JP2000311332A - 磁気記録媒体および該磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体および該磁気記録媒体の製造方法

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JP2000311332A JP37160099A JP37160099A JP2000311332A JP 2000311332 A JP2000311332 A JP 2000311332A JP 37160099 A JP37160099 A JP 37160099A JP 37160099 A JP37160099 A JP 37160099A JP 2000311332 A JP2000311332 A JP 2000311332A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低浮上型ヘッドを用いても分解することな
く、潤滑特性、CSS耐久性を向上させた磁気記録媒体
を提供する。 【解決手段】 潤滑層に環状トリホスファゼン系潤滑剤
を単独で使用するか、または環状トリホスファゼン系潤
滑剤をパーフルオロポリエーテル系潤滑剤と組み合わせ
て使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピューターの
外部記録装置に搭載される磁気記録媒体および該磁気記
録媒体の製造方法に関する。特に本発明は、磁気記録媒
体の表面上に塗布される潤滑特性(CSS耐久性)を改
善した潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】固体磁気記録媒体を用いた記録装置など
は、一般に、磁気記録媒体の回転時には磁気ヘッドが浮
上し、回転駆動モーターが停止した時には磁気ヘッドが
磁気記録媒体表面と接触するコンタクト・スタート・ス
トップ(CSS)方式が採用されている。従来の磁気記
録媒体は、表面保護層としてダイヤモンド状カーボン
(DLC)に、さらに少量のNやSi等を添加したもの
が用いられている。そして、一般に、このような表面保
護層の潤滑特性を改良するために、該表面保護層の上に
パーフルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布する。かかる
潤滑剤を使用し保護層表面を覆い尽くすことは、表面に
有害なガスや有機汚染物が吸着することを防ぎ、さらに
潤滑特性を向上させ、CSS耐久性に優れかつ安定した
磁気記録媒体を得る一つの手段となる。
【0003】DLC系カーボン表面は、反応性のカルボ
ニル基、カルボキシル基や水酸基等の官能基を有する薄
い酸化膜で覆われており、ここに汚染物が積極的に吸
着、結合し存在する。このような汚染物の吸着は、有極
性末端基を有するパーフルオロポリエーテルを使用する
ことで抑止することができるが、パーフルオロポリエー
テルの分子量が低すぎると潤滑特性が低下し、逆に分子
量が高すぎるとヘッドと潤滑層との吸着傾向が高くな
る。また、比較的分子量の大きいパーフルオロポリエー
テルを使用した場合、一般的に保護層上に数10Å塗布
した程度では分子と分子との間に隙間が生じ、保護層表
面を完全に覆うのは困難である。従って、このような比
較的分子量の大きいパーフルオロポリエーテルを使用し
て、保護層表面を完全に覆うためには、潤滑剤の膜厚を
50Å以上に厚く塗布しなければならず、50Å位まで
厚くすると磁気記録媒体と磁気ヘッドとの吸着を回避す
ることは困難となる。
【0004】近年では高密度記録に伴い磁気ヘッドの低
浮上化が進み、磁気ヘッドの構造も従来のTRCヘッド
からTri−omegaヘッド、MRヘッド等の低浮上
型ヘッドが採用されるようになってきた。それに伴い、
ヘッド材質が触媒作用を受けるか、または摩擦熱を発生
することにより、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤の
主鎖部(エーテル部位)では分解が進むことになる。さ
らに、この分解物やディスク表面に吸着したガス等の腐
食成分が磁気ヘッド表面に転写され、磁気ヘッドの浮上
特性を乱し、再生出力の低下を招くことになる。また、
分解したパーフルオロポリエーテル系潤滑剤は、潤滑特
性が低下するため保護層の摩耗が生じ、最悪の場合には
ヘッドクラッシュを引き起こすことになる。
【0005】一方で、従来から環状トリホスファゼン系
潤滑剤は、潤滑特性の向上やパーフルオロポリエーテル
系潤滑剤の分解抑制に効果があることが知られている。
例えば、特開平9−305961号公報では、以下の構
造式(II)で示されるような環状トリホスファゼン系潤
滑剤をパーフルオロポリエーテル系潤滑剤と組み合わせ
て使用することにより磁気記録媒体における潤滑特性が
改善されることを開示している。
【0006】
【化3】
【発明が解決しようとする課題】しかし、パーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤と環状トリホスファゼン系潤滑剤
とは互いに非常に混ざりにくく、さらに潤滑層として塗
布され、ある環境下に放置されると凝集してしまうとい
う解決すべき課題がある。その結果、従来の技術では、
固定磁気記録媒体を用いた記録装置の特性を大幅に低下
することがある。また、上述した課題を解決するため
に、各種のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いる
試みが種々なされているが、要求される全ての性能を満
足し得る技術は未だ確立されていないのが現状である。
【0007】従って、本発明の目的は、高密度記録に伴
う磁気ヘッドの低浮上化による潤滑剤の分解および保護
層の摩耗を防止し、長期にわたる潤滑特性の安定化(C
SS耐久性の向上)を実現する磁気記録媒体および該磁
気記録媒体の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するため、潤滑層に用いる潤滑剤について鋭意
検討した結果、分子量が小さく、安定性が高く、耐熱性
に優れた新規の環状ホスファゼン系潤滑剤を使用するこ
とにより、前記の目的を達成できることを見出し本願発
明を完成するに至った。すなわち、本発明の磁気記録媒
体は、非磁性基体上に下地層、磁性層、保護層、および
潤滑層を有し、かかる潤滑層は少なくとも、以下の構造
式(I):
【0009】
【化4】 で示される環状トリホスファゼン系潤滑剤を含むことを
特徴とする。上述した潤滑層には、さらに、少なくとも
1つの有極性末端基を有するパーフルオロポリエーテル
系潤滑剤を含んでもよく、そのパーフルオロポリエーテ
ル系潤滑剤の重量平均分子量は1,500から5,50
0であることが好ましい。
【0010】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁
性基体上に下地層を積層する工程と、該下地層上に磁性
層を積層する工程と、該磁性層上に保護層を積層する工
程と、該保護層上に潤滑層を積層する工程とを具え、か
かる潤滑層は少なくとも以下の構造式(I):
【0011】
【化5】 で示される環状トリホスファゼン系潤滑剤を用いて形成
されることを特徴とする。上述した潤滑層は、さらにパ
ーフルオロポリエーテル系潤滑剤を用いて形成してもよ
い。
【0012】本発明の磁気記録媒体の製造方法におい
て、潤滑層を積層する工程は、上述した環状トリホスフ
ァゼン系潤滑剤とパーフルオロポリエーテル系潤滑剤と
を別々に塗布するか、または上述した環状トリホスファ
ゼン系潤滑剤とパーフルオロポリエーテル系潤滑剤とを
混合して塗布するかしてもよい。それらの塗布は、ディ
ップコート法またはスピンコート法で行うことが好まし
い。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に基づく磁気記録媒体は、
該磁気記録媒体の表面の潤滑特性を改善するために、潤
滑層に以下の構造式(I)で示される新規の環状トリホ
スファゼン系潤滑剤を使用する。
【0014】
【化6】 環状トリホスファゼン系潤滑剤は、単独でまたは少なく
とも1つの有極性末端基を有するパーフルオロポリエー
テル系潤滑剤と組み合わせて使用することができる。環
状トリホスファゼン系潤滑剤をパーフルオロポリエーテ
ル系潤滑剤と組み合わせて使用する場合には、各潤滑剤
を別々に塗布して2層構造にするか、または先に各潤滑
剤を混合して塗布することができる。各潤滑剤はよく混
ざり合い、従来問題となっていた凝集は起こらない。ま
た、必要に応じて各潤滑剤を任意の溶剤で希釈してもよ
い。
【0015】構造式(I)で示される環状トリホスファ
ゼン系潤滑剤は、限定されるものではないが、例えば、
環状トリホスファゼン化合物と以下に示す反応式(1)
および(2)で得られた化合物とを混合することによっ
て調製することができる。
【0016】すなわち、慣用の方法にしたがって、溶媒
の存在下、反応式(1)に示すように1,2,3,4,
5,6−フロロヘプタノール[F(CF26CH2
H]と金属ナトリウムとを低温で反応させ、ナトリウム
アルコキシドとする。
【0017】
【化7】 また、慣用の方法にしたがって、溶媒の存在下、反応式
(2)に示したようにm−トリフルオロメチル−フェノ
ールと金属ナトリウムとを低温で反応させ、ナトリウム
フェノキシドとする。
【0018】
【化8】 上記の反応式(1)および(2)で得られた化合物と環
状トリホスファゼン化合物とを作用させることにより、
構造式(I)で示される環状トリホスファゼン系潤滑剤
が得られる。
【0019】さらに、上記環状トリホスファゼン系潤滑
剤と組み合わせて使用してもよいパーフルオロポリエー
テル系潤滑剤は、好適には1,500から5,500、
より好適には2,500から4,000の重量平均分子
量を有するものである。かかる分子量が低すぎると潤滑
特性が低下し、また分子量が高すぎるとヘッドと潤滑層
との吸着傾向が大きくなってしまう。少なくとも1つの
有極性末端基を有するパーフルオロエーテルを組み合わ
せることで、磁気記録媒体への汚染物の付着防止をより
効果的にすることができる。このようなパーフルオロポ
リエーテル潤滑剤の一例として、モンテカチーニ社製の
Fomblin Z-dol 4000(商品名)が挙げられる。
【0020】前記各潤滑剤の塗布は、当業者に既知の方
法、好ましくはディップコート法、スピンコート法を用
いて行うことが好ましい。塗布の際、必要に応じて各潤
滑剤を適当な溶剤で希釈してもよく、0.05wt%の
濃度が適当である。そして、上述のような本発明の環状
トリホスファゼン系潤滑剤、またはパーフルオロポリエ
ーテル系潤滑剤と組み合わせた環状トリホスファゼン系
潤滑剤で磁気記録媒体の保護層表面を完全に覆うことに
より、汚染物の吸着抑止および潤滑特性を向上させ、C
SS耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることが可能とな
る。
【0021】本発明に係る磁気記録媒体の一実施態様を
図1に示し、図1を参照しながら以下に概説するが、こ
れらに限定されるものではない。
【0022】本発明に係る磁気記録媒体の一実施態様で
は、非磁性基板11(例えば、Al−Mg)および非磁
性金属層12(例えば、合金基板上に無電解メッキした
Ni−P)とからなる非磁性の基体1、該基体1の上に
積層した非磁性の金属下地層2、該金属下地層2の上に
薄膜上に積層した強磁性合金である磁性層3(例えば、
Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt等)、さらに該磁
性層3の上に積層した保護層4(例えば、カーボン層)
とを備える。そして、前記のように保護層4まで順次積
層された上に、さらに潤滑層5を備える。
【0023】以下、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法について実施例により説明するが、本発明は以下に示
す実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱し
ない範囲において種々変更可能であることは言うまでも
ない。
【0024】1.磁気記録媒体の製造 (実施例1)最初に、本発明に係る磁気記録媒体の潤滑
層に使用する構造式(I)で示される環状トリフォスフ
ァゼン系潤滑剤の調製について例示する。
【0025】(a)ナトリウムアルコキシド化 蒸留などでよく脱水させた30mlのHFE7200
(商品名、3M社製)に金属ナトリウム1.0gを加え
たものを、10gの1,2,3,4,5,6−フロロヘ
プタノール[F(CF26CH2OH]と0.1gのピ
リジンとを100mlのHFE7200に溶解させた溶
液に加えた後、0℃に冷却した。この溶液の温度を0℃
以下に保ちながら、10時間にわたって撹拌した。NM
R測定により反応の終点を確認した後、反応溶液を濾過
して固形物を取り除き、純水で洗浄し、さらにHFE7
200を除去して目的とする1,2,3,4,5,6−
フロロヘプタノールアルコキシド7.3gを得た。
【0026】(b)ナトリウムフェノキシド化 蒸留などでよく脱水させた30mlのジエチルエーテル
に金属ナトリウム1.0gを加えたものを、10gのm
−トリフルオロメチルフェノールと0.1gのピリジン
とを80mlのジエチルエーテルに溶解させた溶液に加
えた後、0℃に冷却した。この溶液を0℃以下に保ちな
がら、5時間にわたって撹拌した。NMR測定により反
応の終点を確認した後、反応溶液を濾過して固形物を取
り除き、純水で洗浄し、さらにジエチルエーテルを除去
して目的とするナトリウム m−トリフルオロメチル−
フェノキシド8.5gを得た。
【0027】(c)環状トリホスファゼン系潤滑剤の調
製 オートクレーブに、上記(a)で得られた1,2,3,
4,5,6−フロロヘプタノールアルコキシドを2.0
g、上記(b)で得られたナトリウム m−トリフルオ
ロメチル−フェノキシドを6.0g、ヘキサクロロホス
ファゼンN33Cl6を3.0g、さらにHFE720
0を70ml入れて、オートクレーブ内をN2で置換し
た後、80℃で250時間にわたって反応させた。NM
R測定により反応の終点を確認した後、水およびエタノ
ールで洗浄し、所望の環状トリホスファゼンを鎖状分子
の末端に有する1,2,3,4,5,6−フロロヘプタ
ノールを2.4g得た。なお、得られた潤滑剤は必要に
応じて適当な溶剤で希釈して使用する。
【0028】次に、上述のようにして得られた環状トリ
ホスファゼン系潤滑剤を用いた磁気記録媒体の製造につ
いて例示する。
【0029】Al−Mg合金基板上に無電解メッキによ
りNi−Pメッキを施した非磁性金属層を13μm形成
し、その表面をポリッシュにより表面粗さRaが10Å
になるように研磨した後、ダイヤモンドスラリーを使用
して、表面粗さRaが40Åとなるように、同心円状の
溝をテクスチャー加工により施した。得られた基体を洗
浄した後、DCスパッタ法により膜厚500ÅのCrか
らなる非磁性金属下地層、次いで膜厚300ÅのCo−
Cr−Taからなる磁性層、さらに膜厚150ÅのDL
Cからなる保護層を作製した。
【0030】上述のように保護層まで順次積層させた上
(以下、保護層の上という)に、先に調製した環状トリ
ホスファゼン系潤滑剤(構造式(I)で示される化合
物、だたしnは1から6)を使用し潤滑層を成膜した。
その際、かかる環状トリホスファゼン系潤滑剤はn−ヘ
キサンを溶剤として用い希釈し、その濃度が0.05w
t%になるように予め調製した。得られた潤滑剤溶液を
ディップコート法により塗布し、20Åの潤滑層を有す
る磁気記録媒体を作製した。
【0031】(比較例1)構造式(I)で示される化合
物の代わりに、以下の構造式(II):
【0032】
【化9】 で示される従来の環状トリホスファゼン系潤滑剤を保護
層の上に使用することを除いて、実施例1と同様に実施
することにより相当する磁気記録媒体を作製した。
【0033】(実施例2)実施例1で記述した保護層の
上に、nが1から6である構造式(I)で示される環状
トリホスファゼン系潤滑剤を成膜した。その際、かかる
環状トリホスファゼン系潤滑剤を溶剤としてn−ヘキサ
ンを用いて希釈し、その濃度が0.05wt%になるよ
うに予め調製し、ディップコート法により塗布し、5Å
の潤滑層を成膜した。
【0034】次いで、モンテカチーニ社製のFomblin Z-
dol 4000(商品名)等の重量平均分子量が4,000
で、かつ水酸基を末端基に有するパーフルオロポリエー
テルを、溶媒として3M社製のFC−77(商品名)等
のフルオロカーボンを用いて希釈し、その濃度が0.0
5wt%になるように調製した。得られた潤滑剤溶液を
スピンコート法(回転数1,800rpm)で塗布し、
膜厚20Åのパーフルオロポリエーテル系潤滑層を成膜
した。そして、各潤滑層を有する磁気記録媒体を作製し
た。
【0035】(比較例2)構造式(I)で示される化合
物の代わりに、前記構造式(II)で示される従来の環状
トリホスファゼン系潤滑剤を保護層の上に使用すること
を除いて、実施例2と同様に実施することにより相当す
る磁気記録媒体を作製した。
【0036】(比較例3)実施例2において、保護層の
上に環状トリホスファゼン系潤滑剤を成膜しないことを
除いて、実施例2と同様に実施することにより相当する
磁気記録媒体を作製した。
【0037】2.磁気記録媒体の評価 上述した実施例1、2および比較例1〜3で作製した磁
気記録媒体表面の潤滑層に関して、以下、評価1および
評価2に示すような分解評価を行った。評価1 上述した実施例1、2および比較例1〜3で作製した各
々の磁気記録媒体の表面上に、Al23−TiC粉と超
純水の混合液1滴を滴下し、次いでデシケータ内に入れ
80℃/80%相対湿度の条件下で24時間放置した。
次いで、磁気記録媒体の表面にある潤滑剤の分解の有無
をフーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IR)を用い
て確認した。これらの結果を以下の表1に示す。
【0038】評価2 上述した実施例1、2および比較例1〜3において作製
した各々の磁気記録媒体について、それらの表面上に超
純水1滴を滴下した磁気記録媒体と10ccの1% H2
SO4とを入れたシャーレをデシケータ内に入れ、80
℃/80%相対湿度の条件下で24時間にわたって放置
した後、媒体表面潤滑剤の分解の有無をフーリエ変換式
赤外分光光度計(FT−IR)にて確認した。これらの
結果を以下の表1に示す。
【0039】
【表1】 表1から明らかなように、評価1および評価2のいずれ
においても、保護層を少なくとも本発明の環状トリホス
ファゼン系潤滑剤で塗布した磁気記録媒体では、潤滑剤
の分解が見られないことが分かった。
【0040】次に、上述した実施例1、2および比較例
1〜3で作製した磁気記録媒に関し、以下、評価3およ
び評価4に示すような潤滑特性の評価を行った。
【0041】評価3 上述した実施例1、2および比較例1〜3において作製
した各々の磁気記録媒体の表面上に、ヘッド荷重が10
gfの磁極ヘッドを、半径位置21.5mm、回転数1
rpmで摺動させて、この時の動摩擦係数μIを測定し
た。その後、回転数100rpmで1時間摺動させた
後、回転数100rpmで摺動させた時の動摩擦係数μ
Lを測定した。これらの結果を以下の表2に示す。
【0042】評価4 上述した実施例1、2および比較例1〜3において作製
した各々の磁気記録媒体を、評価3と同様のヘッドを用
い実際の磁気ディスクドライブに組み込み、初期の摩擦
係数μIを測定した。その後、常温/常湿(25℃/5
0%)と60℃/80%相対湿度の条件下で、20,0
00回のCSSを繰り返した後、摩擦係数μLを測定し
た。また、60℃/80%相対湿度の条件下で、CSS
を20,000回繰り返したものについて、ヘッドの汚
れの有無を光学顕微鏡により観察した。これらの結果を
以下の表2に示す。
【0043】
【表2】 表2から明らかなように、評価3および4に関して、保
護層を少なくとも本発明の環状トリホスファゼン系潤滑
剤で塗布した磁気記録媒体(実施例1および2)は、い
ずれの環境下においても初期摩擦係数μIが小さく、2
0,000回のCSSにおける摩擦係数の上昇も少な
い。これに対し、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤の
みを使用したもの(比較例3)は摩擦係数が上昇し、さ
らに保護層の摩耗が生じた。このことから、本発明に係
る潤滑剤を使用することで、磁気記録媒体の摺動特性お
よびCSS耐久特性を改善できることが分かった。
【0044】また、実施例1および2において作製され
た本発明に係る潤滑剤を表面に塗布した磁気記録媒体で
は、ヘッドの汚れは確認できなかった。
【0045】最後に、上述した実施例1、2および比較
例1〜3において作製した磁気記録媒体表面の潤滑層に
関して、以下、評価5に示すような凝集評価を行った。
【0046】評価5 上述した実施例1、2および比較例1〜3で作製した各
々の磁気記録媒体を恒温恒湿槽に80℃/80%で5日
間にわたり放置した後、磁気記録媒体表面の凝集の有無
を光学顕微鏡により観察した。これらの結果を以下の表
3に示す。
【0047】
【表3】 表3から明らかなように、本発明に係る環状トリホスフ
ァゼン系潤滑剤を使用した実施例1において、凝集現象
は観察されなかった。また、同様に本発明に係る環状ト
リホスファゼン系潤滑剤とパーフルオロポリエーテルと
を組み合わせた実施例2についても凝集現象は観察され
ず、各々の潤滑剤がよく混ざり合うことが分かる。
【0048】一方、前記構造式(II)で示される従来型
の環状トリホスファゼン系潤滑剤を用いた比較例1およ
び2では、凝集現象が確認された。
【0049】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に基づく環状トリホスファゼン系潤滑剤を単独でまたは
パーフルオロポリエーテル系潤滑剤と組み合わせて使用
することにより、低浮上型の磁気ヘッドに対して潤滑特
性およびCSS耐久性の向上を与える。その結果、従来
のものに比べて長期使用時における特性安定に優れた磁
気記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にもとづく磁気記録媒体の一例
を示す断面斜視図である。
【符号の説明】
1 基体 2 金属下地層 3 磁性層 4 保護層 5 潤滑層 11 非磁性基板 12 非磁性金属層(メッキ層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:18 (72)発明者 白井 信二 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BH14A CD04A EA03A LA20 PA16 5D006 AA01 AA06 DA03 FA02 FA06 5D112 AA07 AA11 AA24 BC02 BC10 CC01 CC05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体上に下地層、磁性層、保護
    層、および潤滑層を有する磁気記録媒体において、前記
    潤滑層は少なくとも、以下の構造式(I): 【化1】 で示される環状トリホスファゼン系潤滑剤を含むことを
    特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記潤滑層に、さらに少なくとも1つの
    有極性末端基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑
    剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記パーフルオロポリエーテル系潤滑剤
    は、重量平均分子量が1,500から5,500である
    ことを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性基体上に下地層を積層する工程
    と、該下地層上に磁性層を積層する工程と、該磁性層上
    に保護層を積層する工程と、該保護層上に潤滑層を積層
    する工程とを具えた磁気記録媒体の製造方法において、
    前記潤滑層は、少なくとも以下の構造式(I): 【化2】 で示される環状トリホスファゼン系潤滑剤を用いて形成
    されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記潤滑層は、さらにパーフルオロポリ
    エーテル系潤滑剤を用いて形成されることを特徴とする
    請求項4に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記潤滑層を積層する工程は、前記環状
    トリホスファゼン系潤滑剤を塗布する工程と、前記パー
    フルオロポリエーテル系潤滑剤を塗布する工程とを具え
    ることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記潤滑層を積層する工程は、前記環状
    トリホスファゼン系潤滑剤と前記パーフルオロポリエー
    テル系潤滑剤とを混合して塗布する工程を具えることを
    特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記塗布する工程が、ディップコート法
    またはスピンコート法であることを特徴とする請求項6
    または7に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から3のいずれかに記載の磁気
    記録媒体を搭載することを特徴とする記録装置。
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