JP2000309632A - 水分散体およびそれを用いた水系潤滑剤 - Google Patents

水分散体およびそれを用いた水系潤滑剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性および加水分解安定性に優れたポ
リエーテル化合物とカルボン酸とから誘導されるポリエ
ーテル誘導体を含む水分散体、およびそれを用いた潤滑
性に優れた水系潤滑剤を提供する。 【解決手段】 式(1)で示される化合物と炭素数6〜
24のカルボン酸とから誘導されるポリエーテル誘導体
の水分散体およびそれを用いたことを特徴とする水系潤
滑剤。 R[−O−(BO)h−(AO)l−(BO)m−H]n (1) (Rは炭素数1〜24の水酸基を有する化合物の残基ま
たは水素原子、AOはオキシエチレン基またはオキシプ
ロピレン基、BOはオキシブチレン基であり、h、lお
よびmは平均付加モル数を示し、hは0〜30、lは1
〜200、mは1〜30、nは1〜6、hn+mn=1
〜60、ln=1〜200である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水分散体に関す
る。更に詳しくは、圧延油、鍛造油、プレス油、引抜
油、切削油、研削油、作動油等の水系潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエーテル化合物とカルボン酸とから
誘導されるポリエーテルエステル化合物を含む水分散体
は、潤滑、洗浄、分散、消泡、油水分離、ゲル化等の用
途で用いられている。しかし、水中ではエステルが加水
分解するため、貯蔵中もしくは使用中に水分散体の外観
変化が起きたり、潤滑性や分散性などの性能が低下した
りするといった問題があり、使用範囲が限られていた。
例えば、特開昭52−78661号公報にポリオキシエ
チレンソルビトールとカルボン酸とのエステルを含有す
ることを特徴とする鋼板用圧延油組成物が開示されてい
る。また、特開平10−245581号公報には、プロ
ピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロック共重合
体と炭素数2〜20のカルボン酸とのエステル化合物を
含有する水溶性加工油剤が開示されている。これらはオ
キシエチレン基またはオキシプロピレン基由来の水酸基
とカルボン酸とのエステルであり、水溶液中では加水分
解してその潤滑性を維持できずに加工具の摩耗が大きく
なったり、被加工材の仕上がりが悪くなるといった問題
ある。また貯蔵時に濁り等の外観変化が起きるという欠
点もある。特開昭59−166595号公報にはブチレ
ンオキシドとエチレンオキシドをランダム状またはブロ
ック状に共重合させて得られるポリエーテルとカルボン
酸から誘導されるポリエーテル誘導体を潤滑剤に用いる
ことができると示されているが、具体例な構造は示され
ていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、貯蔵安定性
および加水分解安定性に優れたポリエーテル化合物とカ
ルボン酸とから誘導されるポリエーテル誘導体を含む水
分散体、およびそれを用いた潤滑性に優れた水系潤滑剤
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の欠点を克服すべく鋭意研究した結果、特定の構造
を有するポリエーテルのエステル誘導体が加水分解安定
性および貯蔵安定性に優れることを見出した。すなわ
ち、本発明は、[1] 式(1)で示される化合物と炭
素数6〜24のカルボン酸とから誘導されるポリエーテ
ル化合物の水分散体、 R[−O−(BO)h−(AO)l−(BO)m−H]n...(1) (Rは炭素数1〜24の水酸基を有する化合物の残基ま
たは水素原子、AOはオキシエチレン基またはオキシプ
ロピレン基、BOはオキシブチレン基であり、h、lお
よびmは平均付加モル数を示し、hは0〜30、lは1
〜200、mは1〜30、nは1〜6、hn+mn=1
〜60、ln=1〜200である。) [2] 式(1)で示される化合物の多分散度が1.0
40以下である請求項1記載の水分散体、[3]
[1]または[2]記載の水分散体を用いることを特徴
とする水系潤滑剤、および、[4] ポリエーテル誘導
体の加水分解率が30%以下である[3]記載の水系潤
滑剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において式(1)のRは炭
素数1〜24の水酸基を有する化合物の残基または水素
原子である。水酸基を有する化合物の具体例としては、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、
ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノ
ール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデ
カノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタ
デカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オ
クタデカノール、オクタデセノール、ノナデカノール、
エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、
トリコサノール、テトラコサノール等の直鎖または分岐
の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−
1,2−プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリ
ン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン等の2〜3個の水酸基を有する
化合物、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ソル
ビトール、ソルビタン、グルコース、スクロース等の4
個以上の水酸基を有する化合物等がある。これらは単独
で用いても良いし、混合して用いても良い。Rとして好
ましくは1個〜6個の水酸基を有する化合物の残基また
は水素原子であり、より好ましくは1〜3個の水酸基を
有する化合物の残基または水素原子である。
【0006】AOはオキシエチレン基またはオキシプロ
ピレン基である。単独で用いても、共に用いても良い。
共に用いる場合はランダム状付加またはブロック状付加
どちらでも良い。BOはオキシブチレン基であり、BO
とAOはブロック状付加である。
【0007】h、lおよびmは平均付加モル数を示す。
hは0〜30であり、好ましくは0〜10、より好まし
くは0〜5である。lは1〜200であり、好ましくは
5〜80であり、より好ましくは10〜60である。m
は1〜30であり、好ましくは1〜10であり、より好
ましくは1〜5である。nは1〜6の整数である。hn
+mnは1〜60であり、好ましくは1〜20である。
lnは1〜200であり、好ましくは1〜70である。
hやmが30を越す場合は、水に対する溶解性もしくは
分散性が悪くなる。lまたはlnが200を越す場合
は、水に溶解した場合、その水溶液の粘度が著しく高く
なり、作業性が悪い。
【0008】炭素数6〜24のカルボン酸の具体例とし
ては、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン
酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン
酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン
酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、
エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸、トリコ
サン酸、テトラコサン酸等の直鎖または分岐の飽和カル
ボン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、ヒドロキシ
オクタデセン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、オクタデ
カジエン酸、オクタデカトリエン酸等の不飽和カルボン
酸が挙げられる。好ましくは、オクタン酸、ノナン酸、
デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、
テトラデカン酸等の炭素数8〜14の直鎖または分岐の
飽和カルボン酸、もしくはヘキサデセン酸、オクタデセ
ン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、オクタデカジエン
酸、オクタデカトリエン酸等の炭素数16〜22の不飽
和カルボン酸である。これらは単独で用いても良いし、
混合して用いても良い。式(1)の化合物が2個以上の
水酸基を有する場合は、その全てがカルボン酸でエステ
ル化される必要はない。
【0009】式(1)で示される化合物の多分散度は好
ましくは1.040以下、より好ましくは1.035以
下、さらに好ましくは1.030以下である。多分散度
は分子量分布を示す指標であり、1に近ければ近い程分
子量分布が狭く、均一な化合物であることを示してい
る。多分散度が小さいほうが加水分解安定性、貯蔵安定
性、また潤滑性が良くなるため好ましい。
【0010】多分散度は、一般にゲルパーミュエーショ
ンクロマトグラフィ(GPC)の溶出パラメーターとし
て得られるものであり、測定装置、カラム、展開溶媒等
によって大きく変化することが知られているが、本発明
で記されている多分散度は、重量平均分子量(Mw)と
数平均分子量(Mn)の除で求められ、Mw/Mnで示
される。具体的には、GPCシステムとしてSHODE
X GPC SYSTEM−11(昭和電工(株)製、
商標)、示差屈折計としてSHODEX RI−71
(昭和電工(株)、商標)、GPCカラムとしてSHO
DEX KF804L(φ8mm×300mm、昭和電
工(株)製、商標)を3本直列に連結し、カラム恒温槽
温度40℃、展開溶剤としてテトラヒドロフラン(TH
F)を1ml/minの流速で流し、サンプルの0.1
重量%THF溶液を0.1ml注入し、溶出曲線をBO
RWIN GPC計算プログラム(日本分光(株)製)
で解析し、多分散度を得ることができる。
【0011】式(1)で示される化合物は、一般的な方
法で得ることができる。例えば、1個以上の水酸基を有
する化合物に、触媒としてKOHやNaOH等の水酸化
アルカリ、ナトリウムメチラートやナトリウムエチラー
ト等のアルカリ金属塩であり、好ましくはナトリウムメ
チラートやナトリウムエチラート等のアルカリ金属塩を
加え十分に脱水または脱アルコールを行い、その後で反
応温度130℃以下、好ましくは110℃以下、反応圧
力0.49MPa(5Kg/cm2)以下、好ましくは
0.39MPa(4Kg/cm2)以下でエチレンオキ
シドまたはプロピレンオキシドを付加させ、続いて1,
2−ブチレンオキシドを付加させることによって得るこ
とができる。多分散度の小さい式(1)で示される化合
物を得るためには、脱水または脱アルコールを十分に行
い、反応温度や反応圧力を低くすることが好ましい。ま
た、得られた式(1)で示される化合物をクロマトグラ
ムで分取して、より多分散度の小さいポリエーテル誘導
体を得ることもできる。
【0012】次に、式(1)で示される化合物とカルボ
ン酸を酸またはアルカリ触媒を用いてエステル化するこ
とにより本発明のポリエーテル誘導体を得ることができ
る。また、カルボン酸に水酸化アルカリを加え十分に脱
水し、その後反応温度130℃以下、好ましくは110
℃以下、反応圧力0.49MPa(5Kg/cm2)以
下、好ましくは0.39MPa(4Kg/cm2)以下
でエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド、
1,2−ブチレンオキサイドを付加することによっても
得ることができる。
【0013】水分散体中のポリエーテル誘導体の濃度は
0.01重量%から80重量%が好ましく、より好まし
くは0.01重量%〜20重量%である。0.01重量
%より薄いと性能が十分に発揮できず、80重量%より
濃いと水溶液の粘度が高くなりすぎて作業上の問題があ
る。
【0014】本発明の水分散体は、潤滑、洗浄、分散、
消泡、油水分離、ゲル化等の用途で用いることができ
る。用途によって本発明の効果を損ねない範囲で他の化
合物を添加することができる。
【0015】本発明の水系潤滑剤として用いる場合は、
ポリエーテル誘導体を単独で用いても良いが、適宜他の
化合物を配合しても良い。このような化合物として、鉱
物油、動植物油、カルボン酸エステル、カルボン酸およ
びこれらのアルカリ金属またはアミン塩、硫化オレイン
酸、塩素化ステアリン酸、アルキルリン酸エステル等の
潤滑剤、モノエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、N−ジメチルアミノエタノール、エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、シクロヘキシルアミン、モ
ルホリンおよびこれらのアルキレンオキシド付加物等の
有機アミン、カルボン酸および芳香族カルボン酸等の腐
食防止剤、シリコーン系消泡剤等が挙げられる。ポリエ
ーテル誘導体の加水分解率は、30%以下が好ましく、
より好ましくは20%以下である。本発明で記されてい
る加水分解率は次の方法で求められる。試料1gをすり
付きフラスコに正しくはかり取り、これに0.1%KO
H水溶液を100ml加えた。冷却管をフラスコに取り
付けて40℃で2時間放置する。その後液を25ml抜
き取り、これにフェノールフタレン指示薬を加え、0.
1mol/Lの塩酸水溶液で滴定する。本試験と併行し
て空試験を行い、それらの結果からケン化価Aを求め
る。試料の加水分解率は次式で求める。 加水分解率(%)=A/SV×100 なお、SVは1NKOH水溶液で85℃、6時間加熱し
て求めた試料のケン化価である。
【0016】
【実施例】実施例1〜6および比較例1〜4で用いたポ
リエーテル誘導体を表1に示した。潤滑性、防錆性、加
水分解率を下記に示す方法で評価を行い、その結果を表
2に示した。 <多分散度>ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ
(GPC)の測定から得られた重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)から多分散度(Mw/Mn)を
求めた。具体的には、GPCシステムとしてSHODE
X GPC SYSTEM−11(昭和電工(株)製、
商標)、示差屈折計としてSHODEX RI−71
(昭和電工(株)、商標)、GPCカラムとしてSHO
DEX KF804L(φ8mm×300mm、昭和電
工(株)製、商標)を3本直列に連結し、カラム恒温槽
温度40℃、展開溶剤としてテトラヒドロフラン(TH
F)を1ml/minの流速で流し、サンプルの0.1
重量%THF溶液を0.1ml注入し、溶出曲線をBO
RWIN GPC計算プログラム(日本分光(株)製)
で解析し、多分散度を得た。
【0017】<加水分解性試験>試料1gをすり付きフ
ラスコに正しくはかり取り、これに0.1%KOH水溶
液を100ml加えた。冷却管をフラスコに取り付けて
40℃で2時間放置した。その後液を25ml抜き取
り、これにフェノールフタレン指示薬を加え、0.1m
ol/Lの塩酸水溶液で滴定した。本試験と併行して空
試験を行い、それらの結果からケン化価Aを求めた。試
料の加水分解率は次式で求めた。 加水分解率(%)=A/SV×100 なお、SVは1NKOH水溶液で85℃、6時間加熱し
て求めた試料のケン化価である。
【0018】<潤滑性試験>表1に示すポリエーテル誘
導体を1重量%水溶液になるよう調製して、その試験液
の摩擦係数を曽田式振り子型摩擦試験機を用いて液温2
5℃で測定した。
【0019】<貯蔵安定性>表1に示すポリエーテル誘
導体10gを水道水90gに溶かした液を蓋付き試験管
に入れ、室温で30日間放置した。放置後の状態を以下
の基準にしたがって表示した。 判定基準 ○:合格 外観に変化なし。 ×:不合格 濁り、2層分離、沈殿物生成等があるか、
または粘凋状である。
【0020】
【表1】
【0021】{}内はランダム状結合を示す。
【0022】
【表2】
【0023】本発明の水分散体である実施例1〜6は、
加水分解率が低く、貯蔵安定性に優れるばかりでなく、
潤滑性にも優れている。分子中にエステル結合を持たな
い比較例1は潤滑性が不十分であり、本発明とは構造の
異なるポリエーテルと脂肪酸エステルとからなる比較例
2〜4は加水分解率が高く、貯蔵安定性が悪い。
【0024】
【発明の効果】本発明の水分散体は、加水分解安定性、
貯蔵安定性に優れており、特に水系潤滑剤として用いた
場合、潤滑性にも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:08 40:22 40:24 50:02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示される化合物と炭素数6〜
    24のカルボン酸とから誘導されるポリエーテル誘導体
    の水分散体。 R[−O−(BO)h−(AO)l−(BO)m−H]n...(1) (Rは炭素数1〜24の水酸基を有する化合物の残基ま
    たは水素原子、AOはオキシエチレン基またはオキシプ
    ロピレン基、BOはオキシブチレン基であり、h、lお
    よびmは平均付加モル数を示し、hは0〜30、lは1
    〜200、mは1〜30、nは1〜6、hn+mn=1
    〜60、ln=1〜200である。)
  2. 【請求項2】 式(1)で示される化合物の多分散度が
    1.040以下である請求項1記載の水分散体。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の水分散体
    を用いたことを特徴とする水系潤滑剤。
  4. 【請求項4】 ポリエーテル誘導体の加水分解率が30
    %以下である請求項3記載の水系潤滑剤。
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