JP2000309532A - 抗リウマチ剤 - Google Patents

抗リウマチ剤

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JP2000309532A
JP2000309532A JP11121066A JP12106699A JP2000309532A JP 2000309532 A JP2000309532 A JP 2000309532A JP 11121066 A JP11121066 A JP 11121066A JP 12106699 A JP12106699 A JP 12106699A JP 2000309532 A JP2000309532 A JP 2000309532A
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Junji Hamuro
淳爾 羽室
Junya Yoneda
純也 米田
Yukie Murata
幸恵 村田
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒトの免疫性疾患であるリウマチの改善、治
療、予防のために、経口摂取が可能でマクロファージや
単球等の酸化、還元状態を抑制し得る斬新な方法によ
り、リウマチの治療、改善、予防を目的とした抗リウマ
チ剤、特に医薬品や飲食品、栄養剤、輸液製剤等の形態
でも使用可能な抗リウマチ剤を開発する。 【解決手段】マクロファージ細胞内の還元型グルタチオ
ン量を減少させることによりIL−12産生、NO産生
及びIFNγ産生を抑制し、遅延型過敏症反応を抑制す
る作用を有する物質をその成分として使用することによ
り上記課題を解決する。免疫性疾患である慢性関節リウ
マチ等リウマチの治療、改善、予防を目的とし、経口摂
取を可能とする抗リウマチ剤を提供することができ、医
薬品や飲食品、栄養剤、輸液製剤等の形態でも使用可能
である。特に、シスチン誘導体の様にジスルフィド結合
を分子内に有する化合物を上記成分として使用すること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規抗リウマチ剤、詳
しくはマクロファージ(以下、Mφと略することもあ
る。)や、単球等の機能の斬新な制御作用を含み、リウ
マチ特に、ヒトのリウマチ性関節炎の治療、病態改善、
予防を目的とした経口摂取可能な特定の成分を含有する
抗リウマチ剤、特に医薬品、並びに飲食品(医療用飲食
品、健康食品、特定保健食品等を含む。)、栄養剤及び
輸液製剤等の形態にある抗リウマチ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】免疫系は、ウイルス、細菌等の外部から
の感染、又は自己由来細胞が異常を来たすことで生成す
る細胞(癌細胞等)による生体侵襲から自己を防衛する
ためのシステムである。しかしながら、この免疫系が異
常を来たし、過剰に働いたり、自己成分を排除する方向
に免疫系が働いたりすると共に、逆に、排除機能が不全
状態に陥ることがある。このような状態を惹起する疾患
は総称して免疫性疾患と呼ばれる。例えばアトピー性皮
膚炎、花粉症、喘息、ザルコイドーシス等の急性並びに
慢性炎症性疾患、アレルギー性疾患、慢性関節リウマ
チ、糖尿病(IDDM,NIDDM)、SLE、慢性疲
労性症候群(CFS)等の自己免疫疾患や、肝炎、肝硬
変、潰瘍性大腸炎、クローン病等炎症性腸疾患(IB
D)、癌悪液質状態等数多くの疾患が含まれる。これら
免疫性疾患の原因は様々であるが、サイトカイン、炎症
性メディエーターの局所での産生を介して、特定の細胞
の増殖、分化、壊死を伴う炎症を引き起こすことを発端
として全身性の免疫不全、免疫異常、機能不全状態に至
る。
【0003】免疫を担当する細胞としてはTリンパ球、
Bリンパ球が良く知られ、各々細胞性免疫、液性免疫の
担い手として多彩な機能を発揮する。一方、マクロファ
ージ/単球等は細胞性免疫及び液性免疫に深く関与する
細胞で、アレルギー、リウマチ等の免疫性疾患、癌、細
菌感染等の非自己である異物排除に深く関わっている。
マクロファージ/単球等の機能は、分泌機能、抗原呈示
を中心とした免疫調節機能、異物、老廃物の処理、貪食
機能、標的細胞の障害処理機能の4種に大別され、TN
F、IL(インターロイキン)−12、IL−1、IL
−6、TGFβ、IL−8、IL−18等のサイトカイ
ン、ネオプテリン(NPT)、ジハイドロキシエピアン
ドロステン(DHEA)等のホルモン様分子、PGE2
やLTB4等のアラキドン酸代謝産物、C5a,C3等
の補体系分子、活性酸素、活性窒素等、炎症像を規定す
る種々の分子を産生することが知られている。これらの
多彩な機能が単一のマクロファージ/単球等によって担
われているのか、機能を異にするマクロファージ/単球
等集団によって担われているのかは不明であり、リンパ
球がその細胞表面マーカーによって分類されその機能と
の対応が明確になっているのに対し、マクロファージ/
単球等の機能の多様性と細胞亜集団の対応については全
く不明である。このため、上述のような炎症性、アレル
ギー性、免疫性疾患の発症と病態進展に、マクロファー
ジ/単球等は極めて重要な役割を有しているにも拘ら
ず、マクロファージ/単球等の細胞亜集団の存在を想定
しての機能分類のヒトの疾患の診断、治療、病態改善、
予防への応用は全く為されておらず、想定されたことす
らなかった。
【0004】近年、アレルギー疾患、慢性関節リウマチ
等の自己免疫性疾患や悪性腫瘍患者において、末梢血中
のヘルパーT細胞亜集団のタイプの片寄りが疾患と対応
づけられつつあり、Tリンパ球中の亜集団であるヘルパ
ーTリンパ球が更に2つの亜集団Th1とTh2に分類
され、その2種の存在比が生体の免疫機能の重要な指標
になることが立証されつつある。本指標を基に疾患の病
態を診断したり、その存在比を改善することにより、よ
り適切な治療法を樹立しようとの試みがなされつつあ
る。即ち、B細胞からのIgE産生を引き起こすTh2
がTh1より多い場合(Th1<Th2)、アレルギー
性疾患が悪化することが分かってきており、Th1/T
h2を測定することにより、免疫の状態を検定したり、
Th1>Th2にすることによりアレルギーを抑制しよ
うとする試みがなされつつある。逆に、Th1が支配的
な状況で引き起こされる疾患の存在も次々に指摘されつ
つある。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】生物材料を用いてT
h1とTh2のバランスを測定し、Tリンパ球を標的に
この2つの亜集団の機能を調節しようとしても、局所慢
性炎症やアレルギー性疾患の検定、診断に利用すること
には、現在のところ成功していない。最近、Th1病や
Th2病という用語も用いられるが、必ずしも2者に明
確に区別できないのが実態である。
【0006】Th1/Th2の存在比は、リンパ球亜集
団の指標でしかなく、リンパ球亜集団の生体内での動態
は本発明で取り扱うマクロファージや樹状細胞、クッパ
ー細胞を始めとするアクセソリー細胞と呼ばれる細胞群
の機能と実際には複雑に関わっているため、Th1/T
h2の存在比だけで疾患の病態を適切に診断し、その情
報を基に治療することは困難である。後述するが、マク
ロファージ/単球等の機能状態によってTh1/Th2
のバランスは制御されているのである。治療のためにT
h1>Th2に傾斜させることを意図しても、それだけ
では複雑なサイトカインネットワークにおいては効果が
得難く、新たな診断、治療のための指標が待ち望まれて
いる。
【0007】炎症反応に深く関与しているマクロファー
ジにおいて、酸化ストレス、サイトカイン刺激、ウイル
ス、細菌感染等の環境因子により細胞の機能が変化する
ことが判明しているが、その機能とマクロファージの細
胞亜集団分類の対応については全く不明である。それら
機能、分類において新たな知見が必要であり、それらの
知見が得られることにより、飛躍的に有用な新たな治療
方法の開発に繋がる。この様な情況下に、免疫を調整す
る優れた薬剤、即ち免疫調整剤の開発が望まれ、本発明
者等は既にこの考えに沿って課題を一部解決し、特許出
願を行っている(特願平9−303426号及び特願平
10−308300号。)。
【0008】本発明においては、免疫性疾患であるリウ
マチについて研究を進めて病態動物なかんずくリウマチ
発症動物を用いて発症抑制剤,病態改善剤を提供するこ
とを課題としている。即ち、本発明の目的は、医薬品は
もとより、医療用飲食品、健康食品、特定保健食品等各
種の飲食品形態や、栄養剤や輸液製剤にも適用可能な抗
リウマチ剤の開発にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
解決に向けて鋭意検討した結果、炎症の遷延化作用の強
いマクロファージ(単球、クッパー細胞及び樹状細胞等
を含む)と、免疫調整性のマクロファージとの区別を、
マクロファージのレドックス状態(ポテンシャル)の相
違から試み、リウマチ発症動物において病態の進展とと
もにマクロファージのレドックス状態が変化することを
見出し、本発明の課題解決を可能とした。マクロファー
ジのレドックス状態の指標としてはマクロファージ細胞
内の還元型グルタチオン(GSH)含量を採用する。
【0010】グルタチオンは、ほ乳類のあらゆる細胞に
存在し、内因性の抗酸化物質として良く知られ、細胞内
においてラジカルや過酸化物の除去、プロスタグランジ
ン等のエイコサノイドの代謝、生体異物の解毒、アミノ
酸輸送等多様な機能を有しているトリペプチドである。
還元型(GSH)と酸化型(GSSG)が存在し、両者
間で共役サイクルを形成する。通常の細胞では、GSH
の濃度は還元状態の方が圧倒的に多く、酸化ストレス、
特にH22に対して防御的に作用する。
【0011】本発明者等は、マクロファージ中の還元型
GSH含量を測定すると共に、GSH含量を異にするマ
クロファージの免疫機能に及ぼす効果に大きな差のある
こと、本測定法で生体の免疫能を検定できること、その
酸化還元状態を経口投与可能な低分子物質で人為的に調
整できること、及び本法が疾患の治療に広範に応用でき
ること、並びに飲食品として活用できる可能性を見出
し、前記のとおり特許を出願している(特願平9−30
3426号及び特願平10−308300号)。本概念
に基づき、更にリウマチ発症マウスのマクロフアージの
レドックス状態について鋭意研究を進めた結果、本発明
を完成するに至った。
【0012】図1は、本発明と同一発明者等により成る
先発明により見出された知見に基づき、マクロファージ
又は単球、クッパー細胞及び樹状細胞等(本発明ではこ
れらを併せてマクロファージと称する。)の機能の相
違、並びに、Th1及びTh2バランスに及ぼす効果、
更にはマクロファージの機能の相違によって引き起こさ
れる免疫抑制、悪液質状態、癌細胞の悪性化誘導の機
序、局所炎症等との関係の仮説模式図を示したもので、
例えば、担癌進行に従い、局所のTh1/Th2バラン
スが崩れ、液性免疫に傾き、サイトカインレセプター複
合体構成と機能が変化し、GSH含量の少ない酸化型マ
クロファージが増加し、活性酸素や、PGE2、IL−
6、IL−10,IL−8等の炎症伝達因子の産生が高
まり、全身性の免疫抑制、悪液質状態となる。
【0013】本発明者等は上記知見に基づき、更に研究
を重ねた結果、炎症反応に重要な役割を果たしているマ
クロファージ細胞中の酸化型グルタチオンと還元型グル
タチオンの含量を検定することにより、不均一なマクロ
ファージ集団が2つのタイプ即ち酸化型マクロファージ
と還元型マクロファージとに分類することができ、酸化
型マクロファージが免疫疾患に伴う局所慢性炎症やアレ
ルギー反応を引き起こし、液性免疫と細胞性免疫のバラ
ンスに関与するTh1/Th2バランスはマクロファー
ジの酸化/還元状態によって制御されていること、当該
マクロファージの酸化還元状態が免疫性疾患の病態に重
要な役割を果たしており当該酸化還元状態を検定し、そ
の状態を人為的に制御、修飾することにより当該疾患の
診断及び治療に役立つこと、しかもその制御が経口摂取
可能な低分子物質によって簡便に行えることを見出し
た。
【0014】本発明での酸化型マクロファージ及び還元
型マクロファージの定義は、還元型グルタチオン(GS
H)に特異的な化学試薬モノクロロバイメイン(MON
OCHLOROBIMANE)と反応させることで細胞
内GSH量を定量し、無刺激のマクロファージに比較し
てGSH含量が増加しているものを還元型マクロファー
ジ、逆に含量の低下しているものを酸化型マクロファー
ジとするものである。
【0015】更に、経口摂取可能な低分子物質をマクロ
ファージと2〜24時間接触させることで、GSH含量
が2nmoles/5×105マクロファージ細胞以上
のものを還元型マクロファージ(又は単球等)、0.1
nmoles/5×105マクロファージ細胞以下のも
のを酸化型マクロファージとすることが好ましい。
【0016】或いは、無刺激のマクロファージのGSH
含量に比較してGSH量が2倍以上になっているのを還
元型マクロファージ、1/5以下になっているものを酸
化型マクロファージとすることもできる。
【0017】現在、Th1/Th2バランスはIL−
6、IL−10若しくはIL−4と、IL−12が生体
内でどのような割合で産生されるかによって規定される
とされている。前者によって液性免疫に関与するTh2
が、IL−12によってTh1が誘導されることが既に
知られている。しかしながら、IL−6、IL−10、
IL−12がマクロファージから産生されることは判明
しているが、同一のマクロファージ細胞がIL−6、I
L−10及びIL−12の全てを産生すると仮定する
と、Th1誘導にもTh2誘導にも関与する1種のマク
ロファージが存在することとなり、生体の免疫応答を考
えるに当り大きな矛盾にぶつかる。
【0018】本発明者等はGSH含量の高い還元型マク
ロファージによってのみIL−12が産生されTh1誘
導に働き、酸化型マクロファージによってはIL−6の
産生が亢進し、Th2が誘導されることを見出した。ま
た、Th1サイトカインの代表であるIFNγ(IFN
ガンマ)が産生されてもマクロファージが酸化型に傾斜
していると、IFNγの作用でTh2を誘導するIL−
6が大量に産生されることも見出された。逆に、還元型
マクロファージが存在するとTh1サイトカインの代表
であるIFNγによってマクロファージの還元型形質が
一層増強されることも判明した。
【0019】酸化型マクロファージが誘導されていると
ころにTh2サイトカインの代表であるIL−4が作用
すると酸化型マクロファージの形質が更に増強される。
これらの知見は液性免疫と細胞性免疫という対局にある
免疫応答がマクロファージの酸化還元状態によって一義
的に規定されていることを示すもので、免疫学の根幹に
関わる重要な知見である(図2参照)。この知見により
免疫系疾患の病態診断と治療法について、従来の混沌と
した免疫性疾患治療法に代わる頗る有用で独創的な発明
を既に完成しており、この発明に基づき、リウマチ関節
炎発症動物について鋭意検討した結果、新しく本発明を
完成するに至った。
【0020】即ち本発明は、マクロフアージ細胞内の還
元型グルタチオン量を減少させることでIL−12(イ
ンターロイキン−12)産生、NO(一酸化窒素)産
生、IFNγ(インターフェロンガンマ)産生を抑制
し、遅延型過敏症反応を抑制する作用を有する物質を含
有することに特徴を有する抗リウマチ剤に存し、このよ
うな抗リウマチ剤の提供を可能にする。本発明において
マクロファージは広義のマクロファージを意味し、この
「マクロファージ」には単球、クッパー細胞及び樹状細
胞等も含められる。本発明者等は前記知見に基づき更に
研究を抗リウマチ剤に特化し、マクロファージ細胞内の
還元型グルタチオン量を減少させたり、増加させる物質
を探索し、その効果を発揮する物質を見出し、ヒトのリ
ウマチ関節炎に類似する病態を発症する動物モデルを作
製し、医薬品としての抗リウマチ関節炎薬、医療用飲食
品、健康食品、特定保健食品等に用いるリウマチ関節炎
の治療、予防、病態改善効果を有する飲食品、栄養剤及
び輸液製剤の開発に研究を深化発展させ、その物質とし
て下記の化合物を用いて、試験管内の免疫活性の抑制効
果、動物投与下における免疫抑制効果を広く検定し、更
にはコラーゲン誘発性に、若しくは自発的にリウマチを
発症するマウスを用いて候補物質の薬効を検討し、マク
ロファージ及び単球等の細胞内の還元型グルタチオン量
を低下させる物質として下記に示す化合物がリウマチ関
節炎の治療、予防、病態改善に有効であることも見出し
た。
【0021】当該物質としては、分子内にジスルフイド
(−S−S−)結合を有する化合物で、マクロファージ
細胞内の還元型グルタチオン量を減少させ、遅延型過敏
症反応を抑制し、IL−12,IFNγ産生を抑制する
作用を有する化合物が含まれる。なかんずくジスルフイ
ド結合を有する化合物として好ましくはシスチン誘導体
を挙げることができ、特に下記構造式(1)で示される
化合物から選択するのが好ましい。
【0022】
【化2】
【0023】但し、上記式中、R1及びR2はそれぞれ独
立していて、アルキル基(未置換)及びニトロキシブチ
ル等置換基を有するアルキル基を、R3及びR4はそれぞ
れ独立していて、アシル基及びペプチジル基の何れか
を、それぞれ表す。
【0024】これらの物質は1又は2以上含有すること
が可能であり、低分子の経口可能な本発明になる若しく
は現在用いられている抗リウマチ剤と併用することも可
能であり、また、高分子の静脈投与に適した免疫調整剤
を併用することでより高い効果が期待される。
【0025】マクロフアージ細胞内の還元型グルタチオ
ン量を減少させることでIL−12産生、NO産生、I
FNγ産生を抑制する作用を有する物質を実際の患者に
適用するにあたっては、患者のマクロフアージのレドッ
クス状態を診断することで適切に用いることができる。
【0026】細胞内の還元型グルタチオン量の多い還元
型マクロファージを選択的に除去し得る物質を含有する
ことを特徴とする抗リウマチ剤も本発明に含まれる。当
該物質としては、例えば、還元型マクロファージ特異的
抗体とマクロファージに細胞毒性を有する低分子化合物
並びにマクロファージに取り込まれた後に細胞毒性を示
す物質とを直接又はリンカーを介して結合させた物質等
がある。特に、当該物質として、細胞毒性を有するDN
Aアルキル化剤にグルタチオンを共役させた物質及び前
駆体としてマクロファージに取り込まれた後に細胞毒性
を示す物質を挙げることができる。当該アルキル化剤と
しては、例えばサイクロフォスファミド、ニムスチン
(ACNU)、マイトマイシンC、メルファラン等があ
る。また、インビトロでは、殺細胞性が無いものの還元
型マクロファージ中で増大している酵素の作用により、
殺細胞性を示すようになる物質をプロドラッグとして用
いることもできる。
【0027】更に、本発明には、前記抗リウマチ関節炎
薬としての医薬品を含むが、前記、治療、予防、病態改
善効果を含有する飲食品(医療用飲食品、健康食品、特
定保健食品等を含む。)、栄養剤又は輸液製剤の形態に
あるものも含まれる。飲食品の形態としては、通常の飲
食品や、歯磨きやチューインガム等口の中に運ばれるも
のも含まれ、特に健康志向の飲食品に含有されるのが好
ましい。また、飲食品に添加する添加剤の形で用いられ
てもよい。栄養剤としては、例えばビタミン剤、カルシ
ウム剤等の何れの栄養剤でもよい。輸液製剤としては、
例えば高カロリー輸液、生理食塩水、血液製剤等の通常
用いられる輸液製剤に含有することができる。
【0028】更に詳細に述べると、本発明は次の通りで
ある。
【0029】ヒトから分離・採取した体液/細胞試料を
用いて、マクロファージ細胞内の酸化型及び/又は還元
型グルタチオン量を検定することにより、マクロファー
ジをそれぞれ異なった機能を有する酸化型マクロファー
ジと還元型マクロファージとに分類し、その存在割合を
経口摂取できる物質で人為的に制御したり、還元型のマ
クロファージを人為的に除去することでリウマチ関節炎
患者治療に有用な薬剤や病態改善、予防に役に立つ飲食
品、栄養剤、輸液を提供することができる。ヒトからの
分離・採取した体液/細胞試料としては、例えば末梢血
や腹腔、胸腔、関節腔、各種臓器より分離した細胞等が
採用可能である。
【0030】グルタチオンの測定方法としては、直接的
に酵素リサイクリング法で生化学的に酸化型又は還元型
グルタチオン含量を測定する(活性酵素実験プロトコー
ル(細胞工学別冊)、秀潤社、頁84-88, 1994年、ANALY
TICAL CHEMISTRY, VOL. 106,PP207-212, 1980; CELLULA
R IMMUNOLOGY, VOL. 164, PP73-80, 1995等参照。)の
みならず、間接的な測定、例えば酸化型又は還元型マク
ロファージに対する特異的なモノクローナル抗体又はポ
リクローナル抗体を用いて測定したり、モノクロロバイ
メインのようにGSHに特異的に反応し、錯体を形成
し、レーザー光励起により蛍光を発するような試薬を用
いればよい。更には高速液体クロマトグラフイー(HP
LC)、ガスクロマトグラフイーを用いることも可能で
ある。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0032】本発明におけるグルタチオンとは、別名5
−L−グルタミル−L−システイニルグリシンであり、
生体内に最も多く存在するSH化合物で、一般にGSH
と記述される。グルタチオンは、その分子の酸化状態に
より還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンに分類さ
れる。還元型グルタチオンとは、前記のグルタチオン
(GSH)のことであり、酸化型グルタチオンは、別名
グルタチオンジスルフィドと呼ばれるもので、GSSG
と記述される。
【0033】本発明におけるマクロファージには、前述
の通り単球も含まれる。同時に、樹状細胞やクッパー細
胞と呼ばれるマクロファージの類縁細胞も含まれる。マ
クロファージは、様々なサイトカインや炎症性メディエ
ーター等の情報伝達物質をその細胞から遊離、放出する
ことが知られているが、その活性化状態、分化状態によ
り、放出されるか否か、また、放出される量が異なる。
本発明によれば、例えばマクロファージ細胞内の酸化型
グルタチオンと還元型グルタチオンとの量に着目し、酸
化型マクロファージと還元型マクロファージに分類後、
生体の免疫状態を確認して、本発明の抗リウマチ関節炎
剤等により、これらマクロファージの酸化還元状態のバ
ランスを調整することにより、生体内の免疫状態を改善
し、リウマチ様関節炎疾患の治療、病態改善や予防に役
立てられる。
【0034】還元型マクロファージでは、細胞内の還元
型グルタチオンが酸化型マクロファージより相対的に多
いのに対して、酸化型マクロファージでは、還元型グル
タチオンが還元型マクロフアージより相対的に少ない。
また、還元型マクロファージと酸化型マクロファージで
は、還元型GSH含量の違いのために転写制御因子の活
性化に違いが生じ、サイトカインや炎症伝達因子の遺伝
子発現に違いが起こり、産生される炎症性サイトカイン
や炎症性メディエーターの種類や量が変化し、炎症の質
が変化する。
【0035】酸化型マクロファージでは、IL−6、I
L−1、IL−8、IL−10、TNF、過酸化水素、
スーパーオキシド、PGE2等の炎症性サイトカイン及
びメディエータが産生されるのに対して、還元型マクロ
ファージでは、一酸化窒素(NO)、IL−12、LT
B4等が産生される。更に、酸化型マクロファージ及び
還元型マクロファージは、刺激等により変換する。例え
ば、炎症や敗血症性シヨックを誘導するLPSやPMA
や、IL−4、TGFβ等のサイトカンイにより人為的
に刺激することにより、還元型マクロファージは酸化型
に変換され、逆に、IFNγ、IL−2、抗腫瘍性多糖
であるレンチナン(LNT)等のβ(1−3)グルカン
やリポ酸等の抗酸化剤を添加することにより、酸化型マ
クロファージを還元型に変換することができる。リウマ
チ関節炎の治療には様々な治療薬が提供されている。ス
テロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤、ペニシラミン、
ブシラミン等のDMARDSと呼称される一群の化合物
をその代表として挙げることができる。また、最近では
抗TNF、抗IL−6抗体等サイトカインに対する人型
化モノクローナル抗体も臨床実験が進み、その有効性が
確認されつつある。
【0036】リウマチ性関節炎病態動物においては、マ
クロフアージを中心とする炎症性細胞の関節腔浸潤、繊
維芽細胞の以上増殖によるパンヌス形成と血管新生の異
常亢進の起こることが病態の特徴とされている。抗原特
異的なTリンパ球免疫応答の関与も強く示唆されている
が、関与を否定する見解もある。機構の如何に拘らず、
最終的にはメタロプロテアーゼ、アラキドン酸代謝産
物、活性酸素、活性窒素等多様な炎症メデイーターの局
所産生を介して骨破壊に至る。骨破壊に至るまでの病態
進展に伴い、酸化型マクロファージ及び還元型マクロフ
ァージの含まれる量が異なることが本発明において始め
て見出された。
【0037】他の疾患においても病態によって酸化型マ
クロファージ及び還元型マクロファージの含まれる量が
異なることを本発明者等は見出している。消化管炎症疾
患モデル動物(肝炎、クローン病、潰瘍性大腸炎)より
採取したマクロファージ中の還元型グルタチオン量は、
正常動物より相対的に減少していることが、Adherentce
ll analysing system (ACAS)を用いる画像解析や酵素リ
サイクリング法を用いる生化学的定量により判明した。
これに対して、糖尿病を自然発症するNODマウスにお
いてはマクロフアージ等の炎症性細胞の膵島浸潤時期に
は腹腔内マクロフアージ中の還元型グルタチオン量は、
正常動物より相対的に減少しており(酸化型クロフアー
ジ優位)、ランゲルハンス島破壊による糖尿病発症時期
には、逆に腹腔内マクロフアージ中の還元型グルタチオ
ン量は、正常動物より相対的に増加して(還元型クロフ
アージ優位)いる。リウマチ性関節炎病態動物において
は病態進展と共にマクロフアージの酸化還元状態なかん
ずく還元型GSH含量がどのように変化するかの知見は
絶無であり、ましてマクロフアージ中のGSH量を人為
的に修飾しての治療、予防、病態改善の試みも、提案も
絶無である。本発明者等は既に、酸化型マクロファージ
では、IL−6、IL−1、IL−8、IL−10、T
NF、過酸化水素、スーパーオキシド、PGE2等の炎
症性サイトカイン及びメディエータが産生されるのに対
して、還元型マクロファージでは、一酸化窒素(N
O)、IL−12、LTB4等が産生されることを見出
している。本知見と前述の抗IL−6抗体のリウマチ患
者に対する有効性の情報からは、酸化型マクロフアージ
の除去が治療手段になるのではないかと推測されるが、
実際のリウマチ性関節炎病態動物では、治療、病態改善
手段としてマクロファージ中の還元型グルタチオン量を
減少させ、酸化型マクロフアージを誘導することが有益
であることを始めて見出し、本発明を完成したものであ
る。本発明になるこの知見を無視して治療を行うこと
は、逆に病態を悪化させる危険性をも示唆する重要な知
見である。
【0038】本発明に従えば、マクロファージの細胞内
の還元型グルタチオン量を上記方法で測定した後に、当
該マクロファージの細胞内の還元型グルタチオン量を減
少させる作用を有する低分子化合物で、経口摂取でも活
性が保持されるものを医薬品として通常の製剤化を行
い、病態をモニターしつつ連日若しくは一定の期間をあ
け患者に摂取させれば良い。
【0039】本発明での酸化型マクロファージ及び還元
型マクロファージの定義は、還元型グルタチオン(GS
H)に特異的な化学試薬モノクロロバイメインと反応さ
せることで細胞内GSH量を定量し、無刺激のマクロフ
ァージに比較してGSH含量が増加しているものを還元
型マクロファージ、逆に含量の低下しているものを酸化
型マクロファージとするものである。更に、経口摂取可
能な低分子物質をマクロファージと2〜24時間接触さ
せることで、GSH含量が2nmoles/5×105
マクロファージ細胞以上のものを還元型マクロファー
ジ、0.1nmoles/5×105マクロファージ細
胞以下のものを酸化型マクロファージとすることが好ま
しい。或いは、無刺激のマクロファージのGSH含量に
比較してGSH量が2倍以上になっているのを還元型マ
クロファージ、1/5以下になっているものを酸化型マ
クロファージとすることもできる。
【0040】マクロフアージ内のGSH量を減少させる
ものとして好ましくは、分子内にジスルフイド(−S−
S−)結合を有する化合物で、マクロファージ細胞内の
還元型グルタチオン量を減少させ、遅延型過敏症反応を
抑制し、IL−12,IFNγ産生を抑制する作用を有
する化合物が用いることができる。グリオトキシン誘導
体もこの中に含まれる。ジスルフイド結合を有する化合
物として、前記の通りシスチン誘導体を使用することが
でき、好ましくは下記構造式(1)で示される化合物の
中から選択することができる。
【0041】
【化3】
【0042】但し、上記式中、R1及びR2はそれぞれ独
立していて、アルキル基及びニトロキシブチル等の置換
基を有するアルキル基を、R3及びR4はそれぞれ独立し
ていて、アシル基及びペプチジル基の何れかを、それぞ
れ表す。
【0043】以下に、特に本発明の抗リウマチ剤、特に
抗リウマチ様関節炎剤として分子内にジスルフィド結合
を有する化合物を使用する場合について説明する。還元
型グルタチオン量を減少させる作用を有する物質につい
ては、前記の通りジスルフイド結合を含有する化合物群
より選択され、IL−12産生、NO産生、IFNγ産
生を抑制し、遅延型過敏症反応を抑制する作用を有する
物質を本発明においては用いることができるのである
が、前記シスチン誘導体の例としては、N,N’−ジア
セチルシスチン((NAC)2)、N,N’−ジプロピルシス
チン((NPC)2)、N,N’−ジアセチルシスチンジメチ
ルエステル((NAC-OMe)2)、N,N’−ジアセチルシス
チンジイソプロピルエステル((NAC-OiPr)2)、N,
N’−ジ−L−アラニルシスチンジメチルエステル((N
AlaC-OMe)2)、これらのニトロキシブチルエステル体
等、前記構造式(1)に示され、マクロファージ細胞内
の還元型グルタチオン量を減少させ、遅延型過敏症反応
を抑制し、IL−12産生、NO産生、IFNγを抑制
する作用を有する化合物であれば全て本発明に使用可能
な前記シスチン誘導体に含まれる。
【0044】この化合物の骨子としては、ジスルフイド
結合によりマクロフアージ細胞内の還元型グルタチオン
が酸化されて酸化型マクロフアージに誘導されるもので
あれば、R1−R4を表す置換基には、広範な範囲のもの
が許容される。例えば、R1及びR2はそれぞれ独立して
いて、炭素数1−12のアルキル基、ニトロキシブチル
基等の置換基を有するアルキル基を、R3及びR4はそれ
ぞれ独立していて、炭素数1−12のアシル基、及びペ
プチジル基の何れかを、それぞれ表す。尚、ペプチジル
基はアミノ酸残基又は複数のアミノ酸で構成されるペプ
チド残基でそのカルボキシル基を介して結合する残基を
意味し、またニトロキシ基は式:−ONO2で示される
置換基である。
【0045】また、ジスルフイド結合を有しなくても分
子内にSH基(メルカプト基)を2個以上含有する化合
物で、生体内投与によって、ジスルフィド結合を含有す
る化合物に変換できる化合物で、マクロファージ細胞内
の還元型グルタチオン量を減少させ、遅延型過敏症反応
を抑制し、IFNγ、IL−12産生を抑制する作用を
有する化合物であれば全て本発明に使用できる。この反
応性はGSH←GSSG、GSH→GSSGの平衡反応
と当該化合物の−SH,−S−S−交換反応のカップリ
ングの様式により決定されるものである。
【0046】マクロファージ(又は単球等)を96穴マ
イクロプレートで、5×105細胞/200μl/穴宛
培養し、被験物質を0.01μM〜5mM添加し、37
℃で5%CO2インキュベーターで培養し、2〜24時
間後に対照群に対し還元型GSH量を減少させるものな
らば何れも用いることができる。0.1nmoles/
5×105マクロファージ細胞以下に減少させることの
できるものが望ましい。これらの薬剤は単独若しくはそ
れらの混合物として用いることができる。その効果は摂
取若しくは投与後炎症局所や末梢血から単核球を採取
し、前述の方法で細胞内還元型グルタチオン量の治療前
に対する変化を検定することで判定できる。このことで
抗リウマチ剤としての有用性は明確に判定され、疾患に
対して効果を有する。
【0047】対象として用いることのできる疾患として
は、リウマチ様関節炎やそのハイリスクの健康状態を挙
げることができる。
【0048】本発明で取扱う抗リウマチ剤は実際の医療
現場では単独で投与することもできるが、本発明に含ま
れる経口摂取可能な抗リウマチ剤同士、若しくは経口摂
取不可能であるが異なる作用機転でマクロファージの細
胞内の還元型グルタチオン量を減少させる他の免疫調整
剤、例えばインターロイキン−2(IL−2)を代表と
するサイトカイン等生体外由来並びに生体内由来の物質
と混合若しくは併用することもできる。特に、細胞性免
疫を減弱することで治療効果を意図する場合にはインタ
ーロイキン−4(IL−4)やTGFβと併用するとI
L−12の産生が減弱し効果を増強する。これらサイト
カインはそれ自体がマクロファージの細胞内の還元型グ
ルタチオン量を変化させることも本発明者等により見出
され、本発明の有用性とその範囲を補強するものであ
る。生体外由来の物質としては抗体以外にもステロイド
剤、非ステロイド性酸性抗炎症剤や、DMARDS等か
ら選択され、IL−12の産生や機能を阻害する物質で
あれば、併用することにより更なる相乗効果が期待され
る。
【0049】細胞内の還元型グルタチオン量が多い、即
ち還元型GSH含量の高いマクロファージ(還元型マク
ロファージ)を選択的に除去する物質を使用することも
本発明の抗リウマチ剤に含まれる。その際に用いられる
物質としては、低分子化合物、高分子化合物の何れでも
良く、中でも抗体及びその誘導体は特に有効である。
【0050】既に述べた通り、マクロファージ/単球等
の機能の多様性と細胞亜集団の対応については今まで全
く不明であった。このため、炎症性、アレルギー性、免
疫性疾患の発症と病態進展に、マクロファージ/単球等
は極めて重要な役割を有しているにも拘らず、マクロフ
ァージ/単球等細胞亜集団の存在を想定しての機能分類
のヒトの疾患の治療、改善、予防への応用は全く為され
ておらず、想定されたことすら無かった。本発明完成の
前段階として、マクロファージの還元型GSH含量を測
定すると共に、世界で始めて、GSH含量を異にするマ
クロファージの免疫機能に及ぼす効果に大きな差のある
ことを見出し、炎症反応に重要な役割を果たしているマ
クロファージ細胞中の酸化型グルタチオンと還元型グル
タチオンの含量を検定することにより、不均一なマクロ
ファージ集団が2つのタイプ即ち酸化型マクロファージ
と還元型マクロファージとに分類され、酸化型マクロフ
ァージが免疫疾患に伴う局所慢性炎症やアレルギー反応
を引き起こし、液性免疫と細胞性免疫のバランスに関与
するTh1/Th2バランスはマクロファージの酸化/
還元状態によって制御されていること、当該マクロファ
ージの酸化還元状態が免疫性疾患の病態に重要な役割を
果たしていることが見出された。この2種のマクロファ
ージの存在割合を人為的に制御するには前記の経口摂取
可能な低分子物質を医薬品として用いる以外に、何れか
片方のマクロファージを選択的に除去することも頗る有
用な方法である。このことはリンパ球に対する各種モノ
クローナル抗体が免疫抑制剤として上市されている事実
からも明らかである。片方のマクロファージにのみ若し
くは多量に発現されているマーカーに対する抗体を用い
ればよいことは当該業者には容易に想定できるところで
ある。
【0051】また、細胞に対して毒性を有する物質やそ
の誘導体を用いることができるが、還元型マクロファー
ジと酸化型マクロファージの間には細胞内の各種酵素活
性に大きな違いがあるのでプロドラッグの形のもので酸
化型マクロファージの細胞内で選択的に細胞毒性を有す
る物質に変換できるもの等は、本発明も抗リウマチ剤に
最も叶うものである。
【0052】本発明の抗リウマチ剤、特に抗リウマチ関
節炎剤がリウマチ性疾患及び同疾患に伴う合併症に広く
適用できることは、マクロファージからの炎症性伝達因
子の分泌を基本的なところで制御することから明白であ
る。例えば、非ステロイド性酸性抗炎症剤(アスピリン
等)は、プロスタグランジン産生、遊離を抑制すること
でその薬効を発揮すると言われている。一方、ビタミン
E等の抗酸化剤は活性酸素の産生を抑制することで薬効
を発揮する等、その作用が図1に示す炎症性細胞たるマ
クロファージの多彩な機能の1局面を制御するのみであ
る。そのため、その効果も顕著ではなく、特に慢性炎症
には効果は殆ど認められない。それに対して本発明にな
る抗リウマチ関節炎剤はマクロファージの酸化/還元状
態を制御することを基本とするもので、有害な炎症伝達
因子の産生を一度に多数抑制できるものである。従来の
リウマチ治療剤の概念を基本から変革するものといえ
る。
【0053】以上のように、本発明の抗リウマチ剤の医
療現場における有用な薬効は、その有用な薬理活性から
して自明であり、疾患の急性期、慢性期の何れにも、ま
たリウマチ性疾患に随伴する合併症の予防、治療、病態
改善にも有用である。
【0054】これらの薬剤は単独若しくはそれらの混合
物として用いることができる。その効果は摂取若しくは
投与後炎症局所や末梢血から単核球を採取し、前述の方
法で細胞内還元型グルタチオン量の治療前に対する変化
を検定し、生体の免疫活性の変動を測定することで判定
できる。
【0055】投与形態としては、注射投与、経口投与、
経皮的投与等特に制限はないが、経口投与可能というこ
とで特に有利である。有効成分である還元型グルタチオ
ン量を減少させる作用を有する物質の投与量は、患者等
投与対象者の症状や使用目的に応じて選択されるが、1
日当たり1mg〜5000mg(経口剤)程度、好まし
くは10〜500mg程度である。製剤を製造する場合
は特に困難はなく、経口剤、注射剤、経皮剤等所望の剤
型において、それぞれ公知の方法を利用して製造するこ
とができる。
【0056】以上、本発明の抗リウマチ剤が狭義の医薬
品として如何に有用で、優れているるかを説明した。本
発明による抗リウマチ剤は経口摂取可能な物質をその主
要成分とするため、その用途は、医療現場における医薬
品に限られない。即ち、ヒトマクロファージ(単球、ク
ッパー細胞及び樹状細胞等を含む)細胞内の還元型グル
タチオン量を減少させる作用を有する物質を単独若しく
は混合物として含有する医療用飲食品、健康食品、特定
保健食品等として飲食品(チューインガムや歯磨き等の
口に入れるものは全て含まれる)並びに栄養剤、輸液製
剤の形態で提供することも可能で有り、当然これ等も発
明に含まれる。更に、液体成分に含有させることも、固
形の飲食品の形をとることも可能である。
【0057】適用対象としては医薬品として提供する場
合と同じである。
【0058】リウマチ性疾患および同疾患に伴う合併症
に広く適用でき、抗リウマチ関節炎作用を有する飲食品
並びに栄養剤、輸液製剤の形態で提供することのできる
ものである。有効成分の使用量については、前記医薬品
の場合に説明した内容に準じて行うとよい。
【0059】尚、本発明において抗リウマチ剤は、その
予防を含めて各種のリウマチ(軽度もものから重度のの
まで)に適用可能であり、従って発症、慢性化したリウ
マチ性疾患だけでなく、リウマチ性疾患のハイリスクの
人に予防的に摂取させることを可能にする。
【0060】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものでは
ない。
【0061】(実施例1) <酸化型マクロファージ及び還元型マクロファージの機
能の検定> (方法)酸化型マクロファージは、LPS(リポポリサ
ッカライド)20μgをマウス腹腔内に投与して誘導さ
れること、還元型マクロファージはレンチナン100μ
gを同じく腹腔内に1日おきに3回投与することにより
誘導されていることが、腹腔浸出細胞をプラスチック表
面に付着させた後、モノクロロバイメイン10μMと3
7℃、30分間反応させ、ACASで解析することで判
明した。酸化型の増量は反応産物が殆ど認められないこ
と、即ちネズミ色や青色の画像になること、還元型の増
量は赤色や黄色の画像が得られることから肉眼的に容易
に検定できる。
【0062】そこで、腹腔浸出付着細胞を以下のように
して酸化型及び還元型に誘導して産生されるNO、IL
−6及びPGE2を測定した。
【0063】(1)材料 細胞:上記のように刺激して得られた腹腔浸出付着細
胞、即ちマクロファージを96穴マイクロプレートに1
×105細胞/200μl宛添加。
【0064】培地:フエノールレッドフリーのRPMI
1640:200μl/穴。
【0065】LPS:リポポリサッカライド(シグマ社
製)(由来:E.coli)100ng/ml。 IFNγ:100単位/ml。
【0066】(2)培養方法 5% CO2インキュベーター中37℃で、48時間培
養。
【0067】(3)測定方法 上記培養終了後、培養上清を回収し、IL−6はIL−
6依存性の細胞株のMH60を用いて増殖反応で、PG
E2はエライザキットを用いて、NOはグリースロイミ
ン試薬を用いて、何れも当該業者が日常に行う方法で各
々の産生量を測定した。
【0068】(結果)結果を図3に示した。図3から明
らかなように、酸化型マクロファージと還元型マクロフ
ァージとでは、産生する炎症性サイトカインIL−6、
炎症性メディエーターPGE2、NOの産生強度、種類
が異なることが明らかである。即ち、酸化型マクロファ
ージではTh2サイトカインであるIL−6の産生と免
疫抑制性でTh1誘導を抑制するPGE2産生が上昇
し、NO産生は低下する。これとは対照的に還元型マク
ロファージからはNOの産生が上昇し、PGE2産生や
IL−6産生は抑制される。両マクロファージの間に機
能的な差異が存在することが明確である。
【0069】(実施例2) <リウマチ患者滑膜細胞を用いた検定>酸化型Mφと還
元型Mφにおいて、何故炎症メディエーターやサイトカ
インの産生に違いが生じるのかを物質レベルで解析する
ことは、炎症の慢性化、増悪のメカニズムを解明するた
めに重要である。一般に、外からの刺激(リガンド等)
は、細胞表面上に存在する受容体(レセプター)を介し
て細胞内に伝達する。レセプターからの信号により、種
々のキナーゼが活性化され、更に転写因子が活性化さ
れ、転写因子が核内に移行し、標的となる遺伝子に結合
して発現する。最近の研究により、細胞内の酸化還元系
は、転写因子の活性化、核内への移行、遺伝子との結合
に関与していることが明らかとなりつつある(ANNUAL R
EV. IMMUNOLOGY, VOL.8, PP453-475,1990, EMBO J.,10,
2247-2251, 1991))。Mφにおける炎症メデイーターや
サイトカインのレセプターを介した遺伝子発現系に、細
胞内の酸化還元系がどのように関与しているかは現在の
ところ明らかではない。
【0070】(サイトカイン、刺激剤)マウスIFNγ
には、ゲンザイム社製のリコンビナント体を用いた。ヒ
トIL−2及びヒトIL−6には、味の素社の作製した
リコンビナント体を用いた。ヒトIL−12には、ファ
ーミンジェン社製のリコンビナント体を用いた。
【0071】LPSには、ディフコ社製のE.Col
i.055;B5由来のものを用いた。レンチナンとし
ては、味の素社で製造した製剤品を用いた。
【0072】(関節由来マクロフアージ)滑膜組織は関
節手術の際に得られるものから無菌的に採取した。採取
した滑膜組織を燐酸緩衝液で洗浄した後、同緩衝液の入
ったシヤーレ中でその表面を剥離後、はさみで細切し、
シグマ社製のヒアウウロニダーゼ(2%)、DNase
(0.2%,ウシすい臓由来)及び5%コラゲナーゼを
添加し、37℃において2時間酵素処理した。デブリス
を除去した後に、細胞を遠心分離して10% FCS含
有フェノールレッドフリーのDMEM培地(日研生物社
製)で5×105個/mlに調製し、3時間プラスチッ
ク表面に付着させた。付着性のマクロフアージ様細胞を
ラバーポリースマンで回収し、氷冷した上記培地で3回
洗浄遠沈の後、滑膜組織由来のマクロフアージとして下
記実験に供した。
【0073】(IL−6の定量)1×106個のMφに
刺激剤を添加し、37℃のCO2インキュベーターにて
2日間培養した。遠心後培養上清を採取した。
【0074】IL−6の定量は、IL−6に依存的に増
殖するマウスハイブリドーマMH60細胞を用いて行っ
た(EUR. J. IMMUNOL., VOL. 18, PP 951, 1988)。10
%FCS含有RPMI培地で1×105個/mlに調製
したMH60細胞液100μlに、培養上清100μl
を添加し、37℃のCO2インキュベーターにて、2日
間培養した。その後、同培地にて5mg/mlの濃度に
調製したMTT(シグマ社製)を10μl加え、37℃
にて5時間反応させた。反応終了後遠心し、上清を16
0μl取り除き、塩酸−プロパノールを100μl加え
て、ピペットマンで懸濁することにより細胞を溶解し
た。溶解後直ちに570nmの吸光度をイムノメーター
(バイオラッド社製)により測定した。
【0075】(NO2−濃度の測定)1×106個のMφ
に刺激剤を添加し、37℃のCO2インキュベーターに
て2日間培養した。遠心後培養上清を採取した。
【0076】100μlの培養上清に、50mg/ml
の濃度に蒸留水で調製したグリースロイミン試薬(和光
純薬社製)を100μl加えて室温で15分間反応させ
た。反応終了後、540nmの吸光度を測定した。尚、
スタンダードとして、NaNO2を用いた。
【0077】(ACASによる細胞内GSHの検出)C
hambered coverglass(Nunc社
製、#136439)に、RPMI1640培地(フェ
ノールレッドフリー)にて調製した3×10 5個/ml
の細胞懸濁液を300μl入れ、37℃のCO2インキ
ュベーターにて2時間培養した。同培地にて洗浄後、同
培地にて調製した10μMのモノクロロバイメイン(M
olecular plobe社製)を300μl添加
し、37℃のCO2インキュベーターに入れ、30分反
応させた後、ACASにて蛍光 強度を測定した。尚、
ACASではUVレーザーを用いた。
【0078】(IL−12の定量)IL−12定量は、
ヒトT細胞株2D6細胞を用いたバイオアッセイで行っ
た(J. LEUKOCYTE BIOLOGY, VOL 61, PP346, 1997)。
【0079】500pg/mlのリコンビナントヒトI
L−12、50μMの2−メルカプトエタノール、10
%FCS(牛胎児血清)を含むRPMI1640培地に
て培養しておいた2D6細胞をチューブに移し、IL−
12を除いた同培地にて3回遠心洗浄し、細胞濃度を1
×105/mlに調製した。予め50μMの2−メルカ
プトエタノール、10%FCSを含むRPMI1640
培地により系列希釈したサンプルを100μlづつ入れ
た96穴平底プレートに、細胞懸濁液を100μlづつ
加えた。その後、37℃、5%CO2インキュベーター
に入れ、48時間培養した。最後の6時間で、3H−T
dRをパルスした(50μMの2−メルカプトエタノー
ル、10%FCSを含むRPMI1640培地により、
370kBq/mlに調製したものを50μlづつ添
加)。細胞をハーベストし、βカウンター(マトリック
ス96;パッカード社製)で放射活性を測定した。
【0080】(実施例3) (リウマチ患者滑膜組織より調製したMφのGSH濃度
の測定)前述の方法でマクロフアージ様細胞を調製し、
MCB試薬を用いたACASにより、細胞内GSH量を
解析した。採取したマクロファージを3×106個/m
lになるように10%牛胎児血清含有フエノールレッド
フリーの RPMI1640培地に懸濁し、100μl
宛Lab−TekChamber Slide(NUN
C社製、#136439)に添加し、37℃、5%CO
2条件下、3時間培養し、浮遊細胞を除去した後、血清
非含有の上記培地を200μl添加し、次いでモノクロ
ロバイメイン(MONOCHLOROBIMANE=M
CB)を10μMになるように添加し、30分間反応さ
せ、ACAS装置(MERIDIEN社製)にてUV吸
収を基に画像解析した。
【0081】(結果)ACAS法により、還元型グルタ
チオンを定量した結果、変形性関節炎患者組織由来のマ
クロフアージに比べ、活動期リウマチ患者組織由来のマ
クロフアージにおいては、還元型グルタチオン含量が減
少したマクロファージ、即ち酸化型マクロファージが相
対的に増量した。酸化型マクロファージが増量している
ため、上記マクロファージ培養上清中のIL−6が顕著
に増量していた。数多くのパラメーターを測定しなくて
もマクロファージの酸化還元状態をグルタチオンの含量
を測定することで、リウマチ患者の病態、免疫機能診断
等のための検定を簡便且つ的確に行うことができること
を示す。このこのことにより、本発明の抗リウマチ剤の
使用に当たり、以上のマクロファージ分類方法により、
患者の病態、免疫機能診断等のための検定を行うことが
できる。
【0082】(リウマチ患者関節腔より調製したMφの
機能)変形性関節症および活動期のリウマチ患者滑膜由
来のマクロフアージ細胞を上記方法で調製し、LPS、
IL−2、IFNγ及びその組み合わせにより刺激し、
NO産生及びIL−12産生能を測定した。IL−12
産生に関しては、無刺激では何れでも殆ど産生が見られ
ず、LPSとIFNγ刺激の組み合わせにおいても産生
は認められなかった。NO産生は活動期リウマチ関節炎
患者由来のマクロフアージにおいては、対照の2−4分
の1に低下した。このことは、活動期リウマチ患者では
酸化型マクロファージが優位でTh2主流の液性免疫が
亢進し、Th1によって担われる細胞性免疫が低下して
いることを示す。以上の知見はリウマチ患者において
も、本発明の抗リウマチ剤提供や適用に必要な疾患の病
態診断がマクロフアージのGSH含量の検定で可能なこ
とを示し、本発明が独創的で、有意義であることを明確
に示す例である。
【0083】(実施例4) <リウマチ患者組織由来のマクロフアージ様細胞培養系
への薬剤添加によるマクロファージのレドックス機能の
修飾>実施例3と同様の方法でリウマチ患者組織由来マ
クロフアージ様細胞を採取し、3×106個/mlにな
るように10%牛胎児血清含有フ エノールレッドフリ
ーのRPMI1640培地に懸濁し、100μl宛La
b−TekChamber Slide(NUNC社
製、#136439)に添加し、37℃、5%CO 2
件下、3時間培養し、浮遊細胞を除去した後、血清非含
有の上記培地に下記薬剤を含有させたものを200μ
l添加し、4時間反応させ、3回洗浄後、血清非含 有
の上記培地を200μl添加し、モノクロロバイメイン
を10μMになるように添加し、30分間反応させ、A
CAS装置(MERIDIEN社製)にてUV吸収を基
に画像解析した。
【0084】(結果)ACAS法により、還元型グルタ
チオンを定量した結果、対照生理食塩水添加群に比べ、
グルタチオンエチルエステル添加(2mM)の群では、
還元型グルタチオン含量が減少したマクロファージ、即
ち酸化型マクロファージが相対的に減量した。還元型マ
クロファージが増量しているため、上記マクロファージ
培養上清中のIL−6が顕著に減量していた。同様の作
用はγ−グルタミルシステインジメチルエステル、N−
アセチルシステインニトロキシブチルエステル、グルタ
チオンモノエチルエステル、グルタチオンニトロキシブ
チルエステル及びグルタチオンジエチルエステル(何れ
も2mM添加)でも認められた。逆に還元型グルタチオ
ン含量の低い酸化型マクロフアージの誘導されること
は、シスチン誘導体(分子内にジスルフィド結合を有す
る化合物)である、N,N’−ジアセチルシスチンニト
ロキシブチルエステル、N,N’−ジアセチルシスチン
ジメチルエステル((NAC-OMe)2)、N,N’−ジアセチ
ルシスチンジイソプロピルエステル((NAC-OiPr)2)、
N,N’−ジ−L−アラニルシスチンジメチルエステル
((NAlaC-OMe)2)〔何れも2μM〕の添加により確認さ
れた。
【0085】(実施例5) <ザルコイドーシス疾患患者から採取したマクロファー
ジの検定とその酸化状態の還元状態への変換>ザルコイ
ドーシス(類肉腫症)の疾患の患者の末梢血及び胸腔内
より常法により分離・採取した単核球中に含まれるマク
ロファージの酸化型及び還元型マクロファージの量を酵
素リサイクリング法により、還元型グルタチオン(GS
H)及び酸化型グルタチオン(GSSG)の量を生化学
的に測定することにより検定を行った。対照としては健
常人の末梢血を用いた。
【0086】(材料)健常人の末梢血及びザルコイドー
シス患者の末梢血をヘパリン採血或は患者の気管支に経
気管支鏡(BRONCHOFIBER)的に150ml
の生理食塩水を注入し、75mlを回収して、何れもフ
ィコールーハイペーク(LYMPHOPREP)で分離
精製した単核球を10%牛胎児血清含有RPMI164
0倍地に懸濁し、3回洗浄後、ガラスシヤーレに30分
間付着させたマクロファージ/単球画分を用いた。この
後、5mMのNーアセチルシステイン(NAC)を添加
して3時間培養する群及び培地成分のみの群を調製し
た。シャーレからの分離にはラバーポリースマンを用い
た。5×106個のマクロファージについて以下のよう
に検定を実施した。
【0087】(方法)還元型と酸化型のグルタチオンの
測定は前述の酵素リサイクリング法によった。
【0088】(サンプル調製)PBSにて洗浄した細胞
のペレットに、冷やした5mMEDTAを含む0.1M
リン酸バッファー、pH7.5により調製したTrit
onX−100を100μl添加し、5分間室温に放置
して細胞を溶解した。0.1MのHClを15μl添加
し、更に50% sulfosalicylic ac
id(SSA)溶液を15μl添加して混合後、12,
000rpmで5分間遠心して上清を採取し[*]、総
グルタチオン濃度(GSH+GSSG)の測定サンプル
とした。
【0089】(測定法)0.5mMEDTAを含む10
mMリン酸バッファー、pH7.5を590μl、6u
/mlの濃度に同バッファーで調製したグルタチオンリ
ダクターゼ(ベーリンガーマンハイム社製)を100μ
l、5%NaHCO3にて調製した4mMのNADPH
(シグマ社製)を50μl、サンプルを10μl加え
て、37℃にて5分間インキュベートし、5mMEDT
Aを含む0.1Mリン酸バッファー、pH7.5により
調製した10mMの5,5’−dithio−bis
(2−nitrobenzoic acid)(DTN
B;シグマ社製)溶液を50μl加えて、37℃におけ
る412nmの吸光度の経時的変化を分光光度計により
測定した。尚、標準サンプルとして、GSH(シグマ社
製)をサンプルと同じ調製法で調製して用いた。別途、
酸化型グルタチオン(GSSG)量のみを測定し−−上
記*印の後に、2μlの2ービニルピリジン(東京化成
社製)を添加し、室温で1分間混和しpHを7.5に調
製後、室温に60分間放置し、測定サンプルとし、同様
に測定する−−総グルタチオン量より差し引くことで還
元型グルタチオン(GSH)量を求めた。
【0090】(結果)患者の末梢血中の還元型と酸化型
グルタチオンの量はGSSG 5.29μM、GSH
20.45μMと還元型GSHが還元型が約80%で、
依然として優位であるが(健常人においては90%以上
が還元型GSHである)、胸腔内マクロファージでは還
元型GSHが1.45μMであり、酸化型GSSGが1
5.85μMと酸化型が約86%とその存在比が完全に
逆転することが判明した。NAC添加群においては、還
元型GSHが20.45μMであり、酸化型GSSGが
4.32μMと酸化型が急激に減少し、還元型の比率が
80%を越え、末梢血レベルに回復した。このことは、
本疾患において酸化型マクロファージが病態形成に大き
な位置を占めること、その病態がNAC投与で改善でき
ることを示し、本発明の効果は単に病態動物に留まら
ず、リウマチ患者やそのハイリスクの人においても本発
明の適用が有用であることを示唆するものである。
【0091】(実施例6) <還元型、酸化型マクロファージからのIL−12産生
の差異>T細胞の分化過程、選択過程、機能発現過程に
異常があると、生体の免疫系が破綻することから、免疫
系の中心的役割は、T細胞により担われていると考えら
れる。T細胞の亜集団の一つであるヘルパーT細胞(T
h)は、リンホカインを産生することにより、免疫担当
細胞や炎症性細胞を制御している細胞であるが、最近、
Thは、産生するリンホカインの種類により、更にTh
1とTh2の2種類に分けられ、それぞれが異なった免
疫機能を担っているという考えが提唱されている(J. I
MMUNOL., VOL. 136, PP 2348, 1986)。即ち、Th1
は、IL−2やIFNγを産生し、細胞性免疫の調節の
主体であり、Th2はIL−4、IL−5、IL−6や
IL−10を産生し、液性免疫の調節の主体であり、生
体内の免疫調節の恒常性は、Th1とTh2のバランス
により保たれているとする考えである。通常は、Th1
/Th2バランスがどちらかに傾くと、それを是正する
ことにより恒常性が維持されるが、何らかの原因により
バランスが是正されない状態が持続すると免疫病が発症
すると考えられている。Th1とTh2は、Th0とい
う段階からそれぞれに分化するが、Th0からTh1へ
の分化にはMφの産生するIL−12が重要であり(IMM
UNOLOGY TODAY, VOL. 335, PP 14, 1993)、Th0から
Th2への分化にはNKT細胞が産生するIL−4が重
要である(J. EXP. MEDICINE, VOL. 179, PP 1285, 199
4)。
【0092】Mφのレドックス状態の相違によりMφ機
能が異なることは前出の各実施例より明らかである。M
φには、GSH量の相違から酸化型Mφと還元型Mφの
2種類のMφが存在し、NOやIL−6産生パターンが
異なる。Th0からTh1への分化を誘導し、Th1/
Th2バランス制御の鍵の分子であるIL−12の主な
産生細胞はMφと考えられるが、その詳細な解析はこれ
まで報告されていない。IL−12の産生は、酸化型M
φと還元型Mφで異なるのか否かは、免疫病の発症メカ
ニズムの観点からも興味深い点である。本発明者等は、
IL−12が還元型Mφからのみ産生することを見いだ
すとともに、IL−12と同じくTh1/Th2バラン
ス制御を行っていると考えられているIL−4が、酸化
型Mφ、還元型Mφに作用し、Th2側へシフトさせて
いること見出した。本発明の完成に先立って得られたこ
れらの知見を基に、Mφのレドックス状態が、Th1/
Th2バランスを制御していることを示し、本発明を使
用する上で免疫系疾患の病態診断に如何に有用かを説明
する。
【0093】(IL−12は還元型Mφから産生され
る)実施例1において、レンチナン(LNT)を腹腔内
注射して調製したMφは、GSH量の高い還元型であ
り、LPSを腹腔内注射して調製したMφは、GSH量
の低い酸化型であることを示した。LNT誘導MφとL
PS誘導Mφにおいて、IL−12産生能が異なるか否
かを検討した。LPSとIFNγの刺激により、LNT
誘導Mφでは顕著なIL−12産生(1312pg/m
l)が見られたが、LPS誘導Mφ及び対照のレジデン
トMφでは産生がみられなかった(図4)。次に、細胞
内GSH量を変化させる物質を腹腔内注射して調製した
Mφを用いて同様の解析を行った。細胞内GSH量を増
加させる物質であるグルタチオンモノエチルエステル
(GSH−OEt)、低下させる物質であるマレイン酸
ヂエチルエステル(DEM)をそれぞれ投与し調製した
Mφでは、GSH−OEt投与マウス由来Mφでのみ、
LPSとIFNγ刺激によりIL−12が産生された
(3570pg/ml)。これらの結果は、細胞内のG
SH量の多い還元型Mφでのみ、IL−12が産生され
ることを示す。
【0094】(還元型MφからのIL−12産生は、細
胞内GSH量を低下させることにより抑制される)細胞
内のGSH量の多い還元型Mφでのみ、IL−12が産
生されることを示したが、この産生は、Mφを酸化型に
することにより抑制されるか否かを検討した。即ち、レ
ンチナン誘導Mφを、DEM刺激することにより、IL
−12の産生が抑制されるかを解析した。その結果、レ
ンチナン誘導MφからのIL−12産生(828pg/
ml)は、DEMを添加することにより、完全に抑制さ
れる(0pg/ml)ことが明らかとなった。即ち、D
EM処理により細胞内の還元型グルタチオンを枯渇さ
せ、還元型Mφを酸化型Mφへと変換することにより、
IL−12産生は抑制されることが示唆された。
【0095】(IL−4は、還元型MφからのIL−1
2産生を抑制する)IL−4は、Mφに作用し、抑制的
に働くとされているサイトカインである。IL−4は、
Th1/Th2バランスの制御においても、IL−12
と相対する作用を有していると考えられている。そこ
で、IL−4が、還元型MφからのIL−12産生に対
し、抑制的に作用するか否かを検討した。LNT誘導M
φからのIL−12産生及びGSH投与マウス由来Mφ
からのIL−12産生ともに、IL−4で前処理するこ
とによりは顕著に抑制することが明らかとなった(各々
1580pg/mlより370pg/mlへ、490p
g/mlより258pg/mlへ)。即ち、IL−4は
Mφに作用し、IL−12産生を抑制することにより、
Th1/Th2バランスをTh2側にシフトしている可
能性が示唆された。この際、IL−4はMφ中の還元型
グルタチオン量を顕著に減少させることがACASによ
る画像解析で判明した。
【0096】(IL−4は、NO産生を抑制し、IL−
6産生を亢進する)還元型Mφは、酸化型Mφに比較し
てIFNγ刺激でのNO産生が亢進し、逆にIL−6産
生は抑制される。IFNγは、Th1細胞から産生され
るサイトカインとして知られており、IL−4がIFN
γによるNO産生及びIL−6産生に対し、どのような
作用を示すか、それぞれのMφを用いて解析した。IL
−4で前処理したMφ(レジデント、LPS誘導、LN
T誘導)にIFNγを作用させ、NO産生量を測定した
ところ、IL−4で処理していないMφに比較して、I
L−4処理したMφからのNO産生は有意に抑制され
た。また、GSH−OEt刺激により細胞内GSH量を
増加させたMφ及びDEM刺激により細胞内GSH量を
低下させたMφをIL−4で前処理後、IFNγとLP
Sを作用させてNO産生量を測定したところ、IL−4
未処理に比較して、顕著にNO産生が抑制された。
【0097】一方、IL−6産生は、レジデントMφ、
LPS誘導Mφ、LNT誘導Mφ何れともIL−4によ
り前処理することにより、IFNγでの産生が著しく亢
進した。更に、GSH−OEt刺激により細胞内GSH
量を増加させたMφ及びDEM刺激により細胞内GSH
量を低下させたMφをIL−4で前処理後、IFNγを
作用させてIL−6産生量を測定したところ、IL−4
未処理に比較して、顕著にIL−6産生が亢進された。
これらの結果より、IL−4は、細胞内還元型グルタチ
オン量を減少させることにより、酸化型マクロファージ
を誘導し、IFNγ刺激によるNO産生を抑制し、IL
−6産生を亢進することが明らかとなった。このこと
は、IL−4はIFNγの作用、即ちTh1型の作用と
考えられるNO産生を抑制し、本来IFNγは弱い作用
であったIL−6産生誘導を亢進させ、Th2型の作用
を増強させる活性を有していることを示すものである。
本知見は本発明になる抗リウマチ剤の有用性を科学的に
証明するものである。
【0098】(実施例7) <経口摂取NACとIL−2の併用によるIL−12産
生の増強>DBA/2♀の8週令のマウスに実施例6同
様の方法で水道水を自由飲水させる群とNAC1mg/
ml濃度の水道水を自由飲水させる2群を作り、更に各
々の群にヒトリコンビナントIL−2:2μg/0.5
ml/hを1日2回隔日に2週間腹腔内投与を併用する
群を設定した。14日目に実施例6同様にMφからのI
L−12産生量を検定した。
【0099】(調製したMφのGSH濃度の測定)それ
ぞれの処置を受けたマウスの腹腔細胞を調製し、MCB
試薬を用いたACASにより、細胞内GSH量を解析し
た。対照のマウス(水道水自由飲水群)に比べ、NAC
溶解水道水自由飲水群及びIL−2投与群において、還
元型グルタチオンの量は顕著に増加し、還元型Mφの画
像を示した。NAC溶解水道水自由飲水にIL−2投与
を併用する群においては何れの単独群よりも還元型グル
タチオンの量は更に増加し、還元型Mφの誘導における
併用効果がACAS画像解析で明瞭に認められた。併用
群では、全てのMφ中に還元型グルタチオンの量の増加
が認められた(単独処置群の増量が40−50%のMφ
に認められることと対照的で有る)。
【0100】(各群より調製したMφの機能)4群、そ
れぞれのマウスより腹腔細胞を調製し、LPS+IFN
γにより刺激し、NO産生、IL−6産生、及びIL−
12産生能を測定した。単独投与、併用群の3群何れも
対照群に対して還元型マクロファージが増量しているた
め、上記マクロファージ培養上清中のIL−6量が減少
した(対照マウスの1240pg/mlに対して、NA
C溶解水道水自由飲水群320pg/ml、IL−2投
与群520pg/ml、NAC溶解水道水自由飲水にI
L−2投与を併用する群67pg/ml)。IL−6が
Th2を誘導する主たるサイトカインであること考える
と、これらのNAC経口摂取にIL−2なるサイトカイ
ンの注射による併用で生体のTh1/Th2バランスが
より強力に制御できることを明確に示す。NO産生の増
強パターンはIL−6産生と逆相関した。IL−12産
生については、対照マウスの0pg/mlに対して、N
AC溶解水道水自由飲水群620pg/ml、IL−2
投与群946pg/ml、NAC溶解水道水自由飲水に
IL−2投与を併用する群2386pg/mlと顕著な
併用効果が認められた。本発明が、サイトカイン類との
併用で、リウマチ様関節炎等の免疫系疾患の著しい病態
改善に有益な抗リウマチ剤として独創的で、有意義であ
ること示す。
【0101】(実施例8) <(NAC-OMe)2投与による酸化型マクロファージの誘導>
酸化型マクロファージは(NAC-OMe)220μg/0.5m
l/h、若しくはアセチルグリオトキシン10μg/
0.5ml/hをd1、d2にDBA/2マウス腹腔内に
投与して誘導されること、還元型マクロファージはNA
C 2mg/0.5ml/hを同じくDBA/2腹腔内
にd1、d2投与することにより誘導されていることが、
投与終了後20時間後に腹腔浸出細胞を採取し、プラス
チック表面に付着させた後、モノクロロバイメイン10
μMと37℃、30分間反応させ、ACASで解析する
ことで判明した。酸化型の増量はモノクロロバイメイン
との反応産物が殆ど認められないこと、即ちネズミ色や
青色の画像になること、還元型の増量は赤色や黄色の画
像が得られることから肉眼的に容易に検定できる。免疫
抑制作用の良く知られるステロイド剤の代表であるデキ
サメサゾン40μg/0.1ml/hをマウス背部皮下
にd1、d2に投与して20時間後に誘導されるマクロフ
ァージは殆どネズミ色の画像になること、即ち酸化型マ
クロファージが強力に誘導されることが判明した。一
方、N−アセチルシステイン(NAC)2mg投与後2
0時間目の腹腔浸出細胞を採取して同様に検定したとこ
ろ赤色や黄色の画像が得られ還元型マクロファージが誘
導されることが確認された。同様に、酸化型マクロフア
ージの誘導されることは、シスチン誘導体(分子内にジ
スルフィド結合を有する化合物)である、N,N’−ジ
アセチルシスチンニトロキシブチルエステル、N,N’
−ジアセチルシスチンジメチルエステル((NAC-OM
e)2)、N,N’−ジアセチルシスチンジイソプロピル
エステル((NAC-OiPr)2)、N,N’−ジ−L−アラニ
ルシスチンジメチルエステル((NAlaC-OMe)2)の腹腔内
投与(各々20μg/0.5ml/h、週2回3週間投
与、週令9−11)でもACASにより確認された。
【0102】<(NAC-OMe)2、アセチルグリオトキシン投
与によって誘導されたマクロフアージからのNO、IL
−6産生>そこで、腹腔浸出付着細胞を以下のように培
養し、培養上清に産生されるNO、IL−12を測定し
た。IL−6産生量は刺激剤不在下の自発産生量を測定
した。
【0103】(1)材料 細胞:上記のように刺激して得られた腹腔浸出付着細胞
即ちマクロフアージを96穴マイクロプレートに1X1
5細胞/200μl宛添加 培地:フエノールレッドフリーのRPMI1640 200μl
/穴 LPS:リポポリサッカライド(シグマ社製)(由来:
E.coli)100ng/ml IFNγ:100単位/ml
【0104】(2)測定方法 (腹腔Mφの採取)腹腔細胞の採取は、エーテルにより
犠牲死させたマウスの腹腔内に、氷冷した5mlのフェ
ノールレッドフリーのDMEM培地(日研生物社製)を
22ゲージの針をつけた注射筒により注入し、しごいた
後、培地を抜き取ることにより行った。
【0105】(IL−6の定量)実施例2の場合と同様
に定量した。
【0106】(NO2−濃度の測定)実施例2の場合と同
様に測定した。
【0107】(ACASによる細胞内GSHの検出)実施
例2の場合と同様に検出した。
【0108】(IL−12の定量)実施例2の場合と同様
に定量した。
【0109】(結果)マクロフアージからのNO、IL
−6、IL−12産生の抑制効果についての結果を表1
に示す。
【0110】
【表1】
【0111】表1から明らかなように、(NAC-OMe)2、ア
セチルグリオトキシン投与により誘導された酸化型マク
ロファージでは、産生される炎症性サイトカインIL−
6、NO、IL−12の産生量が変動することが明らか
である。即ち、薬剤投与で得られた酸化型マクロファー
ジではIL−6の産生は増強され、臓器障害性に働くN
O産生も細胞性免疫を増強するIL−12産生も低下す
る。この効果は典型的免疫抑制剤であるステロイドのデ
キサメサゾンより強いか同等である。これと対照的にN
-アセチルシステイン(NAC)により誘導される還元
型マクロファージからはNOの産生、IL−12の産生
が上昇し、IL−6産生は抑制される。
【0112】(実施例9) <卵白アルブミン抗原に対する遅延型過敏症反応の抑制
効果>(NAC-OMe)2、(NAC)220μg/0.5ml/h、
NAC、デキサメサゾンを実施例8と同様にd1からd5
まで連日投与、抗原として卵白アルブミンとコンプリー
トH37Raアジュバント(DIFCO)1:1懸濁液
100μl(含む250μg卵白アルブミン)を感作抗
原としてd2に背部皮下に投与、惹起抗原としてd8に左
耳に皮下投与し24時間の左耳の腫脹厚を右耳と比較し
た。
【0113】卵白アルブミン抗原に対する遅延型過敏症
反応の抑制効果についての結果は表2に示す通りであ
り、(NAC-OMe)2、(NAC)2投与によって卵白アルブミン抗
原に対する遅延型過敏症反応は顕著に抑制された。この
ことはこれらの物質の投与により細胞性免疫が抑制され
たことを示す。
【0114】
【表2】
【0115】(実施例10) <アジユバント誘導関節炎(AA)ラットへの薬剤投与効
果>Lewisラットを用いて定法によりアジユバンド誘発
関節炎を誘導し、薬剤効果を検討した。アジユバンド誘
発関節炎はラットに誘発できる実験的関節炎としてよく
知られている(Taurog et al, Meth. Enzymol. 162, 33
9-355, 1988)。本モデルは非ステロイド性酸性抗炎症
薬や免疫抑制剤サイクロスポリン、シクロホスフアミ
ド、メトトレキセート等の抗リウマチ剤としての臨床効
果を投影するとされている。ラット一匹あたり1mg/
0.1mlのアジユバントを尾底部に投与する。浮腫は
アジユバント投与後約2−3週間でピークに達する。浮
腫は単核球の炎症性浸潤により惹起されるものである。
関節の腫脹を毎日マイクロメーターで測定し、アジユバ
ント投与前の関節の直径と投与、治療開始後のそれとを
比較して対照群に対する割合(%)で効果を測定した。
効果はアジユバント投与15日目に判定した。薬剤はア
ジユバント投与後、翌日から3日おきに腹腔内投与し
た。結果を表3に示す。
【0116】
【表3】
【0117】以上の結果は、酸化型マクロフアージを誘
導する物質の投与によりアジユバント誘発関節炎の抑制
されることを明白に示す薬効実験の結果である。一回投
与量については、(NAC)2及び(NAC−OMe)2
は1mg/kgで、NACは100mg/kg、レンチ
ナンは0.1mg/kgである。
【0118】(実施例11) <経口投与を含む薬剤投与効果>Lewisラットを用いて
定法によりアジユバンド誘発関節炎を誘導し、薬剤効果
を実施例10同様に検討した。条件は上記に同様であ
る。結果を表4に示す。
【0119】
【表4】
【0120】投与量について、は実施例10と同様であ
り、(NAlaC−OMe)2、γ-グルタミルシステイ
ンジメチルエステル、グルタチオンジエチルエステルは
何れも100mg/kgである。
【0121】以上の結果は、アジユバント誘発性関節炎
病態動物への薬剤投与においては、N,N’−ジアセチ
ルシスチン((NAC)2)、N,N’−ジプロピルシスチン
((NPC)2)、N,N’−ジアセチルシスチンジメチルエ
ステル((NAC-OMe)2)、N,N’−ジアセチルシスチン
ジイソプロピルエステル((NAC-OiPr)2)、N,N’−
ジ−L−アラニルシスチンジメチルエステル((NAlaC-O
Me)2)、これらのニトロキシブチルエステル体等、前記
構造式(1)に示され、マクロファージ細胞内の還元型
グルタチオン量を減少させ、遅延型過敏症反応を抑制
し、IFNγ、IL−12産生を抑制する作用を有する
化合物に薬効が認められるという事実を明白に示すもの
である。
【0122】同様の関節腫脹抑制効果は、リウマチ性関
節炎自然発症モデルマウスに週3回上記化合物を投与し
た場合にも認められた。本モデルでは週令2ケ月目より
前足指骨関節腫脹が始まり、関節滑膜におけるパンヌス
形成も認められるが、上述のマクロファージ細胞内の還
元型グルタチオン量を減少させ、遅延型過敏症反応を抑
制し、IFNγ、IL−12産生を抑制する作用を有す
る化合物の投与で4.5ケ月後の関節スコアーは生理食
塩水投与群の40−50%に抑制された。逆に、還元型
マクロフアージを誘導するγ−グルタミルシステイン、
γ−グルタミルシステインジメチルエステル、N−アセ
チルシステインニトロキシブチルエステル等のグルタチ
オンの前駆体、グルタチオンモノエステル、グルタチオ
ンニトロキシブチルエステル及びグルタチオンジエステ
ル等のグルタチオン誘導体では腫脹が増大することが判
明した。
【0123】
【発明の効果】本発明の抗リウマチ剤により、マクロフ
ァージ(単球、クッパー細胞及び樹状細胞等を含む。)
の機能の斬新な制御が可能となり、特にヒトのリウマチ
様関節炎、同疾患に随伴する合併症、同疾患のハイリス
ク状態の治療、病態改善、予防を可能とする。
【0124】特に、経口摂取することができ、医薬品並
びに飲食品、栄養剤及び輸液製剤の形態として、即ち抗
リウマチ作用を有する飲食品等として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、想定される、マクロファージの機能の
相違並びにTh1及びTh2による免疫抑制、悪液質状
態、癌細胞の悪性化誘導の機序、局所炎症等との関係の
仮説模式図を示す。
【図2】図2は、酸化型、還元型マクロファージの存在
比がTh1型、Th2型サイトカインの選択的な産生制
御を介して免疫機能を制御していることを説明したもの
である。本発明者等の新しい知見に基づくものであり、
マクロファージの酸化還元状態がin vivoにおけ
る免疫能の傾きを増幅する要になっていることを示す。
【図3】図3は、実施例1における両マクロファージの
機能の検定の結果を表す図で、酸化型マクロファージ及
び還元型マクロファージにおける機能の差を示したグラ
フである。
【図4】図4は、LNT誘導MφとLPS誘導Mφにお
いて、IL−12産生能が異なるか否かを検討した結果
を表す図で、酸化型、還元型マクロファージによってT
h1サイトカインであるIL−12の産生量が全く異な
り、IL−12は還元型グルタチオン含量の高い還元型
マクロファージからのみ産生されることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/235 A61K 31/235 (72)発明者 村田 幸恵 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4B018 ME14 4C076 AA11 CC07 4C206 AA01 AA02 JA26 JA62 MA36 MA86 NA14 ZB15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マクロファージ細胞内の還元型グルタチオ
    ン量を減少させることによりIL−12産生、NO産生
    及びIFNγ産生を抑制し、遅延型過敏症反応を抑制す
    る作用を有する物質を含有することを特徴とする抗リウ
    マチ剤。
  2. 【請求項2】当該物質が、分子内にジスルフイド結合を
    有する化合物である請求項1記載の抗リウマチ剤。
  3. 【請求項3】分子内にジスルフイド結合を有する化合物
    が、下記構造式(1)で示される化合物の何れかである
    請求項2記載の抗リウマチ剤。 【化1】 但し、上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立していて、
    置換又は未置換のアルキル基を、R3及びR4はそれぞれ
    独立していて、アシル基及びペプチジル基の何れかを、
    それぞれ表す。
  4. 【請求項4】細胞内の還元型グルタチオン量が多い還元
    型マクロファージを選択的に除去し得る物質を含有する
    請求項1記載の抗リウマチ剤。
  5. 【請求項5】当該物質が、細胞毒性を有するDNAアル
    キル化剤にグルタチオンを共役させた物質及び前駆体と
    してマクロファージに取り込まれた後に細胞毒性を示す
    物質の何れかである請求項4記載の抗リウマチ剤。
  6. 【請求項6】飲食品、栄養剤及び輸液製剤の何れかの形
    態にある請求項1〜5何れか記載の抗リウマチ剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1345600A1 (en) * 2000-12-27 2003-09-24 Nactilus AB New clinical treatment
WO2009102050A1 (ja) 2008-02-15 2009-08-20 Ajinomoto Co., Inc. 腸管免疫賦活剤

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