JP2000319406A - 親水性成形物およびその製造方法 - Google Patents

親水性成形物およびその製造方法

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JP2000319406A
JP2000319406A JP11132084A JP13208499A JP2000319406A JP 2000319406 A JP2000319406 A JP 2000319406A JP 11132084 A JP11132084 A JP 11132084A JP 13208499 A JP13208499 A JP 13208499A JP 2000319406 A JP2000319406 A JP 2000319406A
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polymerizable compound
compound
polymerizable
water
hydrophilic molded
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JP11132084A
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English (en)
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Atsushi Teramae
敦司 寺前
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い親水性と耐久性のある表面を有し、且つ
親水性を付与することに伴う成形物の性能低下を呈しな
い成形物を提供し、そのような成形物を工程数の増加を
招くことなく高い生産性で製造する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 疎水性の架橋重合性化合物と、両親媒性
の重合性化合物との共重合体で形成された親水性成形
物。エネルギー線架橋重合性の疎水性の化合物と、これ
と共重合可能な両親媒性の化合物との混合物を賦形し、
エネルギー線照射により硬化させる製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品工業、医療
(人工臓器等の医療用具や診断を含む)、医薬品工業、
塗装、印刷等の分野において用いられる、タンパク質、
油脂、コロイド、バクテリア、フミン質、大気中の汚染
物質等の吸着が少ない成形物や生体適合性の成形物、ま
た酵素、菌体等を変性させない固定化用担体;商業、農
業、交通、家庭用品、光学機器、塗料などの分野におい
て用いられる防曇性成形物、防曇性塗膜;電子工業など
の分野において用いられる静電気防止などの用途に使用
できる表面親水性成形物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】成形物の表面を親水性にする方法として
は、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの物理
的表面処理;スルホン化などの化学的表面処理;界面活
性剤や親水性物質の練り込み法;成形材料として親水基
を有するポリマーの使用;親水性ポリマーによるコーテ
ィングなどが通常行われている。また、ポリマー成形物
表面への親水性モノマーのグラフト重合法も知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、物理的
表面処理法では、親水化の程度、耐久性共に劣り、化学
的表面処理法では、素材の限定や、施工法の限定など制
約が多かった。また、練り込み法では、耐久性に劣る
上、高い親水性を付与するために多量の親水性物質を練
り込むと物性の低下を招いていた。成形材料やコーティ
ング材料として親水性のポリマーを使用する方法では、
高い親水性を付与するために親水基を多く導入すると、
吸湿による寸法変化、湿潤状態での強度低下、湿潤状態
での基材との剥離といった問題が生じていた。表面グラ
フト法では、優れた親水性を付与できるが、耐久性にや
や劣る上、素材や形状に制約があった。
【0004】本発明が解決しようとする課題は、高い親
水性と耐久性のある表面を有し、且つ親水性を付与する
ことに伴う成形物の性能低下を呈しない成形物を提供
し、そのような成形物を工程数の増加を招くことなく高
い生産性で製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、架橋重合性化合
物に両親媒性の重合性化合物を添加し、共重合硬化させ
た成形物が、水に対して非膨潤性でありながら、高い表
面親水性を示すことを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、架橋重合性化合物(a)と、重合性化合物(b)と
の共重合体で形成された親水性成形物であって、(1)
架橋重合性化合物(a)が、その単独重合体が水との接
触角50度以上を示すものであること、(2)重合性化
合物(b)が、両親媒性であること、(3)親水性成形
物が、水との接触角が35度以下であること、(4)親
水性成形物が、25℃の水への24時間浸漬による重量
増加が10%以下であること、を特徴とする親水性成形
物を提供する。
【0007】また、本発明は上記課題を解決するため
に、エネルギー線により重合可能な架橋重合性化合物
(a′)と、該架橋重合性化合物(a′)と共重合体を
形成しうる、エネルギー線により重合可能な重合性化合
物(b′)を含有する重合性組成物(I)を任意の形状
に賦形し、重合硬化させることにより形成された、水と
の接触角が35度以下であり、かつ25℃の水への24
時間浸漬による重量増加が10%以下である親水性成形
物の製造方法であって、(1)架橋重合性化合物
(a′)の単独重合体が、水との接触角50度以上を示
すものであること、(2)重合性化合物(b′)が、両
親媒性であること、(3)重合性組成物(I)の重合硬
化が、エネルギー線照射による重合硬化であることを特
徴とする親水性成形物の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の親水性成形物は、水との
接触角が35度以下のものである。水との接触角が小さ
いほど、すなわち表面親水性の程度が高いほど、耐吸着
性、防汚性、防曇性、制電性などの効果が高く、水との
接触角が35度を超えるとこれらの効果に劣ったものと
なる。一方、本発明に成る親水性成形物の水との接触角
の下限は0度であってよいが、5度以上であることが好
ましく、8度以上であることがさらに好ましい。過剰に
小さいと成形物が水に対して膨潤性となりやすく、湿潤
下での強度や耐久性に劣ったものとなりがちである。
【0009】また、本発明の親水性成形物は、乾燥物を
25℃の水に24時間浸漬したときの重量増加が10%
以下のものである。すなわち、本発明の親水性成形物
は、ゲルではない。重量増加がこの値より大きいと、湿
潤下での強度や耐久性に劣るものとなり、用途がきわめ
て限定されたものとなる。
【0010】このように、高い表面親水性を示しつつ、
湿潤下での物性低下が少ない成形物を実現した本発明の
親水性成形物は、架橋重合性化合物(a)と、両親媒性
の重合性化合物(b)との共重合体で形成されているこ
とを特徴とする。共重合は、ランダム共重合、ブロック
共重合、グラフト共重合を問わないが、架橋重合性化合
物(a)、重合性化合物(b)のいずれもが親水性成形
物の内部、表面ともに存在するものであり、ランダム共
重合であることが、製造が容易であり好ましい。もちろ
ん、表面と内部でその濃度が異なる、いわゆる傾斜構造
であることも可能である。しかしながら、成形物の表面
にのみ重合性化合物(b)をブロック共重合またはグラ
フト共重合で結合したものは、本発明の親水性成形物に
含まれない。
【0011】本発明の親水性成形物を構成する架橋重合
性化合物(a)と重合性化合物(b)の好ましい割合
は、架橋重合性化合物(a)および重合性化合物(b)
の種類や組み合わせによって異なるが、架橋重合性化合
物(a)1重量部に対して、重合性化合物(b)0.2
重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上で
あることがさらに好ましい。架橋重合性化合物(a)1
重量部に対する重合性化合物(b)の割合が0.2重量
部よりも少ない場合、水との接触角が小さい親水性表面
を形成することが困難となる。また、重合性化合物
(b)の割合は、架橋重合性化合物(a)1重量部に対
して、5重量部以下であることが好ましく、3重量部以
下であることがさらに好ましい。架橋重合性化合物
(a)1重量部に対する重合性化合物(b)の割合が5
重量部よりも多い場合、水に対して膨潤性となりがちで
あり、成形物が耐水性に劣るものとなりがちである。
【0012】架橋重合性化合物(a)は、重合して架橋
重合体となる化合物であり、かつ、その単独重合体が水
との接触角50度以上を示すものであれば、任意の化合
物を用いることができる。単独重合体が水との接触角5
0度未満を示すものは、得られる成形物が水に対して膨
潤性となったり、耐水性に劣るものとなりがちである。
架橋重合性化合物(a)は、その単独重合体が水との接
触角60度以上を示すものが好ましく、70度以上を示
すものがさらに好ましい。水との接触角の上限は特に限
定する必要はないが、得られる成型物の親水性を減じな
いためには90度以下であることが好ましい。
【0013】架橋重合性化合物(a)は、重合速度の速
さから、エネルギー線硬化性化合物が好ましい。エネル
ギー線硬化性化合物は、ラジカル重合性、アニオン重合
性、カチオン重合性、など任意のものであってよい。エ
ネルギー線硬化性化合物は、重合開始剤の非存在下で重
合するものに限らず、重合開始剤の存在下でのみエネル
ギー線により重合するものも使用することができる。
【0014】そのようなエネルギー線硬化性化合物とし
ては、1分子中に2個以上の重合性の炭素−炭素二重結
合を有する物が好ましく、末端エチレン基を少なくとも
2個含有する重合性不飽和化合物が好ましく、中でも、
反応性の高い(メタ)アクリル系化合物[以下、「(メ
タ)アクリル」は、「メタクリルまたはアクリル」を意
味する。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル
などについても同様である。]やビニルエーテル類、ま
た光重合開始剤の不存在下でも硬化するマレイミド系化
合物が好ましい。
【0015】エネルギー線硬化性化合物として使用でき
る(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス
(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシ
フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタ)ア
クリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロ
パン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリ
レート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイ
ソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドの如
き2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)
アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌ
レート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチ
ル)イソシアヌレートの如き3官能モノマー;ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能
モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレートの如き6官能モノマー、などが挙げられる。
【0016】また、エネルギー線硬化性化合物として、
重合性オリゴマー(プレポリマーとの呼ばれる)も用い
ることもでき、例えば、重量平均分子量が500〜50
000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマ
ーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸
エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エス
テル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステ
ル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウ
レタン樹脂、などが挙げられる。
【0017】これらの化合物は、単独で用いることもで
き、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
接着性を増すなどの目的で、単官能モノマー、例えば、
単官能(メタ)アクリル系モノマーを混合することも可
能である。
【0018】マレイミド系の架橋重合性モノマーとして
は、例えば、4,4’−メチレンビス(N−フェニルマ
レイミド)、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−
3−チエニル)マレイミド、1,2−ビスマレイミドエ
タン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、トリエチレン
グリコールビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン
ジマレイミド、m−トリレンジマレイミド、N,N’−
1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−ジフェニ
ルメタンジマレイミド、N,N’−ジフェニルエーテル
ジマレイミド、N,N’−ジフェニルスルホンジマレイ
ミド、1,4−ビス(マレイミドエチル)−1,4−ジ
アゾニアビシクロ−[2,2,2]オクタンジクロリ
ド、4,4’−イソプロピリデンジフェニル=ジシアナ
ート・N,N’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマ
レイミドの如き2官能マレイミド;N−(9−アクリジ
ニル)マレイミドの如きマレイミド基とマレイミド基以
外の重合性官能基とを有するマレイミド、などが挙げら
れる。
【0019】マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとし
ては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミ
ドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイ
ミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマ
レイミドアルキレート、などが挙げられる。
【0020】これらのマレイミド系のモノマーやオリゴ
マーは単独で使用することもでき、2種類以上を混合し
て用いることもでき、また、例えば、ビニルモノマー、
ビニルエーテル類、アクリル系モノマーの如き重合性炭
素・炭素二重結合を有する化合物と併用して共重合させ
ることもできる。
【0021】架橋重合性化合物は、複数種の重合性化合
物の混合物であり得る。例えば、エネルギー線硬化性化
合物の硬化物が架橋重合体となるためには、エネルギー
線硬化性化合物は、多官能のモノマーおよび/またはオ
リゴマーを含有することが必要であるが、その他に、単
官能のモノマーおよび/またはオリゴマーを混合するこ
とも可能である。
【0022】混合使用することができる単官能(メタ)
アクリル系モノマーとしては、例えば、メチルメタクリ
レート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキル(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ
ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールア
クリレートメタクリレート、ブタンジオールモノ(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプ
ロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、エチレノキサイ
ド変性フタル酸アクリレート、w−カルゴキシアプロラ
クトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシプロ
ピルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキ
シエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロ
イスオキシプロピリヘキサヒドロハイドロジェンフタレ
ート、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素
置換アルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ
エトキシ(メタ)アクリレート、スルホン酸−2−メチ
ルプロパン−2−アクリルアミド、燐酸エステル基を有
する(メタ)アクリレート、スルホン酸エステル基を有
する(メタ)アクリレート、シラノ基を有する(メタ)
アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基を有する
(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモ
ニウム基を有する(メタ)アクリレート、(N−アルキ
ル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリル
アミド、アクロロイルモリホリン、などが挙げられる。
【0023】混合使用できる単官能マレイミド系モノマ
ーとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマ
レイミドの如きN−アルキルマレイミド;N−シクロヘ
キシルマレイミドの如きN−脂環族マレイミド;N−ベ
ンジルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−(ア
ルキルフェニル)マレイミド、N−ジアルコキシフェニ
ルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニ
ル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチル
−6−メチルフェニル)マレイミドの如きN−(置換ま
たは非置換フェニル)マレイミド;N−ベンジル−2,
3−ジクロロマレイミド、N−(4’−フルオロフェニ
ル)−2,3−ジクロロマレイミドの如きハロゲンを有
するマレイミド;N−(4−カルボキシ−3−ヒドロキ
シフェニル)マレイミドの如きカルボキシ基を有するマ
レイミド;N−メトキシフェニルマレイミドの如きアル
コキシ基を有するマレイミド;N−[3−(ジエチルア
ミノ)プロピル]マレイミドの如きアミノ基を有するマ
レイミド;N−(1−ピレニル)マレイミドの如き多環
芳香族マレイミド;N−(ジメチルアミノ−4−メチル
−3−クマリニル)マレイミド、N−(4−アニリノ−
1−ナフチル)マレイミドの如き複素環を有するマレイ
ミド、などが挙げられる。
【0024】重合性化合物(b)は、架橋重合性化合物
(a)と共重合可能な重合性官能基を有するものであ
る。架橋重合性化合物(a)がエネルギー線硬化性化合
物である場合には、重合性化合物(b)もエネルギー線
硬化性化合物であることが好ましい。架橋重合性化合物
(a)が1分子中に2個以上の重合性炭素−炭素不飽和
結合を有する化合物である場合には、重合性化合物
(b)は、1分子中に1個以上の重合性炭素−炭素不飽
和結合を有する化合物であることが好ましい。重合性化
合物(b)は架橋重合体となるものである必要はない
が、架橋重合体となる化合物であってもよい。
【0025】重合性化合物(b)は、両親媒性の化合物
である。両親媒性の化合物とは、分子中に親水基と疎水
基を有し、水、疎水性溶媒の両者とそれぞれ相溶する化
合物を言う。この場合の相溶とは、相分離しないことを
言い、ミセルを形成して安定的に分散している状態も含
まれる。重合性化合物(b)は、0℃において、水に対
する溶解度が0.5重量%以上で、かつ、25℃のシク
ロヘキサン:トルエン=5:1(重量比)混合溶媒に対
する溶解度が25重量%以上であることが好ましい。こ
こで言う溶解度は、例えば、溶解度が0.5重量%以上
である化合物とは、0.5重量%の化合物が溶解可能で
あり、さらにそれ以上の重量の化合物が溶解可能である
ことを言う。溶解度が0.5重量%の化合物は溶媒に溶
解しないものの、該化合物中にごくわずかの溶媒が溶解
可能であるものは含まない。水に対する溶解度、あるい
はシクロヘキサン:トルエン=5:1(重量比)混合溶
媒に対する溶解度の少なくとも一方がこれらの値より低
い化合物を使用すると、高い表面親水性と耐水性の両者
を満足することが困難となる。
【0026】重合性化合物(b)は、親水性と疎水性の
バランスが、グリフィンのエイチ・エル・ビー(HLB)
値にして11〜16の範囲にあるものが好ましく、11
〜15の範囲にあるものがさらに好ましい。この範囲外
では、高い親水性と耐水性に優れた成形物を得ることが
困難であるか、それを得るための混合比が極めて限定さ
れたものとなり、成形物の性能が不安定となりがちであ
る。
【0027】重合性化合物(b)が有する親水基は任意
であり、例えば、アミノ基、アンモニウム基、フォスフ
ォニウム基の如きカチオン基;スルホン基、燐酸基、カ
ルボニル基の如きアニオン基;水酸基、ポリエチレング
リコール基、アミド基の如きノニオン基;アミノ酸基の
如き両性イオン基であってよい。重合性化合物(b)
は、親水基として、繰り返し数6〜20のポリエチレン
グリコール鎖を有する化合物が特に好ましい。
【0028】重合性化合物(b)の疎水基としては、例
えば、アルキル基、アルキレン基、アルキルフェニル
基、長鎖アルコキシ基、フッ素置換アルキル基、シロキ
サン基、などが挙げられる。
【0029】重合性化合物(b)は、疎水基として炭素
原子数6〜20のアルキル基またはアルキレン基を有す
る化合物であることが好ましい。炭素原子数6〜20の
アルキル基またはアルキレン基は、アルキルフェニル基
やアルコキシ基などの形でもよい。
【0030】重合性化合物(b)は、親水基として繰り
返し数6〜20のポリエチレングリコール鎖を有し、か
つ、疎水基として炭素原子数6〜20のアルキル基また
はアルキレン基を有する化合物であることが好ましい。
【0031】好ましく使用できる重合性化合物(b)と
しては、一般式1
【0032】
【化1】
【0033】で表わされる化合物を挙げることができ
る。一般式1におけるR1 は、水素、ハロゲンまたは低
級アルキル基を表わし、R2 は、炭素原子数1〜3のア
ルキレン基を表わし、nは6〜20の整数を表わし、R
3 は、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ドデシル基の如き炭素原子数6〜12の
アルキル基を表わすが、ノニル基またはドデシル基であ
ることが好ましい。一般式1において、R2 の炭素原子
数やnの値が規定した範囲外であると、高い表面親水性
と耐水性の両者を満足することが困難となる。また、一
般式1において、nの数が大きいほど、また、R3 の炭
素原子数が大きいことが好ましい。一般式1におけるn
の数とR3 の炭素原子数の関係は、グリフィンのエイチ
・エル・ビー(HLB) 値にして11〜16の範囲にある
ことが好ましく、11〜15の範囲にあることが特に好
ましい。
【0034】上述した重合性化合物(b)の中でも、ノ
ニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8〜1
7)(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロ
ピレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリレー
トが特に好ましい。
【0035】本発明の製造方法は、エネルギー線により
重合可能な架橋重合性化合物(a′)と、該架橋重合性
化合物(a′)と共重合体を形成し得る重合性化合物で
あって、エネルギー線により重合可能な重合性化合物
(b′)を含有する重合性組成物(I)を任意の形状に
賦形し、重合硬化させることにより形成された水との接
触角が35度以下であり、かつ25℃の水への24時間
浸漬による重量増加が10%以下である親水性成形物の
製造方法であって、(1)架橋重合性化合物(a′)の
単独重合体が、水との接触角50度以上を示すものであ
ること、(2)重合性化合物(b′)が、両親媒性であ
ること、(3)重合性組成物(I)の重合硬化が、エネ
ルギー線照射による重合硬化であることを特徴とする。
【0036】本発明の製造方法に使用するエネルギー線
により重合可能な架橋重合性化合物(a′)は、エネル
ギー線照射により重合して架橋重合体となる化合物であ
り、その単独重合体が、水との接触角50度以上を示す
ものであれば任意である。単独重合体が水との接触角5
0度未満を示すものは、得られる成形物が水に対して膨
潤性となったり、耐水性に劣るものとなり勝ちである。
架橋重合性化合物(a′)は、その単独重合体が水との
接触角60度以上を示すものが好ましく、70度以上を
示すものがさらに好ましい。水との接触角の上限は特に
限定する必要はないが、親水性に優れた成型物を得るた
めには90度以下であることが好ましい。
【0037】架橋重合性化合物(a′)は、ラジカル重
合性、アニオン重合性、カチオン重合性など任意のもの
であってよい。架橋重合性化合物(a′)は、重合開始
剤の非存在下でエネルギー線により重合するものに限ら
ず、重合開始剤の存在下でのみエネルギー線により重合
するものも使用することができる。
【0038】本発明の製造方法おいて架橋重合性化合物
(a′)として使用できる化合物は、本発明の親水性成
形物において架橋重合性化合物(a)として例示された
ものと同じものが使用できる。
【0039】重合性化合物(b′)は、本発明で用いる
架橋重合性化合物(a′)と共重合可能な重合性官能基
を有し、エネルギー線照射により架橋重合性化合物
(a′)と共重合可能な化合物である。架橋重合性化合
物(a′)が1分子中に2個以上の重合性炭素−炭素不
飽和結合を有する化合物である場合には、重合性化合物
(b′)は、1分子中に1個以上の重合性炭素−炭素不
飽和結合を有する化合物であることが好ましい。重合性
化合物(b′)は架橋重合体となるものである必要はな
いが、架橋重合体となる化合物であってもよい。重合性
化合物(b′)は、重合開始剤の非存在下で架橋重合性
化合物(a′)と共重合するものに限らず、重合開始剤
の存在下でのみエネルギー線により架橋重合性化合物
(a′)と共重合するものも使用することができる。
【0040】本発明の製造方法おいて重合性化合物
(b′)として使用できる化合物は、本発明の親水性成
形物においてエネルギー線硬化性の重合性化合物(b)
として例示されたものと同じものが使用できる。
【0041】架橋重合性化合物(a′)と重合性化合物
(b′)との使用割合は、架橋重合性化合物(a′)お
よび重合性化合物(b′)の種類や組み合わせによって
異なるが、架橋重合性化合物(a′)1重量部に対し
て、重合性化合物(b′)0.2重量部以上であり、
0.5重量部以上であることが好ましい。架橋重合性化
合物(a′)1重量部に対する重合性化合物(b′)の
割合が0.2重量部よりも少ない場合、水との接触角が
小さい親水性表面を形成することが困難となる。また、
重合性化合物(b′)の使用割合は、架橋重合性化合物
(a′)1重量部に対して、5重量部以下であり、3重
量部以下であることが好ましい。架橋重合性化合物
(a′)1重量部に対する重合性化合物(b′)の割合
が5重量部よりも多い場合、水に対して膨潤性となりが
ちであり、成形物が耐水性に劣るものとなりがちであ
る。
【0042】重合性組成物(I)には、必要に応じて、
その他の成分を混合して使用することもできる。その他
の成分としては、例えば、光重合開始剤、溶剤、増粘
剤、改質剤、着色剤、などが挙げられる。
【0043】光重合開始剤は、本発明で使用するエネル
ギー線に対して活性であり、重合性組成物(I)を硬化
させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例
えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチ
オン重合開始剤であって良い。
【0044】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4、4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイ
ソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの
如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケター
ル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベ
ンジルケタール類;N−アジドスルフォニルフェニルマ
レイミドの如きアジド、などが挙げられる。
【0045】また、光重合開始剤として、マレイミド系
化合物の如き重合性光重合開始剤を用いることもでき
る。重合性光重合開始剤は、例えば、架橋重合性化合物
(a′)として使用できる化合物として例示した多官能
マレイミドの如き多官能モノマーの他に、重合性組成物
(I)に混合使用できる単官能マレイミド系モノマーと
して例示したような単官能モノマーであっても良い。
【0046】重合性組成物(I)に添加する光重合開始
剤の使用量は、非重合性光重合開始剤の場合、0.00
5〜20重量%の範囲が好ましく、0.05〜5重量%
の範囲が特に好ましい。
【0047】重合性組成物(I)に添加することができ
る増粘剤としては、例えば、ポリスルホン、ポリビニル
ピロリドンの如きリニアポリマー;クレイの如き粉末が
挙げられる。
【0048】重合性組成物(I)に添加することができ
る改質剤としては、例えば親水性向上剤として作用する
シリカゲル、酸化チタンの如き無機粉末;セルロースの
如き有機粉末が挙げられる。
【0049】重合性組成物(I)に添加することができ
る着色剤としては、任意の染料や顔料、蛍光色素が挙げ
られる。
【0050】本発明の製造方法に用いるエネルギー線
は、重合性組成物(I)を硬化させることが可能なもの
である。このようなエネルギー線としては、紫外線、可
視光線、赤外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如
き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒
子線の如き粒子線が挙げられるが、取り扱い性や硬化速
度の面から、紫外線、可視光、電子線が好ましく、紫外
線が特に好ましい。また、硬化速度を速め、半硬化を完
全に行なう目的で、エネルギー線の照射を低酸素濃度雰
囲気で行なうことが好ましい。低酸素濃度雰囲気として
は、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、
真空または減圧雰囲気が好ましい。
【0051】本発明の製造方法によって製造される親水
性成形物の形状、水との接触角、25℃の水への24時
間浸漬による重量増加、その他のことについては、本発
明の親水性成形物の場合と同じである。
【0052】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範
囲に限定されるものではない。なお、以下の実施例およ
び比較例における「部」は「重量部」である。また、以
下の実施例および比較例中で、略称にて示した化合物は
下記のものを意味する。
【0053】M−114:ノニルフェノキシポリエチレ
ングリコール(n=8)アクリレート(東亜合成化学株
式会社製の「M−114」、HLB値:11.25) N−177E:ノニルフェノキシポリエチレングリコー
ル(n=17)アクリレート(第一工業製薬株式会社製
の「N−177E」、HLB値:14.64) AMP−10G:フェノキシポリエチレングリコール
(n’=1)アクリレート(新中村化学工業株式会社製
の「AMP−10G」、HLB値:4.58) M−113:ノニルフェノキシポリエチレングリコール
(n=4)アクリレート(東亜合成化学株式会社製の
「M−113」、HLB値:7.82) M−102:フェノキシポリエチレングリコール(n’
=4)アクリレート(東亜合成化学株式会社製の「M−
102」、HLB値:10.86) AM−90G:メトキシポリエチレングリコール(n’
=9)アクリレート(新中村化学工業株式会社製の「A
M−90G」、HLB値:16.43) V−4263:平均分子量約2000の3官能ウレタン
アクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式会
社製の「ユニディックV−4263」) HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
(第一工業製薬株式会社製の「ニューフロンティアHD
DA」) Irg.184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュアー18
4」)
【0054】〔測定方法〕実施例中の測定は次の方法に
より行った。 <重合性化合物の水に対する溶解性の測定>重合性化合
物0.5重量部、0℃の水99.5重量部の混合溶液を調
製し、激しく撹拌し、0℃にて24時間静置した後、目
視にて相分離の有無を判定した。
【0055】<重合性化合物のシクロヘキサン/トルエ
ン溶液に対する溶解性の測定>シクロヘキサン62.5
重量部及びトルエン12.5重量部からなるシクロヘキ
サン/トルエン混合溶媒を用意し、重合性化合物25重
量部、シクロヘキサン/トルエン混合溶媒75重量部を
混合して25℃にて激しく攪拌し、25℃にて24時間
静置した後、目視にて相分離の有無を判定した。
【0056】<水接触角の測定>試料を25℃、湿度6
0%に48時間静置した後、協和界面科学製接触角度計
CA−X型を使用し、室温(24±2℃)にて、安定化
時間3分で測定した。
【0057】<水中浸漬による重量増加(膨潤度)の測
定>試料を45℃にて5時間真空乾燥させた後、秤量
し、乾燥重量とした。この試料を25℃の水に24時間
浸漬した後、表面を濾紙で拭って秤量し、重量増加を測
定した。上記の方法による測定で試料が自己破壊して細
片となるものについては、ポリエチレン製の網に挟んだ
まま、浸漬と秤量を行った。膨潤度は次式によった。 膨潤度(%)=重量増加(g)×100/乾燥重量
(g)
【0058】<タンパク質吸着量の測定>吸着タンパク
質として酵素結合タンパク質[西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ融合ヤギ抗ビオチン抗体(anti Biotin goat HRP c
onjugate){ベクター(Vector)社製}]を用い、その
酵素活性を測定することにより吸着タンパク質量を測定
した。基質には[西洋ワサビペルオキシダーゼ用エービ
ーティーエス サブストレートキット(ABTS SUBSTRATE
KIT FOR HORSERADISH PEROXIDASE){ベクター(Vecto
r)社製}]を用い、測定はマイクロプレートリーダー
{バイオラド(BIO-RAD)社製、モデル3550}を使
用した。
【0059】試験するマイクロプレートのウエルごとに
1μg/mlタンパク質溶液を50μl加え、1時間放
置してウエル表面へタンパク質を吸着させた。吸着処理
後、該タンパク質溶液を捨て、250μlのリン酸緩衝
溶液を加えて洗浄することを3回繰り返した。その後、
使用したタンパク質溶液に対する基質(キット原液)1
00μlを注入し、25℃にて20分間反応させた後、
マイクロプレートリーダーにて405nmにおける吸光
度を測定し、タンパク質吸着量(相対値)とした。
【0060】〔実施例1〕架橋重合性化合物(a)とし
てV−4263、重合性化合物(b)としてM−114
を使用して、表1に示す配合にて混合した溶液に、その
5重量%の光重合開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン(チバガイギー社製、「イルガキュアー
184」)を加え、重合性組成物(I)を調整した。
【0061】なお、重合性化合物(b)として使用した
M−114のHLB値は11.25であり、水、シクロ
ヘキサン/トルエン混合溶媒の両者に可溶であった。重
合性組成物(I)を、ガラス板に厚さ127μmのコー
ターで塗布し、窒素雰囲気中で100mW/cm2 の紫
外線を40秒間照射して塗膜を硬化させ、塗膜状の成形
物を得た。
【0062】得られた成型物について水接触角および膨
潤度の測定を行った。結果を表1に示した。
【0063】〔参考例1〕実施例1において、架橋重合
性化合物(a)と重合性化合物(b)の組成比を表1に
示した割合で用いた以外は、実施例1と同様にして、成
形物を作製し、また、実施例1と同様の試験を行ない、
その結果を表1にまとめて示した。
【0064】
【表1】
【0065】 a:架橋重合性化合物(a)、V/4263 b:重合性化合物(b)、M−114
【0066】表1に示した結果から、実施例1の親水性
成形物は、低い水接触角を示しながら、水によって膨潤
しない。これに対し、参考例の成形物の評価結果から、
両親媒性の重合性化合物を使用した場合であっても、水
接触角が35度以下の親水性成形物を形成するために
は、組成比を最適化する必要があることがわかる。
【0067】〔実施例2〕実施例1において、重合性化
合物(b)としてN−177Eを使用したこと、および
架橋重合性化合物(a)と重合性化合物(b)の組成比
を表2に示した割合で用いたこと以外は、実施例1と同
様にして、重合性組成物(I)を調整し、親水性成形物
を作製し、さらに、実施例1と同様の試験を行ない、そ
の結果を表2にまとめて示した。
【0068】なお、重合性化合物(b)として使用した
N−177EのHLB値は14.64であり、水、シク
ロヘキサン/トルエン混合溶媒の両者に可溶であった。
【0069】〔参考例2〕実施例2において、架橋重合
性化合物(a)と重合性化合物(b)の組成比を表2に
示した割合で用いた以外は、実施例2と同様にして、成
形物を作製し、また、実施例1と同様の試験を行ない、
その結果を表2にまとめて示した。
【0070】
【表2】
【0071】 a:架橋重合性化合物(a)、V/4263 b:重合性化合物(b)、M−177E *1:測定中に塗膜が膨潤して変形 *2:測定中に試料が細片に自己破壊
【0072】測表2に示した結果から、実施例2のよう
に、組成比を最適化することにより、低い水接触角を示
しながら水によって膨潤しない成形物が得られることが
わかる。また、重合性化合物(b)の含有率が過小であ
ると水接触角が高くなり、含有率が過大であると水に対
して膨潤性となることがわかる。さらに、実施例1およ
び参考例1と比較して、使用する重合性化合物(b)の
種類によって、好ましい組成比が異なることがわかる。
【0073】〔比較例1、2、3〕実施例1において、
重合性化合物(b)に代えて、親水基を有するが両親媒
性でなく、水に不溶でありシクロヘキサン/トルエン混
合溶媒に可溶な重合性化合物であるAMP−10G(H
LB値:4.58)(比較例1)、M−113(HLB
値:7.82)(比較例2)またはM−102(HLB
値:10.86)(比較例3)を使用し、表3に示した
割合で用いた以外は、実施例1と同様にして成形物を作
製し、実施例1と同様の測定を行った結果を表3にまと
めて示した。
【0074】
【表3】
【0075】 a:架橋重合性化合物(a)、V−4263 b: 親水基を有する重合性化合物
【0076】表3に示した結果から、重合性化合物
(b)に代えて、親水基を有するが両親媒性でなく、水
に不溶でありシクロヘキサン/トルエン混合溶媒に可溶
な重合性化合物を用いた場合には、得られた成形物の水
との接触角が低くならないことがわかる。
【0077】〔比較例5〕実施例1において、重合性化
合物(b)に代えて、水に可溶でありシクロヘキサン/
トルエン混合溶媒に不溶な重合性化合物であるAM−9
0G(HLB値:16.43)を使用し、表4に示した
割合で用いた以外は、実施例1と同様にして成形物を作
製し、実施例1と同様の測定を行った結果を表4にまと
めて示した。
【0078】
【表4】
【0079】 a:架橋重合性化合物(a)、V−4263 b:親水性の重合性化合物、AM−90G *1:測定中に塗膜が膨潤して変形 *2:測定中に試料が細片に自己破壊
【0080】表4に示した結果から、重合性化合物
(b)に代えて、両親媒性でない親水性化合物、即ち水
に可溶でありシクロヘキサン/トルエン混合溶媒に不溶
な重合性化合物を用いた場合には、該化合物の組成比が
低い場合には、得られた成形物の水との接触角が低下せ
ず、該化合物の組成比を高めた場合には、得られた成形
物の水との接触角がそれほど低下しないうちに、水に膨
潤性となってしまうことがわかる。
【0081】〔実施例3〕 <水接触角試験、膨潤性試験>実施例1において、架橋
重合性化合物(a)として、V−4263およびHDD
Aを使用し、重合性化合物(b)としてM−114を使
用し、表5に示した割合で調製した光重合性組成物を用
いた以外は、実施例1と同様にして成形物を作製し、実
施例1と同様の測定を行った結果を表5にまとめて示し
た。
【0082】<成形物の作製および吸着試験>光重合性
組成物を、ポリスチレン製96穴マイクロプレート[ベ
クトン・ディッキンソン(BECTON DICKINSON)社製 商
品名:ファルコン(FALCON)3075)の一つのウェルに対
し200μl注入し、ウェル内面をコーティングした。
これに窒素雰囲気中で100mW/cm2 の紫外線を4
0秒照射し、ウェルの表面が親水性のマイクロプレート
を得た。このマイクロプレートのウェルについて、タン
パク質吸着試験を行った結果を表5に示した。
【0083】〔比較例6〕 <水接触角試験、膨潤性試験>実施例3で用いた未処理
のポリスチレン製マイクロプレートの水接触角と膨潤度
を測定した結果を表5に示した。
【0084】<吸着試験>実施例3と同様の方法で、光
重合性組成物をコーティングしないウエル(ポリスチレ
ン)のタンパク質吸着性を測定した結果を表5に示し
た。
【0085】〔比較例7〕 <水接触角試験、膨潤性試験>実施例3において、重合
性化合物(b)を含まない重合性組成物を調整し、これ
を使用した以外は、実施例3と同様にして、成形物を作
製し、実施例3と同様の試験を行ない、その結果を表5
に示した。
【0086】<吸着試験>実施例3において、重合性化
合物(b)を含まない重合性組成物を調整し、これを使
用したこと以外は、実施例3と同様にして、マイクロプ
レートをコーティングし、実施例3と同様の方法でタン
パク質吸着性を測定し、その結果を表5に示した。
【0087】
【表5】
【0088】a1:V−4263 a2:HDDA b : M−114
【0089】表5に示した結果から、実施例3のタンパ
ク質吸着量は、未処理のマイクロプレート(比較例6)
の1/11以下、重合性化合物(b)を含有しない疎水
性の塗膜(比較例7)の1/35以下に減少しているこ
とがわかる。
【0090】
【発明の効果】本発明の親水性成型物は、非常に高い親
水性を示しながら、湿潤条件下で膨潤、強度の著しい低
下、剥離などの不都合が生じることがなく、長期耐久性
にも優れる。また、本発明の製造方法は、成形性が高
く、任意の形状の上記特徴を有する親水性成形物を高い
生産性で製造することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA33 AA36 AA51 AE02 AE06 AF04Y AF05Y AH19 BA02 BB12 BC10 4J011 QA03 QA12 QA13 QA22 QA23 QA24 QA33 QA39 QB03 QC07 SA06 SA07 SA12 SA14 SA17 SA22 SA34 SA64 UA01 UA03 UA04 UA05 WA01 WA02 WA07 4J027 AC03 AC04 AC06 BA19 BA20 BA21 BA24 BA25 BA26 BA27 BA28 CB10 CC03 CC04 CC05 CC06 CC07 CD07 CD08 CD10 4J038 FA011 FA111 NA06 PA17

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋重合性化合物(a)と、重合性化合
    物(b)との共重合体で形成された親水性成形物であっ
    て、(1)架橋重合性化合物(a)が、その単独重合体
    が水との接触角50度以上を示すものであること、
    (2)重合性化合物(b)が、両親媒性であること、
    (3)親水性成形物が、水との接触角が35度以下であ
    ること、(4)親水性成形物が、25℃の水への24時
    間浸漬による重量増加が10%以下であること、を特徴
    とする親水性成形物。
  2. 【請求項2】 架橋重合性化合物(a)が、1分子中に
    2個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物
    であり、かつ、両親媒性重合性化合物(b)が、1分子
    中に1個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化
    合物である請求項1記載の親水性成形物。
  3. 【請求項3】 重合性化合物(b)が、25℃のシクロ
    ヘキサン:トルエン=5:1(重量比)混合溶媒に対し
    て25重量%以上溶解し、かつ、0℃の水に対して0.
    5重量%以上溶解する化合物である請求項1または2記
    載の親水性成形物。
  4. 【請求項4】 重合性化合物(b)が、10〜16のグ
    リフィンのエイチ・エル・ビー(HLB) 値である請求項
    1、2または3記載の親水性成形物。
  5. 【請求項5】 重合性化合物(b)が、繰り返し数6〜
    20のポリエチレングリコール鎖を有する化合物である
    請求項1、2、3または4記載の親水性成形物。
  6. 【請求項6】 重合性化合物(b)が、炭素原子数6〜
    20のアルキル基またはアルキレン基を有する化合物で
    ある請求項1、2、3、4または5記載の親水性成形
    物。
  7. 【請求項7】 エネルギー線により重合可能な架橋重合
    性化合物(a′)と、該架橋重合性化合物(a′)と共
    重合体を形成しうる、エネルギー線により重合可能な重
    合性化合物(b′)を含有する重合性組成物(I)を任
    意の形状に賦形し、重合硬化させることにより形成され
    た、水との接触角が35度以下であり、かつ25℃の水
    への24時間浸漬による重量増加が10%以下である親
    水性成形物の製造方法であって、(1)架橋重合性化合
    物(a′)の単独重合体が、水との接触角50度以上を
    示すものであること、(2)重合性化合物(b′)が、
    両親媒性であること、(3)重合性組成物(I)の重合
    硬化が、エネルギー線照射による重合硬化であること、
    を特徴とする親水性成形物の製造方法。
  8. 【請求項8】 重合性組成物(I)の組成が、架橋重合
    性化合物(a′)1重量部に対する重合性化合物
    (b′)の混合比が0.5〜5(重量比)である請求項
    7記載の親水性成形物の製造方法。
  9. 【請求項9】 重合性化合物(b′)が、25℃のシク
    ロヘキサン:トルエン=5:1(重量比)混合溶媒に対
    して25重量%以上溶解し、かつ、0℃の水に対して
    0.5重量%以上の溶解する化合物である請求項7また
    は8記載の親水性成形物の製造方法。
  10. 【請求項10】 重合性化合物(b′)が、10〜16
    のグリフィンのエイチ・エル・ビー(HLB) 値である請
    求項7、8または9記載の親水性成形物の製造方法。
  11. 【請求項11】 重合性化合物(b′)が、繰り返し数
    6〜20のポリエチレングリコール鎖を有する化合物で
    ある請求項7、8、9または10記載の親水性成形物の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 重合性化合物(b′)が、炭素原子数
    6〜20のアルキル基またはアルキレン基を有する化合
    物である請求項7、8、9、10または11記載の親水
    性成形物の製造方法。
  13. 【請求項13】 架橋重合性化合物(a′)が、炭素原
    子数6〜20のアルキル基またはアルキレン基を有する
    化合物である請求項7、8、9、10、11または12
    記載の親水性成形物の製造方法。
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