JP2000308427A - サツマイモ小植物体の生産方法 - Google Patents

サツマイモ小植物体の生産方法

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修 長谷川
Yojiro Ono
洋次郎 大野
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智惠利 久保田
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アフリーン−ゾバイド フォージア
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Nisshinbo Industries Inc
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    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01HNEW PLANTS OR NON-TRANSGENIC PROCESSES FOR OBTAINING THEM; PLANT REPRODUCTION BY TISSUE CULTURE TECHNIQUES
    • A01H4/00Plant reproduction by tissue culture techniques ; Tissue culture techniques therefor
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生育に優れ、かつ、貯蔵根を有するサツマイ
モ小植物体を生産する方法を提供する。 【解決手段】 サツマイモ小植物体片をバーミキュライ
トとセルロース繊維、好ましくは重量混合比が5:95
〜95:5のバーミキュライト:セルロースを支持体に
用いて、好ましくは、糖分を含まない培養液中で、培養
環境下の二酸化炭素ガス濃度を400〜3000μmo
l/molに維持して培養を行うことにより、生育に優
れ、且つ培養中に貯蔵根が形成されたサツマイモ小植物
体を生産する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サツマイモ小植物
体の生産方法に関し、詳しくは、貯蔵根が形成されたサ
ツマイモ小植物体の生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サツマイモは、食糧、アルコール燃料用
原料等として利用される多用途植物である。このため、
将来生起すると予想される食糧問題、エネルギー・資源
及び環境等の問題を解決するのに重要な役割を演じる植
物であると期待されている。
【0003】サツマイモを増産するには、現在のとこ
ろ、さし穂苗、タネイモからの萌芽苗等を用いる方法が
あげられる。しかし、前記方法では増殖率が低いことか
ら、大幅に拡大されることが予想される苗の需要に応え
るには対応しきれない。そこで、組織培養(マイクロプ
ロパゲーション)による苗(以下、「小植物体」ともい
う)が注目されている。
【0004】一般に細胞培養技術を使用した小植物体生
産は、大きく分けて以下のステージからなる。すなわ
ち、繁殖用の植物を選択し準備するステージ(ステージ
0)、無菌培養を確立するステージ(ステージ1)、繁
殖させるステージ(ステージ2)、インビトロで発根さ
せ、コンディショニングを行うステージ(ステージ
3)、エクスビトロ環境で馴化するステージ(ステージ
4)である。この小植物体の培養方法として、寒天等の
ゲル化剤を支持体とする培養法が最も一般的に知られて
いる。
【0005】寒天等を用いた場合は、通常、培地中に糖
(ショ糖、グルコース、フラクトース等)を炭素源とし
て加えるため、培地は培養期間中に外部からの雑菌によ
る汚染を受けやすく、これを防止するために、培養器や
多数の培養器を収納する培養室等の培養環境を、実質的
に無菌状態に維持するよう厳重な取り扱いを必要として
いる。
【0006】さらに、寒天培地内に空気が入らないため
発根が悪く、又、特殊な発根用寒天培地で発根を良くし
ても、出てきた根が水中根状を示し、有効に働かず、直
接育苗用土壌に移植すると地上部が枯れてしまうため、
寒天から出した後パーライトやバーミキュライト等の培
地で馴化させた後、露地あるいは温室内の育苗用土壌に
移植する方法がとられている。しかし、馴化過程には1
〜3ヶ月の長期間を要し、又、馴化期間中に活着が悪く
小植物体が枯死したり苗質が水浸状のまま正常な形にな
らないこともあり、手間や歩留まりの点で問題点が多か
った。
【0007】これに対し、無糖、無菌状態で、支持体と
してロックウール又はバーミキュライトを使用すること
により、培養期間中に雑菌による汚染が極めて少ない無
菌サツマイモ苗を増殖する方法が報告されている(特開
平9−294495号)。
【0008】しかし、上記方法によりサツマイモの小植
物体を生産すると、いずれも得られた小植物体にはイモ
に生長するべき貯蔵根は形成されず、育苗用土壌に移植
後に貯蔵根は新たに形成される。そのため、イモ形成に
おける成熟化促進という点では、まだ改良の余地があっ
た。
【0009】ところで、バーミキュライトとセルロース
繊維を含む植物組織培養培地を用いると、発根が良好
で、一回の培養で順化不要の健苗の作出が可能となり、
そのまま外の育苗用土壌に移植できることが報告されて
いる(WO97/48271)。しかし、この技術をサ
ツマイモに適用した場合に貯蔵根が形成された小植物体
が得られることは知られておらず、培養中のサツマイモ
小植物体の貯蔵根形成という概念自体も知られていな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、サツマイモ小植物体片の組織培
養を行うことにより、イモに生長していく貯蔵根が形成
されたサツマイモ小植物体の生産方法を提供することを
課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、バーミキュラ
イトとセルロース繊維から成る支持体を用いてサツマイ
モ小植物体片の組織培養を行うことにより得られるサツ
マイモ小植物体は、生育に優れ、さらに根部に貯蔵根が
形成されるということを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0012】すなわち、本発明は、サツマイモ小植物体
片をバーミキュライト及びセルロース繊維を支持体とし
て用いて組織培養を行うことを特徴とする、貯蔵根が形
成されたサツマイモ小植物体の生産方法を要旨とする。
【0013】また、本発明は、前記バーミキュライト:
セルロース繊維の重量混合比が、5:95〜95:5で
あるサツマイモ小植物体の生産方法を提供する。さら
に、本発明は、糖分を含まない培養液中で培養を行うサ
ツマイモ小植物体の生産方法を提供する。
【0014】さらに、本発明は、培養環境下の二酸化炭
素ガス濃度を400〜3000μmol/molに維持
して培養を行うサツマイモ小植物体の生産方法を提供す
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、サツマイモ小植物体片をバーミキュライト及
びセルロース繊維を支持体として用いて組織培養を行う
ことを特徴とする、貯蔵根が形成されたサツマイモ小植
物体の生産方法である。
【0016】通常の培養方法、例えば、寒天等のゲル化
剤を支持体とする培養法では、小植物体にイモとなるべ
き貯蔵根は形成されず、主根と側根が形成される(図1
参照)。このため、貯蔵根が形成されていない小植物体
は、育苗用土壌に移植後に貯蔵根である新しい根を形成
するので、貯蔵根が形成されるまでに時間を要し、結果
的にイモの成熟にも時間を要する。
【0017】これに対し、本願発明では、小植物体にイ
モとなるべき貯蔵根が形成される。このため、本発明の
サツマイモ小植物体を育苗用土壌に移植すると、成熟し
たイモが形成されるのが極めて早い。
【0018】本発明において、「サツマイモ小植物体」
とは、組織培養により得られる培養苗をいう。また、
「サツマイモ小植物体片」とは、組織培養によりサツマ
イモ小植物体に生育することが可能な植物体の一部をい
い、例えば、サツマイモの細胞又は組織を培養して得ら
れる、葉を有する節(node)、又は植物体の茎部に
ついて、複数の節を節単位で切断したものである。
【0019】本発明において、バーミキュライトの種類
に特に制限はなく、バーミキュライトをあらかじめ各種
処理したものを用いても構わない。ここでいう各種処理
としては、加熱処理、冷却処理、精製処理、膨潤化処
理、粉砕処理、造粒処理、含浸処理、コーティング処理
等の化学的、物理的処理等が挙げられる。
【0020】本発明において、セルロース繊維の種類に
特に限定はないが、パルプ状のものが好ましい。セルロ
ース繊維としては、コットンリント、コットンリンタ
ー、針葉樹セルロース、広葉樹セルロース、靭皮セルロ
ース、麻セルロース、再生セルロース、バクテリアセル
ロース等、そしてこれらの混合物が使用できる。
【0021】また、これらのセルロース繊維をあらかじ
め各種処理したものを用いても構わない。ここでいう各
種処理としては、加熱処理、冷却処理、精製処理、非晶
化処理、膨潤化処理、重合度低下処理、誘導体化処理、
架橋処理、結晶型転換処理、溶解再生処理、粉砕処理、
造粒処理、含浸処理、コーティング処理等の化学的、物
理的処理等が挙げられる。
【0022】本発明のサツマイモ小植物体の生産方法に
おいて、支持体としてのバーミキュライトとセルロース
繊維の混合比としては、重量比で5:95〜95:5が
良く、特に70:30が好ましい。バーミキュライトの
比率が高すぎても、逆にセルロースの比率が高すぎて
も、この条件でサツマイモ小植物体片を培養した場合、
サツマイモ小植物体に貯蔵根が形成しないことがある。
【0023】また、この支持体には、活性炭、やしが
ら、パーライト、くん炭、ピートモス等を適宜添加して
も良い。本発明における組織培養においては、糖分を含
まない培養液中で培養を行うことが好ましい。ここで、
糖分とは、例えばショ糖、グルコース、フルクトース等
の炭素源が挙げられる。
【0024】糖分を含まない培養液で培養することによ
り、培地内に糖を添加する際に生起し易い、雑菌による
汚染が回避できる。また、糖分を含まない培養液で培養
された小植物体片は、従属栄養的生長ではなく、一貫し
て完全な独立栄養生長条件下で組織培養を行うことがで
きる。
【0025】本発明における培養には、窒素、リン、カ
リウム、マグネシウム、カルシウム等の多量元素や、
鉄、マンガン、銅、亜鉛等の微量元素等の無機栄養素等
の成分を含む培養液を用いることができる。さらに、ニ
コチン酸、チアミン塩酸等のビタミン類やアミノ酸等の
有機栄養素、成長調節物質を含んでいてもよいが、これ
らは必ずしも必須ではない。具体的な培養液としては、
例えばMS培養液が挙げられる。
【0026】本発明における組織培養では、培養期間
中、培養環境下の二酸化炭素ガス濃度を400〜300
0μmol/molに維持することが好ましい。二酸化
炭素ガス濃度を上記濃度に維持するのは、二酸化炭素ガ
ス濃度が低すぎると、小植物体の光合成が必ずしも十分
ではないからであり、二酸化炭素ガス濃度が高すぎる
と、小植物体に障害が生ずることがあるためである。
【0027】上記のように、サツマイモ小植物体片を培
養する際、培養液中に糖分を含まず、培養環境下の二酸
化炭素ガス濃度を400〜3000μmol/molに
維持することにより、独立栄養生長を促進することがで
き、小植物体を培養器外に移植したり、育苗用土壌に移
植して独立栄養生長条件にさらしても、環境の激変がな
いので馴化が容易又は不要で、生育も良好な小植物体を
作出することができる。
【0028】二酸化炭素ガス濃度のコントロールは、使
用する培養器内、あるいは培養室内のガス濃度を測定
し、規定の濃度に対する不足分を培養器内、あるいは培
養室内に補充すればよい。
【0029】培養する容器に関しては、特に制限される
ものではないが、換気性を高めるために、気体透過性で
あることが好ましい。例えば、培養器の蓋にガス透過性
フィルムを用いて、通気性を高めることができる。ま
た、培養器はサツマイモ小植物体片に光合成を行わせる
ために少なくとも一部が光透過性であることが好まし
い。例えば、透明な蓋を有する培養器を用いることがで
きる。
【0030】その他の培養条件、例えば温度、光の種
類、光の強度、光照射方向、明期・暗期の周期、相対湿
度、培養液量、培養液濃度等の培養に適する最適条件
は、適宜、実験によって確認することにより選ぶことが
できる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明する。従来法にしたがって培養したサツマイモ
を、葉1枚を含む単節に切り分け、単節4つを485c
3のプラスチックのポット型容器にて培養した。それ
ぞれの容器には、ビタミン、ホルモン及び糖を含まない
MS(Murashige and Skoog, Physiol.Plant.,15,473-4
97 (1962))培養液45cm3を入れ、支持体として、様
々な混合比率(表1に示した)のバーミキュライト(昭
和バーミキュライト社製、TG−4)及び広葉樹クラフ
トパルプ(製品名:ポンティアック)からなる成形体を
入れた。
【0032】上記支持体上にサツマイモの単節を載せ、
合計30日間光独立栄養培養で、培養した。培養する際
の環境条件は、培養容器の気温28℃、相対湿度80
%、白色蛍光ランプの照射強度150μmol/m2
s、照射時間16時間/日、インキュベーター内の二酸
化炭素ガス濃度1400μmol/molの条件であっ
た。
【0033】実施例1〜6は、バーミキュライトとパル
プを90:10〜10:90の比率で混合した支持体を
用いて培養を行った。比較例1は、支持体をバーミキュ
ライトのみとした以外は、実施例と同様に培養を行っ
た。
【0034】比較例2は、培地として0.8wt%の寒
天(関東化学社製)を用いた以外は、実施例と同様に培
養を行った。上記条件で、サツマイモ小植物体片を30
日間培養して得られたサツマイモ小植物体の茎部、葉部
及び根部の生体重量と乾重量の計測を行った結果を表1
に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかなように、実施例1〜6で
は、生体重量及び乾重量共に、比較例1及び比較例2に
比べ、有意に増加しており、特に実施例3の支持体が
V:P=70:30の重量混合比で顕著な効果を表して
いる。このことより、本発明の方法により生産されたサ
ツマイモ小植物体は、生育に優れていることが示され
る。
【0037】さらに、実施例1〜6で得られたサツマイ
モ小植物体は、根部に根が紫色を呈するものが多数存在
し、貯蔵根1へと器官分化した(図1a)。これに対
し、比較例1及び比較例2で得られたサツマイモ小植物
体の根部は、図1bに示すように貯蔵根は有さず、主根
2と側根3のみであった。
【0038】実施例1〜6で得られたサツマイモ小植物
体を直接育苗用土壌に移植すると、貯蔵根がイモへと生
長した。一方、比較例1で得られたサツマイモ小植物体
を同様に直接育苗用土壌に移植すると、主根と側根とは
別に貯蔵根を形成した後に、貯蔵根がイモへと生長し
た。 比較例2で得られたサツマイモ小植物体を直接育
苗用土壌に移植したところ、枯死した。
【0039】
【発明の効果】本発明により、生育に優れ、且つ培養中
に貯蔵根が形成されたサツマイモ小植物体を生産するこ
とができる。
【0040】本発明の方法により得られるサツマイモ小
植物体は、生育に優れ、育苗用土壌に移植する際、馴化
過程が容易又は不要である。さらに、貯蔵根を有してい
るため、育苗用土壌に移植後のイモの成熟が、従来の小
植物体に比べ極めて早い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サツマイモ小植物体の根部の状態を示す模式
図。(a)本発明の生産方法で得たサツマイモ小植物
体。(b)比較例で得たサツマイモ小植物体。
【符号の説明】
1.貯蔵根 2.主根 3.側根
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 智惠利 千葉県松戸市松戸648 千葉大学松戸宿舎 1−401 (72)発明者 フォージア アフリーン−ゾバイド 千葉県松戸市松戸648 千葉大学園芸学部 内 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD07 CD03 CD09 CD18 CD28

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サツマイモ小植物体片をバーミキュライ
    ト及びセルロース繊維を支持体として用いて組織培養を
    行うことを特徴とする、貯蔵根が形成されたサツマイモ
    小植物体の生産方法。
  2. 【請求項2】 前記バーミキュライト:セルロース繊維
    の重量混合比が、5:95〜95:5である請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 糖分を含まない培養液中で培養を行う請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 培養環境下の二酸化炭素ガス濃度を40
    0〜3000μmol/molに維持して培養を行う請
    求項1記載の方法。
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