JP2000306799A - 荷電粒子線露光装置 - Google Patents

荷電粒子線露光装置

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JP2000306799A JP11100894A JP10089499A JP2000306799A JP 2000306799 A JP2000306799 A JP 2000306799A JP 11100894 A JP11100894 A JP 11100894A JP 10089499 A JP10089499 A JP 10089499A JP 2000306799 A JP2000306799 A JP 2000306799A
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charged particle
particle beam
exposure apparatus
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Atsushi Yamada
篤志 山田
Koichi Kamijo
康一 上條
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏向器において発生する4重収差を低減した
荷電粒子線露光装置を提供する。 【解決手段】 図示されない照明光学系によりマスク3
が照射され、その上のパターンを通過した電子線が2つ
のレンズ1、2により、ウェハ上に結像され、マスク3
上のパターンをウェハ4上に縮小転写する。レンズ1と
レンズ2の間には、散乱線をカットするための散乱アパ
ーチャー5が設けられている。C1〜C8、P1〜P4
からなる偏向器7の内、少なくとも1つの偏向器の偏向
器コイルの見こみ半角とA-Turn値が、当該偏向器によ
って発生する磁場の3θ成分、5θ成分だけでなく、7
θ成分がほとんど発生しないように設定されている。よ
って、偏向器において発生する4重収差が低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子線を用い
て、マスク又はレチクルに形成されたパターンをウェハ
等の感応基板に露光転写する荷電粒子線露光装置に関す
るものであり、さらに詳しくは、偏向収差の少ない荷電
粒子線露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の荷電粒子線露光装置の露光方式は
概ね以下の3種に分類される。 (1) スポットビーム露光方式 (2) 可変成形露光方式 (3)ブロック露光方式 これらの露光方式は従来の光による一括転写方式に比較
して、解像度において非常に優位性があるが、スループ
ットにおいて大きく劣っていた。特に(1)、(2)の露光方
式では、非常に小さいスポット径や矩形ビームでパター
ンをなぞるようにして露光を行うため、スループットは
制限される。また、(3)のブロック露光方式はスループ
ットを改善するために開発された方式であり、定型化さ
れたパターンをマスク化し、その部分については一括露
光することにより、スループットを改善している。とこ
ろが、この方式においてもマスク化されるパターン数が
制限されるため、可変成形露光方式を併用せざるを得
ず、そのため、スループットは期待ほどには向上できて
いない。
【0003】このように従来の荷電粒子線露光装置の欠
点であるスループットを向上させるために、レチクルの
一部を一括して試料上に投影露光する分割投影転写方式
の露光装置の開発が進められている。
【0004】この分割投影転写方式の露光装置を図7及
び図8に従って説明する。図7は分割露光の単位を示す
図である。まず、転写体(通常はウェハである)上には
複数のチップが形成され、さらにチップはストライプ
に、ストライプはサブフィールドに分割される。レチク
ル等の被転写体も同様に分割されている。
【0005】分割投影露光装置では通常、図8に示すよ
うな方法で露光が行われる。まず、レチクルステージと
ウェハステージは対応するストライプの中心を縮小比に
従った速度で定速移動する。電子線はレチクル上のサブ
フィールドを照明し、レチクル上に形成されたパターン
は、投影光学系によって試料上に投影露光される。
【0006】そして、電子線をレチクルステージの進行
方向と略直角な方向に偏向させ、順次、一列に配置され
たサブフィールドの投影露光を行う。一列のサブフィー
ルドの投影露光が終了すると、次の列のサブフィールド
の投影露光を開始するが、その際、図8に示すように電
子線の偏向方向を逆にして、順次サブフィールドの投影
露光を行うことにより、スループットを上げるようにし
ている。
【0007】このような方法で露光が行われるため、従
来の荷電粒子線露光装置と比較すると、サブフィールド
領域が一括露光され、またレチクルには露光すべきパタ
ーンが全て形成されているため、非常にスループットを
向上させることができる。
【0008】この露光方式で使用するレチクルは、光を
使用した露光装置の場合とは異なり、サブフィールド部
(パターン部)とその周辺の梁部(以下ストラットと呼
ぶ)に分割されている。梁部はレチクル自体の強度を保
つためや、照明ビームが確実に露光すべきサブフィール
ドのみを選択するための目的で設けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】こうした電子線を用い
た露光装置の場合、偏向器コイルの見込み半角や、各偏
向器コイルに流す電流の設定によっては、偏向器から偏
向場以外の磁場も同時に発生する。光軸周りの回転角を
θとした円筒座標系(z,r,θ)で磁場分布を表すと、偏向
場は最低次の三角関数 Cos[θ]、Sin[θ]に比例するし
た成分の結合の形で表されるが、偏向場以外の磁場はCo
s[3θ]、Sin[3θ]、Cos[5θ]、Sin[5θ]等の奇数次の三
角関数に比例した成分の結合で表される。
【0010】これらの高次成分は、電子線の偏向には寄
与しないが、いわゆる「4重収差」とよばれる一群の収
差を発生する。これらの4重収差により電子線の像がボ
ケたり、転写領域の形状が歪んだりすることは、ウェハ
面上に形成される集積回路の断線や、形状の変化を引き
起こし好ましくない。従来、これらの4重収差は、3θ
成分や、5θ成分がほぼ0となるように設計された偏向
器からも発生するため、偏向器の組み立て誤差により3
θ成分や、5θ成分が設計者の意図したように消えてい
ないことから生じていると考えられ、コイルの加工精度
や、組み立て精度の向上が試みられてきたが、これらに
よっても十分な成果が得られていなかった。
【0011】このような問題は、電子線露光装置だけで
なく、他の荷電粒子線露光装置においても起こりうる問
題である。本発明はこのような事情に鑑みてなされたも
ので、偏向器において発生する4重収差を低減した荷電
粒子線露光装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、3θ成分
や、5θ成分がほぼ0となるように設計された偏向器に
おいても4重収差が残るのは、コイルの加工精度や、組
み立て精度以外の原因によるものではないかと考え、研
究を行った結果、3θ成分、5θ成分の発生しないよう
な偏向器を使用した場合でも7θ成分により無視できぬ
大きさの4重収差が発生することを数値計算により確か
めることができた。本発明は、この知見に基づいてなさ
れたものである。
【0013】すなわち、前記課題を解決するための第1
の手段は、マスク又はレチクル上のパターンを感応基板
上に転写する方式の荷電粒子線露光装置であって、少な
くとも1つの偏向器の偏向器コイルの見こみ半角とAmpe
re Turn値が、当該偏向器によって発生する磁場の3θ
成分、5θ成分だけでなく、7θ成分がほとんど発生し
ないように設定されていることを特徴とする荷電粒子線
露光装置(請求項1)である。
【0014】前記のように、発明者らの数値計算の結果
によれば、当該偏向器によって発生する磁場の7θ成分
が、4重収差の発生に寄与していることが分かった。よ
って、偏向器の偏向器コイルの配置(見こみ半角)とAm
pere Turn値を、磁場の3θ成分、5θ成分だけでな
く、7θ成分がほとんど発生しないように設定すること
により、4重収差をほぼ0とすることができる。なお、
「ほとんど発生しない」とは、荷電粒子線露光装置に設
計上許される範囲内の4重収差であれば、完全に発生し
ない状態でなくてもよいということであり、「ほとん
ど」の程度は、当業者が容易に決定できるものである。
【0015】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段であって、少なくとも1つの偏向器が、
見込み半角θiがほぼ180°×i/(2n+1)であるn組(n≧
2、i=1〜n)の偏向器コイルを有し、これらの偏向
器コイルのAmpere Turn値Jiの比が、次の式を、少なく
とも1〜mの各整数値kについて、各々、ほぼ満足する
ように設定されていることを特徴とする荷電粒子露光装
置(請求項2)である。
【0016】
【数5】
【0017】ただし、mの最小値は3(n=2のとき
1、n=3のとき2)であり、最大値は(n−1)であ
る。
【0018】(1)式は、偏向に寄与する磁場が0でない
ことを示すものであり、(2)式は、偏向器によって発生
する磁場の(2k+1)θ成分を示すものである。
【0019】本手段においてn≧4の場合は、k=1か
らk=3まで(2)式が成り立つことから、それぞれにつ
いて(2k+1)θ成分がほぼ0となることが保証され
るので、3θ、5θ、7θ成分をほぼ0とすることがで
きる。
【0020】n=3の場合には、(2)式によってほぼ0
となることが保証されるのは、3θ、5θ成分までであ
る。しかし、見込み半角は、π/7、2π/7、3π/
7となるので、(2)式によらずとも、7θ成分は0とな
る。
【0021】n=2の場合には、(2)式により3θ成分
がほぼ0となり、見込み半角がπ/5、2π/5となる
から5θ成分が0となる。しかし、一見、7θ成分につ
いては、ほぼ0となることが保証されていないように見
える。ところが、 Sin(7θ1)=Sin(7π/5)=-Sin(-7π/5) =-Sin(2π-7π/5)=-Sin(3π/5) =-Sin(3θ1) となる。同様、 Sin(7θ2)=Sin(14π/5)=Sin(4π/5) =-Sin(2π-4π/5)=-Sin(6π/5) =-Sin(3θ2) となる。よって、 J1Sin(7θ1)+J2Sin(7θ2) =-{J1Sin(3θ1)+J2Sin(3θ2)}=0 となって、7θ成分がほぼ0となることが保証される。
【0022】n=2の場合に限らず、このような三角関
数の性質を利用すれば、n≧3においても、k=1〜
(n−1)について(2)式を成り立たせ、(2n−1)
θ成分までをほぼ0とすれば、自然に(4n−1)θ成
分までがほぼ0となるのが分かる。
【0023】なお、本手段以降の手段においても、「ほ
ぼ」という言葉の意味は、前記第1の手段で説明した意
味と同じである。以上のことより、本手段を成り立たせ
るためには、n=2で十分であり、2組の偏向器コイル
を使用することが最も経済的であるが、コイル駆動装置
の電圧負荷などを目的として3組以上の偏向器コイルを
使用してもよい。
【0024】3組以上の偏向器コイルを使用する場合
は、必要な偏向量によって決まる(1)式の右辺を決定
し、m=n−1とした場合の(2)式によって決定されたA
mpere Turn値Jiの比が保たれ、かつ(1)式が満足される
ようにすると、各偏向器コイルのAmpere Turn値Jiが一
義的に定まる。
【0025】単に、3θ、5θ、7θ成分を消去するの
みであれば、5組以上の偏向器コイルを用いた場合で
も、k=1,2,3について(2)式を満足するように
し、これと(1)式を連立させれば、各偏向器コイルのAmp
ere Turn値Jiを求めることができる。この場合、5組
以上の偏向器コイルを用いた場合には、各偏向器コイル
のAmpere Turn値Jiを決定するには方程式の数が足りな
いので、Ampere Turn値Jiは一義的には求まらず、冗長
性を有することとなる。よって、n≧5の場合において
も、(n−1)までのkについて(2)式を満足させるよ
うにし、より高次のθ成分を除去するようにすることが
好ましい。
【0026】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第1の手段であって、少なくとも1つの偏向器が、
見込み半角がほぼ180°×(i-1/2)/(2n-1)であるn組
(n≧3、i=1〜n)の偏向器コイルを有し、これら
の偏向器コイルのAmpere Turn値Jiの比が、次の式を、
少なくとも1〜mの各整数値kについて、各々、ほぼ満
足するように設定されていることを特徴とするもの(請
求項3)である。
【0027】
【数6】
【0028】ただし、mの最小値は3(n=3のときは
2)であり、最大値は(n−1)である。
【0029】本手段においても、前記第2の手段と同様
に、n≧4の場合については、k=1からk=3まで
(2)式が成り立ち、それぞれについて(2k+1)θ成
分がほぼ0となることが保証されるので、3θ、5θ、
7θ成分をほぼ0とすることができる。
【0030】n=3の場合には、(2)式によりほぼ0と
なることが保証されているのは、3θ成分と5θ成分の
みである。しかし、 Sin(7θ1)=Sin(7π/10)=Sin(π-7π/10) =Sin(3π/10)=Sin(3θ1) Sin(7θ2)=Sin(14π/10)=Sin(2π-7π/10) =Sin(6π/10)=Sin(3θ2) Sin(7θ3)=Sin(21π/10)=Sin(3π-21π/10) =Sin(9π/10)=Sin(3θ3) であるので、 J1Sin(7θ1)+J2Sin(7θ2)+J3Sin(7θ3) ={J1Sin(3θ1)+J2Sin(3θ2)+J3Sin(3θ3)}=0 となり、7θ成分もほぼ0となる。
【0031】n=3の場合に限らず、このような三角関
数の性質を利用すれば、n≧4においても、k=1〜
(n−1)について(2)式を成り立たせ、(2n−1)
θ成分までをほぼ0とすれば、自然に(4n−5)θ成
分までがほぼ0となるのが分かる。
【0032】以上のことより、本手段を成り立たせるた
めには、n=3で十分であり、3組の偏向器コイルを使
用することが最も経済的であるが、コイル駆動装置の電
圧負荷などを目的として4組以上の偏向器コイルを使用
してもよい。
【0033】4組以上の偏向器コイルを使用する場合
は、必要な偏向量によって決まる(1)式の右辺を決定
し、m=n−1とした場合の(2)式によって決定されたA
mpere Turn値Jiの比が保たれ、かつ(1)式が満足される
ようにすると、各偏向器コイルのAmpere Turn値Jiが一
義的に定まる。
【0034】単に、3θ、5θ、7θ成分を消去するの
みであれば、5組以上の偏向器コイルを用いた場合で
も、k=1,2,3について(2)式を満足するように
し、これと(1)式を連立させれば、各偏向器コイルのAmp
ere Turn値Jiを求めることができる。この場合、5組
以上の偏向器コイルを用いた場合には、各偏向器コイル
のAmpere Turn値Jiを決定するには方程式の数が足り
ず、Ampere Turn値Jiは一義的には求まらず、冗長性を
有することとなる。よって、n≧5の場合においても、
(n−1)までのkについて(2)式を満足させるように
し、より高次のθ成分を除去するようにすることが好ま
しい。
【0035】なお、本手段におけるような見込み半角の
偏向器コイルを有する偏向器においては、n番目の偏向
器コイルの見込み半角は必ず90°となるので、たとえ
ば、1象限と2象限、3象限と4象限の偏向器コイルが
組をなしている場合、1象限と4象限、2象限と3象限
の見込み半角90°のコイルが重なり合う。この場合は、
重なり合うコイルは1つのコイルで構成し、このコイル
に、計算されたAmpere Turn値の2倍のAmpere Turn値を
与えるようにすればよい。
【0036】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第1の手段であって、少なくとも1つの偏向器が、
見こみ半角が45°の偏向器コイル、及び当該偏向器内の
他の偏向器コイルとの見こみ半角の和が90°となる偏向
器コイルのうち、少なくとも1つを有することを特徴と
するもの(請求項4)である。
【0037】本手段においては、X軸方向偏向器とY軸
方向偏向器において、少なくとも一つの偏向器コイルが
同じ位置に置かれることになり、偏向器コイルを共用で
きるので、偏向器コイルの数と電流発生装置の数を減ら
すことができる。これら偏向器コイルに流す電流は、X
軸方向偏向器で必要とされる電流と、Y軸方向偏向器で
必要とされる電流の和となることは言うまでもない。
【0038】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第4の手段であって、少なくとも1つの偏向器が、
見込み半角がほぼ180°×i/(2n)であるn組(n≧3、
i=1〜n)の偏向器コイルを有し、これらの偏向器コ
イルのAmpere Turn値Jiの比が、次の式を、少なくとも
1〜mの各整数値kについて、各々、ほぼ満足するよう
に設定されていることを特徴とするもの(請求項5)で
ある。
【0039】
【数7】
【0040】ただし、mの最小値は3(n=3のときは
2)であり、最大値は(n−1)である。
【0041】本手段においても、前記第2の手段、第3
の手段のように、n≧4のときは、(2)式により、3θ
成分、5θ成分、7θ成分をほぼ0にすることができ
る。n=3の場合は、(2)式によりほぼ0となることが
保証されているのは3θ成分、5θ成分のみであるが、 Sin(7θ1)=Sin(7π/6)=-Sin(7π/6-2π) =-Sin(5π/6)=-Sin(5θ1) Sin(7θ2)=Sin(14π/6)=-Sin(14π/6-4π) =-Sin(10π/6)=-Sin(5θ2) Sin(7θ3)=Sin(21π/6)=-Sin(21π/6-6π) =-Sin(15π/6)=-Sin(5θ3) であるので、 J1Sin(7θ1)+J2Sin(7θ2)+J3Sin(7θ3) =-{J1Sin(5θ1)+J2Sin(5θ2)+J3Sin(5θ3)}=0 となり、7θ成分もほぼ0となる。
【0042】n≧4の場合においても、同様な関係によ
り、(2n−1)θ成分まで、ほぼ0となるように(2)
式を定めれば、自然に(4n−3)θ成分までがほぼ0
となる。
【0043】本手段を成立させるためには、n=3で十
分であり、3組の偏向器コイルを使用することが最も経
済的であるが、4組以上の偏向器コイルを使用してもよ
い。4組以上のn組のコイルを用いる場合には、k=1
〜(n−1)の各kについて(2)式がほぼ成り立つよう
にすれば、各偏向器コイルAmpere Turn値Jiの比はほぼ
一義的に定まる。そして、既に述べたような対称性によ
り、(4n−3)θ成分までを、ほぼ0にすることがで
きる。その上で、必要な偏向量によって決まる(1)式の
右辺を決定し、(2)式によって決定されたAmpere Turn値
iの比が保たれ、かつ(1)式が満足されるようにする
と、各偏向器コイルのAmpere Turn値Jiが一義的に定ま
る。
【0044】単に、3θ、5θ、7θ成分を消去するの
みであれば、5組以上の偏向器コイルを用いた場合で
も、k=1,2,3について(2)式を満足するように
し、これと(1)式を連立させれば、各偏向器コイルのAmp
ere Turn値Jiを求めることができる。この場合、5組
以上の偏向器コイルを用いた場合には、各偏向器コイル
のAmpere Turn値Jiを決定するには方程式の数が足り
ず、Ampere Turn値Jiは一義的には求まらず、冗長性を
有することとなる。よって、(n−1)までのkについ
て(2)式を満足させるようにし、より高次のθ成分を除
去するようにすることが好ましい。
【0045】なお、本手段においては、i=nの場合、
見込み半角が90°となり、前記第3の手段で述べたよう
な偏向器コイルの重なりが発生するが、重なり合うコイ
ルを1つのコイルとする手法については、前記第3の手
段の説明において述べた手法と同一である。
【0046】前記課題を解決するための第6の手段は、
前記第4の手段であって、少なくとも1つの偏向器が、
見込み半角が180°×(i-1/2)/(2n)であるn組(n≧
3、i=1〜n)の偏向器コイルを有し、これらの偏向
器コイルのAmpere Turn値Jiの比が、次の式を、少なく
とも1〜mの各整数値kについて、各々、ほぼ満足する
ように設定されていることを特徴とするもの(請求項
6)である。
【0047】
【数8】
【0048】ただし、mの最小値は3(n=3のときは
2)であり、最大値は(n−1)である。
【0049】本手段においても、n≧4のときは、(2)
式により、3θ成分、5θ成分、7θ成分をほぼ0にす
ることができる。n=3の場合は、(2)式によりほぼ0
となることが保証されているのは3θ成分、5θ成分の
みであるが、 Sin(7θ1)=Sin(7π/12)=Sin(π-7π/12) =Sin(5π/12)=Sin(5θ1) Sin(7θ2)=Sin(14π/12)=Sin(2π-14π/12) =Sin(10π/12)=Sin(5θ2) Sin(7θ3)=Sin(21π/12)=Sin(3π-21π/12) =Sin(15π/12)=Sin(5θ3) であるので、 J1Sin(7θ1)+J2Sin(7θ2)+J3Sin(7θ3) ={J1Sin(5θ1)+J2Sin(5θ2)+J3Sin(5θ3)}=0 となり、7θ成分もほぼ0となる。
【0050】n≧4の場合においても、同様な関係によ
り、(2n−1)θ成分まで、ほぼ0となるように(2)
式を定めれば、自然に(4n−3)θ成分までがほぼ0
となる。
【0051】本手段を成立させるためには、n=3で十
分であり、3組の偏向器コイルを使用することが最も経
済的であるが、4組以上の偏向器コイルを使用してもよ
い。4組以上のn組のコイルを用いる場合には、k=1
〜(n−1)の各kについて(2)式がほぼ成り立つよう
にすれば、各偏向器コイルAmpere Turn値Jiの比はほぼ
一義的に定まる。そして、既に述べたような対称性によ
り、(4n−3)θ成分までを、ほぼ0にすることがで
きる。その上で、必要な偏向量によって決まる(1)式の
右辺を決定し、(2)式によって決定されたAmpere Turn値
iの比が保たれ、かつ(1)式が満足されるようにする
と、各偏向器コイルのAmpere Turn値Jiが一義的に定ま
る。
【0052】単に、3θ、5θ、7θ成分を消去するの
みであれば、5組以上の偏向器コイルを用いた場合で
も、k=1,2,3について(2)式を満足するように
し、これと(1)式を連立させれば、各偏向器コイルのAmp
ere Turn値Jiを求めることができる。この場合、5組
以上の偏向器コイルを用いた場合には、各偏向器コイル
のAmpere Turn値Jiを決定するには方程式の数が足り
ず、Ampere Turn値Jiは一義的には求まらず、冗長性を
有することとなる。よって、(n−1)までのkについ
て(2)式を満足させるようにし、より高次のθ成分を除
去するようにすることが好ましい。
【0053】前記課題を解決するための第7の手段は、
前記第1の手段であって、少なくとも1つの偏向器が、
n組(n≧3)の偏向器コイルを有し、これら偏向器コ
イルのAmpere Turn値がほぼ等しく設定されていること
を特徴とするもの(請求項7)である。
【0054】本手段を実現するためには、次の式が、少
なくとも2以下のkについて、各々、ほぼ満足されれば
よい。
【0055】
【数9】
【0056】これらの式の解は、n≧4のときは容易に
求まる。n=3のときは、(2)式が一次独立でないと
き、及び前記第2の手段、第3の手段、第5の手段、第
6の手段で述べたような対称性がある場合に解が求ま
る。
【0057】本手段においては、各偏向器コイルに流す
電流を同じにすることができるので、電源装置の数を少
なくすることができ、経済的である。
【0058】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の例を表1〜
表4に示す。表1〜表4は、本来一つの表として記載さ
れるべきものを、用紙の制約上、4つに分けて示したも
のであり、No.が同じもの同士が対応している。用いら
れている偏向器は、いずれもトロイダル型偏向器であ
る。表1は偏向コイルの見込み半角、表2はそれらの偏
向コイルのAmpere Turn値、表3は(2)式で示される値
で、d2k-1は、
【0059】
【数10】
【0060】の値を示す。ここにnはコイルの組数であ
る。(ただし、0でない成分が出た次数より高い次数に
おける場の成分の大きさは調べても無意味であるので記
載しない。)表4は各々の実施の形態において、4重収
差による非線型歪みを10nm未満とするための見込み半角
の許容誤差(Ampere Turn値に誤差が無いとした場合)
と、Ampere Turn値の許容誤差(見込み半角に誤差がな
いとした場合)である。コイルの設定角度、Ampere Tur
n値は、荷電粒子露光装置に要求される設計精度に応じ
て、表1、表2に示されるような理論値からある程度の
ずれが許されるが、この程度は、許される非線型歪みに
応じて、表4を用いることにより当業者が適宜決定する
ことができる。
【0061】なお、各表におけるAmpere Turn値は、ト
ロイダルコイルにおいて、見込み半角が60°の偏向コイ
ル1組を使用して1Ampere Turnの励磁を与えた場合
と、同じ偏向感度を得るために必要なAmpere Turn値を
示している。すなわち、
【0062】
【数11】
【0063】を満足させるように、各Jiの値を決定し
ている。また、見込み半角が90°のコイルにおいては、
前述のように、表2における値の2倍のAmpere Turn値
を与えるようにしている。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】なお、以上の実施の形態においては、いず
れもトロイダルコイルを例にあげて説明したが、サドル
コイルやコンパウンドサドルコイルについても、本発明
を適用することが可能である。この場合に、コイルの弧
部分の線同士の重なりが問題になるときは、互いに重な
る部分のコイル線を半径方向や光軸方向にずらし、か
つ、ずれによる影響を無くするように設計すればよい。
【0069】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図を用いて
説明する。図1は本発明の1実施例である電子線露光装
置の転写光学系を示す概要図である。図1において1、
2はレンズ、3はマスク、4は感応基板面であるウェ
ハ、5は散乱アパーチャー、6は光軸、7(C1〜C8
およびP1〜P4)は偏向器、8は電子線の軌道であ
る。図示されない照明光学系によりマスク3が照射さ
れ、その上のパターンを通過した電子線が2つのレンズ
1、2により、ウェハ上に結像され、マスク3上のパタ
ーンをウェハ4上に縮小転写する。
【0070】レンズ1とレンズ2の間には、散乱線をカ
ットするための散乱アパーチャー5が設けられている。
偏向器7は、散乱アパーチャー5よりマスク側にC1〜
C8の8個が、散乱アパーチャー5よりウェハ側にP1
〜P4の4個が設けられている。これらの偏向器は、マ
スク3の所定の一から出発した電子線が、所定の電子線
の軌道8上に乗って、散乱アパーチャー5を通過し、ウ
ェハ4の所定の位置に結像するように電子線を偏向させ
るほか、像の歪みや収差を取り除く作用を行っている。
【0071】この実施例においては、マスク3とウェハ
4間の距離を600mmとし、マスク3におけるパターンが
ウェハ4上で0.25mm角になるようにレンズ1、2の励磁
電流を設定し、4分の1縮小露光転写を行っている。以
下においては、開き角6mradのビームでマスク3上のパ
ターンを光軸6から2.5mm離れたウェハ4上の位置に照
射する場合、像に生じるボケと、歪みで、偏向器の性能
を評価する。
【0072】表5に、実施例および比較例として使用し
た偏向器(いずれもトロイダル型偏向器)の寸法、偏向
器コイルの構成(組数)と見込み半角、Ampere Turn
値、および各々の場合における高次収差(ボケ、歪み)
を示す。なお、4重収差の起因となる磁場の次数成分に
より、3次成分により発生する4重収差、5次成分によ
り発生する4重収差、7次成分により発生する4重収
差、9次成分により発生する4重収差に分けて示した。
【0073】
【表5】
【0074】実施例1として示されているのは、前記実
施の形態におけるNo.1の偏向器、実施例2として示され
ているのは、前記実施の形態におけるNo.11の偏向器、
実施例3として示されているのは、前記実施の形態にお
けるNo.2の偏向器、実施例4として示されているの
は、前記実施の形態におけるNo.3の偏向器である。比
較例として示されているのは、磁場の3θ、5θ成分は
消えるが7θ成分は消えないような角度構成を使用した
偏向器である。これらの偏向器の断面図を、実施例1の
ものについて図2に、実施例2のものについて図3に、
実施例3のものについて図4に、実施例4のものについ
て図5に、比較例のものについて図6に、それぞれ示
す。
【0075】表5を見るとわかるように、比較例の場
合、7θ成分が消去されるように偏向器の角度構成が設
定されていないために、消去できない4重収差によるボ
ケが250nm以上、歪みが300nm以上発生している。これに
対し、7θ成分を消去するよう構成が設定されている実
施例1〜実施例4の全てにおいて、7θ成分までに起因
する4重収差は0となっている。
【0076】実施例1と実施例2の場合には、9θ成分
が消去されるように角度構成を設定していないので、こ
れに起因する4重収差が発生している。実施例2の偏向
器角度及び、Ampere Turn値の設定は、実施例1のそれと
比べて、9θ成分の発生量が約6割になるように設計さ
れている。これにより、実施例2における4重収差は実
施例1の約6割に低減されている。
【0077】実施例3及び、実施例4の場合には、9θ
成分も消去されるよう角度構成及び、Ampere Turn値が
設定されているので、9θ成分に起因する4重収差ま
で、全ての重ね収差の発生を防ぐことができる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち、請
求項1に係る発明においては、偏向器の発生する磁場の
3θ成分、5θ成分だけでなく、7θ成分がほとんど発
生しないので、これらにより発生する4重収差をほぼ0
とすることができる。
【0079】請求項2に係る発明においては、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、少なくとも7次成分ま
で、ほぼ0とすることができ、条件を適当に設定するこ
とにより、偏向コイルの組数をnとするとき、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、(4n−1)次成分まで
ほぼ0とすることができる。よって、これらにより発生
する重ね収差の発生を防ぐことができる。
【0080】請求項3に係る発明においては、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、少なくとも7次成分ま
で、ほぼ0とすることができ、条件を適当に設定するこ
とにより、偏向コイルの組数をnとするとき、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、(4n−5)次成分まで
ほぼ0とすることができる。よって、これらにより発生
する重ね収差の発生を防ぐことができる。
【0081】請求項4に係る発明においては、光軸方向
の同じ位置に置いた、X軸方向偏向器とY軸方向偏向器
のコイルのうち少なくとも一つが重なるように設定され
ているため、重なった位置のコイルを一つのコイルとし
てコイルの数を減らすことができる。また、このコイル
には、X軸方向偏向器として要求される電流とY軸方向
偏向器として要求される電流の和を流すことにより、電
流発生装置の数を減らし、コストの削減を図ることがで
きる。
【0082】請求項5に係る発明においては、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、少なくとも7次成分ま
で、ほぼ0とすることができ、条件を適当に設定するこ
とにより、偏向コイルの組数をnとするとき、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、(4n−3)次成分まで
ほぼ0とすることができる。よって、これらにより発生
する重ね収差の発生を防ぐことができる。
【0083】請求項6に係る発明においては、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、少なくとも7次成分ま
で、ほぼ0とすることができ、条件を適当に設定するこ
とにより、偏向コイルの組数をnとするとき、偏向器の
発生する磁場の奇数次成分を、(4n−3)次成分まで
ほぼ0とすることができる。よって、これらにより発生
する重ね収差の発生を防ぐことができる。
【0084】請求項7に係る発明においては、各々のコ
イルのAmpere Turn値が等しく設定されているため、コ
イル用電源装置を共通にすることができ、コストダウン
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である電子線露光装置の転写
光学系を示す概略図である。
【図2】実施例1に用いたトロイダル型偏向器のコイル
配置を示す図である。
【図3】実施例2に用いたトロイダル型偏向器のコイル
配置を示す図である。
【図4】実施例3に用いたトロイダル型偏向器のコイル
配置を示す図である。
【図5】実施例4に用いたトロイダル型偏向器のコイル
配置を示す図である。
【図6】比較例に用いたトロイダル型偏向器のコイル配
置を示す図である。
【図7】分割投影転写方式の露光装置における分割露光
の単位を示す図である。
【図8】分割投影露光装置の露光方式を示す図である。
【符号の説明 】
1、2…レンズ 3…マスク 4…ウェハ 5…散乱アパーチャー 6…光軸 7…偏向器(C1〜C8、P1〜P4) 8…電子線の偏向軌道

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク又はレチクル上のパターンを感応
    基板上に転写する方式の荷電粒子線露光装置であって、
    少なくとも1つの偏向器の偏向器コイルの見こみ半角と
    Ampere Turn値が、当該偏向器によって発生する磁場の
    3θ成分、5θ成分だけでなく、7θ成分がほとんど発
    生しないように設定されていることを特徴とする荷電粒
    子線露光装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の荷電粒子線露光装置で
    あって、少なくとも1つの偏向器が、見込み半角θi
    ほぼ180°×i/(2n+1)であるn組(n≧2、i=1〜
    n)の偏向器コイルを有し、これらの偏向器コイルのAm
    pere Turn値Jiの比が、次の式を、少なくとも1〜mの
    各整数値kについて、各々、ほぼ満足するように設定さ
    れていることを特徴とする荷電粒子線露光装置。 【数1】 ただし、mの最小値は3(n=2のとき1、n=3のと
    き2)であり、最大値は(n−1)である。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の荷電粒子線露光装置で
    あって、少なくとも1つの偏向器が、見込み半角がほぼ
    180°×(i-1/2)/(2n-1)であるn組(n≧3、i=1〜
    n)の偏向器コイルを有し、これらの偏向器コイルのAm
    pere Turn値Jiの比が、次の式を、少なくとも1〜mの
    各整数値kについて、各々、ほぼ満足するように設定さ
    れていることを特徴とする荷電粒子線露光装置。 【数2】 ただし、mの最小値は3(n=3のときは2)であり、
    最大値は(n−1)である。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の荷電粒子線露光装置で
    あって、少なくとも1つの偏向器が、見こみ半角が45°
    の偏向器コイル、及び当該偏向器内の他の偏向器コイル
    との見こみ半角の和が90°となる偏向器コイルのうち、
    少なくとも1つを有することを特徴とする荷電粒子線露
    光装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の荷電粒子線露光装置で
    あって、少なくとも1つの偏向器が、見込み半角がほぼ
    180°×i/(2n)であるn組(n≧3、i=1〜n)の偏
    向器コイルを有し、これらの偏向器コイルのAmpere Tur
    n値Jiの比が、次の式を、少なくとも1〜mの各整数値
    kについて、各々、ほぼ満足するように設定されている
    ことを特徴とする荷電粒子線露光装置。 【数3】 ただし、mの最小値は3(n=3のときは2)であり、
    最大値は(n−1)である。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の荷電粒子線露光装置で
    あって、少なくとも1つの偏向器が、見込み半角が180
    °×(i-1/2)/(2n)であるn組(n≧3、i=1〜n)の
    偏向器コイルを有し、これらの偏向器コイルのAmpere T
    urn値Jiの比が、次の式を、少なくとも1〜mの各整数
    値kについて、各々、ほぼ満足するように設定されてい
    ることを特徴とする荷電粒子線露光装置。 【数4】 ただし、mの最小値は3(n=3のときは2)であり、
    最大値は(n−1)である。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の荷電粒子線露光装置で
    あって、少なくとも1つの偏向器が、n組(n≧3)の
    偏向器コイルを有し、これら偏向器コイルのAmpere Tur
    n値がほぼ等しく設定されていることを特徴とする荷電
    粒子線露光装置。
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