JP2000320043A - 免震建物の外壁防火構造 - Google Patents

免震建物の外壁防火構造

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JP2000320043A
JP2000320043A JP11127638A JP12763899A JP2000320043A JP 2000320043 A JP2000320043 A JP 2000320043A JP 11127638 A JP11127638 A JP 11127638A JP 12763899 A JP12763899 A JP 12763899A JP 2000320043 A JP2000320043 A JP 2000320043A
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幸好 長谷山
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貞二 今井
Kazuo Kawakita
一夫 川北
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上層躯体および下層躯体間の相対的変位を許
容し、建物の外部から内部への雨水および空気の侵入を
防ぎ、かつ外部および内部間の高い耐火性能を達成す
る。 【解決手段】 上下に分断された上層躯体2および下層
躯体3の各外壁部7,8間に第1取付体13a,13b
をそれぞれ固定するとともに、各第1取付体13a,1
3bの外部5側の各側部14a,14bに第2取付体1
5a,15bを固定し、第1取付体13a,13b間に
は耐火部材16を摺動自在に介在するとともに、第2取
付体15a,15b間には外部5側に水密シール材21
を設け、内部6側に気密シール材22を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震時の震動によ
る上層躯体と下層躯体との相対的変位を許容して、上層
躯体の外壁と下層躯体の外壁との間の空隙を探る免震建
物の外壁防火構造に関する。
【0002】
【従来の技術】典型的な従来の技術は、特開平10−2
99128号公報に開示されている。この従来の技術で
は、構造的に分離された上層躯体と下層躯体との間に免
震装置を介在して、前記上層躯体と下層躯体とが略水平
方向に相対的に変位可能に支持され、上層躯体の上層外
壁部の下端部と下層躯体の下層外壁部の上端部との間に
耐熱性構成体を設け、上層躯体および下層躯体の前記略
水平方向の相対的な変位を許容し、かつ上層躯体の上層
外壁部および下層躯体の下層外壁部間の空間を塞ぐこと
ができるように構成されている。
【0003】前記耐熱性構成体は、凹状の鋼板から成る
取付部材内に、ロックウールフェルトをセラミックファ
イバブラケットによって覆われた断熱材が収納された構
成を有する。上層外壁部の下端部には、凹状の鋼板から
成る摺接軌条部材が固定され、また下層外壁部の上端部
には逆凹状の鋼板から成る摺接軌条部材が固定される。
各摺接軌条部材の上下に対向する表面は略平行であり、
上外壁部の下端部に固定される上方の摺接軌条部材に前
記耐熱性構成体が固定され、上述したように、地震時の
上層躯体と下層躯体との間の略水平方向の相対的変位を
許容して、上層外壁部および下層外壁部間の空間を塞
ぎ、各外壁部に対して外側の外部および各外壁部に関し
て内側の内部間の火災時における炎の侵入を防止してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
では、上層外壁部と下層外壁部との間に耐熱性構成体が
介在されるので、火災発生時に外部から内部への炎の侵
入および内部から外部への炎の漏出を防止することがで
きるが、上層外壁部の下端部および下層外壁部の上端部
に設けられる各摺動軌条部材はそれぞれ外部および内部
間にわたって構造的に連続した一体の部材によって構成
されるため、外部および内部のいずれかで火災が発生
し、その火災が発生した側に突出する部分が炎によって
加熱されると、その熱が火災が発生していない側に伝わ
り、外部および内部間を完全に熱的に遮断することがで
きず、より高い耐火性能が臨まれる。また上記の耐熱性
構成体だけでは、外部から内部へ吹込む風および雨水を
確実に遮断することができず、より高い水密性および気
密性が臨まれる。
【0005】本発明の目的は、上層躯体および下層躯体
間の相対的変位を許容し、建物の外部から内部への雨水
および空気の侵入を確実に防ぎ、かつ外部および内部間
で高い耐火性能を上記の変位にかかわらず維持すること
ができる免震建物の外壁防火構造を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、構造的に分離された上層躯体と下層躯体との間に免
震装置を介在して、前記上層躯体と下層躯体とが略水平
方向に相対的に変位可能に支持され、上層躯体の上層外
壁部の下端部と下層躯体の下層外壁部の上端部との間に
設けられ、上層躯体および下層躯体の前記略水平方向の
相対的な変位を許容し、かつ上層躯体の上層外壁部およ
び下層躯体の下層外壁部間の空間を塞ぐ免震建物の外壁
防火構造において、上層外壁部の下端部および下層外壁
部の上端部に、上下に間隔をあけて対向して平行な摺動
面を有する第1取付体がそれぞれ固定され、各第1取付
体の外部側の側部には、第2取付体が上下に間隔をあけ
てそれぞれ固定され、各第1取付体間には、耐火部材が
各摺動面間で摺動可能に挟持され、各第2取付体間に
は、外部側に水密シール材が設けられるとともに、内部
側に気密シール材が設けられることを特徴とする免震建
物の外壁防火構造である。
【0007】本発明に従えば、上層外壁部の下端部およ
び下層外壁部の上端部に第1取付体が固定され、各第1
取付体の外部側の側部には第2取付体が固定される。各
第1取付体は、上下に間隔をあけて対向する平行な摺動
面を有し、各摺動面間には耐火部材が介在される。この
耐火部材は、各摺動面間で摺動可能に挟持されるので、
地震によって上層躯体と下層躯体とが相対的に略水平方
向に相対的な変位を生じても、各摺動面に対して耐火部
材が摺動し、これによって耐火部材が各摺動面の相対的
な変位によって損傷または破損することが防がれ、確実
に各摺動面間の隙間を塞ぎ、建物の外部で発生した火災
に対しては、炎の外部から内部への侵入を防ぎ、また建
物の内部で発生した火災に対しては、内部から外部への
炎の漏洩を防いで、各躯体間の相対的変位にかかわら
ず、外部および内部間の高い耐火性能を維持することが
できる。
【0008】また各第2取付体間には、外部側に水密シ
ール材が設けられ、内部側に気密シール材が設けられ
る。したがってこれらの水密シール材および気密シール
材は、双方とも上記の各第1取付体間の耐火部材よりも
外部側に設けられ、外部から内部への雨水の侵入および
風による空気の侵入を確実に防止することができる。ま
た水密シール材は気密シール材よりも外部側に設けられ
るので、上層外壁部に設けられる上方の第1および第2
取付体と下層外壁部に設けられる下方の第1および第2
取付体との間の空間において、最も外部側で雨水を遮断
することができ、これによって気密シール材と各第2取
付体との接触面における毛細管現象、および耐火部材と
各第1取付体との接触面における毛細管現象あるいは内
部の圧力が外部に対して低くなったときの差圧による吸
引作用によって外部から雨水が内部へ侵入してしまうと
いう不具合を確実に防止し、外部から内部への雨水の侵
入を確実に防止することができる。このようにして上層
躯体および下層躯体間の水平方向の相対的変位を許容
し、建物の外部から内部への雨水および空気の侵入を確
実に防ぎ、かつ外部および内部間で火災に対する高い耐
火性能を同時に達成することができる。
【0009】請求項2記載の本発明は、請求項1記載の
構成において、各第1取付体は、外部側に配置される耐
火性金属から成る外部側取付体部分と、内部側に配置さ
れる耐火性金属から成る内部側取付体部分と、外部側取
付体部分および内部側取付体部分間に介在される断熱部
材とを有することを特徴とする。
【0010】本発明に従えば、上記の各第1取付体は、
外部側取付体部分と内部側取付体部分と断熱部材とを有
する。外部側および内部側の各取付体部分は耐火性金
属、たとえば構造用鋼材などの少なくとも融点が150
0℃程度よりも高い金属が用いられる。このような高い
融点の金属を選ぶのは、火災発生時の炎によって、14
00〜1500℃程度の高温にさらされても、溶融して
上層外壁部および下層外壁部から脱落してしまうことを
防ぐためである。しかも外部側および内部側の各取付体
部分間には断熱部材が介在されるので、外部および内部
のいずれで火災が発生し、この火災の熱によって外部側
取付体部分または内部側取付体部分が加熱されても、そ
の熱が火災が発生していない側に配置される内部側取付
体部分または外部側取付体部分に熱が伝わって、延焼の
原因になってしまうという不都合を確実に防止すること
ができる。
【0011】請求項3記載の本発明は、請求項1または
2記載の構成において、下層外壁部の上端部に設けられ
る第2取付体は、水密シール材と気密シール材との間の
空間に臨んで開口する凹状の集水溝部を有することを特
徴とする。
【0012】本発明に従えば、下層外壁部の上端部に設
けられる第2取付体には集水溝部が設けられるので、上
記の水密シール材によって遮断しきれず内部側へ侵入し
た水は気密シール材を加えて内部に侵入させることなし
にその前段で遮断し、より一層高い水密性を達成するこ
とができる。
【0013】請求項4記載の本発明は請求項1〜3のい
ずれかに記載の構成において、耐火部材は、耐火性繊維
から成る中詰材が金属製の薄膜から成る外装シートによ
って包まれた耐火マットであることを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、前記耐火部材として耐火
性繊維から成る中詰材を金属製の薄膜から成る外装シー
トによって挟まれた耐火マットが用いられるので、耐火
性繊維から成る中詰材の大きな伸縮性によって耐火部材
を常に第1取付体の各摺動面に弾発的に広い範囲にわた
って接触させることができ、隙間の発生を防止すること
ができる。またこの中詰材は金属製の薄膜によって外囲
されるので、地震時に各躯体が相対的に変位を生じて
も、各第1取付体の各摺動面と耐火部材との間の摩擦を
少なくすることができ、これによって耐火部材に対する
各第1部材の相対的な変位を許容し、耐火部材の各第1
取付部材への引掛りなどによる損傷および隙間の発生を
確実に防ぎ、地震時の各躯体の相対的変位に対して高い
信頼性で耐火性能を達成し、それを維持することができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
免震建物の外壁防火構造を有する外壁防火構造体1の鉛
直断面図であり、図2は図1に示される外壁防火構造体
1を外部5側から見た一部の正面図であり、図3は図2
の切断面線III−IIIから見た断面図である。な
お、図1は、図2の切断面線I−Iから見た断面を示
す。免震建物Aは、構造的に分離された上層躯体2と下
層躯体3との間に後述する免震装置4(図3参照)を介
在して、前記上層躯体2が下層躯体3に図1の左右方向
である略水平方向に相対的に変位可能に支持され、この
上層躯体2の上層外壁部7の下端部9と、下層躯体3の
下層外壁部8の上端部10との間に、外壁防火構造体1
が設けられる。この外壁防火構造体1は、上層躯体2お
よび下層躯体3の前記略水平方向の相対的な変位を許容
し、かつ上層躯体2の上層外壁部7および下層躯体3の
下層外壁部8間の空間11を塞ぐことができるように構
成される。
【0016】上層外壁部7の下端部9および下層外壁部
8の上端部10には、図1の上下方向である上下に間隔
ΔL1をあけて対向し、かつ平行な摺動面12a,12
bを有する第1取付体13a,13bがそれぞれ固定さ
れる。各第1取付体13a,13bの外部5側の側部1
4a,14bには、第2取付体15a,15bが上下に
間隔ΔL2をあけてそれぞれ固定される。各第1取付体
13a,13b間には、耐火部材16が各摺動面12
a,12b間で摺動可能に挟持される。各第2取付体1
5a,15b間には、外部5側に水密シール材21が設
けられるとともに、内部6側に気密シール材22が設け
られる。前記水密シール材21は、レインバリアとも呼
ばれ、可撓性、弾発性および耐候性を有する材料から成
る。このような材料としては、たとえばエチレンプロピ
レンゴム(略称EPDM)が用いられる。また気密シー
ル材22は、ウインドバリアとも呼ばれ、可撓性および
弾発性を有する材料から成る。これらの水密シール材2
1および気密シール材22は上方の第2取付体15aに
取付けられ、下方の第2取付体15bに弾発的に当接し
ている。上記気密シール材22は、耐火性シリコンゴム
から成ってもよい。
【0017】上記の構成によって、地震によって上層躯
体2と下層躯体3とが相対的に略水平方向に相対的な変
位を生じても、各摺動面12a,12bに対して耐火部
材16が摺動し、これによって耐火部材16と各摺動面
12a,12bの相対的な変位によって、耐火部材16
が損傷または破損することが防がれ、確実に各摺動面1
2a,12b間の隙間を塞ぎ、建物の外部5側で発生し
た火災に対しては、炎の外部5から内部6への侵入を防
ぎ、また建物の内部6で発生した火災に対しては、内部
6から外部5への炎の漏洩を防いで、各躯体2,3間の
相対的変位にかかわらず、外部5および内部6間の高い
耐火性能を維持することができる。
【0018】また各第2取付体15a,15b間には、
外部5側に水密シール材21が設けられ、内部6側に気
密シール材が設けられる。したがってこれらの水密シー
ル材21および気密シール材22は、双方とも上記の各
第1取付体13a,13b間の耐火部材16よりも外部
5側に設けられ、外部5から内部6への雨水の侵入およ
び風による空気の侵入を確実に防止することができる。
また水密シール材21は気密シール材22よりも外部5
側に設けられるので、上層外壁部7に設けられる上方の
第1および第2取付体13a,15aと下層外壁部8に
設けられる下方の第1および第2取付体13b,15b
との間の空間11において、最も外部5側で雨水を遮断
することができ、これによって気密シール材21と各第
2取付体15a,15bとの接触面における毛細管現
象、および耐火部材16と各第1取付体13a,13b
との接触面における毛細管現象、あるいは内部6の圧力
が外部5に対して低くなったときの差圧による吸引作用
によって、外部5から雨水が内部6へ侵入してしまうと
いう不具合を確実に防止し、外部5から内部6への雨水
の侵入を確実に防止することができる。
【0019】このようにして上層躯体および下層躯体間
の水平方向の相対的変位を許容し、建物の外部5から内
部6への雨水および空気の侵入を確実に防ぎ、かつ外部
5および内部6間で火災に対する高い耐火性能を、同時
に、達成することができる。
【0020】前述の各第1取付体13a,13bは、外
部5側に配置される耐火性金属から成る外部側取付体部
分25a,25bと、内部6側に配置される耐火性金属
から成る内部側取付体部分26a,26bと、外部側取
付体部分25a,25bおよび内部側取付体26a,2
6b間に介在される断熱部材27a,27bとを含む。
これらの外部側取付体部分25a,25b、内部側取付
体部分26a,26bおよび断熱部材27a,27b
は、ボルト28およびそのねじ軸に螺着されるナット2
9によって両側から断熱部材27a,27bを挟んで相
互に連結される。
【0021】外部側および内部側の各取付体部分25
a,25b;26a,26bは、耐火性金属、たとえば
構造用鋼材などの少なくとも融点が1500℃程度より
も高い金属が用いられる。このような高い融点の金属を
選ぶのは、火災発生時の炎によって、1400〜150
0℃程度の高温にさらされても、溶融して上層外壁部お
よび下層外壁部から脱落してしまうことを防ぐためであ
る。しかも外部側および内部側の各取付体部分25a,
25b;26a,26b間には断熱部材27a,27b
がそれぞれ介在されるので、外部5および内部6のいず
れで火災が発生したとしても、火災の熱によって外部側
取付体部分25a,25bまたは内部側取付体部分26
a,26bが加熱されても、その熱が火災が発生してい
ない側に配置される内部側取付体部分26a,26bま
たは外部側取付体部分25a,25bに熱が伝わって、
延焼の原因になってしまうという不都合を確実に防止す
ることができる。
【0022】上記の下層外壁部8の上端部10に設けら
れる上方の第2取付体15aは、水密シール材21と気
密シール材22との間の空間31に臨んで開口する凹状
の集水溝部32を有する。このような集水溝部32によ
って、上記の水密シール材21によって遮断しきれず内
部6側へ侵入した水は、気密シール材22を越えて内部
6に侵入することなしにその前段で遮断し、より一層高
い水密性を達成することができる。
【0023】上記の各第1取付体13a,13bは、外
部側取付体部分25a,25bに溶接して固定される略
W字状のクリップ片47a,47bとを有する。各クリ
ップ片47a,47bの内部6側の一端部は、各外部側
取付体部分25a,25bに固定され、外部5側に配置
される各他端部は、アンカボルト48a,48bによっ
て上層外壁部7および下層外壁部8にそれぞれ固定され
るファスナ49a,49bの挟着片50a,50bを外
部側取付体部分25a,25b上で弾発的に押圧して挟
持する。各ファスナ49a,49bは、各アンカボルト
48a,48bによって上層外壁部7および下層外壁部
8にそれぞれ固定される断面形状が略L字状の縁材51
a,51bを有する。上方の縁材51aには、前記挟着
片50aがボルト52aおよびナット53aによって前
記上方の第2取付体15aとともに固定される。
【0024】また下方の縁材51bには、断面形状がL
字状の補強部材54が溶接によって固定され、この補強
部材54にはボルト52bおよびナット53aによって
前記下方の第2取付体15bが固定される。上方に配置
される第2取付体15aは、外部5側に向かって下方に
傾斜する上壁55と、略水平な下壁56とを有する。上
壁55にはその厚み方向に貫通する排水孔57が形成さ
れ、下壁56には前記上壁55の排水孔57の下方に形
成される排水孔58が設けられる。各排水孔57,58
は前記下方に設けられる第2取付体15bの集水溝部3
2上に配置され、各排水孔57,58を経て落下した水
を排水溝部32内に落下させて上方の第2取付体15a
への内部空間から排出することができる。また下方の第
2取付体15bは、上壁61と下壁62とを有する。上
壁61は、前述の集水溝部32を有し、この集水溝部3
2の底壁部分63には排水孔64が形成される。
【0025】また下壁62には、排水孔65が前記底壁
部分63の排水孔68よりも外部5側に形成される。集
水溝部32内に溜まった水は、上壁61の排水孔64を
介して第2取付体15b内の空間に落下し、下壁62の
排水孔65から外部5側で下方に落下して排出される。
下壁62の上面は、内部6から外部5に向かって下方に
傾斜する排水勾配を有し、第2取付体15b内で水が溜
まってしまうことを防止している。集水溝部32の略水
平方向(図1の左右方向)の両側には、前記水密シール
材21および機密シール材22の下端部がそれぞれ弾発
的に当接する前記底壁部分63よりも上方に隆起した平
坦な当接面66,67が形成される。各当接面66,6
7は、下方の摺動面12bと同一平面を成す。
【0026】前述の耐火部材16は、耐火性繊維から成
る中詰材34を、金属製の薄膜から成る外装シート35
によって包まれた耐火マットとして構成される。前記耐
火性繊維としては、セラミックファイバ(略称CF)を
用いることができる。また金属製の薄膜としてはアルミ
ガラスクロス(略称AGC)が好適に用いられる。外装
シート35の厚みは、0.05〜0.1mm程度のもの
が好適に用いられる。このように外装シート35とし
て、薄膜が用いられるので、外部5および内部6のいず
れかで火災が生じても、外部5および内部6のいずれか
一方から他方に向って熱が伝導する途中で放熱していま
い、断熱効果を達成することができる。
【0027】しかも中詰材34は耐火性繊維が用いられ
るので、繊維自体が燃焼する恐れはなく、繊維による弾
性回復力によって耐火部材16は上下の各第1取付体1
3a,13baの相互に対向する摺動面12a,12b
につねに弾発的に当接し、隙間が生じない。これによっ
て火災時に発生した炎が外部5および内部6のいずれか
一方から他方へ侵入することを確実に防ぐことができ
る。
【0028】さらに前記外装シート35は金属製である
ので、各第1取付体13a,13bの各摺動面12a,
12bに対して滑りやすく、地震時に上層外壁部7およ
び下層外壁部8が略水平方向に相対的に変位しても、各
摺動面12a,12bに引掛かるなどして耐火部材16
が破損してしまうことが防がれ、円滑に上層および下層
外壁部7,8間の相対的変位を許容し、耐火性能を維持
することができる。
【0029】本発明の実施の他の形態として、前記外装
シート35は、厚みが0.05〜0.1mm程度のステ
ンレス箔を用いるようにしてもよい。このように外装シ
ート35としてステンレス箔を用いることによって、大
きな引張り強度が得られ、急激な地震による各摺動面1
2a,12bから外装シート35に大きな引張り力が作
用しても、大きな強度で抗することができ、破損するこ
とが防がれ、これによって各摺動面12a,12b間に
隙間が発生して炎あるいは高温の燃焼ガスなどが外部5
および内部6のいずれか一方から他方へ流出することを
確実に防ぎ、耐火性能の向上を図ることができる。
【0030】さらに各第2取付体15a,15bが図1
の紙面に垂直な延在方向に途切れた目地部37において
は、図3の鉛直断面図に示されるように、上下の第1取
付体13a,13bおよびその間に介在される耐火部材
16は連続して延び、その周囲の領域には水密性および
気密性を達成するために、耐火性シリコンゴムから成る
目地材37が介在される。このようにして耐火構造が延
在方向に分断することなしに連続して設けられるので、
建物の外壁の全周にわたって耐火性能を実現することが
できる。
【0031】図4は、外壁防火構造体1が備えられる免
震建物41の構成を簡略化して示す鉛直断面図である。
この免震建物41は、前述したように、構造的に分離さ
れた上層躯体2と下層躯体3と、上層躯体2および下層
躯体3間に介在される複数の免震装置4とを含む。上層
躯体2の上層上壁部7の下端部9と、下層躯体3の下層
外壁部8の上端部10との間には、前述した外壁防火構
造体1が介在される。これらの免震装置4は、地震発生
時に、上層躯体2と下層躯体3との略水平な相対的変位
を半径R=250mmの円形の範囲で許容することがで
きる。
【0032】このような上層躯体2と下層躯体3との相
対的変位が生じても、上記の外壁防火構造体1によって
その変位を許容し、外部5から内部6への雨水および風
などによる空気の侵入を確実に防ぎ、外部5から内部6
への炎の侵入および内部6から外部5への炎の漏出を確
実に防ぎ延焼を確実に防止することができる。
【0033】図5は、本発明の実施の他の形態の耐火部
材16aを示す断面図である。なお、対応する部分には
同一の参照符を付し、説明は省略する。本実施の形態の
耐火部材16aは、下方の第1取付体13bの摺動面1
2bに沿って摺動する下部に、外部5および内部6間の
幅方向両側で幅方向中央部から外側方に向うにつれて上
昇する方向に傾斜する摺動案内面42a,42bが形成
される。各摺動案内面42a,42bを有する耐火部材
16bを、前述の実施の形態の耐火部材16に代えて各
第1取付体13a,13b間に介在することによって、
地震発生時に上層および下層の各躯体2,3が相対的に
略水平方向に変位しても、耐火部材16aに対して下方
の摺動面16bの相対的変位を容易に許容し、摺動時に
引掛かるなどの不具合が生じることを防止することがで
きる。
【0034】図6は、本発明の実施のさらに他の形態の
耐火部材16bを示す断面図である。なお、前述の実施
の各形態の耐火部材16,16aに対応する部分には同
一の参照符を付し、説明は省略する。本実施の形態の耐
火部材16bは、下方の第1取付体13bの摺動面12
bに摺動する下部が、幅方向中央部45が最も大きな厚
みとなるように、下方に凸に湾曲した底面46が形成さ
れる。この底面46は、前記下方の摺動面12bに接触
し、上層および下層の各躯体2,3の略水平方向の相対
的変位が生じても、円滑に摺動することができる。
【0035】図7は、本発明の実施のさらに他の形態の
耐火部材16cを示す断面図である。なお、前述の実施
の各形態の耐火部材16,16a,16bと対応する部
分には同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略す
る。本実施の形態の耐火部材16cは、中詰材34とし
て、前述の実施の形態と同様なセラミックファイバから
成る第1中詰材34aと、膨張性セラミックファイバか
ら成る第2中詰材34bとから成る。前記第2中詰材3
4bは、バーミキュライト(ひる石)と、セラミックフ
ァイバと、添加剤とを混合して、接着剤によって硬化さ
せたものである。
【0036】このような第2中詰材34bを設けること
によって、火災発生時に下方の第1取付体13bの温度
が上昇すると、その熱によって第2中詰材34bが膨張
し、耐火部材16cを膨張させて、上下の摺動面12
a,12bに密着させ、隙間の発生を防いで、より一層
高い防火性能を達成することができる。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、上層外
壁部の下端部および下層外壁部の上端部に第1取付体が
固定され、各第1取付体の外部側の側部には第2取付体
が固定される。各第1取付体は、上下に間隔をあけて対
向する平行な摺動面を有し、各摺動面間には耐火部材が
介在される。この耐火部材は、各摺動面間で摺動可能に
挟持されるので、地震によって上層躯体と下層躯体とが
相対的に略水平方向に相対的な変位を生じても、各摺動
面に対して耐火部材が摺動し、これによって耐火部材が
各摺動面の相対的な変位によって損傷または破損するこ
とが防がれ、確実に各摺動面間の隙間を塞ぎ、建物の外
部で発生した火災に対しては、炎の外部から内部への侵
入を防ぎ、また建物の内部で発生した火災に対しては、
内部から外部への炎の漏洩を防いで、各躯体間の相対的
変位にかかわらず、外部および内部間の高い耐火性能を
維持することができる。
【0038】また各第2取付体間には、外部側に水密シ
ール材が設けられ、内部側に気密シール材が設けられ
る。したがってこれらの水密シール材および気密シール
材は、双方とも上記の各第1取付体間の耐火部材よりも
外部側に設けられ、外部から内部への雨水の侵入および
風による空気の侵入を確実に防止することができる。ま
た水密シール材は気密シール材よりも外部側に設けられ
るので、上層外壁部に設けられる上方の第1および第2
取付体と下層外壁部に設けられる下方の第1および第2
取付体との間の空間において、最も外部側で雨水を遮断
することができ、これによって気密シール材と各第2取
付体との接触面における毛細管現象、および耐火部材と
各第1取付体との接触面における毛細管現象あるいは内
部の圧力が外部に対して低くなったときの差圧による吸
引作用によって外部から雨水が内部へ侵入してしまうと
いう不具合を確実に防止し、外部から内部への雨水の侵
入を確実に防止することができる。このようにして上層
躯体および下層躯体間の水平方向の相対的変位を許容
し、建物の外部から内部への雨水および空気の侵入を確
実に防ぎ、かつ外部および内部間で火災に対する高い耐
火性能を同時に達成することができる。
【0039】請求項2記載の本発明によれば、上記の各
第1取付体は、外部側取付体部分と内部側取付体部分と
断熱部材とを有する。外部側および内部側の各取付体部
分は耐火性金属、たとえば構造用鋼材などの少なくとも
融点が1500℃程度よりも高い金属が用いられる。こ
のような高い融点の金属を選ぶのは、火災発生時の炎に
よって、1400〜1500℃程度の高温にさらされて
も、溶融して上層外壁部および下層外壁部から脱落して
しまうことを防ぐためである。しかも外部側および内部
側の各取付体部分間には断熱部材が介在されるので、外
部および内部のいずれで火災が発生し、この火災の熱に
よって外部側取付体部分または内部側取付体部分が加熱
されても、その熱が火災が発生していない側に配置され
る内部側取付体部分または外部側取付体部分に熱が伝わ
って、延焼の原因になってしまうという不都合を確実に
防止することができる。
【0040】請求項3記載の本発明によれば、下層外壁
部の上端部に設けられる第2取付体には集水溝部が設け
られるので、上記の水密シール材によって遮断しきれず
内部側へ侵入した水は気密シール材を加えて内部に侵入
させることなしにその前段で遮断し、より一層高い水密
性を達成することができる。
【0041】請求項4記載の本発明によれば、前記耐火
部材として耐火性繊維から成る中詰材を金属製の薄膜か
ら成る外装シートによって挟まれた耐火マットが用いら
れるので、耐火性繊維から成る中詰材の大きな伸縮性に
よって耐火部材を常に第1取付体の各摺動面に弾発的に
広い範囲にわたって接触させることができ、隙間の発生
を防止することができる。またこの中詰材は金属製の薄
膜によって外囲されるので、地震時に各躯体が相対的に
変位を生じても、各第1取付体の各摺動面と耐火部材と
の間の摩擦を少なくすることができ、これによって耐火
部材に対する各第1部材の相対的な変位を許容し、耐火
部材の各第1取付部材への引掛りなどによる損傷および
隙間の発生を確実に防ぎ、地震時の各躯体の相対的変位
に対して高い信頼性で耐火性能を達成し、それを維持す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の免震建物の外壁防火構
造体1を示す鉛直断面図である。
【図2】図1に示される外壁防火構造体1を外部5側か
ら見た一部の正面図である。
【図3】図2の切断面線III−IIIから見た鉛直断
面図である。
【図4】外壁防火構造体1が備えられる免震建物41の
構成を簡略化して示す鉛直断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態の耐火部材16aを示
す断面図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態の耐火部材16
bを示す断面図である。
【図7】本発明の実施のさらに他の形態の耐火部材16
cを示す断面図である。
【符号の説明】
1 外壁防火構造体 2 上層躯体 3 下層躯体 4 免震装置 5 外部 6 内部 7 上層外壁部 8 下層外壁部 9 下端部 10 上端部 12a,12b 摺動面 13a,13b 第1取付体 14a,14b 側部 15a,15b 第2取付体 16,16a〜16c 耐火部材 21 水密シール材 22 気密シール材 25 外部側取付体部分 26 内部側取付体部分 27 断熱部材 32 集水溝部 34 中詰材 35 外装シート 41 免震建物
フロントページの続き (72)発明者 今井 貞二 大阪府大阪市淀川区三国本町3丁目9番39 号 株式会社日本アルミ内 (72)発明者 川北 一夫 大阪府大阪市淀川区三国本町3丁目9番39 号 株式会社日本アルミ内 Fターム(参考) 2E001 DA01 DC02 DG02 FA04 FA53 GA01 GA65 GA72 HB01 HE01 JA13 JA22 JA28 KA01 KA07 LA01 LA09 MA02 MA03 MA04 MA13

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造的に分離された上層躯体と下層躯体
    との間に免震装置を介在して、前記上層躯体と下層躯体
    とが略水平方向に相対的に変位可能に支持され、上層躯
    体の上層外壁部の下端部と下層躯体の下層外壁部の上端
    部との間に設けられ、上層躯体および下層躯体の前記略
    水平方向の相対的な変位を許容し、かつ上層躯体の上層
    外壁部および下層躯体の下層外壁部間の空間を塞ぐ免震
    建物の外壁防火構造において、 上層外壁部の下端部および下層外壁部の上端部に、上下
    に間隔をあけて対向して平行な摺動面を有する第1取付
    体がそれぞれ固定され、 各第1取付体の外部側の側部には、第2取付体が上下に
    間隔をあけてそれぞれ固定され、 各第1取付体間には、耐火部材が各摺動面間で摺動可能
    に挟持され、 各第2取付体間には、外部側に水密シール材が設けられ
    るとともに、内部側に気密シール材が設けられることを
    特徴とする免震建物の外壁防火構造。
  2. 【請求項2】 各第1取付体は、外部側に配置される耐
    火性金属から成る外部側取付体部分と、内部側に配置さ
    れる耐火性金属から成る内部側取付体部分と、外部側取
    付体部分および内部側取付体部分間に介在される断熱部
    材とを有することを特徴とする請求項1記載の免震建物
    の外壁防火構造。
  3. 【請求項3】 下層外壁部の上端部に設けられる第2取
    付体は、水密シール材と気密シール材との間の空間に臨
    んで開口する凹状の集水溝部を有することを特徴とする
    請求項1または2記載の免震建物の外壁防火構造。
  4. 【請求項4】 耐火部材は、耐火性繊維から成る中詰材
    が金属製の薄膜から成る外装シートによって包まれた耐
    火マットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の免震建物の外壁防火構造。
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