれらの元素の電
子状態は主たる3d遷移元素のそれと強く混成する。そ
して、磁気モーメントを主として発現する3d元素のス
ピンは、上記元素との強い混成、そしてスピン−軌道相
互作用を介して結晶格子状態(原子配列)を強く感じる
ことになる。特に磁性体表面に於ては、電子配列の空間
的対称性が破れるために、その効果は著しく、粒子表面
には強い表面磁気異方性が現れる。
【0012】換言すれば、本発明の微粒子では3d系が
磁気モーメントを主に担い、希土類系がその強いスピン
−軌道相互作用により、全体の表面磁気異方性を強調す
る。そして、本発明においては、マトリックスをも非磁
性の希土類化合物から構成しているため、上記スピンー
軌道相互作用はさらに強くなり、これによって上記表面
磁気異方性がさらに増大するものと推察される。
【0013】また、希土類元素は極めて反応性に富むた
め、非磁性物質を他の材料、例えば二酸化珪素(SiO
2 )や、アルミナ(Al2 3 )などから構成すると、
この酸素が解離して磁性微粒子中の希土類元素と結合し
て酸化してしまう。しかしながら、本発明においては、
上記非磁性物質を前述したように希土類酸化物などから
構成している。したがって、希土類酸化物などを構成す
る酸素などは、この希土類酸化物を構成している希土類
自体と強く結合するため、前記希土類酸化物から解離し
なくなる。このため、磁性微粒子中における希土類元素
によるスピンー軌道相互作用はさらに増長され、これに
よって磁気記録媒体の表面磁気異方性はさらに増大す
る。この結果、磁性微粒子全体の表面磁気異方性の増加
により保磁力が増大し、更に、熱擾乱を生じさせること
なく高密度記録が可能となったものと考えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を発明の実施の形態
に則して詳細に説明する。本発明の磁気記録媒体におけ
る磁性微粒子を構成する希土類元素としては、ランタノ
イド系列であるランタン(La)、セリウム(Ce)、
プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウ
ム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(E
u)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジ
スプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Y
b)及びルテチウム(Lu)の他、周期律表第3A族で
あるスカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)など
を例示することができる。
【0015】前記同様に磁性微粒子の表面磁気異方性を
向上させて、熱擾乱を抑制し、さらなる高密度記録を達
成するためには、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びTmを使用す
ることが好ましい。
【0016】本発明の磁気記録媒体における、上記希土
類元素などの含有量は、本発明の目的を達成することが
できれば特に限定されるものではない。しかしながら、
前記磁性微粒子中における前記希土類元素の含有量の下
限は5原子%であることが好ましく、さらには10原子
%であることが好ましい。
【0017】前記希土類元素の含有量の下限を上記のよ
うに設定することによって、本発明の磁気記録媒体を構
成する磁気微粒子の表面磁気異方性をより効果的に向上
させ、常温、すなわち室温における保磁力を十分に大き
くすることができる。この結果、磁性微粒子の熱擾乱の
影響をほとんど無視することができるため、磁性微粒子
の大きさをnmオーダの大きさにまで小さくした場合に
おいても、安定した記録が可能となる。
【0018】また、磁性微粒子中における、前記希土類
元素の含有量の上限は75原子%であることが好まし
く、さらには55原子%であることが好ましい。前記希
土類元素の含有量が上記値を超えてしまうと、磁性微粒
子中に占めるFe、Co、及びNiの含有量が相対的に
減少してしまう結果、磁性微粒子自体の磁化が減少して
しまう。この結果、磁気記録媒体に実際に書き込みを行
った場合において、信号強度が減少してしまう場合があ
る。
【0019】本発明の磁気記録媒体中における非磁性物
質の含有量ついても、本発明の目的を達成することがで
きれば特に限定されるものではない。しかしながら、非
磁性の物質の磁気記録媒体中における含有量の下限は、
5体積%であることが好ましく、さらには40体積%で
あることが好ましく、特には50体積%であることが好
ましい。これによって、磁性微粒子の磁気的分離を極め
て完全に行うことができ、本発明の磁気記録媒体をグラ
ニュラー型のものとすることができる。
【0020】また、非磁性物質の磁気記録媒体中におけ
る含有量の上限は、80体積%であることが好ましく、
さらには70体積%であることが好ましい。非磁性物質
の含有量が上記値を超えると、磁気記録媒体中に占める
磁性微粒子の含有量が減少していまうため、グラニュラ
ー型磁気記録媒体に特有の高密度記録を行うことができ
なくなってしまう。
【0021】本発明の磁気記録媒体は、上述したように
室温において十分大きな保磁力を有し、これによって熱
擾乱を抑制することができる。熱擾乱を防止することが
できれば、前記保磁力の大きさは特に限定されない。し
かしながら、前記保持力の大きさが、800エルステッ
ド(Oe)以上であることが好ましく、さらには150
0エルステッド以上であることが好ましい。これによっ
て、磁性微粒子の大きさをnmオーダにまで小さくした
場合においても、熱擾乱を効果的に抑制することがで
き、安定した記録再生が可能となる。
【0022】前記保磁力の値は、磁気記録媒体における
磁性微粒子の粒子サイズ、及び磁性微粒子中における希
土類元素の含有量、さらには磁気記録媒体を作製する際
の諸条件を適宜に設定することによって達成することが
できる。
【0023】本発明によれば、グラニュラー型の磁気記
録媒体における熱擾乱を効果的に抑制することができる
ので、磁性微粒子を20nm以下、さらには15nm以
下、特には10nm以下にまで微細化して書き込むこと
ができる。したがって、従来は困難とされていた高密度
記録が可能となる。
【0024】磁性微粒子の大きさの制御は、磁気記録媒
体を作製する際における基板温度や、成膜速度、あるい
は熱処理温度及びその時間を、適宜に設定することによ
って行うことができる。また、磁性微粒子を構成するF
eなどの含有量を非磁性物質に対して適宜に設定したり
することによっても行うことができる。一般に、磁性微
粒子の大きさを小さくするためには、磁性金属元素の含
有率を低くしたり、基板温度あるいは熱処理温度を低く
したりする。
【0025】本発明の磁気記録媒体の製造方法は特に限
定されるものではなく、あらゆる手法を用いて形成する
ことができる。しかしながら、膜厚制御の容易性や組成
の均一性、さらには作製時間を短くすることができると
いう観点から、真空蒸着法、イオンプレーティング法、
及びスパッタリング法などの物理蒸着法によって、基板
上に厚さ2〜100nmの薄膜状に形成することが好ま
しい。この場合においては、希土類酸化物、希土類窒化
物、及び希土類炭化物から選ばれる少なくとも1種の非
磁性物質と、Fe、Co、及びNiから選ばれる少なく
とも1種の元素と、希土類元素から選ばれる少なくとも
1種とを含有してなる蒸発源を用いる。
【0026】スパッタリング法は組成制御性や膜全体に
おける特性が均一となるという観点から、本発明の磁気
記録媒体を作製するに当たって、特に好ましく用いるこ
とができる。したがって、この場合、蒸発源としてター
ゲットを用いる。ターゲットとしては、Fe又はCoな
どの金属ターゲット上に、希土類酸化物などの非磁性物
質のチップ、並びに希土類元素などからなるチップを所
定量載置した複合ターゲットや、あらかじめFeや希土
類元素などが所定量に配合された合金ターゲット上に、
非磁性物質のチップを載置してなる複合ターゲットを用
いることができる。特に、本発明の磁気記録媒体を作製
するに当たっては、後者の形態の複合ターゲットを用い
ることが好ましい。
【0027】そして、上記物理蒸着法によって前記元素
をランダムに含有してなる薄膜を形成した後、この薄膜
を好ましくは10-2torr、さらに好ましくは10-4
torr以上の真空度において、好ましくは400℃以
上、さらに好ましくは500℃以上で熱処理を行う。こ
れによって、前記非磁性物質からなるマトリックス中に
Feなどと希土類元素とからなる磁性微粒子が析出し
た、グラニュラー型の磁気記録媒体を作製することがで
きる。熱処理時間は、熱処理温度及び得ようとする磁性
微粒子の大きさに依存するが、一般には5〜60分行
う。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。 実施例1及び2 (磁気記録媒体の作製)Fe−9原子%Tb及びFe−
33原子%Tbの合金ターゲット上に、七酸化四テルビ
ウム(Tb4 7 )(直径10ミリ)を42個載置し
た。基板としては、熱酸化Siウエハ(100)を使用
した。この基板に60Wの高周波バイアスを印加しなが
ら、高周波マグネトロンスパッタリングを実施し、前記
基板上に厚さ50nmの薄膜を形成した。スパッタは、
アルゴンガスを用いて行い、圧力は4mTorrに設定
した。このようにして得た薄膜に対して、1×10―6
Torr以下の圧力の真空中において熱処理を実施し、
磁気記録媒体を作製した。なお、熱処理温度は600℃
とし、処理時間は30分とした
【0029】(磁気記録媒体の特性評価)得られた磁気
記録媒体をEPMA(電子線ブローブマイクロアナリシ
ス)法によって分析したところ、Tb酸化物を主体とす
るマトリックス中に、FeとTbとからなる磁性微粒子
が析出し、グラニュラー型の磁気記録媒体が作製されて
いることが判明した。同じく、磁気記録媒体における非
磁性Tb酸化物の含有量を飽和磁気モーメントから評価
したところ、50体積%であった。また、磁性微粒子中
におけるTbの含有量はそれぞれ表1に示すような値を
示した。さらに、各磁気記録媒体の室温に保磁力を(V
SM)によって調べたところ、それぞれ表1に示すよう
な値を示した。また、各磁気記録媒体における磁性微粒
子の大きさを透過型電子顕微鏡によって実測したとこ
ろ、それぞれ表1に示すような値を示した。
【0030】得られた磁気記録媒体に記録密度200k
FCI(1インチ当たりの書き込みビット数)、トラッ
ク幅2μmの条件で書き込みを行ったその後、この磁気
記録媒体を大気中、60℃で1週間放置した後、再生出
力の劣化を調べた。結果を表1に示す。
【0031】比較例 直径100mmのCoターゲット上にWなどのチップ(5
mm角)を載置することなく、Coのみからなる磁性微粒
子を二酸化珪素マトリックス中に析出させて、グラニュ
ラー型の磁気記録媒体を作製した。磁気記録媒体の作製
条件は前記実施例と同条件にて実施した。磁気記録媒体
の特性評価及び磁気記録媒体の熱擾乱性についても実施
例同様に評価した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】以上、実施例1及び2、並びに比較例から
明らかなように、本発明にしたがって磁性微粒子を、C
oとTbなどの希土類元素とから構成することによっ
て、磁気記録媒体の保磁力が向上し、熱擾乱の影響を極
めて小さくできることが分かる。したがって、表1に示
すような大きさの磁性微粒子に対して書き込むことがで
き、高密度記録が可能なことが分かる。
【0034】以上、具体例を示しながら発明の実施の形
態に則して本発明を説明してきたが、本発明は上記内容
に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない
範囲において、あらゆる変形や変更が可能である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体では、非磁性物質中にFe,Co,Niから選ばれ
る少なくとも1種の元素と、希土類元素から選ばれる少
なくとも1種の元素とからなる磁性微粒子が析出した、
グラニュラー型を呈する。したがって、本発明の磁気記
録媒体は磁性微粒子を小さくした場合においても、室温
において十分高い保磁力を有する。このため、熱擾乱の
影響が少なく、安定な高密度記録が可能となる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性物質からなるマトリックス中に、
    磁性微粒子が析出してなるグラニュラー型の磁気記録媒
    体であって、前記磁性微粒子は鉄(Fe)、コバルト
    (Co)、及びニッケル(Ni)から選ばれる少なくと
    も1種の元素と、4d遷移元素、5d遷移元素、及び希
    土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる
    ことを特徴とする、磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記4d遷移元素は、モリブデン(M
    o)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、又はパ
    ラジウム(Pd)であることを特徴とする、請求項1に
    記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記5d遷移元素は、タングステン
    (W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、又
    は白金(Pt)であることを特徴とする、請求項1又は
    2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記非磁性物質は、酸化物、窒化物、及
    び炭化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 前記非磁性物質は、希土類酸化物、希土
    類窒化物、及び希土類炭化物から選ばれる少なくとも1
    種であって、前記磁性微粒子は鉄(Fe)、コバルト
    (Co)、及びニッケル(Ni)から選ばれる少なくと
    も1種の元素と、希土類元素から選ばれる少なくとも1
    種の元素とからなることを特徴とする、請求項1〜4の
    いずれか一に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記希土類元素は、セリウム(Ce)、
    プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウ
    ム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(E
    u)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジ
    スプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
    ム(Er)、又はツリウム(Tm)であることを特徴と
    する、請求項1〜5のいずれか一に記載の磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 前記磁性微粒子における4d遷移元素、
    5d遷移元素、及び希土類元素から選ばれる前記少なく
    とも1種の元素の含有量が5〜75原子%であることを
    特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の磁気記
    録媒体。
  8. 【請求項8】 磁気記録媒体中における前記非磁性物質
    の含有量が5体積%以上であることを特徴とする、請求
    項1〜7のいずれか一に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 磁気記録媒体中における前記非磁性物質
    の含有量が40〜70体積%であることを特徴とする、
    請求項8に記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 室温における保磁力(Hc)が800
    エルステッド(Oe)以上であることを特徴とする、請
    求項1〜9のいずれか一に記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記磁性微粒子の平均粒径が20nm
    以下であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれ
    か一に記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 非磁性物質と、鉄(Fe)、コバルト
    (Co)、及びニッケル(Ni)から選ばれる少なくと
    も1種の元素と、4d遷移元素、5d遷移元素、及び希
    土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有し
    てなる蒸発源から、物理蒸着法によって、基板上に前記
    非磁性物質を構成する元素と、鉄(Fe)、コバルト
    (Co)、及びニッケル(Ni)から選ばれる前記少な
    くとも1種の元素と、4d遷移元素、5d遷移元素、及
    び希土類元素から選ばれる前記少なくとも1種の元素と
    がランダムに配列してなる薄膜を形成した後、この薄膜
    を10 -2torr以上の真空度において、400℃以上
    で熱処理を行い、前記非磁性物質からなるマトリックス
    中に、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル
    (Ni)から選ばれる前記少なくとも1種の元素と、4
    d遷移元素、5d遷移元素、及び希土類元素から選ばれ
    る前記少なくとも1種の元素とからなる磁性微粒子を析
    出させることを特徴とする、グラニュラー型の磁気記録
    媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記蒸発源はターゲットであり、前記
    物理蒸着法はスパッタリング法であることを特徴とす
    る、請求項12に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記非磁性物質は、希土類酸化物、希
    土類窒化物、及び希土類炭化物から選ばれる少なくとも
    1種であって、前記ターゲットは、前記非磁性物質を構
    成する希土類酸化物、希土類窒化物、及び希土類炭化物
    から選ばれる前記少なくとも1種からなるチップを、鉄
    (Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)か
    ら選ばれる前記少なくとも1種の元素と、希土類元素か
    ら選ばれる前記少なくとも1種の元素とからなる合金タ
    ーゲット上に載置してなる複合ターゲットであることを
    特徴とする、請求項13に記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
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