JP2000315818A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JP2000315818A JP12461099A JP12461099A JP2000315818A JP 2000315818 A JP2000315818 A JP 2000315818A JP 12461099 A JP12461099 A JP 12461099A JP 12461099 A JP12461099 A JP 12461099A JP 2000315818 A JP2000315818 A JP 2000315818A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 p型不純物元素の活性化率が高く、抵抗率の
低いp型半導体層を有した半導体装置の製造方法を提供
する。 【解決手段】 p型GaN系化合物半導体層15を堆積
する工程と、n型GaN系化合物半導体層16を堆積す
る工程と、水素ガスを含む雰囲気中で原子状水素(H)
をp型GaN系化合物半導体層15に溶解させる温度範
囲に存在する基板温度まで冷却する工程と、n型GaN
系化合物半導体層15に接して、金属薄膜18を堆積す
る工程とを少なくとも有する半導体装置の製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化ガリウム(G
aN)系化合物半導体を用いた発光ダイオード(LE
D)、半導体レーザなどの半導体発光素子、あるいはト
ランジスタ等の半導体装置の製造方法に係り、特にこれ
らの半導体装置に用いることが可能な低抵抗でp型のG
aN系化合物半導体層を良好に形成することができる半
導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】GaN、GaAlN、InGaN、In
GaAlN等のGaN系化合物半導体を用いた青色半導
体発光素子(青色LED、青色レーザなど)は公知であ
る。この種の半導体発光素子は、一般的にサファイア
(Al23)より成る絶縁性基板の上にGaxAl1-x
(但し、0≦x≦1)で表されるGaN系化合物半導体
層を周知の気相エピタキシャル成長方法などで堆積して
構成されている。
【0003】即ち、従来のこの種の半導体発光素子は図
5に示すように、サファイア等から成る絶縁性基板11
の一方の主面(上面)に気相エピタキシャル成長方法に
よって、GaN系化合物半導体層から成るバッファ層1
2、このバッファ層12の上に形成されたGaN系化合
物半導体層からなるn型クラッド層63、このn型クラ
ッド層63の上に気相エピタキシャル成長方法によって
形成されたGaN系化合物半導体層から成る活性層6
4、及びこの活性層64の上に形成されたGaN系化合
物半導体層から成るp型クラッド層65からなる半導体
積層構造を堆積している。更に、この半導体積層構造の
一方の主面(上面)に露出したp型クラッド層65には
アノード電極19が形成されている。p型クラッド層6
5と活性層64の一部には図示のように切欠け部が形成
されており、この切欠け部の底部においてn型クラッド
層63の上面の一部が露出している。カソード電極18
はこの切欠け部の底部に露出したn型クラッド層63に
電気的に接続されている。
【0004】なお、サファイア基板11の代わりに炭化
珪素(SiC)等から成る低抵抗性基板の上に同様な半
導体積層構造を堆積し、この半導体積層構造の最上面と
最下面にそれぞれアノード電極19とカソード電極18
を形成した半導体発光素子も公知である。この半導体発
光素子によれば電流を半導体積層構造の縦方向に流すこ
とができ、上述の半導体発光素子のように半導体積層構
造に切欠け部を形成する必要がない。
【0005】ところで、上述の半導体発光素子におい
て、絶縁性基板又は低抵抗性基板の上面に形成されるG
aN系化合物半導体層は、周知のMOCVD(有機金属
化合物気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法
等によって形成される。なお、MBE法では良質な膜を
形成し難いため、MOCVD法で形成するのが一般的で
ある。ここで、半導体層を特定の導電型(n型又はp
型)にするには、半導体層の中にこの導電型を決定する
ための不純物を導入する必要があり、GaN系化合物半
導体においてはn型の不純物としてシリコン(Si)、
p型の不純物としてマグネシウウム(Mg)や亜鉛(Z
n)が通常用いられている。勿論、これ以外の不純物を
用いることもある。
【0006】従来この種の半導体発光素子の製造方法に
おいて問題とされていたのは、このようなMOCVD法
によってもp型のGaN系化合物半導体層を良好に形成
することができないということである。つまり、p型の
GaN系化合物半導体層を形成するためには、上述のよ
うにMOCVD法等により半導体層を気相エピタキシャ
ル成長させる際にp型不純物としてのMgやZnを導入
するのであるが、単にp型不純物を膜内に導入しても低
抵抗なp型のGaN系化合物半導体層とはならず、形成
された膜はかなり高い抵抗値を示す高抵抗半導体層とな
ってしまう。
【0007】この問題点を解決する手段として、上述の
ようにして形成された高抵抗半導体層に対して電子線を
照射することでその抵抗値を低くする方法(第1の従来
技術)が公知となっている(例えば、天野ら:ジャパニ
ーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、
第28巻、第L2212頁乃至第L2214頁等参
照)。
【0008】また、高抵抗半導体層に電子線を照射する
代わりに、水素ガスを含まない雰囲気下で熱処理を施す
ことによって半導体層の低抵抗化を図る方法(第2の従
来技術)が発表されている(例えば、特開平5−183
189号公報、若しくは中村ら:ジャパニーズ・ジャー
ナル・オブ・アプライド・フィジックス、第31巻、第
1258頁乃至第1266頁等参照)。この方法によれ
ば、電子線照射による場合に比べて生産性の点で有利で
あり、実用化が期待された。
【0009】更に、特開平8−8460号公報には、p
型のAlxGa1-xN系化合物半導体層の上にn型半導体
層を気相成長で形成させ、n型半導体層でp型のAlx
Ga1 -xN系化合物半導体層を被覆した状態で、ガス供
給を止めて、成長温度から基板を冷却することにより低
抵抗p型のGaN系化合物半導体層を得ようとする技術
(第3の従来技術)が示されている。この第3の従来技
術を提案した発明者らは、p型半導体層の低抵抗化の理
由は不明であるとしている。しかし、第3の従来技術に
よれば、気相成長後のアニーリング処理や電子線照射の
必要を回避することが出来る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第1の従来技
術は、たとえ半導体層の低抵抗化が図れたとしても、半
導体ウエハ全体に電子線を走査する必要があり生産性の
点において望ましくない。
【0011】第2の従来技術においては、成長室内の雰
囲気を水素ガスの含まれない雰囲気に切り替える必要が
あり、バルブ操作等が煩雑である。また、水素ガスに比
べると窒素等は、ガス精製技術上、高純度化が困難であ
り、雰囲気ガスからのコンタミネーションの問題があ
る。更に、成長室内の雰囲気を窒素ガスに切り替える
と、窒素は水素ガスに比べて熱伝導率が低いので成長室
内の温度分布に変化を来たす。このため、ガスを切り替
えることによって、成長室内の温度が一時的に上昇し、
成長室内部からの付着物からの不純物が再蒸発して絶縁
基板上に形成した半導体膜中に混入する欠点がある。
【0012】第3の従来技術によれば、目的とするデバ
イス(半導体装置)の動作には寄与しないn型半導体層
を形成している。従って、最終的には、動作には寄与し
ないn型半導体層を反応性イオンエッチング(RIE)
等の手法により除去し、p型半導体層を露出させ、更
に、この露出したp型半導体層に電極を設けるという工
程が必要である。つまり、目的とするデバイス(半導体
装置)の最終構造としては必須でない半導体層を堆積す
る工程と、この必須でない半導体層を除去する工程が、
余分に追加され、工程数が増大するので、生産性に問題
があった。
【0013】そこで、本発明は、p型のGaN系化合物
半導体層を良好に形成し、この良好なp型のGaN系化
合物半導体層を用いた生産性の良い新たな半導体装置の
製造方法を提供することを目的とする。
【0014】即ち、本発明の目的は、アクセプタ不純物
の活性化率が高く、高いキャリア密度が得ることが容易
に可能なGaN系化合物半導体装置の製造方法を提供す
ることである。
【0015】本発明の他の目的は、エピタキシャル成長
時のキャリアガスとして用いた水素ガスの含まれる雰囲
気のままで成長室内の温度を低下して、作業手順を簡素
化し、しかも、アクセプタ不純物の活性化率を高くし、
高いキャリア密度を実現できるGaN系化合物半導体装
置の製造方法を提供することである。
【0016】本発明のさらに他の目的は、高純度に精製
可能な水素ガスを、一貫して使用してエピタキシャル成
長を行い、不純物混入を低く押さえ、しかも、アクセプ
タ不純物の活性化率が高いGaN系化合物半導体装置の
製造方法を提供することである。
【0017】本発明のさらに他の目的は、ガスを切り替
えることによって、成長室内の温度が一時的に上昇する
ことを回避し、このガス切り替え時に、成長室内部から
の付着物(不純物)が再蒸発によるコンタミネーション
を防止し、しかも、アクセプタ不純物の活性化率が高い
GaN系化合物半導体装置の製造方法を提供することで
ある。
【0018】本発明のさらに他の目的は、光学的特性や
電気的特性の優れたGaN系化合物半導体装置の製造方
法を提供することである。
【0019】本発明のさらに他の目的は、半導体装置の
最終構造としては必須でない余分な半導体層を堆積する
工程や、この必須でない半導体層を除去する工程を余分
に追加することなく、簡単な工程で、アクセプタ不純物
の活性化率を高くし、高いキャリア密度を実現できるG
aN系化合物半導体装置の製造方法を提供することであ
る。
【0020】本発明のさらに他の目的は、製造工程が少
なく、歩留まりの高いGaN系化合物半導体装置の製造
方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、(イ)第1の基板温度において、水素ガ
スを含む雰囲気中で、p型ドーパントガスを導入しなが
らエピタキシャル成長することにより、p型GaN系化
合物半導体層を堆積する工程と、(ロ)p型GaN系化
合物半導体層の上に直接若しくは間接的に、第2の基板
温度において、水素ガスを含む雰囲気中で、n型ドーパ
ントガスを導入しながらエピタキシャル成長することに
より、n型GaN系化合物半導体層を堆積する工程と、
(ハ)水素ガスを含む雰囲気中で、第1及び第2の基板
温度より低く、且つ原子状水素をp型GaN系化合物半
導体層に溶解させる温度範囲に存在する第3の基板温度
まで冷却する工程と、(ニ)n型GaN系化合物半導体
層に接して、金属薄膜を堆積する工程とを少なくとも有
する半導体装置の製造方法であることである。ここで、
「n型ドーパントガス」とは、モノシラン(Si
4)、ジシラン(Si26)等のシリコン(Si)を
含む化合物ガス、若しくはジエチルセレン(DES
e)、ジエチルテルル(DETe)等のVI族元素を含む
化合物ガスが該当する。また、「p型ドーパントガス」
とは、ジメチル亜鉛(DMZ)、ビスシクロペンタジエ
ニールマグネシウム(Cp2Mg)等のII族元素を含む
化合物ガスが該当する。また、「原子状水素をp型Ga
N系化合物半導体層に溶解させる温度範囲」は、後述す
る「溶解安定化温度」に対応する温度範囲であり、この
温度範囲は、例えば、GaNの場合は、800℃程度以
下の温度である。
【0022】本発明によれば、p型GaN系化合物半導
体層の表面をn型GaN系化合物半導体層で被覆した状
態で、「溶解安定化温度」よりも高い成長温度である第
2の基板温度から、「溶解安定化温度」より低い第3の
基板温度まで冷却するようにしているので、水素ガスを
含む雰囲気中で基板を冷却しても、この基板温度の下降
の過程において原子状水素がp型GaN系化合物半導体
層に溶け込むのを有効に防止できる。この結果、原子状
水素がp型GaN系化合物半導体層中に安定して存在す
ることが防止され、p型不純物元素(アクセプタ元素)
の活性化率が向上し、抵抗率(比抵抗)の低いp型Ga
N系化合物半導体層が得られる。
【0023】また、本発明によれば、エピタキシャル成
長時のキャリアガスとして用いた水素ガスの含まれる雰
囲気のままで成長室内の温度を低下できる。即ち、成長
室内の雰囲気ガスを、水素ガスを含まないガスに切り替
える必要がなく、バルブ操作等の作業手順が簡素化でき
る。また、窒素(N2)ガス等に比べると水素ガスの方
がより高純度に精製可能であるため、不純物混入がより
低く押さえられる利点がある。更に、成長室内の雰囲気
を窒素ガスに切り替えると、窒素は水素ガスに比べて熱
伝導率が低いので成長室内の温度分布に変化を来たす虞
がある。即ち、ガスを切り替えることによって、成長室
内の温度が一時的に上昇し、成長室内部からの付着物
(不純物)が再蒸発してエピタキシャル成長膜中に混入
する虞がある。本発明によれば、このような問題が生じ
ないので、ディープレベルや結晶欠陥の原因となる意図
しない不純物や残留不純物の密度が低く、高品位のエピ
タキシャル成長膜を得ることが可能となる。
【0024】また、本発明によれば、n型GaN系化合
物半導体層を半導体装置の動作に寄与する領域として全
部又は一部を残存させるので、工程が簡単化する。
【0025】本発明において、n型GaN系化合物半導
体層が原子状水素の溶解を有効に阻止できるのは、この
n型GaN系化合物半導体層とこの下のp型GaN系化
合物半導体層等との間にヘテロ接合又はpn接合(若し
くはpin接合)に基づく電位障壁が形成されることに
ある。つまり、この電位障壁は、n型GaN系化合物半
導体層からp型GaN系化合物半導体層に向かって電位
レベルの高くなる障壁を構築する。このため、原子状水
素がn型GaN系化合物半導体層を透過し、p型GaN
系化合物半導体層へ溶解する過程が、この電位障壁によ
って阻止される。したがって、原子状水素の溶解を阻止
する目的のためには、この電位障壁は高い方が望まし
い。従って、n型GaN系化合物半導体層の不純物密度
は、5×1018cm-3以上の高不純物密度であることが
好ましい。
【0026】本発明において、n型GaN系化合物半導
体層のp型GaN系化合物半導体層との界面近傍の不純
物密度をn型GaN系化合物半導体層の固溶度以上の高
い値とすることで、原子状水素がp型GaN系化合物半
導体層へ溶解することを有効に阻止する電位障壁が形成
できる。
【0027】さらに、本発明において、n型GaN系化
合物半導体層のp型GaN系化合物半導体層との界面近
傍に、n型不純物原子のみからなる1乃至5分子層を形
成することで、原子状水素がp型GaN系化合物半導体
層へ溶解を有効に阻止する電位障壁が形成できる。
【0028】さらに、本発明において、n型GaN系化
合物半導体層の禁制帯幅を、p型GaN系化合物半導体
層の禁制帯幅よりも小さくして、ヘテロ接合を形成すれ
ば、ヘテロ接合界面に於ける伝導帯の不連続量ΔEC
よる電位障壁の高さを加えることが出来るので、原子状
水素がp型GaN系化合物半導体層へ溶解を有効に阻止
するための高い電位障壁が形成できる。
【0029】さらに、本発明において、第1及び第2の
基板温度は、いずれも原子状水素をp型GaN系化合物
半導体層に溶解させる温度範囲に属さないことが通常で
ある。即ち、気相エピタキシャル成長時の基板温度は、
「溶解安定化温度」より高く、ガス状水素及びこのガス
状水素が熱で分解した原子状水素は、気相エピタキシャ
ル成長時においては半導体層中のそれぞれの構成元素と
は結合しない。このため、ガス状水素及び原子状水素
は、半導体層の格子間に存在しないか、又は半導体層内
に安定して存在できず、エピタキシャル成長膜の上面に
吸着(付着)した状態になっている。
【0030】本発明において、更に工程を付加してもか
まわない。例えば、n型GaN系化合物半導体層に接し
て、金属薄膜を堆積する工程後に、水素ガスを含まない
雰囲気中で、熱処理(シンタリング)することにより、
n型GaN系化合物半導体層に接する電極層を形成する
工程とを更に付加してもかまわない。この「電極層」
は、半導体装置に電流や電圧を印加するための低コンタ
クト抵抗のオーミック電極層である。このように、水素
ガスを含まない雰囲気中で熱処理して電極層を形成する
ことにより、気相エピタキシャル成長工程以外のプロセ
ス中において、原子状水素がp型GaN系化合物半導体
層へ混入することを有効に防止出来る。
【0031】また、同様に、水素ガスを含まない雰囲気
中で、p型GaN系化合物半導体層の少なくとも一部を
ドライエッチングして除去する工程を更に有す付加して
もかまわない。気相エッチング、光励起エッチング、プ
ラズマエッチング、イオンエッチング等のドライエッチ
ングに用いるガスを、水素ガスを含まない雰囲気とする
ことで、気相エピタキシャル成長工程以外のプロセス中
において、原子状水素がp型GaN系化合物半導体層へ
混入することを有効に防止出来る。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して、本発明の
実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同
一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付してい
る。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸
法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異な
ることに留意すべきである。したがって、具体的な厚み
や寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異
なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0033】図1(c)は本発明の実施の形態に係る半
導体発光素子の構造を示す断面図である。図1(c)に
示すように、本発明の実施の形態に係る半導体発光素子
は、絶縁性基板としてのc面を主面としたサファイア基
板11上に、バッファ層12、p型クラッド層15、活
性層14、n型クラッド層13が順に堆積されている。
バッファ層12の厚みは約25nm程度である。p型ク
ラッド層15の厚みは、約2μmで、このp型クラッド
層15の不純物密度は約3×1018cm-3である。活性
層14は、真性(i型)のInGaN(窒化インジウム
ガリウム)半導体層から構成されている。「真性(i
型)」とは、故意には不純物を添加(ドープ)していな
いという意味であり、現実の結晶成長技術のレベルを考
慮すれば、ある程度の残留不純物は許容することに留意
すべきである。従って、活性層14は不純物密度5×1
15cm-3程度以下のp型半導体層でもかまわない。こ
の活性層14の厚みは約2nmである。n型クラッド層
13の厚みは約0.5μmで、その不純物密度は約5×
1018cm-3である。
【0034】そして、図1(c)に示すように、p型ク
ラッド層15、活性層14及びn型クラッド層13の一
部が、エッチング除去されて凹部(切り欠き部)81が
形成されている。この凹部(切り欠き部)81の底面に
露出したp型クラッド層15に対して、アノード電極1
9が形成され、n型クラッド層13に対してカソード電
極18が形成されている。カソード電極18は、n型ク
ラッド層13に対して、低抵抗性オーミック接触する金
属薄膜、例えば、チタン(Ti)が厚さ20nm、金
(Au)が厚さ400nm程度積層した2層構造が採用
されている。一方、アノード電極19としては、p型ク
ラッド層15に対して低抵抗性オーミック接触する金属
薄膜、例えば、ニッケル(Ni)が厚さ20nm、金
(Au)が厚さ400nm堆積された2層構造が採用さ
れている。p型クラッド層15への低抵抗性オーミック
接触する金属薄膜としては、Ni/Auの積層構造のほ
かに、パラジウム(Pd)、Ti、白金(Pt),イン
ジウム(In)の単層、あるいはNiやAuを含めた積
層構造、合金でも可能である。n型クラッド層13への
低抵抗性オーミック接触する金属薄膜としては、Ti、
Auのほかに、Al、Inの単層、あるいはTiやAu
を含めた積層構造や合金も可能である。
【0035】図1(c)に示す本発明の実施の形態に係
る半導体発光素子は、図5に示した従来の半導体発光素
子とは、サファイア基板の上面に形成された各半導体層
の導電型が反対になっていることに留意すべきである。
また、p型クラッド層15中のアクセプタ不純物の活性
化率を高めるために、p型クラッド層15に関連したプ
ロセスが従来の半導体発光素子の製造方法と相違してい
る。以下、本発明の実施の形態に係る半導体発光素子の
製造方法を、図1の工程断面図を参照しながら詳述す
る。
【0036】(イ)まず、出発母材となるサファイア基
板11を用意する。このサファイア基板11は、有機洗
浄および酸洗浄をほどこしたのち、MOCVD装置のチ
ャンバ(成長室)内に配置し、水素ガス(H2)雰囲気
中で、1100℃、10分程度の熱処理等を施して、表
面の自然酸化膜等を除去する。なお、絶縁性基板として
はサファイア基板11以外を用いることもできるが、G
aN系化合物半導体材料との格子定数の相違などを考慮
するとサファイア基板11が実用的である。
【0037】(ロ)次に、サファイア基板11を約60
0℃まで加熱し、このサファイア基板11の一方の主面
上にバッファ層12を形成する。さらに、サファイア基
板11の温度を1040℃まで昇温し、図1(a)に示
すように、バッファ層12の上に、第1の基板温度で本
発明のp型GaN系化合物半導体層となるp型クラッド
層15、活性層14、第2の基板温度でn型GaN系化
合物半導体層となるn型クラッド層13を順次連続的に
堆積する。そして、バッファ層12、p型クラッド層1
5、活性層14、n型クラッド層13の連続的堆積が完
了したら、サファイア基板11の温度を、水素ガスの含
まれる雰囲気中で第3の基板温度(室温近傍)まで低下
させる。
【0038】(ハ)次に、サファイア基板11の温度が
室温近傍まで低下したら、サファイア基板11をMOC
VD装置から取り出す。本発明の実施の形態では、半導
体積層構造の最上層に位置するn型半導体層13がキャ
ップ層として機能すると同時に、そのままn型クラッド
層13として機能するので、従来技術(第3の従来技
術)のようにn型クラッド層13の除去工程は不要であ
る。従って、サファイア基板11をMOCVD装置から
取り出したら、直ちに、p型クラッド層15の露出工程
に移る。即ち、半導体積層構造の最上層となるn型クラ
ッド層13の上面にフォトレジストやシリコン酸化膜
(SiO2)などから成るマスク(図示省略)を形成す
る。このマスクは、p型クラッド層15を露出させる凹
部(切り欠き部)81に対応する位置に開口パターンを
有する。続いて、周知のドライエッチング装置内に配置
して、このマスクの開口パターンを通じて、n型クラッ
ド層13、活性層14及びp型クラッド層15の一部
を、RIE法等によりドライエッチングし凹部(切り欠
き部)81を形成する。この結果、図1(b)に示すよ
うに、n型クラッド層13、活性層14の一部が除去さ
れて、更にp型クラッド層15の一部が凹部(切り欠き
部)81の底面に露出する。本発明の実施の形態では、
この凹部(切り欠き部)81を形成するドライエッチン
グも、実質的に水素ガスを含まない雰囲気中で行う。即
ち、エッチングガスとして塩素ガス(Cl2)を用い
て、n型クラッド層13、活性層14及びp型クラッド
層15の一部をエッチング除去する。このようにするこ
とによって、このドライエッチング工程中にp型クラッ
ド層15内に原子状水素が溶解することを良好に阻止で
きる。なお、ドライエッチングにおける基板温度を40
0℃未満の比較的低い温度とすれば、水素ガスを含む雰
囲気中でエッチングしてもp型クラッド層15内への原
子状水素溶解はさほど生じないと考えられる。このよう
な場合には、水素ガスを若干含む雰囲気内でエッチング
し、凹部(切り欠き部)81を形成することもできる。
【0039】(ニ)最後に、凹部(切り欠き部)81の
底部のp型クラッド層15に対する低抵抗性オーミック
接触する金属薄膜として、ニッケル(Ni)を20n
m、金(Au)を400nm、周知の真空蒸着法やスパ
ッタ法などを用いて形成する。また、n型クラッド層1
3に対する低抵抗性オーミック接触する金属薄膜として
チタン(Ti)を20nm、金を400nm程度形成す
る。これらの低抵抗性オーミック接触する金属薄膜をい
わゆるリフトオフ法を用いてパターニングし、その後熱
処理(シンタリング)をすれば、p型クラッド層15に
アノード電極19が、n型クラッド層13にカソード電
極18が形成され、図1(c)に示す半導体発光素子が
得られる。低抵抗性オーミック接触を得るためのシンタ
リングは基板温度400℃程度において、窒素
(N2)、ヘリウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガ
ス等の水素ガスを含まない雰囲気中で行う。
【0040】さて、上述の半導体発光素子の製造方法に
おいて、(ロ)の工程で説明した、サファイア基板11
上にバッファ層12、p型クラッド層15、活性層1
4、n型クラッド層13を、MOCVD法によって、連
続的に気相エピタキシャル成長する工程を、詳細に説明
すれば、以下の(i)乃至(v)に示すようになる。
【0041】(i)サファイア基板11をMOCVD装置
の成長室内に配置後、先ず、成長室内にまずトリメチル
ガリウムガス(Ga(CH3)3:以下、「TMGガス」とい
う)、NH3(アンモニア)ガスを供給してサファイア
基板11の上面にGaNから成るバッファ層12を形成
する。TMGガスとNH3ガスはそれぞれGa源とN源
となるものである。バッファ層12は、サファイアの絶
縁性基板11の上に積層するエピタキシャル成長層の結
晶性を良好にするためのものである。即ち、絶縁性基板
となるサファイア基板11とその上に形成されるGaN
系化合物半導体材料とは格子定数が大幅に異なっている
ため、この格子定数の違いによる応力を緩和するために
形成する半導体層である。このバッファ層12は、この
層の上方に形成されるp型クラッド層15、活性層1
4、n型クラッド層13の形成に比べて低温で形成され
る。本発明の実施の形態では、サファイア基板11の加
熱温度を約600℃とした後、TMGガスの流量即ちG
aの供給量を約4.3μモル/分、NH3ガスの流量即
ちNの供給量を約17.9mモル/分としてバッファ層
12を形成した。
【0042】(ii)続いて、サファイア基板11の加熱
温度を約1040℃(第1の基板温度)とし、成長室内
にTMGガス、NH3ガス及びCp2Mgガスを供給して
サファイア基板11の上面にp型GaNから成るクラッ
ド層(p型GaN系化合物半導体層)15を形成する。
本発明の実施の形態では、TMGガスの流量を約4.3
μモル/分、NH3ガスの流量を約53.6mモル/
分、Cp2Mgガスの流量即ちMgの供給量を約0.1
2μモル/分とした。このp型クラッド層15の形成時
において成長室内にはp型導電型不純物の活性化を阻害
する水素ガスが多量に含まれているが、この気相エピタ
キシャル成長時の雰囲気温度は原子状水素の溶解安定化
温度よりもかなり高い温度となっているので、気相エピ
タキシャル成長層中に原子状水素は溶解しないと考えら
れる。即ち、特定の不純物が半導体材料中に溶解して安
定化する温度(以下、便宜上「溶解安定化温度」と称す
る)はその物質毎にほぼ決まっており、この溶解安定化
温度よりもかなり高い温度や低い温度では不純物は半導
体材料中に安定して存在することができず、結果として
半導体材料の表面に吸着した状態(析出とも言えるかも
しれない)となっていると考えられる。ここで、原子状
水素の溶解安定化温度は400℃〜800℃よりもかな
り低い温度であると考えられる。このことからすると、
上述のMOCVD等による膜成長温度は1040℃程度
であるため、原子状水素はこの気相エピタキシャル成長
時においては半導体領域内に安定して存在できず、成長
膜の上面に吸着(付着)した状態になっていると考えら
れる。
【0043】(iii)続いて、サファイア基板11の加熱
温度を800℃とし、成長室内にTMGガス、NH3
ス及びトリメチルインジウムガス(In(CH3)3:以下、
「TMIガス」という)を供給してp型クラッド層15
の上にInGaN半導体層から成る活性層14を形成す
る。本発明の実施の形態では、TMGガスの供給量を約
1.1μモル/分、NH3ガスの流量を約67mモル/
分、TMIガスの流量即ちInの供給量を約4.5μモ
ル/分とした。
【0044】(iv)続いて、サファイア基板11の加熱
温度を1040℃(第2の基板温度)とし、成長室内に
TMGガス、NH3ガス、モノシランガスを供給して、
図1(a)に示すように、活性層14の上にn型GaN
から成るn型クラッド層(n型GaN系化合物半導体
層)13を形成する。本発明の実施の形態では、TMG
ガスの流量即ちGaの供給量を約4.3μモル/分、N
3ガスの流量即ちNの供給量を約53.6mモル/
分、モノシランガスの流量即ちSiの供給量を約2.5
nモル/分とした。
【0045】(v)こうして、図1(a)に示すように、
サファイア基板11の一方の主面上にバッファ層12、
p型クラッド層15、活性層14、n型クラッド層13
からなる半導体積層構造を順次連続的に形成した後、成
長室内の温度を(第3の基板温度まで)低下させる。成
長室内の温度を低下させる過程において、半導体積層構
造は原子状水素の溶解安定化温度に曝されるが、キャッ
プ層として機能するn型クラッド層13の存在によって
原子状水素の溶解が有効に阻止される。また、成長室内
を水素ガスが含まれない雰囲気(例えば、窒素雰囲気)
にする必要がないため、実施の形態と同様に水素ガスの
含まれる雰囲気のままで成長室内の温度を低下させるこ
とができ、不純物の混入を有効に防止することができ
る。
【0046】以上のようにすれば、上述の(ロ)の工程
に係る、バッファ層12、p型クラッド層15、活性層
14、n型クラッド層13の連続エピタキシャル成長が
実現できる。
【0047】連続エピタキシャル成長の最上層となるn
型クラッド層13は、この下に活性層14を介して形成
されたp型クラッド層15内にp型不純物の活性化を妨
げる原子状水素が溶解することを阻止する膜として機能
するため、その不純物密度と厚みは重要である。即ち、
n型クラッド層13が原子状水素の溶解を阻止できるの
は、このn型クラッド層13と、この下のi型活性層1
4と、さらにこの下のp型クラッド層15とによりpi
n接合が形成され、このpin接合に基づく電位障壁が
形成されることにある(活性層14が残留不純物の存在
によりp型であれば、n型クラッド層13と、この下の
p型活性層14とによりpn接合が形成され、このpn
接合に基づく電位障壁が形成されることになる)。つま
り、このpin接合(若しくはpn接合)に伴う電位障
壁は、n型クラッド層13から活性層14を介してp型
クラッド層15に向かって電位レベルの高くなる障壁を
構築する。このため、原子状水素がn型クラッド層13
を透過し、p型クラッド層15へ溶解する過程が、この
pin接合(若しくはpn接合)によって阻止される。
したがって、原子状水素溶解を阻止する上ではこの電位
障壁は高い方が望ましく、この為にはn型クラッド層1
3の不純物密度は高い方が好ましい。一方、原子状水素
の溶解はこのpin接合(若しくはpn接合)に基づく
電位障壁によって阻止されるが、n型クラッド層13の
存在自体も原子状水素溶解の阻止にある程度寄与すると
考えられるし、またpin接合(若しくはpn接合)を
n型クラッド層13とp型クラッド層15との間に良好
に形成する観点からしても、このn型クラッド層13を
余り薄く形成することは望ましくない。以上を鑑みて、
本発明の実施の形態では、n型クラッド層13の不純物
密度を約5×1018cm-3とし、n型クラッド層13の
厚みを約0.5μmとした。さらに、原子状水素がp型
クラッド層15へ溶解するを有効に阻止する電位障壁を
形成するためには、n型クラッド層13のp型クラッド
層15との界面近傍の不純物密度を5×1019cm-3
上とすればよい。あるいは、n型クラッド層13の活性
層14との界面近傍の不純物密度をn型クラッド層13
の固溶度以上の高い値とすることで、原子状水素がp型
クラッド層15へ溶解を有効に阻止する電位障壁が形成
できる。
【0048】さらに、n型クラッド層13の活性層14
との界面近傍に、いわゆるデルタ(δ)ドープのよう
に、n型不純物原子のみからなる1乃至5分子層を形成
することで、原子状水素がp型クラッド層15へ溶解を
有効に阻止する電位障壁が形成できる。
【0049】一方、n型クラッド層13の禁制帯幅Eg
を、活性層14及びp型クラッド層15の禁制帯幅Eg
よりも小さくして、ヘテロ接合を形成すれば、ヘテロ接
合界面に於ける伝導帯の不連続量ΔECによる電位障壁
の高さを加えることが出来るので、原子状水素がp型ク
ラッド層15へ溶解を有効に阻止するための高い電位障
壁が形成できる。
【0050】本発明の実施の形態に係る半導体発光素子
の製造方法においては、上述したようにしてサファイア
基板11の上にバッファ層12、第1の基板温度でp型
クラッド層15、活性層14、第2の基板温度でn型ク
ラッド層13を順次連続的に形成した後、成長室内の温
度を室温近傍の第3の基板温度まで低下させている。成
長室内の温度を低下させる過程において、半導体積層構
造は原子状水素の溶解安定化温度に曝されるため、n型
クラッド層13を形成しない従来の製造方法では成長室
内の雰囲気中に含まれる原子状水素がp型クラッド層1
5中に溶解してしまう。このため、従来の製造方法にお
いて、この原子状水素の溶解を防止するためには、成長
室の温度を低下させる過程において成長室内を水素ガス
が含まれない雰囲気にする必要があった。
【0051】一方、本発明の実施の形態では、上述のよ
うにn型クラッド層13の存在によって原子状水素の溶
解が有効に阻止されるため、成長室内を水素ガスが含ま
れない雰囲気(例えば、窒素雰囲気)にする必要がな
い。このため、本発明の実施の形態では水素ガスの含ま
れる雰囲気のままで成長室内の温度を低下させている。
この結果、成長室内の雰囲気を水素ガスの含まれない雰
囲気に切り替える必要がなく、成長プロセスが簡素化で
きる。また、窒素等に比べると水素ガスの方がより高純
度に精製可能であるため、成長室内の温度を低下させる
段階においてチャンバー内において半導体積層構造内へ
の不純物混入がより低く押さえられる利点がある。更
に、成長室内の雰囲気を窒素ガスに切り替えに伴う成長
室内部からの付着物からの不純物が再蒸発の問題もな
い。
【0052】また、本発明の実施の形態に係る半導体発
光素子(青色LED)の製造方法によれば、キャップ層
をデバイス(青色LED)の動作に寄与するn型クラッ
ド層13によって構成するので、キャップ層を除去する
工程は不要であり、工程数の増大もなく、工程が簡略化
するという利点がある。
【0053】(その他の実施の形態)上記の実施の形態
の開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定する
ものであると理解すべきではない。以下に示すように、
当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術
が可能であることは、上記の説明から明らかとなろう。
【0054】例えば、上記の実施の形態の説明において
は、GaNからなるn型クラッド層13を用いた場合に
ついて説明したが、n型クラッド層は、GaN以外のG
aN系化合物半導体層を用いることが可能である。例え
ば、n型不純物としてシリコン(Si)やセレン(S
e)を導入したInxAlyGa1-x-yN(0<x≦1、0<
y≦1、x+y≦1)を用いても良い。InxAlyGa
1-x-yNを用いることにより、p型クラッド層との界面
に電位障壁の高さの高いバリアを形成し、原子状水素の
溶解をより有効に阻止できる。
【0055】また、上記の実施の形態の説明において
は、活性層14は故意には不純物を添加(ドープ)して
いない真性(i型)領域であり、この真性(i型)領域
は、ある程度の残留不純物は許容できる半導体領域であ
るとして説明した。しかし、活性層14に積極的に不純
物をドープしても良い。例えば、p型不純物(アクセプ
タ)をドープして、不純物密度8×1015cm-3乃至1
×1016cm-3程度のp型半導体層から成る活性層14
を用いてもかまわない。
【0056】更に、以下のような変形例も可能である。
【0057】(変形例1)上記の実施の形態の説明にお
いては、絶縁性基板としてのサファイア基板11を用い
た場合について説明したが、絶縁性基板11の代わりに
図2に示す炭化珪素(SiC)などから成る低抵抗性基
板21,22を使用してもよい。この場合は、電流をデ
バイスの縦方向に流すタイプの半導体発光素子となる。
【0058】図2は、本発明の実施の形態の変形例に係
る半導体発光素子の模式的な断面図であり、p型SiC
基板22の上面にバッファ層12、p型クラッド層1
5、活性層14、n型クラッド層13が順次形成されて
いる。そして、p型SiC基板22の下面にアノード電
極19が形成され、n型クラッド層13の上面にカソー
ド電極18が形成されている。図2に示す構造では、半
導体積層構造の最上層に位置するn型半導体層13がキ
ャップ層として機能すると同時に、そのままn型クラッ
ド層13として機能するので、電極形成前に、これをエ
ッチングにより除去する工程は不要である。
【0059】(変形例2:半導体レーザ)さらに、本発
明は、図3に示すような、半導体レーザにも適用でき
る。図3は、サファイア基板等の絶縁性基板23上に形
成されたGaN系の青色半導体レーザの模式的な構造例
である。図3に示すように厚さ70μmの絶縁性基板2
3の上に、厚さ50nmのn型GaNからなるバッファ
層12、厚さ4μmのn型GaNからなるn型コンタク
ト層33、厚さ 0.5μmのn型Alx Ga1-x Nから
なるn型クラッド層34、厚さ30nmの真性(i型)
のGaNからなるn側光ガイド層35、多重量子井戸
(MQW)構造を有する活性層(以下において、「MQ
W活性層」という)36、厚さ30nmの真性(i型)
のGaNからなるp側光ガイド層37、第1の基板温度
で形成された、厚さ0.5μmのp型AlxGa1-x Nか
らなるp型クラッド層38、同じく第1の基板温度で形
成された厚さ1μmのp型GaNからなるp型コンタク
ト層39が順に堆積された半導体積層構造を形成してい
る。そして、この第1の基板温度で形成されたp型コン
タクト層39の上部に部分的に、即ち、中央部にストラ
イプ状の開口部を有するようにして、第2の基板温度
で、厚さ 0.2μmのn型GaNからなるn型キャップ
層40が堆積され、半導体積層構造の最上層を形成して
いる。n型キャップ層40は、製造工程の途中において
は、p型コンタクト層39の上部の全面に、第2の基板
温度で、一旦堆積され、アノード電極19形成前に、エ
ッチングにより、図3に断面を示すストライプ形状にパ
ターニングされ除去されている。このn型キャップ層4
0は、製造工程の途中においてはこの下に形成されたp
型クラッド層15内にp型不純物の活性化を妨げる原子
状水素が溶解することを阻止する膜として機能する層で
あると同時に、製造工程の完了後は、電流通路を制限す
る電流狭窄層として機能する層である。図1の例と同様
に、連続エピタキシャル成長の終了後、第3の基板温度
まで冷却し、その後水素ガスを含まないガスを用いたR
IE法等で、半導体積層構造の一部をn型コンタクト層
33が表面に現われるまでエッチングし凹部(切り欠き
部)を形成し、凹部底面に露出したn型コンタクト層3
3の表面に、下からチタン(Ti)、金(Au)、T
i、Auの順序で積層してカソード電極18を形成して
いる。カソード電極18を構成する各金属層の厚みは、
夫々20nm、400nm、20nm、1μmである。
又、p型コンタクト層39及びn型キャップ層40の上
には、下から白金(Pt)、Ti、Pt、Tiの順序で
積層してアノード電極19が形成されている。アノード
電極19を構成する各金属層の厚みは、夫々20nm、
400nm、20nm、1μmである。或いは、アノー
ド電極19を、下からパラジウム(Pd)、Ti、P
t、Tiを、この順序で積層して形成してもよい。低抵
抗性オーミック接触のカソード電極18及びアノード電
極19を得るためのシンタリングは、基板温度400℃
程度において、N2ガス、Heガス、Arガス等の水素
ガスを含まない雰囲気中で行う。
【0060】MQW活性層36は、Inx Ga1-x N化
合物半導体層のInの組成xの周期的な変化を用いた超
格子構造である。具体的には、厚さ2.5nmで、In
の組成x = 0.20からなる量子井戸層と、厚さ2.5n
mで、Inの組成x = 0.05のバリア層とが交互に20
周期ほど積層されている。
【0061】図3の半導体積層構造を構成する各層の不
純物密度は、例えば、n型コンタクト層33が 2×1018
cm-3、n型クラッド層34が 5×1017cm-3、p型クラッ
ド層38が 5 ×1017cm-3、p型コンタクト層39が 2
×1019cm-3である。そして、n型キャップ層40の不純
物密度は、約5×1018cm-3である。
【0062】(変形例3:半導体レーザ)さらに、本発
明は、図4に示すような、半導体レーザにも適用でき
る。図4は、n型SiC基板等からなるn型の低抵抗性
基板24上に形成されたMQW活性層36を有するGa
N系の青色半導体レーザの模式的な構造例である。低抵
抗性基板24を用い、この低抵抗性基板24の下面にカ
ソード電極18が配置されていることが、図3とは異な
る。他は図3と同様であり、第1の基板温度で形成され
たp型コンタクト層39の上部に、第2の基板温度で形
成されたn型キャップ層40が部分的に残存し、p型コ
ンタクト層39に対してアノード電極19が形成されて
いる。このアノード電極19は、連続エピタキシャル成
長の終了後、第3の基板温度まで冷却し、その後水素ガ
スを含まないガスを用いたRIE法等で、n型キャップ
層40の一部をp型コンタクト層40が表面に現われる
までエッチングした後に形成したものである。その他
は、図3と同様であるので、説明を省略する。
【0063】(変形例4:トランジスタ)また、本発明
は、これらの半導体発光素子以外に、トランジスタや半
導体集積回路等の半導体装置を製造することも可能であ
る。例えば、絶縁ゲート型SITや絶縁ゲート型FET
は、サファイア基板等の絶縁性基板、若しくはSiC基
板等の低抵抗性基板の上にバッファ層を介して、所定の
厚さのp型半導体層を形成し、このp型半導体層の上に
本発明のn型キャップ層を形成する工程により実現でき
る。すなわち、絶縁ゲート型SITは以下のようにすれ
ば製造できる。
【0064】(イ)まず、サファイア基板を用意し、こ
のサファイア基板の上面にバッファ層12を形成する。
さらに、バッファ層12の上に、厚さ0.5μmないし
1μmのGaNからなる第1のp型半導体層、第1の基
板温度において、厚さ0.5μmないし1μmのIn
0.2Ga0.8Nからなる第2のp型半導体層、及び第2の
基板温度において、厚さ0.2μmないし0.5μmの
In0.3Al0.3Ga0.4Nからなるn型キャップ層を、
連続的に減圧MOCVDで堆積し、半導体積層構造を形
成する。半導体積層構造の形成が完了したら、サファイ
ア基板の温度を、水素ガスの含まれる雰囲気中で室温近
傍(第3の基板温度)まで低下させる。
【0065】(ロ)そして、フォトリソグラフィー技術
及びRIEを用いて、ドレイン領域及びソース領域とな
るn型キャップ層の部分を選択的に残し、他のn型キャ
ップ層は、エッチング除去して、チャネル領域となる第
2のp型半導体層を露出させる。さらに第2のp型半導
体層を0.2μmないし0.5μmエッチングしてリセ
スゲート構造としても良い。
【0066】(ニ)そして露出したチャネル領域となる
第2のp型半導体層の上にゲート絶縁膜を堆積する。こ
のゲート絶縁膜の上の全面にアルミニウム(Al)等の
金属膜を真空蒸着法やスパッタリング法で堆積する。そ
して、n型ドレイン領域及びn型ソース領域の間のゲー
ト絶縁膜の上のみに、このアルミニウム等の金属を選択
的に残すように、フォトリソグラフィー技術及び反応性
イオンエッチング(RIE)を用いて、パターニングし
てゲート電極を形成する。
【0067】(ホ)そして、n型ドレイン領域及びn型
ソース領域の表面に、リフトオフ法を用いて、Ti/A
u/Ti/Auなどの金属を、真空蒸着法やスパッタリ
ング法で堆積し、それぞれドレイン電極及びソース電極
を形成すれば絶縁ゲート型SITが完成する。低抵抗性
オーミック接触のドレイン電極及びソース電極を得るた
めのシンタリングは、基板温度400℃程度において、
2ガス、Heガス、Arガス等の水素ガスを含まない
雰囲気中で行う。
【0068】また、n型ドレイン領域及びn型ソース領
域を構成する化合物半導体層の禁制帯幅を、第2のp型
半導体層の禁制帯幅よりも小さくして、ヘテロ接合を形
成すれば、ヘテロ接合界面に於ける伝導帯の不連続量Δ
Cによる電位障壁の高さを加えることが出来るので、
原子状水素が第2のp型半導体層へ溶解を有効に阻止す
るための高い電位障壁が形成できると同時に、n型ドレ
イン領域及びn型ソース領域に対して、より低いコンタ
クト抵抗でオーミック電極が形成できる。
【0069】上記の絶縁ゲート型SITの製造工程にお
いて、ゲート絶縁膜の代わりに、第2のp型半導体層を
構成するIn0.2Ga0.8Nより禁制帯幅の大きなGaN
をチャネル領域の上に堆積しても良い。こうすれば、I
0.2Ga0.8N/GaNヘテロ構造のゲート構造によ
り、高電子移動度トランジスタ(HEMT)と同様な動
作が可能である。
【0070】一方、サファイア基板を用意し、このサフ
ァイア基板の上面にバッファ層12を形成し、さらに、
バッファ層12の上に、厚さ0.5μmないし1μmの
In0.2Ga0.8Nからなるからなるn型のコレクタ層、
第1の基板温度において、厚さ0.1μmないし0.5
μmのIn0.2Ga0.8Nからなるp型のベース層、及び
第2の基板温度において、厚さ0.2μmないし0.5
μmのGaNからなるn型キャップ層を連続的に減圧M
OCVDで堆積し、半導体積層構造を形成すれば、n型
キャップ層をワイドエミッタ層とするヘテロ接合バイポ
ーラトランジスタ(HBT)を構成することもできる。
この場合は、半導体積層構造の形成が完了したら、サフ
ァイア基板の温度を、水素ガスを含む雰囲気中で室温近
傍(第3の基板温度)まで低下させ、n型キャップ層を
ワイドエミッタ層となる部分を残して、水素ガスを含ま
ない雰囲気中でエッチングにより除去する。さらに、エ
ッチングにより露出したベース層を、水素ガスを含まな
い雰囲気中でさらにエッチングし、n型のコレクタ層を
露出させる。水素ガスを含まない雰囲気中で、エッチン
グにより露出したベース層からベース電極を取り出し、
n型キャップ層の上部にエミッタ電極を、エッチングに
より露出したコレクタ層にコレクタ電極を形成すればn
pn型バイポーラトランジスタを製造することも可能で
ある。このnpn型バイポーラトランジスタを青色光を
検出するフォトトランジスタとして用いても良い。同様
に接合ゲート型の縦型SITを製造することも可能であ
ることは、上記の説明から容易に理解できるであろう。
さらに、この縦型SITやバイポーラトランジスタをマ
トリクス状に集積化して、青色光を検出するイメージセ
ンサを製造することも可能である。
【0071】このように、本発明はここでは記載してい
ない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。した
がって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特
許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められ
るものである。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、アクセプタ不純物の活
性化率が高く、高いキャリア密度が得られる。つまり、
抵抗率の低いp型GaN系化合物半導体層を簡単に形成
できる。
【0073】また、本発明によれば、エピタキシャル成
長時のキャリアガスとして用いた水素ガスの含まれる雰
囲気のままで成長室内の温度を低下できるので作業手順
が簡素化できる。
【0074】さらに、本発明によれば、高純度に精製可
能な水素ガスを、一貫して使用してエピタキシャル成長
を完了出来るので、不純物混入を低く押さえることが可
能である。
【0075】さらに、本発明によれば、ガスを切り替え
ることによって、成長室内の温度が一時的に上昇するこ
ともないにので、ガス切り替え時に、成長室内部からの
付着物(不純物)が再蒸発もない。このため、意図しな
い不純物や残留不純物の密度が低い。つまり、不純物密
度の制御性が高く、高品位のエピタキシャル成長膜を得
ることが可能となる。また、エピタキシャル成長膜の表
面モホロジーも良好である。
【0076】さらに、本発明によれば、半導体発光素子
への応用においては発光強度が大きく、半導体集積回路
への応用においては消費電力の小さいGaN系化合物半
導体装置の製造方法を提供することができる。
【0077】さらに、本発明によれば、n型GaN系化
合物半導体層を半導体装置の動作に寄与する領域として
残存させるので、工程数の増大もなく、工程が簡単化す
る。このため、製造が低く、歩留まりの高いGaN系化
合物半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体発光素子の製
造方法を示す模式的な工程断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る半導体発光素子
の構造を示す模式的な断面図である(変形例1)。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る半導体発光素子
の構造を示す模式的な断面図である(変形例2:半導体
レーザ)。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る半導体発光素子
の構造を示す模式的な断面図である(変形例3:半導体
レーザ)。
【図5】従来の半導体発光素子の構造を示す模式的な断
面図である。
【符号の説明】
11 サファイア基板 12 バッファ層 13,34 n型クラッド層 14 活性層 15,38 p型クラッド層 18 カソード電極 19 アノード電極 22 p型SiC基板 24 低抵抗性基板 23 絶縁性基板 33 n型コンタクト層 35 n側光ガイド層 36 多重量子井戸(MQW)活性層 37 p側光ガイド層 39 p型コンタクト層 81 凹部(切り欠き部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F041 AA41 AA42 CA04 CA05 CA33 CA34 CA40 CA46 CA53 CA57 CA65 CA73 CA74 CA82 CA92 5F045 AA04 AB14 AB17 AB18 AC01 AC08 AC12 AC19 AD10 AD12 AD14 AF02 AF09 AF13 CA10 CA12 DA53 DA55 DA59 DA66 EB15 EJ02 HA16 HA22

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板温度において、水素ガスを含
    む雰囲気中で、p型ドーパントガスを導入しながらエピ
    タキシャル成長することにより、p型窒化ガリウム系化
    合物半導体層を堆積する工程と、 前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上に直接若し
    くは間接的に、第2の基板温度において、前記水素ガス
    を含む雰囲気中で、n型ドーパントガスを導入しながら
    エピタキシャル成長することにより、n型窒化ガリウム
    系化合物半導体層を堆積する工程と、 前記水素ガスを含む雰囲気中で、前記第1及び第2の基
    板温度より低く、且つ原子状水素を前記p型窒化ガリウ
    ム系化合物半導体層に溶解させる温度範囲に存在する第
    3の基板温度まで冷却する工程と、 前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層に接して、金属
    薄膜を堆積する工程とを少なくとも有する半導体装置の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属薄膜を堆積する工程後に、前記
    水素ガスを含まない雰囲気中で、熱処理することによ
    り、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層に接する電
    極層を形成する工程を更に有することを特徴とする請求
    項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層
    の不純物密度は5×1018cm-3以上であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2の基板温度は、前記原
    子状水素を前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層に溶
    解させる温度範囲に属さないことを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれか1項記載の半導体装置の製造方法。
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